(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1リード線、前記第2リード線、前記第3リード線、前記第4リード線、前記第5リード線および前記第6リード線の先端には、それぞれ端子(400)が取り付けられ、
前記ターミナルは、当該圧縮機の中心側に向かって互いに平行に延びる3本のピン(62)と、前記ピンにそれぞれ固定された、一対の互いに平行に対向する端子板(63,163)と、を有し、
各前記ピンの一対の前記端子板には、それぞれ、前記第1リード線の前記端子および前記第2リード線の前記端子と、前記第3リード線の前記端子および前記第4リード線の前記端子と、前記第5リード線の前記端子および前記第6リード線の前記端子と、が接続され、
各前記ピンを、前記ピンが延びる方向から見た時に、前記端子板の平面が延びる方向は、前記ピン毎に異なる、
請求項1に記載の圧縮機。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態に係る圧縮機を、図面を参照しながら説明する。なお、下記の実施形態は、実施例に過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0021】
(1)全体構成
本発明の一実施形態に係るスクロール圧縮機10について説明する。スクロール圧縮機10は、例えば、空気調和装置の室外機に使用され、空気調和装置の冷媒回路の一部を構成する。
【0022】
図1は、一実施形態に係るスクロール圧縮機10の概略縦断面図である。スクロール圧縮機10は、ケーシング20(
図1参照)、圧縮機構30(
図1参照)、モータ40(
図1参照)、クランク軸50(
図1参照)、ターミナル60(
図1参照)、リード線アセンブリ100(
図4参照)、および下部軸受90(
図1参照)を主に有する。
【0023】
(2)詳細構成
スクロール圧縮機10のケーシング20、圧縮機構30、モータ40、クランク軸50、ターミナル60、リード線アセンブリ100、および下部軸受90について以下に説明する。
【0024】
なお、以下の説明では、方向や配置を説明するために、「上」、「下」等の表現を用いる場合があるが、特に断りの無い場合、
図1中の矢印Uの方向を上とする。また、以下の説明では、平行、直角、水平、垂直等の表現を用いる場合があるが、これには実質的に平行、直角、水平、垂直等である場合、つまり略平行、略直角、略水平、略垂直等である場合を含む。
【0025】
(2−1)ケーシング
ケーシング20は、上下が開口した円筒状の円筒部材21と、円筒部材21の上端および下端にそれぞれ設けられた上蓋22aおよび下蓋22bと、を有する(
図1参照)。円筒部材21と、上蓋22aおよび下蓋22bとは、気密を保つように溶接により固定される。
【0026】
ケーシング20は、その内部に、圧縮機構30、モータ40、クランク軸50、リード線アセンブリ100、および下部軸受90を含むスクロール圧縮機10の構成機器を収容する(
図1参照)。また、ケーシング20の円筒部材21の側面には、ターミナル60が取り付けられる。
【0027】
ケーシング20の上部には、圧縮機構30の圧縮対象である低圧のガス冷媒を、スクロール圧縮機10が接続される冷媒回路から吸入する吸入管23が、ケーシング20の上蓋22aを貫通して設けられる(
図1参照)。吸入管23の下端は、後述する圧縮機構30の固定スクロール31に接続される。吸入管23は、圧縮機構30の圧縮室Scと連通する。
【0028】
ケーシング20の円筒部材21の中間部には、ケーシング20外に吐出されるガス冷媒が通過する吐出管24が設けられる(
図1参照)。吸入管23から吸入され、圧縮機構30により圧縮されたガス冷媒は、吐出管24を通過してケーシング20外に吐出される。
【0029】
(2−2)圧縮機構
圧縮機構30は、主に、ハウジング33と、ハウジング33の上方に配置される固定スクロール31と、固定スクロール31とハウジング33との間に配置される可動スクロール32と、を有する(
図1参照)。
【0030】
圧縮機構30では、固定スクロール31の下面と可動スクロール32の上面とが対向する状態で、固定スクロール31の下面から下方に突出する渦巻状の固定側ラップ31aと、可動スクロール32の上面から上方に突出する渦巻状の可動側ラップ32aとが組み合わされる。その結果、隣接する固定側ラップ31aと可動側ラップ32aとの間には、圧縮室Scが形成される。
【0031】
可動スクロール32は、その下部に設けられたボス部32bにクランク軸50の偏心部51が挿入されることで、クランク軸50と連結される。クランク軸50は、後述するモータ40のロータ45とも連結されている。モータ40が駆動され、ロータ45と連結されているクランク軸50が回転すると、可動スクロール32は固定スクロール31に対して自転することなく公転する。その結果、圧縮室Sc内の冷媒が圧縮される。圧縮室Scで圧縮された冷媒は、固定スクロール31の上部に形成された吐出口31bから上方に吐出され、固定スクロール31およびハウジング33に形成された、図示しない冷媒通路を通過して、ハウジング33の下方の空間へと流入する。
【0032】
ハウジング33は、ケーシング20の円筒部材21に圧入され、ハウジング33の外周面の全周が、円筒部材21の内周面に固定されている。ハウジング33の上面には、固定スクロール31が固定される。また、ハウジング33は、可動スクロール32を下方側から支持する。また、ハウジング33の下部には、クランク軸50を軸支する上部軸受35が設けられる(
図1参照)。上部軸受35は、クランク軸50の主軸52を回転自在に軸支する。
【0033】
(2−3)モータ
モータ40は、ターミナル60およびリード線アセンブリ100を介して3相交流電流の供給を受け、圧縮機構30を駆動する。モータ40は、ハウジング33に設けられた上部軸受35と、後述する下部軸受90との間に配置される(
図1参照)。
【0034】
モータ40は、ステータ41と、ロータ45と、を主に有する(
図1参照)。ステータ41は、円筒状に形成されている。ステータ41の内部(中空部)には、ロータ45が僅かな隙間(エアギャップG)を介して収容される(
図1参照)。
【0035】
ステータ41は、ステータコア42と、インシュレータ43と、ステータコイル44と、を有する(
図1参照)。
【0036】
ステータコア42は、円筒状に形成されている。ステータコア42は、ケーシング20の円筒部材21の内周面に固定されている。ステータコア42の円筒状の外周面の一部には、径方向中心側に凹む様に切り欠かれた、コアカット部42aが形成されている(
図1参照)。
【0037】
インシュレータ43は、ステータコア42の上下両端部に取り付けられている。インシュレータ43は、ステータコア42とステータコイル44とを絶縁するために設けられている。
【0038】
ステータコイル44は、ステータコア42およびインシュレータ43に巻回されている。ステータコイル44の3つの相(U相、V相、W相)は、それぞれ、後述するリード線アセンブリ100の、第1リード線210および第2リード線220、第3リード線230および第4リード線240、および、第5リード線250および第6リード線260、に接続される(
図5参照)。ステータコイル44は、リード線アセンブリ100により、後述するターミナル60と結ばれている。
【0039】
ロータ45は、ステータ41の中空部に、回転自在に収容されている。ロータ45の中央部には、クランク軸50の主軸52を挿入するための中央穴45aが形成されている(
図1参照)。ロータ45の中央穴45aに主軸52が挿入されることで、ロータ45は、クランク軸50を介して可動スクロール32と連結される。
【0040】
ロータ45には、複数の永久磁石(図示せず)が埋め込まれている。ステータコイル44に電流が供給されると、回転磁界が発生する。ロータ45は、ロータ45に設けられた永久磁石が回転磁界の影響を受けることで回転し、クランク軸50を介して連結される可動スクロール32を回転させる。
【0041】
ロータ45の下方には、下部バランスウェイト80が取り付けられている。下部バランスウェイト80は、後述する上部バランスウェイト53と共に用いられて、モータ40のロータ45およびクランク軸50を含む回転体の質量分布の不釣合いを解消し、回転体の振動を抑制する。
【0042】
(2−4)クランク軸
クランク軸50は、モータ40の駆動力を可動スクロール32に伝達する伝動軸である。クランク軸50は、ケーシング20の円筒部材21の軸心に沿って上下方向に延びるように配置され、モータ40のロータ45と、圧縮機構30の可動スクロール32とを連結する(
図1参照)。
【0043】
クランク軸50は、円筒部材21の軸心と中心軸Oが一致する主軸52と、主軸52の中心軸Oに対して(円筒部材21の軸心に対して)偏心した偏心部51とを有する(
図1参照)。
【0044】
偏心部51は、主軸52の上端に配置され、可動スクロール32のボス部32bに連結される。
【0045】
主軸52は、ハウジング33に設けられた上部軸受35、および、後述する下部軸受90により、回転自在に軸支される。また、主軸52は、上部軸受35と下部軸受90との間で、モータ40のロータ45と連結される。主軸52は、上下方向に延びる中心軸O周りを回転する(
図1参照)。主軸52には、上部バランスウェイト53が取り付けられている。上部バランスウェイト53は、ロータ45の上方であって、ハウジング33の下方に配置される(
図1参照)。
【0046】
(2−5)ターミナル
ターミナル60は、ケーシング20の円筒部材21に取り付けられる。ターミナル60は、主に、ターミナルボディ61と、ピンの一例としての3本のターミナルピン62と、各ターミナルピン62に2つずつ設けられる端子板63と、を有する(
図2参照)。
【0047】
ターミナルボディ61は、3本のターミナルピン62を支持する部材である。ターミナルボディ61は、円筒部材21に溶接により固定されている。
【0048】
ターミナルピン62は、ピンの一例である。ターミナルピン62は、円柱状に形成されている。ターミナルピン62は、ケーシング20の外部から、ケーシング20の内部まで、ターミナルボディ61を貫通して延びる(
図2参照)。ターミナルピン62は、ケーシング20の外部から、スクロール圧縮機10の中心側に向かって、言い換えれば円筒部材21の中心側に向かって延びる(
図2参照)。3本のターミナルピン62は、それぞれ他のターミナルピン62と平行に延びる。
【0049】
各ターミナルピン62のケーシング20の内部側には、それぞれ一対の端子板63が固定されている(
図2および
図3参照)。各ターミナルピン62に固定される一対の端子板63は、互いに平行に対向する(
図3参照)。なお、端子板63は、それぞれターミナルピン62の側面に固定され、ターミナルピン62のスクロール圧縮機10の中心側の端部よりも、更に内側(スクロール圧縮機10の中心側)まで延びる(
図2参照)。なお、各端子板63には、後述するリード線アセンブリ100のリード線200の端部の先端に取り付けられた端子400が接続される。端子板63と端子400との接続については後述する。
【0050】
なお、ターミナルピン62を、ターミナルピン62が延びる方向から(ケーシング20の内部側から、ターミナルピン62の軸方向に沿って)見た時に、端子板63の平面が延びる(平面が広がる)方向は、端子板63が取り付けられたターミナルピン62毎に異なる(
図3参照)。つまり、各ターミナルピン62に取り付けられた端子板63の平面は、他のターミナルピン62に取り付けられた端子板63の平面のいずれとも平行ではない(
図3参照)。
【0051】
ターミナルピン62のケーシング20の外部側には、外部電源が接続される。
【0052】
(2−6)リード線アセンブリ
リード線アセンブリ100は、ステータコイル44とターミナル60とを結ぶ。
【0053】
リード線アセンブリ100は、リード線200と、束ね紐300と、端子400と、を有する(
図4参照)。
【0054】
リード線200は、ステータコイル44とターミナル60とを結ぶ導線である。リード線200は、第1リード線210、第2リード線220、第3リード線230、第4リード線240、第5リード線250、および、第6リード線260を含む(
図5参照)。第1リード線210および第2リード線220は、一端がターミナル60のU相に接続され、他端がステータコイル44のU相に接続される。第3リード線230および第4リード線240は、一端がターミナル60のV相に接続され、他端がステータコイル44のV相に接続される。第5リード線250および第6リード線260は、一端がターミナル60のW相に接続され、他端がステータコイル44のW相に接続される。つまり、ここでは、ステータコイル44のU相,V相、W相が、それぞれ2本のリード線で、ターミナル60のU相,V相、W相と結ばれる。
【0055】
なお、U相に接続される第1リード線210および第2リード線220と、V相に接続される第3リード線230および第4リード線240と、W相に接続される第5リード線250および第6リード線260とは、それぞれ被覆の色が異なる。
【0056】
端子400は、リード線200のターミナル60側の先端に取り付けられ、ターミナルピン62に固定された端子板63と接続される部材である。端子400は、ファストン端子である。端子400は、端子400に接続されるリード線200が、端子400の挿抜方向(端子400の端子板63に対する取付/取外し方向)と直交するように配置される、いわゆる旗型の端子である。端子400は、第1端子410、第2端子420、第3端子430、第4端子440、第5端子450、および、第6端子460を含む(
図5参照)。第1端子410、第2端子420、第3端子430、第4端子440、第5端子450、および、第6端子460は、それぞれ、第1リード線210、第2リード線220、第3リード線230、第4リード線240、第5リード線250、および第6リード線260の先端(ターミナル60側の先端)に取り付けられている。第1端子410および第2端子420のそれぞれは、ターミナル60のU相のターミナルピン62に固定されている一対の端子板63の一方に接続される。第3端子430および第4端子440のそれぞれは、ターミナル60のV相のターミナルピン62に固定されている一対の端子板63の一方に接続される。第5端子450および第6端子460のそれぞれは、ターミナル60のW相のターミナルピン62に固定されている一対の端子板63の一方に接続される。なお、スクロール圧縮機10の組立作業時には、例えば、第1端子410および第2端子420、第3端子430および第4端子440、第5端子450および第6端子460の順に、端子400が、ケーシング20の円筒部材21に固定されたターミナル60の端子板63と接続される。
【0057】
端子400の形状について更に説明する。ここでは、
図6に示す第1端子410の概略の外観図を用いて、端子400の形状を説明する。第2端子420、第3端子430、第4端子440、第5端子450、および、第6端子460の形状は、第1端子410の形状と同様であるので、図面および説明は省略する。
【0058】
第1端子410は、端子板63と接続される端子板接続部410aと、第1リード線210と接続されるリード線接続部410bと、を含む(
図6参照)。
【0059】
端子板接続部410aは、筒状に形成され、内部に端子板63が挿入される。なお、端子板接続部410aの側面には、筒状の端子板接続部410aの軸方向、言い換えれば第1端子410の挿抜方向(第1端子410の端子板63に対する取付/取外し方向)に延びるスロット410aa(
図6参照)が形成されている。スロット410aaを具備しているため、筒状の端子板接続部410aの断面は環状ではなく、概ねC字形状である(
図7参照)。筒状の端子板接続部410aの両端部は開口しており、第1端子410と端子板63とを接続する際には、一方の端部開口410ab(
図6参照)から端子板63が挿入される。端部開口410abは、端子板63を端子板接続部410aの内部に挿入するための開口である。なお、他方の端部開口410acは、リード線接続部410bに隣接しており、リード線接続部410bにより端部開口410acが塞がれているため、端部開口410acからは端子板63を挿入できない。
【0060】
リード線接続部410bは、筒状に形成されている。リード線接続部410bの中空部に第1リード線210の被覆されていない部分を挿入し固定することで、第1端子410と第1リード線210とが接続される。
【0061】
図7は、ターミナル60のU相のターミナルピン62に固定される端子板63と、その端子板63に接続される第1端子410および第2端子420を模式的に示した図である。以下に、
図7に基づいて、第1端子410および第2端子420と、端子板63との接続状態とについて説明する。
【0062】
なお、第3端子430、第4端子440、第5端子450、および第6端子460の形状や、第3端子430、第4端子440、第5端子450、および第6端子460と端子板63との接続状態は、第1端子410および第2端子420の形状や、第1端子410および第2端子420と端子板63との接続状態と同様であるので、図面および説明は省略する。
【0063】
端子板63に取り付けられた状態の第1端子410の端子板接続部410aおよび第2端子420の端子板接続部420aを、ターミナルピン62の軸方向(ターミナルピン62の延びる方向)に垂直な断面で切断した時に、端子板接続部410aおよび端子板接続部420aは、C字形状に形成されている(
図7参照)。端子板接続部410aおよび端子板接続部420aは、端子板63に取り付けられた状態でターミナルピン62の軸方向に延びる筒状に形成されている。第1端子410および第2端子420が端子板63と接続された状態では、端子板接続部410aおよび端子板接続部420aの内部に、端子板63が配置された状態となる(
図7参照)。より具体的には、第1端子410および第2端子420が端子板63と接続された状態では、端子板接続部410aおよび端子板接続部420aの内部に、端子板63のターミナルピン62よりもスクロール圧縮機10の中心側に延びる部分が配置された状態となる。第1端子410および第2端子420を端子板63に取り付ける際には、C字断面の筒状の端子板接続部410aおよび端子板接続部420aの内部に端子板63が挿入されるように、ターミナルピン62の軸方向に沿って端子板接続部410aおよび端子板接続部420aが動かされる。なお、筒状の端子板接続部410aおよび端子板接続部420aは、一端の開口側からのみ(例えば、端子板接続部410aでは、端部開口410abからのみ)、端子板接続部410aおよび端子板接続部420aの内部に端子板63が挿入可能に構成されている。第1端子410および第2端子420は、
図7のように、第1端子410および第2端子420から
図7における下方に第1リード線210および第2リード線220が延び、端子板接続部410aのスロット410aaおよび端子板接続部420aのスロット420aaが右方を向く場合に、筒状の第1端子410および第2端子420の紙面奥側の端部側からのみ端子板63が挿入可能に構成されている。なお、
図7の構成は一例であって、これに限定されるものではない。例えば、
図7とは逆に、第1端子410および第2端子420は、第1端子410および第2端子420から
図7における下方に第1リード線210および第2リード線220が延び、端子板接続部410aのスロット410aaおよび端子板接続部420aのスロット420aaが左方向を向く場合に、筒状の第1端子410および第2端子420の紙面奥側の端部側からのみ端子板63が挿入可能に構成されてもよい。第1端子410および第2端子420は、同じ向きに、言い換えればターミナルピン62の軸方向に沿って見た時に、C字形状の開口(スロット410aa,420aa)が同じ方向(
図7中では右方向)を向くように、ターミナルピン62に装着される。
【0064】
ここでは、端子板63が、ターミナルピン62のスクロール圧縮機10の中心側の端部よりも更に内側まで延びる。この端子板63のターミナルピン62よりもスクロール圧縮機10の中心側に延びる部分に、第1端子410および第2端子420は取り付けられる。そのため、第1端子410および第2端子420を同じ向きに端子板63に取り付けても、第1端子410および第2端子420のいずれもターミナルピン62には接触しない。言い換えれば、第1端子410および第2端子420を同じ向きに端子板63に取り付けても、ターミナルピン62が第1端子410および第2端子420の取り付けを阻害することがない。
【0065】
なお、仮に、ターミナルピン62の内側部に固定される端子板63が、ターミナルピン62のスクロール圧縮機10の中心側の端部よりも内側まで延びていないとすれば、一方の端子がターミナルピン62に接触する。例えば、ターミナルピン62のスクロール圧縮機10の中心側の端部よりも内側まで延びていない端子板63に、第1端子410および第2端子420を
図7のような向きに取り付ける場合、第1端子410については、端子板接続部410aのスロット410aaにターミナルピン62が配置されるため、第1端子410はターミナルピン62と接触しない。しかし、第2端子420については、スロット420aaがターミナルピン62と反対側に開口するため、端子板接続部420aがターミナルピン62に接触し、第2端子420を端子板63に取り付けることが困難である。
【0066】
端子板63に接続された第1端子410および第2端子420のそれぞれからは、ターミナルピン62に対して同一方向に第1リード線210および第2リード線220が延びる(
図7および
図8参照)。例えば、
図7では、端子板63に接続された第1端子410および第2端子420のそれぞれからは、ターミナルピン62に対して
図7における下方に第1リード線210および第2リード線220が延びる。そのため、ここでは、複数のリード線200とターミナルピン62とを整然と接続することが容易である(
図8参照)。
【0067】
束ね紐300は、複数のリード線200を束ねるための紐である。束ね紐300により束ねられるリード線200は、バラバラになることが無いよう、束ね紐300により強く結束されている。束ね紐300は、第1束ね紐310、第2束ね紐320、第3束ね紐330、第4束ね紐340、および、第5束ね紐350を含む(
図5参照)。第1リード線210および第2リード線220は、第1束ね紐310によって束ねられる(
図5参照)。第1束ね紐310から、第1リード線210および第2リード線220のターミナル60側の先端までの距離(リード線の長さ)は、それぞれ第1距離L1で等しい(
図5参照)。第1距離L1は、第1リード線210および第2リード線220の先端の第1端子410および第2端子420が、ターミナル60の所定の(U相の)ターミナルピン62の端子板63に取り付けられた際に、第1リード線210および第2リード線220に過度に引張力が作用した状態や、第1リード線210および第2リード線220が過度に弛んだ状態になることがないように、適切な長さに決定されている。第3リード線230および第4リード線240は、第2束ね紐320によって束ねられる(
図5参照)。第2束ね紐320から、第3リード線230および第4リード線240のターミナル60側の先端までの距離は、それぞれ第2距離L2で等しい(
図5参照)。第2距離L2は、第3リード線230および第4リード線240の先端の第3端子430および第4端子440が、ターミナル60の所定の(V相の)ターミナルピン62の端子板63に取り付けられた際に、第3リード線230および第4リード線240に過度に引張力が作用した状態や、第3リード線230および第4リード線240が過度に弛んだ状態になることがないように、適切な長さに決定されている。第5リード線250および第6リード線260は、第3束ね紐330によって束ねられる(
図5参照)。第3束ね紐330から、第5リード線250および第6リード線260のターミナル60側の先端までの距離は、それぞれ第3距離L3で等しい(
図5参照)。第3距離L3は、第5リード線250および第6リード線260の先端の第5端子450および第6端子460が、ターミナル60の所定の(W相の)ターミナルピン62の端子板63に取り付けられた際に、第5リード線250および第6リード線260に過度に引張力が作用した状態や、第5リード線250および第6リード線260が過度に弛んだ状態になることがないように、適切な長さに決定されている。リード線200の誤配線を防止するため、第1距離L1と、第2距離L2と、第3距離L3とは、それぞれ異なる値に設定されている。
【0068】
第1リード線210、第2リード線220、および第3リード線230は、第1束ね紐310および第2束ね紐320よりもステータコイル44側で、第4束ね紐340によって束ねられる(
図5参照)。第4リード線240、第5リード線250、および第6リード線260は、第2束ね紐320および第3束ね紐330よりもステータコイル44側で、第5束ね紐350によって束ねられる(
図5参照)。
【0069】
なお、リード線アセンブリ100のリード線200の、第4束ね紐340および第5束ね紐350により束ねられている部分は、ステータコイル44と共にワニス(例えば、樹脂)により固めて固定されている。
【0070】
(2−7)下部軸受
下部軸受90は、クランク軸50を軸支する軸受であって、モータ40の下方に配置される(
図1参照)。下部軸受90は、ケーシング20の円筒部材21に固定されている。下部軸受90は、クランク軸50の主軸52を回転自在に軸支する。
【0071】
(3)スクロール圧縮機の動作説明
スクロール圧縮機10の動作について説明する。
【0072】
ターミナル60およびリード線アセンブリ100を介してステータコイル44に電流が供給され、モータ40が駆動されると、ロータ45が回転し、ロータ45と連結されたクランク軸50が回転する。クランク軸50が回転することで、可動スクロール32が駆動される。可動スクロール32は、自転することなく固定スクロール31に対して公転する。
【0073】
可動スクロール32の公転に伴い、圧縮機構30の圧縮室Scの容積は周期的に変化する。圧縮室Scの容積が増加する際には、低圧のガス冷媒が、吸入管23を通って圧縮室Scに供給される。より具体的には、最周縁側の圧縮室Scの容積が増加する際に、吸入管23から供給される低圧のガス冷媒が、最周縁側の圧縮室Scに供給される。一方、圧縮室Scの容積が減少する際には、圧縮室Sc内でガス冷媒が圧縮され、最終的に高圧のガス冷媒となる。高圧のガス冷媒は、固定スクロール31の上面の中心付近に位置する吐出口31bから吐出される。吐出口31bから吐出された高圧のガス冷媒は、固定スクロール31およびハウジング33に形成された図示されない冷媒通路を通過して、ハウジング33の下方の空間へと流入する。圧縮機構30により圧縮された高圧のガス冷媒は、最終的に吐出管24からスクロール圧縮機10外に吐出される。
【0074】
(4)特徴
(4−1)
本実施形態のスクロール圧縮機10は、モータ40と、ケーシング20と、ターミナル60と、リード線アセンブリ100と、を備える。モータ40は、ステータコイル44を有する。ケーシング20は、モータ40を収容する。ターミナル60は、ケーシング20に取り付けられる。リード線アセンブリ100は、ステータコイル44とターミナル60とを結ぶ。リード線アセンブリ100は、リード線200と、束ね紐300と、を有する。リード線200は、第1リード線210、第2リード線220、第3リード線230、第4リード線240、第5リード線250、および、第6リード線260を含む。束ね紐300は、第1束ね紐310、第2束ね紐320、第3束ね紐330、第4束ね紐340、および、第5束ね紐350を含む。第1リード線210および第2リード線220は、ターミナル60の第1相の一例としてのU相に接続される。第3リード線230および第4リード線240は、ターミナル60の第2相の一例としてのV相に接続される。第5リード線250および第6リード線260は、ターミナルの第3相の一例としてのW相に接続される。第1リード線210および第2リード線220は、第1束ね紐310によって束ねられる。第1束ね紐310から、第1リード線210および第2リード線220のターミナル60側の先端までの距離は、それぞれ第1距離L1で等しい。第3リード線230および第4リード線240は、第2束ね紐320によって束ねられる。第2束ね紐320から、第3リード線230および第4リード線240のターミナル60側の先端までの距離は、それぞれ第2距離L2で等しい。第5リード線250および第6リード線260は、第3束ね紐330によって束ねられる。第3束ね紐330から、第5リード線250および第6リード線260のターミナル60側の先端までの距離は、それぞれ第3距離L3で等しい。第1距離L1と、第2距離L2と、第3距離L3とは、それぞれ異なる。第1リード線210、第2リード線220、および第3リード線230は、第1束ね紐310および第2束ね紐320よりもステータコイル44側で、第4束ね紐340によって束ねられる。第4リード線240、第5リード線250、および第6リード線260は、第2束ね紐320および第3束ね紐330よりもステータコイル44側で、第5束ね紐350によって束ねられる。
【0075】
ここでは、各々がターミナル60の同相に接続される3組の一対のリード線(第1リード線210および第2リード線220、第3リード線230および第4リード線240、および、第5リード線250および第6リード線260)が、それぞれ第1束ね紐310、第2束ね紐320、および、第3束ね紐330によって束ねられてまとめられる。また、第1束ね紐310、第2束ね紐320、および、第3束ね紐330によって束ねられる各一対のリード線(第1リード線210および第2リード線220、第3リード線230および第4リード線240、および、第5リード線250および第6リード線260)において、そのリード線を束ねる束ね紐(第1束ね紐310、第2束ね紐320、又は、第3束ね紐330)から、リード線のターミナル60側の先端までの距離がそれぞれ等しい。しかも、リード線200の組別(リード線200が接続されるターミナル60の相別(U相、V相、W相の別))に、束ね紐(第1束ね紐310、第2束ね紐320、又は、第3束ね紐330)から、その束ね紐によって束ねられる一対のリード線(第1リード線210および第2リード線220、第3リード線230および第4リード線240、又は、第5リード線250および第6リード線260)のターミナル60側の先端までの距離が異なる。そのため、リード線200をターミナル60に接続する際に、同相につなぐべきリード線(第1リード線210および第2リード線220、第3リード線230および第4リード線240、および、第5リード線250および第6リード線260)を、別々の相に誤結線することを防止することが容易である。
【0076】
さらに、ここでは、U相に接続される第1リード線210および第2リード線220と、V相に接続される第3リード線230および第4リード線240と、W相に接続される第5リード線250および第6リード線260とで、それぞれ被覆の色が異なるので、リード線200の誤結線が更に防止されやすい。
【0077】
また、ここでは、ステータコイル44側において、ターミナル60のU相に接続される一対の第1リード線210および第2リード線220と、ターミナル60のV相に接続される一対のリード線のうちの1本(第3リード線230)とが第4束ね紐340により束ねられる。そして、ターミナル60のV相に接続される一対のリード線の他の1本(第4リード線240)と、ターミナル60のW相に接続される一対の第5リード線250および第6リード線260とが第5束ね紐350により束ねられている。このため、リード線200を一体として管理することができる。特に、ここでは、ステータコイル44側において、リード線200全部を1本の束ね紐で束ねるのではなく、3本ずつ2本の束ね紐で束ねているため、リード線200のターミナル60への接続時に、リード線200の向きを個別に調整することが比較的容易で、スクロール圧縮機10の組立性を向上させることができる。
【0078】
(4−2)
本実施形態のスクロール圧縮機10では、第1リード線210、第2リード線220、第3リード線230、第4リード線240、第5リード線250、および、第6リード線260の先端には、それぞれ端子400が取り付けられる。ターミナル60は、スクロール圧縮機10の中心側に向かって互いに平行に延びる3本のターミナルピン62と、ターミナルピン62にそれぞれ固定された、一対の互いに平行に対向する端子板63と、を有する。各ターミナルピン62の一対の端子板63には、それぞれ、第1リード線210の第1端子410および第2リード線220の第2端子420と、第3リード線230の第3端子430および第4リード線240の第4端子440と、第5リード線250の第5端子450および第6リード線260の第6端子460と、が接続される。各ターミナルピン62を、ターミナルピン62が延びる方向から見た時に、端子板63の平面が延びる方向は、ターミナルピン62毎に異なる。
【0079】
6本のリード線200が1つの束ね紐により束ねられる場合、リード線200のそれぞれの向きを個別に調整することが容易ではない。そのため、ターミナル60をターミナルピン62が延びる方向から見た時に、3本のターミナルピン62に固定された一対の端子板63の平面が互いに異なる方向に延びる場合には、リード線200のそれぞれの向きを、束ね紐で束ねる前に正確に調整しておくことが必要になる。
【0080】
これに対し、ここでは、リード線200が、ステータコイル44側で、3本のリード線(第1リード線210、第2リード線220、および第3リード線230と、第4リード線240、第5リード線250、および第6リード線260と)毎に異なる束ね紐(第4束ね紐340および第5束ね紐350)により束ねられているため、リード線200の全てが1つの束ね紐により束ねられる場合に比べ、端子板63への端子400の接続時に、リード線200の向きを個別に変更することが比較的容易である。そのため、リード線200の向きを、束ね紐300で束ねる前に調整することが不要となり、スクロール圧縮機10の組立性を向上させることができる。
【0081】
(4−3)
本実施形態のスクロール圧縮機10では、第4束ね紐340および第5束ね紐350は、ステータコイル44と共にワニスで固めて固定されている。
【0082】
ここでは、第4束ね紐340および第5束ね紐350がステータコイル44にワニスで固定されているため、スクロール圧縮機10の運転時にリード線200が振動して騒音の原因となることを防止できる。
【0083】
(5)変形例
以下に上記実施形態の変形例を示す。なお、以下に示す変形例は、互いに矛盾しない範囲で、複数組み合わして適用されてもよい。
【0084】
(5−1)変形例A
上記実施形態のターミナル60のターミナルピン62の配置や、各ターミナルピン62に固定される端子板63の向きは例示であって、これに限定されるものではない。
【0085】
例えば、1のターミナルピン62に固定される端子板63の平面と、他のターミナルピン62に固定される端子板63の平面とは、平行であってもよい。ただし、上記実施形態のように、ターミナルピン62が延びる方向から見た時に、ターミナルピン62に固定される端子板63の延びる方向が、ターミナルピン62毎に異なる場合には、ターミナルピン62同士の距離が比較的近接する場合にも、ターミナル60の端子板63と端子400との接続が容易である。
【0086】
(5−2)変形例B
上記実施形態では、リード線200の長さに関し、第1距離L1<第2距離L2<第3距離L3の関係があるが、第1距離L1、第2距離L2、および、第3距離L3の距離の関係は一例であって、これに限定されるものではない。
【0087】
(5−3)変形例C
上記実施形態の端子400の形状は一例であって、これに限定されるものではない。端子400の形状には各種の形状を適用可能である。
【0088】
また、上記実施形態では、各ターミナルピン62の一対の端子板63に取り付けられる端子400から、そのターミナルピン62に対して同じ側にリード線200が延びる。ただし、これに限定されるものではなく、リード線200は、各ターミナルピン62の一対の端子板63に取り付けられる端子400から、そのターミナルピン62に対して異なる側にリード線200が延びるように構成されてもよい。例えば、
図7を例に説明すれば、第1リード線210は、端子板63に取り付けられる第1端子410からターミナルピン62に対して
図7における下方に、第2リード線220は、端子板63に取り付けられる第2端子420からターミナルピン62に対して
図7における上方に、それぞれ延びるように構成されてもよい。
【0089】
ただし、各ターミナルピン62の一対の端子板63に取り付けられる端子400から、そのターミナルピン62に対して同じ側に一対のリード線200が延びる場合には、その一対のリード線200のいずれかに過度に引張力が作用した状態や、その一対のリード線200のいずれかが過度に弛んだ状態が発生しにくい。そのため、各ターミナルピン62の一対の端子板63に取り付けられる端子400からは、そのターミナルピン62に対して同じ側に一対のリード線200が延びることがより好ましい。
【0090】
(5−4)変形例D
上記実施形態では、端子板63は、ターミナルピン62のスクロール圧縮機10の中心側の端部よりも内側まで延びるが、これに限定されるものではない。
【0091】
端子板63が、ターミナルピン62のスクロール圧縮機10の中心側の端部より内側に延びない場合には、同一のターミナルピン62に固定される一対の端子板63に接続される端子400において、C字形状の断面の端子板接続部の開口(スロット)が、いずれもターミナルピン62側を向くようにリード線アセンブリ100が構成されてもよい。リード線アセンブリ100がこのように構成されることで、各ターミナルピン62の一対の端子板63に取り付けられる端子400から、そのターミナルピン62に対して同じ側に一対のリード線200が延びるように配置することができる。
【0092】
図9および
図10を用いて具体的に説明する。
図9に描画されるターミナル160は、端子板163だけが上記実施形態のターミナル60と相違する。
図9および
図10の端子板163は、ターミナルピン62のスクロール圧縮機10の中心側の端部よりも内側まで延びる部分を有さない点で、上記実施形態の端子板63と相違する。
【0093】
図10は1のターミナルピン62の一対の端子板163に取り付けられる第1端子410および第2端子420’を描画している。他のターミナルピン62に取り付けられる端子については同様であるため、図面および説明は省略する。
【0094】
上記実施形態との違いとして、第2端子420'は、
図10のように、第2端子420'から
図10における下方に第2リード線220が延びる場合に、第2端子420'の端子板接続部420aのスロット420aaがターミナルピン62側を向くように、上記実施形態の第2端子420と対称に構成されている。言い換えれば、上記実施形態では、第1端子410の端子板接続部410aのスロット410aaと、第2端子420の端子板接続部420aのスロット420aaとは、同じ向き(
図7中では右)を向くように構成されているのに対し(
図7参照)、変形例Dでは、端子板接続部410aのスロット410aaと、端子板接続部420aのスロット420aaとは、互いに向かい合うように線対称に構成されている。つまり、同一のターミナルピン62に固定された一対の端子板163の一方には、第2端子420’の端子板接続部420aのスロット420aaが、他方の端子板163に接続された第1端子410の端子板接続部410aのスロット410aaとターミナルピン62を挟んで対向するように、第2端子420’が取り付けられる。端子板接続部410aおよび端子板接続部420aの内部に端子板163が配置され、第1端子410および第2端子がそれぞれ端子板163と接続された状態で、端子板接続部410aのスロット410aaおよび端子板接続部420aのスロット420aaには、ターミナルピン62の一部が配置される。そのため、端子板接続部410aおよび端子板接続部420aは、いずれもターミナルピン62と接触しない。説明は省略するが、第3端子430および第4端子440'と、第5端子450および第6端子460'についても、同様に構成されている(
図10参照)。このように構成されることで、1のターミナルピン62に平行に取り付けられた端子板163と接続される一対の端子(第1端子410,第2端子420’)から、同一の向きにリード線200が延びる場合に、第1端子410および第2端子420’のいずれもターミナルピン62と接触しない。
【0095】
ただし、このように構成される場合には、1のターミナルピン62の一対の端子板63に接続される端子の形状が2種類存在することになるので、リード線アセンブリ100の製造(組立)行程が複雑になりやすく、作業の手間がかかりやすい。リード線アセンブリ100の組立性の観点からは、リード線アセンブリ100に使用される端子400は1種類であることが好ましい。
【0096】
(5−5)変形例E
上記実施形態に係る圧縮機は、スクロール圧縮機であるが、これに限定されるものではない。例えば、圧縮機は、上記実施形態のリード線アセンブリ100を備えたロータリ圧縮機であってもよい。