(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ハウジング内において一方向に沿って一方の側に移動するプランジャに装着されたブレードを用いて止具部材を前記一方の側に向かって打ち込む動作を行い、前記プランジャと同期して前記一方向に沿って前記プランジャと逆向きに移動するカウンタウェイトを具備する打込機であって、
前記ハウジングの内部において、前記プランジャが前記一方の側に移動した際に、前記プランジャにおける前記一方の側の面と、当該面と対向する前記ハウジングの内部の面である第1バンパ支持面との間において挟持され、少なくとも一部が弾性体で構成された第1のバンパと、
前記ハウジングの内部において、前記カウンタウェイトが前記一方の側と反対の他方の側に移動した際に、前記カウンタウェイトにおける前記他方の側の面と、当該面と対向する前記ハウジングの内部の面である第2バンパ支持面との間において挟持され、少なくとも一部が弾性体で構成された第2のバンパと、を具備し、
前記第1のバンパと前記第2のバンパの外形が同一形状であり、
前記プランジャによって前記第1のバンパが圧縮される際の前記プランジャにおける前記一方の側の面と前記第1バンパ支持面との間の間隔と、前記プランジャによって前記第1のバンパが圧縮されると同時に前記カウンタウェイトによって前記第2のバンパが圧縮される際の前記カウンタウェイトにおける前記他方の側の面と前記第2バンパ支持面との間の間隔とが異なるとともに、
前記プランジャによって前記第1のバンパが圧縮される際の圧縮率と、前記カウンタウェイトによって前記第2のバンパが圧縮される際の圧縮率とが異なるように構成されたことを特徴とする打込機。
ハウジング内において一方向に沿って一方の側に移動するプランジャに装着されたブレードを用いて止具部材を前記一方の側に向かって打ち込む動作を行い、前記プランジャと同期して前記一方向に沿って前記プランジャと逆向きに移動するカウンタウェイトを具備する打込機であって、
少なくとも一部が弾性体で構成され、第1の面と第2の面との間で挟持されて圧縮される際に、前記第1の面と前記第2の面との間で異なる2つの態様で挟持されることが可能な形状とされ、前記態様に応じ、前記第1の面と前記第2の面に挟持されて圧縮される際に異なる圧縮率をとるように構成されたバンパが用いられ、
前記ハウジングの内部において、前記プランジャが前記一方の側に移動した際に、前記プランジャにおける前記一方の側の面と当該面と対向する前記ハウジングの内部の面である第1バンパ支持面との間において、前記第1パンバ支持面を前記第1の面、前記第2の面のうちの一方、前記プランジャにおける前記一方の側の面を前記第1の面、前記第2の面の他方とし、前記2つの態様のうちの一方で挟持されるように設けられた前記バンパである第1のバンパと、
前記ハウジングの内部において、前記カウンタウェイトが前記一方の側と反対の他方の側に移動した際に、前記カウンタウェイトにおける前記他方の側の面と当該面と対向する前記ハウジングの内部の面である第2バンパ支持面との間において、前記第2パンバ支持面を前記第1の面、前記第2の面のうちの一方、前記カウンタウェイトにおける前記他方の側の面を前記第1の面、前記第2の面の他方とし、前記2つの態様のうちの他方で挟持されるように設けられた前記バンパである第2のバンパとが、
前記一方向が圧縮方向となるように、それぞれ設けられたことを特徴とする打込機。
前記第1バンパ支持面又は前記第2バンパ支持面には、前記一方向を鉛直方向とした際の高さが異なる複数のバンパ当接部が設けられたことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の打込機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の構成において、打ち込み動作時の反動や振動を充分に低減するためには、プランジャ側だけでなく、カウンタウェイト側にも別にバンパを設けることが有効である。カウンタウェイト側のバンパにおいては、プランジャ(ブレード)側のバンパとは異なり、上記のような変形量に対する制限はないため、圧縮率(変形量)をより大きくすることによって、より衝撃エネルギーを吸収しやすくすることが有効である。また、プランジャ側のバンパと異なり、打ち込み動作に伴うエネルギーの消費、すなわち、止具部材に対する仕事を行うことがないため、より高耐久の特性を有するバンパを用いることが必要であった。
【0006】
しかしながら、こうした場合には、1台の打込機において、仕様(外形、材質等)の異なる2種類のバンパを用いることが必要となった。このため、部品点数が多くなり、打込機を安価とすることが困難であった。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、上記の問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
本発明の打込機は、ハウジング内において一方向に沿って一方の側に移動するプランジャに装着されたブレードを用いて止具部材を前記一方の側に向かって打ち込む動作を行い、前記プランジャと同期して前記一方向に沿って前記プランジャと逆向きに移動するカウンタウェイトを具備する打込機であって、前記ハウジングの内部において、前記プランジャが前記一方の側に移動した際に、前記プランジャにおける前記一方の側の面と、当該面と対向する前記ハウジングの内部の面である第1バンパ支持面との間において挟持され、少なくとも一部が弾性体で構成された第1のバンパと、前記ハウジングの内部において、前記カウンタウェイトが前記一方の側と反対の他方の側に移動した際に、前記カウンタウェイトにおける前記他方の側の面と、当該面と対向する前記ハウジングの内部の面である第2バンパ支持面との間において挟持され、少なくとも一部が弾性体で構成された第2のバンパと、を具備し、
前記第1のバンパと前記第2のバンパの外形が同一形状であり、前記プランジャによって前記第1のバンパが圧縮される際の前記プランジャにおける前記一方の側の面と前記第1バンパ支持面との間の間隔と、前記プランジャによって前記第1のバンパが圧縮されると同時に前記カウンタウェイトによって前記第2のバンパが圧縮される際の前記カウンタウェイトにおける前記他方の側の面と前記第2バンパ支持面との間の間隔とが異なるとともに、前記プランジャによって前記第1のバンパが圧縮される際の圧縮率と、前記カウンタウェイトによって前記第2のバンパが圧縮される際の圧縮率とが異な
るように構成されたことを特徴とする。
本発明の打込機は、ハウジング内において一方向に沿って一方の側に移動するプランジャに装着されたブレードを用いて止具部材を前記一方の側に向かって打ち込む動作を行い、前記プランジャと同期して前記一方向に沿って前記プランジャと逆向きに移動するカウンタウェイトを具備する打込機であって、前記ハウジングの内部において、前記プランジャが前記一方の側に移動した際に、前記プランジャにおける前記一方の側の面と、当該面と対向する前記ハウジングの内部の面である第1バンパ支持面との間において挟持され、少なくとも一部が弾性体で構成された第1のバンパと、前記ハウジングの内部において、前記カウンタウェイトが前記一方の側と反対の他方の側に移動した際に、前記カウンタウェイトにおける前記他方の側の面と、当該面と対向する前記ハウジングの内部の面である第2バンパ支持面との間において挟持され、少なくとも一部が弾性体で構成された第2のバンパと、を具備し、前記第1のバンパと前記第2のバンパの外形が同一形状であり、前記プランジャによって前記第1のバンパが圧縮される際の前記第1のバンパが圧力を受ける面積と、前記プランジャによって前記第1のバンパが圧縮されると同時に前記カウンタウェイトによって前記第2のバンパが圧縮される際の前記第2のバンパが圧力を受ける面積とが異なるとともに、前記プランジャによって前記第1のバンパが圧縮される際の圧縮率と、前記カウンタウェイトによって前記第2のバンパが圧縮される際の圧縮率とが異なるように構成されたことを特徴とする。
本発明の打込機は、ハウジング内において一方向に沿って一方の側に移動するプランジャに装着されたブレードを用いて止具部材を前記一方の側に向かって打ち込む動作を行い、前記プランジャと同期して前記一方向に沿って前記プランジャと逆向きに移動するカウンタウェイトを具備する打込機であって、少なくとも一部が弾性体で構成され、第1の面と第2の面との間で挟持されて圧縮される際に、前記第1の面と前記第2の面との間で異なる2つの態様で挟持されることが可能な形状とされ、前記態様に応じ、前記第1の面と前記第2の面に挟持されて圧縮される際に異なる圧縮率をとるように構成されたバンパが用いられ、前記ハウジングの内部において、前記プランジャが前記一方の側に移動した際に、前記プランジャにおける前記一方の側の面と当該面と対向する前記ハウジングの内部の面である第1バンパ支持面との間において、前記第1パンバ支持面を前記第1の面、前記第2の面のうちの一方、前記プランジャにおける前記一方の側の面を前記第1の面、前記第2の面の他方とし、前記2つの態様のうちの一方で挟持されるように設けられた前記バンパである第1のバンパと、前記ハウジングの内部において、前記カウンタウェイトが前記一方の側と反対の他方の側に移動した際に、前記カウンタウェイトにおける前記他方の側の面と当該面と対向する前記ハウジングの内部の面である第2バンパ支持面との間において、前記第2パンバ支持面を前記第1の面、前記第2の面のうちの一方、前記カウンタウェイトにおける前記他方の側の面を前記第1の面、前記第2の面の他方とし、前記2つの態様のうちの他方で挟持されるように設けられた前記バンパである第2のバンパとが、前記一方向が圧縮方向となるように、それぞれ設けられたことを特徴とする。
本発明の打込機において、前記第1のバンパの外形と前記第2のバンパの外形は同一形状であることを特徴とする。
本発明の打込機において、前記第2のバンパの前記圧縮率は、前記第1のバンパの前記圧縮率よりも大きく設定されたことを特徴とする。
本発明の打込機において、前記第1バンパ支持面又は前記第2バンパ支持面には、前記一方向を鉛直方向とした際の高さが異なる複数のバンパ当接部が設けられたことを特徴とする。
本発明の打込機において、前記第1のバンパと前記第2のバンパとは、同一の外形となるように、同一の金型を用いて異なる材料でそれぞれ製造されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は以上のように構成されているので、カウンタウェイトが用いられた安価な打込機を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態となる打込機の構成について説明する。
図1は、この打込機100の構成を示す断面図である。この打込機100を用いて、ピン(止具部材)が図中下側の木材や石膏ボード(被打込部材)に打ち込まれる。
【0012】
この打込機100においては、
図1における上下方向が中心軸方向とされた略円筒形状のメインボディ10と、メインボディ10の上側と連結され図中左方向に延伸するハンドル30と、メインボディ10の下側と連結されハンドル30と略平行に図中左側に延伸するサブボディ40が設けられる。サブボディ40の中には動力源となるモータ41が設けられる。また、図中におけるハンドル30の左端とサブボディ40の左端は、バッテリ装着部42で連結され、バッテリ装着部42には、その脱着が容易とされた状態で、モータ41を駆動させるバッテリ43が装着される。メインボディ10、ハンドル30、サブボディ40は、実際には軽量な樹脂材料で一体化されて構成されたハウジングとなっている。ハンドル30とその下側のサブボディ40との間には空隙が形成されるため、作業者はハンドル30を上側から把持し、下側に位置する木材等(被打込部材)に対して打ち込み作業を行うことができる。
【0013】
メインボディ10内には、図中で上下方向に延伸するシャフト11が固定されており、シャフト11に沿って往復運動をするプランジャ12が設けられている。図におけるプランジャ12の右側には、ピンをその下端部で打ち込む動作を行いシャフト11と平行とされた上下方向に細長いブレード13が固定されている。ブレード13の下端側は、プランジャ12の上下運動に伴ってメインボディ10内の下側に設けられブレード13を下側で支持するブレードガイド14に沿って移動する。ブレードガイド14の図中右側の下側には、下側に突出するノーズ15が設けられ、その下端には射出口15Aが形成されている。ピンは、サブボディ40の下側に設けられたマガジン44から自動的に供給され、この射出孔15Aを通り下側に向かって打ち込まれる。
【0014】
ピンの打ち込み動作は、プランジャ12が上側に位置しプランジャ12に係止されたコイルバネ16が圧縮された状態から、コイルバネ16が伸びる動作によって行われる。プランジャ12を移動させコイルバネ16を圧縮させる動作は、モータ41の回転が、複数の歯車が組み合わされて構成された減速機構45で減速され、圧縮機構46を介して行われる。
【0015】
また、メインボディ10の下側には、上下方向に移動可能なプッシュレバー17が、バネ(図示せず)によって下側に付勢された状態で装着されている。外力が働かない状態では、プッシュレバー17の下端は射出孔15Aよりも下側となる。このため、打ち込み作業のために作業者が射出孔15Aを木材等に当接させた場合に、プッシュレバー17はメインボディ10に対して相対的に上側に移動する。また、ハンドル30の下側には、トリガレバー31が設けられている。作業者がトリガレバー31を握りこれを上側に移動させ、かつ射出孔15Aを木材等に当接させプッシュレバー17を上側に移動させた場合に、ピンの打ち込み動作、すなわち、プランジャ12の下降動作が開始される。
【0016】
この動作に際して、プランジャ12はコイルバネ16による強い衝撃力で下側に移動するが、ピンの打ち込み深さは、打ち込み動作毎に均一である必要がある。打ち込み動作に際しては、プランジャ12の下側への移動は、第1のバンパ18で制限される。第1のバンパ18は、メインボディ10内においてシャフト11を囲んで設けられ、その下面がメインボディ10の下側に設けられた第1バンパ支持面10Aで支持される。このため、プランジャ12が下降した場合には、プランジャ12の下面が第1のバンパ18と当接し、その下降運動が制限され、第1のバンパ18は、ピンの打ち込み動作に用いられた以外の余剰エネルギーを吸収する。このため、第1のバンパ18は、弾性体、例えば硬質ゴム材料で構成される。
【0017】
一方、上記のプランジャ12の上下動の反作用は、メインボディ10(ハウジング)等に伝わり、ハンドル30を介して作業者に伝わる。この反作用によって、作業者がこの打込機100を保持して打ち込み作業を行うことに支障が出る場合がある。この反作用を低減するため、この打込機100においては、シャフト11に沿ってプランジャ12と反対側に移動するように構成されたカウンタウェイト20が設けられている。カウンタウェイト20とプランジャ12との間の接続は、例えば特許文献1に記載されたものと同様の機械的機構によって行われ、カウンタウェイト20は常にプランジャ12と逆方向に移動する。このため、プランジャ12が最下部に位置する場合には、カウンタウェイト20は最上部に位置する。
【0018】
このため、上昇したカウンタウェイト20をメインボディ10の上側で支持する第2のバンパ22が、カウンタウェイト20と、メインボディ10の上側に設けられた第2バンパ支持面10Bとの間に設けられる。カウンタウェイト20から余剰エネルギーを吸収させるために、第2のバンパ22も弾性体で構成される。
【0019】
なお、上記の構成において、プランジャ12自身と第1のバンパ18、カウンタウェイト20自身と第2のバンパ22がそれぞれが当接する代わりに、プランジャ12に対する固定物(例えば金属片)、カウンタウェイト20に対する固定物がそれぞれ第1のバンパ18、第2のバンパ22と当接するようにしても、同様に機能することは明らかである。このため、ここでは、こうした固定物を含めて、上記のように第1のバンパ18と当接する部品全体をプランジャ12、第2のバンパ22と当接する部品全体をカウンタウェイト20とする。
【0020】
ここで、下側の第1のバンパ18と、上側の第2のバンパ22とは、外力が加わらない場合における外形が同一形状とされる。ここで、外形が同一形状であるとは、例えば同一の金型を用いて製造されたことを意味し、例えば、その圧縮特性に実質的に影響を及ぼさない程度の加工、例えば表面のみの加工処理や微細孔の形成等が施された点以外が同一である場合も、同一形状であるものとする。どちらもシャフト11を囲むように設けられ、上下方向における向きも同一とされる。
【0021】
図2は、打ち込み動作の直前(a)と直後(b)におけるプランジャ12とカウンタウェイト20の動きを説明する図であり、
図1におけるシャフト11周辺の状況が拡大して示されている。前記の通り、第1のバンパ18は、第1バンパ支持面10A上に固定される。第2のバンパ22は第2バンパ支持面10Bの下側に設けられるために、第2のバンパ22は、第2バンパ支持面10Bに固定されたバンパストッパ10Cで下側からその外側において支持されている。前記の通り、第1のバンパ18、第2のバンパ22は、共に弾性体で構成されているが、プランジャ12、カウンタウェイト20がこれらに当接しない
図2(a)の状態では、第1のバンパ18、第2のバンパ22には共に外力が加わっていない。このため、
図2(a)の状態では、第1のバンパ18、第2のバンパ22の外形は同一である。ただし、第1のバンパ18を支持する第1バンパ支持面10Aは、シャフト11に近い側に設けられ鉛直方向下側に位置する第1バンパ第1当接面(バンパ当接部)10A1と、シャフト11から遠い側に位置し鉛直方向上側に位置する第1バンパ第2当接面(バンパ当接部)10A2を具備する。すなわち、第1バンパ支持面10Aは、高さの異なる複数のバンパ当接部で構成されている。
【0022】
第1のバンパ18がプランジャ12によって、第2のバンパ22がカウンタウェイト20によってそれぞれ圧縮された
図2(b)の状態では、第1のバンパ18、第2のバンパ22の外形は大きく異なる。この点について以下に説明する。
【0023】
図3は、
図2(a)の状態における第1のバンパ18、第2のバンパ22の断面を拡大して示す図である。前記の通り、これらは同一形状であるために、ここではバンパBとして共通に示されている。環状形状の中心軸Oはシャフト11の中心軸と等しくされる。この状態で、バンパは、下側から第1の面P1、上側から第2の面P2によって挟持されて圧縮される。図では単純化して第1の面P1、第2の面P2共に広い単一の平面とされているが、実際にはこれらの面は、バンパBと部分的に接するように小さくすることができる。
【0024】
バンパBの上下面が共に平面形状であれば、バンパBが第1の面P1、上側から第2の面P2によって上下方向で圧縮される際の態様は一通りしか存在しない。しかしながら、このバンパBの下面側においては、
図3に示されるように、上側において第2の面P2と当接しうる面がバンパ表面(表面)S2しかないのに対して、下側において第1の面P1と当接しうる表面は内側(中心軸Oに近い側)のバンパ表面(表面)S10と外側(中心軸Oから遠い側)のバンパ表面(表面)S11の2つが存在する。バンパ表面S2、S10、S11は平行とされる。この際、外力が働かない状態において、バンパ表面S2とバンパ表面S10との間の間隔(バンパBにおいて挟持される部分の厚さ)はバンパ表面S2とバンパ表面S11の間の間隔と大きく異なる。また、バンパ表面S10とバンパ表面S11の面積が異なれば、第1の面P1から同じ圧力が加わった場合に、バンパ表面S10が受ける力とバンパ表面S11が受ける力は異なる。このため、このバンパBをバンパ表面S2とバンパ表面S10の間で圧縮した場合と、バンパ表面S2とバンパ表面S11、あるいはバンパ表面S2とバンパ表面S10及びバンパ表面S11の間で圧縮した場合とでは、バンパBの変形の度合い、あるいは圧縮率は大きく異なる。すなわち、このバンパBは、第1の面P1と第2の面P2との間で異なる2つの態様で挟持・圧縮できる形態とされ、この態様に応じて圧縮率が異なる。
【0025】
図2の形態では、第2のバンパ22においては、
図3の第2の面P2は第2バンパ支持面10Bであり、これが
図3におけるバンパ表面S2と当接する。一方、第2のバンパ22における
図3の第1の面P1はカウンタウェイト20の上面であり、これが
図3におけるバンパ表面S10と当接する。このため、第2のバンパ22は、
図3におけるバンパ表面S2とバンパ表面S10との間で圧縮される。一方、第1のバンパ18においては、
図3の第2の面P2はプランジャ12の下面であり、これが
図3におけるバンパ表面S2と当接する。一方、第1のバンパ18における
図3の第1の面P1は第1バンパ支持面10A(第1バンパ第1当接面10A1、第1バンパ第2当接面10A2)であり、これが
図3におけるバンパ表面S10及びバンパ表面S11と当接する。あるいは、第1のバンパ18は、下側においては高さの異なる第1バンパ第1当接面10A1と第1バンパ第2当接面10A2によって支持される。このため、プランジャ12,カウンタウェイト20に同じ力が加わった場合でも、これらによって圧縮される第1のバンパ18、第2のバンパ22の圧縮率は異なる。なお、ここでいう第1のバンパ18の圧縮率は、プランジャ12が第1のバンパ18と当接してから最下端に到達するまでの移動距離に対応し、第2のバンパ22の圧縮率とは、カウンタウェイト20が第2のバンパ22と当接してから最上端に到達するまでの移動距離に対応する。
【0026】
図4は、
図2におけるこの状況を拡大して示す図であり、第2のバンパ22の圧縮前(a1)、圧縮後(a2)、第1のバンパ18の圧縮前(b1)、圧縮後(b2)をそれぞれ示す。
図4(a2)に示されるように、第2のバンパ22は、上側から第2バンパ支持面10B、下側からカウンタウェイト上面20Aによって圧縮される。第2バンパ支持面10Bと接する第2のバンパ22の表面は
図3のバンパ表面S2、カウンタウェイト上面20Aと接する第2のバンパ22の表面は
図3のバンパ表面S10となる。
【0027】
一方、
図4(b2)に示されるように、第1のバンパ18は、下側から第1バンパ支持面10A、上側からプランジャ下面12Aによって圧縮される。第1バンパ支持面10Aにおける第1バンパ第1当接面10A1と接する第1のバンパ18の表面は
図3のバンパ表面S10となり、第1バンパ支持面10Aにおける第1バンパ第2当接面10A2と接する第1のバンパ18の表面は
図3のバンパ表面S11となる。プランジャ下面12Aと接する第1のバンパ18の表面は
図3のバンパ表面S2となる。
【0028】
図4(a2)、(b2)の比較より、より狭い面積の面S10のみでカウンタウェイト20を受け止め、かつこの部分の上下方向の厚さが厚くなった第2のバンパ22の圧縮率は大きくなる。このため、カウンタウェイト20を受け止める第2のバンパ22の変形量を大きくすることによって衝撃を充分に和らげることができる。一方、第1のバンパ18においては、その変形量(圧縮率)を小さくすることによって、余剰エネルギーを吸収しつつブレード13による打ち込み精度を維持することができる。同一形状の外形をもつ第1のバンパ18と第2のバンパ22を用いているにも関わらず、こうした効果を得ることができる。
【0029】
前記の通り、第1のバンパ18と第2のバンパ22とは、少なくとも外形が同一形状のものを用いることができ、実際には同一のものを用いることができる。このため、これらの製造コストを低下させることができる。これにより、打込機100の製造コストを低下させることができ、打込機100を安価とすることができる。
【0030】
第1のバンパと第2のバンパの形態や、その設置の態様は、上記の例の他にも様々なものが使用できる。例えば、
図2の形態において、下側の第1のバンパ18を上下反転させた形態とし、第1バンパ支持面10Aの形状とプランジャ12の下面の形状を逆転させても同様の効果を奏することは明らかである。第2のバンパ22側も同様に上下反転させることができる。ただし、
図2の構成の場合は、第2のバンパ22におけるバンパ表面S11をバンパストッパ10Cで支持することができるため、より好ましい。
【0031】
また、上記の例では、第1のバンパ18、第2のバンパ22は共にメインボディ10側(第1バンパ支持面10A、第2バンパ支持面10B)に固定されたが、錘としての機能を有するカウンタウェイト20側に第2のバンパ22を固定することも可能である。この場合、第2のバンパ22の重量もカウンタウェイトの錘の一部を担うため、製品全体として見た場合、第2のバンパ22の重量分、製品の軽量化が可能である点で好適である。
図5は、こうした構成の打込機の構成を、
図2に対応させて示す。また、
図6は、この場合の第2のバンパ22、第1のバンパ18周囲の構成を
図4と対応させて示す。この場合においても、
図3の形状の第1のバンパ18、第2のバンパ22が用いられているが、
図2、4の場合とは上下が反転した状態で設置されている。このため、第1のバンパ18側においては、
図2、4における第1バンパ支持面10Aの形状とプランジャ下面12Aの形状とが逆転している。一方、第2のバンパ22はカウンタウェイト20側に形成されたバンパストッパ20Bによってカウンタウェイト20に
図2、4の構造とは上下逆転した形態で固定されている。
【0032】
このように、第1のバンパにおいて、
図3の構成におけるバンパ表面S2と、バンパ表面S10及びS11を、第1バンパ支持面、プランジャ下面のどちらの側に設けるか、あるいは、第2のバンパ22において、
図3の構成におけるバンパ表面S2と、バンパ表面S10及びS11を、第2バンパ支持面、カウンタウェイト上面のどちらの側に設けるかは、適宜設定することができる。これに対応して、高さの異なる複数のバンパ当接部を、第1バンパ支持面、プランジャ下面のいずれか、あるいは第2バンパ支持面、カウンタウェイト上面のいずれかに設けることができる。
【0033】
また、
図3の構成においては、第1の面P1と第2の面P2の間で挟持されて圧縮される際に、第1の面P1と当接しうる表面がバンパに複数設けられ、この複数の面のうちのいずれかと、第2の面と当接するバンパの表面との組み合わせによって、異なる圧縮率が得られる構成とされた。しかしながら、このように、挟持される面の組み合わせによって異なる圧縮率が得られる構造は、
図3に示された形状以外によっても実現することができる。例えば、第2の面において、
図3の構成では、バンパ表面S10、S11の二つの面を当接面とした例であるが、連続した複数の面を当接面とすることが可能である。例えば、前記S11,S12の間の斜面等も当接面として使用してもよい。
【0034】
更に、第1のバンパと第2のバンパの外形は同一形状とするが、その材質を変えることもできる。こうした場合においても、これらを同一の金型を用いて製造することができるために、これらを安価に製造できることは明らかである。この場合においては、第2のバンパを構成する材料の弾性係数を、第1のバンパを構成する材料の弾性係数よりも小さくすることによって、第2のバンパの圧縮率を大きくすることができる。この場合には、第1のバンパ、第2のバンパの形状を、
図3に示されたような複数の表面を具備する複雑な形状ではなく、例えば単純なドーナツ形状としてもよい。
【0035】
なお、上記の例では、第1のバンパ、第2のバンパは、共に弾性体で構成されるものとしたが、同様の効果を奏する限りにおいて、部分的に弾性体で構成されていてもよい。すなわち、少なくとも一部が弾性体で構成されたバンパを同様に用いることができる。
【0036】
また、上記の例におけるプランジャとカウンタウェイトとの関係は
図1に示されたとおりであったが、プランジャとカウンタウェイトの関係が他の構成とされた場合であっても、これらが互いに逆向きに移動し、かつこれらを係止するバンパが用いられる場合であれば、上記の構成が有効であることは明らかである。また、打込機は電動式に限られず、その動力源として、圧縮空気等を用いた場合でも、上記の構成は有効である。また、上記の例は、ピンを打ち込む打込機であったが、他の止具部材を打ち込む打込機であっても、同様である。