(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係るリニアアクチュエータ1を示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
図2は、リニアアクチュエータ1の断面図であって、(a)は
図1のIIa−IIa断面、(b)は
図1のIIb−IIb断面である。
【0012】
リニアアクチュエータ1の長手方向をX方向、幅方向(左右方向)をY方向、上下方向をZ方向とする。
X方向のうち、軸端カバー40側を+X方向、回転モータ61側を−X方向とする。
Y方向のうち、リニアアクチュエータ1を軸端カバー40側から見て右方側を+Y方向、左方側を−Y方向とする。
Z方向のうち、上方側を+Z方向、下方側を−Z方向とする。
【0013】
リニアアクチュエータ1は、ボールねじ(ねじ軸部10)を電動モータ(回転モータ61)で回転させることにより、移動テーブル25をベース20に対して直線移動させる電動アクチュエータである。
リニアアクチュエータ1は、ねじ軸部10、ベース20、移動テーブル25、第一軸支部30、第二軸支部50及び回転駆動部60等を備える。
ねじ軸部10のねじ軸11と第一軸支部30とから構成される装置をねじ軸支持装置(回転軸支持装置)2と呼ぶ。
【0014】
図3は、ねじ軸部10を示す図である。
ねじ軸部10は、いわゆるボールねじであって、ねじ軸11、シャフトホルダ12、ナット部13及び複数のボール18を備える。
【0015】
ねじ軸(回転軸)11は、X方向に延びる円柱形の部材である。ねじ軸11の外周面には、一条のねじ溝が螺旋状に形成される。ねじ軸11は、X方向の全長に亘ってねじ溝が形成される。ねじ軸11の+X方向の第一端部(端部)11A及び−X方向の第二端部11Bにもねじ溝が形成される。
ねじ溝は、後述するボール18が転走する転動体転走面となる。
【0016】
ねじ軸11の外径は、中間ばめに用いられる嵌め合い交差(JIS B 0401, ISO 286-1)を有するように形成される。例えば、ねじ軸11の外径の嵌め合い交差は、h6〜h7である。
【0017】
シャフトホルダ12は、ねじ軸11の第二端部11Bに固定される円柱形の部材である。
シャフトホルダ12は、軸受嵌合部12A、カップリング連結部12B及びフランジ12Cが一体的に形成された部材である。
軸受嵌合部12Aは、後述するアンギュラベアリング55とベアリングナット57が嵌め合わされる。軸受嵌合部12Aの外径は、ねじ軸11の外径よりも大きく形成される。
軸受嵌合部12Aの外周面のうち、+X方向側には、アンギュラベアリング55の内輪が嵌合する。軸受嵌合部12Aの外周面のうち、−X方向側には、ねじが形成される。このねじには、ベアリングナット57が螺合する。
カップリング連結部12Bは、軸受嵌合部12Aの−X方向に配置される。軸受嵌合部12Aの外径は、軸受嵌合部12Aの外径よりも小さく形成される。軸受嵌合部12Aの外周面には、後述するカップリング62が嵌め合わされて固定される。
フランジ12Cは、軸受嵌合部12Aの+X方向に配置される。フランジ12Cは、軸受嵌合部12Aに嵌合したアンギュラベアリング55の内輪の側面に当接する。フランジ12Cとベアリングナット57により、所定の圧力(与圧)でアンギュラベアリング55の内輪が挟持される。
【0018】
シャフトホルダ12の中心には、+X方向の端面から−X方向に延びるねじ軸収容穴12Dが形成される。ねじ軸収容穴12Dの内周面には、内ねじが形成される。この内ねじに対して、ねじ軸11のねじ溝が螺合する。
【0019】
ナット部13は、ねじ軸11に対して螺合する部材である。ナット部13は、ナット14、エンドキャップ15、カラー16、潤滑部材17及びボール18等を備える。
【0020】
ナット14は、ねじ軸11に直接螺合する円筒形の部材である。ナット14の内周面には、ねじ溝(不図示)が形成される。ナット14のねじ溝(負荷転動体転走路)は、ねじ軸11のねじ溝に対応して形成される。ナット14の内部には、転動体戻り通路(不図示)が形成される。
ねじ軸11のねじ溝とナット14のねじ溝とにより形成される空間(転動体転走路、不図示)には、複数のボール18が配置される。
【0021】
エンドキャップ15及びカラー16は、ナット14のX方向の端面に装着される。
エンドキャップ15及びカラー16の内部には、転動体転走路と転動体戻り通路に連通する転動体方向転換路19(
図2(b)参照)がそれぞれ形成される。
【0022】
ねじ軸11とナット14により形成される転動体転走路、ナット14の内部の転動体戻り通路、及びエンドキャップ15とカラー16の転動体方向転換路により、一つの無端状の無限循環路19が形成される。複数のボール18は、この無限循環路19にほぼ隙間なく配置される。
【0023】
潤滑部材17は、カラー16の−X方向の端面に装着される。潤滑部材17は、無限循環路を転走する複数のボール18に対して潤滑油を供給する。
【0024】
図2に示すように、ベース20は、X方向に延びる平板形の部材であって、X方向の長さがねじ軸11とほぼ同一に形成される。ベース20の上面20a及び下面20bは、平坦に形成される。ベース20のY方向における一対の側面には、X方向に延びる軌道溝20vがそれぞれ形成される。
ベース20の上面20aうち、X方向の両端には、ねじ軸11を支持する第一軸支部30と第二軸支部50が固定される。
ベース20の下面20bには、リニアアクチュエータ1を床面等に取り付けるために用いる複数のタップ穴20pが設けられる。
【0025】
ベース20、第一軸支部30及び第二軸支部50には、二つの側部カバー22と上部カバー23が装着される。側部カバー22と上部カバー23は、X方向に延びる部材であって、ねじ軸部10やベース20等を遮蔽する。
側部カバー22は、細長い略平板形の部材であって、アルミニウムを押出成形して形成される。側部カバー22は、その端部が、第一軸支部30と第二軸支部50のY方向の側面にそれぞれ固定される。
上部カバー23は、細長い薄平板形の部材であって、ステンレス鋼により形成される。上部カバー23は、その端部が、第一軸支部30と第二軸支部50の+Z方向の側面(上面)にそれぞれ固定される。
【0026】
移動テーブル25は、ベース20の上面20aうち、X方向の両端を除く領域(第一軸支部30と第二軸支部50の間)に配置される。
移動テーブル25は、スライダ26とテーブル27等を備える。
【0027】
スライダ26は、ベース20に跨る鞍形状に形成される。スライダ26の一対の内面には、ベース20の軌道溝20vに嵌まり込む突部26vがそれぞれ形成される。ベース20の軌道溝20vにスライダ26の突部26vが嵌まり込むことにより、ベース20に沿ってスライダ26が摺動可能となる。
【0028】
テーブル27は、ベース20の上面に配置されると共にナット14を収容保持する。
テーブル27は、ナット14の外周面に嵌合してナット14を収容するナット収容孔27hを有する。
テーブル27の上面の一部は、平坦に形成されて、他の部材を取り付けるために用いる複数のタップ穴27pが設けられる。
【0029】
テーブル27の上方には、テーブルカバー28が装着される。
テーブルカバー28は、テーブル27の上面に配置されて、テーブル27の上面に摺接する上部カバー23を遮蔽する。
【0030】
図4は、第一軸支部30の分解斜視図である。
図5は、第一支持部材31を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は側面図、(e)はVe-Ve 断面図である。
図6は、軸端カバー40を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は側面図、(e)は裏面図である。
【0031】
第一軸支部30は、ねじ軸11の第一端部11Aを回転可能に支持する。第一軸支部30は、ねじ軸11のX方向の僅かな移動(熱伸縮)を許容しつつ支持する。
第一軸支部30は、第一支持部材31、ラジアルベアリング35及び軸端カバー40等を備える。
【0032】
第一支持部材(支持部材)31は、ベース20の上面20aうち、+X方向の端部に固定される。第一支持部材31は、冷間圧延鋼板(SPCC:JIS G 3141)等により形成される。
第一支持部材31は、主面31a、上面31b、底面31c及び一対の側面31d等を有し、−X方向が開口する略箱形に形成される。
【0033】
主面31aは、X方向に垂直(YZ平面に平行)な略正方形の面であり、第一収容孔32と二つの位置決め穴33が形成される。
第一収容孔(軸受収容孔)32は、ラジアルベアリング35を保持する部位であり、ラジアルベアリング35の外径とほぼ同一寸法の内径に形成される。第一収容孔32の中心は、ねじ軸11の中心軸(回転軸)に一致する。
二つの位置決め穴33は、第一収容孔32の下方(−Z方向)に配置される。二つの位置決め穴33の内径は、第一収容孔32の内径よりも小さく形成される。
【0034】
上面31bは、Z方向に垂直な矩形の面であって、主面31aの上縁(+Z方向)に配置される。上面31bには、上部カバー23が取り付けられる。
底面31cは、Z方向に垂直な矩形の面であって、主面31aの下縁(−Z方向)に配置される。底面31cは、ベース20の上面20aに密着する。
【0035】
一対の側面31dは、Y方向に垂直な矩形の面であって、主面31aの左縁(−Y方向)及び右縁(+Y方向)に配置される。一対の側面31dには、スナップフィット被係合部34がそれぞれ形成される。
【0036】
スナップフィット被係合部34は、側面31dの一部を外側(Y方向)にプレス加工して形成された爪形の部位である。例えば、右側の側面31dにおいて、スナップフィット被係合部34は、側面31dから+Y方向に突出するように形成される。
スナップフィット被係合部34は、側面図において、X方向に延びる矩形に形成される。スナップフィット被係合部34の+X方向には、+X方向及び外側(Y方向)を向く斜面34aが形成される。例えば、右側の側面31dにおいて、斜面34aは、+X方向及び+Y方向を向く。
スナップフィット被係合部34の−X方向には、−X方向を向く被係合面34bが形成される。被係合面34bは、X方向に対してほぼ垂直に形成される。
【0037】
ラジアルベアリング(軸受)35は、ねじ軸11の第一端部11Aを直接支持する。ラジアルベアリング35の内輪がねじ軸11の第一端部11Aの外周面(ねじ山)に直接嵌合する。
ラジアルベアリング35は、外輪にフランジ35fを有する。ラジアルベアリング35の外輪は、第一支持部材31の第一収容孔32に嵌合する。フランジ35fが第一支持部材31の主面31aに当接するので、ラジアルベアリング35の−X方向の移動が抑止される。
なお、ラジアルベアリング35の厚みは、第一収容孔32のX方向の長さ(厚み)よりも大きい(厚い)。
【0038】
軸端カバー40は、−X方向が開口する略箱形の部材であって、合成樹脂により形成される。軸端カバー40は、第一支持部材31の+X方向に配置されて、第一支持部材31に露出するラジアルベアリング35の側面を遮蔽する(覆う)。軸端カバー40は、リニアアクチュエータ1及びねじ軸支持装置2の意匠性を高める装飾用カバーである。
軸端カバー40は、本体40A、一対の側壁40B等を有する。
本体40Aは、略正方形に形成され、その裏面40gに軸受当接部42と二つの位置決めボス43が形成される。
一対の側壁40Bは、略矩形に形成され、スナップフィット係合部44がそれぞれ形成される。
【0039】
軸受当接部42は、ラジアルベアリング35の外輪(フランジ35fを含む)の側面に当接可能な円環形の部位である。ラジアルベアリング35の外輪が軸受当接部42に当接することにより、ラジアルベアリング35の+X方向への移動が抑制される。
位置決めボス43は、軸受当接部42の下方に配置された略円筒形の突部である。この位置決めボス43は、第一支持部材31の位置決め穴33に嵌合する。位置決めボス43にはスリットが設けられて、位置決め穴33に嵌合しやすくするなっている。
【0040】
スナップフィット係合部44は、側壁40Bから−X方向に延びる矩形環形の部位である。
スナップフィット係合部44は、一対の可撓部44aと係合部44bとからなる。
一対の可撓部44aは、X方向に延びて、Y方向に撓むことができる。
係合部44bは、Z方向に延びて一対の可撓部44aの先端同士を連結する。係合部44bには、+X方向を向く係合面44cが形成される。係合面44cは、X方向にほぼ垂直に形成される。この係合面44cには、スナップフィット被係合部34の被係合面34bが密着する。
【0041】
図2(a)に示すように、第二軸支部50は、ねじ軸11の第二端部11Bを回転可能に支持する。第二軸支部50は、ねじ軸11のX方向の移動を抑止しつつ支持する。
第二軸支部50は、第二支持部材51、アンギュラベアリング55等を備える。
第二支持部材51は、ベース20の上面20aうち、−X方向の端部に固定される。第二支持部材51は、アルミニウム等を切削加工して、略四角筒形に形成される。
第二支持部材51には、X方向に貫通する第二収容孔52が設けられる。第二収容孔52の−X方向には、アンギュラベアリング55の外輪の側面に当接する段差面が形成される。
【0042】
アンギュラベアリング55は、ねじ軸11の第二端部11Bをシャフトホルダ12を介して支持する。アンギュラベアリング55の内輪がシャフトホルダ12に嵌合する。
アンギュラベアリング55の外輪は、第二支持部材51の第二収容孔52に嵌合する。アンギュラベアリング55の外輪は、第二収容孔52の段差面に当接して、+X方向の移動が抑止される。
【0043】
回転駆動部60は、回転モータ61、カップリング62、アダプタ63及びモータカバー64等を備える。
回転モータ61は、カップリング62を介してシャフトホルダ12のカップリング連結部12Bに連結される。回転モータ61の回転は、カップリング62、シャフトホルダ12を介して、ねじ軸11に伝達される。
【0044】
アダプタ63は、第二支持部材51と回転モータ61の間に配置される円筒形の部材である。
アダプタ63の+X方向の端面は、第二支持部材51に連結されつつ、アンギュラベアリング55の外輪の側面に当接する。アダプタ63と第二支持部材51により、アンギュラベアリング55の外輪が挟持される。
アダプタ63の−X方向の端面は、回転モータ61に連結される。アダプタ63の内部にカップリング62が配置される。
【0045】
モータカバー64は、ベース20と第二軸支部50の−X方向の側面に装着される。
モータカバー64は、+X方向に開口を有し、−X方向に底部を有する細長い略四角筒形に形成される。モータカバー64は、その内部に、回転モータ61、カップリング62及びアダプタ63を収容して、遮蔽する。
【0046】
図7は、第一軸支部30の組み立て手順等を説明する図であって、(a)は正面側から見た斜視図、(b)は側面図である。
第一軸支部30の組み立て手順について説明する。
第一軸支部30の組み立てに先立って、ねじ軸部10と第二軸支部50を組み立てておく。つまり、ベース20に対してねじ軸11を固定しておく。
【0047】
まず、ベース20の+X方向の端部に、第一支持部材31を仮固定する。これにより、第一支持部材31の第一収容孔32にねじ軸11の第一端部11Aが挿通される。
次に、ねじ軸11の第一端部11Aに対してラジアルベアリング35を嵌合する。さらに、ラジアルベアリング35を第一収容孔32に嵌合する。そして、ベース20に対して第一支持部材31を本固定する。
【0048】
最後に、第一支持部材31に対して軸端カバー40を装着する。
具体的には、第一支持部材31の+X方向に軸端カバー40を配置して、第一支持部材31の主面31aと軸端カバー40の裏面40gを対向させる。
そして、軸端カバー40を第一支持部材31に近づけて、軸端カバー40のスナップフィット係合部44を第一支持部材31のスナップフィット被係合部34に当接させる。
さらに軸端カバー40を第一支持部材31に近づけると、スナップフィット係合部44の係合部44bがスナップフィット被係合部34の斜面34aに乗り上げてY方向に撓む。
【0049】
軸端カバー40を第一支持部材31に密着させると、係合部44bが斜面34aに乗り超える。これにより、スナップフィット係合部44のY方向の撓みが元に戻る。そして、スナップフィット係合部44の係合面44cとスナップフィット被係合部34の被係合面34bが密着する。
係合面44cが+X方向を向き、被係合面34bが−X方向を向くので、スナップフィット係合部44は、スナップフィット被係合部34に対して+X方向に移動できなくなる。また、スナップフィット係合部44が再びY方向に撓むこともできなくなる。
このようにして、スナップフィット係合部44とスナップフィット被係合部34が連結される。したがって、第一支持部材31に対して軸端カバー40が+X方向に移動できなくなる。
【0050】
また、第一支持部材31に対して軸端カバー40を装着すると、第一支持部材31の二つの位置決め穴33に対して軸端カバー40の二つの位置決めボス43が嵌合する。
二つの位置決めボス43が二つの位置決め穴33に嵌合することにより、軸端カバー40は、第一支持部材31に対してX方向回りに回転(揺動)できなくなる。
【0051】
さらに、第一支持部材31に対して軸端カバー40を装着すると、ラジアルベアリング35の外輪(フランジ35f)に対して、軸端カバー40の軸受当接部42が密着又は僅かな隙間を隔てて対向する。
軸受当接部42がラジアルベアリング35の外輪に当接等することにより、ラジアルベアリング35は+X方向に移動できなくなる。
ラジアルベアリング35と軸受当接部42の間に僅かな隙間を設けることにより、ねじ軸11の熱伸縮に伴うラジアルベアリング35の僅かな移動は許容している。
【0052】
上述したように、ラジアルベアリング35のフランジ35fが第一支持部材31の主面31aに当接するので、ラジアルベアリング35は−X方向に移動できない。
このため、軸端カバー40の軸受当接部42によりラジアルベアリング35の+X方向の移動を抑止することにより、ラジアルベアリング35を第一支持部材31で保持することができる。主面31a(第一収容孔32)の厚みがラジアルベアリング35の厚みよりも薄くても、ラジアルベアリング35が第一収容孔32から抜け落ちずに、第一支持部材31に保持される。
【0053】
このように、ねじ軸支持装置2は、第一支持部材31に対して軸端カバー40を工具等を用いることなく装着することができる。そして、軸端カバー40によりラジアルベアリング35の+X方向の移動を抑止できる。このため、第一軸支部30の構造の簡素化及び組立の簡易化が図られる。
ラジアルベアリング35は、ねじ軸11に対して止め輪等を用いることなく取り付けられる。さらに、ねじ軸11の外径(ねじ山)が高い加工精度(嵌め合い交差)を有するように形成される。このため、ラジアルベアリング35がねじ軸11の外周面(ねじ山)に直接嵌合する。したがって、ねじ軸11の第一端部11Aの加工(加工工数)の低減が図られる。
よって、リニアアクチュエータ1は、ねじ軸支持装置2の構造の簡素化等により、低価格化を図ることができる。
【0054】
本発明の第二実施形態について図面を参照して説明する。
第一実施形態と同一の部材には、同一の符号を付して、その説明を省略等する。
図8は、本発明の第二実施形態に係るリニアアクチュエータ101の断面図であって、
図1のIIa−IIa断面に相当する断面、
【0055】
リニアアクチュエータ101の外形は、リニアアクチュエータ1とほぼ同一である(
図1参照)。
リニアアクチュエータ101は、ねじ軸支持装置2に代えてねじ軸支持装置102を用いる点で、リニアアクチュエータ1とは異なっている。
ねじ軸支持装置(回転軸支持装置)102は、ねじ軸部110のねじ軸111と第一軸支部130とから構成される。
【0056】
図9は、ねじ軸部110を示す図である。
ねじ軸部110は、ねじ軸111、シャフトホルダ12、ナット部13及び複数のボール18を備える。
【0057】
ねじ軸(回転軸)111は、X方向に延びる円柱形の部材である。ねじ軸111の外周面には、一条のねじ溝が螺旋状に形成される。ねじ軸111は、X方向のほぼ全長に亘ってねじ溝が形成される。ねじ軸11の−X方向の第二端部111Bにもねじ溝が形成される。
一方、ねじ軸11の+X方向の第一端部(端部)111Aは、円柱形に切削加工される。第一端部111Aは、ラジアルベアリング135の内輪に嵌合する。
【0058】
図10は、第一軸支部130の分解斜視図であって、(a)は正面側から見た斜視図、(b)は裏面側から見た斜視図である。
図11は、第一支持部材131を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は側面図、(e)はXIe-XIe断面図である。
図12は、軸端カバー140を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は側面図、(e)は裏面図である。
【0059】
第一軸支部130は、ねじ軸111の第一端部111Aを回転可能に支持する。第一軸支部130は、ねじ軸111のX方向の僅かな移動(熱伸縮)を許容しつつ支持する。
第一軸支部130は、第一支持部材131、ラジアルベアリング135及び軸端カバー140等を備える。
【0060】
第一支持部材(支持部材)131は、ベース20の上面20aうち、+X方向の端部に固定される。第一支持部材131は、アルミニウム又は鉄鋼等を切削加工して形成される。
第一支持部材131は、主面131a、上面131b、底面131c及び一対の側面131d等を有するブロックに形成される。
【0061】
主面131aは、第一支持部材31の主面31aに相当する。主面131aには、第一収容孔132と二つの位置決め穴133が形成される。
第一収容孔(軸受収容孔)132は、ラジアルベアリング135を保持する部位であり、ラジアルベアリング135の外径とほぼ同一寸法の内径に形成される。第一収容孔132の中心は、ねじ軸111の中心軸(回転軸)に一致する。
第一収容孔132の−X方向には、ラジアルベアリング135の内輪の側面に当接する段差面132Vが設けられる。
二つの位置決め穴133は、第一収容孔132の下方(−Z方向)に配置される。二つの位置決め穴133の内径は、第一収容孔132の内径よりも小さく形成される。
【0062】
上面131bは、第一支持部材31の上面31bに相当する。
底面131cは、第一支持部材31の底面131cに相当する。
【0063】
一対の側面131dは、第一支持部材31の側面31dに相当する。
一対の側面131dには、スナップフィット被係合部34がそれぞれ形成される。
【0064】
ラジアルベアリング(軸受)135は、ねじ軸111の第一端部111Aに嵌合してねじ軸111を直接支持する。
ラジアルベアリング135は、外輪にフランジを有しない。ラジアルベアリング135の外輪は、第一支持部材131の第一収容孔132に嵌合する。ラジアルベアリング135の外輪が第一収容孔132の段差面132Vに当接するので、ラジアルベアリング135の−X方向の移動が抑止される。
【0065】
軸端カバー140は、軸端カバー40とほぼ同一形状に形成される。軸端カバー140は、第一支持部材131の+X方向に配置されて、第一支持部材131に露出するラジアルベアリング135の側面を遮蔽する(覆う)。軸端カバー140は、リニアアクチュエータ101及びねじ軸支持装置102の意匠性を高める装飾用カバーである。
軸端カバー140の裏面40gには、軸受当接部142と二つの位置決めボス43が形成される。軸端カバー140の一対の側壁40Bには、スナップフィット係合部44がそれぞれ形成される。
【0066】
軸受当接部142は、ラジアルベアリング135の外輪の側面に当接可能な円環形の部位である。ラジアルベアリング135の外輪が軸受当接部142に当接することにより、ラジアルベアリング135の+X方向への移動が抑制される。
【0067】
図13は、第一軸支部130の組み立て手順等を説明する図であって、(a)は正面側から見た斜視図、(b)は側面図である。
第一軸支部130の組み立て手順は、第一軸支部30の組み立て手順とほぼ同一である。
【0068】
まず、ベース20の+X方向の端部に、第一支持部材131を仮固定する。これにより、第一支持部材131の第一収容孔132にねじ軸111の第一端部111Aが挿通される。
次に、ねじ軸111の第一端部111Aに対してラジアルベアリング135を嵌合する。同時に、ラジアルベアリング135を第一収容孔132に嵌合する。そして、ベース20に対して第一支持部材131を本固定する。
【0069】
最後に、第一支持部材131に対して軸端カバー140を装着する。
具体的には、第一支持部材131の+X方向に軸端カバー140を配置して、第一支持部材131の主面131aと軸端カバー140の裏面140gを対向させる。
そして、軸端カバー140を第一支持部材131に近づけて、軸端カバー140のスナップフィット係合部44を第一支持部材131のスナップフィット被係合部34に当接させる。
さらに軸端カバー140を第一支持部材131に近づけると、スナップフィット係合部44の係合部44bがスナップフィット被係合部34の斜面34aに乗り上げてY方向に撓む。
【0070】
軸端カバー140を第一支持部材131に密着させると、係合部44bが斜面34aに乗り超える。これにより、スナップフィット係合部44のY方向の撓みが元に戻る。そして、スナップフィット係合部44の係合面44cとスナップフィット被係合部34の被係合面34bが密着する。
係合面44cが+X方向を向き、被係合面34bが−X方向を向くので、スナップフィット係合部44は、スナップフィット被係合部34に対して+X方向に移動できなくなる。また、スナップフィット係合部44が再びY方向に撓むこともできなくなる。
このようにして、スナップフィット係合部44とスナップフィット被係合部34が連結される。したがって、第一支持部材131に対して軸端カバー140が+X方向に移動できなくなる。
【0071】
また、第一支持部材131に対して軸端カバー140を装着すると、第一支持部材131の二つの位置決め穴33に対して軸端カバー140の二つの位置決めボス43が嵌合する。
二つの位置決めボス43が二つの位置決め穴33に嵌合することにより、軸端カバー140は、第一支持部材131に対してX方向回りに回転(揺動)できなくなる。
【0072】
さらに、第一支持部材131に対して軸端カバー140を装着すると、ラジアルベアリング135の外輪に対して、軸端カバー140の軸受当接部142が密着又は僅かな隙間を隔てて対向する。
軸受当接部142がラジアルベアリング135の外輪に当接等することにより、ラジアルベアリング135は+X方向に移動できなくなる。
【0073】
上述したように、ラジアルベアリング135の外輪が第一支持部材131の第一収容孔132の段差面132Vに当接するので、ラジアルベアリング135は−X方向に移動できない。
このため、軸端カバー140の軸受当接部142によりラジアルベアリング135の+X方向の移動を抑止することにより、ラジアルベアリング135を第一支持部材131で保持することができる。
【0074】
このように、ねじ軸支持装置102は、第一支持部材131に対して軸端カバー140を工具等を用いることなく装着することができる。そして、軸端カバー140によりラジアルベアリング135の+X方向の移動を抑止できる。このため、第一軸支部130の構造の簡素化及び組立の簡易化が図られる。
ラジアルベアリング135は、ねじ軸111に対して止め輪等を用いることなく取り付けられる。このため、ねじ軸111の第一端部111Aの加工(加工工数)の低減が図られる。
よって、リニアアクチュエータ101は、ねじ軸支持装置102の構造の簡素化等により、低価格化を図ることができる。
【0075】
上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0076】
ねじ軸支持装置2,102は、ねじ軸11,111を支持する場合について説明したが、これに限らない。回転軸を支持する装置であればよい。
【0077】
ねじ軸部10,110がボールねじの場合について説明したが、これに限らない。ねじ軸11,111とナット14が、複数のボール18を介さずに、滑り接触する場合であってもよい。
【0078】
ベース20とスライダ26が滑り接触して摺動する場合に限らない。ベース20とスライダ26の間に複数のボール等を介在させた案内機構を用いてもよい。