(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
タッチセンサーの製造過程で用いるタッチセンサー用基板であって、X方向電極配線とY方向電極配線が絶縁されて交差する交差部を有し、前記X方向電極配線と前記Y方向電極配線を外部接続用端子に接続する電極信号取出し配線を有し、前記X方向電極配線と前記Y方向電極配線と前記外部接続用端子を、タッチセンサーの製品領域の外側の領域に形成した電気検査用外部端子と電気検査用外部配線に電気接続する外部引き出し用配線を有し、前記外部接続用端子1つ毎に複数本の前記外部引き出し用配線が並行して引き出され、前記外部引き出し用配線の線幅が前記外部接続用端子の線幅の5分の1以下20分の1以上であることを特徴とするタッチセンサー用基板。
請求項1記載のタッチセンサー用基板であって、前記X方向電極配線とY方向電極配線が、透明基板の片面に形成した金属細線のメッシュ状のパターンの連結パターンからなり、前記交差部が、前記X方向電極配線と前記Y方向電極配線を絶縁樹脂層で絶縁して形成されていることを特徴とするタッチセンサー用基板。
請求項1記載のタッチセンサー用基板であって、前記X方向電極配線が透明基板の一方の面に形成した金属細線のストライプ状のパターンから成り、前記Y方向電極配線が前記透明基板の他方の面に形成した金属細線のストライプ状のパターンから成り、前記交差部が、前記透明基板によって絶縁された前記X方向電極配線と前記Y方向電極配線を格子状に交差させることで形成されていることを特徴とするタッチセンサー用基板。
請求項1乃至3の何れか一項に記載のタッチセンサー用基板であって、前記外部接続用端子の線幅が0.2mm以上0.50mm以下であり、前記外部引き出し用配線の線幅が0.01mm以上0.1mm以下であることを特徴とするタッチセンサー用基板。
請求項1乃至4の何れか一項に記載のタッチセンサー用基板であって、前記外部接続用端子から前記外部引き出し用配線が3本以上5本以下引き出されていることを特徴とするタッチセンサー用基板。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機や、携帯情報端末、カーナビゲーションシステムを始め、様々な電子機器の操作部にタッチパネル型入力装置(以下、タッチセンサー又は単にセンサーと記す)が採用されている。タッチセンサーは、液晶表示装置、有機EL装置等の表示用パネルの表示面上に、指先やペン先の接触位置を検出する入力装置として貼り合わせて使用されるものである。タッチセンサーには、その構造及び検出方式の違いにより、抵抗膜型や静電容量型等の様々なタイプがある。
【0003】
静電容量方式タッチセンサーには表面型と投影型の2つがある。両方式とも指先と導電膜との間での静電容量の変化を捉えて位置を検出する。指がセンサ表面に近づくだけで静電結合が起きるため、接触前でのカーソル表示のようなことが可能となる。押さえつけるものは指や指と同等の静電的な導電性のものである必要があるが、静電容量の変化に応じて流れる交流電流は、接触する媒体のインピーダンスにはよらない。
【0004】
特に、投影型の静電容量方式は、特許文献1のように、電極層と制御ICを搭載する透明基板を保護用の絶縁性樹脂で被覆した構成である。電極層は、ガラスやプラスチックなどの透明基板上に、金属細線のメッシュ構造のX方向電極配線群とY方向電極配線群で構成されている。
【0005】
また、特許文献2では、単に一方向に伸びるストライプ状の金属配線と、それから絶縁させて垂直方向に伸びるストライプ状の金属配線を、透明基板上に敷設している。
【0006】
タッチセンサーでは、操作者の指が、タッチセンサーのX方向電極配線とY方向電極配線の交差部に触れたり近づくと、その指を介する環境の接地媒体と電極配線との間に容量結合が生じる。その変化の影響を受ける縦横1組の電極列を検出することで指のタッチ位置を検出する。指がタッチした電極配線の検出方法は、各X方向電極配線とY方向電極配線に電極信号取出し配線を介して電気接続した外部接続用端子に流れる電流の変化を観察することで検出している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、タッチセンサーの製造過程で、タッチセンサーの電極信号取出し配線や、X方向電極配線やY方向電極配線のパターンが断線する等の欠陥が発生する可能性がある。そのため、タッチセンサーの製造過程において、それらの配線の断線等の欠陥の有無を電気検査で発見する必要がある。
【0009】
その電気検査のために、製造過程で扱うタッチセンサー用基板において、特に、タッチセンサーの骨格である透明基板1に樹脂フィルムを用いたタッチセンサー用基板では、タ
ッチセンサーの製品領域外に電気検査用外部端子を設け、タッチセンサーの外部接続用端子から外部引き出し用配線を引き出した配線パターンを引き出して、電気検査用外部端子まで電気接続する。そして、その電気検査用外部端子に電流を流すことで電気検査をできるようにする必要がある。
【0010】
その電気検査の後に、タッチセンサーの切り出し工程で、樹脂フィルムのタッチセンサー用基板をタッチセンサー外形線で切断することで、外部引き出し用配線を切断してタッチセンサーの製品を切り出す。その切り出し処理による外部引き出し用配線の切断の際に外部引き出し用配線のめくれ等の問題を発生させないために、外部引き出し用配線は、少なくともカット部分(
図1のタッチセンサー外形線11の部分)で線幅を細く形成しておく必要がある。
【0011】
しかし、外部引き出し用配線の線幅を細くすると、その外部引き出し用配線が、タッチセンサーの製造過程で断線し易い問題があった。すなわち、外部引き出し用配線が断線してしまうと、タッチセンサーの配線パターンの電気検査が出来なくなる問題があった。
【0012】
本発明の課題は以上の問題を解決し、タッチセンサーの製造過程におけるタッチセンサー用基板の電気検査用外部引き出し用配線が、製造過程で断線しないようにしたタッチセンサー用基板を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記の課題を解決するために、タッチセンサーの製造過程で用いるタッチセンサー用基板であって、X方向電極配線とY方向電極配線が絶縁されて交差する交差部を有し、前記X方向電極配線と前記Y方向電極配線を外部接続用端子に接続する電極信号取出し配線を有し、前記X方向電極配線と前記Y方向電極配線と前記外部接続用端子を、タッチセンサーの製品領域の外側の領域に形成した電気検査用外部端子と電気検査用外部配線に電気接続する外部引き出し用配線を有し、前記外部接続用端子1つ毎に複数本の前記外部引き出し用配線が並行して引き出され、前記外部引き出し用配線の線幅が前記外部接続用端子の線幅の5分の1以下20分の1以上であることを特徴とするタッチセンサー用基板である。
【0014】
本発明は、これにより、電気検査用外部端子1つ毎に複数の電気検査用の外部引き出し用配線を並行して引き出すので、タッチセンサーの製造過程の不具合で、ある電気検査用外部端子に接続する外部引き出し用配線が数箇所で断線させられても、その電気検査用外部端子に電気接続する他のいくつかの外部引き出し用配線が断線せずに残るので、電気検査用の電気接続を確保できる効果がある。
【0015】
また、本発明は、上記のタッチセンサー用基板であって、前記X方向電極配線とY方向電極配線が、透明基板の片面に形成した金属細線のメッシュ状のパターンの連結パターンからなり、前記交差部が、前記X方向電極配線と前記Y方向電極配線を絶縁樹脂層で絶縁して形成されていることを特徴とするタッチセンサー用基板である。
【0016】
また、本発明は、上記のタッチセンサー用基板であって、前記X方向電極配線が透明基板の一方の面に形成した金属細線のストライプ状のパターンから成り、前記Y方向電極配線が前記透明基板の他方の面に形成した金属細線のストライプ状のパターンから成り、前記交差部が、前記透明基板によって絶縁された前記X方向電極配線と前記Y方向電極配線を格子状に交差させることで形成されていることを特徴とするタッチセンサー用基板である。
【0017】
また、本発明は、上記のタッチセンサー用基板であって、前記外部接続用端子の線幅が
0.2mm以上0.50mm以下であり、前記外部引き出し用配線の線幅が0.01mm以上0.1mm以下であることを特徴とするタッチセンサー用基板である。
【0018】
また、本発明は、上記のタッチセンサー用基板であって、前記外部接続用端子から前記外部引き出し用配線が3本以上5本以下引き出されていることを特徴とするタッチセンサー用基板である。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、電気検査用外部端子から複数の電気検査用の外部引き出し用配線を並行して引き出すことで、タッチセンサーの製造過程の不具合で、ある電気検査用外部端子に接続する外部引き出し用配線が数箇所で断線させられても、その電気検査用外部端子に電気接続する他のいくつかの外部引き出し用配線が断線せずに残る。それにより、外部引き出し用配線による電気検査用の電気接続を確保でき、問題無く電気検査することができる効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態のタッチセンサーについて
図1から
図5を参照して説明する。タッチセンサーは、
図1や
図5のように、タッチセンサー用基板10から、タッチセンサー外形線11内の製品領域を切り出して製造する。
【0022】
タッチセンサー用基板10は、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPENやポリイミド系フィルム等の絶縁性樹脂フィルムの透明基板1上に金属細線を連結したX方向電極配線2とY方向電極配線3を形成する。そのX方向電極配線とY方向電極配線は、絶縁されて交差する交差部を持つ。
【0023】
タッチセンサー用基板10から切り出すことで完成させたタッチセンサーは、そのX方向電極配線2とY方向電極配線3の間に交流の電位差を加えて用いる。そのタッチセンサーのX方向電極配線2及びY方向電極配線3に操作者の指や手のような静電的且つ導電性の媒体を近接させると、タッチセンサーを設置した環境の接地媒体と、タッチセンサーの電極配線との間に容量結合が生じる。その容量結合によって、過剰な交流電流がX方向電極配線2及びY方向電極配線3から接地媒体に流れる。
【0024】
タッチセンサーのX方向電極配線2とY方向電極配線3は、電極信号取出し配線6を介して外部接続用端子6aに接続している。そして、タッチセンサーの電子回路が、外部接続用端子6aに流れる電流の変化を検出することで操作者の指のタッチ位置を検出する。
【0025】
タッチセンサーでは、X方向電極配線2とY方向電極配線3に指が直接触れる必要がないので、
図2のようにX方向電極配線2とY方向電極配線3を防汚性のある透明樹脂類の保護絶縁体7で被覆して保護する。そして、その保護絶縁体7を介して操作者の指の接触や近接を検知する。X方向電極配線2とY方向電極配線3は必ずしも透明基板1の片面の
同一平面上に存在する必要はなく、
図5のように透明基板1の間に挟んで配置しても良い。
【0026】
タッチセンサーの製造過程で加工するタッチセンサー用基板10では、タッチセンサーのX方向電極配線2とY方向電極配線3と外部接続用端子6aを、外部引き出し用配線を6bを介して、タッチセンサーの製品領域の外側の領域に形成した電気検査用外部端子6cと電気検査用外部配線6dに電気接続する。
【0027】
本発明のタッチセンサー用基板は、外部接続用端子6aの1つ毎に外部引き出し用配線6bを複数本並行させて引き出し、その外部引き出し用配線6bの線幅を外部接続用端子6aの線幅の5分の1以下20分の1以上にする。
【0028】
<第1の実施形態>
第1の実施形態のタッチセンサーは、
図1のようなタッチセンサーの製品領域よりも大きい透明基板1上に形成したタッチセンサー用基板10から、タッチセンサー外形線11内の製品領域を切り出して製造する。
【0029】
タッチセンサー用基板10には、透明基板1上の、外形線11で囲まれる製品領域に、45度傾けたメッシュ構造の矩形領域同士をその角点(くびれ部分4)でX方向に連結してX方向電極配線2を形成する。
【0030】
メッシュ構造は、
図1のように、矩形領域内に右上がりの斜め45度方向に走行する金属細線と、右下がりの斜め45度方向に走行する金属細線を交差させた金属細線で形成した網目構造である。金属細線の線幅は、目視で目立たない、20μm以下の線幅に形成する。
【0031】
また、透明基板1上に、45度傾けたメッシュ構造の矩形領域同士をその角点(くびれ部分4)でY方向に連結してY方向電極配線3を形成する。すなわち、くびれ部分4をX方向電極配線2とY方向電極配線3の交差部にする。
【0032】
X方向電極配線2とY方向電極配線3を製造するために、透明基板1の片面に形成した銅薄膜をエッチングして、メッシュ構造のX方向電極配線2とY方向電極配線3と取出し銅配線6と外部接続用端子6aのパターンを一括形成して、メッシュ構造のX方向電極配線2とY方向電極配線3を透明基板1の片面に形成する。
【0033】
メッシュ構造を形成する金属細線の線幅は、5μmから20μmの線幅に形成する。そして、メッシュ構造の矩形領域同士を連結するくびれ部分4で、X方向電極配線2とY方向電極配線3を交差させる。そのくびれ部分4では、
図2の断面図のように、X方向電極配線2とY方向電極配線3は、互いに接触しないように絶縁性樹脂5で絶縁させて交差させる。
【0034】
くびれ部分4の上下の層のX方向電極配線2とY方向電極配線3とは、2〜10μm程度の厚みのアクリル系材料等の絶縁樹脂層5を挟んで絶縁する。絶縁樹脂層5の肩は滑らかに変化させる。下層の電極配線を形成した後、下層の電極配線の上に絶縁樹脂層5を形成し、その上に上層の電極配線を形成する。
【0035】
こうして、45度傾けた金属細線の網状のパターン(メッシュ構造)の矩形領域のX方向の連鎖のX方向電極配線2と、Y方向の連鎖のY方向電極配線3とで正方格子を形成する。
【0036】
タッチセンサー用基板10の透明基板1の面上のX方向電極配線2とY方向電極配線3を、メラミン樹脂等の保護絶縁体7で被覆して保護し、その保護絶縁体7の表面を、操作者が指でタッチして操作するタッチ面にする。
【0037】
このタッチセンサー用基板10には、メッシュ構造の連鎖で形成したX方向電極配線2とY方向電極配線3をXYのマトリックス状に配置して構成し、タッチ位置のX方向電極配線2とY方向電極配線3を独立に検出することで、そのX方向電極配線2とY方向電極配線3の交差部(くびれ部)4の位置を算出して操作者の指のタッチ位置を検出する。
【0038】
タッチセンサー用基板10の個々のX方向電極配線2とY方向電極配線3は、電極信号取出し配線6を介して、タッチセンサー外形線11近くの外部接続用端子6aに電気接続する。この電極信号取出し配線6は、画像表示部に重ねる領域以外の部分では、許される範囲で線幅を太くする。その線幅は、概ね0.02〜0.5mmの範囲に形成する。特に、外部接続用端子6aの線幅は0.2mm以上0.50mm以下に形成することが望ましい。
【0039】
更に、外部接続用端子6aの1つ毎に、
図3のようにタッチセンサー外形線11を横切って、タッチセンサー外形線11で囲まれる製品領域の外側の領域にまで、複数の並行する外部引き出し用配線6bを引き出す。この複数の並行する外部引き出し用配線6bによって、製品領域内の外部接続用端子6aを製品領域の外側の電気検査用外部端子6c又は電気検査用外部配線6dに電気接続する。
【0040】
また、X方向電極配線2とY方向電極配線3の、電極信号取出し配線6に接続する電極配線の端とは反対側の端から、1つの電極配線毎に複数の並行する外部引き出し用配線6bを引き出して、タッチセンサー用基板10の製品領域の外側の電気検査用外部配線6dに電気接続する。
【0041】
図3のように、外部接続用端子6a毎に、複数の並行する外部引き出し用配線6bを引き出す。外部引き出し用配線6bの線幅は、外部接続用端子6aの線幅の5分の1以下20分の1以上に形成する。外部引き出し用配線6bの線幅が外部接続用端子6aの線幅の20分の1よりも細いと配線パターンを透明基板1の面に形成する際やその後の製造工程で断線し易くなる。また、外部引き出し用配線6bの線幅が外部接続用端子6aの線幅の5分の1より大きいと、外部引き出し用配線6bを複数本形成する本数を多くできない。
【0042】
1つの外部接続用端子6a等から引き出す外部引き出し用配線6bの数は3本以上5本以下の数の外部引き出し用配線6bを平行に引き出すことが望ましい。3本以上の外部引き出し用配線6bを形成することで、タッチセンサーの製造過程の不具合で、外部接続用端子6aから電気検査用外部端子6c又は電気検査用外部配線6dに至る外部引き出し用配線6bが数箇所で断線させられても、平行する複数の外部引き出し用配線6bのいくつかが断線せずに残る。それにより、外部引き出し用配線6bによる電気検査用の電気接続を確保でき、問題無く電気検査することができる効果がある。
【0043】
特に、線幅が0.2mm以上0.50mm以下の外部接続用端子6aに対して、外部引き出し用配線6bの線幅を、0.01mm以上0.1mm以下に形成することが望ましい。例えば、幅が0.3mmの外部接続用端子6aから、幅が0.02mmから0.03mmの外部引き出し用配線6bを3本以上5本以下引き出すことが望ましい。
【0044】
こうして、
図1のように、X方向電極配線2とY方向電極配線3と電極信号取出し配線6と外部接続用端子6aを、外部引き出し用配線6bとタッチセンサー用基板10の製品領域の外側の電気検査用外部配線6dを介して、2つの電気検査用外部端子6cを両端に
持つ1本の配線に形成する。
【0045】
そして、その2つの電気検査用外部端子6cの間の導通を試験することで、X方向電極配線2とY方向電極配線3と電極信号取出し配線6と外部接続用端子6aの断線の有無を検査する。
【0046】
外部引き出し用配線6bの線幅は、後にタッチセンサー外形線11で切断するために、細く形成する必要がある。本実施形態では、その外部引き出し用配線6bを複数の平行する配線にして外部接続用端子6aから引き出す。それにより、外部引き出し用配線6bの線幅が細いために製造工程において断線し易い問題を改善できる効果がある。
【0047】
すなわち、製造工程における欠陥の発生により、外部接続用端子6aと電気検査用外部配線6dを接続する外部引き出し用配線6bのうちの1本が断線しても、残りの外部引き出し用配線6bが、外部接続用端子6aと電気検査用外部配線6dの電気接続を確保できる効果がある。
【0048】
タッチセンサーの切り出し工程で、タッチセンサー外形線11でタッチセンサー用基板10の透明基板1を切ることで、タッチセンサー外形線11内のタッチセンサーの製品を透明基板1から切り出す。それにより、タッチセンサー外形線11を横切る外部引き出し用配線6bを切断して、外部接続用端子6aをタッチセンサーの製品から切り離す。
【0049】
このタッチセンサーの製品を透明基板1からタッチセンサー外形線11で切り出す作業において、外部引き出し用配線6bが外部接続用端子6aよりも細く形成してあるので、外部引き出し用配線6bがタッチセンサー外形線11で、容易に製造上の問題を生じず切断できる。
【0050】
<第2の実施形態>
図5に、本発明の第2の実施形態のタッチセンサー用基板10の平面図と側断面の模式図を示し、
図4に、そのX方向電極配線2及びY方向電極配線3の1つのノードのストライプ状の金属細線の束構造を示す。電極配線の1つのノードのストライプ状の金属細線の束構造は、
図4のように、例えば数mmの幅に分散させて9本の銅の金属細線を配置し、その金属細線を束ねて、その両端を接続して1つのノードの電極配線を構成する。その各金属細線の線幅は、5μmから20μmの線幅に形成する。
【0051】
このタッチセンサー用基板10は、
図5のように、厚みが50〜200μm程度のPETやPENやポリイミド系フィルム等の透明基板1の両面(表面と裏面)に、X方向電極配線2とY方向電極配線3を形成する。
【0052】
詳しくは、透明基板1の表面に、互いに並走する複数のX方向電極配線2を配線し、透明基板1の裏面には、そのX方向電極配線2に対して直交する、複数のY方向電極配線3を配線する。
【0053】
こうして、金属細線を束ねた束構造のノードで形成したX方向電極配線2を平行に複数配線し、それに直交する、金属細線を束ねた構造のノードで形成したY方向電極配線3を平行に複数配線し、X方向電極配線2とY方向電極配線3をXYのマトリックス状に配置してタッチセンサー用基板10を構成する。そして、X方向電極配線2とY方向電極配線3を交差部8で交差させる。
【0054】
タッチセンサー用基板10の透明基板1の両面のX方向電極配線2とY方向電極配線3を、メラミン樹脂等の保護絶縁体7で被覆して保護して、その保護絶縁体7の表面を、操
作者が指でタッチして操作するタッチ面にする。
【0055】
このタッチセンサー10から製品領域を切り出して製造するタッチセンサーは、タッチ位置のX方向電極配線2とY方向電極配線3を独立に検出することで、そのX方向電極配線2とY方向電極配線3の交差部8の位置を算出して操作者の指のタッチ位置を検出する。
【0056】
タッチセンサー用基板10の個々のX方向電極配線2とY方向電極配線3は、電極信号取出し配線6を介して、タッチセンサー外形線11近くの外部接続用端子6aに電気接続する。電極信号取出し配線6の線幅は、概ね0.02〜0.5mmの範囲に形成する。特に、外部接続用端子6aの線幅は0.2mm以上0.50mm以下に形成することが望ましい。
【0057】
そして、第1の実施形態と同様に、
図5のように、タッチセンサー外形線11近くの外部接続用端子6aから、タッチセンサー外形線11を横切って、タッチセンサー用基板10の製品領域の外側にまで外部引き出し用配線6bを引き出すことで、製品領域内の外部接続用端子6aを製品領域の外側の電気検査用外部端子6c又は電気検査用外部配線6dに電気接続する。
【0058】
この外部引き出し用配線6bは、第1の実施形態と同様に、
図3のように、外部接続用端子6aから複数の平行する配線にして引き出す。外部引き出し用配線6bの線幅は、外部接続用端子6aの線幅の5分の1以下20分の1以上に形成する。
【0059】
特に、外部引き出し用配線6bの線幅は、0.01mm以上0.1mm以下に形成することが望ましい。例えば、幅が0.3mmの外部接続用端子6aから、幅が0.02mmから0.03mmの外部引き出し用配線6bを複数引き出す。また、1つの外部接続用端子6a等から引き出す外部引き出し用配線6bの数は3本以上5本以下の数の外部引き出し用配線6bを引き出すことが望ましい。
【0060】
また、X方向電極配線2とY方向電極配線3の、電極信号取出し配線6に接続する電極配線の端と反対側の端から、外部引き出し用配線6bを引き出して、タッチセンサー用基板10の製品領域の外側の電気検査用外部配線6dに電気接続する。
【0061】
こうして、
図5のように、X方向電極配線2とY方向電極配線3と電極信号取出し配線6と外部接続用端子6aを、外部引き出し用配線6bとタッチセンサー用基板10の製品領域の外側の電気検査用外部配線6dを介して、2つの電気検査用外部端子6cを両端に持つ1本の配線に形成する。
【0062】
そして、その2つの電気検査用外部端子6cの間の導通を試験することで、X方向電極配線2とY方向電極配線3と電極信号取出し配線6と外部接続用端子6aの断線の有無を検査する。
【0063】
第1の実施形態と同様に、外部引き出し用配線6bの線幅は、後にタッチセンサー外形線11で切断するために、細く形成する。その外部引き出し用配線6bを複数の平行する配線にして外部接続用端子6aから引き出す。それにより、外部引き出し用配線6bの線幅が細いために製造工程において断線し易い問題を改善できる効果がある。
【0064】
すなわち、製造工程における欠陥の発生により、外部接続用端子6aと電気検査用外部配線6dを接続する外部引き出し用配線6bのうちの1本が断線しても、残りの外部引き出し用配線6bが、外部接続用端子6aと電気検査用外部配線6dの電気接続を確保でき
る効果がある。
【0065】
タッチセンサーの切り出し工程で、タッチセンサー外形線11で透明基板1を切ることで、タッチセンサー外形線11内のタッチセンサーの製品をタッチセンサー用基板10の透明基板1から切り出す。それにより、タッチセンサー外形線11を横切る外部引き出し用配線6bを切断して、外部接続用端子6aをタッチセンサーの製品から切り離す。
【0066】
第1の実施形態と同様に、外部引き出し用配線6bが外部接続用端子6aよりも細く形成してあるので、タッチセンサーの製品をタッチセンサー外形線11でタッチセンサー用基板10の透明基板1から切り出す作業において、外部引き出し用配線6bがタッチセンサー外形線11で、容易に問題無く切断できる。
【0067】
なお、以上の実施形態は本発明の例示であって、本発明は以上の実施形態に限定されない。例えば、タッチセンサー用基板10の配線パターンは、金属膜をエッチングして形成するものに限定されない。すなわち、X方向電極配線2やY方向電極配線3等の配線パターンを、金属ペーストを透明基板1の面にスクリーン印刷、又は、グラビアオフセット印刷で形成することもできる。