(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
左右に並べられた出退自在な一対のアームであって、それぞれの長手方向の両端に配置された開閉自在なフックを用いて、荷物の引き込みまたは押し出しを行う一対のアームと、
前記一対のアームよりも下方に配置され、かつ、左右に並べられた一対のガイド部材と、
前記一対のガイド部材の間隔を変更する移動機構と、
前記一対のガイド部材よりも下方に配置された、前記荷物の載置面を形成する荷載置部と、
前記荷物が前記一対のガイド部材に挟まれた状態であるか否かを検出するクランプ検出部と、
前記一対のアーム及び前記移動機構の動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
(a)前記一対のアームを出退させることで、前記荷物を前記荷載置部上に引き込んだ後に、(b)前記移動機構に、前記一対のガイド部材の間隔を縮める動作である位置決め動作を開始させ、(c)前記クランプ検出部が、前記荷物が前記一対のガイド部材に挟まれた状態であることを検出した場合、前記位置決め動作を停止させる
搬送車。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プッシュプル方式で荷物の受け渡しを行う搬送車では、受け渡しの際の安定性、または、荷物の側方における物体の存在等を考慮し、例えば、荷物の中央部よりも上方の位置においてフックを引っかけるよう構成される。つまり、左右一対のアームは、荷物の中央部よりも上方の高さ位置で出退される。
【0006】
例えば、ローラコンベア上を移動する荷物が、荷物の下部側面に当接するストッパにより停止される場合、この荷物をプッシュプル方式で受け渡しする搬送車では、左右一対のアームの少なくとも一方とストッパとの干渉を避けるため、荷物の中央部より上の位置で左右一対のアームが出退される。
【0007】
また、受け渡しの対象の荷物の中には、例えば、上面が開口した段ボール箱または折りたたみコンテナ等の、上部が比較的に外力に弱い荷物も存在する。そのため、このような荷物を、左右一対のアームでクランプした場合、その荷物が、左右一対のアームによるクランプ力に負けて変形する可能性がある。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を考慮し、出退する左右一対のアームを用いて荷物の移載を行う搬送車であって、荷物を安全かつ精度よく移載することのできる搬送車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来の課題を解決するため、本発明の一態様に係る搬送車は、左右に並べられた出退自在な一対のアームであって、それぞれの長手方向の両端に配置された開閉自在なフックを用いて、荷物の引き込みまたは押し出しを行う一対のアームと、前記一対のアームよりも下方に配置され、かつ、左右に並べられた一対のガイド部材と、前記一対のガイド部材の間隔を変更する移動機構と、前記一対のガイド部材よりも下方に配置された、前記荷物の載置面を形成する荷載置部と、前記荷物が前記一対のガイド部材に挟まれた状態であるか否かを検出するクランプ検出部と、前記一対のアーム及び前記移動機構の動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は、(a)前記一対のアームを出退させることで、前記荷物を前記荷載置部上に引き込んだ後に、(b)前記移動機構に、前記一対のガイド部材の間隔を縮める動作である位置決め動作を開始させ、(c)前記クランプ検出部が、前記荷物が前記一対のガイド部材に挟まれた状態であることを検出した場合、前記位置決め動作を停止させる。
【0010】
この構成によれば、左右に並んだ一対のアームを出退させることで荷物を搬送車に引き込んだ後に、一対のアームよりも下に位置する左右一対のガイド部材によって荷物が挟み込まれ、これにより、荷物の位置決めが行われる。
【0011】
つまり、左右方向における荷物の位置決めが、一対のガイド部材によって搬送車上で行われるため、例えば、引き込む前の荷物の載置場所(ラックまたはコンベア等)において、一対のアームを用いて位置決めをする必要がない。また、一対のガイド部材は、一対のアームよりも下方に位置するため、搬送車に引き込まれた荷物は、例えば荷物の底に近い位置で、一対のガイド部材に挟まれる。そのため、例えば、当該荷物が、上面が開口した段ボール箱または折りたたみコンテナ等の、上部が外力に弱い荷物であっても、実質的に荷物を変形させないことができる。
【0012】
従って、本態様に係る搬送車によれば、引き込むべき荷物の変形を抑制しつつ、かつ、搬送車上における正規の位置に荷物を載置することができる。その結果、例えば、当該荷物を押し出すことでラック等に載置する場合に、正規の位置に荷物を載置することができる。このように、本態様の搬送車によれば、荷物を安全かつ精度よく移載することができる。
【0013】
また、本発明の一態様に係る搬送車はさらに、前記一対のアームのうちの一方が、前記荷物に接触したことを検出する接触検出部を備え、前記移動機構は、平面視において、前記一対のガイド部材の内面が、前記一対のアームの間に位置した状態を維持しながら、前記一対のアームの間隔及び前記一対のガイド部材の間隔を変更し、前記制御部は、(a1)前記一対のアームを進出させた後に、(a2)前記移動機構に、前記一対のアームの間隔を縮めさせ、(a3)接触検出部により、前記一対のアームのうちの前記一方が前記荷物に接触したことが検出された後に、前記一対のアームを後退させることで、前記荷物を前記荷載置部上に引き込むとしてもよい。
【0014】
この構成によれば、移動機構が、一対のアームの間隔及び一対のガイド部材の間隔の両方を変更することができる。また、一対のアームのうちの一方が荷物に接触したことをトリガとして荷物の引き込み動作を開始することができるため、一対のアームによって一度も荷物を挟むことなく、荷物の搬送車への引き込みを完了させることができる。
【0015】
また、本発明の一態様に係る搬送車において、前記移動機構は、第一バネを用いて前記一対のアームのうちの前記一方を付勢することで、前記一対のアームの間隔を縮めさせ、前記接触検出部は、前記第一バネの長さの変化を検出することで前記一対のアームのうちの一方が、前記荷物に接触したことを検出するとしてもよい。
【0016】
この構成によれば、一対のアームのうちの一方は、第一バネによる付勢力により移動するため、当該一方が荷物に接触した際に荷物に与えられる力を低減できる。また、この接触に起因する第一バネの長さの変化に基づいて当該接触を検出するため、比較的に容易な構成で、当該接触を検出することができる。
【0017】
また、本発明の一態様に係る搬送車において、前記移動機構は、前記第一バネよりもバネ定数の大きな第二バネを用いて、前記一対のガイド部材うちの一方を付勢することで、前記位置決め動作を行うとしてもよい。
【0018】
この構成によれば、一対のガイド部材のうちの一方を、第一バネよりも硬い第二バネを用いて付勢することで、搬送車上の荷物を挟むことができる。これにより、荷載置部上において、左右方向における正規の位置に荷物を位置させること、すなわち、荷物の位置決めが精度よく行われる。また、荷物の挟み込み(クランプ)に、第二バネによる付勢力を用いているため、荷物が一対のガイド部材に挟みこまれた状態(クランプ状態)であることが検出されるタイミングと、位置決め動作(クランプ動作)の停止との間にタイムラグがある場合であっても、一対のガイド部材による過大な負荷が荷物にかけられる可能性は低い。
【0019】
また、本発明の一態様に係る搬送車において、前記一対のガイド部材のうちの一方は、前記荷載置部に対して移動可能に配置された第一ベース部に取り付けられており、前記一対のガイド部材のうちの他方は、前記荷載置部に対する位置が固定された第二ベース部に取り付けられており、前記移動機構は、前記第一ベース部を移動させることで、前記位置決め動作を行い、前記クランプ検出部は、前記一対のガイド部材の前記一方が、前記第一ベース部に対して変位し、かつ、前記一対のガイド部材のうちの前記他方が、前記第二ベース部に対して変位したことを検出することで、前記荷物が前記一対のガイド部材に挟まれた状態であることを検出するとしてもよい。
【0020】
この構成によれば、一対のガイド部材それぞれについて、当該ガイド部材が取り付けられた部材(第一ベース部または第二ベース部)に対する変位を検出することで、荷物がクランプ状態にあることが検出される。つまり、一対のガイド部材の両方が荷物に当接することによる、一対のガイド部材それぞれの機械的な変化によって、クランプ状態を検出するため、例えば、比較的に簡易な構成で精度よく検出することができる。
【0021】
また、本発明は、上記いずれかの態様に係る搬送車が実行する特徴的な処理を含む移載方法として実現することもできる。また、当該移載方法が含む各処理をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現すること、および、そのプログラムが記録された記録媒体として実現することもできる。そして、そのプログラムをインターネット等の伝送媒体又はDVD等の記録媒体を介して配信することもできる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、出退する左右一対のアームを用いて荷物の移載を行う搬送車であって、荷物を安全かつ精度よく移載することのできる搬送車を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施形態における搬送車について、図面を参照しながら説明する。なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
【0025】
また、以下で説明する実施の形態は、包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0026】
まず、
図1〜
図4を用いて、本発明の実施の形態における搬送車100の構成概要を説明する。
【0027】
図1は、実施の形態における搬送車100の構成概要を示す斜視図である。
図2は、実施の形態における搬送車100の構成概要を示すブロック図である。
【0028】
本実施の形態における搬送車100は、
図1に示すように、第一アームユニット110a、第二アームユニット110b、移動機構200、荷載置部155、及び、制御部180を備える。これら第一アームユニット110a等の要素は、本体部150に配置されている。なお、
図1及び以降の図では、荷物の移載に関する構成要素について図示し、他の構成要素(車輪及び車輪を駆動する機構等)についての図示及びその説明は省略する。
【0029】
本実施の形態においては、搬送車100は、並行して設置された2本のレールで構成された走行路160を走行する。つまり、搬送車100は、例えば上位のコンピュータからの指示に従って、走行路160を走行して所定の位置まで移動し、当該位置において荷物の受け渡しを行うことができる。
【0030】
具体的には、第一アームユニット110a及び第二アームユニット110bによって荷物の移載が行われる。
【0031】
第一アームユニット110aは、第一ベース部113aと、第一ベース部113aに取り付けられた、ミドルアーム112、トップアーム111、及びガイド部材120とを有する。第二アームユニット110bは、第二ベース部113bと、第二ベース部113bに取り付けられた、ミドルアーム112、トップアーム111、及びガイド部材120とを有する。
【0032】
第一アームユニット110a及び第二アームユニット110bのそれぞれにおいて、トップアーム111及びミドルアーム112によって、テレスコピック構造が構成されている。つまり、モータ等を有する出退駆動装置(図示せず)によってミドルアーム112を突出するようにスライドさせると、当該動作に連動してトップアーム111がミドルアーム112に対して突出するようにスライドする。また、逆に、ミドルアーム112を後退させるようにスライドさせると、当該動作に連動してトップアーム111がミドルアーム112に対して後退するようにスライドする。
【0033】
このように、本実施の形態では、搬送車100は、左右(本実施の形態ではX軸方向)に並べられた出退自在な一対のトップアーム111を備えている。また、一対のトップアーム111それぞれの長手方向(本実施の形態ではY軸方向)の両端には、開閉自在なフック102が配置されている。一対のトップアーム111は、これらフック102に荷物を引っ掛けて後退または進出することで、荷物の引き込みまたは押し出しを行うことができる。
【0034】
例えば、
図1において、Y軸方向マイナス側(
図1における手前側)を、搬送車100の「前」とした場合、前方に進出した一対のトップアーム111の前端の2つのフック102は、内側に倒れるように回動すること(2つのフック102が閉じられること)で、一対のトップアーム111の間の荷物を引き込むことができる状態となる。その後、一対のトップアーム111が後退することで、2つのフック102に引っ掛けられた荷物は、荷載置部155上に引き込まれる。
【0035】
また、荷載置部155上に荷物が載置されている場合、一対のトップアーム111の後端の2つのフック102が閉じられ、一対のトップアーム111が前方に移動することで、後端の2つのフック102に引っ掛けられた荷物は、荷載置部155から、搬送車100の前方のラック等に押し出される。
【0036】
以上の動作により荷物の引き込み及び押し出しを行うことができる一対のトップアーム111の間隔は、移動機構200によって変更される。具体的には、移動機構200は、第一アームユニット110aをX軸方向に移動させることで、第一アームユニット110aと、本体部150に固定された第二アームユニット110bとの間の距離を変更する。これにより、一対のトップアーム111の間隔は変更される。なお、搬送車100の本体部150は、第一アームユニット110aを左右方向に移動させる複数の直線レール140を有している。第一アームユニット110aは、移動機構200からの力を受けて、複数の直線レール140に沿って移動する。
【0037】
また、第一アームユニット110a及び第二アームユニット110bのそれぞれにおいて、ガイド部材120は、トップアーム111よりも下方に配置されている。これら左右に並べられた一対のガイド部材120は、荷載置部155上に引き込まれた荷物を左右から挟みこむ(クランプする)ことで、荷載置部155上において、荷物の左右方向における位置決めを行うことができる。
【0038】
また、この位置決めの際の、一対のガイド部材120によるクランプ動作(位置決め動作)は、移動機構200によって駆動される。つまり、左右に並べられた一対のガイド部材120の間隔は、移動機構200によって変更される。具体的には、第一アームユニット110aは、上述のように、移動機構200からの力を受けて複数の直線レール140に沿って移動する。これにより、一対のガイド部材120の間隔が変更される。
【0039】
これら第一アームユニット110a、第二アームユニット110b、及び移動機構200の動作は、制御部180によって制御される。制御部180は、例えば、情報の入出力を行うインタフェース、並びに、制御プログラムを実行するためのCPU(Central Processing Unit)およびメモリ等を備えるコンピュータによって実現される。
【0040】
なお、搬送車100の走行制御は、制御部180によって行われてもよく、制御部180とは別体のコンピュータ等によって行われてもよい。つまり、制御部180は、荷物の移載の制御のみを行う装置であってもよく、また、搬送車100の全ての動作を制御する装置であってもよい。
【0041】
また、本実施の形態における搬送車100はさらに、荷物の移載に関する状態を検出するための複数の検出部を有している。具体的には、搬送車100は、
図2に示すように、接触検出部300とクランプ検出部118とを備えている。
【0042】
接触検出部300は、一対のトップアーム111のうちの一方である、左右方向に移動可能な(以下、「可動式の」という。)第一アームユニット110aが有するトップアーム111が、荷物に接触したことを検出する。
【0043】
クランプ検出部118は、荷物が一対のガイド部材120に挟まれた状態であるか否か(クランプされているか否か)を検出する。本実施の形態では、クランプ検出部118は、センサ118a及び118bを有している。センサ118aは、第一アームユニット110aに配置されており、センサ118bは、第二アームユニット110bに配置されている。
【0044】
これら接触検出部300及びクランプ検出部118が、どのようにして上記接触及びクランプを検出するかについて、移動機構200の構成概要とともに、
図3A、
図3B、及び
図4を用いて説明する。
【0045】
図3Aは、実施の形態における移動機構200の構成概要を示す平面図であり、
図3Bは、実施の形態における移動機構200の構成概要を示す正面図である。
図4は、実施の形態におけるクランプ検出部118(センサ118a及び118b)の配置位置の例を示す図である。
【0046】
なお、移動機構200の動作メカニズムを明確にするために、
図3A〜
図4において、移動機構200のネジ軸210を支持する部材、及び、ネジ軸210の回転を駆動するモータ等の要素の図示は省略されている。また、
図3A及び
図4では、荷載置部155の図示は省略されており、
図3Bでは、荷載置部155は点線によって簡略的に図示されている。さらに、
図4では、一対のガイド部材120それぞれの取り付け構造を説明するために、左右それぞれのミドルアーム112及びトップアーム111の図示は省略されている。
【0047】
図3A〜
図4に示すように、本実施の形態における移動機構200は、ボールネジにより第一ベース部113aを移動させる構造を有している。具体的には、移動機構200は、ネジ軸210と、ネジ軸210が回転することでネジ軸210の軸方向(本実施の形態ではX軸方向)に移動するナット部220と、ナット部220及び第一ベース部113aの間に配置された弾性部材とを有する。本実施の形態では、この弾性部材として、直列に配置された第一バネ231と第二バネ232とを有している。なお、
図3Aに示すように、ナット部220と第一ベース部113aとの間には、第一バネ231及び第二バネ232の組が2組配置されているが、第一バネ231及び第二バネ232の組数は1以上であればよい。
【0048】
本実施の形態では、第二バネ232バネ定数は、第一バネ231のバネ定数よりも大きい。つまり、第二バネ232は、第一バネ231よりも硬い。言い換えると、第一バネ231は、第二バネ232よるも柔らかい。例えば、第二バネ232バネ定数は、第一バネ231のバネ定数の10倍程度である。
【0049】
このような構成において、接触検出部300は、第一バネ231の長さの変化(縮みまたは伸び)を検出するよう配置されている。本実施の形態では、接触検出部300は、第一バネ231の自然長からの縮み量が閾値を越えた場合(または、第一バネ231の長さが所定の値以下になった場合)、所定の信号を、制御部180に送信する。つまり、第一アームユニット110aのトップアーム111が進出した状態で荷物に接触した場合、第一バネ231が縮み、このことが接触検出部300によって検出されることで、トップアーム111と荷物との接触が検出される。また、この接触の際、トップアーム111は、第一バネ231による付勢力を受けて移動しているため、トップアーム111が荷物に与える力は低減される。
【0050】
例えば、搬送車100の前方(
図3Aにおける下方)に置かれた荷物を引き込むために、制御部180が、一対のトップアーム111を前方に進出させた状態で、ネジ軸210を正転(X軸方向プラス側から見た場合に時計周りに回転すること)させた場合を想定する。この場合、
図3A及び
図3Bにおいて、ナット部220は右に移動し、第一バネ231及び第二バネ232を介して、第一ベース部113aは右側に押される。なお、このとき、第一バネ231は、第一アームユニット110aの移動に伴う慣性力及び摩擦力等を受けて、第二バネ232よりも大きく縮むが、その縮み量が閾値を越えないため、トップアーム111と荷物とが接触したとは判断されない。
【0051】
その後、トップアーム111が、荷物に接触した場合、トップアーム111の右側への移動が荷物によって規制されることで、第一バネ231がさらに縮む。また、その時点の縮み量が閾値を越えることで、トップアーム111と荷物との接触が接触検出部300によって検出される。
【0052】
なお、接触検出部300による、第一バネ231の長さの変化の検出の手法には特に限定はない。例えば、第一バネ231の縮み量が閾値を越えた場合に押されるように配置されたスイッチが接触検出部300として採用されてもよい。また、接触検出部300は、例えば、第一バネ231を撮像することで得られる画像データを解析することで、第一バネ231の長さの変化を検出してもよい。
【0053】
接触検出部300によって、トップアーム111と荷物との接触が検出された場合、制御部180は、第一アームユニット110aの移動を停止させてから左側に移動させるように、移動機構200を制御する。これにより、トップアーム111と荷物との接触状態は解かれ、その後、制御部180の制御により、一対のトップアーム111の前端のフック102が閉じられ、かつ、一対のトップアーム111が後退される。これにより、搬送車100の前方に置かれていた荷物は、荷載置部155(
図1参照)上に引き込まれる。
【0054】
荷物が、荷載置部155上に引き込まれた後、制御部180は、再度、第一アームユニット110aを右に移動させる。
【0055】
ここで、例えば
図3Aに示されるように、平面視において、一対のガイド部材120の内面は、一対のトップアーム111の間に位置している。また、
図4に示すように、左側のガイド部材120は、可動式の第一ベース部113aに取り付けられており、右側のガイド部材120は、位置が固定された第二ベース部113bに取り付けられている。従って、第一アームユニット110aが移動した場合、平面視において、一対のガイド部材120の内面が、一対のトップアーム111の間に位置した状態を維持しながら、一対のトップアーム111の間隔及び一対のガイド部材120の間隔が変更される。
【0056】
具体的には、制御部180によって第一アームユニット110aが右に移動された場合、一対のトップアーム111の間隔及び一対のガイド部材120の間隔は縮まり、かつ、一対のガイド部材120の内面が、一対のトップアーム111の間に位置している。そのため、一対のトップアーム111の間隔及び一対のガイド部材120の間隔が縮められた場合には、荷載置部155上の荷物には、一対のトップアーム111ではなく、一対のガイド部材120が当接する。つまり、荷物は、一対のガイド部材120に挟まれる。また、例えば
図1及び
図3Bに示すように、一対のガイド部材120は、一対のトップアーム111の下方に配置されており、そのため、荷物の下部を左右から挟む。これにより、荷物が位置決めされる。このようにして荷物の位置決め動作が行われる。
【0057】
本実施の形態では、
図4に示すように、一対のガイド部材120の一方は、連結部115を介して第一ベース部113aに取り付けられており、一対のガイド部材120の他方は、連結部115を介して第二ベース部113bに取り付けられている。
【0058】
連結部115は、棒体115bと、棒体115bを軸方向に移動可能に支持する支持体115aとを有する。棒体115bの支持体115aから突出した端部には、ガイド部材120が接続されている。また、棒体115bは、例えばバネ等の弾性部材によって、支持体115aから突出する方向に付勢されている。このように構成された連結部115には、棒体115bが支持体115aの側に押されたこと、つまり、ガイド部材120が押されたことを検出するセンサが備えられている。
【0059】
具体的には、第一アームユニット110aが有する連結部115にはセンサ118aが配置されており、第二アームユニット110bが有する連結部115にはセンサ118bが配置されている。
【0060】
この構成において、一対のガイド部材120が荷物を挟んだ場合、第一アームユニット110a及び第二アームユニット110bの双方において、ガイド部材120は、棒体115bを支持体115aの側に移動させる。その結果、センサ118a及びセンサ118bのそれぞれは、ガイド部材120が押されたことを検出する。センサ118aとしては、例えば、光軸が棒体115bに遮断されることで、棒体115bが押されたこと、つまり、第一ベース部113aに取り付けられたガイド部材120が、第一ベース部113aに対して変位したことを検出するマイクロフォトセンサが採用される。センサ118bも同様に、例えばマイクロフォトセンサが採用される。
【0061】
すなわち、センサ118a及びセンサ118bを有するクランプ検出部118は、荷物が一対のガイド部材120に挟まれた状態であることを検出する。制御部180はこの検出結果を受信した場合、移動機構200を制御することで、位置決め動作を停止させる。つまり、制御部180は、移動機構200による、一対のガイド部材120の間隔を狭める動作(より詳細には、第一ベース部113aを移動させる制御)を停止させる。
【0062】
ここで、クランプ検出部118は、例えば、センサ118a及びセンサ118bそれぞれからの検出結果が、ともに、ガイド部材120が押されたことを示す場合に、荷物が一対のガイド部材120に挟まれた状態であることを制御部180に通知する装置である。例えば、制御部180を構成するコンピュータの一部がクランプ検出部118として機能してもよい。また、制御部180とは別体のマイクロプロセッサ等がクランプ検出部118といして搬送車100に備えられてもよい。
【0063】
また、センサ118a及び118bのそれぞれは、連結部115に内蔵されている必要はなく、ガイド部材120が押されたことを検出できる位置および態様で、搬送車100に備えられていればよい。
【0064】
以上のように構成された搬送車100の動作の概要及び具体例について、
図5〜
図11を用いて説明する。
【0065】
図5は、実施の形態における搬送車100の動作の概要を示すフロー図である。
【0066】
実施の形態における搬送車100の制御部180は、
図5に示すように、一対のトップアーム111を出退させることで、荷物を荷載置部155上に引き込む(S10)。次に、制御部180は、移動機構200に、一対のガイド部材120の間隔を縮める動作である位置決め動作を開始させる(S20)。制御部180はさらに、クランプ検出部118が、荷物が一対のガイド部材120に挟まれた状態であることを検出した場合(S30)、位置決め動作を停止させる(S40)。つまり、制御部180は、荷物がクランプされたことを確認した場合、移動機構200に、一対のガイド部材120の間隔を縮める動作を停止させる。
【0067】
上記一例の動作により、ラックまたはコンベア等の上に置かれていた荷物は、搬送車100の荷載置部155上に引き込まれ、かつ、荷物の位置が荷載置部155上の正規の位置に合わせられる。すなわち、荷載置部155上において荷物の位置決めがなされる。
【0068】
この一連の動作の具体例を、
図6〜
図11を用いて説明する。
図6〜
図11は、実施の形態における搬送車100が荷物を引き込む際の動作を示す第1〜第6の平面図である。
【0069】
具体的には、
図6〜
図11では、ラック600の所定の位置に載置されている荷物500を、搬送車100が引き込んで位置決めするまでの一連の動作が図示されている。なお、走行路160の図示は省略されている。
【0070】
また、
図6における荷物500の右端の位置(以下「基準位置」という。)は特定されており、搬送車100の制御部180は、例えば上位コンピュータから基準位置を取得し保持している。
【0071】
上記前提において、搬送車100は、
図6に示すように、ラック600から取り出すべき荷物である荷物500と対向する位置で停止する。具体的には、搬送車100は、例えば、X軸方向において、第二アームユニット110bのトップアーム111が基準位置よりも所定の距離だけ離れる位置で停止する。当該所定の距離とは、例えば、第二アームユニット110bのトップアーム111が前方(
図6における下方)に進出した場合に、荷物500と干渉せず、かつトップアーム111のフック102を荷物500に引っかけることができる距離であり、例えば、数cm程度である。また、このとき、可動式の第一アームユニット110aは、例えば、第二アームユニット110bから最も離れた位置で停止している。つまり、第一アームユニット110aは、一対のトップアーム111の間隔が最大となる状態で待機している。
【0072】
なお、荷物500のサイズは、例えば荷物500のラック600への収容の際に、上位コンピュータ等によって記録されており、搬送車100の制御部180は、当該サイズを上位コンピュータ等から取得することができる。そのため、搬送車100は、一対のトップアーム111の間隔が、荷物500の横幅(X軸方向の幅)よりも少しだけ(例えば数cm)大きい状態で、可動式の第一アームユニット110aを待機させてもよい。
【0073】
その後、制御部180は、一対のトップアーム111を、前方に進出させる。なお、この時の進出距離は、一対のトップアーム111の前端のフック102が、取り出すべき荷物である荷物500の後端(
図6における下端)の位置を越える距離である。
【0074】
次に、制御部180は、
図7に示すように、第一アームユニット110aを右に移動させることで、一対のトップアーム111の間隔を縮める。これにより、第一アームユニット110aのトップアーム111は、次第に、荷物500に近づく。
【0075】
その後、
図8に示すように、第一アームユニット110aのトップアーム111は、荷物500の左端に接触する。このとき、第一アームユニット110a(第一ベース部113a)を移動方向に付勢していた第一バネ231及び第二バネ232は、トップアーム111が荷物500に接触したことによる反力を受けて縮む。より詳細には、バネ定数が大きな第二バネ232はほとんど縮まず、バネ定数が小さな第一バネ231が当該反力のほとんどを吸収するように縮む。これにより、接触検出部300は、第一アームユニット110aのトップアーム111と荷物500との接触を検出する。この検出結果を受けた制御部180は、移動機構200を制御することで、第一アームユニット110aの移動を停止させる。この時点では、
図8に示すように、第一アームユニット110aのトップアーム111は、荷物500に接触し、第二アームユニット110bのトップアーム111は、荷物500から離れた状態である。
【0076】
その後、制御部180は、
図9に示すように、第一アームユニット110aを所定の距離だけ左に戻す(移動させる)ことで、第一アームユニット110aのトップアーム111を荷物500から離し、一対のトップアーム111の前端の2つのフック102を閉じさせる。制御部180はさらに、一対のトップアーム111を後退させることで、左右のフック102に引っ掛けられた荷物500を荷載置部155上に引き込む。
【0077】
具体的には、制御部180は、例えば、荷載置部155の前後方向(Y軸方向)の所定の位置に荷物500が位置するように、一対のトップアーム111を、初期位置(例えば
図3A参照)よりも、後ろ側(Y軸方向プラス側)まで移動させる。これにより、荷物500は、荷載置部155の前後方向における所定の位置に置かれる。
【0078】
なお、上記の第一アームユニット110aを左に戻す際の所定の距離は、第一アームユニット110aのトップアーム111を後退させた場合に、トップアーム111前端のフック102に荷物500を引っ掛けることができる範囲内の距離であり、例えば、数cm程度である。このように、一対のトップアーム111を、荷物500と接触していない状態にしてから後退させることで、例えば、一対のトップアーム111が荷物500と擦れることによる荷物500の損傷等の不具合が発生しない。
【0079】
上記動作により、荷載置部155上に荷物500を引き込んだ後に、制御部180は、移動機構200に、位置決め動作を開始させる。具体的には、荷載置部155上に引き込まれた直後の荷物500は、例えば、左右一対のガイド部材120のそれぞれとは接触しない位置にある。この状態において、制御部180は、移動機構200を制御することで、
図10に示すように、第一アームユニット110aを右に移動させる。つまり、一対のガイド部材120の間隔が狭められる。
【0080】
その後、第一アームユニット110aのガイド部材120は、荷物500に当接する。これにより、まず、第一アームユニット110aに配置されたセンサ118aは、ガイド部材120が押されたことを検出する(
図4参照)。制御部180は、第一アームユニット110aをさらに右に移動させる。つまり、第一アームユニット110aのガイド部材120は、荷物500を押しながら右に移動する。
【0081】
このとき、第一アームユニット110a(第一ベース部113a)は、直列に接続された第一バネ231及び第二バネ232の付勢力を受けて移動している(例えば
図3A参照)。より詳細には、本実施の形態における第一バネ231は、第一アームユニット110aのトップアーム111と荷物500との接触検出を精度よく行うために、比較的に柔らかい。そのため、ガイド部材120が荷物500を押している時点では、例えばほぼ縮みきった状態である。そのため、移動機構200は、実質的には、第一バネ231よりもバネ定数の大きな(第一バネ231よりも硬い)第二バネ232を用いてガイド部材120を付勢し、これによりガイド部材120に当接している荷物500を右に移動させる。
【0082】
上記のように、位置決め動作が開始された後に、右に移動していた荷物500は、第二アームユニット110bが有するガイド部材120に当接する。これにより、荷物500は、一対のガイド部材120によって挟まれた状態となる。このとき、第二アームユニット110bが有するセンサ118bは、第二アームユニット110bのガイド部材120が押されたことを検出する。これにより、クランプ検出部118は、センサ118a及びセンサ118bの両方から、ガイド部材120が押されたことを示す検出結果を取得する。この場合、クランプ検出部118は、制御部180に、荷物500が一対のガイド部材120によって挟まれた状態であることを通知する。
【0083】
制御部180は、当該通知を受けた場合、移動機構200に、第一アームユニット110aの移動を停止させる。つまり、一対のガイド部材120の間隔を縮めることによる、荷物500についての位置決め動作が停止する。
【0084】
以上の一例の動作により、ラック600に収容されていた荷物500は、搬送車100の荷載置部155上に引き込まれ、かつ、荷載置部155上において、左右一対のガイド部材120により、左右方向の位置決めがなされる。その後、制御部180は、一対のガイド部材120で荷物500を挟んだ状態(クランプ状態)を維持しながら、例えば出庫用コンベア等の所定の載置場所(目的場所)に対向する位置まで、搬送車100を移動させる。
【0085】
これにより、荷物500を、一対のトップアーム111を用いて目的場所に載置する場合に、精度よく載置することができる。
【0086】
例えば、搬送車100の制御部180は、目的場所に対向する位置において、一対のガイド部材120の間隔を広げることで、荷物500のクランプ状態を解消する。制御部180は、次に、後端のフック102を閉じて、一対のトップアーム111を前方に進出させる。これにより、荷物500は、後端のフック102に引っ掛けられて、搬送車100の前方の目的位置に押し出される。
【0087】
このとき、荷物500は、荷載置部155上において、左右方向の正規の位置に置かれているため、例えば、押し出される荷物500の右端を、目的場所における基準位置に精度よく合わせることができる。
【0088】
なお、目的場所が、搬送車100の後方(
図10における上方)である場合、搬送車100の制御部180は、荷物500のクランプ状態を解消した後に、一対のトップアーム111の前端のフック102を閉じて、一対のトップアーム111を後方に進出させる。これにより、荷物500は、前端のフック102に引っ掛けられて、搬送車100の後方の目的位置に押し出される。この場合であっても、荷物500は、荷載置部155上において、左右方向の正規の位置に置かれているため、例えば、押し出される荷物500の右端を、目的場所における基準位置に精度よく合わせることができる。
【0089】
以上説明したように、本実施の形態における搬送車100は、左右に並べられた出退自在な一対のトップアーム111と、一対のトップアーム111よりも下方に配置され、かつ、左右に並べられた一対のガイド部材120と、一対のガイド部材120の間隔を変更する移動機構200と、一対のガイド部材120よりも下方に配置された、荷物の載置面を形成する荷載置部155と、荷物が一対のガイド部材120に挟まれた状態であるか否かを検出するクランプ検出部118と、一対のトップアーム111及び移動機構200の動作を制御する制御部180とを備える。
【0090】
制御部180は、(a)一対のトップアーム111を出退させることで、荷物を荷載置部155上に引き込んだ後に、(b)移動機構200に、一対のガイド部材120の間隔を縮める動作である位置決め動作を開始させ、(c)クランプ検出部118が、荷物が一対のガイド部材120に挟まれた状態であることを検出した場合、位置決め動作を停止させる。
【0091】
このように、本実施の形態では、左右に並んだ一対のトップアーム111を出退させることで荷物を搬送車100に引き込んだ後に、一対のトップアーム111よりも下に位置する左右一対のガイド部材120によって荷物が挟み込まれる。これにより荷物の位置決めが行われる。
【0092】
つまり、左右方向における荷物の位置決めが搬送車100上で行われるため、例えば、引き込む前の荷物の載置場所(ラックまたはコンベア等)において、一対のトップアーム111を用いて位置決めをする必要がない。また、一対のガイド部材120は、一対のトップアーム111よりも下方に位置するため、搬送車100に引き込まれた荷物は、例えば荷物の底に近い位置で、一対のガイド部材120に挟まれる。そのため、例えば、当該荷物が、上面が開口した段ボール箱または折りたたみコンテナ等の、上部が外力に弱い荷物であっても、実質的に荷物を変形させないことができる。従って、本実施の形態における搬送車100によれば、引き込むべき荷物の変形を抑制しつつ、かつ、搬送車100上における正規の位置に荷物を載置することができる。その結果、例えば、当該荷物を押し出すことでラック等に載置する場合に、正規の位置に荷物を載置することができる。このように、本実施の形態における搬送車100によれば、荷物を安全かつ精度よく移載することができる。
【0093】
また、本実施の形態における搬送車100は、さらに、一対のトップアーム111のうちの一方が、荷物に接触したことを検出する接触検出部300を備える。移動機構200は、平面視において、一対のガイド部材120の内面が一対のトップアーム111の間に位置した状態を維持しながら、一対のトップアーム111の間隔及び一対のガイド部材120の間隔を変更する。制御部180は、(a1)一対のトップアーム111を進出させた後に、(a2)移動機構200に、一対のトップアーム111の間隔を縮めさせ、(a3)接触検出部300により、一対のトップアーム111のうちの当該一方が荷物に接触したことが検出された後に、一対のトップアーム111を後退させることで、荷物を荷載置部155上に引き込む。
【0094】
この構成によれば、移動機構200が、一対のトップアーム111の間隔及び一対のガイド部材120の間隔の両方を変更することができる。また、一対のトップアーム111のうちの一方が荷物に接触したことをトリガとして荷物の引き込み動作を開始することができる。そのため、一対のトップアーム111によって一度も荷物を挟むことなく、荷物の搬送車100への引き込みを完了させることができる。
【0095】
また、本実施の形態における搬送車100において、移動機構200は、第一バネ231を用いて一対のトップアーム111のうちの一方を付勢することで、一対のトップアーム111の間隔を縮めさせる。接触検出部300は、第一バネ231の長さの変化を検出することで一対のトップアーム111のうちの当該一方が、荷物に接触したことを検出する。なお、本実施の形態では、第一バネ231は押しバネであり、接触検出部300は、第一バネ231の縮み量が閾値を越えたこと、または、第一バネ231の長さが所定の値以下になったことを検出することで、当該一方のトップアーム111が荷物に接触したことを検出する。
【0096】
この構成によれば、一対のトップアーム111のうちの一方は、第一バネ231による付勢力により移動するため、当該一方が荷物に接触した際に荷物に与えられる力を低減できる。また、この接触に起因する第一バネ231の長さの変化に基づいて当該接触を検出するため、比較的に容易な構成で、当該接触を検出することができる。
【0097】
また、本実施の形態における搬送車100において、移動機構200は、第一バネ231よりもバネ定数の大きな第二バネ232を用いて、一対のガイド部材120うちの一方を付勢することで、位置決め動作を行う。具体的には、第一アームユニット110aが有するガイド部材120は、比較的に硬い第二バネ232の付勢力を受けて、荷物を押しながら移動する。その結果、当該荷物は、第二アームユニット110bが有するガイド部材120に当接し、これにより、当該荷物は、一対のガイド部材120に挟まれた状態となる。
【0098】
この構成によれば、搬送車100の荷載置部155上において、左右方向における正規の位置に荷物を位置させること、すなわち、荷物の位置決めが精度よく行われる。また、荷物の挟み込み(クランプ)に、第二バネ232による付勢力を用いているため、荷物が一対のガイド部材120に挟みこまれた状態(クランプ状態)であることが検出されるタイミングと、位置決め動作(クランプ動作)の停止との間にタイムラグがある場合であっても、一対のガイド部材120による過大な負荷が荷物にかけられる可能性は低い。
【0099】
また、本実施の形態における搬送車100において、一対のガイド部材120のうちの一方は、荷載置部155に対して移動可能に配置された第一ベース部113aに取り付けられており、一対のガイド部材120のうちの他方は、荷載置部155に対する位置が固定された第二ベース部113bに取り付けられている。移動機構200は、第一ベース部113aを移動させることで、位置決め動作を行う。クランプ検出部118は、一対のガイド部材120の一方が、第一ベース部113aに対して変位し、かつ、一対のガイド部材120のうちの他方が、第二ベース部113bに対して変位したことを検出することで、荷物が一対のガイド部材120に挟まれた状態であることを検出する。
【0100】
この構成によれば、一対のガイド部材120それぞれについて、当該ガイド部材120が取り付けられた部材(第一ベース部113aまたは第二ベース部113b)に対する変位を検出することで、荷物がクランプ状態にあることが検出される。つまり、一対のガイド部材120の両方が荷物に当接することによる、一対のガイド部材120それぞれの機械的な変化によって、クランプ状態を検出するため、例えば、比較的に簡易な構成で精度よく検出することができる。
【0101】
(他の実施の形態)
以上、本発明に係る搬送車について、実施の形態及びその変形例に基づいて説明した。しかしながら、本発明は、上記実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態またはその変形例に施したものも、あるいは、上記説明された複数の構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0102】
例えば、移動機構200において、ナット部220は、第一バネ231及び第二バネ232を介さずに第一ベース部113aを移動させてもよい。
【0103】
この場合、接触検出部300は、例えば、トップアーム111の外側への撓みを検出すること、または、進出したトップアーム111を撮像することで得られた画像を解析することなどで、トップアーム111と荷物との接触を検出してもよい。
【0104】
また、ナット部220が、直接的に第一ベース部113aを移動させる場合であっても、トップアーム111と荷物との接触の検出、及び、第一ベース部113aの移動の停止の間のタイムラグを小さくすることで、トップアーム111が荷物にかける負荷を、実質的に問題がない範囲に抑えることができる。
【0105】
このことは、荷物の位置決め動作においても同じである。つまり、ナット部220が、直接的に第一ベース部113aを移動させる場合であっても、一対のガイド部材120によるクランプ状態の検出、及び、第一ベース部113aの移動の停止の間のタイムラグを小さくすることで、クランプによる負荷を、実質的に問題がない範囲に抑えることができる。
【0106】
また、本実施の形態では、第一アームユニット110a及び第二アームユニット110bのうちの、第一アームユニット110aのみが左右方向に移動可能(可動式)であるとした。しかし、第一アームユニット110a及び第二アームユニット110bの少なくとも一方が可動式であればよい。例えば、一対のガイド部材120の間隔を変更する場合、一対のガイド部材120のいずれか一方のみが左右方向に移動してもよく、また、一対のガイド部材120の両方が左右方向に移動してもよい。いずれの場合であっても、荷載置部155上の荷物の下部を一対のガイド部材120でクランプすることは可能であり、これにより、当該荷物の左右方向の位置決めを行うことができる。
【0107】
また、クランプ検出部118が有するセンサ118a及び118bの種類はフォトセンサには限定されず、他の種類のセンサでもよい。例えば、ガイド部材120が押された場合にオンまたはオフとなる機械式のスイッチが、センサ118aまたは118bとして採用されてもよい。
【0108】
また、本実施の形態では、トップアーム111及びガイド部材120はともに、第一ベース部113aに取り付けられており、第一ベース部113aのX軸方向の移動に伴って、ともにX軸方向に移動するとした。しかし、トップアーム111及びガイド部材120が、同期してX軸方向に移動することは必須ではない。
【0109】
例えば、取り込むべき複数の荷物の横幅(本実施の形態におけるX軸方向の幅)のばらつきが比較的に小さい場合、一対のトップアーム111の間隔は固定であってもよい。この場合であっても、一対のトップアーム111の出退により荷物を荷載置部155上に取り込んだ後に、一対のトップアーム111よりも下方に配置された一対のガイド部材120で荷物を挟むことで、荷物を、荷載置部155上において位置決めすることができる。なお、この場合、例えば、左側のトップアーム111が取り付けられたベース部と、左側のガイド部材120が取り付けられたベース部とは別体であり、かつ、左側のガイド部材120が取り付けられたベース部が、移動機構200によって右に移動される。これにより、一対のガイド部材120による荷物のクランプが行われる。
【0110】
また、移動機構200は、ボールネジによって第一アームユニット110aを移動させるとしたが、移動機構200が有する、第一アームユニット110aを移動させるための構造に特に限定はない。移動機構200は、例えば、リニアモータによって第一アームユニット110aを移動させ、これにより、一対のトップアーム111の間隔、または、一対のガイド部材120の間隔を変更してよい。
【0111】
また、例えば、搬送車100は、2本のレールで構成された走行路160を走行するとしたが、搬送車100は、例えば、センサ等で自機の位置を確認しながら路面を走行する無人搬送車であってもよい。
【0112】
また、第一アームユニット110a及び第二アームユニット110bのそれぞれは、テレスコピック構造によって、トップアーム111を出退させるとしたが、これに限らない。例えば、第一アームユニット110aは、ミドルアーム112を有さず、第一ベース部113aに保持されたトップアーム111がスライドすることで、トップアーム111が出退してもよい。