(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、スクリューロータには複数の螺旋溝が形成され、各螺旋溝によって構成された流体室から流体が次々に吐出されてゆく。このため、流体室から吐出された流体は、その圧力が常に変動する。そして、比較的大きな圧力変動を伴う流体が高圧流体通路を流れると、流体の圧力変動に起因してケーシングの本体部が振動し、ケーシングの外部へ騒音が放出される。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、スクリュー圧縮機の騒音を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、筒状のシリンダ部(30)、該シリンダ部(30)の周囲を囲う本体部(10a)、及び該本体部(10a)と上記シリンダ部(30)の間に形成された高圧流体通路(61,64)を有するケーシング(10)と、複数の螺旋溝(41)が形成され、上記シリンダ部(30)に挿入されて流体室(23)を形成するスクリューロータ(40)とを備え、流体を上記流体室(23)へ吸入して圧縮するスクリュー圧縮機を対象とする。そして、 上記ケーシング(10)に形成され、上記流体室(23)から吐出された流体を上記高圧流体通路(61,64)へ導く吐出通路(26,27)と、上記ケーシング(10)に形成され、上記吐出通路(26,27)から上記高圧流体通路(61,64)へ流入する流体の圧力変動を抑えるために上記吐出通路(26,27)に連通するマフラ空間(50)とを備えるものである。
【0009】
第1の発明において、スクリューロータ(40)が回転すると、流体が流体室(23)へ吸入されて圧縮される。流体室(23)において圧縮された流体は、流体室(23)から吐出通路(26,27)へ吐出される。吐出通路(26,27)が流体室(23)と連通する毎に、流体室(23)から吐出通路(26,27)へ流体が流入する。つまり、吐出通路(26,27)には、流体室(23)において圧縮された流体が断続的に流入する。このため、吐出通路(26,27)を流れる流体の圧力は、実質的に周期的に変動する。
【0010】
第1の発明において、流体室(23)から吐出された流体は、吐出通路(26,27)を通って高圧流体通路(61,64)へ流入する。吐出通路(26,27)は、マフラ空間(50)と連通している。このため、マフラ空間(50)を設けない場合に比べると、吐出通路(26,27)を流れる流体の圧力変動が低減する。従って、高圧流体通路(61,64)へは、吐出通路(26,27)を通過する間に圧力変動が低減した流体が流入する。このため、流体の圧力変動に起因するケーシング(10)の本体部(10a)の振動が減少し、スクリュー圧縮機(1)の運転によって発生する騒音が小さくなる。
【0011】
また、第1の発明は、
上記の構成に加えて、それぞれが上記スクリューロータ(40)の上記螺旋溝(41)と噛み合う複数のゲートロータ(45)を備える一方、上記ケーシング(10)には、上記吐出通路(26,27)が各上記ゲートロータ(45)に対応して一つずつ形成され、全ての上記吐出通路(26,27)が一つの上記マフラ空間(50)に連通しているものである。
【0012】
第1の発明のスクリュー圧縮機(1)では、複数のゲートロータ(45)のそれぞれに対応して、吐出通路(26,27)が一つずつ形成される。例えば、二つのゲートロータ(45)を備えたスクリュー圧縮機(1)では、第1のゲートロータ(45)と噛み合う螺旋溝(41)によって構成された流体室(23)から第1の吐出通路(26)へ流体が吐出され、第2のゲートロータ(45)と噛み合う螺旋溝(41)によって構成された流体室(23)から第2の吐出通路(27)へ流体吐出される。この発明のスクリュー圧縮機(1)では、全ての吐出通路(26,27)が一つのマフラ空間(50)に連通する。このため、一つの吐出通路(26,27)における流体の圧力変動は、マフラ空間(50)を介して残りの吐出通路(26,27)に伝播する。
【0013】
第2の発明は、
第1の発明において、上記ゲートロータ(45)を二つ備え、上記スクリューロータ(40)には、奇数本の上記螺旋溝(41)が形成されるものである。
【0014】
第2の発明では、スクリュー圧縮機(1)に二つのゲートロータ(45)が設けられ、スクリューロータ(40)に奇数本の螺旋溝(41)が形成される。このため、第1のゲートロータ(45)と噛み合う螺旋溝(41)によって構成された流体室(23)から第1の吐出通路(26)へ流体が吐出されるタイミングと、第2のゲートロータ(45)と噛み合う螺旋溝(41)によって構成された流体室(23)から第2の吐出通路(27)へ流体吐出されるタイミングがずれる。そして、第1の吐出通路(26)と第2の吐出通路(27)とでは、それぞれにおける流体の圧力の波形が、実質的に半波長だけずれる。
【0015】
第2の発明において、第1の吐出通路(26)と第2の吐出通路(27)は、一つのマフラ空間(50)に連通する。このため、一方の吐出通路(26,27)における流体の圧力変動は、マフラ空間(50)を介して他方の吐出通路(26,27)に伝播する。その結果、第1の吐出通路(26)における流体の圧力変動と、第2の吐出通路(27)における流体の圧力変動とが、互いに打ち消し合う。
【0016】
第3の発明は、第1
又は第2の発明において、上記ケーシング(10)は、上記スクリューロータ(40)の駆動軸(21)を支持する軸受(36)を保持する円筒状の軸受ホルダ(35)を備え、上記軸受ホルダ(35)は、上記シリンダ部(30)の端部に嵌め込まれて外周面が上記シリンダ部(30)の内周面と対面し、上記マフラ空間(50)は、上記シリンダ部(30)の内周面のうち上記軸受ホルダ(35)に面する部分と上記軸受ホルダ(35)の外周面との一方または両方に形成された凹溝(51,52)によって形成されるものである。
【0017】
第3の発明では、シリンダ部(30)の内周面と軸受ホルダ(35)の外周面の一方または両方に凹溝(51,52)が形成され、この凹溝(51,52)がマフラ空間(50)を形成する。つまり、この発明では、従来よりスクリュー圧縮機(1)に設けられるシリンダ部(30)と軸受ホルダ(35)を利用して、マフラ空間(50)が形成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、ケーシング(10)にマフラ空間(50)を形成することによって、高圧流体通路(61,64)へ流入する流体の圧力変動を低減することができる。このため、流体の圧力変動に起因するケーシング(10)の本体部(10a)の振動を低減でき、スクリュー圧縮機(1)の運転によって発生する騒音を小さくすることができる。
【0019】
上記
第2の発明では、スクリュー圧縮機(1)に二つのゲートロータ(45)が設けられ、スクリューロータ(40)に奇数本の螺旋溝(41)が形成される。このため、第1の吐出通路(26)と第2の吐出通路(27)とでは、それぞれにおける流体の圧力の波形が、実質的に半波長だけずれる。また、この発明では、第1の吐出通路(26)と第2の吐出通路(27)が一つのマフラ空間(50)に連通する。従って、この発明によれば、第1の吐出通路(26)における流体の圧力変動と、第2の吐出通路(27)における流体の圧力変動とを相殺させることができ、各吐出通路(26,27)から高圧流体通路(61,64)へ流入する流体の圧力変動を確実に低減することができる。
【0020】
上記
第3の発明では、従来よりスクリュー圧縮機(1)に設けられるシリンダ部(30)と軸受ホルダ(35)を利用して、マフラ空間(50)が形成される。従って、この発明によれば、スクリュー圧縮機(1)に新たな部材を追加すること無く、ケーシング(10)にマフラ空間(50)を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態および変形例は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0023】
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。本実施形態のシングルスクリュー圧縮機(1)(以下、単にスクリュー圧縮機と言う。)は、冷凍装置の冷媒回路に設けられて冷媒を圧縮する。つまり、本実施形態のスクリュー圧縮機(1)は、流体である冷媒を吸入して圧縮する。
【0024】
図1に示すように、スクリュー圧縮機(1)では、圧縮機構(20)とそれを駆動する電動機(15)とが1つのケーシング(10)に収容されている。このスクリュー圧縮機(1)は、半密閉型に構成されている。
【0025】
ケーシング(10)は、本体部(10a)と、シリンダ部(30)と、軸受ホルダ(35)とを備えている。ここでは、本体部(10a)について説明する。シリンダ部(30)と軸受ホルダ(35)については、後述する。
【0026】
本体部(10a)は、両端が閉塞された横長の円筒状に形成されている。本体部(10a)の内部空間は、本体部(10a)の一端側に位置する低圧空間(S1)と、本体部(10a)の他端側に位置する高圧空間(S2)とに仕切られている。本体部(10a)には、低圧空間(S1)に連通する吸入口(11)と、高圧空間(S2)に連通する吐出口(12)とが設けられている。冷凍装置の蒸発器から流れてきた低圧冷媒は、吸入口(11)を通って低圧空間(S1)へ流入する。また、圧縮機構(20)から高圧空間(S2)へ吐出された圧縮後の高圧冷媒は、吐出口(12)を通って冷凍装置の凝縮器へ供給される。
【0027】
本体部(10a)の内部では、低圧空間(S1)に電動機(15)が配置され、低圧空間(S1)と高圧空間(S2)の間に圧縮機構(20)が配置されている。電動機(15)は、本体部(10a)の吸入口(11)と圧縮機構(20)の間に配置されている。電動機(15)の固定子(16)は、本体部(10a)に固定されている。一方、電動機(15)の回転子(17)は、圧縮機構(20)の駆動軸(21)に連結されている。電動機(15)に通電すると回転子(17)が回転し、後述する圧縮機構(20)のスクリューロータ(40)が電動機(15)によって駆動される。
【0028】
本体部(10a)の内部では、高圧空間(S2)に油分離器(18)が配置されている。油分離器(18)は、圧縮機構(20)から吐出された高圧冷媒から冷凍機油を分離する。高圧空間(S2)における油分離器(18)の下方には、潤滑油である冷凍機油を貯留するための油貯留室(19)が形成されている。油分離器(18)において冷媒から分離された冷凍機油は、下方へ流れ落ちて油貯留室(19)に蓄えられる。
【0029】
図1〜4に示すように、シリンダ部(30)は、概ね円筒状に形成されている。このシリンダ部(30)は、本体部(10a)の長手方向の中央部に配置され、本体部(10a)と一体に形成されている。シリンダ部(30)の内周面は、円筒面となっている。
【0030】
シリンダ部(30)には、1つのスクリューロータ(40)が挿入された状態で設けられる。スクリューロータ(40)には、駆動軸(21)が同軸に連結されている。スクリューロータ(40)には、2つのゲートロータ(45)が噛み合わされている。スクリューロータ(40)と、ゲートロータ(45)とは、圧縮機構(20)を構成している。スクリューロータ(40)とゲートロータ(45)の詳細は、後述する。
【0031】
図3,4に示すように、ケーシング(10)には、隔壁部である軸受固定板(34)が設けられている。軸受固定板(34)は、概ね円板状に形成され、シリンダ部(30)の高圧空間(S2)側の開口端を覆うように配置されている。この軸受固定板(34)は、ケーシング(10)の内部空間を横断している。
【0032】
軸受ホルダ(35)は、玉軸受(36)を保持するための部材である。
図5,6に示すように、軸受ホルダ(35)は、比較的厚肉の円筒状に形成されている。
図3,4に示すように、軸受ホルダ(35)には、駆動軸(21)を支持するための玉軸受(36)が嵌め込まれている。
【0033】
軸受ホルダ(35)には、円周突部(35a)と、凹溝(51)とが形成されている。円周突部(35a)は、玉軸受(36)を位置決めするための部分であって、軸受ホルダ(35)の一端部(スクリューロータ(40)側の端部)に配置されている。円周突部(35a)は、軸受ホルダ(35)の内周面から内側へ突出しており、軸受ホルダ(35)の内周面の全周に亘って形成されている。凹溝(51)は、軸受ホルダ(35)の外周面に開口する溝であって、軸受ホルダ(35)の全周に亘って形成されている。また、凹溝(51)は、軸受ホルダ(35)の軸方向の中央よりもやや軸受ホルダ(35)の他端部(スクリューロータ(40)とは逆側の端部)寄りに形成されている。この凹溝(51)は、その幅と深さが全長に亘って一定となっている。
【0034】
図3,4に示すように、軸受ホルダ(35)は、軸受固定板(34)に図外のボルトによって締結され、シリンダ部(30)の端部(高圧空間(S2)側の端部)に嵌め込まれている。軸受ホルダ(35)の外径は、シリンダ部(30)の内径よりも僅かに小さくなっている。軸受ホルダ(35)がシリンダ部(30)に嵌め込まれた状態において、軸受ホルダ(35)の外周面とシリンダ部(30)の内周面の間には、数十μm程度の隙間が形成される。軸受ホルダ(35)とシリンダ部(30)の間の隙間は、非常に狭い隙間であるため、実質的にシールされている。そして、軸受ホルダ(35)の凹溝(51)は、軸受ホルダ(35)とシリンダ部(30)に囲まれたマフラ空間(50)を形成する。
【0035】
図3,4,7に示すように、スクリューロータ(40)は、概ね円柱状に形成された金属製の部材である。スクリューロータ(40)は、シリンダ部(30)に回転可能に嵌合しており、その外周面がシリンダ部(30)の内周面と摺接する。スクリューロータ(40)の外周部には、奇数本(本実施形態では、七本)の螺旋溝(41)が形成されている。各螺旋溝(41)は、スクリューロータ(40)の一端から他端へ向かって螺旋状に延びている。スクリューロータ(40)の各螺旋溝(41)は、低圧空間(S1)側の端部が始端となり、高圧空間(S2)側の端部が終端となっている。
【0036】
各ゲートロータ(45)は、樹脂製の部材である。図示しないが、各ゲートロータ(45)には、長方形板状に形成された複数(本実施形態では、十一枚)のゲートが放射状に設けられている。
【0037】
ゲートロータ(45)は、金属製のロータ支持部材(47)に取り付けられている。ゲートロータ(45)が取り付けられたロータ支持部材(47)は、シリンダ部(30)に隣接したゲートロータ室(7)に収容されている(
図2を参照)。そして、各ゲートロータ(45)は、ゲートがスクリューロータ(40)の螺旋溝(41)と噛み合うように配置されている。
【0038】
各ゲートロータ(45)は、シリンダ部(30)の外側に、スクリューロータ(40)の回転軸に対して軸対称となるように配置されている。つまり、本実施形態のスクリュー圧縮機(1)では、複数のゲートロータ(45)がスクリューロータ(40)の周方向に等角度間隔で配置されている。上述したように、本実施形態のスクリュー圧縮機(1)は、ゲートロータ(45)を二つ備えている。従って、このスクリュー圧縮機(1)では、スクリューロータ(40)の周方向に180°間隔で二つのゲートロータ(45)が配置されている。
【0039】
圧縮機構(20)では、シリンダ部(30)の内周面と、スクリューロータ(40)の螺旋溝(41)と、ゲートロータ(45)のゲートとによって囲まれた空間が流体室(23)になる。そして、スクリューロータ(40)が回転すると、ゲートロータ(45)のゲートが螺旋溝(41)の始端から終端へ向かって相対的に移動し、流体室(23)の容積が変化して流体室(23)内の冷媒が圧縮される。
【0040】
図2,4に示すように、スクリュー圧縮機(1)には、容量調節用のスライドバルブ(70a,70b)が、各ゲートロータ(45)に対応して一つずつ設けられている。つまり、スクリュー圧縮機(1)には、ゲートロータ(45)と同数(本実施形態では、二つ)のスライドバルブ(70a,70b)が設けられている。
【0041】
スライドバルブ(70a,70b)は、シリンダ部(30)に取り付けられている。シリンダ部(30)には、その軸方向へ延びる開口部(31)が形成されている。スライドバルブ(70a,70b)は、そのバルブ本体(71)がシリンダ部(30)の開口部(31)に嵌り込むように配置されている。バルブ本体(71)の前面がスクリューロータ(40)の周側面と対面する。スライドバルブ(70a,70b)は、シリンダ部(30)の軸心方向にスライド可能となっている。また、シリンダ部(30)の開口部(31)は、スライドバルブ(70a,70b)のバルブ本体(71)よりも軸受ホルダ(35)側の部分が、流体室(23)から圧縮後の冷媒を導出するための吐出ポート(25a,25b)となっている。
【0042】
各スライドバルブ(70a,70b)には、スライドバルブ駆動機構(75)のロッド(76)が連結されている。スライドバルブ駆動機構(75)は、各スライドバルブ(70a,70b)を駆動してシリンダ部(30)の軸心方向へ移動させるための機構である。各スライドバルブ(70a,70b)は、スライドバルブ駆動機構(75)によって駆動され、スライドバルブ(70a,70b)の軸方向へ往復動する。
【0043】
各スライドバルブ(70a,70b)は、軸受ホルダ(35)の外周面と接触することによって、スライドバルブ(70a,70b)の中心軸まわりの回動が規制される。軸受ホルダ(35)の凹溝(51)は、スライドバルブ(70a,70b)が最も高圧空間(S2)側に位置する状態でも吐出通路(26,27)と連通する位置に形成されている。つまり、スライドバルブ(70a,70b)が最も高圧空間(S2)側に位置する状態において、軸受ホルダ(35)の凹溝(51)は、少なくともその一部が、スライドバルブ(70a,70b)の高圧空間(S2)側の端部よりも高圧空間(S2)寄りに位置している。
【0044】
〈高圧側の冷媒の流通経路〉
図4に示すように、ケーシング(10)には、吐出通路(26,27)が形成されている。吐出通路(26,27)は、各スライドバルブ(70a,70b)に対応して一つずつ形成されている。上述したように、スライドバルブ(70a,70b)は、各ゲートロータ(45)に対応して一つずつ設けられている。従って、本実施形態のスクリュー圧縮機(1)では、吐出通路(26,27)が各ゲートロータ(45)に対応して一つずつ形成されている。
【0045】
第1吐出通路(26)は、
図4における上側のスライドバルブ(70a)に対応している。この第1吐出通路(26)は、シリンダ部(30)の開口部(31)のうちバルブ本体(71)と軸受固定板(34)の間の部分を含んでおり、スライドバルブ(70a)に対応する吐出ポート(25a)と連通している。一方、第2吐出通路(27)は、
図4における下側のスライドバルブ(70b)に対応している。この第2吐出通路(27)は、シリンダ部(30)の開口部(31)のうちバルブ本体(71)と軸受固定板(34)の間の部分を含んでおり、スライドバルブ(70b)に対応する吐出ポート(25b)と連通している。
【0046】
各吐出通路(26,27)には、対応する吐出ポート(25a,25b)を通って流体室(23)から吐出された高圧冷媒が流入する。また、
図4に示すように、各吐出通路(26,27)は、軸受ホルダ(35)の凹溝(51)によって形成された一つのマフラ空間(50)に連通している。つまり、第1吐出通路(26)と第2吐出通路(27)は、一つのマフラ空間(50)を介して互いに連通している。
【0047】
ケーシング(10)には、シリンダ部(30)を高圧冷媒によって暖めるための高圧流体通路(61,64)が、各吐出通路(26,27)に対応して一つずつ形成されている。第1高圧流体通路(61)は第1吐出通路(26)に対応し、第2高圧流体通路(64)は第2吐出通路(27)に対応する。
【0048】
図2に示すように、第1高圧流体通路(61)は、ケーシング(10)の上寄りに形成され、第2高圧流体通路(64)は、ケーシング(10)の下寄りに形成されている。各高圧流体通路(61,64)は、軸受固定板(34)側から低圧空間(S1)側へ向かって延びる往路部(62,65)と、低圧空間(S1)側から軸受固定板(34)側へ向かって延びる復路部(63,66)とを備えている。第1高圧流体通路(61)は、往路部(62)が上側のスライドバルブ(70a)の背面側に配置され、復路部(63)がシリンダ部(30)の上方に配置されている。第2高圧流体通路(64)は、往路部(65)が下側のスライドバルブ(70b)の背面側に配置され、復路部(66)がシリンダ部(30)の下方に配置されている。
【0049】
図3,
図4に示すように、第1高圧流体通路(61)は、往路部(62)の一端が第1吐出通路(26)と連通し、往路部(62)の他端が復路部(63)の一端と連通している。また、第2高圧流体通路(64)は、往路部(65)の一端が第2吐出通路(27)と連通し、往路部(65)の他端が復路部(66)の一端と連通している。各高圧流体通路(61,64)の復路部(63,66)は、それぞれの他端が高圧空間(S2)に連通している。
【0050】
−スクリュー圧縮機の運転動作−
スクリュー圧縮機(1)の運転動作について説明する。
【0051】
電動機(15)に通電すると、スクリューロータ(40)が電動機(15)によって駆動されて回転する。スクリューロータ(40)が回転するとゲートロータ(45)も回転し、圧縮機構(20)が冷媒を圧縮する動作を行う。
【0052】
ケーシング(10)内の低圧空間(S1)へは、蒸発器から流出した低圧ガス冷媒が、吸入口(11)を通って吸い込まれる。低圧空間(S1)の冷媒は、圧縮機構(20)の流体室(23)へ吸い込まれる。スクリューロータ(40)が回転し、流体室(23)が低圧空間(S1)から遮断された閉じきり状態になると、その後は流体室(23)内の冷媒が圧縮される。
【0053】
流体室(23)が吐出ポート(25a,25b)に連通すると、圧縮された冷媒が吐出ポート(25a,25b)を通って流体室(23)から流出する。上側のスライドバルブ(70a)に対応する吐出ポート(25a)を通過した高圧冷媒は、第1吐出通路(26)へ流入する。第1吐出通路(26)へ流入した高圧冷媒は、第1高圧流体通路(61)の往路部(62)と復路部(63)を順に通過し、その後に高圧空間(S2)へ流入する。一方、下側のスライドバルブ(70b)に対応する吐出ポート(25b)を通過した高圧冷媒は、第2吐出通路(27)へ流入する。第2吐出通路(27)へ流入した高圧冷媒は、第2高圧流体通路(64)の往路部(65)と復路部(66)を順に通過し、その後に高圧空間(S2)へ流入する。
【0054】
各吐出通路(26,27)から高圧空間(S2)へ流入した高圧冷媒は、油分離器(18)を通過する。油分離器(18)では、高圧冷媒と共に流れてきた油滴状の冷凍機油が、高圧冷媒から分離される。油分離器(18)を通過した高圧冷媒は、吐出口(12)を通ってケーシング(10)の外部へ吐出される。吐出口(12)から吐出された高圧ガス冷媒は、凝縮器へ向かって流れてゆく。
【0055】
−マフラ空間による圧力変動の抑制−
スクリューロータ(40)が回転すると、スクリューロータ(40)の各螺旋溝(41)によって構成された流体室(23)が、次々に各吐出ポート(25a,25b)と連通する。そして、各吐出ポート(25a,25b)からは、流体室(23)が吐出ポート(25a,25b)に連通する毎に、高圧冷媒が断続的に吐出される。このため、各吐出ポート(25a,25b)に連通する吐出通路(26,27)の圧力は、周期的に変動する。
【0056】
本実施形態のスクリューロータ(40)には、七本の螺旋溝(41)が形成されている。従って、スクリューロータ(40)が一回転する間には、各吐出ポート(25a,25b)から高圧冷媒が七回ずつ吐出される。このため、
図8に示すように、各吐出通路(26,27)における冷媒の圧力は、スクリューロータ(40)が一回転する間に七回ずつ周期的に変動する。
【0057】
本実施形態のスクリュー圧縮機(1)では、二つのゲートロータ(45)がスクリューロータ(40)に180°間隔で配置されている。このため、
図8に示すように、第1吐出通路(26)における冷媒の圧力変動(
図8の実線を参照)と、第2吐出通路(27)における冷媒の圧力変動(
図8の破線を参照)とは、互いに半周期だけずれる。
【0058】
本実施形態のスクリュー圧縮機(1)では、第1吐出通路(26)と第2吐出通路(27)がマフラ空間(50)を介して互いに連通しており、各吐出通路(26,27)における冷媒の圧力変動が互いに干渉する。その結果、各吐出通路(26,27)における冷媒の圧力変動が互いに打ち消し合い、各吐出通路(26,27)における冷媒の圧力変動が小さくなる。
【0059】
−実施形態1の効果−
本実施形態のスクリュー圧縮機(1)では、ケーシング(10)にマフラ空間(50)を形成することによって、高圧流体通路(61,64)へ流入する冷媒の圧力変動を低減することができる。このため、冷媒の圧力変動に起因するケーシング(10)の本体部(10a)の振動を低減でき、スクリュー圧縮機(1)の運転によって発生する騒音を小さくすることができる。
【0060】
また、本実施形態では、スクリュー圧縮機(1)に二つのゲートロータ(45)が設けられ、スクリューロータ(40)に奇数本の螺旋溝(41)が形成される。このため、第1吐出通路(26)と第2吐出通路(27)とでは、それぞれにおける冷媒の圧力変動の波形が、実質的に半波長だけずれる。また、本実施形態では、第1吐出通路(26)と第2吐出通路(27)が一つのマフラ空間(50)に連通する。従って、本実施形態によれば、第1吐出通路(26)における冷媒の圧力変動と、第2吐出通路(27)における冷媒の圧力変動とを相殺させることができ、各吐出通路(26,27)から高圧流体通路(61,64)へ流入する流体の圧力変動を確実に低減することができる。
【0061】
また、本実施形態では、従来よりスクリュー圧縮機(1)に設けられるシリンダ部(30)と軸受ホルダ(35)を利用して、マフラ空間(50)が形成される。従って、本実施形態によれば、スクリュー圧縮機(1)に新たな部材を追加すること無く、ケーシング(10)にマフラ空間(50)を形成することができる。
【0062】
また、本実施形態において、マフラ空間(50)を構成する軸受ホルダ(35)の凹溝(51)は、その幅と深さが全長に亘って一定となっている。このため、軸受ホルダ(35)に凹溝(51)を形成するための加工が容易となり、軸受ホルダ(35)に凹溝(51)を形成することに起因する製造コストの上昇を抑えることができる。
【0063】
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。ここでは、本実施形態のスクリュー圧縮機(1)について、実施形態1のスクリュー圧縮機(1)と異なる点を説明する。
【0064】
図9,10に示すように、本実施形態のスクリュー圧縮機(1)では、シリンダ部(30)の内周面に凹溝(52)が形成されている。この凹溝(52)は、シリンダ部(30)の内周面の周方向へ延びる溝であって、軸受ホルダ(35)の凹溝(51)と向かい合う位置に形成されている。シリンダ部(30)の凹溝(52)は、その幅と深さが全長に亘って一定である。また、シリンダ部(30)の凹溝(52)は、その幅が軸受ホルダ(35)の凹溝(51)の幅と実質的に等しい。そして、本実施形態のスクリュー圧縮機(1)では、軸受ホルダ(35)の凹溝(51)とシリンダ部(30)の凹溝(52)とがマフラ空間(50)を形成する。
【0065】
本実施形態によれば、実施形態1に比べて、マフラ空間(50)の容積を拡大することができ、その結果、マフラ空間(50)による冷媒の圧力変動の抑制効果を高めることが可能となる。
【0066】
《その他の実施形態》
−第1変形例−
上記各実施形態では、マフラ空間(50)の幅が一定でなくてもよい。ここでは、本変形例を実施形態1のスクリュー圧縮機(1)に適用した場合について説明する。
【0067】
図11に示すように、本変形例の軸受ホルダ(35)に形成された凹溝(51)は、その一部の幅が残りの部分の幅より広い拡大部(51a)となっている。拡大部(51a)は、凹溝(51)の周方向における所定長さに亘って形成されている。このため、この凹溝(51)によって形成されるマフラ空間(50)は、凹溝(51)の周方向の一部分において急拡大する。その結果、マフラ空間(50)の幅が変化することによる圧力変動の低減効果も得られ、吐出通路(26,27)における冷媒の圧力変動を一層小さくすることが可能となる。
【0068】
−
第2変形例−
上記各実施形態では、スクリューロータ(40)に偶数本(例えば、六本)の螺旋溝(41)が形成されていてもよい。
【0069】
《参考技術》
参考技術について説明する。この参考技術のスクリュー圧縮機(1)は、上記各実施形態
のスクリュー圧縮機(1)において、各吐出通路(26,27)に対応してマフラ空間(50)
を一つずつ形成
したものである。ここでは、本
参考技術を実施形態1のスクリュー圧縮機(1)に適用した場合について説明する。
【0070】
図12,13に示すように、本
参考技術の軸受ホルダ(35)には、二本の凹溝(51)が形成されている。二本の凹溝(51)は、軸受ホルダ(35)の周方向に並んで配置されている。二本の凹溝(51)は、それぞれがマフラ空間(50)を形成する。つまり、本
参考技術のスクリュー圧縮機(1)には、二つのマフラ空間(50)が形成される。そして、二つのマフラ空間(50)は、一方が第1吐出通路(26)と連通し、他方が第2吐出通路(27)と連通する。本
参考技術のスクリュー圧縮機(1)において、各マフラ空間(50)は、対応する吐出通路(26,27)に対するサイドブランチとなり、いわゆる干渉型の消音器を構成する。