特許第6331863号(P6331863)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6331863
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6555 20140101AFI20180521BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20180521BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20180521BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20180521BHJP
   H01M 10/6562 20140101ALI20180521BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20180521BHJP
【FI】
   H01M10/6555
   H01M10/647
   H01M2/10 Y
   H01M2/10 E
   H01M10/613
   H01M10/6562
   H01M10/6556
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-163384(P2014-163384)
(22)【出願日】2014年8月11日
(65)【公開番号】特開2016-39111(P2016-39111A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2017年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤田 尚
(72)【発明者】
【氏名】筒木 正人
【審査官】 永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−084551(JP,A)
【文献】 特開2008−165989(JP,A)
【文献】 特開2007−172893(JP,A)
【文献】 特開2014−192091(JP,A)
【文献】 特開2014−86281(JP,A)
【文献】 特開2013−38054(JP,A)
【文献】 特開2008−91205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M2/10
10/52−10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のリード端子を備える複数の板状の蓄電素子と、前記蓄電素子で発生する熱を外部に放出するための複数のヒートシンクと、を交互に積層させるとともに、前記蓄電素子および前記ヒートシンクを保持する絶縁性の保持部材を含む積層体と、
前記積層体を内部に収容してなるケースと、を備え、
前記一対のリード端子は前記保持部材に形成された凹状に窪んだ端子配置部に配置されており、
前記ヒートシンクのうち前記蓄電素子と対向する面には凹部および凸部の双方または一方が複数設けられており、
前記ケースの前記積層体の積層方向に沿う面のうち前記リード端子の突出方向に沿う面に複数の放熱孔が設けられ、前記複数の放熱孔のうちの一部は、前記保持部材の少なくとも一部を露出させており、前記リード端子の突出方向と交差する面は、外部との接続部分以外が塞がれている蓄電モジュール。
【請求項2】
前記凹部および凸部は帯状に延びる溝部および陵部であり、前記溝部および陵部により前記蓄電素子と前記ヒートシンクとの間に形成される隙間が、前記複数の放熱孔間を連通している請求項1に記載の蓄電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、蓄電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
内部に蓄電要素が収容されてなる蓄電素子の一例としてリチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池等が知られている。リチウムイオン電池等の二次電池は、複数個を接続することにより電池モジュールを構成する。このような電池モジュールとしては、例えば、特許文献1に記載されているものなどが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−210312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の電池モジュールのように複数個の蓄電素子を積層してなる蓄電モジュールにおいては、充放電の繰り返し等により、蓄電素子が高温になることがある。蓄電素子が高温になると、性能の低下が懸念される。
【0005】
本明細書に開示される技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、放熱性に優れる蓄電モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示される蓄電モジュールは、一対のリード端子を備える複数の板状の蓄電素子と、前記蓄電素子で発生する熱を外部に放出するための複数のヒートシンクと、を交互に積層させるとともに、前記蓄電素子および前記ヒートシンクを保持する絶縁性の保持部材を含む積層体と、前記積層体を内部に収容してなるケースと、を備え、前記一対のリード端子は前記保持部材に形成された凹状に窪んだ端子配置部に配置されており、前記ヒートシンクのうち前記蓄電素子と対向する面には凹部および凸部の双方または一方が複数設けられており、前記ケースの前記積層体の積層方向に沿う面のうち前記リード端子の突出方向に沿う面に複数の放熱孔が設けられ、前記複数の放熱孔のうちの一部は、前記保持部材の少なくとも一部を露出させており、前記リード端子の突出方向と交差する面は、外部との接続部分以外が塞がれている。
【0007】
このような蓄電モジュールによれば、ヒートシンクに設けられた凹部および凸部の双方または一方により、蓄電素子とヒートシンクとの間に隙間が形成される。また、ケースには複数の放熱孔が設けられているから、隙間にこもった熱を、放熱孔を通して外部に効率よく放熱することができる。よって、放熱性に優れる蓄電モジュールが得られる。
【0008】
前記凹部および凸部は帯状に延びる溝部および陵部であり、前記溝部および陵部により前記蓄電素子と前記ヒートシンクとの間に形成される隙間が、前記複数の放熱孔間を連通していることが好ましい。
【0009】
このような構成によれば、蓄電モジュールを横切るように放熱経路が確保されるから、より熱がこもり難く、放熱性が向上する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、放熱性に優れる蓄電モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る電池モジュールの分解斜視図
図2】電池モジュールの平面図
図3】電池モジュールの側面図
図4図2のA−A断面図
図5】最下段の電池ユニットの分解斜視図
図6】ヒートシンクの斜視図
図7】ヒートシンクの平面図
図8】ヒートシンクの側面図
図9】他の実施形態のヒートシンクの斜視図
図10】他の実施形態のヒートシンクの斜視図
図11図10の要部拡大斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
一実施形態の電池モジュール(蓄電モジュールの一例)を図1ないし図8によって説明する。以下の説明において、図1における左手前側を前方とし右後ろ側を後方とし、上方を上とし下方を下とする。
【0013】
本実施形態の電池モジュール10は、例えばIntegrated Starter Generator(ISG)用の電池モジュール10として用いられる。
【0014】
(電池モジュール10)
電池モジュール10は、全体として略直方体形状をなし、複数の扁平な板状の単電池20(蓄電素子の一例)と、複数のヒートシンク40と、これらを保持する複数の保持部材30と、を含む積層体11と、この積層体11を収容する金属製のケース50と、を備える。各単電池20は各ヒートシンク40上に載置されており、これらの短辺側の一対の側縁40Aが各保持部材30により保持されている(図5参照)。本実施形態において、ヒートシンク40に単電池20を載置し、両縁部に保持部材30を取り付けたものを、電池ユニット12とよぶ。本実施形態における積層体11は、電池ユニット12を6つ積層したものである(図1参照)。
【0015】
(単電池20)
各単電池20は、上面視略長方形状の板状をなす、ラミネート型の電池である。各単電池20は、図示しない発電要素と、発電要素を包むとともに縁部が溶着されたラミネートフィルム21と、発電要素に接続されるとともにラミネートフィルム21の溶着された縁部からそれぞれ反対方向に向けて外側に突出する一対のリード端子22と、を有する(図5参照)。
【0016】
(リード端子22)
図1において、上から1段目(最上段)に配されている単電池20の後側縁部(右後ろ側)から突出するリード端子22が正極端子であり、図示前側縁部(左手前側)から突出するリード端子22が負極端子である。積層方向において隣り合う単電池20は、相違する極性のリード端子22が対向する位置に配されるように配置され、接続されている。
【0017】
詳細には、6つの単電池20のうち、上から1段目の単電池20の図中前側縁部から突出する負極リード端子22、および、上から6段目の前側縁部から突出する正極リード端子22は、図示しない電圧検知端子を介してバスバー25に重ねられて接続されており、バスバー接続端子22Aとされている。
【0018】
一方、バスバー接続端子22A以外のリード端子22は、上下方向において隣り合うリード端子22と互いに逆方向となるように略垂直状に屈曲されるとともに、それらの端部同士が接触するように重ね合わされて、溶接により接続されている。これらのリード端子22は、端子間接続端子22Bとされている。2段目から5段目の各単電池20において、一方の縁部から突出するリード端子22Bと他方の縁部から突出するリード端子22Bとは、互いに逆方向に向けて屈曲されている。
【0019】
(バスバー25)
最上段の単電池20に接続されるバスバー25は、電池モジュール10の負極として機能する端子25Bであり、最下段の単電池20に接続されるバスバー25は、電池モジュール10の正極として機能する端子25Aである。各バスバー25は、純アルミ、アルミ合金、銅または銅合金などの導電性材料からなり、後述する絶縁蓋部材71のバスバー導出口72から導出される先端部分が、外部機器と接続される端子部26とされている。
【0020】
(保持部材30)
各単電池20は、絶縁樹脂製の保持部材30により、ヒートシンク40の上に載置された状態で保持されている。保持部材30は、単電池20の前後方向の両端部に、それぞれ配されている(図5参照)。
【0021】
各保持部材30には、後述するケース50の第1固定部材15を挿通可能な一対の貫通孔31が上下方向に貫通して設けられている。また、保持部材30の上面には、リード端子22を配置して保持する凹状に窪んだ端子配置部32が形成されており、この端子配置部32にリード端子22が配置されることにより、単電池20が位置決めされるようになっている。
【0022】
また、前方側において上から1段目および6段目に配置される保持部材30には、それぞれ、バスバー25を保持するバスバー保持部33が形成されている。バスバー保持部33には、バスバー25が嵌め込まれる凹部33Aと、凹部33Aに嵌め込まれたバスバー25を抜け止めする抜止突部33Bとが形成されている。
【0023】
さらに、前方側において上から1段目、3段目、5段目、6段目に配置される保持部材30、および、後方側において上から2段目、4段目、6段目に配置される保持部材30には、それぞれ、電圧検知端子が保持される端子保持部36と、電圧検知端子に接続された電線を収容する電線収容溝37と、が設けられている。
【0024】
また、積層体11の背面側には、背面側に配されるリード端子22の接続部とケース50との間に配され、リード端子22を絶縁保護する積層体保持部材38が取り付けられるようになっている(図1参照)。
【0025】
さらに、上下方向において重なりあう保持部材30のうち、一方の保持部材30には、他方の保持部材30側に突出するとともに、内側方向に突出する図示しない係止爪が形成された係合突部34が設けられ、他方の保持部材30には、係合突部34を受け入れる凹み形状をなすとともに、係止爪を係止する図示しない係止突部が形成された係合受け部35が設けられている。係合突部34と係合受け部35は相互に係合する構造となっている。上下方向において隣り合う保持部材30は、積層体11の前後面、および、左右側面のそれぞれ2か所で係合している。
【0026】
(ヒートシンク40)
本実施形態においては、各単電池20はヒートシンク40上に載置されている。本実施形態では、ヒートシンク40の材料として、熱伝導性に優れたアルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられる。
【0027】
ヒートシンク40は、図6ないし図8に示すように、上面視略長方形の板状をなしており、短辺側の一対の側縁40Aの両端部付近には、それぞれ一対の固定片41が前後方向に向けて延出形成されている。これら固定片41は、ヒートシンク40を保持部材30に取り付けるためのものであって、その中央に、保持部材30に設けられたヒートシンク固定部(図示せず)を係合させるための固定孔41Aが穿設されている。
【0028】
ヒートシンク40には、表面側に細長い帯状に突出する複数の陵部42が、所定の間隔を隔てて設けられている。これらの複数の陵部42は、ヒートシンク40の短辺側の側縁40Aと平行に延びており、それらの長さは、ヒートシンク40の短辺側の側縁40Aより短い長さとされている。また、陵部42の上面は平坦面とされている。これらの陵部42は、プレス成形により形成されており、裏面側は溝状に窪んでいる(図4参照)。本実施形態において、陵部42は、合計8本設けられている。
【0029】
なお、一の陵部42と隣り合う陵部42との間の窪んだ領域は、溝部43とされている。
【0030】
(ケース50)
ケース50は、図1に示すように、積層体11を収容するケース本体51と、蓋部61と、絶縁蓋部材71と、を備える。ケース本体51は、上面および前面が開口した箱形をなし、上面の開口部に蓋部61が被せられるとともに、前面の開口部に絶縁蓋部材71が取り付けられる。
【0031】
ケース本体51は、略長方形状の底部52と、底部52の両側縁部および後側縁部から垂直に立ち上がる3つの側壁53と、を備える。
【0032】
一方蓋部61は、略長方形状の板状部62と、板状部62に対してその両側縁部および後側縁部から略垂直下方に連なり、ケース本体51の上端部に固定される固定部63と、を備える。
【0033】
底部52および板状部62の中央位置には、ケース50の内側方向に突出する突出面54、64が形成されている。ケース本体51の突出面54は、最下段(下から1段目)のヒートシンク40と接触するように設定されるとともに、蓋部61の突出面64は、最上段(上から1段目)の単電池20と接触するように設定されている。これらの突出面54、64がヒートシンク40あるいは単電池20と接触することにより、単電池20から生じる熱がケース50に伝わって、外部に放熱されるようになっている。
【0034】
底部52および板状部62においては、突出面54、64よりも外側の四隅に、蓋部61と、積層体11と、ケース本体51とを固定するための第1固定部材15が配される固定孔55、65が貫通して形成されている。固定孔55、65の孔径は、第1固定部材15の外径よりも小さく形成されている。
【0035】
また、底部52および板状部62においては、前端部側に長方形状の蓋係止孔56、66が貫通して形成されている。これらの蓋係止孔56、66は、前側に取り付けられる絶縁蓋部材71を係止するためのものである。
【0036】
蓋部61の固定部63には、蓋部61をケース本体51に固定するための第2固定部材(図示せず)を挿通可能な挿通孔67が複数(3つずつ)形成されている。固定部63はケース本体51の一対の左右側面および後面の外側に重ねられる。
【0037】
ケース本体51の前側の開口部に取り付けられる絶縁蓋部材71には、バスバー25が導出される一対のバスバー導出口72が形成されている。
【0038】
絶縁蓋部材71の下端部には、複数の電線を導出するための略方形状の切欠部73が設けられている。この絶縁蓋部材71は、ケース本体51の開口部を覆うだけでなく、積層体11の前方の端面側に配されるリード端子22を絶縁保護する機能を有している。
【0039】
絶縁蓋部材71の上端部と下端部には、それぞれ、後方に突出する一対の突出片74が設けられている。突出片74先端には蓋係止孔56,66に係止される係止突部74Aが形成されている。
【0040】
絶縁蓋部材71の上端部の一対の突出片74の間には、後方に突出する絶縁板部75が形成されている。絶縁板部75は板状部62の下方に重なるように配されている。
【0041】
さらにケース本体51の一対の対向する側壁53には、それぞれ複数(本実施形態では5つずつ)の放熱孔57が前後方向に間隔を空けて並んで設けられている。本実施形態において、放熱孔57の開口縁部は、円形とされている。また、複数の放熱孔57は、互いに対向する側壁53の同位置に形成されている。
【0042】
図3に示すように、5つの放熱孔57のうち中央の3つは、積層体11がケース本体51に収容された際に、ヒートシンク40の長辺側の側縁40Bを外部に露出させるようになっている。また、両端に配される放熱孔57は、保持部材30の少なくとも一部を露出させる位置に設けられている。
【0043】
また、側壁53のうち、上述した蓋部61の挿通孔67が重ねられる位置には、第2固定部材を挿通可能な挿通孔58が設けられている。
【0044】
(本実施形態の電池モジュール10の組み立て方法)
次に本実施形態の電池モジュール10の組み立て方法について説明する。まず、合計6枚のヒートシンク40を用意し、それらの固定孔41Aにそれぞれ対応する保持部材30のヒートシンク固定部(図示せず)を嵌め込むことにより、ヒートシンク40に保持部材30を取り付ける。
【0045】
次に、電線収容溝37を備える保持部材30の端子保持部36に、電圧検知端子を載置し、電線収容溝37に、図示しないコネクタが接続された電線を収容する。また、バスバー保持部33を備える保持部材30に、バスバー25を取り付ける。
【0046】
次に、保持部材30が取り付けられたヒートシンク40の上に、単電池20を載置する。具体的には、バスバー保持部33を備える保持部材30が取り付けられた2枚のヒートシンク40の上には、バスバー接続端子22Aを備えた単電池20を載置し、他のヒートシンク40には、端子間接続端子22Bを備えた単電池20を載置する。
【0047】
このようにして複数の(6つの)電池ユニット12が得られる。
【0048】
次に、6つの電池ユニット12を最下段から順に積層する。具体的には、下から2段目(上から5段目)に配される保持部材30の係合受け部35を、最下段(上から6段目)に配される保持部材30に形成された係合突部34に対応するように配して、電池ユニット12を積層する。
【0049】
上側に配される保持部材30を下方に移動させると、係合突部34が係合受け部35の内部に嵌り込み、係合突部34の係止爪が係合受け部35内の係止突部に当接すると、係合突部34の移動が規制され係合突部34と係合受け部35とが相互に係合する。
【0050】
同様の作業を繰り返して6つの電池ユニット12を積層すると、上下方向において重なりあう保持部材30の一方の係合突部34と他方の係合受け部35とが相互に係合して一体化され、積層体11が得られる。
【0051】
次に、上下に隣り合う保持部材30の間に設けられた空間内に溶接用の治具を挿入して、上下方向において、隣り合う2つのリード端子22の端部同士を接合する。2つのリード端子22の端部を重ねた部分をリード端子22の突出する方向に対し交差する方向に挿入した一対の治具で挟んで、レーザー光を照射することにより溶接することで、隣り合う極性の相違するリード端子22同士を接続する。
【0052】
このようにして得られた積層体11の後方の端面側に積層体保持部材38を取り付けて、積層体11を保持状態とする。
【0053】
次に、積層体11の背面側から導出される電線を、ケース本体51の後面の上端に形成した電線導出用の切欠部(図示せず)から導出させて、積層体11をケース本体51に収容する。この時、積層体11の挿入方向における先端縁が放熱孔57の開口縁部に引っ掛かってしまうことが懸念されるが、放熱孔57の開口縁部は円形とされており、積層体11の下端縁(先端縁)との間に角度を有するようになっているから、引っ掛かり難く、組み立て時の作業性に優れる。
【0054】
次に、絶縁蓋部材71をケース本体51の前側の開口部に取り付ける。具体的には、絶縁蓋部材71の切欠部73から、積層体11の前側から導出される電線を導出させるとともに、絶縁蓋部材71のバスバー導出口72からバスバー25を導出させ、突出片74の係止突部74Aをケース本体51の蓋係止孔56に係止させることにより、絶縁蓋部材71をケース本体51に取り付ける。
【0055】
次に、蓋部61をケース本体51の上面を覆うように被せ付け、蓋部61の蓋係止孔66に、絶縁蓋部材71の突出片74の係止突部74Aを係止させる。
【0056】
次に、積層体11の両端部に配されている保持部材30の貫通孔31に、パイプ状の第1固定部材15を貫通させた状態で、図示しない治具に蓋部61の固定孔65、中空の第1固定部材15およびケース本体51の底部52の固定孔55を挿入して位置合わせを行った後に、ビスまたはピン等の第2固定部材を用いて蓋部61とケース本体51を固定する。このようにして電池モジュール10が完成する。
【0057】
(本実施形態の作用および効果)
次に、本実施形態の作用および効果について説明する。
【0058】
本実施形態の電池モジュール10によれば、ヒートシンク40に陵部42および溝部43が設けられているから、陵部42の帯状に延びた平坦な頂部が単電池20の下面に当接し、ヒートシンク40のうち溝部43を含む陵部42以外の領域と、単電池20の下面との間に、隙間Sが形成される。この隙間Sは、電池モジュール10を横切るように配されて、ケース本体51の一対の側壁53の対向する放熱孔57間を連通させており、通気路として機能する。
【0059】
すなわち、複数の単電池20により発生し、ケース50内にこもった熱は、ケース50に設けられた放熱孔57を通して外部に放熱されるのであるが、この時、通気路に流れ込む空気により、ケース50内の熱を外部に押し出すようにして放熱させることができる。
【0060】
また本実施形態によれば、積層体11の上端部に配された単電池20、および、積層体11の下端部に配されたヒートシンク40がケース50の蓋部61の突出面64と接触するようになっているから、積層体11の熱が蓋部61に伝わり易く、放熱性がさらに向上する。
【0061】
このように、本実施形態の電池モジュール10は、高い放熱性を有する。
【0062】
<他の実施形態>
本明細書に開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0063】
(1)上記実施形態では、ヒートシンク40に帯状に延びる陵部42を設ける構成としたが、図9ないし図11に示すように、互いに間隔を空けて散在する凸部80を設けたり、ヒートシンク全体を波形に形成してもよく、要は、蓄電素子とヒートシンクとの間に隙間ができる構成であれば、どのような構成としてもよい。
【0064】
(2)上記実施形態では、陵部42の裏面を溝状に凹ませる形態としたが、裏面は平坦面としてもよい。
【0065】
(3)また、陵部42の位置や数、大きさは上記実施形態に限るものではない。
【0066】
(4)放熱孔57の形状は円形に限らず、例えば楕円形状や長孔形状、多角形状とすることもできる。この時、積層体11の挿入方向における先端側の開口縁部が積層体11の挿入方向に対して傾斜状あるいは円弧状とすることが好ましい。
【0067】
そのような構成とすることで、積層体11をケース50内部に収容する際に、積層体11の挿入方向における先端縁が放熱孔57の開口縁部に引っ掛かることを抑制することができる。
【0068】
(5)上記実施形態では、ヒートシンク40がアルミニウムまたはアルミニウム合金製である例を示したが、他の熱伝導性の材料や合成樹脂等かた構成してもよく、構成材料は特に限定されない。
【0069】
(6)上記実施形態では、蓄電素子が電池である例を示したが、蓄電素子は、コンデンサなどであってもよい。
【0070】
(7)上記実施形態では、ISG用の電池モジュール10に用いる例を示したが、他の用途の電池モジュールに用いてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10…電池モジュール(蓄電モジュール)
11…積層体
12…電池ユニット
20…単電池(蓄電素子)
22…リード端子
30…保持部材
40,140,240…ヒートシンク
42…陵部(凸部)
43…溝部(凹部)
50…ケース
51…ケース本体
53…側壁
57…放熱孔
61…蓋部
S…隙間
図1
図2
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図11