(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような空気調和機では、冷媒が蒸発してもなお空気よりも冷媒温度の方が低いので、その後の熱交換によって空気に顕熱を与え、吹出空気を低下させてしまう。
【0004】
本発明の課題は、吹出空気の低下を抑制した除湿運転を行うことができる空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る空気調和機は、室外ユニットと室内ユニットとの間で冷媒を循環させて蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う空気調和機であって、圧縮機と、室外膨張弁と、第1連絡配管と、室内第1熱交換部と、第2連絡配管と、室内第2熱交換部と、バイパス管と、開閉部と、制御部とを備えている。圧縮機及び室外膨張弁は、室外ユニットに属する。第1連絡配管は、室外膨張弁からの冷媒を室内ユニットに導く。室内第1熱交換部は、室内ユニットに属し、第1連絡配管と連通し室外膨張弁で減圧された2相状態の冷媒を導入して蒸発させる。第2連絡配管は、室内第1熱交換部からの冷媒を室外ユニットに導く。室内第2熱交換部は、室内第1熱交換部と第2連絡配管との間に配置される。バイパス管は、室内第2熱交換部と並列配置され、室内第1熱交換部を出た冷媒を第2連絡配管へとバイパスさせる。開閉部は、バイパス管に設けられる。制御部は、開閉部を制御する。また、制御部は、バイパス利用運転モードと、バイパス非利用運転モードとを有している。バイパス利用運転モードは、室内第1熱交換部で冷媒を過熱状態にし、開閉部を開けて室内第1熱交換部で生じた過熱蒸気冷媒を、室内第2熱交換部を通さずにバイパス管を介して第2連絡配管に流すモードである。バイパス非利用運転モードは、開閉部を閉めて室内第1熱交換部および少なくとも室内第2熱交換部の一部で蒸発した冷媒を、バイパス管を介さずに第2連絡配管に流すモードである。
【0006】
本発明の第2観点に係る空気調和機は、第1観点に係る空気調和機であって、バイパス非利用運転モードが、室内第2熱交換部の50%以上の流路で蒸発を行わせる運転と、室内第2熱交換部の50%以上の流路に蒸発済みの過熱ガスを流す運転とを含んでいる。
【0007】
また、顕熱がそれほど高くはないが、バイパス利用運転モードを実行するほど顕熱が小さくない場合には、バイパス非利用運転モードで室内第2熱交換部の50%以上の流路に蒸発済みの過熱ガスを流す運転を行うことによって、空調対象空間の快適性を維持する。
【0008】
本発明の第3観点に係る空気調和機は、第1観点又は第2観点に係る空気調和機であって、空調対象空間の温度を測定する第1温度センサをさらに備えている。制御部は、空調対象空間の設定温度と第1温度センサの測定値との差である第1温度差に基いて、バイパス利用運転モード又はバイパス非利用運転モードのいずれかを選択している。また、制御部は、第1温度差が所定の第1閾値以下のときに運転モードをバイパス利用運転モードに切り換える。
【0009】
本発明の第4観点に係る空気調和機は、第1観点から第3観点のいずれか1つに係る空気調和機であって、室外膨張弁の出口の冷媒温度を測定する第2温度センサをさらに備えている。制御部は、バイパス利用運転モードを実行時、圧縮機を低速とし、且つ、第2温度センサの測定値が所定の第1範囲内になるように室外膨張弁の開度調整を行う。
【0010】
本発明の第5観点に係る空気調和機は、第4観点に係る空気調和機であって、室内第1熱交換部及び室内第2熱交換部に送風する室内ファンをさらに備えている。制御部は、バイパス利用運転モードを開始してから所定時間経過後、室内ファンの駆動モータへの印加電圧が所定印加電圧より低いときは、第2温度センサの測定値が第1範囲の下限値よりも低くなるように室外膨張弁の開度調整を行う。
【0011】
本発明の第6観点に係る空気調和機は、第1観点から第3観点のいずれか1つに係る空気調和機であって、室外膨張弁の出口の冷媒温度を測定する第2温度センサと、バイパス管の入口の冷媒温度を測定する第3温度センサとをさらに備えている。制御部は、バイパス利用運転モードを実行時、圧縮機を低速とし、且つ、第2温度センサの測定値と第3温度センサの測定値との差である第2温度差が所定の第2範囲内になるように室外膨張弁の開度調整を行う。
【0012】
本発明の第7観点に係る空気調和機は、第6観点に係る空気調和機であって、室内第1熱交換部及び室内第2熱交換部に送風する室内ファンをさらに備えている。制御部は、バイパス利用運転モードを開始してから所定時間経過後、室内ファンの駆動モータへの印加電圧が所定印加電圧より低いときは、第2温度差が第2範囲の上限値よりも高くなるように室外膨張弁の開度調整を行う。
【0013】
本発明の第8観点に係る空気調和機は、第1観点及び第2観点に係る空気調和機であって、室内第2熱交換部と開閉部との間に配置される第2開閉部をさらに備えている。制御部は、バイパス利用運転モードの実行時に、第2開閉部を閉じて室内第2熱交換部への冷媒流入を停止する。
【0014】
なお、「開閉部」、「第2開閉部」と唱えているのは別個に設ける意味に限定するものではなく、一体化した3方弁を用いてバイパス管のみに流すことで室内第2熱交換部の冷媒流入を阻止する方法も可能であり、合理性に基づき選択することができる。
【0015】
本発明の第9観点に係る空気調和機は、第1観点から第6観点のいずれか1つに係る空気調和機であって、バイパス利用運転モードにおける開閉部の冷媒出口側に配置される逆止弁をさらに備えている。
【0016】
本発明の第10観点に係る空気調和機は、第1観点から第6観点のいずれか1つに係る空気調和機であって、室内第1熱交換部では、伝熱管が風上側から風下側に沿って複数列設けられている。
【0017】
本発明の第11観点に係る空気調和機は、第1観点から第10観点のいずれか1つに係る空気調和機であって、室内ユニットの吹出口から吹き出される空調空気の風向を調整する風向調整羽根をさらに備えている。制御部は、バイパス利用運転モードの実行時に、風向調整羽根を介して空調空気を上吹きにする。
【0018】
本発明の第12観点に係る空気調和機は、第1観点から第10観点のいずれか1つに係る空気調和機であって、空調対象空間の湿度を測定する湿度センサをさらに備えている。制御部は、湿度センサの測定値が所定値以上のときは、バイパス利用運転モードを実行しない。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1観点に係る空気調和機では、顕熱負荷が小さいときはバイパス利用運転モードを実行して、室内第1熱交換部で蒸発した冷媒を第2連絡配管に流すようにすれば、蒸発した冷媒と空気との熱交換が防止されるので、吹出空気を必要以上に低下させることが回避される。
【0020】
本発明の第2観点に係る空気調和機では、顕熱が高いときにはバイパス非利用運転モードで室内第2熱交換部の50%以上の流路で蒸発を行わせる運転を行うことによって、空調対象空間の快適性を確保することができる。
【0021】
また、顕熱がそれほど高くはないが、バイパス利用運転モードを実行するほど顕熱が小さくない場合には、バイパス非利用運転モードで室内第2熱交換部の50%以上の流路に蒸発済みの過熱ガスを流す運転を行うことによって、空調対象空間の快適性を維持する。
【0022】
本発明の第3観点に係る空気調和機では、運転モードをバイパス利用運転モードへ切り換えるか否かの判断を、空調対象空間の設定温度と現実の温度との差に基いて行うようにしたので、既存の室内温度センサを利用することができ、合理的である。
【0023】
本発明の第4観点に係る空気調和機では、バイパス利用運転モードの制御におけるフィードバック要素を、室外膨張弁の出口の冷媒温度とすることによって、例えば、熱交換部の冷媒温度をフィードバック要素とするよりも応答が早く、負荷変化への適応性が高い。
【0024】
本発明の第5観点に係る空気調和機では、室内ファンのモータへの印加電圧が所定印加電圧より低いときは、空調対象空間の湿度が高いと推定することができ、さらに潜熱変化優先の運転を行うことができる。
【0025】
本発明の第6観点に係る空気調和機では、バイパス利用運転モードの制御におけるフィードバック要素を、「室外膨張弁の出口の冷媒温度」と「バイパス管の入口の冷媒温度」との差とすることによって、第5観点と同様、熱交換部の冷媒温度をフィードバック要素とするよりも応答が早く、負荷変化への適応性が高い。また、冷媒の過熱状態を正確に把握して、室外膨張弁の開度を調整することができる。
【0026】
本発明の第7観点に係る空気調和機では、室内ファンのモータへの印加電圧が所定印加電圧より低いときは、空調対象空間の湿度が高いと推定することができ、さらに潜熱変化優先の運転を行うことができる。
【0027】
本発明の第8観点に係る空気調和機では、バイパス利用運転モードでは、当然のことながら室内第2熱交換部への冷媒流入の全てを防止するのが理想的であるが、その手段として、開閉部と同じ機構の第2開閉部を室内第2熱交換部の冷媒入口側に配置して冷媒流入を完全に阻止する方法を選択することができる。
【0028】
本発明の第9観点に係る空気調和機では、暖房運転時に不使用の開閉部が、逆圧により万が一開閉してしまうことがないよう、逆止弁を設けてそのような事態を未然に防止する。
【0029】
本発明の第10観点に係る空気調和機では、伝熱管が風上側と風下側で複数列設けられることによって、風上側の伝熱管の列で空気から顕熱を奪って通過後の相対湿度を上昇させ、これによって風下側の伝熱管の列で空気から潜熱を効率良く奪うことができるので、伝熱管が一列に配置されたタイプと比べて低顕熱で潜顕比を高めることができる。
【0030】
本発明の第11観点に係る空気調和機では、室内ユニットの吹出口から吹き出される空調空気の一部を吸込口にまわすことで、吸込空気の相対湿度を上げて熱交換部で潜熱を奪いやすくすることができる。
【0031】
本発明の第12観点に係る空気調和機では、第1熱交換部や第2熱交換部で冷媒を蒸発させて冷やされた空気と、蒸発済の過熱冷媒で冷やされない空気が混ざって室内ファンで吹き出されるが、吸込み空気の湿度が高すぎると、冷やされない空気の露点温度よりも冷やされた空気の温度が下回ることがある。このとき、混ざった空気は結露を伴って吹き出されることになり、居住者への快適性を損い、又は、室内ユニットの吹出口に結露水が溜まり滴下する不具合を生じることになる。このような時はバイパス利用運転モードを禁止し、前記不具合を生じないようにすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0034】
<第1実施形態>
(1)空気調和機1
図1は、本発明の第1実施形態に係る空気調和機1の冷媒回路Cの構成を示す配管系統図である。
図1において、空気調和機1は、室内の冷房及び暖房を行う。
図1に示すように、空気調和機1は、室外に設置される室外ユニット20と、室内に設置される室内ユニット40とを備えている。室外ユニット20と室内ユニット40とは、2本の連絡配管11,12によって互いに接続されることによって、冷媒回路Cを構成している。冷媒回路Cでは、充填された冷媒が循環することで、蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。
【0035】
(1−1)室外ユニット20
室外ユニット20は、圧縮機21、四方切換弁22、室外熱交換器23、及び室外膨張弁28を含んでいる。
【0036】
(1−1−1)圧縮機21
圧縮機21は、低圧の冷媒を圧縮し、圧縮後の高圧の冷媒を吐出する。圧縮機21では、スクロール式、ロータリ式等の圧縮機構が圧縮機モータ21mによって駆動される。圧縮機モータ21mの運転回転数は、インバータ装置によって変更される。
【0037】
(1−1−2)四方切換弁22
四方切換弁22は、第1から第4までのポートP1〜P4を有している。四方切換弁22では、第1ポートP1が圧縮機21の吐出側に接続され、第2ポートP2が圧縮機21の吸入側(具体的には、アキュムレータ24)に接続され、第3ポートP3が室外熱交換器23のガス側端部に接続され、第4ポートP4がガス側閉鎖弁5に接続されている。
【0038】
四方切換弁22は、第1状態(
図1の実線で示す状態)と第2状態(
図1の破線で示す状態)とに切り換わる。第1状態の四方切換弁22では、第1ポートP1と第3ポートP3とが連通し且つ第2ポートP2と第4ポートP4とが連通する。第2状態の四方切換弁22では、第1ポートP1と第4ポートP4とが連通し且つ第2ポートP2と第3ポートP3とが連通する。
【0039】
(1−1−3)室外熱交換器23
室外熱交換器23は、フィンコイル式の熱交換器である。室外熱交換器23の近傍には、室外ファン38が設置される。室外熱交換器23では、室外ファン38が搬送する空気と冷媒とが熱交換する。
【0040】
(1−1−4)室外膨張弁28
室外膨張弁28は、開度可変の電子膨張弁である。室外膨張弁28は、冷房運転時の冷媒回路Cにおける冷媒の流れ方向において室外熱交換器23の下流側に配置されている。
【0041】
冷房運転時、室外膨張弁28の開度は、室内熱交換器43に流入する冷媒を室内熱交換器43において蒸発させることが可能な圧力(すなわち、蒸発圧力)まで減圧するように調節される。また、暖房運転時は、室外膨張弁28の開度は、室外熱交換器23に流入する冷媒を室外熱交換器23において蒸発させることが可能な圧力まで減圧するように調節される。
【0042】
(1−1−5)室外側制御部33
図1に示すように、室外ユニット20は室外側制御部33が搭載されている。また、
図2は、空気調和機1の制御部30を示すブロック図である。
図2において、室外側制御部33は、マイコン33a、メモリ33bを内蔵している。マイコン33aは、各種の演算を行い、制御対象機器への指令を行う。メモリ33bは、各種データを格納する。
【0043】
(1−1−6)室外ファン38
図1に示すように、室外ファン38は、プロペラファン38aと、プロペラファン38aを駆動するモータ38bとで構成されている。モータ38bは、インバータ装置によって、その回転数が可変である。
【0044】
(1−1−7)液連絡配管11及びガス連絡配管12
2本の連絡配管は、液連絡配管11及びガス連絡配管12によって構成される。液連絡配管11は、一端が液側閉鎖弁4に接続され、他端が室内熱交換器43の液側端部に接続される。ガス連絡配管12は、一端がガス側閉鎖弁5に接続され、他端が室内熱交換器43のガス側端部に接続される。
【0045】
(1−1−8)各種センサ
室外ユニット20には、室外膨張弁出口温度センサ62、及び室外温度センサ65が設けられている。室外膨張弁出口温度センサ62は、室外膨張弁28の冷媒の出口側に取り付けられおり、室外膨張弁28から流出する冷媒の温度を検出する。室外温度センサ65は、室外ユニット20の室外空気の吸入口側で、室外ユニット20内に流入する室外空気の温度(以後、室外温度という。)を測定する。
【0046】
(1−2)室内ユニット40
図3Aは、運転時の室内ユニット40の断面図である。
図3Aにおいて、室内ユニット40は、本体ケーシング401と、室内熱交換器43と、室内ファン51と、室内側制御部53とを含んでいる。
【0047】
本体ケーシング401は、内部に室内熱交換器43、室内ファン51、及び室内側制御部53を収納している。
【0048】
本体ケーシング401の上部には、吸込口401bが設けられている。室内熱交換器43及び室内ファン51は、底フレーム416に取り付けられている。室内熱交換器43は、通過する空気との間で熱交換を行う。また、室内熱交換器43は、側面視において両端が下方に向いて屈曲する逆V字状の形状を成し、その下方に室内ファン51が位置する。室内ファン51は、クロスフローファンであり、室内から取り込んだ空気を、室内熱交換器43に当てて通過させた後、室内に吹き出す。
【0049】
本体ケーシング401の下部には、吹出口401aが設けられている。吹出口401aには、吹出口401aから吹き出される吹出空気の方向を変更する第1風向調整羽根403が回動自在に取り付けられている。第1風向調整羽根403は、モータ(図示せず)によって駆動し、吹出空気の方向を変更するだけでなく、吹出口401aを開閉することもできる。第1風向調整羽根403は、傾斜角が異なる複数の姿勢をとることが可能である。
【0050】
また、吹出口401aの近傍には第2風向調整羽根405が設けられている。第2風向調整羽根405は、モータ(図示せず)によって前後方向に傾斜した姿勢をとることが可能である。
【0051】
また、吹出口401aは、吹出流路418によって本体ケーシング401の内部と繋がっている。吹出流路418は、吹出口401aから底フレーム416のスクロール417に沿って形成されている。
【0052】
本実施形態では、吸込口401bと吹出口401aとを結ぶ空気流路に、室内熱交換器43が配置されている。室内空気は、室内ファン51の稼動によって吸込口401b、室内熱交換器43を経て室内ファン51に吸い込まれ、室内ファン51から吹出流路418を経て吹出口401aから吹き出される。
【0053】
(1−2−1)室内熱交換器43
室内熱交換器43は、フィンコイル式の熱交換器である。室内熱交換器43の近傍には、室内ファン51が設置される。室内熱交換器43は、第1熱交換部41と、第2熱交換部42とを含んでいる。なお、室内熱交換器43については、別段で詳細構成を説明する。
【0054】
(1−2−2)室内ファン51
室内ファン51は、横流のファン51aと、ファン51aを駆動するモータ51bとで構成されている。モータ51bは、インバータ装置によって、その回転数が可変である。
【0055】
(1−2−3)室内側制御部53
図1に示すように、室内ユニット40には、室内側制御部53が搭載されている。また、
図2に示すように、室内側制御部53は、マイコン53a及びメモリ53bを内蔵している。
【0056】
マイコン53aは、室内ユニット40における各種の演算を行う。また、メモリ53bは、各種データを格納する。
【0057】
また、マイコン53aは、室内ユニット40を個別に操作するためのリモコン(図示せず)との間で制御信号等の通信を行い、さらに、室外ユニット20との間で伝送線を介して制御信号等の通信を行う。
【0058】
(1−2−4)各種センサ
室内ユニット40には、室内温度センサ61、バイパス管入口温度センサ63及び湿度センサ64が設けられている。
【0059】
室内温度センサ61は、室内ユニット40の室内空気の吸込口側に設けられている。室内温度センサ61は、室内ユニット40内に流入する室内空気の温度(すなわち、室内温度Tr)を測定する。
【0060】
バイパス管入口温度センサ63は、バイパス管44の冷媒入口側の配管に取り付けられ、バイパス管44の入口に流入する冷媒の温度を測定する。
【0061】
湿度センサ64は、空調対象空間の湿度を測定する。本実施形態において、室内温度センサ61、及びバイパス管入口温度センサ63は、サーミスタからなる。
【0062】
(2)室内熱交換器43の詳細説明
図3Bは、室内熱交換器43の側面図である。
図3Bにおいて、室内熱交換器43は、室内ファン51を囲むように逆V字状に配置される。室内熱交換器43は、第1熱交換部41と第2熱交換部42とを有している。第1熱交換部41と第2熱交換部42とは、吸込口401bと吹出口401aとを結ぶ空気流路に配置されている(
図3A参照)。
【0063】
(2−1)第1熱交換部41
図1及び
図3Bに示すように、第1熱交換部41は液連絡配管11側に位置し、室外膨張弁28を通過した冷媒が流入する。
図3Bにおいて、第1熱交換部41は、室内熱交換器43の前方最下部に位置し、2段2列の熱交換部を構成している。第1熱交換部41の列は、風上側から風下側に向かって配列されている。
【0064】
液連絡配管11からの冷媒は、第1熱交換部41の風下側の列に入り、当該風下側の伝熱管を流れてから風上側の列に入り、当該風上側の伝熱管を流れてから流出する。
【0065】
(2−2)第2熱交換部42
図1に示すように、第2熱交換部42は第1熱交換部41とガス連絡配管12との間に接続されている。また、第2熱交換部42は、単一パス部421と複数パス部422とに分かれている。単一パス部421は第1熱交換部41側に位置する。複数パス部422は、単一パス部421とガス連絡配管12との間に位置する。複数パス部422は、第1パス422a、第2パス422b、第3パス422c及び第4パス422dを含んでいる。
【0066】
第2熱交換部42では、分流器49が単一パス部421と複数パス部422との間に設けられているので、単一パス部421を出た冷媒は、分流器49を介して第1パス422a、第2パス422b、第3パス422c及び第4パス422dそれぞれに分流される。
【0067】
(2−3)バイパス管44
図1及び
図3Bに示すように、バイパス管44は、第1熱交換部41と第2熱交換部42との間から分岐してガス連絡配管12に至る配管である。
【0068】
(2−4)第1開閉弁45
図1及び
図3Bに示すように、第1開閉弁45は、バイパス管44に設けられ、バイパス管44の冷媒流路を開閉する。説明の便宜上、第1熱交換部41を出た冷媒がバイパス管44へ分流するところを分流点44aという。第1開閉弁45が閉状態のとき、第1熱交換部41を出た冷媒はバイパス管44に流れない。
【0069】
(2−5)第2開閉弁47
図1及び
図3Bに示すように、第2開閉弁47は、分流点44aと第2熱交換部42との間に設けられ、第2熱交換部42に向かう冷媒の流路を開閉する。この第2開閉弁47は、第1開閉弁45と同じ機構の弁である。
【0070】
バイパス管44に冷媒を流す際、当然のことながら第2熱交換部42への冷媒流入の全てを防止するのが理想的であるが、その手段として第2開閉弁47を用いる。つまり、第1開閉弁45が開状態で、且つ第2開閉弁47が閉状態のとき、第1熱交換部41を出た冷媒の全てはバイパス管44に流れる。
【0071】
なお、「第1開閉弁45」、「第2開閉弁47」と唱えているのは別個に設ける意味に限定するものではなく、一体化した三方弁を用いてバイパス管44のみに流すことで第2熱交換部42への冷媒流入を阻止することも可能であり、合理性に基づき選択する。
【0072】
(2−6)逆止弁48
図1及び
図3Bに示すように、逆止弁48は、バイパス管44のうち第1開閉弁45とガス連絡配管12との間に設けられている。本実施形態では、暖房運転時に不使用の第1開閉弁45が、逆圧により万が一開閉してしまうことがないよう、逆止弁48を設けてそのような事態を未然に防止する。
【0073】
(3)運転動作
次に、本実施形態に係る空気調和機1の運転動作について説明する。空気調和機1では、冷房運転と暖房運転とが切り換えて行われる。ここでは、暖房運転、冷房運転の順に説明する。
【0074】
(3−1)暖房運転
暖房運転では、
図1に示す四方切換弁22が破線で示す状態となり、圧縮機21、室内ファン51、室外ファン38が運転状態となる。これにより、冷媒回路Cでは、室内熱交換器43が凝縮器となり、室外熱交換器23が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
【0075】
具体的には、圧縮機21で圧縮された高圧冷媒は、室内熱交換器43を流れる。室内ユニット40では、室内ファン51よって吸い込まれた室内空気が、室内熱交換器43を通過し、その際に冷媒と熱交換する。室内熱交換器43では、冷媒が室内空気へ放熱して凝縮し、その際に空気が加熱される。室内熱交換器43で加熱された空気は、室内空間へ供給される。また、室内熱交換器43で凝縮した冷媒は、室外膨張弁28で減圧された後、室外熱交換器23を流れる。室外熱交換器23では、冷媒が室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器23で蒸発した冷媒は、圧縮機21に吸入され再び圧縮される。
【0076】
(3−2)冷房運転
冷房運転には、高負荷除湿運転、中負荷除湿運転、及び低負荷除湿運転が含まれている。高負荷除湿運転は、室内熱交換器43全体を用いた通常冷房運転である。
【0077】
中負荷除湿運転は、第1熱交換部41と第2熱交換部42の一部(例えば、単一パス部421)とを用いた冷房運転である。
【0078】
低負荷除湿運転は、第1熱交換部41のみを用いた冷房運転である。以下、各運転について説明する。
【0079】
(3−2−1)通常冷房運転(高負荷除湿運転)
冷房運転では、
図1に示す四方切換弁22が実線で示す状態となり、圧縮機21、室内ファン51、室外ファン38が運転状態となる。これにより、冷媒回路Cでは、室外熱交換器23が凝縮器となり、室内熱交換器43が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
【0080】
具体的には、圧縮機21で圧縮された高圧冷媒は、室外熱交換器23を流れ、室外空気と熱交換する。室外熱交換器23では、高圧冷媒が室外空気へ放熱して凝縮する。室外熱交換器23で凝縮した冷媒は、室内熱交換器43へ送られる途中において、室外膨張弁28で減圧され、その後、室内熱交換器43を流れる。
【0081】
室内ユニット40では、室内ファン51によって吸い込まれた室内空気が、室内熱交換器43を通過し、その際に冷媒と熱交換する。室内熱交換器43では、冷媒が室内空気から吸熱して蒸発する。
【0082】
図4Aは、通常冷房運転における、室内熱交換器43の各熱交換部内の冷媒状態を示すイメージ図である。
図4Aにおいて、顕熱負荷が大きいときには通常冷房運転では第2熱交換部42の50%以上の流路で蒸発を行わせる運転を行うことによって、快適性を確保することができる。
【0083】
本実施形態では、室内熱交換器43内の冷媒は、室内熱交換器43の外側を通過する空気から吸熱して蒸発し、第2熱交換部42の複数パス部422の各パスの出口近傍でほとんど過熱蒸気となる。
【0084】
冷媒蒸発時に室内熱交換器43で冷却された空気は、室内空間へ供給される。そして、室内熱交換器43で蒸発した冷媒は、圧縮機21に吸入され再び圧縮される。
【0085】
(3−2−2)中負荷除湿運転
中負荷除湿運転の基本的な動作は、上記通常冷房運転と同じであるが、冷媒が第2熱交換部42の途中で完全に蒸発するように室外膨張弁28の開度を絞っている点で、相違している。
【0086】
図4Bは、中負荷除湿運転における、室内熱交換器43の各熱交換部内の冷媒状態を示すイメージ図である。
図4Bにおいて、中負荷除湿運転では第2熱交換部の50%以上の流路に蒸発済みの過熱ガスを流す運転を行うことによって、快適性を維持することができる。
【0087】
本実施形態では、冷媒は第2熱交換部42の単一パス部421でほとんど過熱蒸気となり、複数パス部422の各パス(422a〜422d)では過熱蒸気冷媒となっている。
【0088】
(3−2−3)低負荷除湿運転
低負荷除湿運転の基本的な動作は、上記中負荷除湿運転と同じであるが、中負荷除湿運転時よりも圧縮機21を低速とし、冷媒が第1熱交換部41で完全に蒸発するように室外膨張弁28の開度を絞っている点で相違している。
【0089】
さらに、低負荷除湿運転では、第1開閉弁45を開状態に、且つ、第2開閉弁47を閉状態にする点でも、通常冷房運転及び中負荷除湿運転と相違している。
【0090】
図4Cは、低負荷除湿運転における、室内熱交換器43の各熱交換部内の冷媒状態を示すイメージ図である。
図4Cにおいて、冷媒は第1熱交換部41でほとんど過熱蒸気となり、第1熱交換部41で蒸発した冷媒はバイパス管44を通ってガス連絡配管12へ流れる。
【0091】
過熱蒸気冷媒が第2熱交換部42を通らずにガス連絡配管12に流れることによって、蒸発した冷媒と空気との熱交換が防止されるので、空気を必要以上に冷却することが回避される。
【0092】
なお、特許請求の範囲では、バイパス管44に冷媒を流す低負荷除湿運転をバイパス利用運転、バイパス管44に冷媒を流さない通常冷房運転及び中負荷除湿運転をバイパス非利用運転と称している。
【0093】
したがって、バイパス利用運転モードでは、室内側制御部53が、バイパス非利用運転モードよりも圧縮機21を低速で運転して、冷媒が第1熱交換部41で完全に蒸発するまで室外膨張弁28の開度を絞り、第1開閉弁45を開けて第1熱交換部41で生じた過熱蒸気冷媒を、第2熱交換部42を通さずにバイパス管44を介してガス連絡配管12に流している。
【0094】
(4)低負荷除湿運転への切換制御
図5は、低負荷除湿運転への切換制御を示すフローチャートである。以下、
図5を参照しながら、低負荷除湿運転への切換制御について説明する。
【0095】
(ステップS1)
先ず室内側制御部53は、ステップS1において、冷房運転指令の有無を判定し、冷房運転指令があったときはステップS2へ進み、冷房運転指令がないとき冷房運転指令の有無の判定を継続する。
【0096】
(ステップS2)
次に室内側制御部53は、ステップS2において、通常冷房運転を開始する。
【0097】
(ステップS3)
次に室内側制御部53は、ステップS3において、空調対象空間である室内の設定温度Tsと室内温度Trとの差が所定値α以下か否かを判定し、Ts−Tr≦αのときはステップS4へ進み、Ts−Tr≦αでないときはステップS2へ戻る。
【0098】
(ステップS4)
次に室内側制御部53は、ステップS4において、圧縮機21を低速に設定する要求指令を室外側制御部33に送信し、室外側制御部33が圧縮機21を低速に設定する。
【0099】
(ステップS5)
次に室内側制御部53は、ステップS5において、第1開閉弁45を開状態に設定し、且つ、第2開閉弁47を閉状態に設定する。この段階で、第1熱交換部41を出た冷媒は、全てバイパス管44に流れ、ガス連絡配管12へ流れるようになる。
【0100】
(ステップS6)
次に室内側制御部53は、ステップS6において、室外膨張弁28の開度を絞るための要求指令を室外側制御部33に送信し、室外側制御部33が室外膨張弁28の開度を絞る。
【0101】
(ステップS7)
次に室内側制御部53は、ステップS7において、室外膨張弁28の冷媒の出口温度である室外膨張弁出口温度Tvoが所定温度範囲の下限値Ta以上、上限値Tb以下であるか否かを判定し、Ta≦Tvo≦TbであるときはステップS8へ進み、Ta≦Tvo≦TbでないときはステップS6へ戻る。
【0102】
(ステップS8)
そして、室内側制御部53は、ステップS8において、運転停止指令の有無を判定し、運転停止指令があれば制御を停止し、運転停止指令がなければステップS3へ戻る。そして、Ts−Tr≦αのときは、ステップS4からステップS7までの動作が繰り返される。
【0103】
以上のように、設定温度Tsと室内温度Trとの差が所定値α以下のときに、圧縮機21を低速にし、第1開閉弁45を開き、第2開閉弁47を閉じ、室外膨張弁出口温度Tvoが所定温度範囲に収まるように室外膨張弁28の開度調整を行うことによって、低負荷除湿運転(バイパス利用運転モード)が行われる。その結果、蒸発した冷媒と空気との熱交換が防止されるので、空気を必要以上に冷却することが回避される。
【0104】
(5)変形例
(5−1)第1変形例
上記第1実施形態では、室内側制御部53が、室内の設定温度Tsと室内温度Trとの差が所定値α以下であるとき、第1熱交換部41で蒸発した冷媒をバイパス管44へ流して第2熱交換部42へ流さない低負荷除湿運転へ切り替えているが(
図5のステップS3参照)、切り替えのトリガーは、それに限定されるものではない。
【0105】
例えば、
図6は、第1変形例に係る低負荷除湿運転への切換制御を示すフローチャートである。
図6において、ステップS3Bが
図5のステップS3と異なるだけで、他のステップS1、S2、S4〜S8は
図5と同じである。
【0106】
すなわち、
図5のステップS3の「設定温度Ts−室内温度Tr≦α」が「バイパス管入口温度Tbi−室外膨張弁出口温度Tvo≧β」に置き換えられたフローチャートである。なお、βは、予め設定された所定範囲の下限値である。
【0107】
室外膨張弁出口温度Tvoは、室外膨張弁28の冷媒出口側の配管に取り付けられた室外膨張弁出口温度センサ62の測定値であり、室外膨張弁28の出口における冷媒温度の代用値である。
【0108】
バイパス管入口温度Tbiは、バイパス管44の冷媒入口側の配管に取り付けられたバイパス管入口温度センサ63の測定値であり、バイパス管44の入口における冷媒温度の代用値である。
【0109】
低負荷除湿運転への切換制御におけるフィードバック要素を「バイパス管入口温度Tbi」と「室外膨張弁出口温度Tvo」との差とすることによって、「設定温度Tsと室内温度Trとの差」をフィードバック要素とするよりも応答が早く、負荷変化への適応性が高くなる。
【0110】
(5−2)第2変形例
上記第1実施形態では、室内側制御部53が、室外膨張弁28の冷媒の出口温度である室外膨張弁出口温度Tvoが所定温度範囲内(Ta≦Tvo≦Tb)となるように室外膨張弁28の開度調整を行っているが、それに限定されるものではない。
【0111】
例えば、
図7は、第2変形例に係る低負荷除湿運転への切換制御を示すフローチャートである。
図7において、ステップS7Bが
図5のステップS7と異なるだけで、他のステップS1〜S6、S8は
図5と同じである。
【0112】
すなわち、
図5のステップS7の「Ta≦室外膨張弁出口温度Tvo≦Tb」が「β<バイパス管入口温度Tbi−室外膨張弁出口温度Tvo≦γ」に置き換えられたフローチャートである。なお、γは、予め設定された所定範囲の上限値である。
【0113】
低負荷除湿運転における室外膨張弁28の開度制御のフィードバック要素を「バイパス管入口温度Tbi」と「室外膨張弁出口温度Tvo」との差とすることによって、冷媒の過熱状態を正確に把握して、室外膨張弁の開度を調整することができる。
【0114】
(6)第1実施形態の特徴
(6−1)
空気調和機1では、顕熱負荷が小さいときは低負荷除湿運転(バイパス利用運転モード)を実行して、第1熱交換部41で蒸発した冷媒をガス連絡配管12に流すようにすれば、蒸発した冷媒と空気との熱交換が防止されるので、吹出空気の温度を必要以上に低下させることが回避される。
【0115】
(6−2)
空気調和機1では、顕熱が大きいときには通常冷房運転(バイパス非利用運転モード)で第2熱交換部42の50%以上の流路で蒸発を行わせる運転を行うことによって、快適性を確保することができる。
【0116】
また、顕熱がそれほど高くはないが、低負荷除湿運転(バイパス利用運転モード)を実行するほど顕熱が小さくない場合には、中負荷除湿運転(バイパス非利用運転モード)で第2熱交換部の50%以上の流路に蒸発済みの過熱蒸気を流す運転を行うことによって、快適性を維持する。
【0117】
(6−3)
空気調和機1では、運転モードを低負荷除湿運転(バイパス利用運転モード)へ切り換えるか否かの判断を、空調対象空間である室内の設定温度Tsと現実の室内温度Trとの差に基いて行うようにしたので、既存の室内温度センサ61を利用することができ、合理的である。
【0118】
(6−4)
空気調和機1では、低負荷除湿運転(バイパス利用運転モード)への切換制御におけるフィードバック要素を、室外膨張弁28の出口の冷媒温度とすることによって、例えば熱交換部の冷媒温度をフィードバック要素とするよりも応答が早く、負荷変化への適応性が高い。
【0119】
(6−5)
空気調和機1では、低負荷除湿運転(バイパス利用運転モード)のへ切換制御におけるフィードバック要素を、「室外膨張弁28の出口の冷媒温度」と「バイパス管44の入口の冷媒温度」との差とすることによって、例えば熱交換部の冷媒温度などをフィードバック要素とするよりも応答が早く、負荷変化への適応性が高い。また、冷媒の過熱状態を正確に把握して、室外膨張弁28の開度を調整することができる。
【0120】
(6−6)
空気調和機1では、低負荷除湿運転(バイパス利用運転モード)では、当然のことながら第2熱交換部42への冷媒流入の全てを防止するのが理想的であるが、その手段として、第1開閉弁45と同じ機構の第2開閉弁47を第2熱交換部42の冷媒入口側に配置して冷媒流入の全てを阻止する方法を選択することができる。
【0121】
(6−7)
空気調和機1では、暖房運転時に不使用の第1開閉弁45が、逆圧により万が一開閉してしまうことがないよう、逆止弁48を設けてそのような事態を未然に防止する。
【0122】
(6−8)
空気調和機1では、伝熱管が風上側と風下側で複数列設けられることによって、風上側の伝熱管の列で空気から顕熱を奪って通過後の相対湿度を上昇させ、これによって風下側の伝熱管の列で空気から潜熱を効率良く奪うことができるので、伝熱管が一列に配置されたタイプと比べて低顕熱で潜顕比を高めることができる。
【0123】
<第2実施形態>
第1実施形態における
図5のフローチャートによれば、室外膨張弁28の冷媒の出口温度である室外膨張弁出口温度Tvoが所定温度範囲(Ta≦Tvo≦Tb)となるように室外膨張弁28の開度調整をしている。
【0124】
しかし、現実には、室外膨張弁出口温度Tvoが所定温度範囲に収束した場合でも、湿度が高い場合には室外膨張弁28の開度をさらに絞る必要があるので、その制御をすることができる第2実施形態について説明する。
【0125】
なお、第2実施形態は、第1実施形態と低負荷除湿運転への切換制御の方法が異なるだけであり、ハード面は同等であるので、ここでは低負荷除湿運転への切換制御についてのみ説明する。
【0126】
(1)低負荷除湿運転への切換制御
図8A及び
図8Bは、本発明の第2実施形態における低負荷除湿運転への切換制御を示すフローチャートである。
図8A及び
図8Bにおいて、低負荷除湿運転への切換制御を示すフローチャートはステップS11〜ステップS24で構成されているが、紙面の都合上、
図8AにはステップS11〜ステップS16までが記載され、
図8BにはステップS17〜ステップS24までが記載されている。
【0127】
(ステップS11)
先ず室内側制御部53は、ステップS11において、冷房運転指令の有無を判定し、冷房運転指令があったときはステップS12へ進み、冷房運転指令がないとき冷房運転指令の有無の判定を継続する。
【0128】
(ステップS12)
次に室内側制御部53は、ステップS12において、通常冷房運転を開始する。
【0129】
(ステップS13)
次に室内側制御部53は、ステップS13において、空調対象空間である室内の設定温度Tsと室内温度Trとの差が所定値α以下か否かを判定し、Ts−Tr≦αのときはステップS4へ進み、Ts−Tr≦αでないときはステップS12へ戻る。
【0130】
(ステップS14)
室内側制御部53は、ステップS14において、タイマーをセットして経過時間tの計時を開始する。すなわち、ステップS13で「Ts−Tr≦α」と判定して以降の時間を計測していく。
【0131】
(ステップS15)
次に室内側制御部53は、ステップS15において、圧縮機21を低速に設定する要求指令を室外側制御部33に送信し、室外側制御部33が圧縮機21を低速に設定する。
【0132】
(ステップS16)
次に室内側制御部53は、ステップS16において、第1開閉弁45を開状態に設定し、且つ、第2開閉弁47を閉状態に設定する。この段階で、第1熱交換部41を出た冷媒は、全てバイパス管44に流れ、ガス連絡配管12へ流れるようになる。
【0133】
(ステップS17)
次に室内側制御部53は、
図8Bに示すように、ステップS17において、室外膨張弁28の開度を絞るための要求指令を室外側制御部33に送信し、室外側制御部33が室外膨張弁28の開度を絞る。
【0134】
(ステップS18)
次に室内側制御部53は、ステップS18において、室外膨張弁28の冷媒の出口温度である室外膨張弁出口温度Tvoが所定温度範囲の下限値Ta以上、上限値Tb以下であるか否かを判定し、Ta≦Tvo≦TbであるときはステップS19へ進み、Ta≦Tvo≦TbでないときはステップS17へ戻る。
【0135】
(ステップS19)
次に室内側制御部53は、ステップS19において、経過時間tが所定時間taに到達した否かを判定し、経過時間tが所定時間taに到達しているときはステップS20に進み、経過時間tが未だ所定時間taに到達していないときはステップS18に戻る。
【0136】
(ステップS20)
次に室内側制御部53は、ステップS20において、室内ファン51のモータ51bへの印加電圧Vmが所定電圧Va未満になっているか否かを判定し、Vm<VaのときはステップS21に進み、Vm<VaでないときはステップS18に戻る。
【0137】
(ステップS21)
次に室内側制御部53は、ステップS21において、室外膨張弁28の開度を絞るための要求指令を室外側制御部33に送信し、室外側制御部33が室外膨張弁28の開度を絞る。
【0138】
(ステップS22)
次に室内側制御部53は、ステップS22において、室外膨張弁28の冷媒の出口温度である室外膨張弁出口温度Tvoが所定温度範囲の下限値Ta未満になっているか否かを判定し、Tvo<TaであるときはステップS23へ進み、Tvo<TaでないときはステップS21へ戻る。
【0139】
(ステップS23)
次に室内側制御部53は、ステップS23において、空調対象空間である室内の設定温度Tsと室内温度Trとの差が所定値α以下か否かを判定し、Ts−Tr≦αのときはステップS24へ進み、Ts−Tr≦αでないときは、ステップS12(
図8A)に戻り、通常冷房運転に切り換える。
【0140】
(ステップS24)
そして、室内側制御部53は、ステップS24において、運転停止指令の有無を判定し、運転停止指令があれば制御を停止し、運転停止指令がなければステップS22へ戻る。
【0141】
以上のように、ステップS13からステップS18までは、第1熱交換部41で蒸発した冷媒をバイパス管44へ流して第2熱交換部42へ流さない低負荷除湿運転を行うが、低負荷除湿運転に切り替えてから所定時間が経過して、室内ファン51のモータ51bへの印加電圧Vmが所定電圧Va未満の場合は、空調対象空間の湿度が高いと推定して、さらに室外膨張弁出口温度Tvoを下げる運転を行なっている。
【0142】
つまり、湿度センサを用いることなく空調対象空間の湿度が高いと推定することができ、潜熱変化優先の運転を行なうことができる。
【0143】
(2)変形例
(2−1)第1変形例
第1実施形態の第1変形例に倣って、
図8AのステップS13及び
図8BのステップS23の「設定温度Ts−室内温度Tr≦α」が「バイパス管入口温度Tbi−室外膨張弁出口温度Tvo≧β」に置き換えられたフローチャートへ変更することが可能である。
【0144】
これによって、低負荷除湿運転への切換制御におけるフィードバック要素を「バイパス管入口温度Tbi」と「室外膨張弁出口温度Tvo」との差とすることによって、「設定温度Tsと室内温度Trとの差」をフィードバック要素とするよりも応答が早く、負荷変化への適応性が高くなる。
【0145】
(2−2)第2変形例
第1実施形態の第1変形例に倣って、
図8BのステップS17の「Ta≦室外膨張弁出口温度Tvo≦Tb」が「β<バイパス管入口温度Tbi−室外膨張弁出口温度Tvo≦γ」に置き換えられたフローチャートへ変更することが可能である。
【0146】
これによって、低負荷除湿運転における室外膨張弁28の開度制御におけるフィードバック要素を「バイパス管入口温度Tbi」と「室外膨張弁出口温度Tvo」との差とすることによって、冷媒の過熱状態を正確に把握して、室外膨張弁28の開度を調整することができる。
【0147】
(3)第2実施形態の特徴
空気調和機1では、室内ファン51のモータ51bへの印加電圧Vmが所定電圧Vaより低いときは、空調対象空間の湿度が高いと推定することができ、さらに潜熱変化優先の運転を行うことができる。
【0148】
<その他の構成>
(1)
図9は、第1実施形態又は第2実施形態に係る空気調和機1の室内ユニット40の外観斜視図である。
図9においては、室内ユニット40は、吹出口401aを有する本体ケーシング401、吹出口401aから吹き出される空調空気の風向を調整する第1風向調整羽根403を備えている。室内側制御部53は、低負荷除湿運転(バイパス利用運転モード)の実行時に、第1風向調整羽根403を介して空調空気を上吹きにする。
【0149】
これによって、室内ユニットの吹出口から吹き出される空調空気の一部を吸込口にまわすことで、吸込空気の相対湿度を上げて熱交換部で潜熱を奪いやすくすることができる。
【0150】
(2)
空気調和機1は、空調対象空間の湿度を測定する湿度センサ64(
図1参照)を備えている。室内側制御部53は、湿度センサ64の測定値が所定値以上のときは、低負荷除湿運転(バイパス利用運転モード)を実行しない。