(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
〈本発明の実施形態の概要〉
最初に本発明の実施形態の概要を説明する。
本発明にかかるケーブルの一実施形態は、
(1)並列された複数本の電線と、前記複数本の電線の両端にそれぞれ設けられる第一コネクタおよび第二コネクタと、を備えたコネクタ付きケーブルであって、
前記第一コネクタは、その内部に収容される第一基板と、前記第一基板と接続されるコネクタプラグとを備え、
前記第二コネクタは、その内部に収容される第二基板と、前記第二基板と接続されるコネクタプラグとを備え、
前記第一基板および前記第二基板は、それぞれ、その一端側に並列配置されて前記複数本の電線が接続される複数の第一の接点を有し、
前記複数の第一の接点は、前記第一基板の前記複数の第一の接点の並列順と前記第二基板の前記複数の第一の接点の並列順とが前記複数本の電線を挟んで鏡面対称となるように、並列配置されている。
この構成によれば、複数本の電線の配列順を交差させることなくその両端を第一コネクタの第一基板に備わる複数の第一の接点と第二コネクタの第二基板に備わる複数の第一の接点とに接続することができる。そのため、製造が容易で生産性に優れたコネクタ付きケーブルを提供することができる。また、複数本の電線間の線長差が生じることがないため、差動信号伝送を行う電線対内においてスキューが発生することを防止することができる。
【0010】
(2)前記第一基板および前記第二基板は、それぞれ、その他端側に並列配置されて前記コネクタプラグが備える複数のコンタクトピンと接続される複数の第二の接点を有し、
前記複数の第一の接点と前記複数の第二の接点との間は電気回路により連結され、
前記第一基板および前記第二基板を前記複数本の電線が接続される側とは反対側からそれぞれ見たときに、前記第一基板の前記複数の第二の接点の並列順と前記第二基板の前記複数の第二の接点の並列順とが同一となるように前記複数の第二の接点が並列配置されていることが好ましい。
この構成によれば、第一基板と第二基板とにそれぞれ接続されるコネクタプラグを同一のものとすることができ、第一コネクタおよび第二コネクタを一端側と他端側の区別なく接続先である電気機器のレセプタクルに接続させることができる。
【0011】
(3)前記複数本の電線は、高速差動信号を送受信する高速差動信号線と、シングルエンド信号を送受信するシングルエンド信号線とを含み、
前記シングルエンド信号線は、前記複数の第一の接点のうち、前記第一基板の一面側および前記第二基板の一面側に配置された第一の接点に接続されるとともに、前記高速差動信号線は前記第一基板の他面側および前記第二基板の他面側に配置された第一の接点に接続されていることが好ましい。
この構成によれば、レセプタクルにコネクタを接続するときにコネクタの天地をいずれにしても接続可能である。
【0012】
(4)前記複数の第一の接点のうち前記他面側に配置されて前記高速差動信号線と接続される前記第一の接点は、少なくとも3対の接点対を含み、
前記複数の第二の接点は、前記シングルエンド信号線と接続されるシングルエンド信号用接点と、前記高速差動信号線と接続される高速信号用接点とを含み、
前記少なくとも3対の接点対のうち、両端の2対の接点対は前記第一基板および前記第二基板の前記一面側あるいは前記他面側のいずれか一方に配置された高速信号用接点と電気回路により連結され、前記両端の接点対に挟まれた少なくとも1対の接点対は前記両端の接点対が連結された前記高速信号用接点が配置された面とは反対側の面に配置された高速信号用接点と電気回路により連結されていることが好ましい。
この構成によれば、コネクタの天地をいずれにしてもレセプタクルに接続可能であり、かつコネクタの幅を狭くできる。
【0013】
(5)前記複数の高速信号用接点は、前記シングルエンド信号用接点を間に挟んで配置されていることが好ましい。
この構成によれば、高速信号のクロストークを抑制する点で好ましい。
【0014】
(6)前記高速差動信号線は、同軸電線から構成されていることが好ましい。
この構成によれば、ケーブルを柔軟にすることができる。
【0015】
〈本発明の実施形態の詳細〉
以下、本発明に係るコネクタ付きケーブルの実施形態の例を、図面を参照して説明する。
図1は、コネクタ付きケーブル10の一例を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係るコネクタ付きケーブル10は、例えば、電子機器(図示省略)同士を接続するのに用いることができ、ケーブル11の両端にコネクタ20としてそれぞれ第一コネクタ21および第二コネクタ22が接続されている。第一コネクタ21は、ケーブル11の一端側の端部(
図1において左端)に取り付けられており、第二コネクタ22は、ケーブル11の他端側の端部(
図1において右端)に取り付けられている。
なお、
図1の上側を第一コネクタ21および第二コネクタ22の上面とし、反対側を下面とする。
【0016】
第一コネクタ21は、その内部に平板状の第一基板23Aを有している。また、第二コネクタ22は、その内部に平板状の第二基板23Bを有している。第一基板23Aおよび第二基板23Bは、それぞれ、ケーブル11側の端部において第一基板23Aおよび第二基板23Bの上面および下面にそれぞれ並列配置された複数の接続端子(第一の接点の一例)30A,30Bを有している。また、第一基板23Aおよび第二基板23Bは、それぞれ、ケーブル11側とは反対の端部において上面および下面にそれぞれ並列配置された複数の接続端子(第二の接点の一例)60A,60B(
図3,
図5参照)を有している。
【0017】
第一コネクタ21の一端側にはコネクタプラグ24が配置されている。コネクタプラグ24の筐体として、略長円筒状の金属シェル24Aが設けられている。金属シェル24Aの内部にはピン保持板25が収容されている。ピン保持板25は、電子機器側のレセプタクル(図示省略)内のコンタクトピンと接続されるコンタクトピン70Aを保持する部材である。
また、第二コネクタ22の他端側にもコネクタプラグ24が配置されている。コネクタプラグ24の筐体として、略長円筒状の金属シェル24Aが設けられている。金属シェル24Aの内部にはピン保持板25が収容されている。ピン保持板25は、電子機器側のレセプタクル(図示省略)内のコンタクトピンと接続されるコンタクトピン70Aを保持する部材である。後で詳述するが、本実施形態における第一コネクタ21のコネクタプラグ24と第二コネクタ22のコネクタプラグ24の形状や構成は同一である。
【0018】
図2(a)は、
図1に示されるケーブル11のII−II線断面図であり、
図2(b)は、同軸電線15の断面図である。
図2(a)に示されるように、ケーブル11としては、例えば、中心に配置された8本の絶縁電線50と、その周囲に配置された8本の同軸電線15と、テープ材料(例えば、紙やポリエステル)からなる押さえ巻14と、金属素線(例えば、錫メッキ軟銅線)の編組からなるシールド(編組)13と、ポリ塩化ビニルからなるシース12とからなるものを採用できる。絶縁電線50は、本実施形態においては例えばシングルエンド信号(単線により伝送可能な信号)を送受信するシングルエンド信号線であって、中心導体51と、中心導体51を覆う外被52とを有している。
【0019】
本実施形態において、同軸電線15は、2本一対で高速差動信号を送受信する高速差動信号線である。一対の同軸電線15から構成される同軸電線対として、本例においては例えば四対の同軸電線対15A,15B,15C,15Dがケーブル11内に収容されている。
図2(b)に示されるように、各同軸電線15は、中心導体16と、中心導体16を覆う絶縁体17と、絶縁体17の外側に配置された外部導体18と、外部導体18を覆う外被19とを有している。
【0020】
図3は、
図1に示される第一コネクタ21のIII−III線断面図である。
図3に示されるように、ケーブル11の端部においてシース12等が除去されて同軸電線15および絶縁電線50が露出されている。同軸電線15の端部においては中心導体16が露出されており、当該中心導体16は第一基板23Aの上面23A1側に配置されている上面側接続端子30Aに例えば半田付けにより接続されている。また、絶縁電線50の端部においては中心導体51が露出されており、当該中心導体51は第一基板23Aの下面23A2側に配置されている下面側接続端子30Bに例えば半田付けにより接続されている。
【0021】
中心導体16が第一基板23Aの上面側接続端子30Aに接続された状態の同軸電線15は、第一樹脂層26により樹脂封止されている。同様に、中心導体51が第一基板23Aの下面側接続端子30Bに接続された状態の絶縁電線50も、第一樹脂層26により樹脂封止されている。そして、同軸電線15および絶縁電線50が第一基板23Aに接続された状態で、第一基板23Aの上面23A1および下面23A2と同軸電線15および絶縁電線50の周囲とが第二樹脂層27により樹脂封止されている。
【0022】
第二樹脂層27により樹脂封止された第一基板23Aの一端側には、コネクタプラグ24を構成する金属シェル24Aが配置されている。金属シェル24Aの内部に収容されているピン保持板25は、その上面側に並列配置された複数のコンタクトピン70Aを備えているとともに、その下面側に並列配置された複数のコンタクトピン70Bを備えている。ピン保持板25の一端側と反対側の端部は、第二樹脂層27から露出した第一基板23Aと接触している。そして、第一基板23Aの上面側接続端子60Aとピン保持板25上面のコンタクトピン70Aとが電気的に接続され、第一基板23Aの下面側接続端子60Bとピン保持板25下面のコンタクトピン70Bとが電気的に接続されている。
【0023】
さらに、金属シェル24Aの他端側の一部、第一基板23Aおよびケーブル11のシース12先端部にかけて第三樹脂層28により第一コネクタ21全体が樹脂封止されている。金属シェル24Aの一端側は第三樹脂層28から露出されて、コネクタプラグ24の筐体として機能する。第三樹脂層28の他端側においては、ケーブル11への応力を低減するための樹脂製のストレインリリーフ29がシース12の周囲を覆っている。
【0024】
なお、第二コネクタ22の構成は、第一基板23Aに代わって第二基板23Bが収容される点を除いて、
図3に示される第一コネクタ21と同一であるため、詳細な説明および図示は省略する。
【0025】
図4(a)は第一コネクタ21の第一基板23Aをケーブル11側から見た模式図であり、
図4(b)は第二コネクタ22の第二基板23Bをケーブル11側から見た模式図である。
図4(a)に示すように、第一コネクタ21の第一基板23Aをケーブル11側から見ると(
図1の矢視A)、第一基板23Aの上面23A1には複数の上面側接続端子30Aが配置されている。具体的には、右から左に向かって順に、第1接続端子31,第2接続端子32,第3接続端子33,第4接続端子34,第5接続端子35,第6接続端子36,第7接続端子37,第8接続端子38が配置されている。また、第一基板23Aの下面23A2には、複数の下面側接続端子30Bが配置されている。具体的には、上面側接続端子30Aと同様に右から左に向かって順に、第9接続端子39,第10接続端子40,第11接続端子41,第12接続端子42,第13接続端子43,第14接続端子44,第15接続端子45,第16接続端子46が配置されている。
【0026】
図4(b)に示すように、第二コネクタ22の第二基板23Bをケーブル11側から見ると(
図1の矢視B)、第二基板23Bの上面23B1には、複数の上面側接続端子30Aが配置されている。具体的には、第一基板23Aとは逆に左から右に向かって順に、第1接続端子31,第2接続端子32,第3接続端子33,第4接続端子34,第5接続端子35,第6接続端子36,第7接続端子37,第8接続端子38が配置されている。また、第二基板23Bの下面23B2には、複数の下面側接続端子30Bが配置されている。具体的には、第一基板23Aとは逆に左から右に向かって順に、第9接続端子39,第10接続端子40,第11接続端子41,第12接続端子42,第13接続端子43,第14接続端子44,第15接続端子45,第16接続端子46が配置されている。
【0027】
このように、本実施形態においては、ケーブル11の一端側である第一コネクタ21の第一基板23Aの上面側接続端子30Aおよび下面側接続端子30Bの並列順と、ケーブル11の他端側である第二コネクタ22の第二基板23Bの上面側接続端子30Aおよび下面側接続端子30Bの並列順とは、ケーブル11を挟んで鏡面対称となるように配置されている。
【0028】
図5(a)は、第一および第二基板23A,23Bの上面23A1,23B1の上面側接続端子30A,60Aの配置例を示す概略平面図であり、
図5(b)は、第一および第二基板23A,23Bの下面23A2,23B2の下面側接続端子30B,60Bの配置例を示す概略平面図である。なお、
図5(a)は、第一基板23Aおよび第二基板23Bを上方向から見たときの上面23A1,23B1を示す図である。また、
図5(b)は、第一基板23Aおよび第二基板23Bを、
図5(a)に示される上面23A1,23B1と同一方向(上面方向)から見たときの下面23A2,23B2を示す図である。
上述の通り、8本の同軸電線15は、高速の差動信号を伝送するために2本一対の同軸電線対から構成されており、
図5(a)の上から下に順に、第一電線対15A,第二電線対15B,第三電線対15C,第四電線対15Dが配置されている。これらの四対の同軸電線対15A〜15Dの両端は、8本の同軸電線15の配列順が交差することなく、第一基板23Aの上面側接続端子30Aと第二基板23Bの上面側接続端子30Aとにそれぞれ接続されている。
【0029】
具体的には、
図5(a)において上端(
図1の矢視Aにおける右端)に配置された第一電線対15Aを構成する2本の同軸電線15は第一基板23Aおよび第二基板23Bの第1接続端子31,第2接続端子32にそれぞれ接続されている。第一電線対15Aの下に配置された第二電線対15Bを構成する2本の同軸電線は、第一基板23Aおよび第二基板23Bの第3接続端子33,第4接続端子34にそれぞれ接続されている。第二電線対15Bの下に配置された第三電線対15Cは、第一基板23Aおよび第二基板23Bの第5接続端子35,第6接続端子36にそれぞれ接続されている。また、下端に配置された第四電線対15Dは、第一基板23Aおよび第二基板23Bの第7接続端子37,第8接続端子38にそれぞれ接続されている。
【0030】
また、本実施形態においては、例えば8本の絶縁電線50の両端は、その配列順が交差することなく、第一基板23Aの下面側接続端子30B(下面側接続端子39〜46)と第二基板23Bの下面側接続端子30B(下面側接続端子39〜46)とにそれぞれ接続されている。
【0031】
このように、高速差動信号線である同軸電線15は、第一および第二基板23A,23Bの上面23A1,23B1側にそれぞれ配置された上面側接続端子30Aに接続され、一方、シングルエンド信号線である絶縁電線50は、第一および第二基板23A,23Bの下面23A2,23B2側にそれぞれ配置された下面側接続端子30Bに接続されている。そのため、本実施形態においては、複数本の電線15,50を第一基板23Aおよび第二基板23Bの接続端子30A,30Bへそれぞれ接続する際の配線作業が非常に容易である。
【0032】
第一基板23Aの上面23A1上におけるケーブル11との接続側と反対側には、上面側のコンタクトピン70A(
図6参照)と接続される複数の上面側接続端子60Aが配置されている。具体的には、
図5(a)の下から上に向かって順に、第1接続端子A1,第2接続端子A2,第3接続端子A3,第4接続端子A4,第5接続端子A5,第6接続端子A6,第7接続端子A7,第8接続端子A8,第9接続端子A9,第10接続端子A10,第11接続端子A11,第12接続端子A12が配置されている。すなわち、第一基板23Aをケーブル11とは反対側から見ると(
図5(a)の矢視E)、右から左に向かって順に、第1接続端子A1〜第12接続端子A12が配置されている構成となる。
【0033】
また、第二基板23Bの上面23B1上におけるケーブル11との接続側と反対側には、上面側のコンタクトピン70Aと接続される複数の上面側接続端子60Aが配置されている。具体的には、
図5(a)の上から下に向かって順に、第1接続端子A1,第2接続端子A2,第3接続端子A3,第4接続端子A4,第5接続端子A5,第6接続端子A6,第7接続端子A7,第8接続端子A8,第9接続端子A9,第10接続端子A10,第11接続端子A11,第12接続端子A12が配置されている。すなわち、第二基板23Bをケーブル11とは反対側から見ると(
図5(a)の矢視F)、第一基板23Aと同様に、右から左に向かって順に、第1接続端子A1〜第12接続端子A12が配置されている構成となる。
【0034】
上面側接続端子60Aのうち、第1接続端子A1および第12接続端子A12は、接地用のグランド端子(GND)である。第2接続端子A2と第3接続端子A3は、高速信号送信用の端子(TX+,TX−)である。第4接続端子A4および第9接続端子A9は、給電用の端子(V
BUS)である。第5接続端子A5は、通信制御(CC:Communication Control)信号伝送用の端子(CC)である。第6接続端子A6および第7接続端子A7は、データ信号用の端子(D+,D−)である。第8接続端子A8は、予備用の端子(RFU(Revised for Future Use))である。最後に、第10接続端子A10と第11接続端子A11は、高速信号受信用の端子(RX+,RX−)である。
【0035】
また、第一基板23Aの下面23A2上におけるケーブル11との接続側と反対側には、下面側のコンタクトピン70B(
図6参照)と接続される複数の下面側接続端子60Bが配置されている。具体的には、
図5(b)の上から下に向かって順に、第1接続端子B1,第2接続端子B2,第3接続端子B3,第4接続端子B4,第5接続端子B5,第6接続端子B6,第7接続端子B7,第8接続端子B8,第9接続端子B9,第10接続端子B10,第11接続端子B11,第12接続端子B12が配置されている。すなわち、第一基板23Aをケーブル11とは反対側から見ると(
図5(b)の矢視E)、左から右に向かって順に、第1接続端子B1〜第12接続端子B12が配置されている構成となる。
【0036】
一方、第二基板23Bの下面23B2上におけるケーブル11との接続側と反対側には、下面側のコンタクトピン70Bと接続される複数の下面側接続端子60Bが配置されている。具体的には、
図5(b)の下から上に向かって順に、第1接続端子B1,第2接続端子B2,第3接続端子B3,第4接続端子B4,第5接続端子B5,第6接続端子B6,第7接続端子B7,第8接続端子B8,第9接続端子B9,第10接続端子B10,第11接続端子B11,第12接続端子B12が配置されている。すなわち、第二基板23Bをケーブル11とは反対側から見ると(
図5(b)の矢視F)、第一基板23Aと同様に、左から右に向かって順に、第1接続端子B1〜第12接続端子B12が配置されている構成となる。
【0037】
下面側接続端子60Bのうち、第1接続端子B1および第12接続端子B12は、接地用のグランド端子(GND)である。第2接続端子B2と第3接続端子B3は、高速信号送信用の端子(TX+,TX−)である。第4接続端子B4および第9接続端子B9は、給電用の端子(V
BUS)である。第5接続端子B5は、CC信号伝送用の端子(CC)である。第6接続端子B6および第7接続端子B7は、データ信号用の端子(D+,D−)である。第8接続端子B8は、予備用の端子(RFU)である。最後に、第10接続端子B10と第11接続端子B11は、高速信号受信用の端子(RX+,RX−)である。
【0038】
このように、本実施形態においては、第一基板23Aの一端側の接続端子60A,60Bと第二基板23Bの他端側の接続端子60A,60Bとが、ケーブル11が接続される側とは反対側(
図5(a),(b)の矢視Eおよび矢視F)から見て同一の並列順になるように配置されている。
【0039】
上述のように並列配置されたケーブル11側の上面側接続端子30Aは、コンタクトピン70A,70B側の接続端子60A,60Bと電気回路(導体)65を介してそれぞれ以下のように連結されている。ここで、第一電線対15Aが接続される第1および第2接続端子31,32を第一接点対30A1とし、第二電線対15Bが接続される第3および第4接続端子31,32を第二接点対30A2とし、第三電線対15Cが接続される第5および第6接続端子35,36を第一接点対30A3とし、第四電線対15Dが接続される第7および第8接続端子38,39を第四接点対30A4とする。
【0040】
(第一基板23A側の連結構成例)
第一接点対30A1(ケーブル11側の第1接続端子31,第2接続端子32):コンタクトピン70A,70B側の第11接続端子A11,第10接続端子A10(上面側接続端子60A)
第二接点対30A2(ケーブル11側の第3接続端子33,第4接続端子34):コンタクトピン70A,70B側の第10接続端子B10,第11接続端子B11(下面側接続端子60B)
第三接点対30A3(ケーブル11側の第5接続端子35,第6接続端子36):コンタクトピン70A,70B側の第2接続端子B2,第3接続端子B3(下面側接続端子60B)
第四接点対30A4(ケーブル11側の第7接続端子37,第8接続端子38):コンタクトピン70A,70B側の第3接続端子A3,第2接続端子A2(上面側接続端子60A)
【0041】
(第二基板23B側の連結構成例)
第一接点対30A1(ケーブル11側の第1接続端子31,第2接続端子32):コンタクトピン70A,70B側の第2接続端子A2,第3接続端子A3(上面側接続端子60A)
第二接点対30A2(ケーブル11側の第3接続端子33,第4接続端子34):コンタクトピン70A,70B側の第3接続端子B3,第2接続端子B2(下面側接続端子60B)
第三接点対30A3(ケーブル11側の第5接続端子35,第6接続端子36):コンタクトピン70A,70B側の第11接続端子B11,第10接続端子B11(下面側接続端子60B)
第四接点対30A4(ケーブル11側の第7接続端子37,第8接続端子38):コンタクトピン70A,70B側の第10接続端子A10,第11接続端子A11(上面側接続端子60A)
【0042】
上記の通り、第一および第二基板23A,23Bのいずれにおいても四対の接点対30A1〜30A4のうち、両端の第一接点対30A1および第四接点対30A4は第一および第二基板23A,23Bの上面23A1,23A2側に配置された上面側接続端子60Aと電気回路65により連結されている。一方、両端の接点対30A1,30A4に挟まれた第二接点対30A2および第三接点対30A3は第一および第二基板23A,23Bの下面23A2,23B2側に配置された下面側接続端子60Bと電気回路65により連結されている。このように、本実施例においては、基板23A,23Bの上下面(表裏)に、高速差動信号線15の第一接点対30A1〜第四接点対30A4の接続先(接続端子60A,60B)を振り分けている。高速差動信号線15の接続先を基板23A,23Bの両面に分けることで、それらの接続先が一面に並ぶよりも狭い幅でコネクタ20を作製することができる。
【0043】
また、第一および第二基板23A,23Bの下面23A2,23B2に並列配置されて絶縁電線50と接続される下面側接続端子30Bは、コンタクトピン70A,70B側の接続端子60A,60Bのうち、高速信号伝送用の接続端子(高速信号伝送用接点)である第2接続端子A2,B2および第3接続端子A3,B3と第10接続端子A10,B10と第11接続端子A11,B10との間に配置された第4接続端子A4,B4から第9接続端子A9,B9のいずれかと電気回路65を介して連結されている。すなわち、本実施形態においては、高速信号用の接続端子(高速信号用接点)A2,A3,A10,A11,B2,B3,B10,B11は、シングルエンド信号用の接続端子(シングルエンド信号用接点)A4〜A9,B4〜B9を間に挟んで配置されている。
このように、本実施形態においては、高速信号用接点が離れて配置されるので、それらの間のクロストークを抑制する効果がある。
【0044】
図6は、第一コネクタ21のコネクタプラグ24の先端部を示す正面図である。
上述の通り、ピン保持板25に設けられたコンタクトピン70A,70Bは第一基板23Aの接続端子60A,60Bと接続されている。そのため、
図6に示されるように、コンタクトピン70A,70Bの並列順は、
図5(a),(b)に示される第一基板23Aの接続端子60A,60Bの並列順と一致している。
【0045】
すなわち、コネクタプラグ24をケーブル11とは反対側から見ると(
図1の矢視C)、ピン保持板25の上面25A側には、右から左に向かって順に、第1コンタクトピンA1(GND),第2コンタクトピンA2(TX+),第3コンタクトピンA3(TX−),第4接コンタクトピンA4(V
BUS),第5コンタクトピンA5(CC),第6コンタクトピンA6(D+),第7コンタクトピンA7(D−),第8コンタクトピンA8(RFU),第9コンタクトピンA9(V
BUS),第10コンタクトピンA10(RX−),第11コンタクトピンA11(RX+),第12コンタクトピンA12(GND)が配置されている。
【0046】
また、ピン保持板25の下面25B側には、上面側のコンタクトピン70Aの並列順とは逆に左から右に向かって順に、第1コンタクトピンB1(GND),第2コンタクトピンB2(TX+),第3コンタクトピンB3(TX−),第4コンタクトピンB4(V
BUS),第5コンタクトピンB5(CC),第6コンタクトピンB6(D+),第7コンタクトピンB7(D−),第8コンタクトピンB8(RFU),第9コンタクトピンB9(V
BUS),第10コンタクトピンB10(RX−),第11コンタクトピンB11(RX+),第12コンタクトピンB12(GND)が配置されている。
【0047】
このように、ピン保持板25に設けられた複数の上面側コンタクトピン70Aおよび複数の下面側コンタクトピン70Bは、上面側コンタクトピン70Aの並列順と下面側コンタクトピン70Bの並列順とがピン保持板25の仮想中心25Cを中心として点対称となるように配置されている。これにより、第一コネクタ21は、上下(天地)の区別なく、接続先であるレセプタクルに差し込むことが可能となっている。
【0048】
第二コネクタ22のコネクタプラグ24においても、上面側コンタクトピン70Aおよび下面側コンタクトピン70Bの並列順は
図6に示される第一コネクタ21のコネクタプラグ24が備えるコンタクトピン70A,70Bと同様である。すなわち、第二コネクタ22に備わるコネクタプラグ24をケーブル11とは反対側から見ると(
図1の矢視D)、ピン保持板25の上面25A側には、右から左に向かって順に、第1コンタクトピンA1〜第12コンタクトピンA12が配置され、ピン保持板25の下面25B側には、上面側コンタクトピン70Aの並列順とは逆に左から右に向かって順に、第1コンタクトピンB1〜第12コンタクトピンB12が配置されている。これにより、第二コネクタ22についても、第一コネクタ21と同様に上下(天地)の区別なく、レセプタクルに差し込むことが可能となっている。また、第一基板23Aと第二基板23Bとにそれぞれ接続されるコネクタプラグ24を同一のものとすることができるため、一端側と他端側の区別なく第一コネクタ21および第二コネクタ22を同一構成のレセプタクルに接続することができる。
【0049】
以上、説明した本実施形態にかかるコネクタ付きケーブル10によれば、第一および第二基板23A,23Bのケーブル11側の接続端子30A,30Bは、第一基板23Aの接続端子30A,30Bの並列順と第二基板23Bの接続端子30A,30Bの並列順とが電線15,50を挟んで鏡面対称となるように、並列配置されているため、電線15,50の両端を第一基板23Aと第二基板23A,23Bとにそれぞれ接続する際に、電線15,50を交差させて配線する必要がない。そのため、製造が容易で生産性に優れたコネクタ付きケーブル10を提供することができる。また、本実施形態によれば、複数本の同軸電線15間の線長差が生じることがないため、差動信号伝送を行う各電線対15A〜15D内におけるスキューの発生を防止することができる。
【0050】
以上、本発明をその実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができることは、当業者にとって明らかである。
【0051】
例えば、上記実施形態のコネクタ付きケーブル10では、ケーブル11の両端に取り付けられている第一コネクタ21のコネクタプラグ24と第二コネクタ22のコネクタプラグ24とが同一形状である場合について説明したが本発明はこれに限られない。例えば、ケーブル11に収容される電線15,50を交差することがないように第一コネクタ21および第二コネクタ22と接続することができれば、両端のコネクタプラグが異なる形状の第一コネクタ21,第二コネクタ22を電線15,50の両端に取り付けても良い。