(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、媒体を誘導する誘導板と、色見本を保持した保持体とを衝突させずに、媒体に形成された画像と、色見本とをそれぞれ読取手段に読取位置で読取らせる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る画像読取装置は、第1の位置と第2の位置とに移動可能であり、前記第1の位置にあるときに一方の側で媒体を誘導する誘導板と、前記媒体が誘導される方向に交差する軸を中心に回転可能であり、第1側面および該第1側面よりも曲率の大きい面を有する第2側面を有し、前記第2側面に複数の色見本を保持する保持体と、前記誘導板が誘導した前記媒体に形成された画像を読取位置で読取る読取手段と、前記誘導板が前記第1の位置にあるときに該誘導板の他方の側と前記第1側面とが対向するようにし、前記誘導板が前記第2の位置にあるときに、前記色見本が前記読取位置に移動するように前記保持体を回転させる回転手段と、を有することを特徴とする。
本発明の請求項2に係る画像読取装置は、請求項1に記載の態様において、前記誘導板は、前記媒体を前記読取位置へ搬送する搬送部材を有し、前記色見本が前記読取位置に移動するときに当該搬送部材を伴って前記第2の位置に移動することを特徴とする。
本発明の請求項3に係る画像読取装置は、請求項2に記載の態様において、前記搬送部材の少なくとも一部は、前記誘導板が前記第1の位置にあるときに、前記保持体の前記第1側面と対向することを特徴とする。
本発明の請求項4に係る画像読取装置は、請求項1から3のいずれか1項に記載の態様において、前記回転手段は、前記保持体が回転すると衝突する空間に前記誘導板があるときに、当該保持体を回転させないことを特徴とする。
本発明の請求項5に係る画像読取装置は、請求項4に記載の態様において、前記保持体が回転すると衝突する空間に前記誘導板があるときに、当該保持体の回転を規制する第1規制部材を有することを特徴とする。
本発明の請求項6に係る画像読取装置は、請求項1から5のいずれか1項に記載の態様において、前記誘導板が前記第1の位置に向けて移動すると衝突する空間に前記保持体があるときに、当該誘導板を移動させないことを特徴とする。
本発明の請求項7に係る画像読取装置は、請求項6に記載の態様において、前記誘導板が前記第1の位置に向けて移動すると衝突する空間に前記保持体があるときに、当該誘導板の移動を規制する第2規制部材を有することを特徴とする。
本発明の請求項8に係る画像読取装置は、請求項1から7のいずれか1項に記載の態様において、前記回転手段は、前記誘導板が前記第1の位置から前記第2の位置へ移動する途中で、前記複数の色見本が前記読取位置に移動するように前記保持体を回転させはじめることを特徴とする。
本発明の請求項9に係る画像読取装置は、請求項1から8のいずれか1項に記載の態様において、前記回転手段は、前記誘導板が前記第2の位置から前記第1の位置へ移動する途中で、前記複数の色見本が前記読取位置から離れるように前記保持体を回転させはじめることを特徴とする。
本発明の請求項10に係る画像読取装置は、請求項1から9のいずれか1項に記載の態様において、前記読取手段は、前記回転手段により回転させられているときの前記保持体に保持された前記複数の色見本を読取ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に係る発明によれば、媒体を誘導する誘導板と、色見本を保持した保持体とを衝突させずに、媒体に形成された画像と、色見本とをそれぞれ読取手段に読取位置で読取らせることができる。
請求項2に係る発明によれば、搬送部材がない場合に比べて、誘導板の上にある媒体は読取位置へ搬送され易い。
請求項3に係る発明によれば、保持体が回転により移動する可能性のある空間の外側に搬送部材が配置される場合に比べて、搬送方向に並んだ搬送部材の間隔を近づけることができ、搬送可能な媒体の搬送方向の長さの下限を短くすることができる。
請求項4に係る発明によれば、誘導板の少なくとも一部が、保持体と衝突し得る空間に留まっているとき、保持体が回転して誘導板と衝突することが避けられる。
請求項5に係る発明によれば、誘導板が意図しない動作により保持体と衝突し得る空間に留まっている場合でも、衝突が回避される。
請求項6に係る発明によれば、保持体の少なくとも一部が、第1の位置に留まっているとき、誘導板が移動して保持体と衝突することが避けられる。
請求項7に係る発明によれば、保持体が意図しない動作により誘導板と衝突し得る空間に留まっている場合でも、衝突が回避される。
請求項8に係る発明によれば、誘導板が第2の位置に到達した後で保持体が回転しはじめる場合に比べて、状態の遷移にかかる時間が短縮される。
請求項9に係る発明によれば、誘導板が第1の位置に到達した後で保持体が回転しはじめる場合に比べて、状態の遷移にかかる時間が短縮される。
請求項10に係る発明によれば、停止した色見本のみを読取る装置に比べて、読取り時間が短くなる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.実施形態
1−1.画像読取装置の全体構成
以下、本発明の一実施形態に係る画像読取装置9を説明する。図において、画像読取装置9の各構成が配置される空間をxyz右手系座標空間として表す。図に示す座標記号のうち、円の中に点を描いた記号は、紙面奥側から手前側に向かう矢印を表す。空間においてx軸に沿う方向をx軸方向という。また、x軸方向のうち、x成分が増加する方向を+x方向といい、x成分が減少する方向を−x方向という。y、z成分についても、上記の定義に沿ってy軸方向、+y方向、−y方向、z軸方向、+z方向、−z方向を定義する。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像読取装置9の主要構成を示す図である。誘導板1は、用紙Pなどの媒体を誘導する部材である。誘導板1は、xy平面に平行に配置され、+z方向側の面によって、+y方向である搬送方向D1に搬送される用紙Pを、読取部3が画像を読取る読取位置P1に誘導する。誘導板1は、y軸方向に沿って移動可能であり、
図1に示す位置(以下、第1の位置という)にあるときに用紙Pを誘導する。
【0010】
保持体2は、第1の位置にあるときの誘導板1に接触しないように、軸Oを中心とした半径rの円柱を軸Oの方向に沿って切断した形状の側面を有する。軸Oは、用紙Pが誘導される方向(+y方向)に交差する方向に設けられており、
図1においてはx軸方向に沿って設けられている。保持体2の側面のうち、上述の円柱が切断されて形成されたような、平面を有する部分を第1側面21と呼び、第1側面21以外の部分を第2側面22と呼ぶ。
【0011】
誘導板1が第1の位置にあるとき、
図1に示す保持体2は第1側面21が+z方向に向いた姿勢を維持させられる。保持体2がこの姿勢をとることにより、読取位置P1から−z方向に距離r0(<r)の幅の空間が生じるので、この空間を誘導板1が移動しても保持体2に衝突しない。
【0012】
第2側面22には、複数種類の色見本が保持されている。第2側面22は、第1側面21よりも広い面積を有する。色見本とは、キャリブレーションパッチなどと呼ばれる見本であり、一つの色見本は、色の校正の基準となる1つの色(真の色)を表示する。第2側面22には、複数種類の色見本が決められた位置に保持されるように並べられる。並べられた複数種類の色見本は、いわゆるカラーチャートと呼ばれるものであり、読取部3が読取る色の校正に用いられる。
【0013】
図1において図示しない制御部7(
図2参照)の記憶部は、保持された色見本で表示される真の色の値と、その色見本の第2側面22上の位置とを対応付けた対応表を記憶している。制御部7は、読取部3で色見本を読取るときに、保持体2の回転角度などを基にその色見本の位置を特定し、対応表を参照することにより、読取部3で読取った色見本について予め記憶された真の色の値と、実際に読取った色の値とを比較する。そして、制御部7は、読取った色の値を真の色の値に近づけるように補正する数式(補正式)やその補正式で用いるパラメータなどを決定する。
【0014】
なお、上述した説明では、保持体2は、軸Oを中心とした半径rの円柱を軸Oの方向に沿って切断した形状の側面を有するとしたが、実際にこの円柱を切断して作成されるものに限られない。保持体2は、例えば、上記の形状に応じた鋳型に樹脂などを射出成形して作成されてもよい。また、第1側面21は完全な平面である必要はなく、誘導板1と第1側面21とが対向できる程度に平らであればよい。第2側面22も完全な円の側面である必要はなく、第1側面21よりも曲率が大きい側面であればよく、軸Oを中心に回転可能な程度に曲面(例えば楕円柱の側面等)を有していればよい。後述の撮像部31の読取位置P1の変動を少なくする観点からは、第2側面22は回転軸を中心とした円の側面であることが望ましい。
【0015】
また、保持体2は第1側面21よりも軸Oに近い側に中空を有していてもよい。すなわち、保持体2の側面は、例えば、軸Oから外周面までが半径rの円筒を軸Oの方向に沿って切断した形状であってもよい。
【0016】
また、保持体2が中空を有する場合に、切断される前の形状は円筒に限られず、例えば、保持体2の第1側面21および第2側面22に沿った形状の中空を有した形状であってもよい。要するに切断される前の保持体2の形状は軸Oに対して垂直に交差する面で切断したときの外周が曲線であればよい。
【0017】
読取部3は、撮像部31と、照明32とを有する。照明32には、用紙Pの搬送方向の上流側(−y方向)から照射光を照射する照明32uと、用紙Pの搬送方向の下流側(+y方向)から照射光を照射する照明32dと(以下、これらを区別しない場合、単に「照明32」という)がある。これら2つの照明32によって読取位置P1が照射されることで、片方のみから照射される場合よりも、ばらつきや偏りの少ない画像が読取られる。
【0018】
なお、読取位置P1は軸Oから+z方向に半径rに相当する距離だけ離れている。したがって、誘導板1を第1の位置から遠ざけて、軸Oから半径r内に重ならない位置まで移動させた状態で、軸Oを中心にして保持体2を回転させると、軸Oから半径rだけ離れた側面である第2側面22は、読取位置P1に移動する。
【0019】
撮像部31は、読取位置P1からの反射光を受光点P2で受け取り、受け取ったその反射光を内部のプリズムや反射鏡などの光学系を通して撮像素子に導くことで用紙Pに形成された画像を読取る。受光点P2で受け取った反射光が内部を通って撮像素子に到達するまでの経路の長さは予め調整されている。そして、読取位置P1と受光点P2とは、z軸方向に決められた距離Lだけ離れて配置されている。したがって、読取位置P1で反射された光が撮像部31の撮像素子に届くまでの距離は一定になるよう調整されている。
【0020】
遮蔽板4は、読取位置P1で反射する光が他の部位で反射する光の干渉を受け難くするために、用紙Pなどの媒体を照明32から遮蔽する板である。遮蔽板4は、用紙Pの画像が形成されている面のうち、用紙Pの搬送方向の上流側(−y方向)に照射する照射光を遮蔽する遮蔽板4uと、用紙Pの搬送方向の下流側(+y方向)に照射される照射光を遮蔽する遮蔽板4dと(以下、これらを区別しない場合、単に「遮蔽板4」という)がある。
【0021】
遮蔽板4は、照明32から届く光を一部遮蔽することのほか、媒体が読取部3に近付き過ぎないように媒体の可動域を制限する機能も有する。遮蔽板4が誘導板1とともに媒体である用紙Pを挟むことにより、遮蔽板4がない場合に比べて用紙Pのz軸方向の位置が安定する。なお画像読取装置9は、この遮蔽板4に替えて、媒体の可動域を制限する機能を主に有する制限部材を配置してもよい。
【0022】
図2は、画像読取装置9の制御系を説明するためのブロック図である。駆動部5は、例えばモータなどの動力源と、ラック・アンド・ピニオンなどの動力源の回転運動を直線運動に変換する動力伝達機構とを有し、制御部7の制御の下で駆動して誘導板1をy軸方向に沿って移動させる。回転部6は、例えばモータなどの動力源と、歯車などの動力伝達機構とを有し、制御部7の制御の下で保持体2を軸Oの周りで回転させる。
【0023】
制御部7は、画像読取装置9の各部の動作を制御する手段である。制御部7は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの記憶装置を備え、これら記憶装置に記憶されたプログラムを実行する。制御部7は、駆動部5を制御して誘導板1をy軸方向に沿って移動させ、回転部6を制御して軸Oを中心に保持体2を回転させる。
【0024】
誘導板1および遮蔽板4には、用紙Pを搬送するための部材が設けられていてもよい。例えば
図1に示すように、誘導板1には、x軸方向に沿った軸を有する搬送ロール10u、10d(以下、これらを区別しない場合、単に「搬送ロール10」という)が設けられている。また、遮蔽板4には、x軸方向に沿った軸を有する搬送ロール40u、40d(以下、これらを区別しない場合、単に「搬送ロール40」という)が設けられていてもよい。
【0025】
図1において、搬送ロール10uおよび搬送ロール40uは、いずれも読取位置P1よりも用紙Pの搬送方向における上流側(−y方向)に設けられており、搬送ロール10dおよび搬送ロール40dは、いずれも読取位置P1よりも用紙Pの搬送方向における下流側(+y方向)に設けられている。搬送ロール10の少なくとも一部は、誘導板1が第1の位置にあるときに、保持体2の第1側面21に対向している。
【0026】
搬送ロール10および搬送ロール40は、それぞれ対向する位置に配置され、用紙Pを挟む。搬送ロール10および搬送ロール40のいずれかは、モータなどに接続されておりモータの動力を受けて回転することによって、挟んだ用紙Pを搬送方向D1に搬送する。搬送方向D1に搬送された用紙Pは、読取位置P1に至る。つまり、搬送ロール10は、媒体を読取位置へ搬送する搬送部材の一例である。搬送ロール10があることにより、これがない場合に比べて、誘導板1の上にある用紙Pは読取位置P1へ搬送され易い。
【0027】
図3は、誘導板1の移動を説明するための図である。
図3(a)に示す第1の位置のほか、誘導板1は、
図3(b)に示す位置(以下、第2の位置という)に移動可能である。第1の位置にある誘導板1は、
図3(b)に示す移動方向D2(+y方向)に沿って移動し、第2の位置に至る。画像読取装置9は、用紙Pに形成された画像を読取部3に読取らせるときに駆動部5によって誘導板1を第1の位置に移動させて、誘導板1に用紙Pを誘導させる。
【0028】
一方、画像読取装置9は、保持体2の第2側面22に保持された色見本を読取部3に読取らせるときに駆動部5によって誘導板1を第2の位置に移動させる。第2の位置は、軸Oから半径r以上離れている。つまり、第2の位置は、軸Oを中心にして保持体2が回転しても、誘導板1がその保持体2に接触しない程度に軸Oから離れた位置である。誘導板1が第2の位置にあるとき、回転部6は保持体2を回転方向D3に回転させる。この回転により、保持体2の第2側面22に保持された色見本は、読取位置P1に移動する。読取部3は、読取位置P1に移動した色見本を読取り、色の補正を行う。なお、
図3(b)においてこの回転方向D3は、軸Oを中心とした時計回りである。
【0029】
以上の構成により、画像読取装置9は、用紙P(媒体)を誘導する誘導板1と、色見本を保持した保持体2とを衝突させずに、用紙Pに形成された画像と、保持体2の第2側面22に保持された色見本とをそれぞれ読取部3に読取位置で読取らせる。画像読取装置9は、用紙Pに形成された画像を読取って得られた画素値を補正する補正式を、第1側面21よりも広い面積を有する第2側面22に保持された複数種類の色見本を読取って決定する。そのため、画像読取装置9は、保持体2を回転させないでその保持体2に保持された色見本を読取って補正式を決定する場合に比べて、読取る色見本の種類を多くすることができ、色の校正の精度を向上させることができる。
【0030】
また、誘導板1は、保持体2の第2側面22に保持された色見本が読取位置P1に移動するときに搬送ロール10を伴って第2の位置に移動する。これにより、搬送ロールが移動しない構成の画像読取装置に比べて、色見本を読取部3に読取らせる際に、搬送ロール10が色見本に衝突しない。
【0031】
また、誘導板1が第1の位置にあるときに、搬送ロール10の少なくとも一部は、保持体2の第1側面21に対向しているため、保持体2が回転により移動する可能性のある空間の内側に配置される。そのため、この空間の外側に搬送ロール10が配置される(第1側面21に対向しない)場合に比べて、画像読取装置9は、搬送方向に並んだ搬送ロール10の間隔を近づけることができ、搬送可能な媒体の搬送方向の長さの下限を短くすることができる。
【0032】
2.変形例
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
【0033】
2−1.変形例1
上述した実施形態において、誘導板1には搬送ロール10が、遮蔽板4には搬送ロール40が設けられていたが、これらの搬送ロールは、設けられていなくてもよい。その代わり、媒体に対して凸形状で接触するなどして媒体をガイドする部材を設けてもよい。
【0034】
2−2.変形例2
上述した実施形態において、誘導板1に設けられた搬送ロール10は、誘導板1が第1の位置にあるときに保持体2は第1側面21に対向していたが、対向していなくてもよい。
【0035】
2−3.変形例3
回転部6は、保持体2が回転すると衝突する空間に誘導板1があるときに、この保持体2を回転させないよう、制御部7により制御されてもよい。例えば、制御部7は、誘導板1の位置を光学センサなどで検知して、保持体2が回転すると衝突する空間に、誘導板1があるか否か判定する。そして、この空間に誘導板1があると判定した場合には、回転部6による保持体2の回転を強制的に停止してもよい。これにより、例えば何らかの故障によって誘導板1の少なくとも一部が、軸Oから半径r内の空間内に留まっているとき、保持体2が回転して誘導板1と衝突することが避けられる。
保持体2が回転すると衝突する空間に誘導板1があるか否かの判定に際しては、誘導板1の移動状況を制御部7で記憶しておき、誘導板1がこの空間にあると判断した場合に回転部6による保持体2の回転を停止してもよい。
また、保持体2が回転すると衝突する空間に誘導板1がある場合に読取部3で読み取れるような模様や特徴的な色を予め誘導板1に配しておき、読取部3がこの模様や特徴的な色を読み取ることで保持体2が回転すると衝突する空間に誘導板1があると判定し、回転部6による保持体2の回転を停止してもよい。
【0036】
2−4.変形例4
また、この場合、制御部7によって回転部6が強制的に停止させられるのではなく、保持体2の回転を物理的に規制する規制部材が機能するようにしてもよい。
図4は、この変形例における規制部材を説明するための図である。また、
図5は、この変形例における画像読取装置9aの制御系を説明するためのブロック図である。
【0037】
第1検知部83は、誘導板1の位置を検知するセンサであり、例えば、光学センサなどである。第1検知部83は、決められた位置に向けて可視光や赤外線などの電磁波を照射する照射部を有する。また、第1検知部83は、照射部から照射され、物体の表面で反射した電磁波を受けてその電磁波の強度に応じた信号を出力するフォトダイオードなどの検出器を有する。第1検知部83は、保持体2が回転すると衝突する空間に向けて電磁波を照射しているので、この空間に誘導板1があるか否かによって検出器の出力する信号が変化する。
【0038】
第1規制部材81は、
図4に示すように、例えばくさび形の凸部を有する部材であり、この凸部が、保持体2を回転させる回転軸20に設けられた凹部に差し込まれると、回転軸20の回転が強制的に停止させられる。
【0039】
制御部7は、保持体2が回転すると衝突する空間に誘導板1があることを、第1検知部83が検知すると、破線で示す位置にあって回転軸20と接触していなかった第1規制部材81を矢印D41の方向に移動させる。これにより第1規制部材81の凸部が回転軸20の凹部に差し込まれ、回転軸20および保持体2の回転が止まる。
【0040】
これにより、制御部7が保持体2を回転させるように回転部6を制御していても、誘導板1が保持体2と衝突する可能性が第1検知部83によって検知されたら、物理的に保持体2の回転運動が規制される。そのため、誘導板1が意図しない動作により保持体2と衝突し得る空間に留まっている場合でも、衝突が回避される。
【0041】
2−5.変形例5
駆動部5は、誘導板1が第1の位置に向けて移動すると衝突する空間に保持体2があるときに、この誘導板1を移動させないよう、制御部7により制御されてもよい。例えば、
制御部7は、保持体2の位置を光学センサなどで検知して、誘導板1が第1の位置に向けて移動すると衝突する空間に、保持体2があるか否か判定する。そして、この空間に保持体2があると判定した場合には、駆動部5による、第1の位置に向けた誘導板1の移動を強制的に停止してもよい。これにより、例えば何らかの故障によって保持体2の少なくとも一部が、第1の位置に留まっているとき、誘導板1が移動して保持体2と衝突することが避けられる。
ここで、誘導板1が第1の位置に向けて移動すると衝突する空間に保持体2があるか否かの判定に際しては、保持体2の回転状況(回転した角度)を制御部7で記憶しておき、保持体2の第2側面22が読取部3と対向している、もしくは第1側面21が読取部3と対向していないと判断した場合に回転部6による保持体2の回転を停止してもよい。
また、読取部3で色見本の色を読み取ったことによって誘導板1が第1の位置に向けて移動すると衝突する空間に保持体2があることを判定してもよい。
【0042】
なお、第1規制部材81は、誘導板1が保持体2と衝突する可能性を検知していないときに、回転部6の動力を保持体2に伝達し、誘導板1が保持体2と衝突する可能性を検知したときに、回転部6の動力が保持体2に伝達しないようにする動力伝達機構であってもよい。具体例には、第1規制部材81は、例えばクラッチであってもよい。
【0043】
2−6.変形例6
また、この場合、制御部7によって駆動部5が強制的に停止させられるのではなく、誘導板1の移動を物理的に規制する規制部材が機能するようにしてもよい。
【0044】
第2検知部84は、保持体2の位置を検知するセンサであり、例えば、光学センサなどである。第2検知部84は、上述した照射部と検出器とを有する。第2検知部84は、誘導板1が移動すると衝突する空間に向けて電磁波を照射しているので、この空間に保持体2があるか否かによって検出器の出力する信号が変化する。
【0045】
第2規制部材82は、
図4に示すように、例えばくさび形の凸部を有する部材であり、この凸部が、誘導板1の−z方向の面に設けられた凹部19に差し込まれると、誘導板1の移動が強制的に停止させられる。
【0046】
制御部7は、誘導板1が移動すると衝突する空間に保持体2があることを、第2検知部84が検知すると、破線で示す位置にあって誘導板1と接触していなかった第2規制部材82を矢印D42の方向に移動させる。これにより第2規制部材82の凸部が誘導板1の凹部19に差し込まれ、誘導板1の移動が止まる。
【0047】
これにより、制御部7が誘導板1を移動させるように駆動部5を制御していても、保持体2が誘導板1と衝突する可能性が第2検知部84によって検知されたら、物理的に誘導板1の移動運動が規制される。そのため、保持体2が意図しない動作により誘導板1と衝突し得る空間に留まっている場合でも、衝突が回避される。
【0048】
なお、第2規制部材82は、保持体2が誘導板1と衝突する可能性を検知していないときに、駆動部5の動力を誘導板1に伝達し、保持体2が誘導板1と衝突する可能性を検知したときに、駆動部5の動力が誘導板1に伝達しないようにする動力伝達機構であってもよい。具体例には、第2規制部材82は、例えばクラッチであってもよい。
【0049】
2−7.変形例7
回転部6は、誘導板1が第1の位置から第2の位置へ移動する途中で、色見本が読取位置P1に移動するように保持体2を回転させはじめてもよい。すなわち、誘導板1が第2の位置に到達する前であっても、回転部6は、誘導板1と衝突しない範囲であれば、保持体2を回転させてもよい。これにより、誘導板1が第2の位置に到達した後で回転部6が保持体2を回転させはじめる場合に比べて、状態の遷移にかかる時間が短縮される。
【0050】
2−8.変形例8
回転部6は、誘導板1が第2の位置から第1の位置へ移動する途中で、色見本が読取位置P1から離れるように保持体2を回転させはじめてもよい。すなわち、誘導板1が第1の位置に到達する前であっても、回転部6は、誘導板1と衝突しない範囲であれば、保持体2を回転させてもよい。これにより、誘導板1が第1の位置に到達した後で回転部6が保持体2を回転させはじめる場合に比べて、状態の遷移にかかる時間が短縮される。
【0051】
2−9.変形例9
読取部3が、読取位置P1に移動した色見本を読取る際に、保持体2が停止している必要はない。読取部3は、回転部6により回転させられているときの保持体2に保持された複数の色見本を読取ってもよい。
【0052】
例えば、第2側面22において、或る1種類の色見本が保持体2の回転方向に沿って或る長さにわたって保持されている場合、読取部3は、保持体2が回転する間に連続して色見本を読取ることにより、その長さの色見本が読取位置P1を通過する間、その1種類の色見本に対して複数の画素値を得る。制御部7は、例えば、得られた複数の画素値の相加平均値を算出し、この相加平均値を補正式の決定に用いてもよい。これにより、色見本自体の色ムラや、撮像部31に生ずるノイズなどの影響が低減され、補正の精度が向上する。また、色見本に予期しない汚れなどが付着していた場合であっても、制御部7が、得られた複数の画素値の分散値を算出し、これを決められた閾値と比較することで、読取り異常を検知したり、異常な画素値を除外したりすることができる。
【0053】
2−10.変形例10
第1側面21や第2側面22はそれぞれ1つでなくてもよい。たとえば、
図4に破線で示すように、軸Oを軸として、軸Oに交差する平面に対して第1側面21を180度回転させた位置に第2の第1側面21aを設け、両側に第2側面22、22aを設ける構成としてもよい。第2側面22、22aには同じ色見本を保持させておくと、一回のキャリブレーションで必要な回転角度が180度で済む。