特許第6332350号(P6332350)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6332350杉木部及び杉枝葉成分蒸留液植物活力液剤を生産する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6332350
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】杉木部及び杉枝葉成分蒸留液植物活力液剤を生産する方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 65/06 20090101AFI20180521BHJP
   A01P 21/00 20060101ALI20180521BHJP
   A01N 25/02 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   A01N65/06
   A01P21/00
   A01N25/02
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-141861(P2016-141861)
(22)【出願日】2016年6月30日
(65)【公開番号】特開2018-2697(P2018-2697A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2016年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】594161622
【氏名又は名称】飛騨産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094868
【弁理士】
【氏名又は名称】打保 敏典
(72)【発明者】
【氏名】南 和伸
(72)【発明者】
【氏名】棚橋 光彦
(72)【発明者】
【氏名】大川 伸吾
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 千晶
【審査官】 桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−056857(JP,A)
【文献】 特開2004−300069(JP,A)
【文献】 特開2004−300037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 65/06
A01N 25/02
A01P 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉した高圧容器(2)内に位置する容器に杉木部及び杉枝葉(1)を納入し、高圧水蒸気を注入することで容器内を高圧化し、段階的昇温調整により杉木部及び杉枝葉(1)の成分を水蒸気蒸留(3)状態とし、冷却することで杉木部及び杉枝葉蒸留液(4)を分取抽出可能とする分取抽出装置において、0.MPaから1.5MPaまでに限定した高圧状態下で分取抽出した杉木部及び杉枝葉蒸留液(4)を主とする杉木部及び杉枝葉成分蒸留液植物活力剤を生産する方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は杉を限定とした木部及び枝葉材等から有効抽出成分を得るべく高圧状態における高圧水蒸気蒸留を発生させ、その蒸留液を希釈化し、葉面散布、土壌灌水等として使用することで植物の生育、活力を高めることを課題とするものである。
【背景技術】
【0002】
植物の育成を促進させる肥料としては、伝統的な化学肥料要素である窒素、りん等を散布する方法が古くから公知技術として知られているが、肥料過剰投与することで植物に硝酸塩が蓄積し、余剰肥料成分が地下に浸透し地下水に硝酸性窒素酸濃度の上昇を引き起こす等、土壌を含む環境への負担を増加させる危惧が生じている。
【0003】
一方、化学肥料に代わる植物活力剤として植物自体から植物育成にかかる抽出液を利用する方法が考案されつつあり、木材・竹等から木・竹酢液抽出して散布する方法が古くから知られた公知技術として存在する。
【0004】
しかしながら、木・竹酢液はタール等さまざまな物質が混在する混合液であり、植物育成のためには有害物質、不要物質等を除去した後に使用しなければならず、そのままの抽出液を散布等するには明らかに不適と言える。
【0005】
そこで特許文献1、特許文献2において、一定の光合成速度向上度を有する光合成菌を活用することで各種植物に対して薬害等のストレスを与えることなく、効率的に植物体の活力の成長を促進させることを目的とする植物活力剤が発明されている。
【0006】
ところで本発明の植物活力剤の製造方法としては、本出願人の特許文献3の高圧水蒸気蒸留による蒸留液採取を利用したものである。
【特許先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−064112号
【特許文献2】特開2001−288010号
【特許文献3】特許第4388715号
【特許文献4】特開2009−274970号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は植物原料を杉材に限定しており、杉材に含まれる植物活力有効成分をいかに効率よく抽出し、その成分を希釈化するのみで植物の生育を促進させる効果を生み出すことを目的としている。
【0009】
従来から知られている植物原料に含まれる植物有効成分は、医薬品、化粧水、香料等様々な分野で利用可能な物質であり、既にヒノキチオール等製品化された植物有効成分が存在している。
【0010】
しかしながら、植物には油成分と共に多種の植物有効成分を保有しており、従来の抽出工法では夫々の植物有効成分別に抽出することは困難であり、混合気体・液体として抽出するしかなかった。
【0011】
しかも、従来の工法では植物有効成分を抽出しようとしてもタール等他の不必要な成分をも分離して抽出することができず、抽出後改めて別の化学処理等が必要である為、夫々余分かつ非効率的な製造工法であった。
【0012】
そこで特許文献3において本出願人は、植物有効成分を抽出すべく複雑な工程をスリム化し、効率よくより精度の高い植物有効分を抽出する為、高温・高圧状態で高圧水蒸気を注入し加水分解を促進させることで植物有効成分を変質させることなくかつ植物原料を炭化させることなく、有効成分のみを効率的に抽出することを目的とする工法を提示した。
【0013】
即ち 、密閉した一定空間内に高圧水蒸気を注入し高圧化することで、納入した植物原料から溶解する各種植物有効成分を蒸留液として夫々抽出することが可能となる方法である。
【0014】
ところで特許文献4の如く、アキノキリンソウ、杉葉、ヒノキ葉を高温高圧状態下での抽出液が植物生育の抑制効果を生み出すことは公知技術となっており、本発明の目的とする植物育成の活力剤とは相反することになる。
【0015】
又、特許文献1、特許文献2の植物活力剤を生成する工法は一定の光合成速度向上度を有する各光合成菌を利用することで植物の成長を促進させる効果を生み出すことができるが、その成分となる物質はフラボン、ケルセチン、ルチン、カフェイン、カテキン、ポリフェノール等の複数の抗酸化剤を含む組成物であり、様々な原料を必要としその原料から必要成分を抽出した後組成しなければならず、原料調達から植物活力剤を組成するまで時間的にも費用的にも効率的な工法とは言い難い。
【0016】
本発明の目的は、特許文献3による蒸留液抽出する工法を基本として、杉材のみ即ち杉木部及び杉枝葉に限定した蒸留液の有効成分を植物活力剤として提供することにあり、上記記載の如くの課題を効率よく克服することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の植物活力剤は高温、高圧水蒸気下で抽出した杉材のみの有効成分を含む蒸留液を利用するものであり、即ち特許文献3における高圧水蒸気蒸留方法にて抽出した蒸留液の使用を前提とした方法により、段階的圧力、温度差による各有効成分を分取することが可能となったことで一定の圧力、温度範囲での蒸留液を使用することで得られる効果を提供するものである。
【0018】
まず解決すべく課題として、特許文献4では、アキノキリンソウ、杉葉、ヒノキ葉から夫々温度を200〜350℃、圧力を15〜21MPaの高圧、高温下の亜臨界条件で各有効成分を抽出した後、一定の割合で混合することで植物抑制剤が精製されることが挙げられる。
【0019】
そこで、原料を杉木部及び杉枝葉及び他の植物材と夫々個別に高圧、高温条件をかえる比較対照実験を実施し、その結果、杉木部及び杉枝葉のみで圧力0.48MPa〜0.55MPa温度150〜155℃内で分取抽出した蒸留液が植物生育に対し抑制するのではなく成長促進させる効果を得た。
【0020】
ヒノキ材等では杉材と同じ条件下の圧力0.48MPa〜0.55MPa温度150〜155℃内で精錬された蒸留液が植物の成長を促進させる効果は得ることができなかった。
【0021】
しかるに、本発明では植物原料を杉材即ち杉木部及び杉枝葉に限定し、圧力0.48MPa〜0.55MPa温度150〜155℃内で精錬された杉木部及び杉枝葉蒸留液を分取抽出し、分取抽出された杉木部及び杉枝葉蒸留液を主として各植物の育成段階に応じて希釈化及び原液を投与、散布することで各植物の生育を促進させることを可能とする優れた杉木部及び杉枝葉成分蒸留液植物活力液剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0022】
ところで木酢、竹酢等も又植物活力剤として利用されているが、その抽出方法は燃焼時に発生する煙から抽出されることによりタール等の有害物質が含まれており、その除去のため余分な作業が必要となり、効率のよい植物活力剤の精製とはいえない。
【0023】
本発明では、木材等から段階的昇温状態高圧状態において高圧水蒸気蒸留を発生させ、各種抽出物を分別して獲得することができる装置を用いて、植物原料を杉材即ち杉木部及び杉枝葉のみに限定し、かつ圧力を0.MPa〜1.5MPa内で抽出する杉木部及び杉枝葉蒸留液を使用するものである。
【0024】
そこで対照実験において、上記抽出方法で得た杉木部及び杉枝葉蒸留液を50倍〜500倍に希釈化し対象植物に散布すると以下の如く植物生育状況に明らかな差異が生じる結果が得られた。
【0025】
対照実験の方法としては、上記抽出方法で得た杉木部及び杉枝葉蒸留液を対象植物に対し散布した場合と無使用の場合での育成度合いを比較実験した方法を主とし、白菜及びサニーレタスでは、上記抽出方法で得た杉枝葉蒸留液ほか、杉木部及び杉枝葉と同様の上記抽出方法で得たヒノキ、WRC,クス、五加皮、ほう葉の各蒸留液及びネビシン(ネコブ病予防剤)を散布して生育度合いを比較実験したものである。
【0026】
その結果、発芽比率、生育重量、生長の長さ、収穫量、収穫重量等全てにおいて杉木部及び杉枝葉蒸留液を散布した植物が最良の生育状態であることが判明した。
【0027】
即ち、従前から杉木部及び杉枝葉を含む植物抽出液を植物に散布すると植物抑制効果が生じることが知られているが、杉木部及び杉枝葉に限り特許文献4の方法で、圧力を0.MPa〜1.5MPa内で分取抽出される杉木部及び杉枝葉蒸留液のみを本発明である植物活力剤として各植物に散布することで、各植物の生育を確実に促進させる効果を生み出すことが明らかであるといえる。
【0028】
ところで植物が活性化する一因として原形質流動の促進が挙げられるが、本発明成分である希釈化した杉枝葉蒸留液をたまねぎの表皮の一片に添加して浸透させ3分間観察した結果、添加前の原形質流動速度0.2〜2μm/Sから添加後2〜10μm/Sへと原形質流動の活性化が認められたが、一方希釈化したヒノキ枝葉蒸留液では添加前と添加後では原形質流動速度0.2〜2μm/Sのままであり、原形質流動の活性化は認められなかった。
【0029】
従って本発明は杉木部及び杉枝葉に限定した上記高圧水蒸気蒸留液を一定の圧力化で抽出することで、木酢、竹酢等に含まれるタール等の有害物質を含有することなく又他の化学的処理することなく、ただ単に水で希釈することのみでそのまま植物に散布することが可能であり、効率的かつ最良の植物生育を促進させることができる優れた杉木部及び杉枝葉成分蒸留液植物活力液剤を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】栽培した小松菜の葉の枚数及び葉の長さの比較
図2】栽培した小松菜の根の長さの比較
図3】栽培したジャガイモ(男爵)の収穫個数、収穫重量の比較
図4】栽培した水稲(コシヒカリ)の平均稲穂数、1本当りの粒数、もみ全収穫量、精米後重量の比較
図5】栽培したキャベツ(早生種、中生種)の結球の大きさ、結球重量の比較
図6】栽培した白菜の発芽数、葉部の長さ、平均重量の比較
図7】栽培したサニーレタスの長さ、重量の比較
図8】本発明に係る杉木部及び杉枝葉からその成分の水蒸気蒸留を経て杉木部及び杉枝葉蒸留液を分取抽出までのチャート図
図9本発明の請求の範囲に係る圧力設定の根拠を示す分画蒸留方法による小松菜発芽、根の生育及びイネの根の生育に対する対照実験の比較
図10本発明の請求の範囲に係る常圧状態下での蒸留液と本発明による高圧状態下で蒸留液による小松菜の根の生育状況の対照実験の比較
【発明を実施するための形態】
【0031】
植物活力剤である本発明に関し、先ず杉木部及び杉枝葉(1)を高圧容器(2)に納入し高圧することでその成分を水蒸気蒸留(3)し、その後冷却することで得た杉木部及び杉枝葉蒸留液(4)と他の各抽出蒸留液及び蒸留液無使用との対照試験に基づき実施形態を説明する。
【0032】
ところで以下の対照試験では、各植物を0.48MPa〜0.55MPaの高圧水蒸気で水蒸気蒸留(3)し、分取蒸留液として抽出した各蒸留液を使用するものとする。
【0033】
第1対照試験として、水耕栽培により小松菜の生育試験を実施した。
【0034】
まず小松菜の種子をスポンジ上で発芽させ、2週間後本葉2〜3枚に生育したスポンジ苗を各水耕栽培用容器に移し、500倍、200倍、100倍と希釈した各杉枝葉成分蒸留液(4)、及び杉成分蒸留液(4)を使用せず市販の液体肥料の500倍と希釈した液を夫々投与し2週間栽培した結果、図1の如く杉枝葉蒸留液(4)を投与したほうが杉枝葉蒸留液(4)を投与しなかったほうより葉数は多く葉の伸長も長くなる差異が生じた。
【0035】
また小松菜の根の伸長状態を比較する為、各試験管(直径18mm×長さ18cm)に水及び100倍に希釈した杉枝葉蒸留液(4)、杉木部蒸留液(4)、ヒノキ葉蒸留液を夫々投与し、試験管口元に種子を載置したスポンジを嵌入させ、4日間栽培した結果、図2の如く杉葉蒸留液(4)、杉木部蒸留液(4)投与した根のほうが大幅に伸びる差異が生じた。
【0036】
従って杉枝葉蒸留液(4)を投与した小松菜が杉枝葉蒸留液(4)を投与しなかった小松菜より葉、根共に生育を促進させる効果が生じたことは明らかである。
【0037】
第2対照試験として、ジャガイモ(男爵)栽培、収穫の生育試験を実施した。
【0038】
まず圃場に醗酵鶏糞、化学肥料施肥し2畝を起耕した後、ジャガイモの種芋を半分に切断し、切断面に木灰を貼付し1畝ごとに24個ずつ定植した後、一方の畝には杉枝葉蒸留液(4)を100倍に希釈した液を散布し、その後1週間ごとに50倍希釈した液を2回散布したが、他方の畝には杉枝葉蒸留液(4)は散布しないまま栽培した。
【0039】
その結果、図3の如く杉枝葉蒸留液を散布した畝のほうが散布しない畝より収穫個数、収穫重量共に大幅に増大する差異が生じたのであり、ジャガイモ生育においても杉枝葉蒸留液(4)により生育を促進させる効果が生じたことは明らかである
【0040】

第3対照実験として、水田を用いた水稲(コシヒカリ)の栽培試験を実施した。
【0041】
元肥を投与した水田区を2箇所設け、1水田区において代掻き時、田植え前日及び田植え2週間後に杉枝葉蒸留液(4)原液を投与し、1ヶ月後及び出穂1週間後に50倍に希釈した杉枝葉蒸留液(4)を散布し、他方の水田区では追肥、農薬散布はせず通常の管理で栽培を実施した。
【0042】
その結果、図4の如く杉枝葉蒸留液(4)を使用した水田区のほうが使用しなかった水田区より稲穂数、稲穂1本当りの粒数、もみ全収穫量、精米後の重量全てにおいて1.5倍以上の収穫量の差異が生じたのであり、水稲(コシヒカリ)生育においても杉枝葉蒸留液(4)により生育を促進させる効果が生じたことは明らかである
【0043】
第4対照試験として、キャベツの栽培試験を実施した。
【0044】
圃場に牛糞、化成肥料及び苦土石灰を施肥し起耕した後、2畝作成し、市販の苗(早生種、中生種を定植するが、1畝には定植前に100倍に希釈した杉枝葉蒸留液(4)を灌水させ、定植後1週間、3週間、5週間後に夫々50倍に希釈した杉枝葉蒸留液(4)を散布し、もう一方の畝には通常の栽培を実施した。
【0045】
その結果、図5の如く杉枝葉蒸留液(4)を使用した畝のほうが使用しなかった畝よりキャベツ自体の結球の大きさ、重量共に大幅に増大差異が生じたのであり、キャベツ生育においても杉枝葉蒸留液(4)により生育を促進させる効果が生じたことは明らかである。
【0046】
次に多種に亘る蒸留液を用いた栽培において杉枝葉蒸留液(4)が他の蒸留液よりもはるかに生育の促進に影響を与える事実を第5対照試験より提示する。
【0047】
白菜栽培において、蒸留液無使用、杉枝葉(4)、ヒノキ、WRC(ウエスタンレッドシダー)クス、五加皮を100倍に希釈した各蒸留液及ネピシン(ネコブ病予防剤)を各圃場に散布し、生育を観察したところ、図6の如く杉枝葉蒸留液(4)を散布した白菜が他の試料を用いた白菜よりも発芽数、葉部の長さ及び重量すべてにおいて大幅に増大した差異が生じたのであり、明らかに杉枝葉蒸留液(4)により生育を促進させる効果が生じたといえる。
【0048】
サニーレタス水耕栽培対照試験においても、蒸留液無使用、杉木部(4)、杉枝葉(4)、ヒノキ葉、WRC,ほう葉各蒸留液を500倍に希釈した各蒸留液を各トレーに散布し水耕栽培したところ、図7の如く杉木部及び杉枝葉蒸留液(4)を散布したサニーレタスが他の試料を用いたサニーレタスよりも葉部の長さ、重量すべてにおいて大幅に増大した差異が生じたのであり、又、図9図10の小松菜の発芽、根及び、ネの根の生育においても同様の差異が見られ、明らかに杉木部及び杉枝葉蒸留液(4)により生育を促進させる効果が生じたといえる。
【0049】
以上、上記発明の実施例において提示した如く、0.48MPaから0.55MPaの高圧水蒸気蒸留により分取抽出された杉木部及び杉枝葉蒸留液(4)を各植物に投与、散布するは蒸留液無使用他植物の蒸留液より植物の生育を促進させる効果が生じることにより杉木部及び杉枝葉蒸留液(4)を主とする本発明の杉木部及び杉枝葉成分蒸留液植物活力液剤を植物生育促進剤として提供するものである。
【符号の説明】
【0050】
1 杉木部及び杉枝葉
2 高圧容器
3 水蒸気蒸留
4 杉木部及び杉枝葉蒸留液
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10