特許第6332605号(P6332605)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 澁谷工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6332605-血液透析装置の洗浄装置と洗浄方法 図000002
  • 特許6332605-血液透析装置の洗浄装置と洗浄方法 図000003
  • 特許6332605-血液透析装置の洗浄装置と洗浄方法 図000004
  • 特許6332605-血液透析装置の洗浄装置と洗浄方法 図000005
  • 特許6332605-血液透析装置の洗浄装置と洗浄方法 図000006
  • 特許6332605-血液透析装置の洗浄装置と洗浄方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6332605
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】血液透析装置の洗浄装置と洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/14 20060101AFI20180521BHJP
   A61M 1/36 20060101ALI20180521BHJP
   A61M 1/16 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   A61M1/14 563
   A61M1/14 551
   A61M1/36 121
   A61M1/16 185
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-37313(P2014-37313)
(22)【出願日】2014年2月27日
(65)【公開番号】特開2015-159994(P2015-159994A)
(43)【公開日】2015年9月7日
【審査請求日】2017年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082108
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】松崎 光正
(72)【発明者】
【氏名】一明 徳保
【審査官】 藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−013437(JP,A)
【文献】 特開2003−310749(JP,A)
【文献】 特開2003−180823(JP,A)
【文献】 特表平11−506962(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0237128(US,A1)
【文献】 特開2011−136003(JP,A)
【文献】 特開2012−231985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16
A61M 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透析液供給通路を介して所定量の新鮮な透析液を透析器に供給する透析液供給手段と、該透析液供給手段に新鮮な透析液を供給する給液回路と、上記透析器を通過した使用済み透析液を透析液回収通路を介して上記所定量と同量回収する透析液回収手段と、該透析液回収手段で回収された使用済み透析液を外部に排出する排液通路と、上記透析液回収通路と排液通路とを接続する除水通路に設けられ、透析液回収通路を流通する使用済み透析液を所要の除水量だけ排液通路に排出する除水手段と、上記透析液回収通路に第1洗浄液供給通路を介して洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、上記排液通路と給液回路とを連通して、洗浄時に洗浄液を循環させるための閉回路からなる洗浄液循環経路を形成する循環通路とを備え、
洗浄開始時に、上記洗浄液循環経路を形成しない状態で上記除水手段を作動させて、上記洗浄液供給手段から所定量の洗浄液を、上記洗浄液循環経路を構成する上記透析液回収通路、除水通路及び排液通路からなる洗浄液導入区間に導入するようにした血液透析装置の洗浄装置において、
上記除水手段は、洗浄開始時に、上記洗浄液循環経路を形成しない状態で作動されて、上記洗浄液供給手段から所定量の洗浄液を上記洗浄液導入区間に導入する第1洗浄液導入動作と、上記洗浄液循環経路を形成した状態で逆作動されて、上記第1洗浄液導入動作によって洗浄液導入区間に導入された洗浄液を、該洗浄液導入区間よりも透析液供給通路側の洗浄液循環経路に逆流させる洗浄液逆流動作と、さらに上記洗浄液循環経路を形成しない状態で作動されて、上記洗浄液供給手段から追加の洗浄液を上記洗浄液導入区間に追加導入する第2洗浄液導入動作とを行うことを特徴とする血液透析装置の洗浄装置。
【請求項2】
上記血液透析装置の洗浄装置は、隔壁によって内部が透析液供給室と透析液回収室との2室に区画形成された透析液チャンバを備え、一方の透析液供給室が上記透析液供給手段を、他方の透析液回収室が上記透析液回収手段をそれぞれ構成し、一方の透析液供給室の容積減少により該透析液供給室から新鮮な透析液が透析器に供給されるのと同時に、これに連動した他方の透析液回収室の容積増大により上記透析器を通過した使用済み透析液が回収されるようになっており、
上記洗浄液供給手段は、上記第1洗浄液供給通路に連通させた第2洗浄液供給通路を介して上記給液通路に洗浄液を供給可能となっており、かつ第1洗浄液供給通路と第2洗浄液供給通路とは、洗浄時には洗浄液を循環させるための閉回路からなる洗浄液循環経路を形成し、洗浄開始時には、上記洗浄液循環経路を形成しない状態で、上記第2洗浄液供給通路からの洗浄液を給液通路を介して上記透析液供給室に該透析液供給室の容積分だけ計量されて導入されると同時に、上記透析液回収室内の液体が排液通路から外部に排出されるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の血液透析装置の洗浄装置。
【請求項3】
上記除水手段は、上記除水通路に設けられた正逆転可能な除水ポンプであって、当該除水ポンプを正転させることで上記各洗浄液導入動作を行なわせ、当該除水ポンプを逆転させることで上記洗浄液逆流動作を行わせることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の血液透析装置の洗浄装置。
【請求項4】
透析液供給通路を介して所定量の新鮮な透析液を透析器に供給する透析液供給手段と、該透析液供給手段に新鮮な透析液を供給する給液回路と、上記透析器を通過した使用済み透析液を透析液回収通路を介して上記所定量と同量回収する透析液回収手段と、該透析液回収手段で回収された使用済み透析液を外部に排出する排液通路と、上記透析液回収通路と排液通路とを接続する除水通路に設けられ、透析液回収通路を流通する使用済み透析液を所要の除水量だけ排液通路に排出する除水手段と、上記透析液回収通路に第1洗浄液供給通路を介して洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、上記排液通路と給液回路とを連通して、洗浄時に洗浄液を循環させるための閉回路からなる洗浄液循環経路を形成する循環通路とを備え、
洗浄開始時に、上記洗浄液循環経路を形成しない状態で上記除水手段を作動させて、上記洗浄液供給手段から所定量の洗浄液を、上記洗浄液循環経路を構成する上記透析液回収通路、除水通路及び排液通路からなる洗浄液導入区間に導入するようにした血液透析装置の洗浄方法において、
洗浄開始時に、上記洗浄液循環経路を形成しない状態で上記洗浄液供給手段から所定量の洗浄液を上記洗浄液導入区間に導入する第1洗浄液導入動作と、上記洗浄液循環経路を形成した状態で上記第1洗浄液導入動作によって洗浄液導入区間に導入された洗浄液を、該洗浄液導入区間よりも透析液供給通路側の洗浄液循環経路に逆流させる洗浄液逆流動作と、上記洗浄液循環経路を形成しない状態で上記洗浄液供給手段から追加の洗浄液を上記洗浄液導入区間に追加導入する第2洗浄液導入動作とを順次行うことを特徴とする血液透析装置の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は血液透析装置の洗浄装置と洗浄方法とに関し、より詳しくは、洗浄開始時に、所定量の洗浄液を血液透析装置の透析液回路内に導入することにより、所定の濃度の洗浄液が得られるようにした血液透析装置の洗浄装置と洗浄方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液透析装置の洗浄装置として、透析液供給通路を介して所定量の新鮮な透析液を透析器に供給する透析液供給手段と、該透析液供給手段に新鮮な透析液を供給する給液回路と、上記透析器を通過した使用済み透析液を透析液回収通路を介して上記所定量と同量回収する透析液回収手段と、該透析液回収手段で回収された使用済み透析液を外部に排出する排液通路と、上記透析液回収通路と排液通路とを接続する除水通路に設けられ、透析液回収通路を流通する使用済み透析液を所要の除水量だけ排液通路に排出する除水手段と、上記透析液回収通路に第1洗浄液供給通路を介して洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、上記排液通路と給液回路とを連通して、洗浄時に洗浄液を循環させるための閉回路からなる洗浄液循環経路を形成する循環通路とを備え、
洗浄開始時に、上記洗浄液循環経路を形成しない状態で上記除水手段を作動させて、上記洗浄液供給手段から所定量の洗浄液を、上記洗浄液循環経路を構成する上記透析液回収通路、除水通路及び排液通路からなる洗浄液導入区間に導入するようにしたものが知られている(特許文献1)。
上記除水手段は、透析液回収通路を流通する使用済み透析液を所要の除水量だけ計量しながら排液通路に排出する機能を有しているので、該除水手段を用いて洗浄液を上記洗浄液導入区間に導入すれば、洗浄液導入区間に導入した洗浄液の導入量を管理することができ、したがって導入した洗浄液の濃度を所定の濃度に管理することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4400790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記洗浄液循環経路を形成した状態で上記除水手段を作動させても、閉回路である洗浄液循環経路内で液体が流動するだけで外部の洗浄液供給手段から洗浄液循環経路内に洗浄液を導入することができないので、外部から洗浄液循環経路内に洗浄液を導入する際には、洗浄液循環経路を形成しない状態で上記除水手段を作動させる必要がある。
すなわち上記洗浄液は、上記洗浄液循環経路を形成しない状態で上記除水手段を作動させることにより、上記透析液回収通路、除水通路及び排液通路から構成される洗浄液導入区間に導入することができるが、それ以外の洗浄液循環経路、例えば上記排液通路と給液通路とを連通する循環通路には導入することはできない。
その結果、導入できる洗浄液の最大量は上記洗浄液導入区間の容積に依存することになり、必要な量の洗浄液を導入するには洗浄液導入区間の容積を必要な洗浄液の量以上に設定する必要がある。このため従来は、排液通路における洗浄液導入区間の容積を大きくすることによって、つまり除水通路と排液通路との接続点と、排液通路と循環通路との接続点との間における排液通路の長さを長くすることによって洗浄液導入区間の容積を増大させており、その分、排液通路の長さが長くなっていた。
本発明はそのような事情に鑑み、上記洗浄液導入区間の容積を必要な洗浄液の量以上に増大させることなく、洗浄液循環経路内に洗浄液導入区間の容積以上の洗浄液を導入できるようにした血液透析装置の洗浄装置と洗浄方法とを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1に係る本発明の血液透析装置の洗浄装置は、透析液供給通路を介して所定量の新鮮な透析液を透析器に供給する透析液供給手段と、該透析液供給手段に新鮮な透析液を供給する給液回路と、上記透析器を通過した使用済み透析液を透析液回収通路を介して上記所定量と同量回収する透析液回収手段と、該透析液回収手段で回収された使用済み透析液を外部に排出する排液通路と、上記透析液回収通路と排液通路とを接続する除水通路に設けられ、透析液回収通路を流通する使用済み透析液を所要の除水量だけ排液通路に排出する除水手段と、上記透析液回収通路に第1洗浄液供給通路を介して洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、上記排液通路と給液回路とを連通して、洗浄時に洗浄液を循環させるための閉回路からなる洗浄液循環経路を形成する循環通路とを備え、
洗浄開始時に、上記洗浄液循環経路を形成しない状態で上記除水手段を作動させて、上記洗浄液供給手段から所定量の洗浄液を、上記洗浄液循環経路を構成する上記透析液回収通路、除水通路及び排液通路からなる洗浄液導入区間に導入するようにした血液透析装置の洗浄装置において、
上記除水手段は、洗浄開始時に、上記洗浄液循環経路を形成しない状態で作動されて、上記洗浄液供給手段から所定量の洗浄液を上記洗浄液導入区間に導入する第1洗浄液導入動作と、上記洗浄液循環経路を形成した状態で逆作動されて、上記第1洗浄液導入動作によって洗浄液導入区間に導入された洗浄液を、該洗浄液導入区間よりも透析液供給通路側の洗浄液循環経路に逆流させる洗浄液逆流動作と、さらに上記洗浄液循環経路を形成しない状態で作動されて、上記洗浄液供給手段から追加の洗浄液を上記洗浄液導入区間に追加導入する第2洗浄液導入動作とを行うことを特徴とするものである。
また請求項4に係る本発明の血液透析装置の洗浄方法は、透析液供給通路を介して所定量の新鮮な透析液を透析器に供給する透析液供給手段と、該透析液供給手段に新鮮な透析液を供給する給液回路と、上記透析器を通過した使用済み透析液を透析液回収通路を介して上記所定量と同量回収する透析液回収手段と、該透析液回収手段で回収された使用済み透析液を外部に排出する排液通路と、上記透析液回収通路と排液通路とを接続する除水通路に設けられ、透析液回収通路を流通する使用済み透析液を所要の除水量だけ排液通路に排出する除水手段と、上記透析液回収通路に第1洗浄液供給通路を介して洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、上記排液通路と給液回路とを連通して、洗浄時に洗浄液を循環させるための閉回路からなる洗浄液循環経路を形成する循環通路とを備え、
洗浄開始時に、上記洗浄液循環経路を形成しない状態で上記除水手段を作動させて、上記洗浄液供給手段から所定量の洗浄液を、上記洗浄液循環経路を構成する上記透析液回収通路、除水通路及び排液通路からなる洗浄液導入区間に導入するようにした血液透析装置の洗浄方法において、
洗浄開始時に、上記洗浄液循環経路を形成しない状態で上記洗浄液供給手段から所定量の洗浄液を上記洗浄液導入区間に導入する第1洗浄液導入動作と、上記洗浄液循環経路を形成した状態で上記第1洗浄液導入動作によって洗浄液導入区間に導入された洗浄液を、該洗浄液導入区間よりも透析液供給通路側の洗浄液循環経路に逆流させる洗浄液逆流動作と、上記洗浄液循環経路を形成しない状態で上記洗浄液供給手段から追加の洗浄液を上記洗浄液導入区間に追加導入する第2洗浄液導入動作とを順次行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の血液透析装置の洗浄装置と洗浄方法とによれば、洗浄開始時には、先ず第1洗浄液導入動作により、上記洗浄液循環経路を形成しない状態で洗浄液供給手段から所定量の洗浄液を上記洗浄液導入区間に導入することができる。
次に、洗浄液逆流動作により、上記洗浄液循環経路を形成した状態で上記第1洗浄液導入動作によって洗浄液導入区間に導入された洗浄液を、該洗浄液導入区間よりも透析液供給通路側の洗浄液循環経路に逆流させることができる。すなわち洗浄液循環経路を形成した状態では、該洗浄液循環経路の液体は洗浄液循環経路内を流通するだけなので、該洗浄液循環経路の液体を逆流させることにより、洗浄液導入区間に導入された洗浄液の一部または全部を該洗浄液導入区間よりも透析液供給通路側の洗浄液循環経路に押出すことができる。換言すれば、洗浄液導入区間を構成する排液通路に接続した循環通路側から、該循環通路内の洗浄液ではない浄水を洗浄液導入区間に導入することができる。
そしてこの後、第2洗浄液導入動作により、上記洗浄液循環経路を形成しない状態で上記洗浄液供給手段から追加の洗浄液を上記洗浄液導入区間に追加導入すれば、洗浄液導入区間の容積を増大させることなく、洗浄液循環経路内に洗浄液導入区間の容積以上の量の洗浄液を導入することができる。
したがって、排液通路の長さを長くすることなくその容積以上の洗浄液を導入することができるので、従来に比較して血液透析装置の回路の全長を短縮して小型に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の位置実施例を示す回路図。
図2】透析液チャンバ21、22の透析液供給室21a、22aを利用して洗浄液を洗浄液循環経路内に導入している状態を示す説明図。
図3】透析液供給室21a、22aの洗浄液を透析液回収室21b、22b側に移動させている状態を示す説明図。
図4】透析液チャンバ21、22のうちの一方の透析液供給室21aを利用して洗浄液を洗浄液循環経路内に導入している状態を示す説明図。
図5】除水ポンプUFPを利用して洗浄液を洗浄液循環経路内の洗浄液導入区間に導入している状態を示す説明図。
図6】除水ポンプUFPを逆作動させて洗浄液導入区間に導入した洗浄液を該洗浄液導入区間よりも透析液供給通路側の洗浄液循環経路に押出している状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施例について本発明を説明すると、図1は透析治療を行う血液透析装置1の回路を示し、上記血液透析装置1は図示しない制御手段によって制御されるようになっている。
上記血液透析装置1は、拡散、限外ろ過、浸透圧により血液と透析液との間で透析を行う透析器2と、該透析器2に接続された血液回路3と、透析器2に接続された透析液回路4とを備えている。
また本実施例の血液透析装置1は透析液を調製可能となっており、透析液の原液であるA液およびB液を貯溜するA液タンク5AおよびB液タンク5Bを備えている。
【0009】
上記血液回路3は、患者の血管に接続されて上記透析器2に血液を供給する動脈側通路11と、透析器2から患者に血液を戻す静脈側通路12とから構成され、これら通路は可撓性を有する樹脂製(例えば、ポリ塩化ビニル)のチューブで構成されている。また動脈側通路11には血液を送液する血液ポンプ13が設けられている。
【0010】
透析液回路4は、所定量の新鮮な透析液を上記透析器2に供給する透析液供給手段15と、上記透析器2を通過した使用済み透析液を上記所定量と同量回収する透析液回収手段16とを備えている。
本実施例では、上記透析液供給手段15と透析液回収手段16は2つの同形の第1透析液チャンバ21と第2透析液チャンバ22とを備えており、各チャンバ21、22内はダイアフラムやピストンなどの隔壁によって、新鮮な透析液を供給するための透析液供給室21a、22aと、使用済みの透析液を回収するための透析液回収室21b、22bとに区画されている。そして上記透析液供給室21a、22aは透析液供給手段15の一部を、透析液回収室21b、22bは透析液回収手段16の一部をそれぞれ構成している。
上記2つの透析液チャンバ21、22の供給室21a、22aと透析器2との間は新鮮な透析液を流通させる透析液供給通路23で接続してあり、透析器2と2つの透析液チャンバ21、22の透析液回収室21b、22bとの間は使用済みの透析液を流通させる透析液回収通路24で接続してある。
【0011】
上記2つの透析液チャンバ21、22の供給室21a、22aには給液回路25が接続されており、該給液回路25は、浄水を供給する図示しない浄水供給手段に連通された水供給通路26と、それぞれ上記A液タンク5AとB液タンク5Bとに連通された透析液原液通路27A、27Bとを備えている。そして該給液回路25の下流側は2方向に分岐して上記供給室21a、22aに接続されており、分岐した通路にはそれぞれ制御手段の制御によって開閉される給液弁V5a、V7aが設けられている。
これにより、上記供給室21a、22aの内部で水と透析液の原液とを混合させて透析液を調製することができるようになっている。
一方、上記透析液回収室21b、22bには、図示しない排液タンク等に使用済み透析液を排出させる透析液廃液通路29が接続され、上記透析液廃液通路29は、その上流部分が2方向に分岐して各透析液回収室21b、22bに接続され、当該分岐部分にはそれぞれ制御手段の制御によって開閉される排液弁V6b、V8bが設けられている。
【0012】
上記透析液供給通路23の上流部分は、2方向に分岐してそれぞれ上記第1、第2透析液チャンバ21、22の供給室21a、22aに接続されており、各分岐部分にはそれぞれ制御手段の制御によって開閉される供給弁V5b、V7bが設けられている。
また透析液供給通路23の下流部分はコネクタ23aを介して上記透析器2に接続可能となっており、透析液回路4を洗浄する際には透析器2から離脱されるようになっている。
さらに透析液供給通路23には、透析液の有害成分を除去するカットフィルタCFと、上記制御手段の制御によって開閉される開閉弁V9bとが設けられ、また透析液回収通路24にも上記制御手段の制御によって開閉される開閉弁V19が設けられている。
【0013】
上記カットフィルタCFの一次側には、上記透析液供給通路23と上記開閉弁V19の下流側の透析液回収通路24とを連通させるバイパス通路31が接続され、該バイパス通路31には上記制御手段の制御によって開閉される開閉弁V9aが設けられている。
透析治療中、上記開閉弁V9b、V19は開放されるとともに上記開閉弁V9aは閉鎖されているが、例えば図示しない濃度センサによって濃度の不良が検出された場合には、上記開閉弁V9b、V19を閉鎖して開閉弁V9aを開放することにより、不良透析液を透析器2を通過させずに、バイパス通路31を介して透析液回収通路24へと送液することが可能となっている。
【0014】
上記透析液回収通路24の下流部分は2方向に分岐してそれぞれ上記第1、第2透析液チャンバ21、22の透析液回収室21b、22bに接続され、この分岐部分にはそれぞれ制御手段の制御によって開閉される回収弁V6a、V8aが設けられている。
一方、透析液回収通路24の上流部分はコネクタ24aを介して上記透析器2に接続可能となっており、透析液回路4を洗浄する際には透析器2から離脱されるとともに、上記透析液供給通路23のコネクタ23aと接続されるようになっている。
また透析液回収通路24には透析液を送液する透析液ポンプP2と除気槽AS2とが直列に設けられており、これらに平行に分岐通路32が設けられてここにニードル弁NV5と漏血センサBLDとが直列に配置されている。
【0015】
血液透析が行われる際には、上記第1、第2透析液チャンバ21、22のいずれか一方の透析液供給室、例えば第1透析液チャンバ21の透析液供給室21aで新鮮な透析液が調製される。この際には、開閉弁V55、V1が開かれており、また給液弁V5bが閉じられるとともに給液弁V5aが開かれている。そしてこの状態でポンプP1が起動されて浄水が水供給通路26を介して透析液供給室21aに供給される。
また、開閉弁V43が開かれるとともにポンプP3が起動されてA液タンク5A内のA液が原液通路27Aを介して上記透析液供給室21aに供給され、さらに開閉弁V29が開かれるとともにポンプP4が起動されてB液タンク5B内のB液が原液通路27Bを介して上記透析液供給室21aに供給される。
上記各ポンプP1、P3、P4のそれぞれの作動のタイミングは制御手段によって制御され、それによって供給室21aの内部で水と透析液の原液とが混合されて新鮮な透析液が調製されるようになる。
この際には、排液弁V6bが開放されるとともに排液弁V6aが閉鎖されており、上記各ポンプP1、P3、P4が作動されて供給室21aの内部に液体が導入されるとその導入に伴って第1透析液チャンバ21内を区画する隔壁が移動され、これにより既に透析液回収室21b内に回収されていた使用済みの透析液が排液通路29を介して同量だけ外部に排出されるようになる。
【0016】
上記第1透析液チャンバ21によって透析液が調製されている際には、第2透析液チャンバ22の供給室22aの透析液は、透析液回収通路24に設けた透析液ポンプP2の起動により、透析液供給通路23を介して透析器2に供給されている。この際には、弁V7b、V9b、V19及びV8aは開放されており、また弁V7a、V9a及びV8bは閉鎖されている。
そして上記供給室22aの容積減少により該供給室22aから新鮮な透析液が上記透析器2に供給されるのと同時に、これに連動した他方の透析液回収室22bの容積増大により、上記透析器2に供給されたのと同量の使用済み透析液が回収されるようになっている。
この際、透析液回収通路24を流通する使用済み透析液の一部は分岐通路32のニードル弁NV5と漏血センサBLDとを流通し、漏血センサBLDによって透析液中に血液が漏洩したか否かが検出されるようになっている。
【0017】
さらに、上記透析液回収通路24の下流部分と排液通路29との間には両者を接続する除水通路35を設けてあり、この除水通路35に、透析液回収通路24を流通する使用済み透析液を所要の除水量だけ排液通路29に排出する除水手段としての除水ポンプUFPを設けてある。この除水ポンプUFPによって、透析中に、上記除水量に相当する量の老廃物を血液中から排出させることが可能となっている。
【0018】
次に、上記透析液回路4を洗浄するために、上記排液通路29と給液回路25を構成する水供給通路26との間を循環通路38で接続してあり、この循環通路38を介して閉回路となる第1洗浄液循環経路を構成することにより、その内部で洗浄液を循環させて洗浄することができるようにしてある。
すなわち上記第1洗浄液循環経路は、循環通路38、給液回路25を構成する水供給通路26、透析液供給手段17を構成する透析液チャンバ21、22の供給室21a、22a、透析液供給通路23、コネクタ23a、24aとバイパス通路31、透析液回収通路24と分岐通路32、透析液回収手段16を構成する透析液チャンバ21、22の透析液回収室21b、22b、除水通路35及び排液通路29によって構成されている。
そして上記循環通路38と排液通路29との接続点X1は、排液通路29と除水通路35との接続点よりも下流側に設けてあり、この接続点X1よりも下流側の排液通路29に開閉弁V35を、また循環通路38に開閉弁V34を設けてある。
【0019】
上記透析液回収通路24に第1洗浄液供給通路41の一端を接続してあり、この第1洗浄液供給通路41の他端は洗浄液供給通路42を介して洗浄液を供給する洗浄液供給手段としての洗浄液タンク43に接続してある。この洗浄液タンク43内には濃度の濃い洗浄液の原液が貯溜されている。
上記透析液回収通路24と第1洗浄液供給通路41との接続点X2は、透析液回収通路24とバイパス通路31との接続点よりも下流側で、透析液回収通路24と分岐通路32との分岐点よりも上流側に設定してある。
また本実施例では、第1洗浄液供給通路41と洗浄液供給通路42との接続点X3に第2洗浄液供給通路44の一端を接続してあり、この第2洗浄液供給通路44の他端を上記給液回路25を構成する水供給通路26に接続することにより、第1洗浄液供給通路41と第2洗浄液供給通路44とによって、閉回路となる第2洗浄液循環経路を構成することができるようにしてある。
すなわち上記第2洗浄液循環経路は、第2洗浄液供給通路44、給液回路25を構成する水供給通路26、透析液供給手段17を構成する透析液チャンバ21、22の供給室21a、22a、透析液供給通路23、コネクタ23a、24aとバイパス通路31、透析液回収通路24及び第1洗浄液供給通路41によって構成されている。
【0020】
以下、上記構成を有する血液透析装置1の洗浄時の作動について説明する。
透析治療が終了すると、透析器2から透析液供給通路23と透析液回収通路24とを離脱させて、これらをコネクタ23a、24aによって相互に接続する。この状態で図示しない制御手段によりポンプP1、P2、UFPが所要のタイミングで起動されるとともに所要の弁が開閉作動されて、上述した第1洗浄液循環経路と第2洗浄液循環経路の内部に浄水が導入される。なお、透析回路4の洗浄の際には透析液原液通路27A、27Bの洗浄も行われるが、これらが洗浄されることは従来既に周知であるので、その説明は省略する。
また洗浄液は、上記洗浄液タンク43から洗浄液供給通路42の上記接続点X3に設けた開閉弁V12まで導入されており、該開閉弁V12を開くことによって直ちに洗浄液を第2洗浄液循環経路内に導入できるようにしてある。
そして本実施例では、第1洗浄液循環経路と第2洗浄液循環経路内に例えば380mlの洗浄液を導入してその内部の浄水と撹拌することにより、所定の濃度の透析液が得られるものとする。また上記第1、第2透析液チャンバ21、22の各供給室21a、22aの最大容積はそれぞれ100mlとしてあり、これらによって300mlの洗浄液を洗浄液循環経路内に導入し、また除水ポンプUFPによって残りの80mlの洗浄液を洗浄液循環経路内に導入するようにしている。
【0021】
上記両洗浄液循環経路内に浄水が導入された状態では、上記第1、第2透析液チャンバ21、22の隔壁は図1の右方に移動しており、それによって各供給室21a、22aの容積は0、各透析液回収室21b、22bの容積は最大の100mlとなっている。
最初の洗浄液の導入開始時には、制御手段により所要の弁の開放作動が行われる。すなわち図2に示すように、洗浄液供給通路42の弁V56、上記接続点X3に設けた開閉弁V12、第2洗浄液供給通路44に設けた弁NV6、V10、給液回路25の弁V5a、V7a、排液通路29の弁V6b、V8b、V35が開放される。その他の弁は全て閉じている。この状態では、上記排液通路29の弁V35が開放されているので、上記第1洗浄液循環経路と第2洗浄液循環経路とのいずれも密閉された閉回路を構成してはおらず、したがって洗浄液循環経路は形成されていない。
この状態でポンプP1が起動されると、上記接続点X3に設けた開閉弁V12まで導入されていた洗浄液が第2洗浄液供給通路44と給液回路25を介して上記透析液チャンバ21、22のそれぞれの供給室21a、22a内に導入され、これと同時に透析液回収室21b、22b内の液体が排液通路29を介して外部に排出される。
上記供給室21a、22a内の容積が最大の100mlとなれば、それ以上の洗浄液が洗浄液供給通路42から第2洗浄液供給通路44内に導入されることはなく、したがってこの状態では、上記第2洗浄液供給通路44の接続点X3から各供給室21a、22aにかけて、合計200mlの洗浄液が導入されたことになる。
【0022】
上記供給室21a、22a内の容積が最大なると、上記ポンプP1が停止されるとともに全ての弁が閉じられる。次に、図3に示すように、透析液供給通路23の弁V5b、V7b、V9b、透析液回収通路24の弁V19、弁V6a、弁V8aが開放されるとともに、透析液ポンプP2が起動される。この状態では、上記排液通路29の弁V35が閉鎖されているので、上記第1洗浄液循環経路と第2洗浄液循環経路とは閉回路となっており、したがって洗浄液循環経路が形成されている。
そして上記透析液ポンプP2が起動されると、上記供給室21a、22a内の液体は透析液供給通路23および透析液回収通路24を介して透析液回収室21b、22bに移動され、各供給室21a、22a内の容積は0となる。
【0023】
この後、図4に示されている次の工程において、上記透析液供給室21a、22aから一方の透析液回収室21bに移動された液体は、透析液排液通路29を介して外部に排出されるようになる。したがって、上記透析液供給室21a、22a内の液体を透析液回収室21b内に移動させる際に、該透析液回収室21b内に洗浄液が導入されてしまうと、該洗浄液は次の工程で外部に排出されてしまうので、所要の濃度の洗浄液が得られないことになる。
しかしながら、上述したように各透析液供給室21a、22a内の容積が0となった際、つまり各透析液回収室21b、22bが満杯になった際には、各透析液回収室21b、22bには洗浄液が導入されることはない。
つまり上記透析液供給通路23や透析液回収通路24の容量は十分に大きく、特に透析液供給通路23にカットフィルタCFを設ける場合には、該カットフィルタCFの容量は大きいので、各透析液供給室21a、22a内の液体が、上述した図3に示す作動によっては透析液回収室21b、22bに到達することはないのである。
【0024】
図3に示す作動によって上記各供給室21a、22aの容積が0となると、最初の作動と同様な作動が行われるが、今回は100mlの洗浄液を導入すればよいので、一方の供給室21aのみに洗浄液が導入されるようになる。
すなわち図4に示すように、洗浄液供給通路42の弁V56、上記接続点X3に設けた開閉弁V12、第2洗浄液供給通路44に設けた弁NV6、V10、給液回路25の弁V5a、排液通路29の弁V6b、V35が開放される。その他の弁は全て閉じている。
この状態でポンプP1が起動されると、上記接続点X3まで導入されていた洗浄液が再び第2洗浄液供給通路44と給液回路25を介して一方の第1透析液チャンバ21の供給室21a内に導入され、これと同時に透析液回収室21b内の浄水が排液通路29を介して外部に排出される。
供給室21a内の容積が最大の100mlとなれば、それ以上の洗浄液が洗浄液供給通路42から第2洗浄液供給通路44内に導入されることはなく、したがってこの状態では、上記第2洗浄液供給通路44の接続点X3から供給室21aにかけて100mlの洗浄液が追加導入されたことになり、洗浄液の合計導入量は300mlとなる。
【0025】
上記透析液チャンバ21、22による計量は100ml単位なので、残りの80mlの洗浄液の導入は透析液チャンバ21、22によっては実行することができない。
そこで次に、除水ポンプUFPによって導入量を計量しながら洗浄液を導入することになる。
この際には、図5に示すように、洗浄液供給通路42の弁V56、上記接続点X3に設けた開閉弁V12、排液通路29の弁V35が開放される。その他の弁は全て閉鎖されている。この状態では第1洗浄液循環経路と第2洗浄液循環経路とは閉回路を構成しておらず、環状経路は形成されていない。
この状態で除水ポンプUFPが作動されると、上記接続点X3に設けた開閉弁V12まで導入されていた洗浄液は第1洗浄液供給通路41、透析液回収通路24とバイパス通路32、除水通路35及び排液通路29に導入されるようになる。
【0026】
この際、洗浄液を導入できる最大の洗浄液導入区間は、上記接続点X3から、第1洗浄液供給通路41、回収通路24とバイパス通路32、除水通路35及び排液通路29を介して、排液通路29と循環通路38との接続点X1との間の範囲である。上記接続点X1を超えた排液通路29内に洗浄液を導入しても、接続点X1を超えた排液通路29内に導入された洗浄液は単に外部に排出されるだけで、実際の洗浄作業には使うことができない。
したがって従来、上記洗浄液導入区間に導入できる洗浄液の導入量を多くするためには、上記接続点X1を排液通路29の下流側にずらして洗浄液導入区間の容積を増大させる必要があり、その分、排液通路29の長さが長くなっていた。
【0027】
しかるに本実施例では、上記除水ポンプUFPによって計量しながら導入する80mlの洗浄液を、例えば50mlと30mlとの2回に分けて導入するようにしている。
すなわち、除水ポンプUFPによる上述した第1洗浄液導入動作では50mlの洗浄液が洗浄液導入区間に導入されるようになる。この際の洗浄液は、例えば除水通路35よりも手前の透析液回収通路24まで導入されるようになる。
この状態となると、各弁の開閉状態が切換えられ、上記除水ポンプUFPの逆回転により、上記第1洗浄液導入動作によって洗浄液導入区間に導入された洗浄液を、該洗浄液導入区間よりも透析液供給通路23側の洗浄液循環経路に逆流させる洗浄液逆流動作が行われる。
【0028】
この洗浄液逆流動作では、図6に示すように、排液通路29の弁V8b、バイパス通路31の弁V9a、供給通路23の弁V7bが開放される。その他の弁は全て閉鎖される。この際には排液通路29の弁V35が閉鎖されて、上記洗浄液循環経路が形成されている。
この状態となると、上記除水ポンプUFPが逆回転され、第2透析液チャンバ22の透析液回収室22b内の浄水が排液通路29、透析液回収通路24及び分岐通路32、バイパス通路31、供給通路23を介して第2透析液チャンバ22の供給室22a内に流動するようになる。これにより、接続点X2から除水ポンプUFP側の透析液回収通路24に導入されていた洗浄液は、上記接続点X2を超えて、上記洗浄液導入区間よりも透析液供給通路側の洗浄液循環経路であるバイパス通路31および供給通路23側に逆流されるようになる。
上記除水ポンプUFPにより、少なくとも透析液回収室22b内の50mlの浄水を逆流させれば、上記接続点X2よりも洗浄液導入区間側の洗浄液は全て上記バイパス通路31および供給通路23側に排出されるようになる。
【0029】
この状態となると、上記第1洗浄液導入動作と同様な第2洗浄液導入動作が実行されるが(図5参照)、この第2洗浄液導入動作では、除水ポンプUFPにより30mlの洗浄液が洗浄液導入区間に導入されるようになる。これにより、両洗浄液循環経路には合計380mlの洗浄液が導入されたことになる。
この後の洗浄工程は従来の洗浄工程と異なることはなく、両洗浄液循環経路が交互に形成されて各洗浄液循環経路内で浄水と洗浄液とが流通されて撹拌混合され、所要の濃度の洗浄液となって各部の洗浄が行われる。
このように本実施例では、洗浄液導入区間に導入した洗浄液を該洗浄液導入区間よりも透析液供給通路23側の洗浄液循環経路に逆流させて浄水に置換した後に、再び洗浄液導入区間に洗浄液を追加導入することができるので、洗浄液導入区間を長くすることなくその容積以上の洗浄液を洗浄液循環経路内に導入することができる。
【0030】
なお、上記実施例では第2洗浄液供給通路44を設けて洗浄液タンク43からの洗浄液を透析液供給室21a、22aに供給することにより、迅速に透析液を洗浄液循環経路内に導入できるようにしているが、これに限定されるものではなく、第2洗浄液供給通路44を省略して除水ポンプUFPによって洗浄液を計量しながら洗浄液循環通路内に導入するようにしてもよい。但しこの場合には、洗浄液を導入できる最大の洗浄液導入区間は、第1洗浄液供給通路41と透析液回収通路24との接続点X2から、回収通路24とバイパス通路32、除水通路35及び排液通路29を介して、排液通路29と循環通路38との接続点X1との間の範囲となる。
また上記実施例では除水手段として正逆転可能な除水ポンプUFPを用いているが、これに限定されるものではなく、一方向に回転可能な除水ポンプUFPと流路を切換えられる回路とによって除水手段を構成してもよい。
さらに上記実施例では透析液供給手段15と透析液回収手段16とを透析液チャンバ21、22の供給室21a、22aと回収室21b、22bとによって構成しているが、これに限定されるものではない。所定量の新鮮な透析液を透析器に供給することができるとともに、上記所定量と同量の使用済み透析液を回収することができれば、如何なる構成の透析液供給手段と透析液回収手段とであってもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 血液透析装置 2 透析器
15 透析液供給手段 16 透析液回収手段
21 第1透析液チャンバ 22 第2透析液チャンバ
21a、22a 透析液供給室 21b、22b 透析液回収室
23 透析液供給通路 24 透析液回収通路
25 給液回路 26 水供給通路
29 排液通路 35 除水通路
38 循環通路 41 第1洗浄液供給通路
42 洗浄液通路 43 洗浄液タンク
44 第2洗浄液供給通路 UPF 除水ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6