特許第6331869号(P6331869)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ティアック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6331869-表示装置およびこれを備える電子機器 図000002
  • 特許6331869-表示装置およびこれを備える電子機器 図000003
  • 特許6331869-表示装置およびこれを備える電子機器 図000004
  • 特許6331869-表示装置およびこれを備える電子機器 図000005
  • 特許6331869-表示装置およびこれを備える電子機器 図000006
  • 特許6331869-表示装置およびこれを備える電子機器 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6331869
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】表示装置およびこれを備える電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0484 20130101AFI20180521BHJP
   G06F 3/0362 20130101ALI20180521BHJP
【FI】
   G06F3/0484 170
   G06F3/0362 461
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-167636(P2014-167636)
(22)【出願日】2014年8月20日
(65)【公開番号】特開2016-45572(P2016-45572A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003676
【氏名又は名称】ティアック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】明石 直人
(72)【発明者】
【氏名】荒又 学
【審査官】 若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−501289(JP,A)
【文献】 特開2014−11632(JP,A)
【文献】 特開昭56−126330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/048
G06F 3/0362
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子表示部と、
複数の選択候補値の中から選択される設定値を前記電子表示部に表示させる表示制御部を備え、
前記表示制御部は、
順序が整列された前記複数の選択候補値を順次選択するための回転操作子が回転操作されていない場合に、前記設定値、および整列順において前記設定値近傍の複数の選択候補値を整列順に並べて前記電子表示部に表示させ、
前記回転操作子が回転操作されている間に、前記選択候補値を消去し、前記回転操作子の回転に応じて表示位置が円周方向に沿って移動する指標を前記電子表示部に表示させる、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記指標の表示位置の移動経路上に前記複数の選択候補値を表示させる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記回転操作子が回転操作されていない場合に、順序が整列された前記複数の選択候補値の配列方向を示す目盛を表示させ、前記目盛に沿って前記設定値および前記設定値近傍の複数の選択候補値を表示させる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
回転操作子を含む操作部と、
前記操作部からの操作信号に基づいて前記回転操作子による設定項目を特定する制御部と、
前記設定項目に応じて、表示させる設定値および選択候補値を変更する前記請求項1から3のいずれか1項に記載の表示装置と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置およびこれを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルオーディオプレイヤなどの電子機器には表示部が設けられている。この表示部には、例えば現在時刻、再生中のCDのトラック番号、あるいは現在の再生位置を示すカウンタなどの各種情報が表示される。電子機器に設けられる表示部は、電子的な方法で表示が行われる電子表示部であり、例えば液晶ディスプレイなどで構成される。電子表示部は、その表示内容を容易に変更することができるという利点を有している。例えば、機器の動作モードに応じて表示内容を変更することができる。これらの利点から、電子機器においては電子表示部が広く用いられている。
【0003】
電子表示部において表示されるのは一般的に文字や数字であり、例えば時刻表示においては、時分を示す数字が単に表示されるのが一般的である。しかし、電子表示部においてアナログ的な表示を行うことも提案されている。例えば、電子表示部において表示面周縁部に設けられた各セグメントを順次点灯させるなどしてアナログ的に時刻を表示することが提案されている(特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭50−99977号公報
【特許文献2】特開昭56−163482号公報
【特許文献3】特開昭58−140670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子表示部を有する電子機器に対してユーザが操作を行う場合において、従来(電子表示部による表示が行われる前)と同様な操作感覚が得られることが求められている。例えば、デジタルオーディオプレイヤにおいてボリューム調整を行う場合、ボリュームコントローラを操作した場合に表示部には設定ボリューム値が数字で表示されるのみであるが、従来のように、ボリュームコントローラに指標マーカが示されており、ボリュームコントローラを回すと当該指標マーカの位置が変わるといったアナログ的な操作感覚が求められている。なお、本明細書において「アナログ的な操作感覚」とは、上述のボリュームコントローラにおける指標マーカの移動、あるいは従来のチューナ受信器のように周波数選択用コントローラを回転させると表示部に設けられた指針が目盛に沿って移動するなど、操作に応じて操作部あるいは表示部が物理的に移動することを感じることができる操作感覚を意味する。
【0006】
また、電子表示部は、その表示面積を広くすることが難しいのが一般的である。したがって、限られた表示領域の中で、ユーザにアナログ的な操作感覚を与えることが求められる。
【0007】
本発明の目的は、電子表示部を有する電子機器に対してユーザが操作を行った場合に、表示内容を柔軟に変更できるという電子表示部が有する機能を活かしつつ、当該操作についてアナログ的な操作感覚をユーザに対して与えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る表示装置は、電子表示部と、複数の選択候補値の中から選択される設定値を前記電子表示部に表示させる表示制御部を備え、前記表示制御部は、順序が整列された前記複数の選択候補値を順次選択するための回転操作子が回転操作されていない場合に、前記設定値、および整列順において前記設定値近傍の複数の選択候補値を整列順に並べて前記電子表示部に表示させ、前記回転操作子が回転操作されている間に、前記選択候補値を消去し、前記回転操作子の回転に応じて表示位置が円周方向に沿って移動する指標を前記電子表示部に表示させる、ことを特徴とする。
【0009】
望ましくは、前記表示制御部は、前記指標の表示位置の移動経路上に前記複数の選択候補値を表示させる。
【0010】
望ましくは、前記表示制御部は、前記回転操作子が回転操作されていない場合に、順序が整列された前記複数の選択候補値の配列方向を示す目盛を表示させ、前記目盛に沿って前記設定値および前記設定値近傍の複数の選択候補値を表示させる。
【0011】
また、本発明は、回転操作子を含む操作部と、前記操作部からの操作信号に基づいて前記回転操作子による設定項目を特定する制御部と、前記設定項目に応じて、表示させる設定値および選択候補値を変更する上記の表示装置とを備える電子機器である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電子表示部を有する電子機器に対してユーザが操作を行った場合に、表示内容を柔軟に変更できるという電子表示部が有する機能を活かしつつ、当該操作についてアナログ的な操作感覚をユーザに対して与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係るデジタルオーディオプレイヤの構成概略図である。
図2】ロータリーコントローラが操作されている間における表示部の表示例を示す図である。
図3】指針の表示位置が移動する様子を示す図である。
図4】ロータリーコントローラが操作されていない場合における表示部の表示例を示す図である。
図5】ロータリーコントローラの操作に応じた表示部の表示の変化を示す図である。
図6】表示制御部の動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、機器としてデジタルオーディオプレイヤを例にとり説明する。なお、以下に説明する実施形態は一例であり、本発明は以下に説明する実施形態に限られるものではない。
【0015】
図1は、本実施形態に係るデジタルオーディオプレイヤ10の構成概略図である。デジタルオーディオプレイヤ10は、家庭用オーディオプレイヤであり、CD再生機能、チューナ機能、外部機器から入力されるオーディオデータの再生機能など複数の機能を有している。デジタルオーディオプレイヤ10においては、各部がBUSを介して接続されている。
【0016】
CD読取部12は、CDからオーディオデータを光学的に読み取る。CDは一般的に複数のトラック(曲)を有しており、通常1トラック目から読み取りが開始される。オーディオデータの読み取り対象となるトラックは、ユーザにより後述の操作部22を用いて指定されることができる。本実施形態ではCD読取部12には1枚のCDが収容可能であるが、複数のCDが収容可能であってもよい。この場合には、オーディオデータの読み取り対象となるCDは、ユーザにより操作部22を用いて選択される。読み取られたオーディオデータは音声処理部18へ送られる。
【0017】
チューナ部14は、AM放送およびFM放送などのラジオ放送を受信する。チューナ部14は、受信した放送のうち、ユーザにより操作部22を用いて選択された周波数の送信波について復調(検波)処理を行い、当該送信波に含まれている音声データを取得する。取得された音声データは音声処理部18へ送られる。
【0018】
外部入力インターフェース16は、外部機器との接続を行うインターフェースである。本実施形態では、外部入力インターフェース16としてUSB端子が設けられ、外部機器としてオーディオファイル(WAVファイルあるいはMP3ファイルなど)が記憶されたUSBメモリがUSB端子に接続される。USBメモリには複数のオーディオファイルを記憶することが可能であり、再生対象となるオーディオファイルはユーザにより操作部22を用いて選択される。選択されたオーディオファイルは音声処理部18へ送られる。
【0019】
外部入力インターフェース16としては、USB端子に限られず、例えばSDカードスロットなどのメモリカードスロットなどであってもよい。また、有線で接続されるものに限られず、例えばBluetooth(登録商標)アダプタやWi−Fiアダプタなどであってもよい。外部機器としては、USBメモリの他にも、SDカードなどのメモリカード、あるいはBluetooth対応のポータブルオーディオプレイヤなどであってもよい。
【0020】
音声処理部18は、例えばDSP(Digital Signal Processor)であり、CD読取部12、チューナ部14、および外部機器から送られるデジタルオーディオデータをアナログオーディオ信号に変換してスピーカ20に送る。音声処理部18は、ユーザにより操作部22により設定されるボリューム設定に応じた振幅でアナログオーディオ信号を出力する。
【0021】
スピーカ20は音声処理部18からのアナログオーディオ信号を受け、当該アナログオーディオ信号を音声として出力する。
【0022】
操作部22は、デジタルオーディオプレイヤ10に対してユーザが指示を送るためのものである。操作部22は、複数のプッシュボタンを含むプッシュボタン群22aおよび2つのロータリーコントローラ22bおよび22cを含んでいる。これらは、デジタルオーディオプレイヤ10の前面あるいは上面に設けられる。
【0023】
プッシュボタン群22aに含まれる各プッシュボタンは、押下されることで制御部24への出力電圧値が変化するものである。プッシュボタン群22aは、電源をON/OFFさせるための電源ボタン、CDまたはオーディオファイルの再生や停止を行う再生/停止ボタン、あるいはファンクション(CDファンクション、チューナファンクション、外部入力ファンクションなどのデジタルオーディオプレイヤ10の動作モード)の切り替えなどを行うためのファンクションボタンなどを含む。
【0024】
ロータリーコントローラ22bおよび22cは、例えばロータリーエンコーダであり、所定の角度回転させられる毎に制御部24に対してパルス波を送信する。ロータリーコントローラ22bおよび22cは、ボリュームの設定の他、各ファンクションに応じた様々な設定のために用いられる。例えば、CDファンクションの場合には、再生トラック番号の選択などに用いられる。CD読取部12が複数のCDを格納可能な場合には再生対象となるCDの選択にも用いられる。また、チューナファンクションの場合には、チューナの周波数選択などに用いられる。また、外部入力ファンクションの場合には、外部機器のオーディオファイルの選択などに用いられる。
【0025】
1つのロータリーコントローラが複数の設定のために用いられるようにしてもよい。例えば、ロータリーコントローラ22cをCDファンクションにおいては再生トラックの選択に用い、チューナファンクションにおいては周波数の選択に用いるというようにすることもできる。本実施形態では、一方のロータリーコントローラ22bは各ファンクションに共通してボリュームの設定に用いられ、もう一方のロータリーコントローラ22cは、上述したその他の設定のために共用で用いられる。
【0026】
制御部24は、例えばCPUやマイクロプロセッサであり、デジタルオーディオプレイヤ10各部の制御を行う。特に制御部24は、以下に説明するように、操作部22からの信号に基づいてCD読取部12、チューナ部14、音声処理部18、および外部機器の各部の制御を行う。また、制御部24は、同じく以下に説明するように、操作部22の操作状態を示す情報を表示制御部26に送信する。
【0027】
制御部24は、プッシュボタン群22aに含まれる各プッシュボタンからの信号に基づいて、当該プッシュボタンに応じた制御を行う。例えば、プッシュボタン群22aに含まれるファンクションボタンがユーザにより押された場合には、デジタルオーディオプレイヤ10のファンクションを切り換える制御を行う。制御部24は、ユーザにより設定されたファンクションを特定すると、当該ファンクションに応じた機能ブロックに対して制御を行う。例えば、CDファンクションが選択された場合は、CD読取部12に対して再生、停止、トラック選択などの制御を行う。さらに、表示制御部26に対し、特定したファンクションを示す情報を送信する。
【0028】
また、制御部24は、ロータリーコントローラ22bおよび22cの回転方向および回転量を検出し、当該回転方向および回転量に応じた制御を行う。例えば、ロータリーコントローラ22bが回転させられた場合には、音声処理部18を制御し、音声処理部18の出力アナログオーディオ信号の振幅を回転方向および回転量に応じた分だけ変化させる。また、制御部24は、検出した回転方向および回転量を示す情報を表示制御部26に送信する。
【0029】
表示制御部26は、デジタルオーディオプレイヤ10の動作状態などを示す情報を表示部30に表示させる。例えば、表示制御部26は、現在時刻や現在設定されているボリューム値などを表示部30に表示させる。また、表示制御部26は、操作部22の操作状態を示す情報を制御部24から受け取り、操作部22の操作に応じて表示部30に表示させる情報を変更する。例えば、操作部22の操作により設定されたファンクションに応じて表示部30の表示内容を変更させる。例えば、CDファンクションの場合は、再生対象となるCDの情報、例えばトラック数、総再生時間などを表示させる。また、CDの再生中においては、再生トラック番号、再生位置を示すカウンタなどを表示させる。CD読取部12が複数のCDを格納可能な場合は、再生対象となるCDを示す番号を表示させてもよい。チューナファンクションの場合には、選択周波数などを表示させる。また、外部入力ファンクションの場合には、外部機器に含まれるオーディオファイルの数などを表示させる。外部機器のオーディオファイルの再生中においては、再生中のオーディオファイル番号などを表示させる。
【0030】
表示制御部26は、例えばボリュームの設定、あるいは再生トラック番号の選択などのためにロータリーコントローラ22bまたは22cがユーザにより回転させられた場合に、ユーザに対してアナログ的な操作感覚を与えるための表示を表示部30上において行う。具体的には、ロータリーコントローラ22bおよび22cの回転方向あるいは回転量に応じて表示部30上を移動する回転指標を表示させること、あるいはボリュームなどの設定値のみを表示するのではなく、設定値近傍の値を設定値と合わせて表示させることなどによりユーザに対してアナログ的な操作感覚を与える。これらの表示態様の詳細については、図2〜5を用いて後述する。
【0031】
メモリ28は、例えばROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などで構成され、デジタルオーディオプレイヤ10の各部を動作させるためのプログラム、あるいはデジタルオーディオプレイヤ10の各種設定などを記憶するものである。
【0032】
表示部30は、電子的あるいは光学的な方法で表示を行う電子表示部である。表示部30としては、液晶ディスプレイ、蛍光表示管(FLディスプレイ)、あるいは有機ELディスプレイなどが用いられる。表示部30は複数のセグメントを有しており、表示制御部26が各セグメントを点灯/消灯させることで、表示部30上に各種情報が表示される。
【0033】
以下、図1を参照しながら図2−5を用いて、表示制御部26の動作、特にユーザに対してアナログ的な操作感覚を与えるための動作を説明する。以下においては、チューナファンクションが選択されている場合を例に説明する。
【0034】
図2は、ロータリーコントローラ22cが回転している間における表示部30の表示例を示す図である。チューナファンクションにおいては、ロータリーコントローラ22cは周波数の選択に用いられる。ロータリーコントローラ22cが回転させられると、選択可能な周波数が順番に選択される。例えば、FMであれば76.00MHzから90.00MHzまでの周波数が、0.1MHz毎に順次選択される。本実施形態では、ロータリーコントローラ22cが右回りに回転させられた場合は、昇順に選択周波数が選択され、左回りに回転させられた場合は、降順に選択周波数が選択される。表示制御部26は、現在選択されている選択周波数40を数値として表示部30に表示させる。
【0035】
表示制御部26は、選択周波数40とともに、円周方向に沿って設けられる目盛42、および目盛42に沿って回転指標としての指針44aおよび44bを表示させる。目盛42は、円周方向に沿って表示されるが、その曲率は任意に設定されてよい。また、ロータリーコントローラ22cが回転させられている場合には、必ずしも目盛42を表示する必要は無い。指針44aおよび44bは、ユーザが視認しやすいようそれぞれ2本の針状部から構成されている。指針44aおよび44bは、目盛42が示す円周上において対向する位置に表示される。表示制御部26は、ロータリーコントローラ22cの回転に応じて、指針44aおよび44bの表示位置を移動させる。
【0036】
図3は、指針44aおよび44bの表示位置が移動する様子を示す図である。図3(a)に示すように、ロータリーコントローラ22cが右回りに回転させられた場合には、表示制御部26は、ロータリーコントローラ22cの当該回転を表現するように指針44aおよび44bの表示位置を移動させる。具体的には、目盛42の左側に表示された指針44aを目盛42に沿って上側に移動させ、目盛42の右側に表示された指針44bを目盛42に沿って下側に移動させる。すなわち、ロータリーコントローラ22cの回転方向と同じ方向に指針44aおよび44bをその対向関係を維持しつつ移動させる。これにより、ユーザに対してロータリーコントローラ22cの回転に応じて表示部30において指針44aおよび44bが回転しているような感覚を与える。
【0037】
本実施形態では、指針44aおよび44bを表示させこれを移動させることによりユーザに対してアナログ的な操作感覚を与えているが、ユーザにアナログ的な操作感覚を与えることができる限りにおいて、他の表示態様を採用してもよい。例えば、指針44aおよび44bに代えて点やマークなどを移動させるようにしてもよいし、あるいはロータリーコントローラ22cの回転に応じて目盛42に含まれる複数の線を順次点灯あるいは消灯させる、などの態様であってもよい。
【0038】
なお、選択周波数が放送周波数と同調した場合には、そのことをユーザに通知するよう表示態様を変更するようにしてもよい。例えば、指針44aおよび44bや目盛42を点滅表示させる、あるいは指針44aおよび44bの長さや数を変更するなどして選択周波数が放送周波数と同調したことをユーザに通知する。
【0039】
上述したように、ロータリーコントローラ22cの回転に応じて指針44aおよび44bが円周方向に移動するので、アナログ的な操作感覚をユーザに与えることができる。従来のチューナにおいては、一般的に選択周波数を指し示すものとして棒状の指針が用いられていたところ、これに似た形状の指針44aおよび44bを表示しこれをロータリーコントローラ22cの回転に応じて移動させたことで、従来機器(アナログ機器)の操作感覚と同様な感覚をユーザに与えることができる。さらに、目盛42を表示させ目盛42に沿って指針44aおよび44bを移動させたことで、指針44aおよび44bの形状とも相俟って目盛に指針を合わせているような操作感覚をユーザに与えることができる。また、指針を対向する位置に2つ表示させることで、ユーザに対して回転のイメージをより強く与えている。
【0040】
また、選択周波数の変化に合わせて指針44aおよび44bを移動させるのが好適である。具体的には、選択周波数が0.1MHz変化したときに、指針44aおよび44bも目盛42の1目盛分移動させる。これにより、選択周波数40の変化と指針44aおよび44bの動くタイミングを一致させることができ、操作感覚をより向上させることができる。
【0041】
図4は、ロータリーコントローラ22cが操作されていない場合における表示部30の表示例を示す図である。表示制御部26は、設定周波数が決定されると、表示部30の表示を図4に示す表示に切り替える。具体的には、表示制御部26は、ロータリーコントローラ22cの回転が一定時間行われなかった場合に、表示部30の表示を切り替える。
【0042】
ロータリーコントローラ22cが回転操作されていない場合、表示制御部26は、複数の周波数から選択された設定値である設定周波数50を表示させる。図4に示す例では、設定周波数50として「82.50MHz」が表示されている。さらに、表示制御部26は、設定周波数50の近傍周波数52を複数表示させる。本例では、近傍周波数52として、「30」、「40」、「60」、および「70」と表示されているが、これはそれぞれ82.30MHz、82.40MHz、82.60MHz、および82.70MHzを意味するものである。すなわち、設定周波数50の前後2つ分の選択可能な周波数が表示されている。なお、表示される近傍周波数52の数は4つに限られず、表示部30の表示面積など応じて適宜変更されてよい。また、近傍周波数52は必ずしも設定周波数50を中心としたものでなくてもよく、例えば設定周波数50が「82.50MHz」である場合に近傍周波数として「60」、「70」、「80」、および「90」を表示するようにしてもよい。この場合は、例えば図4において近傍周波数「30」が表示されている位置に設定周波数50を表示させる。
【0043】
複数の近傍周波数52は、目盛42の外周側に沿って表示される。すなわち、複数の近傍周波数52は、指針44aおよび44bの移動経路と同一領域に表示される。したがって、表示制御部26は、ロータリーコントローラ22cの回転が一定時間行われなかった場合には、指針44aおよび44bを消去した上で、複数の近傍周波数52を表示させる。そして、再度ロータリーコントローラ22cが回転させられた場合には、近傍周波数52を消去し、指針44aおよび44bを表示させる。
【0044】
表示される近傍周波数52は、選択可能な周波数の並び順序において設定周波数50に隣接する周波数でなくてもよく、設定周波数50からある程度の間隔を持った複数の周波数を近傍周波数52として表示するようにしてもよい。例えば、目盛42の1目盛が0.1MHzを意味するものとし、5目盛毎に近傍周波数52を表示させる場合、設定周波数50である「82.50MHz」の近傍周波数52として「81.50」、「82.00」、「83.00」、および「83.50」の各数値を表示させるようにしてもよい(後述の図5(a)参照)。
【0045】
図5は、ロータリーコントローラ22cの操作に応じた表示部30の表示の変化を示す図である。まず、図5(a)に示されるように、設定周波数として82.50MHzが設定されているとする。この状態において、設定周波数50として「82.50」の数値、および近傍周波数52として「81.50」、「82.00」、「83.00」、および「83.50」の各数値が目盛42に沿って表示されている。
【0046】
この状態においてロータリーコントローラ22cが右回転させられると、図5(b)に示されるよう、表示制御部26は、近傍周波数52を消去し、指針44aおよび44bを表示させる。そして、ロータリーコントローラ22cの回転に応じて選択周波数40を示す数値を0.1MHz毎に切り替える。図5(b)の例では、ロータリーコントローラ22cが回転させられ、周波数が82.60MHzから83.00MHzまで選択されたとする。このとき、表示制御部26は、選択周波数が0.1MHz切り替わる度に指針44aおよび44bを1目盛ずつ移動させる。
【0047】
この状態でロータリーコントローラ22cが回転させられずに一定時間経過すると、表示制御部26は、設定周波数として83.00MHzが設定されたと判断する。そして、図5(c)に示すように、表示制御部26は、指針44aおよび44bを消去し、設定周波数50として「83.00MHz」を表示させる。さらに、設定周波数の近傍周波数52として「82.00」、「82.50」、「83.50」、および「84.00」の各数値が目盛42に沿って表示させる。
【0048】
図5に示すように、設定周波数50のみならず近傍周波数52を表示させ、ロータリーコントローラ22cの回転後において、変更された設定周波数およびそれに応じて変更された近傍周波数52を表示させることで、あたかもロータリーコントローラ22cの操作により周波数が順番に記載された文字盤を回転させたような感覚をユーザに与えることができる。
【0049】
また、従来のアナログ的な表示を行っていたチューナ機器などにおいては、選択可能な周波数の値のすべてに対応した目盛を設け、その目盛にそって指針を動かすなどしていたため、表示部の面積が大きくなってしまう、あるいは、目盛や数値の表示が大きくなってしまっていた。本実施形態によれば、表示部30に表示されるのは、多数ある選択可能な周波数のうち、設定周波数50を中心とした複数の設定周波数50のみである。したがって、ユーザに対してアナログ的な操作感覚を与えつつも、表示部30のサイズを小さくすることができる。あるいは、表示部30のサイズはそのままに目盛や数値の表示を大きくすることができる。さらに、指針44aおよび44bと近傍周波数52が同領域に表示されるため、これも表示部のサイズ低減あるいは目盛や数値の表示拡大に寄与している。
【0050】
このように、本実施形態では、表示の変更が容易、あるいは同じ領域に様々な異なる情報を表示することができるという電子表示部が有するフレキシブルさを利用しつつ、ユーザに対してアナログの操作感覚を与えることを可能にしている。
【0051】
本実施形態は、チューナファンクションにおける周波数選択を例に説明したが、本発明は、その他の設定においても適用することが可能である。例えば、ボリューム値の設定にも適用可能である。この場合、ロータリーコントローラ22bが回転させられると、表示制御部26は、図2と同様の画面を表示させ、選択周波数40に代えて選択ボリューム値を表示させる。そして、ボリューム値の設定が終了したら図4と同様の画面を表示させ、設定周波数50に代えて設定ボリューム値(例えば「−20dB」を表示させ、近傍周波数52に代えて設定ボリューム値近傍の値(例えば「−22」、「−21」、「−19」、および「−18」)を表示させる。
【0052】
また、同様にして、CDファンクションにおける再生トラックの選択、複数のCDが格納されている場合の再生対象となるCDの選択、外部入力ファンクションにおける再生対象オーディオファイルの選択においても本発明を適用可能である。この場合、表示制御部26は、図2の選択周波数40に代えて選択トラックなどを示す番号を表示させ、図4の設定周波数50に代えて設定トラックなどを示す数値(例えば「3」を表示させ、近傍周波数52に代えて設定トラックなどの近傍の数値(例えば「1」、「2」、「4」、および「5」)を表示させる。
【0053】
また、本実施形態では、任意の曲率に設定された円周方向に沿って目盛42および指針44a,44bを表示するようにしているが、曲率ゼロ、すなわち、直線スケールに沿って表示することも可能である。この場合、目盛42は直線スケールの方向に沿って表示され、指標としての指針は、ロータリーコントローラの回転に応じて表示位置が直線的に移動することになる。
【0054】
図6は、表示制御部26の動作の流れを示すフローチャートである。図1を参照しながら図6を用いて表示制御部26の動作の流れを説明する。
【0055】
ステップS10において、制御部24は、ユーザによるプッシュボタンの操作に基づいてファンクションを選択する。本例ではチューナファンクションが選択されたとする。制御部24は、チューナファンクションが選択されたことを表示制御部26に通知する。
【0056】
ステップS12において、制御部24は、周波数を選択するためのロータリーコントローラ22cが回転操作させられているか否かを判断する。回転させられていない場合は、ステップS20に進み、ステップS20において表示制御部26は、図4に示すように、設定周波数および近傍周波数を目盛に沿って表示部30に表示させる。なお、この場合の設定周波数は前回のチューナファンクションの動作時に最後に設定されていた周波数であってよい。
【0057】
ステップS12においてロータリーコントローラ22cが回転させられている場合は、ステップS14に進む。ステップS14において、表示制御部26は回転指標である指針を表示させ、さらにロータリーコントローラ22cの回転(回転方向や回転速度)に応じて当該指針の表示位置を移動させる。
【0058】
ステップS16において、制御部24は、ロータリーコントローラ22cの回転が停止してから一定時間経過したか否かを判断する。引き続きロータリーコントローラが回転させられている場合は、ステップS14に戻り、表示制御部26は指針の表示位置の移動を続ける。ロータリーコントローラの回転が停止してから一定時間経過した場合は、ユーザによる周波数の設定が終了したと判断し、ステップS18に進む。ステップS18において、表示制御部26は、指針の表示を消去する。
【0059】
ステップS20において、表示制御部26は、図4に示すように、ロータリーコントローラ22cの回転操作によりユーザが設定した設定周波数およびその近傍周波数を目盛に沿って表示させる。
【0060】
ステップS22において、制御部24は、再度周波数を選択するためのロータリーコントローラ22cが回転操作させられているか否かを判断する。ロータリーコントローラ22cが再度回転操作された場合は、ステップS24にすすみ、ステップS24において表示制御部26は近傍周波数を消去する。そして、再度ステップS14に戻り、指針を表示させる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明した。本実施形態では、機器としてデジタルオーディオプレイヤを例に説明したが、本発明は、例えば、アンプ、チューナ、CDチェンジャー、ポータブルプレイヤーなどのオーディオ機器、マルチトラックレコーダあるいはハンディレコーダなどのレコーディング機器、その他情報機器、通信機器などにおいても適用することが可能である。
【符号の説明】
【0062】
10 デジタルオーディオプレイヤ、12 CD読取部、14 チューナ部、16 外部入力インターフェース、18 音声処理部、20 スピーカ、22 操作部、22a プッシュボタン群、22b,22c ロータリーコントローラ、24 制御部、26 表示制御部、28 メモリ、30 表示部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6