(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記半導体パターン上に保護層を有し、前記保護層が、前記撥液性絶縁層パターンと直交する方向で複数の前記半導体パターンにまたがるストライプ形状である、請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜トランジスタアレイ。
【背景技術】
【0002】
情報技術の目覚しい発展により、現在ではノート型パソコンや携帯情報端末などでの情報の送受信が頻繁に行われている。近い将来、場所を選ばずに情報をやり取りできるユビキタス社会が来るであろうことは周知の事実である。そのような社会においては、より軽量で薄型の情報端末が望まれる。
【0003】
そのような情報端末に使用する電子部材の中でも、現在薄膜トランジスタに使用されている半導体材料の主流はシリコン系である。シリコン系材料を用いた薄膜トランジスタの形成には高い温度の工程が含まれるため、薄膜トランジスタの基板材料には工程温度に耐え得ることが求められる。このため、一般的には薄膜トランジスタを形成する基板としてガラスが使用されている。
【0004】
しかしながら、先に述べた情報端末を構成する際にガラスを用いた場合、その情報端末は重く、柔軟性がなく、落下の衝撃で割れる可能性のある製品となってしまう。従って、ガラス上に薄膜トランジスタを形成することに起因するこれらの特徴は、ユビキタス社会における情報端末として望ましくないものであるといえる。
【0005】
そこで近年、薄膜トランジスタの半導体材料として有機半導体が注目されている。有機半導体材料はシリコン系材料のような高温での熱処理工程を必要としないため可撓性のプラスチック基板上に設けられる等の利点を有する。さらに、真空プロセスを用いず印刷プロセスで作製できるためコストを下げられる等の利点も有する。
【0006】
溶液から半導体層を形成するには、スピンコート法やディップ法、インクジェット法などの方法が挙げられる。このうち、スピンコート法やディップ法で製造されたトランジスタを複数配置した薄膜トランジスタアレイにおいては、トランジスタ素子間やトランジスタと画素電極との間の半導体層中を電流が流れやすいため、オフ状態での電流(リーク電流)値が大きくなり、オンオフ比が低下してしまう問題がある。このため、例えば特許文献1においては、インクジェット法を用いて所望の場所に有機半導体層を形成することにより、トランジスタ素子分離を実現している。また、例えば特許文献2においては、薄膜トランジスタアレイの配置を、有機半導体層をストライプの形状で形成できるように最適化し、フレキソ印刷により有機半導体溶液を形成している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、インクジェット法を用いる場合、一般的に有機半導体は溶媒に対する溶解度が低いため、ノズル近傍において有機半導体が析出して吐出不良が起きることがしばしばある。また、チャネル部に有機半導体溶液を注入する方法では、スループットが低いという問題がある。
【0009】
また、フレキソ印刷で独立パターンを形成する場合、アニロックスから有機半導体溶液をフレキソ版に転写する際に、フレキソ版の凸部がアニロックスの凹部に入る場合と土手の部分にかかる場合とで転写される液量が異なり、成膜された膜の厚さにばらつきが生じる。膜厚のばらつきは、薄膜トランジスタの特性のバラツキとなる。
【0010】
また、有機半導体層がソース配線に平行なストライプ形状の場合、その領域内にキャパシタ電極・ゲート絶縁膜・画素電極を形成することができず、蓄積容量を大きくすることができないという問題がある。また、有機半導体層がゲート配線に平行なストライプ形状の場合、隣接画素のソース配線・ドレイン電極間に電流が流れてゲート配線方向にクロストークが発生するか、隣接画素のソース配線間に電流が流れて消費電力が大きくなるという問題がある。
【0011】
本発明では、蓄積容量が大きく、消費電力が大きくなく、表示品質の高い薄膜トランジスタアレイの構造と、その構造を用いた薄膜トランジスタアレイを高スループットでアライメント精度良く製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための発明の一局面は、絶縁基板と、
キャパシタ電極と、ソース電極と、ソース電極と所定の間隙を有して形成されたドレイン電極と、ドレイン電極に接続され
、平面視においてキャパシタ電極と重なる画素電極と、少なくともソース電極とドレイン電極との間隙に形成された半導体パターンとを有する複数の薄膜トランジスタと、
キャパシタ電極が接続される複数のキャパシタ配線と、キャパシタ配線と直交する方向に延伸し、ソース電極が接続される複数のソース配線と
を含む薄膜トランジスタアレイであって、
キャパシタ電極および画素電極は平面視において少なくとも、半導体パターンとキャパシタ配線との間の領域、および半導体パターンと隣接する薄膜トランジスタとの間の領域に形成され、半導体パターンを弾く材料を含み、半導体パターンを挟
むとともに、半導体パターンとキャパシタ配線との間の領域、または半導体パターンと隣接する薄膜トランジスタとの間の領域においてキャパシタ電極および画素電極に重なるようにストライプ形状に形成された複数の撥液性絶縁層パターンとを備える薄膜トランジスタアレイである。
【0013】
また、撥液性絶縁層パターンがソース配線に直交するストライプ形状であってもよい。
【0014】
また、撥液性絶縁層パターンがソース配線に平行なストライプ形状であってもよい。
【0015】
また、半導体パターン上に保護層を有し、保護層が、撥液性絶縁層パターンと直交する方向で複数の半導体パターンにまたがるストライプ形状であってもよい。
【0017】
また、画素電極上に開口を有する層間絶縁膜と、層間絶縁膜上に開口を介して画素電極に接続された上部画素電極とをさらに有してもよい。
【0018】
また、本発明の他の局面は、上述の薄膜トランジスタアレイの製造方法であって、絶縁基板上に、
キャパシタ電極、ソース電極、ソース配線、ドレイン電極および画素電極を形成する工程と、画素電極および/またはソース配線の上に撥液性絶縁
層パターンを形成する工程と、半導体パターンを形成する材料を撥液性絶縁
層パターンに直交するストライプ形状に印刷することにより半導体パターンが形成される工程とを含み、半導体パターンの材料を印刷する工程において、半導体パターンを撥液性絶縁
層パターンに弾かせることによって、撥液性絶縁
層パターン間に独立し
、キャパシタ電極および画素電極と重ならない半導体パターンを形成する、薄膜トランジスタアレイの製造方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、画素電極および/またはソース配線の上に撥液性絶縁膜パターンを有することで、撥液性絶縁層パターン上にストライプ形状の半導体層を印刷しても、各画素に独立した半導体パターンを形成することができる。そのため、平面視で、キャパシタ電極および画素電極を、ゲート電極とキャパシタ配線の間の領域に形成することができるため、蓄積容量を大きくすることができる。また、パターニングが比較的単純であり、位置合せが容易なストライプ形状の半導体層を印刷するため、高いスループットとアライメント精度を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ100および薄膜トランジスタアレイ100を構成する薄膜トランジスタ101を
図1〜3に示す。
図1は、説明のため層間絶縁膜11と上部画素電極13とを省略して表した薄膜トランジスタアレイ100の平面図である。
図2および3は、同様に層間絶縁膜11と上部画素電極13を省略した、薄膜トランジスタアレイ100の1画素を構成する薄膜トランジスタ101の平面図および断面図である。
図2および3に示すように、本実施形態に係る薄膜トランジスタ101は、絶縁基板1上に、ゲート電極2およびゲート電極2に接続されたゲート配線3、ならびに、キャパシタ電極14およびキャパシタ電極14に接続されたキャパシタ配線15が積層される。その上には、ゲート絶縁膜4が積層され、ゲート絶縁膜4の上層には、上から見てゲート電極2と重なる領域に互いに間隙を有するソース電極5およびドレイン電極7が積層される。ドレイン電極7には、上から見てキャパシタ電極14と重なっている画素電極10が接続される。ソース電極5には、ソース配線6が接続される。画素電極10および/またはソース配線6の上には、後述する半導体層8’を形成する材料を弾く性質を有する撥液性絶縁膜16パターンが積層される。上から見て、ソース電極5とドレイン電極7との間隙に半導体パターン8が積層され、半導体パターン8を覆うように保護層9が積層される。また、
図1に示すように、薄膜トランジスタアレイ100では、撥液性絶縁膜16と保護層9が複数の薄膜トランジスタ101に渡ってストライプ形状に形成される。
【0022】
また、薄膜トランジスタ101においては、上から見て、ソース電極5およびドレイン電極7がクシ型形状に形成されている。実効的なチャネル幅を増やし、電流を増やすためにクシ型形状を選択したが、この形状に限定されるものではない。また、ドレイン電極7は1本の直線状となっている。これにより、ドレイン電極7のうち、ゲート電極2と重なりを有しかつチャネルを形成しない部分即ちチャネルまで給電するための部分が1本で済むため、ゲート・ドレイン間容量が小さくなり、ゲート電圧がオンからオフに変化する際の電圧変化が画素電位に影響する、いわゆるゲートフィールドスルー電圧を小さく抑えることができ、表示品質が良くなる。
【0023】
また、ゲート電極2、キャパシタ電極14、ソース電極5、ドレイン電極7、画素電極10のパターンは多角形状や曲線状等が考えられるが、先端は丸くなっていることが望ましい。これにより、駆動時に電界集中がなく、半導体8パターンやゲート絶縁膜4の劣化を抑えることができる。また、電極間の間隔が広くなるため、電極間ショートを抑制することができる(
図2に記載の電極パターンは多角形形状とした)。
【0024】
また、撥液性絶縁層16パターンがゲート配線3に平行なストライプ形状をしており、複数画素にまたがるように形成されている。これにより、半導体層8’を撥液性絶縁層16パターンに直交するストライプ形状に印刷しても、撥液性絶縁層16上では半導体8’が弾かれて形成されず、各画素に独立した半導体パターン8を形成することができる。そのため、各トランジスタに独立した半導体パターン8の形成および位置合せが容易となる。比較的単純であるストライプ形状のパターンニングは容易であり、ゲート配線3に平行な方向に位置ずれしても影響がないので位置合せも容易である。
【0025】
また、撥液性絶縁層16上では半導体層8’が弾かれることから、撥液性絶縁層16の下層にキャパシタ電極14および画素電極10を形成することで、半導体パターン8を、キャパシタ電極および画素電極と重ならないように形成することができる。このため、薄膜トランジスタ101中の半導体パターン8が形成されない箇所(非トランジスタ部)をほぼすべて蓄積容量として用いることができ、蓄積容量を大きくすることができる。また、画素電極10上に半導体パターン8が形成されることによりソース電極5と画素電極10の間でオフ状態においても電流が流れてしまい、オンオフ比が小さくなるという問題を回避できる。
【0026】
さらに、保護層9は、撥液性絶縁層16パターンと直交する方向(ゲート配線3と直交する方向)に複数画素に渡って連続して形成されたストライプ形状である。これにより、保護層9の形成および位置合せが容易となる。比較的単純であるストライプ形状のパターンニングは容易であり、ゲート配線3に平行な方向に位置ずれしても影響がないので位置合せも容易である。
【0027】
絶縁基板1としてはフレキシブルな基板を用いることが望ましい。一般的に用いられる基板1の材料として、例えばポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」という場合がある)やポリイミド、ポリエーテルスルホン(以下、「PES」という場合がある)、ポリエチレンナフタレート(以下、「PEN」という場合がある)、ポリカーボネートなどのプラスチック材料が挙げられる。石英などのガラス基板1やシリコンウェハなども絶縁基板1として用いることは可能であるが、薄型化、軽量化、フレキシブル化を考慮するとプラスチック基板が好ましい。また、各製造プロセスに用いられる温度などを考慮すると、基板1としてPENやポリイミドなどを用いることが望ましい。
【0028】
電極の材料として用いられる材料は特に限定されるものではないが、一般的に用いられる材料には金、白金、ニッケル、インジウム錫酸化物などの金属あるいは酸化物の薄膜若しくはポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS)やポリアニリンなどの導電性高分子や金や銀、ニッケルなどの金属コロイド粒子を分散させた溶液若しくは銀などの金属粒子を導電材料として用いた厚膜ペーストなどがある。また、電極の形成方法としては特に限定されるものではなく、蒸着やスパッタなどの乾式成膜法であってもよい。しかしながら、フレキシブル化、低コスト化などを考慮するとスクリーン印刷、反転オフセット印刷、凸版印刷、フレキソ印刷、インクジェット法などの湿式成膜法により形成することが望ましい。また、電極パターンの丸みの程度としては、曲率半径2μm以上が好適であり、さらには5μm以上が好適である。しかし、曲率半径はいくらでも大きくできるわけではなく、パターンを形成する必要から、一般的には画素サイズの1/10程度が上限である。
【0029】
ゲート絶縁膜4として用いられる材料は特に限定されるものではないが、一般的に用いられる材料にはポリビニルフェノール、ポリメタクリル酸メチル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、エポキシ樹脂などの高分子溶液、アルミナやシリカゲルなどの粒子を分散させた溶液などがある。また、PETやPEN、PESなどの薄膜フィルムをゲート絶縁膜4として用いてもよい。
【0030】
撥液性絶縁層16として用いられる材料は特に限定されるものではないが、撥液性絶縁層16上に印刷された半導体層8’の材料を弾く材料である。例えば、上記ゲート絶縁膜4材料に撥水性や撥油性の高いフッ素およびフッ素を含む置換基やシロキサン基を側鎖又は主鎖に含むオリゴマーもしくはポリマーを加えた材料などを用いることができる。撥水性や撥油性材料の例として、長鎖フルオロアルキルシラン、加水分解性基含有シロキサン、フルオロアルキル基含有オリゴマーなどがある。
【0031】
半導体層8’および半導体パターン8として用いられる材料は特に限定されるものではないが、一般に用いられる材料にはポリチオフェン、ポリアリルアミン、フルオレンビチオフェン共重合体、およびそれらの誘導体のような高分子系有機半導体材料、およびペンタセン、テトラセン、銅フタロシアニン、ペリレン、およびそれらの誘導体のような低分子系有機半導体材料がある。しかしながら、低コスト化、フレキシブル化、大面積化を考慮すると印刷法が適用できる有機半導体材料を用いることが望ましい。また、カーボンナノチューブあるいはフラーレンなどの炭素化合物や半導体ナノ粒子分散液なども半導体材料として用いてもよい。
【0032】
有機半導体材料を用いて半導体層8’を形成する印刷方法としては、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷およびインクジェット法など、公知の方法を用いることが出来る。一般的に、上記の有機半導体材料は、溶媒に対する溶解度が低いため、低粘度溶液の印刷に適した凸版印刷、フレキソ印刷、反転オフセット印刷、インクジェット法、ディスペンサ法を用いることが望ましい。特に凸版印刷は、印刷時間が短くインク使用量が少ないので最も好ましく、且つストライプの形状の印刷に適している。半導体層8’をストライプ形状とすることで、アニロックスの凹凸による膜厚のばらつきの分布がストライプ形状内では平均化されて半導体層8’の膜厚が一定となり、TFT特性を均一化できる。
【0033】
保護層9として用いられる材料は特に限定されるものではないが、一般にはフッ素系樹脂、シリコン系樹脂などがある。保護層9を形成する印刷方法としては、凸版印刷、フレキソ印刷、反転オフセット印刷、インクジェット法、ディスペンサ法など、公知の方法を用いることが出来る。
【0034】
層間絶縁膜11として用いられる材料は特に限定されるものではないが、一般に用いられる材料にはポリビニルフェノール、ポリメタクリル酸メチル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、エポキシ樹脂などの有機材料がある。層形成に際しては凸版印刷、反転オフセット印刷、インクジェット、スクリーン印刷、スプレーコート、スピンコート等公知の方法を好適に用いることができるが、フレキシブル化、低コスト化などを考慮すると印刷法で形成することが好ましい。また、薄膜トランジスタのソース配線6、ソース電極5から上部画素電極13への電圧の影響を減少させるために、比較的厚膜にする必要があるのでスクリーン印刷が好ましい。
【0035】
上部画素電極13として用いられる材料は特に限定されるものではないが、白金、ニッケル、インジウム錫酸化物などの金属、或いは酸化物の薄若しくはポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS)やポリアニリンなどの導電性高分子や金や銀、ニッケルなどの金属コロイド粒子を分散させた溶液、若しくは銀などの金属粒子を導電材料として用いた厚膜ペーストなどがある。また、形成方法としては特に限定されるものではなく、真空蒸着法やスパッタリングほうなどの乾式成膜法も考えられる。しかしながら、フレキシブル化、低コスト化などを考慮するとスクリーン印刷、反転オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット法などの印刷法で形成することが望ましい。
【0036】
薄膜トランジスタアレイ100をディスプレイの画像表示基板に用いるに際して、基板の種類は特に限定されるものではないが、例えば、電気泳動型ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどがある。
【0037】
尚、薄膜トランジスタアレイ100には、必要に応じてガスバリア層、平坦化膜などを形成してもよい。
【0038】
また、薄膜トランジスタアレイにおいて、ソース・ドレインの呼称は便宜上のものであり、逆に呼んでもよい。薄膜トランジスタアレイ100おいては、ソース配線6に接続された電極をソース電極5とし、画素電極10に接続された電極をドレイン電極7と呼んでいる。
【0039】
(薄膜トランジスタアレイの製造方法)
次に、薄膜トランジスタアレイ100の製造方法を説明する。説明のために、
図4Aおよび4Bには、1画素分の薄膜トランジスタ101を示す。
【0040】
まず、絶縁基板1上にゲート電極2・ゲート配線3・キャパシタ電極14・キャパシタ配線15を形成する(
図4Aの(a))。次に、その上にゲート絶縁膜4を形成する(
図4Aの(b))。さらに、ソース電極5・ソース配線6・ドレイン電極7・画素電極10を形成する(
図4Aの(c))。次に、画素電極10および/またはソース配線6の上に、ゲート配線3に平行なストライプ形状にて撥液性絶縁膜16を形成する(
図4Aの(d))。次に、少なくともソース電極5とドレイン電極7との間に半導体パターン8を形成する。半導体パターン8の形成に際しては、初めに半導体層8’が、図に点線で示すように、ソース配線6に平行なストライプ形状にて形成されるが、撥液性絶縁膜16上では半導体層8’が弾かれるため、各画素に独立した半導体パターン8になる(
図4Bの(e))。次に、半導体パターン8を覆うように、ソース配線6に平行なストライプ形状にて保護層9を形成する(
図4Bの(f))。このとき、撥液性絶縁膜16や保護層9は複数の画素に渡って連続して形成されていることが望ましい。次に、画素電極10上に穴12を有する層間絶縁膜11を形成する(
図4Bの(g))。最後に、層間絶縁膜11の穴12を通じて画素電極10に接続される上部画素電極13を形成する(
図4Bの(h))。このように、パターニングが比較的単純であり、位置合せが容易なストライプ形状の半導体層8’を印刷するため、高いスループットとアライメント精度を実現することができる。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ200および薄膜トランジスタアレイ200を構成する薄膜トランジスタ201を
図5および6に示す。
図5および6は、説明のために層間絶縁膜11と上部画素電極13とを省略して表した、薄膜トランジスタアレイ200およびその1画素部分である薄膜トランジスタ201を示す平面図である。薄膜トランジスタアレイ200は、薄膜トランジスタアレイ101とほぼ同様であるが、撥液性絶縁膜16パターンの形成場所が異なる。すなわち、撥液性絶縁膜16パターンがソース配線6に平行なストライプ形状をしており、複数画素にまたがるように形成されている。これにより、半導体層8を’ストライプ形状に印刷しても、撥液性絶縁膜16上には半導体層8’が弾かれて形成されず、各画素に独立した半導体パターン8を形成することができる。そのため、各画素に独立した半導体パターンの形成および位置合せが容易となる。単純であるストライプ形状のパターンニングは容易であり、ゲート配線3に平行な方向に位置ずれしても影響がないので位置合せも容易である。
【0042】
(第3および4の実施形態)
次に、本発明の第3および4の実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ300および400とそれらを構成する薄膜トランジスタ301および401を
図7〜10に示す。
図7〜10も、説明のために層間絶縁膜11と上部画素電極13と省略して表す。
図7および8は、薄膜トランジスタアレイ300およびその1画素部分の薄膜トランジスタ301を示す平面図である。また、
図9および10は、薄膜トランジスタアレイ400およびその1画素部分の薄膜トランジスタ401を示す平面図である。薄膜トランジスタ301および薄膜トランジスタ401は、薄膜トランジスタ201とほぼ同様であるが、画素電極10の形状が異なる。また、薄膜トランジスタ401では、ソース電極5の一部およびドレイン電極7がL字型形状をしている。これらの形状に限定される必要はないが、ドレイン電極7と画素電極10がそれぞれゲート電極2およびキャパシタ電極14に重なっていない部分は半導体パターン8に重なっていないことが望ましい。ゲート電極およびキャパシタ電極の電圧比によるオフ時に流れる電流の制御が不可能となり、オンオフ比の低下につながるためである。
【0043】
薄膜トランジスタアレイ200、300、400のそれぞれは、撥液性絶縁膜16と保護層9が複数の薄膜トランジスタ201、301、401に渡ってストライプ形状をしている。
【実施例】
【0044】
(実施例1)
本発明の実施例1について、
図1を用いて説明する。
【0045】
絶縁基板1としてポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムを用いた。PEN基板上に銀インクを転写印刷し、180℃で1時間乾燥させ、膜厚100nmのゲート電極2、ゲート配線3、キャパシタ電極14、キャパシタ配線15を得た。
【0046】
次に、ポリビニルフェノールをダイコータにより塗布し、180℃で1時間乾燥させてゲート絶縁膜4を形成した。
【0047】
ゲート絶縁膜4上に銀インクを転写印刷し、180℃で1時間乾燥させ、膜厚100nmのソース電極5、ソース配線6、ドレイン電極7、画素電極10を得た。
【0048】
撥液性絶縁層16として、ポリイミドに長鎖フルオロアルキルシランを1.0重量%加えた溶液を用いた。また、凸版として感光性樹脂凸版を用いた。そして、ゲート電極2以外の領域に対し、150線のアニロックスロールを用いて凸版印刷によりゲート配線3に平行な方向にストライプパターンの印刷を行い、100℃で60分乾燥させて撥液性絶縁層16を形成した。
【0049】
半導体層8’の材料としてTIPSペンタセンをテトラリンで1.0重量%になるように溶解した溶液を用いた。また、凸版として感光性樹脂凸版を用いた。そして、150線のアニロックスロールを用いて凸版印刷によりソース配線6に沿ったストライプ形状の半導体層8’を印刷した。その際、撥液性絶縁層16上の半導体層8’は弾かれて、各画素に独立した長方形状の半導体パターン8を得た。その後、100℃で60分乾燥させて半導体パターン8を形成した。
【0050】
保護層9の材料として含フッ素化合物であるフッ素系樹脂を用いた。半導体パターン8を覆い、かつソース配線6に平行な方向のストライプパターンを、150線のアニロックスロールを用いて凸版印刷により形成し、90℃で2時間真空乾燥し、保護層9を形成した。
【0051】
層間絶縁膜11としては、エポキシ樹脂材料のペーストを用い、スクリーン印刷により形成し、100℃で60分焼成することにより形成した。
【0052】
上部画素電極13としては、銀ペーストを用い、スクリーン印刷により形成し、100℃で60分焼成することにより形成した。
【0053】
こうして作製した薄膜トランジスタと透明電極を有するPET基板との間に電気泳動体を挟み、所定の駆動波形を印加することにより、蓄積容量が大きく、クロストークのない良好な表示が得られた。また、消費電力が小さく、劣化しにくいディスプレイが得られた。
【0054】
(実施例2)
本発明の実施例2について、
図5を用いて説明する。
【0055】
絶縁基板1としてポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムを用いた。PEN基板上に銀インクを転写印刷し、180℃で1時間乾燥させ、膜厚100nmのゲート電極2、ゲート配線3、キャパシタ電極14、キャパシタ配線15を得た。
【0056】
次に、ポリビニルフェノールをダイコータにより塗布し、180℃で1時間乾燥させてゲート絶縁膜4を形成した。
【0057】
ゲート絶縁膜4上に銀インクを転写印刷し、180℃で1時間乾燥させ、膜厚100nmのソース電極5、ソース配線6、ドレイン電極7、画素電極10を得た。
【0058】
撥液性絶縁層16として、ポリイミドに長鎖フルオロアルキルシランを1.0重量%加えた溶液を用いた。また、凸版として感光性樹脂凸版を用いた。そして、ゲート電極2以外の領域に対し、150線のアニロックスロールを用いて凸版印刷によりソース配線6に沿ったストライプパターンの印刷を行い、100℃で60分乾燥させて撥液性絶縁層16を形成した。
【0059】
半導体層8’の材料としてTIPSペンタセンをテトラリンで1.0重量%になるように溶解した溶液を用いた。また、凸版として感光性樹脂凸版を用いた。そして、150線のアニロックスロールを用いて凸版印刷によりゲート配線3に平行なストライプ形状の半導体層8’を印刷した。その際、撥液性絶縁膜16上の半導体層8’は弾かれて、各画素に独立した長方形状の半導体パターン8を得た。その後、100℃で60分乾燥させて半導体パターン8を形成した。
【0060】
保護層9の材料として含フッ素化合物であるフッ素系樹脂を用いた。そして、半導体パターン8を覆い、かつゲート配線3に平行な方向のストライプパターンを、150線のアニロックスロールを用いて凸版印刷により形成し、90℃で2時間真空乾燥し、保護層9を形成した。
【0061】
層間絶縁膜11としては、エポキシ樹脂材料のペーストを用い、スクリーン印刷により形成し、100℃で60分焼成することにより形成した。
【0062】
上部画素電極13としては、銀ペーストを用い、スクリーン印刷により形成し、100℃で60分焼成することにより形成した。
【0063】
こうして作製した薄膜トランジスタと透明電極を有するPET基板との間に電気泳動体を挟み、所定の駆動波形を印加することにより、蓄積容量が大きく、クロストークのない良好な表示が得られた。また、消費電力が小さく、劣化しにくいディスプレイが得られた。
【0064】
(比較例1)
絶縁基板1としてポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムを用いた。PEN基板上に銀インクを転写印刷し、180℃で1時間乾燥させ、膜厚100nmのゲート電極2、ゲート配線3、キャパシタ電極14、キャパシタ配線15を得た。
【0065】
次に、ポリビニルフェノールをダイコータにより塗布し、180℃で1時間乾燥させてゲート絶縁膜4を形成した。
【0066】
ゲート絶縁膜4上に銀インクを転写印刷し、180℃で1時間乾燥させ、膜厚100nmのソース電極5、ソース配線6、ドレイン電極7、画素電極10を得た。
【0067】
半導体層8’の材料としてTIPSペンタセンをテトラリンで1.0重量%になるように溶解した溶液を用いた。また、凸版として感光性樹脂凸版を用いた。そして、150線のアニロックスロールを用いて凸版印刷によりゲート配線3に平行なストライプパターンの半導体層8’を印刷した。その後、100℃で60分乾燥させて半導体層8’を形成した。
【0068】
保護層9の材料として含フッ素化合物であるフッ素系樹脂を用いた。そして、半導体層8を覆い、かつゲート配線3に平行な方向のストライプパターンを、150線のアニロックスロールを用いて凸版印刷により形成し、90℃で2時間真空乾燥し、保護層9を形成した。
【0069】
層間絶縁膜11としては、エポキシ樹脂材料のペーストを用い、スクリーン印刷により形成し、100℃で60分焼成することにより形成した。
【0070】
上部画素電極13としては、銀ペーストを用い、スクリーン印刷により形成し、100℃で60分焼成することにより形成した。
【0071】
こうして作製した薄膜トランジスタと透明電極を有するPET基板との間に電気泳動体を挟み、所定の駆動波形を印加した。その結果、隣接画素のソース配線6・ドレイン電極7間に電流が流れてゲート配線3方向にクロストークが発生した。また、消費電力が大きくなっていた。