(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記指針が前記ダイヤルプレート及び前記トリムリングに対して回転するとき、前記先端部は、代わる代わる、前記目盛を通じて少なくとも部分的に視認可能となり、前記遮光部によって少なくとも部分的に隠される請求項1の指示装置。
【発明を実施するための形態】
【0006】
(第1実施形態)
以下に、指示装置1が図面を参照して説明される。図において、「垂直」は垂直方向に対応する。「軸」は軸方向に対応する。「径」は径方向に対応する。「周」は周方向に対応する。
【0007】
図1において、指示装置1は、例えば、自動車のエンジン回転数計である。指示装置1は、指針20、ダイヤルプレート10、ダイヤルカバー30、プリズム50、主ハウジング60、プリント回路基板(PCB)70、駆動ユニット80、及びリヤハウジング90を含む。
【0008】
ダイヤルプレート10は、自動車の乗員のような視認者Vに対向する表示面を有する。ダイヤルプレート10は、視認者Vから見て円形状をなす。ダイヤルプレート10は、計器メータを形成するための、ダイヤルゲージのような指示マークやシンボルSを有する。シンボルSは、エンジン回転数を示すための数字であっても良い。ダイヤルプレート10は、ポリカーボネートのような樹脂から形成されても良い。ダイヤルプレート10は、その中心に、中心孔18aを有する。
【0009】
ダイヤルカバー30は、ダイヤルプレート10の上に配置される管状部材である。指針20は、ダイヤルプレート10の中心孔18aに挿入される。指針20は、ダイヤルプレート10の表示面の近傍に配置される。指針20は、シャフト23、基部24、針部26、及びカバー25を含む。
【0010】
一例において、シャフト23,基部24,及び針部26は、半透明樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂、又はPMMA樹脂)のような、不透明ではない導光性材料から形成される。針部26は、シャフト23に対して、実質的に直角となっている。基部24と針部26とは、ダイヤルプレート10の中心孔18aよりも上方に配置される。シャフト23は、中心孔18aを貫通して伸びる。カバー25は、ABS樹脂のような不透明材料から形成される。カバー25は、基部24を包含するように、基部24に結合されている。
【0011】
PCB70は、主ハウジング60とリヤハウジング90との間に配置される。PCB70は、その中心に、中心孔78を有する。PCB70は、電子配線及びマイクロプロセッサのような電子デバイスを備える。PCB70は、さらに、中心孔78の周囲に発光ダイオード(LED)74を備える。
【0012】
駆動ユニット80は、PCB70に設けられている。駆動ユニット80は、ステッパーモータのような電動モータであっても良い。駆動ユニット80は、駆動シャフト84とモータ部86とを含む。駆動シャフト84は、モータ部86のロータと連結される。モータ部86は、磁界を発生し、ロータを介して駆動シャフト84を駆動するために、PCB70の配線を通じてコントローラ(図示せず)からの電流が通電されるように構成されたステータを有する。駆動ユニット80は、モータ部86に組み込まれた減速ギアを備える。駆動シャフト84は、指針20のシャフト23と連結され、ダイヤルプレート10上の目盛やシンボルSを指し示す適切な位置に指針20を操作する。
【0013】
主ハウジング60は、筒状の中空部64aを規定する中央ハウジング64を含む。プリズム50は、筒状の中空部64aに配置され、PCB70によって支持される。リヤハウジング90は、PCB70に設けられ、駆動ユニット80を収容する。
【0014】
図2に示されるように、本例によれば、プリズム50は、矩形板状のプリズム本体54を有する。プリズム本体54には、4本の脚部52と4個のレンズ56とが一体的に形成される。プリズム50は、半透明樹脂のような導光性材料から形成される。レンズ56は指針20と対向する。脚部52は、プリズム50をPCB70上に支持するために、PCB70に形成された支持孔72に取り付けられる。指針20のシャフト23と駆動ユニット80の駆動シャフト84とは連結されて、プリズム50のプリズム孔56aとPCB70の中心孔78を通じて伸びる。
【0015】
複数のLED74が、プリズム50のレンズ56の光軸が各LED74の光軸と一致されるように、PCB70上に配置される。各々のLED74が点灯されたとき、LED74は、プリズム本体54及びレンズ56を介して指針20へ向かう光を発する。このようにして、光が指針20を照明する。レンズ56はLED74からの光を集光し、光を指針20に向かわせる。このように、プリズム50は、LED74からの光を調光する。
【0016】
図3は、
図8の「III」で示される角度に沿って上側から見たダイヤルカバーを示す。
図3において、ダイヤルカバー30は、カバー本体32と、トリムリング34とを含む。カバー本体32は、管状部材である。トリムリング34は、カバー本体32の上端に接続される、環状ディスクの形状を持つ部材である。トリムリング34は、カバー本体32と一体的に形成されても良い。トリムリング34は、不透明ではない導光性材料から形成される。不透明ではない導光性材料として、ポリカーボネート樹脂及び/又はPMMA樹脂などの半透明樹脂を用いることができる。
【0017】
トリムリング34は、不透明部130において不透明であり、非不透明部140において、不透明ではない。不透明部130は、複数の遮光部132と、1つの遮光底部134とを含む。非不透明部140は、目盛142と、外側リング144とを含む。
【0018】
本実施形態において、不透明部130は導光性(光透過性)を有するが、それは、非不透明部140の導光性(光透過性)よりも低い。つまり、不透明部130は、非不透明部140ほど、光を導光(透過)しない。換言すると、不透明部130は、遮光特性において、非不透明部140よりも高い。不透明との用語は、完全な不透明、スモーク、着色、もしくは、ほぼ不透過など、より低い導光性の光学的性質又は非導光性の光学的性質を表す。非不透明との用語は、例えば、完全に透明、もしくは、不完全に透明などの導光性の光学的性質を表す。
【0019】
遮光部132及び遮光底部134は、例えば、ホットスタンピング及び/又はパッドプリンティング(Tampography)によってトリムリング34の表面に形成されても良い。目盛142及び外側リング144はレーザエッチングによって形成されても良い。あるいは、遮光部132及び遮光底部134は、トリムリング34上にスモークペインティングなどの不透明材料を塗布することによって形成されても良い。目盛142及び外側リング144は、トリムリング34に不透明材料を塗布するときにマスキングすることによって形成されても良い。
【0020】
各々の目盛142は、径方向に伸びる線状に形成された細いストライプである。各々の遮光部132は、周方向に伸びる円弧状をなしている。目盛142及び遮光部132は、メータ範囲において、所定の間隔で周方向に交互に配列される。メータ範囲は、指針20の回転角度範囲に対応する。本例では、メータ範囲は、0rpmと8000rpmの間である。遮光底部134は、メータ範囲外の範囲において、周方向に伸びる。外側リング144は、リング状をなし、径方向において、目盛142及び遮光部132双方の外側に配置される。目盛142は、径方向外端にて外側リング144に連なる。それゆえ、目盛142は、外側リング144から径方向内側に伸びる。
【0021】
図4は、
図8の「III」で示される角度から見た指示装置1を示す。
図4において、指示装置1は、ダイヤルプレート10の上にダイヤルカバー30を配置することによって組み立てられる。指針20の照光先端部126は、その全部が、トリムリング34の下方に位置される。具体的には、照光先端部126は、一部が、外側リング144の下方にあり、外側リング144を通じて視認可能である。加えて、照光先端部126は、遮光部132の下方に位置するとき、その一部が、遮光部132によって隠される。照光先端部126は、目盛142の下方に位置するとき、目盛142を通じて視認可能となる。
【0022】
図5において、照光先端部126は、トリムリング34とダイヤルプレート10との間に配置される。照光先端部126は、トリムリング34の下方を回転する。指針20の透視部124は、ダイヤルプレート10上に形成されたシンボルSの上方にある。
【0023】
図6及び
図7に示されるように、指針20の針部26は、照光付け根部122、透視部124、及び、照光先端部126を有し、それらは、この順序で基部24から伸びている。すなわち、照光付け根部122は基部24から伸びる。透視部124は照光付け根部122から伸びる。照光先端部126は透視部124から伸びる。照光先端部126、透視部124、及び、照光付け根部122は、半透明樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂及び/又はPMMA樹脂)などの導光性材料から一体的に形成される。
【0024】
針部26は、軸方向において、上面と底面とを有する。軸方向は、指針20のシャフト23の軸AXに沿った方向である。本例では、照光先端部126は、軸方向において、上面と底面の両面に照光層126a、126bを有する。さらに、照光付け根部122は、上面と底面の両面に照光層122a、122bを有する。照光層122a、122b、126a、126bは、例えば、ホットスタンピング、パッドプリンティング(Tampography)、及び/又は照光材料を塗布(スプレー)することによって形成されても良い。透視部124は、上面と底面の両面に照光層を有していない。つまり、透視部124の元々の導光性材料が、上面及び底面に露出している。
【0025】
そのため、シャフト23の軸方向に沿って見たとき、透視部124は半透明に見え、照光先端部126と照光付け根部122は、着色して見える。つまり、透視部124は、照光先端部126と照光付け根部122の双方よりもさらに導光性(光透過性)が高い。換言すれば、透視部124は、照光先端部126と照光付け根部122の双方の光の透過性よりも高い光の透過性を有する。
【0026】
針部26は側面を有し、その側面は、上面及び底面と垂直である。側面には、照光層は設けられていない。つまり、針部26の基材が側面の全体に渡って露出している。そのため、針部26は、側面の一方から側面の他方を見たとき、ほぼ透けて見える。
【0027】
図7において、指針20の基部24は、プリズム(
図2参照)を通過した後の光源からの光を受け入れる。基部24は、光を反射して、光を針部26に向かわせるための反射面24aを有する。
【0028】
照光先端部126と照光付け根部122は、底側の照光層上で光を受光し、底側の照光層は、その光を軸方向に沿って上側の照光層を通過するように反射する。その結果、照光層は、光を反射し、その光が通過したときに明るくなる。対照的に、透視部124は、光を受光したとき、自身で明るくはならない。つまり、透視部124は光の受光において半透明である。そのため、透視部124は、光を受光したときでさえ、底面から上面へとシンボルSが透過するように案内し、その上面にシンボルSを表示する(
図6参照)。
【0029】
以下に、
図6を参照して、指示装置1の各構成部品の寸法が説明される。構成部品間の相対的な関係は、指針20の回転中心Cの軸方向に沿って指示装置1を見た状態について説明される。指針20の回転中心Cは、指針20がその回りを回転する軸AXに一致する。
【0030】
図6において、中心Cは、トリムリング34の内端部から距離r1の位置にある。中心Cは、遮光部132の外端部から距離r2の位置にある。中心Cは、針部26の照光先端部126の外端部から距離r3の位置にある。中心Cは、外側リング144の外端部から距離r4の位置にある。中心Cは、照光先端部126の内端部から距離r5の位置にある。中心Cは、照光付け根部122の外端部から距離r6の位置にある。中心Cは、シンボルの区域Rの内端部から距離r7の位置にある。中心Cは、シンボルの区域Rの外端部から距離r8の位置にある。
【0031】
照光先端部126は、距離r3と距離r5との差分である、長さl1を有する。長さl1は、照明部分ILの幅w2と等しい。透視部124は、距離r5と距離r6との差分である、長さl2を有する。外側リング144は、距離r4と距離r2との差分である、幅w1を有する。トリムリング34の非不透明部140は、距離r4と距離r1との差分である、幅w3を有する。幅w3は、径方向において、外側リング144と目盛142の両方のトータルの長さに対応する。シンボルの区域Rは、距離r7と距離r8との差分である。シンボルの区域Rは、径方向において、シンボルが配置される範囲を規定する。
【0032】
距離r1は距離r5よりも短い。つまり、照光先端部126の内端部は、トリムリング34の内端部よりも、中心Cから離れている。それゆえ、照光先端部126の内端部は、完全にトリムリング34の下方に置かれ、トリムリング34によって隠される。距離r3は、距離r2と距離r4との間の長さである。つまり、照光先端部126の外端部は、外側リング144の幅w1内に留まる。それゆえ、照光先端部126の外端部は、照光先端部126が部分的に遮光部132の後ろに隠れたときでさえ、外側リング144を通じて定常的に視認可能である。
【0033】
長さl1は、幅w3よりも短い。つまり、照光先端部126の長さは、トリムリング34の非不透明部140の幅よりも短い。それゆえ、照明部分ILは、トリムリング34の限られた範囲内に現れる。
【0034】
距離r5は距離r8よりも長く、かつ、距離r6は距離r7よりも短い。つまり、透視部124の長さl2は、シンボルの区域Rよりも大きい。それゆえ、ダイヤルプレート10上のシンボルSは、径方向において、透視部124よりも小さい。そのため、シンボルSは、透視部124を通じて完全に視認可能となる。つまり、照光先端部126と照光付け根部122は、径方向において、常にシンボルSとは離れており、シンボルSを隠すことはない。
【0035】
以下に、指示装置1の動作が、
図8から
図11を参照して説明される。
図8は、指針20の回転中心Cの軸方向に沿って見たときの指示装置1を示す。
図8において、指針20は2500RPMに対応する1つの目盛142の角度位置よりも僅かに小さい角度にある。照光先端部126は、外側リング144と、目盛142の下方部分とに照明部分ILを生じる。
【0036】
図8の指針20は、
図9の状態となるように時計回りに回転する。指針20は、1つの目盛142の角度位置よりも僅かに大きい角度となる。そのとき、照光先端部126は、外側リング144と、目盛142の上方部分とに照明部分ILを生じる。
【0037】
図9の指針20は、
図10の状態となるようにさらに時計回りに回転する。指針20は、1つの遮光部132の角度位置に対応する角度となる。それゆえ、指針20は、1つの遮光部132の下方に置かれ、その1つの遮光部132によって部分的に隠される。その結果、照光先端部126は、外側リング144でのみ照明部分ILを生じる。
【0038】
図10の指針20は、
図11の状態となるようにさらに時計回りに回転する。この状態において、指針20は、3000RPMに対応する1つの目盛142に向いている。照光先端部126は、外側リングと、目盛142の全体とに照明部分ILを生じる。「3」であるシンボルSは、指針20の透視部124を通じて視認可能となっている。
【0039】
上述したように、指針20はダイヤルプレート10及びトリムリング34に対して回転するので、照光先端部126は、代わる代わる、目盛142を通じて部分的に視認可能となり、遮光部132によって部分的に隠される。さらに、照光先端部126は、定常的に外側リング144を通じて視認可能となる。加えて、透視部124がシンボルSの上方にあるときはいつでも、シンボルSは、指針20の透視部124を通じて視認可能である。
【0040】
(他の実施形態)
指示装置1は、エンジン回転数計以外に、種々の操作パネルもしくはインストルメントパネルで使用されても良い。プリズム50は省略されても良い。LED74は、シャフト23の下方に置かれても良い。この場合、シャフト23が、LED74から発光された光を基部24の反射面24aに向けて案内する。
【0041】
トリムリング34、指針20の針部26における相対的な関係は、任意に変更されても良い。例えば、
図6において、距離r5は、距離r1より短くても良い。つまり、照光先端部126の内端部は、径方向内側へ向かって、トリムリング34の内端部を超えた位置に置かれても良い。軸方向に沿って見たとき、照光先端部126の長さは、目盛142の幅より大きくても良いし、目盛142の幅よりも短くても良い。透視部124は省略されても良い。外側リング144も省略されても良い。目盛142も省略されても良い。外側リング144及び/又は目盛142に代えて、もしくは加えて、トリムリングが種々の目印を有しても良い。種々の目印は、星、円、及び/又は三角形などの形状、種々の文字、及び/又は、それらと同等なもの、さらに、それら種々の形状の組合せを含んでも良い。例えば、トリムリング34は、非不透明なグラフィカルな形態を有するようにし、それを通じて、照光先端部126が部分的もしくは完全に視認者に視認できるようにしても良い。
【0042】
照光先端部126及び照光付け根部122は、底面に照光層を設け、上面には照光層を設けなくても良い。照光先端部126と照光付け根部122の少なくとも1つは、照光しなくても良い。つまり、照光先端部126と照光付け根部122の少なくとも1つは、単なる不透明であっても良い。
【0043】
本開示の実施形態の製造方法が、複数のステップの特定のシーケンスを含むものとして本明細書において説明されたが、それらのステップの種々の他のシーケンス、及び/又は、本明細書では説明されなかった追加のステップを含む、さらに別の実施形態も、本開示の範囲内であることが意図されていることが理解されるべきである。
【0044】
本開示が、その好ましい実施形態に関して説明されたが、本開示はその好ましい実施形態及び構成に制限されないことが理解されるべきである。本開示は、種々の変形例や均等な取り合わせをカバーすることが意図されている。さらに、好ましい種々の組合せや構成が説明されたが、より多くの、より少ない、もしくは単一の要素を含む他の組合せや構成も本開示の主旨及び範囲に属する。