(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6331872
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】シュート装置及びばら物充填装置
(51)【国際特許分類】
B65G 11/18 20060101AFI20180521BHJP
B65G 11/14 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
B65G11/18 Z
B65G11/14 A
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-169198(P2014-169198)
(22)【出願日】2014年8月22日
(65)【公開番号】特開2016-44027(P2016-44027A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】宇部興産機械株式会社
(72)【発明者】
【氏名】茅島 匡
(72)【発明者】
【氏名】末永 匡史
【審査官】
中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−162405(JP,A)
【文献】
実開昭52−110180(JP,U)
【文献】
実開昭58−196318(JP,U)
【文献】
特公昭48−005670(JP,B1)
【文献】
実開平02−105907(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 11/00−11/20
B65G 67/60−69/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直落下式のシュートとばら物の排出方向を案内するためのガイド装置を備えて、シュート上部から供給したばら物をシュート下部に配したガイド装置で案内して排出するシュート装置であって、
シュートの傾きを計測するためのセンサをシュート下部に配するとともに、シュートの位置を制御するためのアクチュエータをシュート側面に配して、
該センサでシュート下部の傾きを検出し、シュート下部の傾きが垂直方向から傾かないように一定の値を保持するように、アクチュエータを制御するシュート装置。
【請求項2】
複数の筒体を係合することにより前記シュートを形成し、最も下部に配した筒体にガイド装置と筒体の傾きを計測するためのセンサを配するとともに、該センサを配した筒体より上方に配した筒体の側面にアクチュエータを配した請求項1に記載のシュート装置。
【請求項3】
前記シュートを伸縮式のテレスコピック構造とした請求項2に記載のシュート装置。
【請求項4】
前記アクチュエータが伸縮自在な電動式又は油圧式のシリンダ装置であって、該シリンダ装置の一端をシュート上部にばら物を供給する搬送コンベヤの架台に連結して、該シリンダ装置を伸縮させることによりシュート下部の傾きが垂直方向から傾かないように一定の値を保持するように制御する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシュート装置。
【請求項5】
可動式の架台上に載置された搬送コンベヤ、並びに、垂直落下式のシュートとばら物の排出方向を案内するためのガイド装置を有したシュート装置を備えて、
搬送コンベヤによりシュート上部に供給したばら物をシュート下部に配したガイド装置で案内して排出するばら物充填装置であって、
シュートの傾きを計測するためのセンサをシュート下部に配するとともに、シュートの位置を制御するためのアクチュエータをシュート側面に配して、該アクチュエータの一端を搬送コンベヤを載置した架台に連結することにより、該センサでシュート下部の傾きを検出してシュート下部の傾きが垂直方向から傾かないように一定の値を保持するようにアクチュエータを制御するばら物充填装置。
【請求項6】
複数の筒体を係合することにより前記シュートを形成し、最も下部に配した筒体にガイド装置と筒体の傾きを計測するためのセンサを配するとともに、該センサを配した筒体より上方に配した筒体の側面にアクチュエータを配した請求項5に記載のシュート装置。
【請求項7】
前記シュートを伸縮式のテレスコピック構造とした請求項6に記載のばら物充填装置。
【請求項8】
前記アクチュエータを伸縮自在な電動式又は油圧式のシリンダ装置とした請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載のばら物充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送コンベアやトラック等の輸送装置で搬送してきたばら物を、タンクや倉庫等の庫内に落下させて充填するに好適なシュート装置及びばら物充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、砂、砕石、石炭、バイオマス、或いは化学品等のばら物(粒状物)を、タンク内や倉庫等に積み込む際に、ばら物充填装置が用いられている。
【0003】
図6に従来型のばら物充填装置の1例を示す。
ばら物充填装置の構成ついて概略を説明すれば、被搬送物としてばら物を搬送するための搬送コンベヤ、搬送コンベヤを支えるための架台及び支柱、搬送コンベヤから供給されたばら物をタンク内に落下させるためのシュート装置等を備えている。
【0004】
ここで、ばら物充填装置に使用される搬送コンベヤのタイプを大きく2つに分けると、搬送コンベヤが高さ方向に固定された水平式タイプと、搬送コンベヤが高さ方向に傾けられる起伏式タイプの2種類がある。搬送コンベヤが高さ方向に傾けられる起伏式タイプのばら物充填装置の場合は、搬送コンベヤが載置されている架台を支柱等によって軸支しているタイプのものが多く、昇降機等を利用し、該軸支した支点を中心として搬送コンベヤを傾ける方式となっているものが一般的である。
【0005】
また、ばら物充填装置に使用されるシュート装置のタイプは様々である。一般的に多く採用されているのは、垂直落下式のシュート装置であり、シュート上部に供給されたばら物を、シュート内で落下させて、下部から排出するタイプのシュート装置である。
シュート装置のシュートは、1本の長い筒体で形成されることもあるが、複数個の筒体をつなぎ合わせることにより一本の長いシュートとして使用するケースも多い。複数個の筒体を嵌合部で組み合わせて伸縮自在なテレスコピック式の伸縮シュートを形成している場合もある。
図6に示した従来技術によるばら物充填装置のシュート装置は、伸縮自在に伸び縮み可能なテレスコピックタイプのシュートを備えている。
【0006】
また、シュートを構成する筒体の下部から、直接、ばら物を庫内に排出するタイプのシュート装置もあるが、
図6に示したシュート装置のように、シュートを構成する筒体の下部にガイド装置を配して、シュート内に落下したばら物を、一旦、ガイド装置に衝突させて方向を案内してから排出するタイプのシュート装置もある。
図6に示したシュート装置においては、シュート下部の形状が勾配を有して傾き、落下してきたばら物を一定方向(
図6に示した従来技術においては図面に向かって左側方向)に案内して流すよう形成されており、ばら物が流れて行く方向側の下方に、ばら物を勢いよく飛散させるためのトリンマ装置を設けることによって、シュート装置の上部から供給したばら物を案内して排出するためのガイド装置として構成している。
【0007】
なお、ガイド装置の種類は、これ以外にも様々なタイプがある。
例えば、シュート下部の形状が勾配を有して傾いて落下してきたばら物を一定方向に案内して流すタイプのガイド装置、或いは、シュートの下方に、平坦な長板、或いは、後述する特許文献1に記載のバケットシュート等を配して、落下してきたばら物を一定方向に案内して流すガイド板として使用するタイプのガイド装置等もある。
【0008】
ガイド装置を備えたシュート装置は、ばら物の排出方向をコントロールすることにより、効率的な充填作業が可能であり、ガイド装置の種類又形状等によって、落下の衝撃によるばら物の損傷、或いは、ばら物を載置する床面の損傷等について、その防止効果が期待できる。
【0009】
図6に示した従来技術によるばら物充填装置においては、機外に設置されたばら物供給機から供給されたばら物が、搬送コンベヤに投入されて、シュート装置の上方まで搬送される。シュート装置の上方にまで搬送されたばら物は、そこで搬送コンベヤから落下して、シュート内に供給される。シュート内に供給されたばら物は、シュート内を落下して、シュートの下部に配したガイド装置にまで到達し、そこで方向を変えられて、庫内に充填される構成となっている。
図6に示した従来技術は、トラックの荷台の高さに応じて排出先の位置と高さを調整するため、搬送コンベヤが起伏式の架台(所謂、ブーム)上に載置されている。
【0010】
また、他の従来技術として、特許文献1に開示された従来技術が公知である。
特許文献1に開示された従来技術は、ばら物船積み機用のテレスコピックシュート装置に関するものであって、伸縮自在なテレスコピックタイプのシュートの先端に、ばら物の排出先をコントロールするためのバケットシュートを配している。
なお、特許文献1に開示の考案は、バケットシュートをモートルシリンダで動かすことによって、バケットシュートの使用、或いは不使用の選択が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】実開昭58−196318号公報(実全昭58−196318号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1には、バケットシュートに生じる側点船積反力を、各シュート体に形成されているリブで伝達して、最上部シュート体の枢着ピンとシリンダで阻止するという旨の記載がある。特許文献1に開示された側点船積反力とは、バケットシュートにばら物が落下衝突した際に生じる衝撃力であると考えられる。
したがって、特許文献1には、バケットシュートにばら物が落下衝突した際に生じる衝撃力を、各シュート体に形成したリブで最上部まで伝達し、枢着ピンとシリンダで受け止める技術が開示されているものと思慮する。
【0013】
ここで、ばら物を充填するばら物充填装置は、庫内等で使用される際において、シュート装置の下端を係止することが難しいケースが多く、シュート装置の下端が拘束されていない状態(所謂フリー状態)となっていることが一般的である。
特許文献1の考案においては、ばら物がバケットシュートに落下した際に生じる衝撃力を、最上部にまで伝達させて、上部に配したシリンダ等で受け止めている技術であると思慮される。
【0014】
しかしながら、シュートで衝撃力などを上部まで伝達させる場合に、シュートを構成する筒体の剛性が小さいと、筒体が変形して曲りを生じる可能性がある。
特に、特許文献1に開示されたようなテレスコピックタイプのシュート装置は、複数個の筒体を嵌め合せて連結し、一本の長いシュートとして利用している。
シュート間の連結個所について言えば、シュート同士の嵌め合せのための隙間が必要であり、連結個所が隙間分だけ動きやすく、嵌め合せ部で極端に曲がりやすい構造にある。
前述したばら物落下の衝撃力により、シュート間の連結部に曲げ応力が負荷されると、連結個所が隙間分だけ傾きやすく、結果、連結部分が片あたりする等して、湾曲した状態になりやすい。
【0015】
ここで、垂直落下式のシュート装置を使用する場合においては、シュート内を落下するばら物が、できるかぎりシュート内面に接触しないようして落下するよう構成することが好ましいとされている。というのは、シュート内を落下するばら物が、シュート内面に接触しながら落下すると、シュートの摩耗という問題を引き起こす可能性が高くなるからである。前述したように、ばら物がバケットシュートに落下した際に生じる衝撃力により、シュートが湾曲すると、シュート内を落下するばら物が、シュート内面に接触しやすくなり、その結果、シュートの摩耗という問題を引き起こす可能性が高くなる。
【0016】
シュートを形成する筒体の厚みを大きくする等して剛性を高めれば、曲りを小さくすることも可能であるが、部材が大きくなれば重量が増加するとともに、コストアップにもつながる。
また、シュート装置を大型化して、シュート内径を大きくすることにより、落下するばら物がシュート内面に、できるかぎり接触しないよう構成することも可能である。
しかしながら、シュート装置の昇降や移動等を考えれば、軽量なシュート装置が好ましく望まれており、シュート装置を必要以上に大型化することなく、シュートの曲りによる影響を抑えることのできる技術が求められていた。
【0017】
本発明は、以上、説明したような問題点に鑑みてなされたものであり、シュートの曲りによる影響を抑えることのできるシュート装置及びばら物充填装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の目的を達成するため、本発明によるシュート装置は、
(1) 垂直落下式のシュートとばら物の排出方向を案内するためのガイド装置を備えて、シュート上部から供給したばら物をシュート下部に配したガイド装置で案内して排出するシュート装置であって、シュートの傾きを計測するためのセンサをシュート下部に配するとともに、シュートの位置を制御するためのアクチュエータをシュート側面に配して、
該センサでシュート下部の傾きを検出し、シュート下部の傾きが
垂直方向から傾かないように一定の値を保持するように、アクチュエータを制御する。
【0019】
(2)(1)に記載のシュート装置において、複数の筒体を係合することにより前記シュートを形成し、最も下部に配した筒体にガイド装置と筒体の傾きを計測するためのセンサを配するとともに、該センサを配した筒体より上方に配した筒体の側面にアクチュエータを配した。
【0020】
(3)(2)に記載のシュート装置において、 前記シュートを伸縮式のテレスコピック構造とした。
【0021】
(4)(1)乃至(3)までのいずれか1つに記載のシュート装置において、前記アクチュエータが伸縮自在な電動式又は油圧式のシリンダ装置であって、該シリンダ装置の一端をシュート上部にばら物を供給する搬送コンベヤの架台に連結して、該シリンダ装置を伸縮させることによりシュート下部の傾きが
垂直方向から傾かないように一定の値を保持するように制御する。
【0022】
上記の目的を達成するため、本発明によるばら物充填装置は、
(5) 可動式の架台上に載置された搬送コンベヤ、並びに、垂直落下式のシュートとばら物の排出方向を案内するためのガイド装置を有したシュート装置を備えて、
搬送コンベヤによりシュート上部に供給したばら物をシュート下部に配したガイド装置で案内して排出するばら物充填装置であって、シュートの傾きを計測するためのセンサをシュート下部に配するとともに、シュートの位置を制御するためのアクチュエータをシュート側面に配して、該アクチュエータの一端を搬送コンベヤを載置した架台に連結することにより、該センサでシュート下部の傾きを検出してシュート下部の傾きが
垂直方向から傾かないように一定の値を保持するようにアクチュエータを制御する。
【0023】
(6)(5)に記載のばら物充填装置において、複数の筒体を係合することにより前記シュートを形成し、最も下部に配した筒体にガイド装置と筒体の傾きを計測するためのセンサを配するとともに、該センサを配した筒体より上方に配した筒体の側面にアクチュエータを配した。
【0024】
(7)(6)に記載のばら物充填装置において、前記シュートを伸縮式のテレスコピック構造とした。
【0025】
(8)(5)乃至(7)までのいずれか1項に記載のばら物充填装置において、前記アクチュエータを伸縮自在な電動式又は油圧式のシリンダ装置とした。
【発明の効果】
【0026】
本発明によるシュート装置、又ばら物充填装置によれば、シュート下部に配したガイド装置にばら物が落下した際の衝撃によって生じるシュートの曲りをアクチュエータにより調整することによって、シュート内を落下するばら物がシュート内面に接触して、シュートを摩耗させるという問題を効果的に抑制できるという優れた作用効果を奏する。
【0027】
特に、複数の筒体を係合することによりシュートを形成した場合は、シュート長手方向の剛性が低いため、本発明による効果が高く、テレスコピック式のシュートを採用するシュート装置等に極めて好適な技術である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施形態に係わりばら物充填装置の全体構成を説明する図である。
【
図2】本発明の実施形態に係わりばら物充填装置の内部構成を説明する図である。
【
図3】本発明の実施形態に係わりばら物充填装置のブームを傾けた際の構成を説明する図である。
【
図4】本発明の実施形態に係わりシュートの挙動を説明する図である。
【
図5】本発明の実施形態に係わり電動シリンダとシュートの挙動を説明する図である。
【
図6】従来技術によるばら物充填装置の全体構成を説明する図である。
【
図7】従来技術に係るシュートの挙動を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面等に基づいて本発明に係る実施形態の好ましい1例を、第1の実施形態(第1実施形態と称することもある)として詳細に説明する。
図1から
図5は本発明の実施形態を説明するための図に係わり、その好ましい例を示したものであって、
図1はばら物充填装置の全体構成を説明する図であって、
図2はその内部構成を説明する図であり、
図3はばら物充填装置のブームを傾けた際の図である。
図4及び
図5はシュートの挙動と電動シリンダの挙動を説明する図であり、
図4(1)及び
図5(1)は内部を流れるばら物の流れを概念的に図示したものであり、
図4(2)及び
図5(2)はその際の外観を図示したものである。
図6は従来技術によるばら物充填装置の全体構成を説明する図であり、
図7は従来技術に係るシュートの挙動を説明する図である。
【0030】
第1実施形態によるばら物充填装置10の構成を
図1に示す。
図1に示したばら物充填装置10は、シュート装置1、支柱12、ブーム14、搬送コンベヤ16、ブーム昇降機18、シュート装置1の下部の傾きを測定するセンサ7、巻上機5等を備えて、ばら物供給機20から供給されたばら物をトラックの荷台に設置された荷室内に充填する。
【0031】
第1実施形態によるシュート装置1は、複数の筒体を組み合わせて形成されたシュート2(シュート部2と称することもある)、電動シリンダ4、及び、シュート2の下部に配されたガイド装置3を備えており、電動シリンダ4はシュート2と搬送コンベヤ16を載せたブーム14との間を連結している。
なお、シュート装置1の上部は、搬送コンベヤを載置しているブーム14に軸支されており、回動自在な状況で吊り下げられている。
【0032】
ここで、第1実施形態によるシュート2は、筒体2A、筒体2B、及び筒体2Cにより形成されており、上部に筒体2A、中部に筒体2B、又下部に筒体2Cが配されている。
前述した3つの筒体2A、2B、2Cは、それぞれ連結部にて嵌めあわされて一本の長い筒体としてシュート2を形成している。
【0033】
図1に示したシュート2は、伸縮自在なテレスコピックタイプのシュートであり、巻上機5から伸びるワイヤに下端が連結されて、巻上機5から伸びるワイヤの長さを調整することにより、その長さを調整することができる。
【0034】
上部に配された筒体2Aの上端には、上方に向けて開口した略逆円錐形状のホッパが配されて、後述する搬送コンベヤ16から供給されるばら物を受け入れることができる構成となっているとともに、筒体2Aの側面には、前述した電動シリンダ4の一端が連結されている。
詳細は後述するが、
図1に示した電動シリンダ4は、ガイド装置3がばら物を排出する方向と反対側のシュート側面に取り付けられている。
電動シリンダ4は、ガイド装置3によってばら物を所定の方向に向かって排出する際に、その反力を受け止めるとともに、電動シリンダ4の伸縮によって、シュート2の位置を移動させてシュート2の傾きを制御する。
【0035】
下部に配された筒体2Cの下端は、
図2に示すように、勾配(
図2においては図面向かって左下がり)を有する傾斜面が形成されており、落下したきたばら物が、傾斜面に沿って、一定方向(
図2においては図面向かって右側から左側に向かう方向)に流れるように構成されている。
筒体2Cの下部に形成した傾斜面を利用してばら物が流れる方向の先には、トリンマ装置(ベルトコンベヤ式の小型搬送装置)が配されている。
トリンマ装置は、流れてきたばら物を一定方向(
図2においては図面向かって左側方向)に向かって勢い良く排出する。
図1に示した第1実施形態においては、筒体2Cの下部に形成された傾斜面とトリンマ装置により、ばら物を所定の方向に案内して排出するガイド装置3を構成している。
【0036】
なお、本発明に適応できるガイド装置3は、前述の実施形態に限るものではなく、単に筒体2Cの下端に傾斜面を形成して、垂直に落下してきたばら物を所定の方向に案内する構成のものであっても良く、或いは、筒体2の下方に垂直方向から傾けて傾斜させたガイド板を別途配することにより、垂直に落下してきたばら物を所定の方向に案内して流す構成としても良く、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で特に限定されない。
【0037】
ここで、
図1に示したばら物充填装置10は、搬送コンベヤ16の架台として、高さ方向に角度変更が可能な起伏式のブーム14を使用している。
また、
図1に示したばら物充填装置10の支柱12は、地面に建てられた垂直の柱である。支柱12は、後述するブーム14を支点15で支持して回動自在に支持している。
ブーム昇降機18は、支点15で回動自在に支持されたブーム14を回動させて、ブーム14の角度を変更する。
参考までに、
図3にブーム昇降機18を作動させて、ブーム14の角度を傾けた際の図を示す。
【0038】
なお、第1実施形態においては、支柱14の下部は固定式となっているが、本発明に適応できる形態はこれに限るものではないことは勿論であって、例えば、移動可能な台車上に設置された支柱14であっても良く、或いは、旋回可能な台座上に設置された支柱14であっても良い。また、支柱14の形状も直線状タイプの物に限らず、ブーム14を回動自在に支持できる構造であれば良い。
【0039】
搬送コンベヤ16は、ブーム14を架台として設置されて、ばら物供給機20から供給されたばら物をシュート装置1の上方まで搬送する。
【0040】
本発明の第1実施形態によるばら物充填装置10においては、シュート装置1の下部にシュート2の下部の傾きを測定できるセンサ7を配している。
図1においては、筒体2Cの下部側面にセンサ7が取り付けられており、筒体2Cが垂直の方向からどの程度傾いたかリアルタイムで測定できる。
センサ7は、シュート2の垂直方向から傾きを検知して測定する。
垂直方向から傾きを測定するためのセンサ7としては、重力センサ、加速度センサ等が好適であるが、本発明にできるセンサ7の種類はこれに限るものではなく、シュート2の下部の傾きを検出できるセンサ7であれば、その種類等については特に限定されない。
【0041】
センサ7で測定されたュート2の下部の傾きは測定信号値として、図示しない制御装置に送信される。
図示しない制御装置はセンサ7の測定信号値から割り出された筒体2Cの傾きを打ち消す方向に、電動シリンダ4の長さを伸縮させることによって、筒体2Cの傾きを調整して、シュート2の下部が垂直方向から傾かないように制御する。
【0042】
例えば、ガイド装置3がばら物を一定方向(
図1に示した実施形態においては図面向かって左方向)に排出する際の反力により、シュート2の下部がばら物を排出した方向と反対側(
図1に示した実施形態においては図面向かって右方向)に向かって移動して垂直方向から傾いた場合に、電動シリンダ4を伸縮(
図1に示した実施形態においては電動シリンダを伸ばす)させることにより、傾いた方向の反対側に傾けることにより、シュート2の下部が垂直方向に伸びるように制御する。
【0043】
以下、ばら物充填装置10の運転時の挙動及び制御方法等について説明する。
ばら物供給機20から供給されたばら物は、ブーム14の中に載置された搬送コンベヤ16により搬送されて、シュート装置1の筒体2A上部に形成されたホッパ内に供給される。筒体2A内に供給されたばら物は
図4(1)に示すように垂直に落下し、筒体2Cの下部に配されたガイド装置3に到達する。
【0044】
ガイド装置3に到達したばら物は、そこで方向を変えられて、ガイド装置3に備えたトリンマ装置により、所定の方向(
図4に示した実施形態においては図面向かって左方向)へ向かって勢いよく排出されて、トラックの荷台に設置されたタンク内に充填される。
【0045】
ここで、
図1に示した第1実施形態においては、ガイド装置3によりばら物の方向を変化させた際に、その反力が筒体2Cに負荷される。
筒体2Cは、ばら物の排出方向と反対側の方向(
図4に示した実施形態においては図面向かって右方向)に向かって下端を移動させ、垂直方向から傾く挙動を取ろうとする。
この際に、何ら制御することのない従来技術の場合は、筒体2Cが傾くことにより筒体2Cの下端位置がずれて、シュート2内を落下するばら物がシュート2の内面に接触し、シュート2を摩耗させるという問題を引き起こす可能性が高くなる。
【0046】
本発明の第1実施形態によれば、センサ7で筒体2Cの傾きを検出した場合は、センサ7の測定信号値から割り出された傾きの度合いに応じて、電動シリンダ4を伸ばすことにより、筒体2Aをばら物の排出方向側に押して移動させることによって、筒体2Cが垂直方向に伸びるよう制御する。
例えば、
図4(1)に示すように、ガイド装置3がばら物を一定方向(図面向かって左方向)に排出する際の反力により、シュート2の下部がばら物を排出した方向と反対側(
図4においては図面向かって右方向)に向かって移動して、筒体2Cが垂直方向から傾いた場合には、
図5(1)に示すように電動シリンダ4を伸ばすことにより、筒体2Cが移動して傾いた方向の反対側に、筒体2Aを押圧して傾けることにより、筒体2Cが垂直方向から傾かないように制御する。
【0047】
したがって、本発明の第1実施形態によれば、シュート下部に配したガイド装置3にばら物が落下した際の衝撃によって生じるシュート2の曲りを電動シリンダ4により調整することによって、ばら物がシュート2の内面に接触して、シュート2を摩耗させるという従来技術の問題を効果的に抑制できる。
【0048】
図3にブーム14を回動させて高さ方向に傾けた場合の図を示す。
ブーム14に軸支されて吊り下げられているシュート装置1は、本来、重力により自然に垂直方向に伸びようとする挙動をする。
しかし、ガイド装置3を有する場合は、ガイド装置3にばら物が落下した際の衝撃による反力で、シュートが垂直方向から傾こうとする挙動を取る。
そのような場合に、従来技術は、シュート側面にワイヤーロープ、或いは油圧シリンダ等を配して、シュートが傾かないようにする。しかし、その際において、シュート2の曲りは考慮されておらず、ブーム14の傾きに合わせてワイヤーロープ等の長さを調整するだけである。
そのため、シュート2が途中で曲がってしまった場合においては、シュート2の下部の傾きの修正ができない。
それに対して、本発明の第1実施形態によれば、シュートの曲りによる傾きも調整できるので、シュート2が途中で曲がってしまった場合においても、傾きを制御することができ効果が高い。
【0049】
なお、第1実施形態においては、シュート上部に配した筒体2Aの側面にアクチュエータとして電動シリンダ4を連結する構成とした。
第1実施形態であれば、筒体2Aとブーム14の位置が近いため、電動シリンダ4の長さが短いもので済むという利点を有する。
しかし、本発明に適応できるアクチュエータの取り付け位置は、これに限るものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で変更が可能である。
例えば、先に説明した第1実施形態以外にも、筒体2Cの側面に取り付ければ、反力の生ずる位置と受け止める位置が近くなるので、好ましい構成の1つとなる。
【0050】
また、アクチュエータを配するシュート側面の方向について言えば、第1実施形態においては、ガイド装置3がばら物を排出する方向と反対側のシュート側面に取り付けた。
しかし、本発明に適応できるアクチュエータの取り付け方向は、これに限るものではなく、ガイド装置によってばら物を所定の方向に向かって排出する際に、アクチュエータが、その反力を受け止めてシュート2の傾きを制御することができる位置に取り付けられていれば良く、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で変更が可能である。
例えば、アクチュエータは、
図1に示した第1実施形態の反対側となるシュート側面、即ち、ガイド装置3がばら物を排出する方向のシュート側面に取り付けて良く、その場合は、ばら物が落下する際に生じる反力をアクチュエータの引張力で保持する方式になる。
【0051】
また、第1実施形態においては、複数の筒体を組み合わせたテレスコピックタイプのシュート装置1を備えたばら物充填装置10の例を説明した。
しかし、本発明の適応範囲はこれに限るものでなく、シュートを軽量化する際の剛性低下により前述した曲りの問題が生ずる可能性があるシュート装置を備えたばら物充填装置に適応する際において効果がある。
【0052】
なお、起伏式のブーム14を有するばら物充填装置10の場合には、
図3のようにブーム14を傾けた際に、シュート2が大きく傾く可能性がある。しかし、本発明の第1実施形態であれば、筒体2Cの角度を検知して、電動シリンダ4を使用して垂直に保持しているので、シュート装置1が傾く可能性を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように本発明は、シュート下部にガイド装置を備えたばら物充填装置に好適な技術であり、庫内等にばら物を充填する際に好適に使用できる。
【符号の説明】
【0054】
1 シュート装置
2 シュート(シュート部と称することもある)
2A 筒体(上部)
2B 筒体(中部)
2C 筒体(下部)
3 ガイド装置
4 電動シリンダ(アクチュエータ)
5 巻上機
7 センサ
10 ばら物充填装置
12 支柱
14 ブーム(架台)
16 搬送コンベヤ
18 ブーム昇降機
20 ばら物供給機