(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6331836
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/08 20060101AFI20180521BHJP
E02F 9/16 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
E02F9/08 Z
E02F9/16 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-153648(P2014-153648)
(22)【出願日】2014年7月29日
(65)【公開番号】特開2016-30953(P2016-30953A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2017年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136250
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 博臣
(72)【発明者】
【氏名】保坂 善伸
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 正和
(72)【発明者】
【氏名】田中 聡
(72)【発明者】
【氏名】今岡 敬介
【審査官】
大熊 靖夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−205100(JP,A)
【文献】
特開2011−052423(JP,A)
【文献】
特開2013−237986(JP,A)
【文献】
特開2013−241817(JP,A)
【文献】
特開2001−342646(JP,A)
【文献】
特開2011−140854(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0250971(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/08,9/16
B23K 9/00,9/02−9/038
B62D 17/00−25/08,25/14−29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、前記下部走行体上に旋回支持部材を介して旋回可能に搭載された上部旋回体とを備える建設機械であって、
前記上部旋回体は、
前記旋回支持部材に支持されたセンターセクション底板と、前記センターセクション底板に立設されたセンターセクション縦板とを有するセンターセクションと、
前記センターセクション縦板の側面とセンターセクション底板の上面とに接するように設けられた箱状のベースと、
前記ベース上に直接又は間接に支持されたキャブとを備え、
前記ベースは、前記センターセクション底板を側方に延長した位置に設けられたベース底板を備え、
前記ベースの前後のうち少なくとも一方の側に、前記ベースと前記センターセクション底板とをつなぐ補強部材が設けられ、
前記補強部材は、前記センターセクション底板と前記ベース底板との両方に跨って設けられ、
前記補強部材は、前記ベース底板に溶接されるとともに前記センターセクション底板には溶接されていないことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記補強部材は、前記ベースの前側に設けられた前側補強部材を備え、
前記ベースは、前記センターセクション底板及び前記ベース底板に跨るようにそれぞれ立設された前面板及び後面板と、前記前面板及び前記後面板の上端に固定された上面板とを更に備え、
前記前側補強部材は、前記上面板と前記センターセクション底板及び前記ベース底板とをつなぐように上下方向に延びる部分を備えることを特徴とする請求項1記載の建設機械。
【請求項3】
前記補強部材は、前記ベースの後側に設けられた後側補強部材を更に備え、
前記後側補強部材は、機械左右方向に垂直な断面で切った場合に断面L字形状を有するように、水平方向に延びる水平板と垂直方向に延びる垂直板とを備え、
前記垂直板は前記後面板に溶接され、
前記水平板は、前記ベース底板に溶接されるとともに前記センターセクション底板には溶接されていないことを特徴とする請求項2記載の建設機械。
【請求項4】
前記ベースは、前記センターセクション縦板に溶接されるとともに前記センターセクション底板の前記上面には溶接されていないことを特徴とする請求項1から3のうち何れか一記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建設機械に関し、より具体的には、上部旋回体においてキャブを支持するベースを有する建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械(作業機械)の運転室昇降装置としては、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載の運転室昇降装置(4)は、運転室(3)と、運転室(3)を昇降させる昇降機構(5)と、作業機械本体(2)に固定され、昇降機構(5)を載置支持するベース(6)とを備える(特許文献1の
図1参照)。
【0003】
そして、ベース(6)は、作業機械本体(2)に立設された側面板(43)と、側面板(43)の上端に固定され、昇降機構(5)の下端が取り付けられる上面板(41)とを有する。また、ベース(6)には、上面板(41)の裏面(41B)及び側面板(43)に当接する補強リブ(7)が設けられている(特許文献1の
図3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−237986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の補強リブ(7)を設けることにより、ベース(6)の剛性は向上する。しかし、例えばベースとキャブ昇降機構との間にスペーサを挿入するなどベースに支持される構造物の重量が大きくなる場合には、ベースの剛性を向上させるとともに、更に適切に補強を行うことが望まれる。
【0006】
そこで本発明は、キャブを支持するベースに対して適切に補強を行うことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、下部走行体と、前記下部走行体上に旋回支持部材を介して旋回可能に搭載された上部旋回体とを備える建設機械であって、前記上部旋回体は、前記旋回支持部材に支持されたセンターセクション底板と、前記センターセクション底板に立設されたセンターセクション縦板とを有するセンターセクションと、前記センターセクション縦板の側面とセンターセクション底板の上面とに接するように設けられた箱状のベースと、前記ベース上に直接又は間接に支持されたキャブとを備え、前記ベースは、前記センターセクション底板を側方に延長した位置に設けられたベース底板を備え、前記ベースの前後のうち少なくとも一方の側に、前記ベースと前記センターセクション底板とをつなぐ補強部材が設けられ、前記補強部材は、前記センターセクション底板と前記ベース底板との両方に跨って設けられ、前記補強部材は、前記ベース底板に溶接されるとともに前記センターセクション底板には溶接されていないことを特徴とする建設機械を提供している。
【0008】
また、前記補強部材は、前記ベースの前側に設けられた前側補強部材を備え、前記ベースは、前記センターセクション底板及び前記ベース底板に跨るようにそれぞれ立設された前面板及び後面板と、前記前面板及び前記後面板の上端に固定された上面板とを更に備え、前記前側補強部材は、前記上面板と前記センターセクション底板及び前記ベース底板とをつなぐように上下方向に延びる部分を備えるのが好ましい。
【0009】
また、前記補強部材は、前記ベースの後側に設けられた後側補強部材を更に備え、前記後側補強部材は、機械左右方向に垂直な断面で切った場合に断面L字形状を有するように、水平方向に延びる水平板と垂直方向に延びる垂直板とを備え、前記垂直板は前記後面板に溶接され、前記水平板は、前記ベース底板に溶接されるとともに前記センターセクション底板には溶接されていないのが好ましい。
【0010】
また、前記ベースは、前記センターセクション縦板に溶接されるとともに前記センターセクション底板の前記上面には溶接されていないのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の建設機械によれば、補強部材は、ベース底板には溶接されているがセンターセクション底板には溶接されていない。そのため、ベースに対して下方向に力が作用する圧縮のモードでは、補強部材に掛かる力を剛性の高い旋回支持部材で支持されたセンターセクション底板で受ける。すなわち、圧縮モードでは、主にセンターセクション底板と旋回支持部材との境目(剛性変化の境目)にて力を受けることができる。一方、ベースに対して上方向に力が作用する引張りのモードでは、補強部材の溶接部に力を掛けることができる。よって、圧縮モードと引張りモードとで力が掛かる部位が変わるため、力を分散することができる。
【0012】
請求項2記載の建設機械によれば、前側補強部材は、上面板とセンターセクション底板及びベース底板とをつなぐように上下方向に延びる部分を備える。このため、下方向に力が作用する圧縮モードにおいて、キャブの荷重など上面板にかかる力をセンターセクション底板に効果的に伝えることができる。また、ベースの剛性を高めることができる。
【0013】
請求項3記載の建設機械によれば、後側補強部材の断面L字形状の縦方向部分は後面板に溶接される。また、断面L字形状の横方向部分は、ベース底板に溶接されるとともにセンターセクション底板には溶接されていない。このため、圧縮モードでは後側補強部材に掛かる力をセンターセクション底板で受けることができ、引張りモードでは後側補強部材の溶接部に力を掛けることができる。よって、前側補強部材と併せて、更に効率良く力を分散することができる。
【0014】
請求項4記載の建設機械によれば、ベースはセンターセクション縦板に溶接されるがセンターセクション底板の上面には溶接されていないため、溶接によるセンターセクション底板のひずみを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態による解体機を示す側面図。
【
図2】キャブが最上位置に持ち上げられた状態の解体機を示す側面図。
【
図3】解体機のアッパーフレームを左斜め前から見た斜視図。
【
図6】解体機のアッパーフレームを左斜め後から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態による建設機械について
図1乃至
図8に基づき説明する。以下、建設機械の一例として、垂直式エレベータキャブを備える解体機1を例にとって説明する。なお、説明の都合上、各図面では必要に応じて前後方向や左右方向を適宜定義している。
【0017】
図1に示すように、解体機1は、クローラ式の下部走行体2と上部旋回体3とを備えている。
【0018】
上部旋回体3は、下部走行体2上に搭載されており、旋回支持部材8を介して旋回することが可能である。具体的には、
図1に示すように、上部旋回体3は、アッパーフレーム4、ベース43、キャブ5、キャブ昇降装置6、スペーサ7等を備えている。なお、実際には、アタッチメントやクランプアーム(押さえ具)等も取り付けられるが、ここでは、図示及び説明を省略する。
【0019】
キャブ5は、アッパーフレーム4の上方に配置される。ここでは、キャブ5は、
図1(最下位置)及び
図2(最上位置)に示すように、垂直方向に昇降(上下移動)することが可能な垂直式エレベータキャブとして構成されている。
【0020】
キャブ昇降装置6は、キャブ5を支持した状態で垂直方向に昇降させるための装置である。
【0021】
スペーサ7は、キャブ5をかさ上げするために、アッパーフレーム4上のベース43とキャブ昇降装置6との間に挿入される部材である。このスペーサ7が挿入されることによって、キャブ昇降装置6がスペーサ7の高さ分だけかさ上げされるため、結果としてキャブ5もかさ上げされる。
【0022】
また、解体機1には、キャブ5への乗降手段として分割された2つの階段11,12がキャブ5の側方に設けられている。階段11は、キャブ5に支持されており、
図1(最下位置)及び
図2(最上位置)に示すように、キャブ5の昇降に追従して昇降する。階段12は、アッパーフレーム4に支持されており、キャブ5の昇降には追従しない。
【0023】
続いて、
図3〜
図8を参照しつつ、アッパーフレーム4について詳細に説明する。
図3に示すように、アッパーフレーム4は、センターセクション41とベース43とを備えている。
【0024】
センターセクション41は、旋回支持部材8(
図1)に支持されるセンターセクション底板411と、センターセクション底板411に立設された左右2枚の縦板412,413とを有する。
【0025】
ベース43は、キャブ5を直接又は間接に支持するための部材であり、センターセクション41の左前方に設けられている。より具体的には、ベース43は、左側の縦板412の左側面とセンターセクション底板411の上面とに接するように設けられている。
【0026】
図4に示すように、ベース43は、上面板431と底板432と前面板433と後面板434とを備え、全体として中空箱状に構成されている。上面板431は前面板433及び後面板434の上端に固定され、底板432は前面板433及び後面板434の下端に固定され、ベース43全体として一体化されている。なお、
図3〜
図8では図示されていないが、上面板431の上面にはスペーサ7が固定されている。
【0027】
ベース43を構成する各板のうち、上面板431と前面板433と後面板434との各右側端面が、縦板412の左側の面に溶接されている。前面板433及び後面板434は、それぞれ、センターセクション底板411及び底板432に跨るように立設されている。前面板433及び後面板434は、何れもセンターセクション底板411と接触はするが溶接はされていない。これは、溶接によるセンターセクション底板411のひずみを抑制するためである。
【0028】
図5に示すように、ベース43の底板432は、センターセクション底板41を側方(左側)に延長した位置に設けられている。即ち、センターセクション底板411とベース43の底板432とが、端面同士を突き合わせるように設けられている。なお、センターセクション底板411とベース43の底板432とは、突き合わせ部分が下側から溶接されて接続されている。
【0029】
以上より、ベース43全体としては、センターセクション41の左側の縦板412には溶接されているが、センターセクション底板411の上面には溶接されていない。
【0030】
なお、ベース43の左側面は開口しており(
図4)、ベース43の内部にバッテリー等を収容することが可能である。解体機1の使用時には、ベース43の左側面(開口)は専用のカバー43Cがボルト留めされて開口が塞がれる(
図1)。
【0031】
また、
図3〜
図5に示すように、ベース43の前側には前側補強部材50が設けられている。前側補強部材50は、補強部底板51と、補強部底板51に立設される2枚の補強部縦板(リブ)52,53とを備えている。
【0032】
補強部底板51は、平面視略長方形状をしており、センターセクション底板411と追加板45とベース43の底板432とに跨って設けられている。ここで、追加板45は、前側補強部材50を設けるために底板432に追加された(継ぎ足された)板である。なお、
図5では、追加板45を省略している。
図5に示すように、補強部底板51は、ベース43の底板432には溶接されているが、センターセクション底板411には溶接されていない。
【0033】
図4に示すように、右側の補強部縦板52は、左右方向から見て、上下方向に延びるとともに下に向かって前後方向に長くなる略台形状をしている。
図5に示すように、前方から見て、補強部縦板52のうちベース43の上面板431に接続する上端52Uは、接続部が太くなるように斜めに形成されている。補強部底板51に接続する下端52Lも同様である。
【0034】
図5に示すように、補強部縦板52はセンターセクション底板411の上方に位置している。即ち、補強部縦板52は、ベース43の上面板431とセンターセクション底板411とをつなぐ位置にあり、上面板431から受けた荷重をセンターセクション底板411に伝えるように構成されている。
【0035】
左側の補強部縦板53は、右側の補強部縦板52と同様の形状を有している。
図5に示すように、補強部縦板53はベース43の底板432の上方に位置している。即ち、補強部縦板53は、ベース43の上面板431と底板432とをつなぐ位置にあり、上面板431から受けた力を底板432に伝えるように構成されている。
【0036】
なお、
図4に示すように、ベース43の前側には、上述の前側補強部材50に加え、補強板46も設けられている。補強板46は、センターセクション41の縦板412の側面と、センターセクション底板411の上面と、ベース43の前面板433の前面とに接するように設けられた板である。なお、
図5では、補強板46を省略している。
【0037】
また、
図6〜
図8に示すように、ベース43の後側には後側補強部材60が設けられている。後側補強部材60は、垂直板61と水平板63とを備え(パッチ補強)、左右方向に垂直な断面で切った場合に断面L字形状を有するように構成されている。
【0038】
垂直板61は、ベース43の後面板434に溶接されている。後側補強部材60は、前側補強部材50と異なり、ベース43の上面板431には接続していない。
【0039】
図7,
図8に示すように、水平板63は、センターセクション底板411とベース43の底板432とに跨って設けられている。水平板63は、ベース43の底板432には溶接されているが、センターセクション底板411には溶接されていない。
【0040】
このような解体機1では、解体作業時など、
図2の矢印ARに示すように、キャブ5、キャブ昇降装置6及びスペーサ7がベース43を支点として揺動(振動)するため、ベース43に力がかかる。更に、本実施形態の解体機1は、スペーサ7及び階段11を有しているため、ベース43にかかる負荷が更に大きくなる。
【0041】
そのため、本実施形態では、ベース43の強度を向上させるために、ベース43の前後に補強部材50,60を設けている。そして、各補強部材50,60は、ベース43の底板432には溶接されているが、センターセクション底板411には溶接されていない。
【0042】
例えば、キャブ5が
図2の矢印AR前方に揺動するとき、ベース43の前部に対しては下方向に力が作用する(圧縮モード)。このような圧縮モードでは、前側補強部材50全体で力を受けるものの、その大部分を剛性の高い旋回支持部材8に支持されたセンターセクション底板411で受ける。したがって、センターセクション底板411で受けた力は、センターセクション底板411と旋回支持部材8との境目(剛性変化の境目)で受けることができる。
【0043】
一方、キャブ5が
図2の矢印AR後方に揺動するとき、ベース43の前部に対しては上方向に力が作用する(引張りモード)。このような引張りモードでは、前側補強部材50が剛性の高いセンターセクション底板411と溶接されていないため(
図5)前側補強部材50の溶接部に力を掛けることができる。したがって、圧縮モードと引張りモードとでは力が掛かる部位が変わるため、力を分散することができる。
【0044】
仮に、前側補強部材50がセンターセクション底板411にも溶接されていると、圧縮モードと引張りモードとの両方において溶接部全体に力が掛かる。特に、旋回支持部材8とセンターセクション底板411との境目では(剛性変化の境目で)負担が大きくなる。即ち、圧縮モードと引張りモードとの両方で、同じ部位(前側補強部材50とセンターセクション41との溶接部、特に旋回支持部材8とセンターセクション底板411との境目付近)に力が集中して負担がかかる。
【0045】
なお、ベース43の後部については、キャブ5が前方に揺動するときに引張りモードとなり、キャブ5が後方に揺動するときに圧縮モードとなるが、後側補強部材60についても上述した前側補強部材50と同様の効果を有する。
【0046】
また、上述した実施形態によれば、前側補強部材50は、上面板431とセンターセクション底板411及びベース43の底板432とをつなぐように上下方向に延びる2枚の補強部縦板52,53を備える。このため、圧縮モードにおいて、キャブ5やスペーサ7など上面板431にかかる力をセンターセクション底板411に効果的に伝えることができる。また、ベース43の剛性を高めることができる。
【0047】
ここで、
図2に示すように、キャブ5はベース43よりも前方に位置しているため、ベース43の前部では特に圧縮モードの力が大きくなる。従って、前側補強部材50の構成としては、上述した構成が好ましい。
【0048】
また、上述した実施形態によれば、後側補強部材60の垂直板61はベース43の後面板434に溶接されている。また、水平板63は、ベース43の底板432には溶接されているが、センターセクション底板411には溶接されていない。このため、圧縮モードにおいては力をセンターセクション底板411に伝えることができるとともに、引張りモードにおいては補強部材60の溶接部に力を掛けることができ、前側補強部材50と併せて、更に効率良く力を分散することができる。また、後側補強部材60は前側補強部材50よりも大きさが小さいため、軽量化を図りつつ効率よく補強を行うことが可能である。
【0049】
本発明による建設機械は上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0050】
例えば、上記実施形態では、2つの補強部材50,60をベース43の前後に設ける場合を例示したが、これに限定されず、ベース43の前後の一方にのみ補強部材を設けるようにしてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、前側補強部材50(
図5)に2枚の補強部縦板52,53を設けることにより、ベース43の上面板431とセンターセクション41及び底板432とをつなぐ場合を例示したが、補強部材の形状としては様々なものが考えられる。例えば、上下方向に延びてベース43の上面板431とセンターセクション41及び底板432とをつなぐ1本の補強用柱を設けるようにしてもよい。或いは、ブロック状の補強部材を設けてもよい。その他、要求される強度及び軽量化などの要素を考慮して、適宜形状を定めればよい。
【0052】
また、上記実施形態では、キャブ5に対してキャブ昇降装置6、スペーサ7、階段11が設けられていたため、ベース43の補強を行うのが望ましいという事情があった。しかし、キャブ昇降装置6、スペーサ7、階段11が設けられていなくても、本発明を適用することは可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように本発明にかかる構成は、キャブを支持するベースを備える建設機械に適用可能であり、特にベースに大きな力がかかる建設機械に用いるのに適している。
【符号の説明】
【0054】
1 解体機、2 下部走行体、3 上部旋回体、4 アッパーフレーム、5 キャブ、
6 キャブ昇降装置、7 スペーサ、8 旋回支持部材、11,12 階段、
41 センターセクション、43 ベース、43C カバー、45 追加板、
46 補強板、50 前側補強部材、51 補強部底板、52,53 補強部縦板、
52L 下端、52U 上端、60 後側補強部材、61 垂直板、63 水平板、
411 センターセクション底板、412,413 縦板、431 上面板、
432 底板、433 前面板、434 後面板、R1,R2 領域