(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記放電回路は、前記電流指令値生成回路で生成された電流指令電圧に基づいて前記放電電流の電流値を調整する放電電流調整回路を備えていることを特徴とする請求項1に記載の電圧制御型デバイスの駆動回路。
前記電流制御回路は、基準電圧と、前記電流指令値生成回路で生成された電流指令電圧との電圧差に基づいて前記定電流回路の出力電流を決定するオペアンプを備えていることを特徴とする請求項1に記載の電圧制御型デバイスの駆動回路。
前記電流制御回路は、基準電圧と、前記電流指令値生成回路で生成された電流指令電圧とを比較し、比較結果に応じて前記定電流回路の出力電流を多段階に変化させるコンパレータを備えていることを特徴とする請求項1に記載の電圧制御型デバイスの駆動回路。
前記定電流回路は、前記電圧制御型デバイスのゲートと電源電圧との間に接続されたカレントミラー回路で構成され、該カレントミラー回路は、前記電源電圧と前記電圧制御型デバイスのゲートとの間に接続されて前記カレントミラー回路の出力部を構成する第1トランジスタと、前記電源電圧と前記電流制御回路との間に接続されて前記カレントミラー回路の入力部を構成する第2トランジスタとを有していることを特徴とする請求項1に記載の電圧制御型デバイスの駆動回路。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明の一実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
また、以下に示す実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
(第1実施形態)
IGBTやパワーMOS−FETで構成される電圧制御型デバイス10は、
図1に示すように、コレクタが図示しない例えば直列に接続される別の電圧制御型デバイスのエミッタに接続され、エミッタがグランドに接続され、ゲートが駆動回路20に接続されている。
駆動回路20は、電圧制御型デバイス10をターンオン動作させる定電流回路30と、電圧制御型デバイス10をターンオフ動作させる放電回路40と、ターンオン動作及びターンオフ動作を切り替える切替回路50と、電流指令値生成回路60と、定電流回路30の出力電流を制御する電流制御回路70とを備えている。
【0012】
定電流回路30は、電源電圧Vccが供給される電源ラインLpと電圧制御型デバイス10のゲートとの間に接続されたカレントミラー回路で構成されている。この定電流回路30は、電源ラインLpにそれぞれソースが接続されたpチャネル電界効果トランジスタで構成される第1トランジスタ31及び第2トランジスタ32を有する。
第1トランジスタ31は、ドレインが電圧制御型デバイス10のゲートに接続され、ゲートが第2トランジスタ32のゲート及びドレインに接続されている。
第2トランジスタ32は、ドレイン及びゲートが電流制御回路70に接続されている。
【0013】
放電回路40は、外部の制御回路から供給される駆動信号が入力される論理反転回路(インバータ)41と、この論理反転回路41の出力が入力される放電電流調整回路42とを備えている。ここで、第2トランジスタ32がカレントミラー回路の入力部を構成し、第1トランジスタ31がカレントミラー回路の出力部を構成し、第2トランジスタ32から引き出される電流I
Oに比例した電流I
OUTが第1トランジスタ31から供給される。
【0014】
放電電流調整回路42は、複数例えば3組の電流調整ユニット43A、43B及び43Cを有する。電流調整ユニット43Aは、符号反転回路41の出力信号が一方の入力端子に入力されるアンドゲート45aと、このアンドゲート45aの他方の入力端子に接続されたコンパレータ44aと、アンドゲート45aの出力端子に接続されたnチャネル電界効果トランジスタ46aとを備えている。
電流調整ユニット43B及び43Cも、電流調整ユニット43Aと同様の構成を有し、アンドゲート45b及び45c、コンパレータ44b及び44c、nチャネル電界効果トランジスタ46b及び46cを備えている。
【0015】
ここで、電流調整ユニット43A〜43Cのコンパレータ44a〜44cの非反転入力端子には基準電圧Vrefa〜Vrefcが入力され、反転入力端子には後述する電流指令値生成回路60から出力される電流指令電圧VTが入力されている。そして、コンパレータ44a〜44cは電流指令電圧VTが基準電圧Vrefa〜Vrefc以下となったときにハイレベルの比較信号を出力する。
そして、基準電圧Vrefa、Vrefb及びVrefcの大小関係は、Vrefa>Vrefb>Vrefcに設定されている。
【0016】
このため、電流調整ユニット43A〜43Cでは、電流指令電圧VTが基準電圧Vrefa以下となると電流調整ユニット43Aのnチャネル電界効果トランジスタ46aがオン状態となる。また、電流指令電圧VTが基準電圧Vrefb以下となると、電流調整ユニット43Aに加えて電流調整ユニット43Bのnチャネル電界効果トランジスタ46bがオン状態となる。さらに、電流指令電圧VTが基準電圧Vrefc以下となると、電流調整ユニット43A及び43Bに加えて電流調整ユニット43Cのnチャネル電界効果トランジスタ46cがオン状態となる。このため、電流指令電圧VTの値が小さくなるにつれて段階的に放電電流量を増加させることができる。
【0017】
切替回路50は、電源ラインLpにソースが接続され、ドレインが定電流回路30のカレントミラー回路の第1トランジスタ31のゲート及び第2トランジスタ32のドレインに接続されたpチャネル電界効果トランジスタ51と、このpチャネル電界効果トランジスタ51のゲートに接続されたレベルシフト回路52とで構成されている。レベルシフト回路52は外部の制御装置から入力される駆動信号が入力される。レベルシフト回路52は、駆動信号がハイレベルであるときにハイレベルの信号をpチャネル電界効果トランジスタ51のゲートに入力してpチャネル電界効果トランジスタ51をオフ状態に制御し、カレントミラー回路の第1トランジスタ31及び第2トランジスタ32のゲートとソースを切り離すことにより定電流回路30をターンオン動作させる。また、レベルシフト回路52は駆動信号がローレベルであるときにローレベルの信号をpチャネル電界効果トランジスタ51のゲートに入力してpチャネル電界効果トランジスタ51をオン状態に制御し、カレントミラー回路の第1トランジスタ31及び第2トランジスタ32のゲートとソースを短絡させることにより定電流回路30の動作を停止させる。
【0018】
電流指令値生成回路60は、電源ラインLpに接続された定電流回路30とは別の定電流源61と、この定電流源61からの定電流が選択的に供給される複数例えば3つの抵抗素子63〜65を有し、上記選択的に定電流が供給される抵抗の電圧ドロップにより電流指令値としての電流指令電圧を形成する抵抗選択部62とを備えている。なお、複数の抵抗素子を有する抵抗選択部62の代わりに、一つの抵抗素子を用いてもよい(以下、同様)。この場合、当該一つの抵抗素子は、電圧制御型デバイス10の特性に応じてその抵抗値が決定される。
【0019】
抵抗選択部62は、電圧制御型デバイス10を形成するチップ内に形成され、複数の抵抗素子63、64及び65は異なる抵抗値を有する。これら抵抗素子63〜65の一端は定電流源61に接続された電流供給ライン66に並列に接続され、他端はグランドラインLgに接続されている。ここで、抵抗素子63、64及び65の抵抗値R11、R12及びR13は例えばR11<R12<R13に設定されている。
【0020】
複数の抵抗素子63〜65は、電圧制御型デバイス10の電流特性、抵抗選択部62以外の駆動回路20の特性、電圧制御型デバイス10が適用される装置からの要求などに応じて選択する抵抗素子以外の抵抗素子については電流供給ライン66との接続を切断する。そして、残された抵抗素子と定電流源61との間の接続点から電流指令電圧VTが出力される。
ここで、抵抗素子63のみを選択したときの電流指令電圧VTは放電回路40の基準電圧Vrefc以上で基準電圧Vrefbより低くなるように設定されている。抵抗素子64のみを選択したときの電流指令電圧VTは放電回路40の基準電圧Vrefb以上で基準電圧Vrefcより低くなるように設定されている。抵抗素子65のみを選択したときの電流指令電圧VTは放電回路40の基準電圧Vrefa以上となるように設定されている。また、抵抗素子63〜65のうち複数の抵抗素子を残すようにすると、さらに異なる電流指令電圧VTを生成することができ、例えば特性の異なる別の駆動回路と組み合わせることも可能になってくる。なお、以下では説明を抵抗素子63〜65のうち1つだけを選択する場合について行う。
【0021】
電流制御回路70は、定電流回路30の第2トランジスタ32のドレイン及びグランドラインLgとの間に直列に接続されたnチャネル電界効果トランジスタで構成される電流制御用トランジスタ71と抵抗72とを有する。電流制御用トランジスタ71のゲートには第1オペアンプ73が接続されている。第1オペアンプ73は反転入力端子が電流制御用トランジスタ71のソースと抵抗72との間に接続され、非反転入力端子に基準電圧V
0が入力されている。
また、電流制御回路70は、第1オペアンプ73に基準電圧V
0を供給する第2オペアンプ74を有する。この第2オペアンプ74は反転入力端子が抵抗75を介して出力端子に接続され、非反転入力端子が抵抗76を介してグランドラインLgに接続されている。ここで、抵抗75及び76は互いに等しい抵抗値R2に設定されている。
【0022】
また、第2オペアンプ74の非反転入力端子には抵抗77を介して電流指令値生成回路60の定電流源61及び抵抗選択部62間の接続点から出力される電流指令電圧VTが供給され、反転入力端子には基準電圧VREFが抵抗78を介して供給される。ここで、抵抗77及び78は互いに等しい抵抗値R1に設定されている。
第2オペアンプ74の出力電圧V
0は、抵抗選択部62で選択される抵抗素子の抵抗値をR10とし、この抵抗値R10が抵抗77及び78の抵抗値R1に対して無視できる程度に小さい値であるとすると、
V
0=(R2/R1)(VREF−VT) ・・・(1)
で表すことができる。
【0023】
さらに、第2オペアンプ74の出力電圧V
0が第1オペアンプ73の非反転入力端子に供給されるので、第1オペアンプ73で制御される定電流回路30の基準電流I
0、すなわち抵抗72に流れる電流は、第1オペアンプ73の2つの入力端子が仮想短絡されることから上記(1)式を参照して下記(2)式で表される。
I
0=V
0/Rref={R2/(R1×Rref)}(VREF−VT) ・・・(2)
【0024】
ここで、Rrefは抵抗72の抵抗値であり、抵抗値R1、R2、Rref及び基準電圧VREFは定数であるため、前記(2)式では電流指令電圧VTのみが変数として考えられる。つまり、電圧制御型デバイス10を駆動する定電流能力は、前記(2)式において電流指令電圧VT以外の精度を整えれば、電圧制御型デバイス10を駆動する定電流能力を精度よく制御できる。なお、(2)式から分かるように、電流指令電圧VTが小さい程基準電流I
0が大きくなる。
【0025】
この第1の実施形態によると、駆動回路20でゲートを制御する電圧制御型デバイス10のターンオン動作及びターンオフ動作を制御するが、電流指令値生成回路60の抵抗選択部62の抵抗素子63〜65を制御対象となる電圧制御型デバイス10の仕様等に応じて最適なターンオン動作及びターンオフ動作となる抵抗素子を選択し、選択した抵抗素子以外の抵抗素子については電流供給ライン66との接続部を切除して電流供給ライン66から切り離す。
このため、電流指令値生成回路60から電圧制御型デバイス10の仕様等に応じて電流指令電圧VTが出力される。この電流指令電圧VTが放電回路40及び電流制御回路70に供給される。
【0026】
このため、放電回路40では、電流指令電圧VTに応じてオン状態となる電流調整ユニット43A〜43Cの数が変更されて電圧制御型デバイス10の仕様に応じた放電電流に調整される。すなわち、抵抗素子65が選択されたときには、電流調整ユニット43Aのnチャネル電界効果トランジスタ46aのみがオン状態となり、電圧制御型デバイス10の放電電流が最小となる。抵抗素子64が選択されたときには電流調整ユニット43Aのnチャネル電界効果トランジスタ46a及び電流調整ユニット43Bのnチャネル電界効果トランジスタ46bがオン状態となり、電圧制御型デバイス10の放電電流が中程度となる。抵抗素子63が選択されたときには全ての電流調整ユニット43A〜43Cのnチャネル電界効果トランジスタ46a〜46cがオン状態となり、電圧制御型デバイス10の放電電流が最大となる。
【0027】
さらに、電流指令電圧VTが電流制御回路70に供給され、この電流制御回路70で電流指令電圧VTに基づいて定電流回路30の基準電流I
0が前述した(2)式にしたがって制御される。このため、定電流回路30から出力される出力電流I
OUTが電圧制御型デバイス10の仕様等に応じて制御される。
すなわち、抵抗素子63が選択されたときには電流指令電圧VTが最小となるので、基準電流I
0が最大値となる。また、抵抗素子64が選択されたときには電流指令電圧VTが中程度となるので、基準電流I
0も中程度の値となる。さらに、抵抗素子65が選択されたときには電流指令電圧VTが最大値となるので、基準電流I
0は最小値となる。
【0028】
この状態で、駆動回路20にハイレベルの駆動信号が供給されると、切替回路50のレベルシフト回路52からハイレベルのゲート電圧がpチャネル電界効果トランジスタ51のゲートに供給されて、このpチャネル電界効果トランジスタ51がオフ状態に制御される。このため、カレントミラー回路の出力部を構成する第1トランジスタ31がオン状態となって、定電流回路30から基準電流I
0に応じた出力電流I
OUTが電圧制御型デバイス10のゲートに供給されて電圧制御型デバイス10がターンオン動作してオン状態となる。このとき、放電回路40では、符号反転回路41の出力がローレベルとなるので、各電流調整ユニット43A〜43Cのアンドゲート45a〜45cの出力がローレベルとなってnチャネル電界効果トランジスタ46a〜46cがオフ状態となる。このため、放電回路40によるターンオフ動作は停止されている。
【0029】
これに対して、駆動回路20に、ローレベルの駆動信号が入力されると、切替回路50のレベルシフト回路52からローレベルのゲート信号がpチャネル電界効果トランジスタ51に供給される。このため、pチャネル電界効果トランジスタ51がオン状態に制御されてpチャネル電界効果トランジスタ31のゲートとソースが短絡状態となる。これによりpチャネル電界効果トランジスタ31がオフ状態となって定電流回路30の動作が停止される。
【0030】
一方、放電回路40では、符号反転回路41の出力がハイレベルとなることにより、各電流調整ユニット43A〜43Cのアンドゲート45a〜45cが出力可能な状態となる。このため、電流指令値生成回路60で選択された抵抗素子に応じた電流指令電圧VTによってアンドゲート45a、45a及び45b、45a〜45cの何れかの出力がハイレベルとなる。したがって、nチャネル電界効果トランジスタ46a、46a及び46b、46a〜46cがオン状態とされて放電電流が最小値、中間値及び最大値の何れかに制御されて、電圧制御型デバイス10の仕様に応じた放電電流を調整できる。
【0031】
なお、電圧制御型デバイス10のゲートの充放電電流は大きすぎても小さすぎても問題となる。充放電電流が大きすぎると電圧制御型デバイスのスイッチング速度が速くなりすぎてスイッチングノイズが問題となる。充放電電流が小さすぎると電圧制御型デバイス10のスイッチング速度が遅くなりすぎて製品の動作に支障を生じる。
したがって、電圧制御型デバイスの充放電電流は電圧制御型デバイス10及び抵抗選択部62の少なくとも一方を除く駆動回路の仕様などに応じて最適に調整する必要がある。本実施形態によれば、電圧制御型デバイス10及び抵抗選択部62の少なくとも一方を除く駆動回路の仕様などに応じて抵抗選択部62で抵抗素子63〜65の何れかを選択することにより、3つの仕様の電圧制御型デバイス10を1つの駆動回路20で最適な充放電電流で駆動することが可能となる。
【0032】
このため、電圧制御型デバイス形式数に対する駆動回路形式数を、
図2で実線図示の特性線L1で示すように、電圧制御型デバイス形式数の増加に対して駆動回路形式数の増加を緩やかとすることができる。このため、駆動回路20の製造プロセスで使用するフォトマスクなどの増加を抑制することができ、フォトマスクなどの量産部品の保管や管理が容易となる。
これに対して、電流指令値生成回路60を設けない従来例では、
図2の点線図示の特性線L2で示すように、電圧制御型デバイス形式数の増加に対して駆動回路形式数も大きく増加することなり、駆動回路数が増加して製造プロセスで使用するフォトマスクなどが増加し、量産部材の保管や管理が煩雑となる。
【0033】
また、第1の実施形態のように、抵抗選択部62を電圧制御型デバイス10を形成するチップ内に形成することにより、電圧制御型デバイス10の製作時にその仕様にあっ
た抵抗素子を選択することが可能となる。抵抗選択部62の代わりに一つの抵抗素子を設ければ、駆動回路20側で電圧制御型デバイス10の仕様に合わせた抵抗素子の選択が不要となる。また、電圧制御型デバイス10を形成するチップ内に抵抗素子を配置することで、電圧制御型デバイスの温度依存性に応じて抵抗値が変化し、電圧制御型デバイスの温度依存性を補償することができる。
【0034】
なお、上記第1の実施形態では、電流指令値生成回路60の抵抗選択部62の抵抗値R10が電流制御回路70の第2オペアンプ74の入力側抵抗77及び78の抵抗値R1に比較して無視できる程度に小さい値に設定されている場合について説明した。しかしながら、本発明は上記構成に限定されるものではなく、抵抗選択部62の抵抗素子63〜65の抵抗値をある程度大きな値に設定しても第2オペアンプ74の出力電圧V
0を制御することができる。
すなわち、電流指令値生成回路60及び電流制御回路70の第2オペアンプ74との関係は、
図3で表すことができる。
この
図3において、定電流源61から出力される定電流値をIrefとすると、第2オペアンプ74の非反転入力端子の電圧は
{R2/(R1+R2))VREF ・・・(3)
で表される。
【0035】
そして、抵抗選択部62で選択された抵抗値をR10とし、定電流源61から電流制御回路70の抵抗77に流れる電流をi
1とすると、選択された抵抗素子を流れる電流はIref−i
1となる。
このため、第2オペアンプ74の入力側電圧は、オペアンプ74の仮想短絡動作により反転入力端子の電圧と非反転入力端子の電圧が等しくなることから、
R10(Iref−I
1)−R1・i
1={R2/(R1+R2)}VREF ・・・(4)
となる。
この(4)式を変形すると、
R10・Iref−(R10+R1)i
1={R2/(R1+R2)}VREF ・・・(5)
となり、この(5)式をさらに変形すると、
(R1+R10)i
1=R10・Iref−{R2/(R1+R2)}VREF ・・・(6)
となる。
【0036】
したがって、第2オペアンプ74の入力側の抵抗77に流れる電流i
1は、
【数1】
となる。
【0037】
このため、第2オペアンプ74の出力電圧V
0は、
【数2】
となる。
【0038】
この(8)式におけるVREFに係る第1項と第3項の係数部分をまとめると、
【数3】
となる。
【0039】
したがって、前記(8)式は、
【数4】
となる。
この(10)式によって第2オペアンプ74の出力電圧V
0を算出することができる。
【0040】
ちなみに、(10)式の右辺第2項のVREFの係数部分は、
【数5】
と表すことができるので、前述した第1実施形態のようにR1≫R10に設定することにより、この右辺第2項がゼロとなって前述した(1)式を得ることができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について
図4を伴って説明する。
この第2の実施形態では、第1の実施形態における電流制御回路70の構成を変更するようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、第1の実施形態における
図1の構成において、電流制御回路70の構成を変更した以外の構成にはついては
図1と同様の構成を有し、
図1との対応部分には同一符号を付しその詳細説明はこれを省略する。
【0042】
電流制御回路70は、前述した第1の実施形態の構成において、第2オペアンプ74、抵抗75、76、77及び78が省略されているとともに、抵抗72が3つの抵抗81〜83に分割されている。
そして、抵抗81と並列にバイパス用のnチャネル電界効果トランジスタ84が接続され、抵抗82と並列にバイパス用のnチャネル電界効果トランジスタ85が接続されている。
nチャネル電界効果トランジスタ84及び85のゲートには第1コンパレータ86及び第2コンパレータの出力端子がそれぞれ接続されている。
【0043】
第1コンパレータ86の入力側には、非反転入力端子に基準電圧VREFaが入力され、反転入力端子には電流指令値生成回路60から出力される電流指令電圧VTが入力されている。
第2コンパレータ87の入力側には、非反転入力端子に基準電圧VREFbが入力され、反転入力端子に電流指令値生成回路60から出力される電流指令電圧VTが入力されている。ここで、基準電圧VREFa及びVREFbの関係は、VREFa<VREFbに設定されている。また、基準電圧VREFaは、電流指令値生成回路60の抵抗選択部62で抵抗素子63を選択したときの電流指令電圧VT1より高く、抵抗素子64を選択したときの電流指令電圧VT2よりも低い値に設定されている。さらに、基準電圧VREFbは、電流指令値生成回路60の抵抗選択部62で抵抗素子64を選択したときの電流指令電圧VT2よりも高く、抵抗素子65を選択したときの電流指令電圧VT3よりも低い値に設定されている。
【0044】
この第2実施形態によると、放電回路40では前述した第1の実施形態と同様のターンオフ動作を行う。しかしながら、電流制御回路70では、電流指令値生成回路60の抵抗選択部62で抵抗素子65が選択されたときには、このとき出力される電流指令電圧VT3が第1コンパレータ86の基準電圧VREFa及び第2コンパレータ87の基準電圧VREFbよりも高い値である。したがって、第1コンパレータ86及び第2コンパレータ87の出力はローレベルであり、nチャネル電界効果トランジスタ84及び85はオフ状態を維持する。このため、定電流回路30の第2トランジスタ32のドレインが電流制御用トランジスタ71及び3つの抵抗81〜83を通じてグランドラインLgに接続される。
【0045】
このときの基準電流I
0は、抵抗81の抵抗値をRref1、抵抗82の抵抗値をRref2、抵抗83の抵抗値をRref3とすると、
【数6】
となり、最小電流値に設定される。
【0046】
また、抵抗選択部62で抵抗素子64を選択すると、このときに出力される電流指令電圧VT2が第2コンパレータ87の基準電圧VREFbより低くなるので、この第2コンパレータ87の出力がハイレベルとなる。これによって、nチャネル電界効果トランジスタ85がオン状態となり、抵抗82がパイパスされることによる。
【0047】
このため、基準電流I
0は、
【数7】
となり、中程度の電流値に設定される。
【0048】
さらに、抵抗選択部62で抵抗素子63を選択すると、このときに出力される電流指令電圧VT1が第2コンパレータ87の基準電圧VREFbより低い第1コンパレータ86の基準電圧VREFaより低くなるので、第2コンパレータ87に加えて、第1コンパレータ86の出力もハイレベルとなる。
【0049】
このため、nチャネル電界効果トランジスタ84及び85がともにオン状態となり、抵抗81及び82がパイバスされる。したがって、基準電流I
0は、
【数8】
となり、最大電流値に設定される。
【0050】
したがって、前述した第1の実施形態と同様に電流指令値生成回路60の抵抗選択部62で選択した抵抗素子63〜65の抵抗値に応じて定電流回路30の出力電流I
OUTを制御することができ、電圧制御型デバイス10の仕様に応じた最適なターンオン動作を行うことができる。
【0051】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を
図5について説明する。
この第3の実施形態は、定電流源61及び抵抗選択部62を省略して、別途電流指令値選択回路を設けるようにしたものである。
この第3の実施形態では、
図5に示すように、第1及び第2の実施形態における放電回路40の電流調整ユニット43A〜43C及び電流制御回路70の構成が変更されるとともに、電流指令値生成回路60が省略され、これに代えて別途電流指令値生成回路90が設けられている。
放電回路40の電流調整ユニット43A〜43Cは、
図5に示すようにコンパレータ44a〜44cが省略され、これらに代えて電流指令値生成回路90から出力される電流指令信号がアンドゲート45a〜45cに供給されている。
【0052】
一方、電流制御回路70では、第2の実施形態の構成において、第1コンパレータ86及び第2コンパレータ87が省略され、これらに代えてnチャネル電界効果トランジスタ84及び85のゲートに電流指令値生成回路90から出力される電流指令信号が供給されている。
電流指令値生成回路90は、EPROM、ヒューズROM、ザップ等によるデータ選択回路などで構成され、駆動対象となる電圧制御型デバイスの仕様に応じて、出力する電流指令値信号が書込まれる。
【0053】
すなわち、電流指令値生成回路90では、駆動信号に応じて放電回路40及び電流制御回路70が第2の実施形態における電流指令値生成回路60の抵抗選択部で抵抗素子63〜65の何れかを選択した場合と同様の動作を行うように電流値生成信号を出力する。すなわち、抵抗素子65を選択して電流指令電圧VTを最大値VT3とする場合に対応するには、電流指令値生成回路90に最小電流値モードを指示するデータを書込む。この最小電流値モードでは、電流指令値選択信号S1aをハイレベルとするとともに、電流指令値選択信号S1b及びS1cと電流指令値選択信号S2a及びS2bをローレベルに制御する。
【0054】
また、抵抗素子64を選択して電流指令電圧VTを中間値VT2とする場合に対応するには、電流指令値生成回路90に中間電流値モードを指示するデータを書込む。この中間電流値モードでは、電流指令値選択信号S1a及び電流指令値選択信号S1bを電流指令値選択信号S2bをハイレベルとするとともに、電流指令値選択信号S1cと電流指令値選択信号S2aをローレベルに制御する。
さらに、抵抗素子65を選択して電流指令電圧VTを最小値VT1とする場合に対応するには、電流指令値生成回路90に最大電流値モードを指示するデータを書込む。この最大電流値モードでは、電流指令値選択信号S1a〜S1cと、電流指令値選択信号S2a及びS2bとをハイレベルに制御する。
【0055】
この第3の実施形態によると、駆動対象となる電圧制御型デバイス10及び電流指令値生成回路90の少なくとも一方を除く駆動回路の仕様などに応じて定電流回路30の基準電流I
0を最小値とする場合には、電流指令値生成回路90を最小値モードとする。この最小値モードでは、放電回路40の電流調整ユニット43Aのnチャネル電界効果トランジスタ46aのみをオン状態として放電電流を最小値に設定するとともに、電流制御回路70のnチャネル電界効果トランジスタ84及び85をともにオフ状態として定電流回路30の基準電流I
0を最小電流値に制御する。
【0056】
また、駆動対象となる電圧制御型デバイス10及び電流指令値生成回路90の少なくとも一方を除く駆動回路の仕様などに応じて定電流回路30の基準電流I
0を中間値とする場合には、電流指令値生成回路90を中間値モードとする。この中間値モードでは、放電回路40の電流調整ユニット43A及び43Bのnチャネル電界効果トランジスタ46a及び46bをオン状態として放電電流を中間値に設定するとともに、電流制御回路70のnチャネル電界効果トランジスタ85のみをオン状態として抵抗83をパイパスさせて定電流回路30の基準電流I
0を中間電流値に制御する。
【0057】
さらに、駆動対象となる電圧制御型デバイス10の仕様に応じて定電流回路30の基準電流I
0を最大値とする場合には、電流指令値生成回路90を最大値モードとする。この最大値モードでは、放電回路40の電流調整ユニット43A〜43Cのnチャネル電界効果トランジスタ46a〜46cをオン状態として放電電流を最大値に設定するとともに、電流制御回路70のnチャネル電界効果トランジスタ85及び86をオン状態として抵抗83をパイパスさせて定電流回路30の基準電流I
0を
最大電流値に制御する。
【0058】
この第3の実施形態では、駆動回路20で駆動対象とする電圧制御型デバイス10及び電流指令値生成回路90の少なくとも一方を除く駆動回路の仕様などに応じて電流指令値生成回路90の書込データを変更するだけでよく、抵抗選択部62を設ける必要がないので、抵抗素子を選択する処理を不要とすることができ、モード変更を容易に行うことができる。
なお、上記第1及び第2の実施形態では、抵抗選択部62の抵抗素子63〜65を並列に接続した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、抵抗素子を直列に接続して必要な抵抗値に応じて必要数の抵抗素子をパイバスする配線部を設けるようにしてもよい。
また、上記第1及び第2の実施形態においては、抵抗選択部62の抵抗素子63〜65中の必要な抵抗素子以外を切断するようにした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、抵抗素子を選択する選択スイッチを形成するようにしてもよい。
【0059】
さらに、第1及び第2の実施形態においては、抵抗選択部62の抵抗素子数を3つに設定した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、抵抗素子数は4以上であってもよい。これに応じて、放電回路40の電流調整ユニット数を変更するとともに、第2の実施形態における電流制御回路70の抵抗及びnチャネル電界効果トランジスタ数及びコンパレータ数を変更するようにすればよい。さらに第3の実施形態における電流指令値生成回路90の電流指令値選択信号数も変更する。
【0060】
また、上記第1〜第3の実施形態においては、放電回路40及び電流制御回路70の双方の電流値を調整する場合について説明したが、放電回路40の電流調整を省略するようにしてもよい。
さらに、
図5の電流制御回路70を
図1のオペアンプ73,74および抵抗75〜78を適用したものに変更するとともに、電流指令値生成回路90の構成にD/Aコンバータを付加して、当該D/Aコンバータの出力を信号VTの代わりに抵抗77の一端に入力するようにしてもよい。この場合、D/Aコンバータに入力されるデジタルデータはモードを指示するデータと一緒に電流指令値生成回路90に書き込むようにすればよい。