特許第6331635号(P6331635)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6331635
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】スイッチ付同軸コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/703 20060101AFI20180521BHJP
   H01R 24/50 20110101ALI20180521BHJP
【FI】
   H01R13/703
   H01R24/50
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-85810(P2014-85810)
(22)【出願日】2014年4月17日
(65)【公開番号】特開2015-207376(P2015-207376A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2017年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】第一精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093034
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 隆英
(72)【発明者】
【氏名】西山 浩平
【審査官】 山田 由希子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−089540(JP,A)
【文献】 実開昭51−124887(JP,U)
【文献】 特開2009−059500(JP,A)
【文献】 特開2005−302530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/70−13/713
H01R 24/40−24/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁ハウジングに取り付けられた第1コンタクトと第2コンタクトとが電気的に接触した状態から、相手コネクタが嵌合された際に前記第1コンタクトが弾性変位することによって、前記第1コンタクトが前記第2コンタクトから電気的に非接触状態に移行すると同時に、前記第1コンタクトが前記相手コネクタと電気的に接触するように構成されたスイッチ付同軸コネクタにおいて、
前記第1コンタクトは、前記絶縁ハウジングに固定される固定基部と、前記相手コネクタの嵌合方向と直交する平面内において前記第2コンタクトを両側から挟む状態で前記固定基部から湾曲状に反転する反転折返し部を介して弾性変位可能に延出し、前記第2コンタクトに対して弾性的に接触し又は非接触となる一対の板状部材からなる弾性腕部と、を備え、
前記一対の弾性腕部には、前記相手コネクタの非嵌合時に前記第2コンタクトと電気的に接触した状態にあり且つ前記相手コネクタの嵌合時には前記第2コンタクトと電気的に非接触となる第1接触部と、前記相手コネクタの非嵌合時に互いに電気的に非接触の状態にあり且つ前記相手コネクタの嵌合時には当該相手コネクタに対して電気的に接触する状態となる第2接触部と、が設けられたものであって、
前記第1コンタクトの弾性腕部を構成している板状部材は、前記固定基部から延出する方向と直交する板幅の方向が前記相手コネクタの嵌合方向に沿って立てられた状態で延在しているとともに、
前記第2コンタクトは、前記絶縁ハウジングに固定される固定基部から前記相手コネクタの嵌合方向に垂れ下がる状態で延出する接触部を有し、当該第2コンタクトの接触部に対して前記第1コンタクトの第1接触部が接触又は離間する構成を備えていることを特徴とするスイッチ付同軸コネクタ。
【請求項2】
前記第1コンタクトの各弾性腕部が、前記絶縁ハウジングに固定された固定基部から片持ち状に延出する可動ビーム状部材の一部をなすように形成されたものであって、
前記第1接触部が、前記弾性腕部の延出方向における先端部分に形成されているとともに、
前記第2接触部が、前記弾性腕部の延出方向において前記固定基部と前記第1接触部との間に形成されていることを特徴とする請求項1記載のスイッチ付同軸コネクタ。
【請求項3】
前記固定基部には、前記絶縁ハウジングに対して前記第1コンタクトを保持する固定延設片が連設されているとともに、
前記固定基部からは、印刷配線基板に対する基板接続部が一体的に延出していることを特徴とする請求項2記載のスイッチ付同軸コネクタ。
【請求項4】
前記反転折返し部が、前記相手コネクタの嵌合方向において前記固定基部と重なり合うように配置されていることを特徴とする請求項2記載のスイッチ付同軸コネクタ。
【請求項5】
前記第1コンタクトの各第2接触部は、前記相手コネクタに対して複数個所で接触可能に形成されていることを特徴とする請求項1記載のスイッチ付同軸コネクタ。
【請求項6】
前記第2コンタクトは、前記絶縁ハウジングに固定された固定基部の先端部分に、前記第1コンタクトの第1接触部に対する接触部が設けられていること特徴とする請求項1記載のスイッチ付同軸コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相手コネクタが嵌合されることで一対のコンタクト同士が電気的に非接触状態に移行すると同時に、一方のコンタクトが相手コネクタと電気的に接触されるように構成されたスイッチ付同軸コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スマートフォンやタブレット型パソコンなどのような各種電子機器又は電気機器において、機器内に設けられた高周波回路等の各種電子回路の状態や性能を検査するための小型回路検査スイッチなどとしてスイッチ付同軸コネクタが採用されている。このスイッチ付同軸コネクタは、機器本体の電子回路を分断するように回路基板上に実装された状態で使用され、絶縁ハウジングに取り付けられた可動及び固定の一対のコンタクトの各々が、機器本体に設けられた電子回路の一方側及び他方側にそれぞれ接続される一方、それら可動及び固定の一対のコンタクト同士が、自身が有する弾性力によって互いに電気的に接触した状態に維持される。
【0003】
そして、そのようなスイッチ付同軸コネクタに対しては、相手コネクタとして、例えば検査用プラグコネクタのプローブ(検査針)の先端部分が上方側から挿入されるが、その検査用プラグコネクタのプローブ(検査針)の先端部分は、可動側のコンタクトの自由端部分に上方側から圧接し、それによって当該可動コンタクトが揺動して固定側のコンタクトから離間して本来の電子回路が分断される。また、プローブが可動コンタクトに接触することによって、機器本体の電子回路にプローブが導通状態となり、当該プローブを通して、電子回路からの電気信号が外部に取り出され、その外部取り出し信号を用いて、例えば適宜の検査が実行されるようになっている。
【0004】
ところが、このような従来のスイッチ付同軸コネクタにおいては、絶縁ハウジングに取り付けられた一対のコンタクトのうちの一方が、他方のコンタクトに対して弾性的に常時圧接された状態に維持されており、それら一対のコンタクト同士が圧接状態に維持される際の反力が、絶縁ハウジングに対する定常的な負荷(プリロード)となっている。また、そのような定常的な負荷(プリロード)に加えて、相手コネクタによる押圧力が、コンタクトを通して絶縁ハウジングに付加されるため、絶縁ハウジングに大きな応力が発生して破損等に至るおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−123915号公報
【特許文献2】特開2006−49276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、簡易な構成で、絶縁ハウジングの破損等を良好に防止することができるようにしたスイッチ付同軸コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明では、絶縁ハウジングに取り付けられた第1コンタクトと第2コンタクトとが電気的に接触した状態から、相手コネクタが嵌合された際に前記第1コンタクトが弾性変位することによって、前記第1コンタクトが前記第2コンタクトから電気的に非接触状態に移行すると同時に、前記第1コンタクトが前記相手コネクタと電気的に接触するように構成されたスイッチ付同軸コネクタにおいて、前記第1コンタクトは、前記絶縁ハウジングに固定される固定基部と、前記相手コネクタの嵌合方向と直交する平面内において前記第2コンタクトを両側から挟む状態で前記固定基部から湾曲状に反転する反転折返し部を介して弾性変位可能に延出し、前記第2コンタクトに対して弾性的に接触し又は非接触となる一対の板状部材からなる弾性腕部と、を備え、前記一対の弾性腕部には、前記相手コネクタの非嵌合時に前記第2コンタクトと電気的に接触した状態にあり且つ前記相手コネクタの嵌合時には前記第2コンタクトと電気的に非接触となる第1接触部と、前記相手コネクタの非嵌合時に互いに電気的に非接触の状態にあり且つ前記相手コネクタの嵌合時には当該相手コネクタに対して電気的に接触する状態となる第2接触部と、が設けられたものであって、前記第1コンタクトの弾性腕部を構成している板状部材は、前記固定基部から延出する方向と直交する板幅の方向が前記相手コネクタの嵌合方向に沿って立てられた状態で延在しているとともに、前記第2コンタクトは、前記絶縁ハウジングに固定される固定基部から前記相手コネクタの嵌合方向に垂れ下がる状態で延出する接触部を有し、当該第2コンタクトの接触部に対して前記第1コンタクトの第1接触部が接触又は離間する構成を備えた構成が採用されている。
【0008】
このような構成を有するスイッチ付同軸コネクタによれば、第1コンタクトを構成する一対の弾性腕部に設けられた両第1接触部同士が、相手コネクタの非嵌合時に第2コンタクトを挟んで対面するように接触することから、両弾性腕部に生じている応力同士が互いに打ち消し合うように作用し、従来のような絶縁ハウジングに対する定常的な負荷(プリロード)がほとんど発生しなくなる。また、相手コネクタが嵌合された際においては、当該相手コネクタの嵌合力によって、板幅方向が相手コネクタの嵌合方向に立てられた状態で延在する第1コンタクトの弾性腕部が、嵌合方向と直交する平面内において両側に押し広げられるように弾性変位が行われる。その結果、両コンタクトが、相手コネクタの嵌合力を直接的に受けることがなくなり、両コンタクト同士を比較的小さな力で非接触状態にさせることが可能となる。従って、両コンタクト同士の接触及び相手コネクタの嵌合に伴う応力や反力による絶縁ハウジングの変形又はクラック等の破損を生じるおそれが防止される。
【0009】
さらに、相手コネクタを両側から第1コンタクトで挟むようにして電気的な接触が行われるため、外部からの衝撃や振動が付加された場合であっても、第2コンタクト及び相手コネクタに対する第1コンタクトの電気的な接触信頼性が高められる。
加えて、このような構成を有するスイッチ付同軸コネクタによれば、反転折返し部の弾性によって、相手コネクタの嵌合方向に弾性腕部が弾性変位可能な状態となり、その反転折返し部を中心として弾性腕部が、相手コネクタの嵌合方向に弾性変位することで、当該弾性腕部の第1接触部と第2コンタクトとの間が擦れ合い、いわゆるワイピング作用によって接触領域が清浄に維持される。
【0010】
また、本発明においては、前記第1コンタクトの各弾性腕部が、前記絶縁ハウジングに固定された固定基部から片持ち状に延出する可動ビーム状部材の一部をなすように形成されたものであって、前記第1接触部が、前記弾性腕部の延出方向における先端部分に形成されているとともに、前記第2接触部が、前記弾性腕部の延出方向において前記固定基部と前記第1接触部との間に形成されている構成を採用することが可能である。
【0011】
さらに、本発明における前記固定基部には、前記絶縁ハウジングに対して前記第1コンタクトを保持する固定延設片が連設されているとともに、前記固定基部からは、印刷配線基板に対する基板接続部が一体的に延出する構成を採用することが可能である。
【0012】
さらにまた、本発明においては、前記反転折返し部が、前記相手コネクタの嵌合方向において前記固定基部と重なり合うように配置されていることが望ましい。
【0014】
また、本発明における前記第1コンタクトの各第2接触部は、前記相手コネクタに対して複数個所で接触可能に形成されていることが望ましい。
【0015】
このような構成を有するスイッチ付同軸コネクタによれば、第1コンタクトの第2接触部と相手コネクタとの間における電気的な接触信頼性が向上される。
【0016】
また、本発明における前記第2コンタクトは、前記絶縁ハウジングに固定された固定基部の先端部分に、前記第1コンタクトの第1接触部に対する接触部が設けられていることが可能である。
【発明の効果】
【0017】
以上述べたように本発明にかかるスイッチ付同軸コネクタは、相手コネクタの嵌合によって、第2コンタクトから電気的に非接触となり且つ相手コネクタと電気的に接触するように弾性変位する第1コンタクトに、相手コネクタの嵌合方向と直交する平面内において第2コンタクトを両側から挟むように弾性変位して接触し又は非接触となる一対の弾性腕部を設け、それら一対の弾性腕部に設けた第1接触部が、相手コネクタの嵌合時に第2コンタクトとの電気的な接触状態から非接触状態に移行するとともに、一対の弾性腕部に設けた第2接触部が、嵌合された相手コネクタに対して電気的に接触されることによって、第1コンタクトを構成する一対の弾性腕部に生じている応力同士を互いに打ち消し合うように作用させて絶縁ハウジングに対する定常的な負荷(プリロード)を大幅に低減するとともに、板幅方向が相手コネクタの嵌合方向に沿って立てられた状態で延在する第1コンタクトの弾性腕部を相手コネクタの嵌合方向と直交する方向に弾性変位可能として、相手コネクタの嵌合力を両コンタクトが直接的に受けることをなくすことで、絶縁ハウジングの変形又はクラック等の破損を生じるおそれを防止する一方、相手コネクタを両側から第1コンタクトで挟むようにして電気的な接触を行わせ、外部からの衝撃や振動が付加された場合であっても、第2コンタクト及び相手コネクタに対する第1コンタクトの電気的な接触信頼性が高め、且つ反転折返し部を中心として弾性腕部を相手コネクタの嵌合方向に弾性変位可能とすることにより、当該弾性腕部の第1接触部と第2コンタクトとの間の擦れ合いによる、いわゆるワイピング作用で接触領域が清浄に維持されるように構成したものであるから、簡易な構成で、絶縁ハウジングの破損等を良好に防止することができ、スイッチ付同軸コネクタの信頼性を安価かつ大幅に高めることができる。



【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態にかかる回路検査スイッチを構成しているスイッチ付同軸コネクタの全体構造を正面上方側から見たときの外観斜視説明図である。
図2図1に示された本発明の一実施形態にかかるスイッチ付同軸コネクタの平面説明図である。
図3図1及び図2に示された本発明の一実施形態にかかるスイッチ付同軸コネクタにおける図2中のIII−III線に沿った縦断面説明図である。
図4図1及び図2に示された本発明の一実施形態にかかるスイッチ付同軸コネクタにおける図2中のIV−IV線に沿った横断面説明図である。
図5図1乃至図4に示された本発明の一実施形態にかかるスイッチ付同軸コネクタに用いられているコンタクト対の初期状態を正面上方側から見たときの外観斜視説明図である。
図6図5に示された初期状態におけるコンタクト対の平面説明図である。
図7図5に示された初期状態におけるコンタクト対の側面説明図である。
図8図5に示された初期状態におけるコンタクト対の正面説明図である。
図9図5に示された初期状態におけるコンタクト対の背面説明図である。
図10図5に示された初期状態におけるコンタクト対の一方を構成する第1コンタクトの初期状態を正面上方側から見たときの外観斜視説明図である。
図11図5に示されたコンタクト対の他方を構成する第2コンタクトの初期状態を正面上方側から見たときの外観斜視説明図である。
図12図1の状態から相手コネクタ(検査用プラグコネクタ)が下方に挿入されて嵌合された状態を正面上方側から見たときの外観斜視説明図である。
図13】本発明の一実施形態にかかるスイッチ付同軸コネクタに用いられているコンタクト対の弾性変位状態を正面上方側から見たときの外観斜視説明図である。
図14図13に示された弾性変位状態にあるコンタクト対の平面説明図である。
図15図13に示された弾性変位状態にあるコンタクト対の側面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明にかかるスイッチ付同軸コネクタを回路検査スイッチとして採用した実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
[回路検査スイッチの全体構造について]
まず、図1図4に示された本発明の第1の実施形態にかかるスイッチ付同軸コネクタ10は、図示を省略した配線基板上に実装され使用されるものであって、当該スイッチ付同軸コネクタ10に対して、図12に示されているように、相手コネクタとしての検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20が、上方側から嵌合され又は上方側に向かって抜去される構成になされている。その検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20は、作業者の手で把持されてスイッチ付同軸コネクタ10の上方側に配置され、その後に下方側のスイッチ付同軸コネクタ10に向かって適宜の力で押し込まれ、それによって両コネクタ10,20同士が嵌合された装着状態になされる。また、その両コネクタ10,20同士の装着状態から、検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20を把持して上方側に適宜の力で引き上げれば、当該検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20がスイッチ付同軸コネクタ10から上方に離脱して抜出が行われる。
【0021】
なお、検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20は、作業者の手で挿抜されることに限らず、機械によって自動的に挿抜されてもよい。以下において、検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20の挿入方向及び抜出方向を、それぞれ「下方向」及び「上方向」とする。
【0022】
このような回路検査スイッチ装置を構成しているスイッチ付同軸コネクタ10は、例えば、スマートフォンやタブレット型パソコン等の電子機器又は装置の電子回路基板(図示省略)上に、半田付け等により実装されて使用され、その電子機器又は装置に設けられた電子回路を、機器本体側と他の部位側とで分断又は接続するように配置される。
【0023】
[絶縁ハウジングについて]
上述したスイッチ付同軸コネクタ10の本体部を構成している絶縁ハウジング11は、プラスチック等の樹脂材を用いて例えばモールド成形されたものであって、平面略矩形状の板状部材からなるベース枠体部11aと、そのベース枠体部11aの上面中央部分に配置された挿入ガイド部11bとを一体的に有している。
【0024】
挿入ガイド部11bは、上述したベース枠体部11aの上側表面から略円筒状をなして上方に立ち上がるように形成されている。この挿入ガイド部11bの内周側表面は、略すり鉢形状をなすように形成されており、当該挿入ガイド部11bの上端縁部分に形成された円環状外周縁部から、中心部分に相手挿入穴として設けられたプローブ挿入穴11cの上面側開口部に向かって斜め下方に延在する傾斜ガイド面11dが形成されている。この傾斜ガイド面11dは、前述した検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20に設けられたプローブ20aを、プローブ挿入穴11cに向かって案内する機能を有するものであって、挿入される検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20のプローブ20aが、プローブ挿入穴11cの真上に配置されていない場合であっても、傾斜ガイド面11dの傾斜面上にプローブの先端部が当接されれば、プローブ20aの先端部が傾斜ガイド面11dに沿って下方に滑り落ちるように移動され、プローブ挿入穴11cに向かって円滑に案内されるようになっている。
【0025】
相手挿入穴として設けられたプローブ挿入穴11cは、検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20のプローブ20aを挿入可能とする内径を有する平面略円形状の中空通路から形成されており、当該プローブ挿入穴11cの上面側開口部の周囲に、上述した挿入ガイド部11bが略同心状をなすように配置されている。このプローブ挿入穴11cは、上述したように挿入ガイド部11bの上端開口部からベース枠体部11aの中心軸に沿って下方に延出しており、絶縁ハウジング11の正面と背面との間を略水平に貫通するように設けられたコンタクト挿入通路11eに対して、上方側から開口することで連通状態になされている。このプローブ挿入穴11cは、後述する第1コンタクト12の上方位置に配置されている。
【0026】
[コンタクトについて]
一方、上述した絶縁ハウジング11のベース枠体部11aに設けられたコンタクト挿入通路11eの内部には、信号伝送用の第1コンタクト12及び第2コンタクト13が、検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20の挿入・抜去の方向(上下方向)に対して略直交する水平方向に、互いに対向するように挿入されて取り付けられている。これらの第1コンタクト12及び第2コンタクト13同士が対向する方向を、以下において「コンタクト対向方向」と呼び、また各コンタクト12,13の個々において、相手側に向かう方向を「前方」、その反対方向を「後方」とする。さらに、その「コンタクト対向方向」及び「前後方向」の双方に直交する方向を「左右方向」と呼ぶ。
【0027】
第1コンタクト12及び第2コンタクト13は、図5図11にも示されているように、いわゆるコンタクト対を構成するものであって、絶縁ハウジング11の正面・背面の両端面からコンタクト挿入通路11eの内部に対面するようにして挿入され、可動構成になされた第1コンタクト12が、固定構成になされた第2コンタクト13に対して弾性的に接触した状態となるように絶縁ハウジング11に取り付けられている。これらの第1及び第2のコンタクト12,13同士の接触状態は、後述するように、相手コネクタとしての検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20が嵌合されることで解除され離間状態になされる。
【0028】
[第1コンタクトについて]
そのうちの第1コンタクト12は、コンタクト挿入通路11eに沿って延在するように折曲げ加工された金属部材から形成されており、絶縁ハウジング11に固定された固定基部12aから、第2コンタクト13側の前方に向かって可動ビーム状部材12bが延出する構成になされている。固定基部12aは、印刷配線基板に対して略水平に延在する平板状部材から形成されており、その固定基部12aにおける左右方向(幅方向)の両側から略水平に張り出すようにして一体的に連設された一対の固定延設片12a1,12a1が、絶縁ハウジング11の壁面に溝状をなすように凹設された固定溝部に圧入されることにより固定状態になされている。そして、これらの固定延設片12a1,12a1による絶縁ハウジング11に対する係合力によって、第1コンタクト12全体の支持が行われている。
【0029】
固定基部12aに設けられた固定延設片12a1,12a1は、上述したように固定基部12aの左右方向両側において可動ビーム状部材12bの長手方向である前後方向に延出するように形成されていることから、検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20の挿入・抜去の方向(上下方向)に対する当該固定延設片12a1,12a1の固定力が増大されている。そして、このように固定基部12aが強固に支持されることによって、可動ビーム状部材12bの支持力が高められて安定的な保持性が得られ、後述のように可動ビーム状部材12bの先端縁部分に設けられた接点部の機能が良好に維持されるようになっている。
【0030】
また、上述した固定基部12aの前方側の端縁部からは、印刷配線基板に接続される基板接続部12cが、下方に向かって湾曲面状をなすように一体的に延出している。その基板接続部12cは、後方側に向かって側面略円弧形状をなすように折り返された形状になされており、折り返された後に略水平に延在する平板状部分が、印刷配線基板上の導電路(図示省略)に対して半田接合されるようになっている。
【0031】
さらに、固定基部12aの後方側の端縁部には、上述した可動ビーム状部材12bが、上方に向かって湾曲面状をなすように立ち上がる反転折返し部12b1を介して片持ち状をなすように一体的に連接されている。このときの反転折返し部12b1は、前方側に向かって側面略円弧形状をなすように折り返されており、その反転折返し部12b1が前方に折り返した後からさらに平板状のビーム支持部12b2が、前方側に向かって略水平に延出している。このビーム支持部12b2は、片持ち状をなす可動ビーム状部材12bの根本部分を構成しており、印刷配線基板と略平行な水平面に沿って延在するように配置されているが、検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20の嵌合方向である上下方向において、上述した固定基部12aに対して、上方側の位置に重なり合うように配置されている。
【0032】
このようなビーム支持部12b2の左右方向(幅方向)における両側部分からは、前方の第2コンタクト13に向かって一対の弾性腕部12b3,12b3が片持ち状をなすように延出している。これらの両弾性腕部12b3,12b3は、略水平に延在する細長の帯板状部材から形成されており、板幅方向を上下方向に立てた状態で、プローブ挿入穴11cを径方向に挟んだ両側部分に、略対称的な形状をなして互いに対面するように延在している。そして、後述する第2コンタクト13の前端部分を、左右方向の両側から挟むようにして水平面内において弾性変位することで、第2コンタクト13に対して弾性的に接触し又は離間する構成になされている。
【0033】
これら一対の弾性腕部12b3,12b3は、上述したビーム支持部12b2から略平行に延出した後に、プローブ挿入穴11cが設けられた中心領域において互いに近付くように折り曲げ形成されており、当該両弾性腕部12b3,12b3同士が互いに近付いた中央領域から再び略平行な状態となって前方側に延出し、その延出側の先端部分(自由端部分)が、第2コンタクト13まで達するように配置されている。
【0034】
そして、上述したように一対の弾性腕部12b3,12b3同士が互いに近付いて略平行に延出している中央領域においては、プローブ挿入穴11cの外周部分の下方を弾性腕部12b3,12b3が通過するように配置されており、特に図12図15に示されているように、プローブ挿入穴11cを通して挿入された検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20のプローブ20aが、一対の弾性腕部12b3,12b3同士の間部分に、上下方向に挿通される構成になされている。
【0035】
このようにして検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20のプローブ20aが、一対の弾性腕部12b3,12b3同士の間部分に挿通される前の初期状態において、前記両弾性腕部12b3,12b3同士の間に形成される距離は、検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20のプローブ20aの外径よりもやや小さくなるように設定されている。このような狭い間隔に設定された一対の弾性腕部12b3,12b3同士の間部分に、検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20のプローブ20aが挿通されることで、それら一対の弾性腕部12b3,12b3同士の間部分が押し広げられるように弾性変位が行われる構成になされている。
【0036】
また、各弾性腕部12b3の前方側部分を構成している自由端部分には、突状をなす接点部からなる第1接触部12b4がそれぞれ形成されている。これらの各第1接触部12b4は、初期状態、すなわち検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20の非嵌合時において、弾性腕部12b3自身が有する弾性力によって第2コンタクト13と電気的に接触した状態に維持されている。一方、検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20が嵌合された際には、上述したように一対の弾性腕部12b3,12b3同士が、互いに離間する方向に弾性変位が行われ、それによって、各弾性腕部12b3に設けられた第1接触部12b4が、第2コンタクト13から離間して電気的に非接触の状態に移行する構成になされている。
【0037】
さらに、上述したように一対の弾性腕部12b3,12b3同士が互いに近付いた中央領域、つまり検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20のプローブ20aが挿通される領域においては、当該検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20のプローブ20aに接触する第2接触部12b5が、それぞれ設けられている。これらの各第2接触部12b5は、弾性腕部12b3に、平面略円弧状をなすように設けられた凹部の前後方向におけるエッジ部分により形成されており、片側の弾性腕部12b3に対して2箇所ずつ、合計4箇所の第2接触部12b5が設けられている。
【0038】
そして、初期状態である検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20の非嵌合時においては、両弾性腕部12b3,12b3に設けられた第2接触部12b5同士が、互いに電気的に非接触の状態となるように離間されている。一方、検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20の嵌合時、すなわち弾性腕部12b3,12b3同士の間に検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20のプローブ20aが挿入された際にあっては、当該プローブ20aの外周面に対して、第2接触部12b5が、弾性腕部12b3の弾性力によって電気的に接触する状態に維持される。
【0039】
[第2コンタクトについて]
上述したような第1コンタクト12に対して、第2コンタクト13は、第1コンタクト12の反対側部分からコンタクト挿入通路11e内に挿入されており、当該第2コンタクト12の全体が不動状態に固定される構成になされている。より具体的には、絶縁ハウジング11に係止されている固定基部13aの後方側の端縁部からは、印刷配線基板に接続される基板接続部13bが、反転折返し部13cを介して前方側に向かって一体的に延出しているとともに、固定基部13aにおける前方側の端縁部からは、固定ビーム状部材13dが前方側に向かって一体的に延出している。これらの基板接続部13b及び固定ビーム状部材13dは、片持ち状をなすようにして延出する構成になされている。
【0040】
そのうちの固定基部13aは、略水平に延在する板状部材から形成されており、当該固定基部13aの左右方向における両側縁部、すなわちコンタクト対向方向と直交する板幅方向の両端部に、絶縁ハウジング11に対して圧入固定される固定延設片13a1,13a1が、両側外方に向かって略水平に延出するように設けられている。それらの各固定延設片13a1は、固定基部13aの両側外方において、前後方向に略水平に突出するように形成されており、絶縁ハウジング11の壁面に溝状をなすように凹設された固定溝部に圧入されることにより固定状態になされている。そして、これらの各固定延設片13a1による絶縁ハウジング11に対する係合力で、第2コンタクト13全体の保持が行われている。
【0041】
固定基部13aに設けられた固定延設片13a1,13a1は、上述したように固定基部13aの両側において固定ビーム状部材13dの長手方向である前後方向に延出するように形成されていることから、固定ビーム状部材13dに対する上下方向の付加力に対する当該固定延設片13a1,13a1の固定力が増大される構造になされている。このように固定基部13aが強固に支持されることで、固定ビーム状部材13dの支持力が高められて安定的な保持性が得られ、後述のように固定ビーム状部材13dの先端縁部分に設けられた接点部の機能が良好に維持される。
【0042】
基板接続部13bの反転折返し部13cは、当該基板接続部13bの根本部分を構成するものであるが、上述した固定基部13aの後端縁部から下方側に向かって立ち下がるように湾曲して延びる帯板状部材から形成されており、基板接続部13bの延出方向を反転させるように前方側に向かって折り返されている。すなわち、その反転折返し部13cの下端側部分は、前方側に向かって略水平に延出しており、当該反転折返し部13cの下方側部分の前端縁から、基板接続部13bが前方側に向かって片持ち状をなして一体的に延出し、当該基板接続部13bが、電気コネクタ10の実装時に、印刷配線基板上に形成された導電路に対して半田部材により接合される。
【0043】
[固定ビーム状部材について]
また、第2コンタクト13の固定ビーム状部材13dは、上述した固定基部13aの前端縁部から、相手側の第1コンタクト12に向かって直接的に延出する構成になされており、当該固定ビーム状部材13dの全体が、所定の剛性を有する固定部材になされている。この固定ビーム状部材13dが前方側に向かって延出している先端部分には、第1コンタクト12に対する接触部13eが設けられている。この接触部13eは、固定ビーム状部材13dの先端部分において左右方向に対向するように形成された一対の板状部材にそれぞれ形成されている。これらの接触部13eを有する一対の板状部材は、固定ビーム状部材13dの先端部分の左右方向における両側縁部から、下方に向かって垂れ下がるように延出している。
【0044】
これら第2コンタクト13の接触部13eに対しては、前述した第1コンタクト12の可動ビーム状部材12bに設けられた第1接触部12b4が、左右方向の外方側から接触・離間する配置関係になされている。すなわち、前述したように検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20の非嵌合時である初期状態においては、第1コンタクト12の弾性腕部12b3自身が有する弾性力によって第1接触部12b4が、第2コンタクト13の接触部13eに対して外方側から弾性的に当接し、電気的に接触した状態に維持されている。一方、検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20が嵌合された際においては、第1コンタクト12に設けられた一対の弾性腕部12b3,12b3同士が、互いに離間されるように弾性変位され、それによって、当該第1コンタクト12に設けられた第1接触部12b4が、第2コンタクト13の接触部13eから外方側に向かって離間して電気的に非接触状態となる。
【0045】
以上のように本実施形態にかかるスイッチ付同軸コネクタ10によれば、第1コンタクト12を構成している一対の弾性腕部12b3,12b3に設けられた両第1接触部12b4,12b4同士が、検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20の非嵌合時である初期状態において、第2コンタクト13の接触部13eを挟んで対面するように接触している。この場合において、両弾性腕部12b3,12b3に生じている応力同士は、互いに打ち消し合うように作用することから、従来のような絶縁ハウジングに対する定常的な負荷(プリロード)がほとんど発生しなくなる。
【0046】
また、検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20の嵌合が行われた際においては、当該検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20の嵌合力によって両コンタクト12,13同士が、嵌合方向と直交する平面内において両側に押し広げられるように弾性変位が行われる。その結果、両コンタクト12,13が、検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20の嵌合力を直接的に受けることがなくなり、両コンタクト12,13同士を比較的小さな力で非接触状態にさせることが可能となる。従って、両コンタクト12,13同士の接触や、検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20の嵌合に伴う応力や反力による絶縁ハウジング11の変形又はクラック等の破損を生じるおそれが防止される。
【0047】
さらに、第1コンタクト12に設けられた第2接触部12b5が、検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20のプローブ20aを挟むように電気的に接触されるため、外部からの衝撃や振動が付加された場合であっても、検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20に対する第1コンタクト12の電気的な接触信頼性が高められる。特に、本実施形態においては、複数設けられた第2接触部12b5が、片側二箇所から検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20のプローブ20aに接触可能な構成になされているため、第1コンタクト12の第2接触部12b5と、検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20のプローブ20aとの間における電気的な接触信頼性が向上される。
【0048】
加えて、本実施形態においては、弾性腕部12b3,12b3を有する可動ビーム状部材12bが、湾曲状に反転するように延出する反転折返し部12b1を介して固定基部12aに連設され、反転折返し部12b1が、検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20の嵌合方向(上下方向)において固定基部12aと重なり合うように配置されていることから、反転折返し部12b1が有する弾性によって、弾性腕部12b3,12b3が、検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20の嵌合方向において弾性変位可能な状態となり、その反転折返し部12b1を中心として弾性腕部12b3,12b3が、検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20の嵌合方向に弾性変位することによって、当該弾性腕部12b3,12b3の第1接触部12b4と第2コンタクト13の接触部13eとの間が擦れ合ことによる、いわゆるワイピング作用が得られ、接触領域が清浄に維持される。
【0049】
[導電性シェルについて]
一方、上述した絶縁ハウジング11の上面側表面には、薄板状の導電性部材からなる導電性シェル14が上方側から覆うようにして装着されている。この導電性シェル14は、絶縁ハウジング11の上面側から挿入ガイド部11bの外周面の一部を覆うように装着されているが、この導電性シェル14が絶縁ハウジング11の上面側表面を覆っている上面基板14aの中央部分には、上述した絶縁ハウジング11の挿入ガイド部11bを外方側から覆うグランド端子部14bが略中空円筒状をなすようにして一体に設けられている。このグランド端子部14bの外周表面には、円環状をなす固定係止溝14cが凹設されており、その固定係止溝14cに対して、前述した検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20に設けられたグランドコンタクトの係合突部(図示省略)が嵌め込まれ、それによって双方がグランド接続状態になると共に、スイッチ付同軸コネクタ10に検査用プラグコネクタ20(相手コネクタ)が適宜の嵌合力で連結された状態に維持されるようになっている。
【0050】
また、上述した導電性シェル14の上面基板14aにおける四隅部分には、下方に向かって垂れ下がるように延在する基板接続部14dがそれぞれ連設されている。それら4体の基板接続部14dのうち、前述した可動コンタクト12と固定コンタクト13との対向方向に隣接する2体の基板接続部14d,14d同士は、底面部分において一体的に連結されていて、それら一体連結された一方側の基板接続部14d,14dと、他方側の基板接続部14d,14dとが、可動コンタクト12と固定コンタクト13とからなるコンタクト対を、左右方向の両側から挟むように配置されている。そして、それらの各基板接続部14dの下端部分が、図示を省略した印刷配線基板上のグランド用導電路に半田接合されることによって、グランド接続が行われるとともに、スイッチ付同軸コネクタ10の全体の保持が行われるようになっている。
【0051】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもない。
【0052】
例えば、上述した実施形態では、反転折返し部12b1が、固定基部12aから上方向に延出する構成になされているが、固定基部12aから下方向に向かって延出する反転折返し部を設けるようにしても良い。
【0053】
また、本発明は、上述した実施形態のような回路検査スイッチ以外の用途に用いられるスイッチ付同軸コネクタに対しても同様に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上のように本発明は、各種電子・電気機器に使用される多種多様なスイッチ付同軸コネクタに対して広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 スイッチ付同軸コネクタ
11 絶縁ハウジング
11a ベース枠体部
11b 挿入ガイド部
11c プローブ挿入穴(相手挿入穴)
11d 傾斜ガイド面
11e コンタクト挿入通路
12 第1コンタクト
12a 固定基部
12a1 固定延設片
12b 可動ビーム状部材
12b1 反転折返し部
12b2 ビーム支持部
12b3 弾性腕部
12b4 第1接触部
12b5 第2接触部
12c 基板接続部
13 第2コンタクト
13a 固定基部
13a1 固定延設片
13b 基板接続部
13c 反転折返し部
13d 固定ビーム状部材
13e 接触部
14 導電性シェル
14a 上面基板
14b グランド端子部
14c 固定係止溝
14d 基板接続部
20 検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)
20a プローブ
図1
図2
図3
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図5
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図10
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図15