特許第6332592号(P6332592)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イファ ダイヤモンド インダストリアル カンパニー,リミテッドの特許一覧

特許6332592コンディショナー兼ウェハーリテーナリングおよびその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6332592
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】コンディショナー兼ウェハーリテーナリングおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20180521BHJP
   B24B 37/32 20120101ALI20180521BHJP
   B24B 53/017 20120101ALI20180521BHJP
   B24B 53/12 20060101ALI20180521BHJP
   B24B 53/00 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   H01L21/304 622G
   H01L21/304 622M
   B24B37/32 Z
   B24B53/017 Z
   B24B53/12 Z
   B24B53/00 Z
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-246089(P2013-246089)
(22)【出願日】2013年11月28日
(65)【公開番号】特開2014-110428(P2014-110428A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2016年11月17日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0137490
(32)【優先日】2012年11月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513289019
【氏名又は名称】イファ ダイヤモンド インダストリアル カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】リ,セ クァン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジュ ハン
(72)【発明者】
【氏名】パク,クァン リ
【審査官】 山口 祐一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−094959(JP,A)
【文献】 特表2010−533604(JP,A)
【文献】 特開平10−034530(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/122186(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0250826(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0090066(US,A1)
【文献】 特開2009−224680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 3/00−3/60
21/00−39/06
53/00−57/04
H01L 21/304
21/463
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CMP工程の際にウェハーが研磨中に離脱することを防止するウェハーリテーナリングであって、
前記ウェハーリテーナリングは、その表面に隔設された多数の突出部からなる切削チップ部を一定の間隔で多数含んでいる構造を有し、コンディショナーとして作用することができ
前記ウェハーリテーナリングの表面に形成された多数の切削チップ部間の一定の間隔が、前記ウェハーリテーナリングの外周面から内周面へ貫通するように所定の幅と深さを有する溝からなり、
前記切削チップ部は、前記リテーナリングの内周面側の一定幅の壁より外側に複数の突出部が設けられることを特徴とする、コンディショナー兼ウェハーリテーナリング。
【請求項2】
前記溝の外周面側の幅が内周面側の幅より広く形成されることを特徴とする、請求項に記載のコンディショナー兼ウェハーリテーナリング。
【請求項3】
前記ウェハーリテーナリングが強化高分子複合素材、超硬合金系素材、セラミック系素材のうちいずれか1つで形成されることを特徴とする、請求項1に記載のコンディショナー兼ウェハーリテーナリング。
【請求項4】
前記切削チップ部を構成する多数の突出部の表面にダイヤモンドコート層がさらに形成されることを特徴とする、請求項1に記載のコンディショナー兼ウェハーリテーナリング。
【請求項5】
前記切削チップ部を構成する突出部の側断面形状が多角形であることを特徴とする、請求項1に記載のコンディショナー兼ウェハーリテーナリング。
【請求項6】
前記切削チップ部を構成する突出部の平面形状が多角形、円形、楕円形のうちいずれか1つであることを特徴とする、請求項1に記載のコンディショナー兼ウェハーリテーナリング。
【請求項7】
一定の厚さおよび幅を有するリング状の基板を準備する段階と、
前記リング状の基板の表面に、前記リング状の基板の外周面から内周面へ貫通するように所定の幅と深さを有する溝を一定の間隔で多数形成する溝形成段階と、
前記多数形成された溝と溝との間の表面に多数の突出部を隔設する切削チップ部形成段階とを含んでなり、
前記切削チップ部形成段階は、前記リング状の基板の内周面側の一定幅の壁より外側に複数の突出部が設けられるように行われることを特徴とする、コンディショナー兼ウェハーリテーナリングの製造方法。
【請求項8】
前記溝形成段階は、前記溝の外周面側の幅が前記内周面側の幅より広く形成されるように行われることを特徴とする、請求項に記載のコンディショナー兼ウェハーリテーナリングの製造方法。
【請求項9】
前記切削チップ部形成段階は、前記多数の突出部の側断面形状が多角形の形状を持つように行われることを特徴とする、請求項に記載のコンディショナー兼ウェハーリテーナリングの製造方法。
【請求項10】
前記切削チップ部形成段階は、多数の突出部の平面形状が多角形、円形、楕円形のうちいずれか1つの形状を持つように行われることを特徴とする、請求項に記載のコンディショナー兼ウェハーリテーナリングの製造方法。
【請求項11】
前記切削チップ部を構成する多数の突出部の表面にダイヤモンドコート層を形成するダイヤモンド層形成段階をさらに含むことを特徴とする、請求項に記載のコンディショナー兼ウェハーリテーナリングの製造方法。
【請求項12】
請求項1〜のいずれか1項に記載のコンディショナー兼ウェハーリテーナリング含む、CMP装置。
【請求項13】
前記CMP装置が別途のコンディショニング手段を備えないことを特徴とする、請求項12に記載のCMP装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子製作工程の一部である化学機械研磨(CMP)工程で使用されるウェハーリテーナリングに係り、より具体的には、CMP(chemical mechanical polishing)工程中にウェハーの離脱を防止すると同時にパッドを均一にコンディショニングすることができるように設計された、コンディショナー兼ウェハーリテーナリングをおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CMPは、化学機械研磨加工であって、研磨除去加工と化学液溶解作用を同時に用いて半導体ウェハーの平坦度を得る研磨加工である。
【0003】
CMP加工は、研磨パッドとウェハーを互いに加圧した状態でそれらを相対運動させながら、研磨パッド上に、研磨粒子と化学液とからなる研磨液(スラリー)を供給する過程で行われるが、この際、ポリウレタン素材からなる研磨パッドの表面にある数多くの発泡気孔が新しい研磨液を留めておく役割を果たし、一定の研磨効率およびウェハー全面にわたっての研磨均一性を得ることができる。
【0004】
次に、図1を参照して、従来のCMP装置の研磨ヘッドについて簡略に説明する。
【0005】
図1に示すように、CMP装置の研磨ヘッド10は、CMP工程の際にウェハー24を支持するウェハーホルダー22と、前記ウェハー24が研磨中に離脱することを防止するリテーナリング26、およびこれらの部位を支持し且つ研磨圧力を加えるヘッド本体28を備えてなる。前記研磨ヘッド10は、加圧機能と回転機能が必要なので中心に回転駆動軸30を有し、この軸に沿って荷重を加える方式が一般的である。ここで、前記リテーナリング26は、表面張力または真空によって吸着したウェハー24の離脱を防止するために設置されたものである。また、前記リテーナリング26は研磨の均一性を確保する手段としての機能もする。
【0006】
CMP工程を簡単に説明すると、次のとおりである。前記ウェハーホルダー22に前記ウェハー24がセットされ、前記研磨パッド32上に前記ウェハー24が面接触した状態で前記回転駆動軸30によって前記ウェハーホルダー22が回転する中にスラリー34が前記研磨パッド32上に供給されながら、前記スラリー34が前記リテーナリング26と前記研磨パッド32との隙間を介して前記ウェハー24に供給されてCMPが行われる。
【0007】
前記リテーナリング26は、図2に示すように、その下面に、リングの外周面から内周面へ貫通するように、所定の幅および深さを有する多数の溝36が一定の間隔で貫設されている。これは、ウェハー24の化学機械研磨中に、ウェハーホルダー22にホールドされた前記ウェハー24がスリップ(slip)されることを防止し、前記研磨パッド32と摩擦して前記ウェハー24へのスラリー34の供給を均一にする。そして、前記ウェハー24の均一な研磨が行われるように研磨パッド32の表面をコンディショニングする。
【0008】
ところが、研磨中に圧力と相対速度が付加されるので、加工時間が経つにつれて研磨パッドの表面が不均一に変形し且つ研磨パッド上の気孔が研磨残留物で詰まってしまい、研磨パッドが正常な役割を果たせなくなる。これにより、全加工時間にわたってウェハー全面における広域平坦化およびウェハー間の研磨均一性などを達成することができなくなる。
【0009】
このようなCMP研磨パッドの不均一変形および気孔の詰まりを解決するために、CMPパッドコンディショナーを用いて研磨パッドの表面を微細に研磨することにより、新しい微細気孔が形成されるようにCMPパッドコンディショニング作業を行う。
【0010】
したがって、CMP工程に用いられる代表的な消耗部品として、パッドやスラリー、ウェハーリテーナリング、コンディショナーなどを挙げることができる。これらの中でも、ウェハーリテーナリングは、CMP工程中のウェハーの離脱を防止し且つウェハーの均一性(uniformity)が改善できるようにする役目をする。また、CMPパッドコンディショナーは、パッドに供給されるスラリーの流れ性を良好にし、パッドを少しずつ削って初期と同一の状態に維持させる役目をする。
【0011】
このように、既存のCMP工程では、ウェハーの離脱防止のために、ウェハーリテーナリングが使用されているとともに、初期のパッド状態を保持するために、パッドをコンディショニングするCMPパッドコンディショナーが使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者は、鋭意研究努力した結果、ウェハーリテーナリングとCMPパッドコンディショナーとを組み合わせた構造の部品を開発することにより、本発明を完成した。
【0013】
したがって、本発明の目的は、ウェハーを研磨する直前にウェハー全面のパッドを初期状態にすることができてウェハーの材料除去率を高めることが可能な構造のコンディショナー機能付きウェハーリテーナリングおよびその製造方法を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、耐化学的に不安定なCMPパッドコンディショナーを使用しなくなってウェハーのスクラッチや汚染を減らすことが可能な構造のコンディショナー機能付きウェハーリテーナリングおよびその製造方法を提供することにある。
【0015】
本発明の別の目的は、ウェハーリテーナリングに貫設されている溝の外周面側の幅を十分に広くしてスラリーがウェハーに効率よく供給されるようにすることにより、ウェハーの研磨均一度を向上させ、ウェハーに供給されずに浪費されるスラリーの量を最小化してコスト節減を実現することが可能な構造のコンディショナー機能付きウェハーリテーナリングおよびその製造方法を提供することにある。
【0016】
本発明の別の目的は、CMPパッドコンディショナーを使用しなくなって消耗資材費用を減らすことが可能な構造のコンディショナー機能付きウェハーリテーナリングおよびそれを含むCMP装置を提供することにある。
【0017】
本発明の別の目的は、CMPパッドコンディショナーを駆動させるための装置が不要になるので、CMP装備の空間活用が増えてウェハー研磨装置を追加することができるため、ウェハー研磨の生産性を高めることが可能な構造のコンディショナー機能付きウェハーリテーナリングおよびそれを含むCMP装置を提供することにある。
【0018】
本発明の別の目的は、CMP装備の価格を節減させることができてCMP工程の生産性および費用を大幅低減することが可能なコンディショナー機能付きウェハーリテーナリングおよびそれを含むCMP装置を提供することにある。
【0019】
本発明の目的は上述した目的に制限されず、上述していない他の目的は以降の記載から当業者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために、本発明は、CMP工程の際にウェハーが研磨中に離脱することを防止するウェハーリテーナリングであって、前記ウェハーリテーナリングは、その表面に隔設された多数の突出部からなる切削チップ部を一定の間隔で多数含んでいる構造を有し、コンディショナーとして作用することができることを特徴とする、コンディショナー兼ウェハーリテーナリングを提供する。
【0021】
好適な実施例において、前記リテーナリングの表面に形成された多数の切削チップ部間の一定の間隔は、前記ウェハーリテーナリングの外周面から内周面へ貫通するように所定の幅および深さを有する溝からなる。
【0022】
好適な実施例において、前記溝の外周面側の幅は内周面側の幅より広く形成される。
【0023】
好適な実施例において、前記リテーナリングは、強化高分子複合素材、超硬合金系素材、セラミック系素材のうちいずれか1つで形成される。
【0024】
好適な実施例において、前記切削チップ部を構成する多数の突出部の表面にダイヤモンドコート層がさらに形成される。
【0025】
好適な実施例において、前記切削チップ部を構成する突出部の側断面形状は多角形である。
【0026】
好適な実施例において、前記切削チップ部を構成する突出部の平面形状は多角形、円形、楕円形のうちいずれか1つである。
【0027】
好適な実施例において、前記切削チップ部は、前記リテーナリングの内周面側から一定幅の間隔をおいて多数の突出部が設けられる。
【0028】
また、本発明は、一定の厚さおよび幅を有するリング状の基板を準備する段階と、前記リング状の基板の表面に、前記リング状の基板の外周面から内周面へ貫通するように所定の幅と深さを有する溝を一定の間隔で多数形成する溝形成段階と、前記多数形成された溝と溝との間の表面に多数の突出部を隔設する切削チップ部形成段階とを含んでなる、コンディショナー兼ウェハーリテーナリングの製造方法を提供する。
【0029】
好適な実施例において、前記溝形成段階は、前記溝の外周面側の幅が内周面側の幅より広く形成されるように行われる。
【0030】
好適な実施例において、前記切削チップ部形成段階は前記多数の突出部の側断面形状が多角形の形状を持つように行われる。
【0031】
好適な実施例において、前記切削チップ部形成段階は、多数の突出部の平面形状が多角形、円形、楕円形のうちいずれか1つの形状を持つように行われる。
【0032】
好適な実施例において、前記切削チップ部形成段階は、前記リング状の基板の内周面側から一定幅の間隔をおいて多数の突出部が設けられるように行われる。
【0033】
好適な実施例において、前記切削チップ部を構成する多数の突出部の表面にダイヤモンドコート層を形成するダイヤモンド層形成段階をさらに含む。
【0034】
また、本発明は、上述したいずれか一つのコンディショナー兼ウェハーリテーナリング、または上述したいずれか一つの製造方法で製造されたコンディショナー兼ウェハーリテーナリングを含む、CMP装置を提供する。
【0035】
また、好適な実施例において、前記CMP装置は別途のコンディショニング手段を備えない。
【発明の効果】
【0036】
本発明は、次のような優れた効果を有する。
【0037】
まず、本発明によれば、ウェハーを研磨する直前にウェハー全面のパッドを初期状態にすることができてウェハーの材料除去率を高めることができる。
【0038】
また、本発明によれば、耐化学的に不安定なCMPパッドコンディショナーを使用しなくなってウェハーのスクラッチや汚染を減らすことができる。
また、本発明によれば、ウェハーリテーナリングに貫設されている溝の外周面側幅を十分に広くしてスラリーがウェハーに効率よく供給されるようにすることにより、ウェハーの研磨均一度を向上させ、ウェハーに供給されずに浪費されるスラリーの量を最小化してコスト節減を実現することができる。
【0039】
また、本発明によれば、CMPパッドコンディショナーを使用しなくなって消耗資材費用を減らすことができる。
【0040】
また、本発明によれば、CMPパッドコンディショナーを駆動させるための装置が不要になるので、CMP装備の空間活用が増えてウェハー研磨装置を追加することができるため、ウェハー研磨の生産性を高めることができる。
【0041】
また、本発明によれば、CMP装備の価格を節減させることができてCMP工程の生産性および費用を大幅低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】従来の化学機械研磨装置の研磨ヘッドを示す構成図である。
図2図1のウェハーリテーナリングを拡大して示す平面図である。
図3】本発明の一実施例に係るコンディショナー兼ウェハーリテーナリングの平面図および一部拡大図である。
図4b】本発明の他の実施例に係るリテーナリングの溝の形態を示すコンディショナー兼ウェハーリテーナリングの一部平面図である。
図4a】本発明の他の実施例に係るリテーナリングの溝の形態を示すコンディショナー兼ウェハーリテーナリングの一部平面図である。
図5a】本発明の別の実施例に係るウェハーリテーナリングの表面に形成された切削チップを構成する多様な形状の多数の突出部を示す一部斜視図である。
図5b】本発明の別の実施例に係るウェハーリテーナリングの表面に形成された切削チップを構成する多様な形状の多数の突出部を示す一部斜視図である。
図5c】本発明の別の実施例に係るウェハーリテーナリングの表面に形成された切削チップを構成する多様な形状の多数の突出部を示す一部斜視図である。
図5d】本発明の別の実施例に係るウェハーリテーナリングの表面に形成された切削チップを構成する多様な形状の多数の突出部を示す一部斜視図である。
図6a】本発明の実施例に係るコンディショナー兼リテーナリングと従来の方法によってコンディショニングされた研磨パッドのモルフォロジーを示す写真である。
図6b】本発明の実施例に係るコンディショナー兼リテーナリングと従来の方法によってコンディショニングされた研磨パッドのモルフォロジーを示す写真である。
図6c】本発明の実施例に係るコンディショナー兼リテーナリングと従来の方法によってコンディショニングされた研磨パッドのモルフォロジーを示す写真である。
図6d】本発明の実施例に係るコンディショナー兼リテーナリングと従来の方法によってコンディショニングされた研磨パッドのモルフォロジーを示す写真である。
図6e】本発明の実施例に係るコンディショナー兼リテーナリングと従来の方法によってコンディショニングされた研磨パッドのモルフォロジーを示す写真である。
図6f】本発明の実施例に係るコンディショナー兼リテーナリングと従来の方法によってコンディショニングされた研磨パッドのモルフォロジーを示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明における用語は、できる限り、現在広く使用される一般な用語を選択した。ところが、特定の場合は出願人が任意に選定した用語もあるが、この場合には単純な用語の名称ではなく、発明の詳細な説明に記載または使用された意味を考慮してその意味が把握されるべきであろう。
【0044】
以下、添付図面および好適な実施例を参照して本発明の技術的構成を詳細に説明する。
【0045】
ところが、本発明は、ここで説明される実施例に限定されず、他の形態でも具体化できる。明細書全体にわたって本発明を説明するために使用される同一の参照番号は同一の構成要素を示す。
【0046】
本発明の技術的特徴は、ウェハーリテーナリングの表面に切削チップ部を形成することにより、ウェハーリテーナリングとして作用すると同時にコンディショナーとして作用することが可能な構造のコンディショナー兼ウェハーリテーナリングにある。
【0047】
したがって、本発明のコンディショナー兼ウェハーリテーナリング100は、図3に示すように、CMP工程の際にウェハーが研磨中に離脱することを防止するウェハーリテーナリングであって、前記ウェハーリテーナリングは、その表面に隔設された多数の突出部からなる切削チップ部110を一定の間隔で多数含んでいる構造を有し、コンディショナーとして作用することができる。
【0048】
また、本発明のコンディショナー兼ウェハーリテーナリング100は、その表面に形成された多数の切削チップ部110間の一定の間隔が、ウェハーリテーナリング100の外周面130から内周面140へ貫通するように所定の幅と深さを有する溝120からなることを特徴とするが、特に、図4aおよび図4bに示すように、溝120の外周面130側の幅が内周面140側の幅より広く形成されることが好ましい。これは、溝120がこのような構成を持つと、スラリーがウェハーに効率よく供給されるようにしてウェハーの研磨均一度を向上させ、ウェハーに供給されずに浪費されるスラリーの量を最小化してコスト節減を実現することができるためである。
【0049】
一方、本発明のコンディショナー兼ウェハーリテーナリングは、耐化学的に優れた材質からなることが好ましいが、強化高分子複合素材、超硬合金系素材、セラミック系素材のうちいずれか1つで形成できる。この際、強化高分子複合素材は、強化プラスチックを含んで著しく強度を増大させた公知の高分子材料を含む。超硬合金系物質は、タングステンカーバイド−コバルト(WC−Co)系、タングステンカーバイド−炭化チタニウム−コバルト(WC−TiC−Co)系、タングステンカーバイド−炭化チタニウム−炭化タンタル−コバルト(WC−TiC−TaC−Co)系などのタングステンカーバイド(WC)系の超硬合金を始めとして、サーメット(TiC)、炭化ホウ素(BC)系、ホウ酸チタニウム(TiB)系超硬合金などを含む。また、セラミック系物質は、窒化ケイ素(Si)、シリコン(Si)、酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化チタニウム(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ケイ素(SiO)、炭化ケイ素(SiC)、酸窒化シリコン(SiO)、窒化タングステン(WN)、酸化タングステン(WO)、DLC(Diamond Like Coating)、窒化ホウ素(BN)、または酸化クロム(Cr)などを含む。
【0050】
また、本発明のコンディショナー兼ウェハーリテーナリング100の表面に形成された切削チップ部110を構成する多数の突出部の表面にダイヤモンドコート層をさらに形成することにより、研磨性能を向上させることができるうえ、耐化学性、耐摩耗性および耐久性を強化することができる。
【0051】
この際、多数の切削チップ部110は、所定の切削チップのパターンに応じてデザインされた多数の突出部を形成して構成することができる。例えば、図3図5aおよび図5bに示すように、互いに離隔間隔をおいて四角断面形状に形成された多数の突出部からなり、或いは、図5cに示すように、三角形断面形状に形成された多数の突出部からなってもよい。また、多数の切削チップ部110を構成する多数の突出部の平面形状は多角形、円形および楕円形の形状であってもよい。このような突出部の断面形状および平面形状は、図示していないが、突出部を立体的に見たとき、突出部の形状が多角錐状、多角柱状、円錐状、楕円錐状、円柱状および楕円柱状であってもよいことが分かる。
【0052】
また、図5dに示すように、多数の切削チップ部110は、ウェハーリテーナリング100の内周面140側から一定幅の間隔をおいて多数の突出部が設けられるようにしてもよいが、このような構造を持つと、切削チップ部110によってパッドコンディショニングした後に発生する副産物(スラッジ)がウェハーに入ることを抑制してウェハーのスクラッチを減らすことができる。
【0053】
次に、本発明のコンディショナー兼ウェハーリテーナリングの製造方法は、一定の厚さおよび幅を有するリング状の基板を準備する段階と、前記リング状の基板の表面に、前記リング状の基板の外周面から内周面へ貫通するように所定の幅および深さの溝を一定の間隔で多数形成する溝形成段階と、前記多数形成された溝と溝との間の表面に多数の突出部を隔設する切削チップ部形成段階とを含んでなるが、溝形成段階および切削チップ部形成段階は、リング状の基板を機械的加工、レーザー加工、またはエッチングするなどの方法によって行うことができる。この際、溝形成段階で形成された溝の深さは、切削チップ部を構成する突出部の高さよりさらに深いことが好ましい。
【0054】
場合によっては、切削チップ部を構成する多数の突出部の表面にダイヤモンドコート層を形成するダイヤモンド層形成段階をさらに含むことができるが、ダイヤモンドコート層は、CVD(chemical vapor deposition)法を用いて切削チップ部110に全体的にコートされるか、或いは切削チップ部110を構成する多数の突出部の上部にのみコートされるように形成することもできる。このダイヤモンドコート層を形成する前に、切削チップ部110の形成されたリング状の基板を超音波前処理することが好ましいが、これは超音波前処理過程で微細ダイヤモンド粒子を用いて切削チップ部110上に微細スクラッチを形成することにより、ダイヤモンドコート層3のコーティング状態が硬くなるようにするためである。
【実施例】
【0055】
実施例1
図3に示した形態のコンディショナー兼ウェハーリテーナリング100を、図5aに示した切削チップ部110を持つように研磨ホイール加工方法によって次のとおり製造した。まず、厚さ6mmおよび幅24mmのリング状の基板(内周面までの直径301mm、外周面までの直径349mm)を準備した後、前記基板上に深さ3mm、幅3mmの溝120を研磨ホイール加工で形成した。その後、溝と溝との間の基板表面に突出部の先端部は平面形状に構成し、突出部のサイズを200μm×200μm、突出部の高さを1000μm、突出部間の間隔を2000μmとして、切削チップ部110を研磨ホイール加工して形成することにより、コンディショナー兼ウェハーリテーナリング1を製造した。
【0056】
実施例2
切削チップ部110を図5bに示された形状に形成する以外は実施例1と同様にしてコンディショナー兼ウェハーリテーナリング2を製造した。ここで、切削チップ部110は、突出部の先端部を平面形状に構成し、突出部のサイズを100μm×100μm、突出部の高さを1000μm、突出部間の間隔を1000μmにして形成した。
【0057】
実施例3
切削チップ部110を図5cに示された形状に形成する以外は実施例1と同様にしてコンディショナー兼ウェハーリテーナリング3を製造した。ここで、切削チップ部110は、突出部をピラミッド形状にして(コーン状)、突出部の下端部のサイズを200μm×200μm、突出部の高さを1000μm、突出部間の間隔を2000μmにして形成した。
【0058】
実施例4
切削チップ部110を図5dに示された形状に形成する以外は実施例1と同様にしてコンディショナー兼ウェハーリテーナリング4を製造した。ここで、切削チップ部110は、実施例1と同様に形成するが、リング状基板の内周面140から3mmの間隔をおいて突出部を形成した。
【0059】
比較例
図2に示された従来のウェハーリテーナリングを準備した。
【0060】
実験例1〜6
比較例で得られた従来のウェハーリテーナリングのみを用いてCMP工程を行った後のパッド表面に対するモルフォロジー(morphology)、および比較例で得られた従来のウェハーリテーナリングとコンディショニング手段を併用してCMP工程を行った後のパッド表面に対するモルフォロジーを観察し、その結果を図6a、図6および表1に示した(実験例1および2)。また、別途のコンディショニング手段なしで、実施例1〜4で得られたコンディショナー兼ウェハーリテーナリングを用いてCMP工程を行った後、パッド表面に対するモルフォロジーを観察し、その結果を図6c〜図6fおよび表1に示した(実験例3〜6)。また、この際、使用された装備は300mm CMP testerであり、スラリーはシリカスラリー(silica slurry)が使用された。
【0061】
【表1】
【0062】
表1より、本発明の実施例で得られたコンディショナー兼ウェハーリテーナリング1〜4を使用すると、別途のコンディショニング手段なしでCMP工程を行っても、パッドが摩耗することを確認することができた。図6c〜図6fを参照すると、パッド表面も、図6bに示すように、従来のウェハーリテーナリングと共に従来のダイヤモンドコンディショナーを用いたCMP工程で得られたパッドと類似のパッドモルフォロジーを形成させることができることが分かる。これに対し、従来のウェハーリテーナリングのみ使用し、別途のコンディショナーを使用しない実験例1の結果を示す図6aおよび表1の結果は、従来のウェハーリテーナリングのみ使用する場合にはパッド摩耗が全くなくてウェハースクラッチが多く発生するので、CMP工程が正常的に行われないことを示す。
【0063】
一方、コンディショナー兼ウェハーリテーナリング4を用いる実験例6の場合、ウェハーリテーナリングの内側にチップを形成させないことにより、ウェハースクラッチを減らす結果を得た。これはパッドコンディショニングの後に発生する副産物(スラッジ)がウェハーに入ることを抑制したためであると予測される。
【0064】
上述した実験結果から、従来のCMP装備に別途のCMPパッドコンディショニング手段を除外しても、ウェハーリテーナリングにコンディショニング機能を含ませた本発明のコンディショナー兼ウェハーリテーナリングを採用すると、正常的なCMP工程が可能であることを確認することができる。
【0065】
したがって、本発明のコンディショナー兼ウェハーリテーナリングを採用するとCMPパッドコンディショナーを必要としないと予測されるので、CMP装備の単純化も図ることができて多くの利点をもたらすことができる。
【0066】
以上、本発明は好適な実施例を挙げて図示および説明したが、本発明は、これらの実施例に限定されず、本発明の精神から外れない範囲内において、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって多様な変形および修正を加えることが可能であろう。
【符号の説明】
【0067】
100 コンディショナー兼ウェハーリテーナリング
110 切削チップ部
120 溝
130 ウェハーリテーナリングの外周面
140 ウェハーリテーナリングの内周面
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
図5d
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f