(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
【0012】
図1は、本発明によるボタン電話システムの構成を示す図である。
【0013】
主装置2は、外線インタフェース部21を介して電話回線1a〜1cと接続され、内線電話機3a〜3nは、主装置インタフェース部31を介して主装置2の内線インタフェース部23に接続されている。
【0014】
内線電話機3a〜3nは、音声信号を入出力する送受話器(ハンドセット)33と、主装置2が送信した情報記憶部26に記憶された情報を表示する表示器34と、電話番号を入力するダイヤルボタン35と、外線状態を制御する回線ボタン36と、各種機能にアクセスする機能ボタン37と、回線ボタン36の押下時間や押下間隔、またはその組み合わせ(以下、「操作パターン」という)を特定する操作パターン特定部38と、各部を制御する端末制御部32とから構成されている。
【0015】
尚、回線ボタン36と機能ボタン37は、いずれも任意に割り付け可能なフレキシブルキーに相当するもので、この内、個々の回線に対応付けられたものを回線ボタン36として区分している。
【0016】
主装置2は、電話回線1a〜1cと接続する外線インタフェース部21と、内線電話機と接続する内線インタフェース部23と、録音された用件(メッセージ情報)や発着信履歴(通信履歴情報)や設定情報などを記録する情報記憶部26と、現在実行中の機能種別を記憶する実行中機能種別記憶部25と、内線電話機の回線ボタンの操作パターンと呼状態(回線状態など)と実行中機能種別記憶部25に記憶された実行中の機能種別から実行する機能種別を決定する実行機能種別決定部24と、各部を制御する主制御部22から構成されている。
【0017】
尚、本実施例の実行機能種別決定部24は、
図4または
図5に示す状態マトリクスとして構成しているが、処理フローとして構成してもよい。
【0018】
内線電話機2の端末制御部は、機能ボタン37やダイヤルボタン35が操作されたことを検知すると、操作されたボタンに対応したボタン押下コードを、主装置インタフェース部31を介して主装置2の主制御部22に送信する。また回線ボタン36が操作されたことを検知すると、操作パターン特定部38から回線ボタンの操作パターン(本実施例では、「短押し」、「2回押し」、「長押し」として説明する)を識別した結果を取得し、同様に主装置2の主制御部22にボタン押下コードを送信する。
【0019】
主装置2の主制御部22は、内線インタフェース部23を介して、内線電話機3a〜3nからのボタン押下コードを受信すると、受信したボタン押下コードに対応して回線1a〜1cの捕捉や内線電話機3a〜3nに対して所定の情報送信を行う。
【0020】
このとき、受信したボタン押下コードが回線ボタン36に属するものであった場合には、実行機能種別決定部24を参照して、回線の捕捉動作か情報の読み出し動作かを決定し、該決定した動作を実行すると共に、実行した動作に係る機能種別(情報種別)を実行中機能種別記憶部25に記憶する。
【0021】
また、主制御部22は、前記決定した機能種別に対応する情報である用件データ(メッセージ情報)や発着信履歴(通信履歴情報)や設定情報を情報記憶部26から読み出し、内線インタフェース部23を介して内線電話機3a〜3nに送信する。
【0022】
尚、主装置インタフェース部31を介して当該情報を受信した内線電話機の端末制御部32は、表示器34や送受話器33から提示する。
【0023】
図2は、内線電話機のボタン割り付けの一例を示す図である。
【0024】
図示するように内線電話機3には、ダイヤルボタン35、個々の回線に対応付けられた回線ボタン36a/36b/36c、所定の種別の情報の読み出しを要求する機能ボタン37a/37b、読み出す情報の選択に用いる機能ボタン37c/37d/37e、主装置2から受信した、外線や内線を示す回線番号や情報種別や受信した情報を表示する表示器34などが割り付けられている。
【0025】
一般に、着信状態や通話状態や保留状態でない空きの回線ボタンを押下すると、外線を捕捉して発信状態となり、表示器34に捕捉した回線番号と以後ダイヤルボタン35で入力された電話番号が表示される。
【0026】
また、着信状態にある回線ボタンを押下するとその着信への応答を予約(プリセレクション機能が実行)され、表示器34に発信者情報が表示される。
【0027】
また、着信履歴ボタン37aを押下すると、着信履歴情報表示機能が実行され、表示器34に過去に電話をかけてきた人の名称や電話番号などが表示される。
【0028】
また、録音/再生ボタン37bを押下すると、通話録音や留守録などの用件データ再生機能が実行され、表示器34に再生可能な用件データの選択画面(用件リスト)が表示される。
【0029】
また着信履歴や用件データの選択肢が表示されている状態で、上ボタン37cや下ボタン37dを押下して所望の内容を選択した後、決定ボタン37eを押下すると、該選択した相手先への発信や用件データの再生が行われる。
【0030】
これまで、回線ボタン毎に着信履歴の確認や用件データの再生を行う場合には、着信履歴ボタン37aや録音/再生ボタン37bを押下した後、上ボタン37cや下ボタン37dを押下して所望の回線を指定することにより、指定した回線に対応した情報を得ていた。また、別の回線について同じ種類の情報を得る際にも、再度機能ボタンを何回か操作して情報を得る必要があった。
【0031】
例えば、従来の構成のボタン電話システムを多数の契約者回線(外線)を扱う秘書代行業務を行う事業者などに適用して、異なる複数(例として2つの)の回線毎に録音された用件データを再生しようとする場合、次に示す手順で操作することになる。
【0032】
手順1:録音/再生ボタン37bを押下する。(回線の選択画面が表示される)
手順2:上ボタン37cまたは下ボタン37dを押下して、第一の回線を指定する。(第一の回線に対応する用件データリストが表示される)
手順3:上ボタン37cまたは下ボタン37dを押下して、再生する用件データを指定する。
手順4:決定ボタン37eを押下することにより、用件データの再生が開始される。
手順5:用件データを聴取後、上ボタン37cまたは下ボタン37dを押下して、次に再生する用件データを指定する。
手順6:再度決定ボタン37eを押下することにより、指定した用件データの再生が開始される。
手順7:用件データを聴取後、上記手順5〜6の操作を繰り返し、残りの用件データの再生を行う。
手順8:第一の回線に係る用件データの再生を終えた後、録音/再生ボタン37bを押下する。(回線の選択画面が表示される)
手順9:上ボタン37cまたは下ボタン37dを何回か押下して、第二の回線を指定する。(第二の回線に対応する用件データリストが表示される)
手順10:上ボタン37cまたは下ボタン37dを押下して、再生する用件データを指定する。
手順11:決定ボタン37eを押下することにより、指定した用件データの再生が開始される。
手順12:用件データを聴取後、上ボタン37cまたは下ボタン37dを押下して、次に再生する用件データを指定する。
手順13:再度決定ボタン37eを押下することにより、指定した用件データの再生が開始される。
手順14:用件データを聴取後、上記手順12〜13の操作を繰り返し、残りの回線に係る用件データの再生を行う。
【0033】
このように、従来の構成では、各ボタンの役割が独立していることから、他の回線に対して同種の情報を読み出すために多くの操作手順をこなす必要があるといった不都合があった。
【0034】
これに対して本発明では、
図3〜
図4で説明する処理手段を講じることによって、例えば、第一の回線ボタンを長押しすると、第一の回線に対応して記録された用件データを再生するための選択画面(用件リスト)を表示し、その状態から別の(第二の)回線ボタンを押下すると、同様に第二の回線に対応して記録された用件データを再生するための選択画面(用件リスト)を表示するなど、機能ボタン数の削減と操作手順の省略を可能としている。
【0035】
例えば、前述の秘書代行業務を行う事業者などが本発明によるボタン電話システムを利用して、異なる複数(例として2つの)の回線や相手先毎に録音された用件データを再生する場合、次に示す手順のように少ない操作で実現できる。
【0036】
手順1):第一の回線ボタン36aを1秒間継続押下(長押し)する。(第一の回線に対応する用件データリストが表示される)
手順2):上ボタン37cまたは下ボタン37dを押下して、再生する用件データを指定する。
手順3):決定ボタン37eを押下することにより、指定した用件データの再生が開始される。
手順4):用件データを聴取後、再度決定ボタン37eを押下すると、手順3)で指定した用件データリストの1つ前または1つ後の用件データの再生が開始される。
手順5):用件データを聴取後、上記手順4の操作を繰り返し、残りの用件データの再生を行う。
手順6):第一の回線に係る用件データの再生を終えた後、第二の回線ボタン36bを1回押下する。(第二の回線に対応する用件データリストが表示される)
手順7):上ボタン37cまたは下ボタン37dを押下して、再生する用件データを指定する。
手順8):決定ボタン37eを押下することにより、用件データの再生が開始される。
手順9):用件データを聴取後、再度決定ボタン37eを押下すると、手順7)で指定した用件データリストの1つ前または1つ後の用件データの再生が開始される。
手順10):用件データを聴取後、第3以降の回線ボタン(例えば回線ボタン36c)を押下して、上記手順7)以降の操作を繰り返しことにより、残りの回線に係る用件データの再生を行う。
【0037】
このように、従来のボタン電話システムでは14の手順を要したのに対して、本発明によるボタン電話システムでは10の手順で済むよう操作が省略できる。
【0038】
また、この手順数の差分は、繰り返す回線の数が増えるに比例して増え、更に作業時間の短縮ができ、作業効率の向上に貢献できる。
【0039】
また手順1)で示したように回線ボタンの押下時間の長短を変えて、通常の回線捕捉と用件データ再生とを切り替えることにより、専用の着信履歴ボタンや37a録音/再生ボタン37bを設けなくても済むといった効果も得られる。
【0040】
図3は、回線ボタン押下の検知結果から所定の機能を実行する処理フローである。
【0041】
本フローは、ボタン電話システム(主装置2と各内線電話機3a〜3n)に電源が投入され、起動した時点(待機中状態)から開始される。
【0042】
主装置2の主制御部22が、内線インタフェース部23を介して内線電話機3のダイヤルボタン35または回線ボタン36または機能ボタン37が操作されたことを検知していないとき(S201,No)、回線捕捉や情報読み出しなどの機能実行を継続するか否かを判断する機能実行継続監視タイマを検査し、該タイマが満了と判断した場合には(S202,Yes)、実行中機能種別記憶部25に記憶された実行中の機能種別に関する情報をクリアし、内線電話機3に対する情報の送信を終了して(S203)、ステップ201に戻る。
【0043】
次に、内線インタフェース部23を介して内線電話機3のダイヤルボタン35または回線ボタン36または機能ボタン37が操作されたことを検知し(S201,Yes)、操作されたボタンが回線ボタン36であった場合には(S204,Yes)、実行機能種別決定部24(詳細は、
図4または
図5に示す)を参照して、実行中機能種別記憶部25から取得した現在実行中の機能種別と、内線電話機3から検出した操作パターンと、操作した回線ボタンに対応する外線の呼状態から実行すべき機能種別を決定し、該決定した機能を実行し、該実行した機能に係る情報を、情報記憶部26から読み出し、内線インタフェース部23を介して操作を行った内線電話機3に送信する(S205)。
【0044】
尚、図示しないが、主装置インタフェース部31を介して当該情報を受信した内線電話機3の端末制御部32は、送受話器33や表示器34に対して、受信した情報を提示する。
尚、ステップ205において、直前の回線に対応するメッセージ情報の再生処理や設定情報の登録処理が完了していない場合に、次の回線に対応する情報送信要求を予約し、前記処理の完了を待って次の回線に対する情報送信を開始してもよい。
【0045】
次に、有効な種別の機能を実行できた場合(S206,Yes)、実行中機能種別記憶部25に前記実行した機能種別情報を記憶し(S207)、機能実行継続監視タイマを開始して(S209)、ステップ201に戻る。
【0046】
また有効な機能を実行できなかった(実行する機能種別が存在しない)場合(S206,No)、次の操作を待つため、ステップ201に戻る。
【0047】
尚、実行中の機能種別情報は、起動したサービスの種類(サービス名称)や情報の階層などを示すもので、実行機能種別決定部24において、他の回線ボタンが操作された場合に同じ種類のサービスや同じ階層の情報を特定するために用いられる。
【0048】
またステップ204において、回線ボタン以外の機能ボタンが操作された場合(S204,No)、現在実行中または所定の機能に係る所定の処理(候補の選択など)を実行し(S208)、機能実行継続監視タイマを開始して(S209)、ステップ201に戻る。
【0049】
尚、本実施例では、外線に対応付けられた回線ボタンを操作した場合を対象として説明しているが、内線に対応付けられた回線ボタンまたはその他の機能ボタンが操作された場合にも適用してもよい。
【0050】
図4は、実行機能種別決定部の内容を示す図である。
【0051】
主装置2の実行機能種別決定部24は、本図に示すような状態マトリクスTB1で構成されている。このマトリクスは、現在実行中の機能種別V101と、回線ボタンの操作パターンV102と、操作した回線ボタンに対応する外線の呼状態V103〜V106と、実行すべき機能種別V111〜V153とが対応付けられて記録されている。
【0052】
図3のステップ205において、主制御部22は、実行中機能種別記憶部25から取得した現在実行中の機能種別と、内線電話機3から検出した操作パターンと、操作した回線ボタンに対応する外線の呼状態から本マトリクスを参照して、実行すべき機能種別を決定する。
【0053】
例えば、現在実行中の機能種別がなしの状態で、回線ボタンの短押しを検知すると、回線ボタンに対応する外線の呼状態が空きであれば、発信のための「回線捕捉」機能が選択される。また、現在実行中の機能種別がなしの状態で、回線ボタンの長押しを検知すると、回線ボタンに対応する外線の呼状態が空きであれば、「用件再生」機能が選択される。また、第一の回線ボタンについて「通信履歴表示」機能が実行されている状態で、第二の回線ボタンの短押しを検知すると、第二の外線の呼状態が空きであれば、第一の回線ボタンに対して実行していた機能種別と同じ「通信履歴表示」機能が選択される。
【0054】
尚、
図4における網掛け部分は、第一の回線ボタンに対して実行していた機能種別と同じものを、第二の回線ボタンに対しても適用(実行)するケースを示したものである。
【0055】
尚、
図4では、例として回線ボタンと外線の呼状態と実行する機能種別との対応関係を示しているが、回線ボタンの他に、上ボタン37c、下ボタン37d、決定ボタン37eなどの機能ボタンについて実行する機能種別や次の候補選択方法などの動作を規定してもよい。
【0056】
図5は、回線ボタン押下の検知および対応機能の実行を規制した実行機能種別決定部の一例を示す図である。
【0057】
図4と同様に、現在実行中の機能種別V201と、回線ボタンの操作パターンV202と、操作した回線ボタンに対応する外線の呼状態V203〜V206と、実行すべき機能種別V210〜V250とが対応付けられて記録されているマトリクスTB2として構成されているが、
図4と異なり、回線ボタンの操作パターンV202において複数の操作パターンを認識することが規制されており、また第一の回線ボタンに対して「通信履歴表示」機能や「用件再生」機能が実行されている状態から第二の回線ボタンが操作された場合、第一の回線ボタンに対して実行されていたものと同じ種別の機能を実行しない(V240やV250を実行する)よう規制されていることを示す。
【0058】
尚、主制御部22が、実行機能種別決定部24の内容として、
図4(TB1)か
図5(TB2)のいずれのマトリクスを用いるかを、予めデータ設定等で定めてもよく、各外線や内線の状況や情報記憶部26の状況などを判断して定めてもよい。
【0059】
また本実施例は、
図4と
図5を用いて、操作パターンに応じて実行する機能種別との対応関係や各機能の実行可否を切り替える例を示しているが、操作パターン特定部において、検出した操作パターンを複数のパターン区分のイベントとして送信するか否かを切り替えてもよい。
【0060】
尚、本実施例では、ボタン電話システムの主装置と自主装置に接続される内線電話機とを組み合わせて実現する構成として示しているが、両者の処理機能を統合して1台の通信端末として構成してもよい。