特許第6332607号(P6332607)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6332607放射線検出器設置治具、放射線検出器設置方法、および試料容器の位置決め方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6332607
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】放射線検出器設置治具、放射線検出器設置方法、および試料容器の位置決め方法
(51)【国際特許分類】
   G01T 7/00 20060101AFI20180521BHJP
   G01T 1/167 20060101ALI20180521BHJP
   G01T 7/02 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   G01T7/00 A
   G01T1/167 C
   G01T7/02 A
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-50661(P2014-50661)
(22)【出願日】2014年3月13日
(65)【公開番号】特開2015-175657(P2015-175657A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2017年1月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】710002462
【氏名又は名称】セイコー・イージーアンドジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】板津 英輔
【審査官】 鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−035332(JP,A)
【文献】 特開平09−015342(JP,A)
【文献】 特開2014−020995(JP,A)
【文献】 特開2013−036957(JP,A)
【文献】 特開平10−039033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T1/00−1/16,1/167−7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線検出器のエンドキャップを収容する有底筒型の容器本体であって、試料容器とは異なる容器本体と、
前記エンドキャップの先端と前記容器本体の底面との間の間隔を所定間隔に設定する間隔調整部材と、を備え、
前記容器本体の先端部は、前記エンドキャップを内部に収容して放射線を遮蔽する遮蔽体に設けられた位置決め部材によって位置決めされる、
ことを特徴とする放射線検出器設置治具。
【請求項2】
前記間隔調整部材は、前記容器本体の内部で前記エンドキャップの先端に接触して、前記エンドキャップの先端とともに移動する接触部と、前記接触部と一体に設けられ、前記容器本体の底部に設けられた貫通孔から前記容器本体の外部に突出する突出部と、を備え、
前記突出部は、前記エンドキャップの先端と前記容器本体の底面との間の間隔を示す目盛りを表面上に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の放射線検出器設置治具。
【請求項3】
前記間隔調整部材は、前記エンドキャップの先端と前記容器本体の底面との間に挿入および取り出される所定厚さの板状部材であり、
前記容器本体は、前記板状部材を内部に挿入するための開口部を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の放射線検出器設置治具。
【請求項4】
前記容器本体は、先端面上から突出して前記放射線検出器と前記遮蔽体との間に装着される位置調整部材を備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1つに記載の放射線検出器設置治具。
【請求項5】
前記位置調整部材は、前記容器本体の周方向に所定間隔を置いた少なくとも3つ以上の複数の位置で前記容器本体の先端面上から突出している、
ことを特徴とする請求項4に記載の放射線検出器設置治具。
【請求項6】
請求項1から請求項の何れか1つに記載の放射線検出器設置治具を前記遮蔽体の内部に収容し、前記容器本体の先端部を前記位置決め部材によって位置決めする工程と、
前記エンドキャップを前記容器本体の内部に挿入し、前記間隔調整部材によって前記エンドキャップの先端と前記容器本体の底面との間の間隔を前記所定間隔に設定する工程と、
前記放射線検出器設置治具を前記遮蔽体の内部から取り出す工程と、
を含む、
放射線検出器設置方法。
【請求項7】
請求項1から請求項の何れか1つに記載の放射線検出器設置治具を前記遮蔽体の内部に収容し、前記容器本体の先端部を前記位置決め部材によって位置決めする工程と、
前記エンドキャップを前記容器本体の内部に挿入し、前記間隔調整部材によって前記エンドキャップの先端と前記容器本体の底面との間の間隔を前記所定間隔に設定する工程と、
前記放射線検出器設置治具を前記遮蔽体の内部から取り出し、前記遮蔽体の内部に前記試料容器を収容し、前記試料容器を前記位置決め部材によって位置決めする工程と、
を含む、
試料容器の位置決め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、放射線検出器設置治具、放射線検出器設置方法、および試料容器の位置決め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定試料を収容するマリネリ容器などの容器に対して放射線量計を位置決め固定する治具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−36957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術に係るマリネリ容器などの容器を遮蔽体内に設置して放射線検出器による検出を行なう場合には、放射線検出器の調整および保守のために、遮蔽体内に放射線検出器を収容する作業と遮蔽体内から放射線検出器を取り出す作業とを繰り返し行う場合がある。このため遮蔽体内での放射線検出器の露出量およびマリネリ容器の中心に対する放射線検出器の中心の相対位置などを容易に位置決めすることが望まれている。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、遮蔽体内での放射線検出器の相対的な設置位置を容易に位置決めすることが可能な放射線検出器設置治具、放射線検出器設置方法、および試料容器の位置決め方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係る放射線検出器設置治具は、放射線検出器のエンドキャップを収容する有底筒型の容器本体であって、試料容器とは異なる容器本体と、前記エンドキャップの先端と前記容器本体の底面との間の間隔を所定間隔に設定する間隔調整部材と、を備え、前記容器本体の先端部は、前記エンドキャップを内部に収容して放射線を遮蔽する遮蔽体に設けられた位置決め部材によって位置決めされる。
【0007】
(2)上記(1)に係る放射線検出器設置治具は、前記間隔調整部材は、前記容器本体の内部で前記エンドキャップの先端に接触して、前記エンドキャップの先端とともに移動する接触部と、前記接触部と一体に設けられ、前記容器本体の底部に設けられた貫通孔から前記容器本体の外部に突出する突出部と、を備え、前記突出部は、前記エンドキャップの先端と前記容器本体の底面との間の間隔を示す目盛りを表面上に備える。
【0008】
(3)上記(1)に係る放射線検出器設置治具は、前記間隔調整部材は、前記エンドキャップの先端と前記容器本体の底面との間に挿入および取り出される所定厚さの板状部材であり、前記容器本体は、前記板状部材を内部に挿入するための開口部を備える。
【0009】
(4)上記(1)から(3)の何れか1つに係る放射線検出器設置治具では、前記容器本体は、先端面上から突出して前記放射線検出器と前記遮蔽体との間に装着される位置調整部材を備える。
(5)上記(4)に係る放射線検出器設置治具では、前記位置調整部材は、前記容器本体の周方向に所定間隔を置いた少なくとも3つ以上の複数の位置で前記容器本体の先端面上から突出している。
【0010】
)本発明の一態様に係る放射線検出器設置方法は、上記(1)から()の何れか1つに記載の放射線検出器設置治具を前記遮蔽体の内部に収容し、前記容器本体の先端部を前記位置決め部材によって位置決めする工程と、前記エンドキャップを前記容器本体の内部に挿入し、前記間隔調整部材によって前記エンドキャップの先端と前記容器本体の底面との間の間隔を前記所定間隔に設定する工程と、前記放射線検出器設置治具を前記遮蔽体の内部から取り出す工程と、を含む。
【0011】
)本発明の一態様に係る試料容器の位置決め方法は、上記(1)から()の何れか1つに記載の放射線検出器設置治具を前記遮蔽体の内部に収容し、前記容器本体の先端部を前記位置決め部材によって位置決めする工程と、前記エンドキャップを前記容器本体の内部に挿入し、前記間隔調整部材によって前記エンドキャップの先端と前記容器本体の底面との間の間隔を前記所定間隔に設定する工程と、前記放射線検出器設置治具を前記遮蔽体の内部から取り出し、前記遮蔽体の内部に前記試料容器を収容し、前記試料容器を前記位置決め部材によって位置決めする工程と、を含む。
【発明の効果】
【0012】
上記(1)に記載の態様に係る放射線検出器設置治具によれば、遮蔽体に位置決めされた容器本体に対してエンドキャップの位置を調整する間隔調整部材を備えることにより、エンドキャップの先端と容器本体の底面との間を所定間隔に設定することができる。これにより遮蔽体に対する放射線検出器の設置位置を容易に位置決めすることができる。
【0013】
上記(2)に記載の態様に係る放射線検出器設置治具によれば、エンドキャップの先端と容器本体の底面との間の間隔に応じて突出量が変化する突出部を備えるので、突出部の表面上に設けられた目盛りによってエンドキャップの位置を容易に設定することができる。
【0014】
上記(3)に記載の態様に係る放射線検出器設置治具によれば、容器本体の開口部からエンドキャップの先端と容器本体の底面との間に挿入および取り出される所定厚さの板状部材を備えるので、エンドキャップの位置を容易に設定することができる。
【0015】
上記(4)に記載の態様に係る放射線検出器設置治具によれば、放射線検出器と遮蔽体との間に装着される位置調整部材を備えるので、容器本体にエンドキャップを挿入する方向の位置決めに加え、放射線検出器と遮蔽体との位置合わせを容易に行なうことができる。
【0016】
上記()に記載の態様に係る放射線検出器設置方法によれば、放射線検出器設置治具を用いて遮蔽体の内部における放射線検出器の位置を容易に精度良く位置決めすることができる。
【0017】
上記()に記載の態様に係る試料容器の位置決め方法によれば、遮蔽体の内部に放射線検出器を挿入する際に用いる放射線検出器設置治具の位置決めと、試料容器の位置決めとに対して、共通の位置決め部材を用いることができる。これにより、遮蔽体の内部における放射線検出器と試料容器との相対位置を容易に精度良く所定位置に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る放射線検出器設置治具、放射線検出器、および放射線遮蔽体の構成図であり、放射線検出器設置治具および放射線遮蔽体を破断して示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る放射線検出器設置治具の断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る試料容器、放射線検出器、および放射線遮蔽体の構成図であり、試料容器および放射線遮蔽体を破断して示す図である。
図4】本発明の実施形態の第1の変形例に係る放射線検出器設置治具の断面図である。
図5】本発明の実施形態の第1の変形例に係る放射線検出器設置治具の斜視図である。
図6】本発明の実施形態の第2の変形例に係る放射線検出器設置治具の断面図である。
図7】本発明の実施形態の第3の変形例に係る放射線検出器設置治具を先端面側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る放射線検出器設置治具について添付図面を参照しながら説明する。
本実施形態による放射線検出器設置治具10は、図1および図2に示すように、放射線検出器11を放射線遮蔽体12に位置決めするために用いられる。放射線検出器11は、図3に示すように、放射線遮蔽体12に位置決めされた後に、放射線遮蔽体12内に配置される試料容器13の試料から放出される放射線を検出する。
【0020】
放射線検出器11は、例えばゲルマニウム半導体検出器やシリコン半導体検出器などの半導体検出器である。
放射線検出器11は、垂直型のクライオスタット21において、放射線の入射窓(図示略)を有するエンドキャップハウジング22の内部の真空領域に、放射線に対して有感なゲルマニウム結晶やシリコン結晶などの半導体結晶(図示略)を保持している。
【0021】
クライオスタット21の内部は、デュワー23の内部に貯溜された液体窒素に浸漬された銅からなる冷却棒(図示略)との熱的な接触により冷却されている。
半導体結晶に形成された結晶電極(図示略)はエンドキャップハウジング22の内部に収容された電荷型前置増幅器(図示略)に接続されている。
電荷型前置増幅器は半導体結晶に入射した放射線のエネルギーに応じた波高値を有する出力信号パルスを外部に露出した出力端子(図示略)から出力する。
【0022】
放射線遮蔽体12は、放射線検出器11および測定対象の試料を保持するマリネリ容器などの試料容器13を内部に収容して、放射線検出器11をバックグラウンド放射線から遮蔽する。
放射線遮蔽体12は、複数の部材(図示略)によって構成された箱型に形成されている。放射線遮蔽体12は、鉛を有する鉛遮蔽部(図示略)と、鉛遮蔽部の表面を被覆するように設けられた鋼材からなる鋼材遮蔽部(図示略)と、鋼材遮蔽部の表面を被覆する腐食防止用などの非導電性の塗膜(図示略)と、を備えている。放射線遮蔽体12は、内面上に、無酸素銅からなる第1内張(図示略)と、アクリルなどの樹脂からなる第2内張(図示略)とを備えている。
【0023】
放射線遮蔽体12は、放射線検出器11の検出器本体を構成するエンドキャップハウジング22が挿入される貫通孔12aを鉛直方向の下部に備えている。放射線遮蔽体12は、放射線遮蔽体12の内部の下面12A上に設けられた円環状の位置決め部材12bを備えている。位置決め部材12bは、後述する試料容器13および放射線検出器設置治具10の各々の外周面に接触して、試料容器13および放射線検出器設置治具10の各々を所定位置に位置決めして固定する。
【0024】
放射線遮蔽体12は、架台31に載置されている。架台31は、腐食防止用などの非導電性の塗膜によって被覆された表面を有する鋼材などによって箱型に形成されている。架台31は、デュワー23を内部に収容している。
架台31は、ベース32に載置されている。ベース32は、腐食防止用などの非導電性の塗膜によって被覆された表面を有する鋼材などによって板状に形成され、表面上に載置された架台31を支持する。
【0025】
架台31の内部において、アルミニウムなどの金属によって板状に形成された検出器台33は、表面上に載置された放射線検出器11のデュワー23を支持する。
高さ調整機構34は、検出器台33の鉛直方向の高さ位置を調整する。
スライド機構35は、検出器台33の水平方向のスライド移動によって、放射線検出器11のデュワー23を架台31の内部に搬入および内部から搬出する。
【0026】
試料容器13は、いわゆるマリネリ容器であって、有底円筒型の試料容器本体41と、試料容器本体41の中心軸Oに同軸に試料容器本体41の底面41A上に設けられた円柱状凹部42と、を備え、試料容器本体41の内部に試料を収容する。
試料容器13は、放射線遮蔽体12の内部の下面12Aに試料容器本体41の底面41Aを接触させ、貫通孔12aに円柱状凹部42を臨ませるように配置され、放射線遮蔽体12の内部の下面12Aによって支持されている。試料容器13は、試料容器本体41の外周面41Bが、放射線遮蔽体12の内部の下面12A上に設けられた位置決め部材12bに接触することによって、放射線遮蔽体12の内部の所定位置に位置決め固定されている。
【0027】
放射線検出器設置治具10は、放射線検出器11のエンドキャップハウジング22を収容する有底筒型の容器本体51と、エンドキャップハウジング22の先端22aと容器本体51の底面51Aとの間の間隔を所定間隔に設定する間隔調整部材52と、を備えている。容器本体51は、エンドキャップハウジング22の外径よりも僅かに大きい内径を有している。放射線検出器設置治具10は、容器本体51のフランジ形状を有する先端部51aの外周面51Bが放射線遮蔽体12の内部に設けられた位置決め部材12bに接触するように形成されている。放射線検出器設置治具10は、容器本体51の先端面51Cを放射線遮蔽体12の内部の下面12Aに接触させて、放射線遮蔽体12の貫通孔12aに容器本体51の内部を臨ませるようにして、放射線遮蔽体12の内部の所定位置に位置決め固定される。
【0028】
間隔調整部材52は、一体に形成された接触部52aおよび突出部52bを備えている。接触部52aは、容器本体51の内部でエンドキャップハウジング22の先端22aに接触して、エンドキャップハウジング22の先端22aとともに移動する。突出部52bは、容器本体51の底部51bに設けられた貫通孔51cから容器本体51の外部に突出する。突出部52bは、エンドキャップハウジング22の先端22aと容器本体51の底面51Aとの間の間隔を示す目盛り52cを表面上に備えている。目盛り52cは、例えば、エンドキャップハウジング22の先端22aと容器本体51の底面51Aとの間の間隔の数値を示す。なお、目盛り52cは、例えば、エンドキャップハウジング22の先端22aと容器本体51の底面51Aとの間の間隔に対して予め設定されている所定間隔に対応する位置のみを示すものであってもよい。
【0029】
以下、実施形態の放射線検出器設置治具10を用いて放射線検出器11を放射線遮蔽体12に位置決めする放射線検出器設置方法、および試料容器の位置決め方法について説明する。
先ず、放射線検出器設置治具10を放射線遮蔽体12の内部に収容し、容器本体51の先端部51aの外周面51Bを放射線遮蔽体12内の位置決め部材12bに接触させる。これにより放射線検出器設置治具10を、放射線遮蔽体12の貫通孔12aに容器本体51の内部を臨ませるように配置した状態で、放射線遮蔽体12内の所定位置に位置決めおよび固定する。
【0030】
次に、架台31のスライド機構35によって検出器台33をスライド移動させて、放射線検出器11のエンドキャップハウジング22の先端22aを、放射線遮蔽体12の貫通孔12aに臨ませる。そして、高さ調整機構34によって検出器台33の鉛直方向の高さ位置を調整し、エンドキャップハウジング22を放射線検出器設置治具10の容器本体51の内部に挿入する。これにより間隔調整部材52の接触部52aはエンドキャップハウジング22の先端22aに接触して、エンドキャップハウジング22の先端22aとともに容器本体51の底面51Aに向かい移動する。間隔調整部材52の突出部52bは、接触部52aの移動に伴い、容器本体51の貫通孔51cから外部に突出する突出量が増大する。この突出部52bの目盛り52cが、エンドキャップハウジング22の先端22aと容器本体51の底面51Aとの間の間隔に対して予め設定されている所定間隔に対応する目盛り位置を指し示す状態に到達したときに、高さ調整機構34による検出器台33の上昇を停止する。
【0031】
次に、高さ調整機構34による検出器台33の鉛直方向の高さ位置を維持した状態で、放射線検出器設置治具10を取り出し、必要に応じて保護用のキャップ43をエンドキャップハウジング22に装着し、放射線遮蔽体12の内部に試料容器13を収容する。試料容器13を、放射線遮蔽体12の内部の下面12Aに試料容器本体41の底面41Aを接触させ、貫通孔12aに円柱状凹部42を臨ませるように配置する。試料容器本体41の外周面41Bを、放射線遮蔽体12の内部の位置決め部材12bに接触させることによって、試料容器13を放射線遮蔽体12の内部の所定位置に位置決め固定する。
【0032】
上述したように、本実施形態による放射線検出器設置治具10によれば、放射線遮蔽体12に位置決めされた容器本体51に対してエンドキャップハウジング22の位置を調整する間隔調整部材52を備えることにより、エンドキャップハウジング22の先端22aと容器本体51の底面51Aとの間を容易に所定間隔に設定することができる。これにより放射線遮蔽体12に対する放射線検出器11の設置位置を容易に位置決めすることができる。
さらに、エンドキャップハウジング22の先端22aと容器本体51の底面51Aとの間の間隔に応じて突出量が変化する突出部52bを備えるので、突出部52bの表面上に設けられた目盛り52cによってエンドキャップハウジング22の位置を容易に設定することができる。
【0033】
また、本実施形態による放射線検出器設置方法によれば、放射線検出器設置治具10を用いて放射線遮蔽体12の内部における放射線検出器11の位置を容易に精度良く位置決めすることができる。
また、本実施形態による試料容器の位置決め方法によれば、放射線遮蔽体12の内部に放射線検出器11を挿入する際に用いる放射線検出器設置治具10の位置決めと、試料容器13の位置決めとに対して、共通の位置決め部材12bを用いることができる。これにより、放射線遮蔽体12の内部における放射線検出器11と試料容器13との相対位置を容易に精度良く所定位置に設定することができる。
【0034】
以下に、上述した実施形態の第1の変形例について説明する。
第1の変形例の放射線検出器設置治具10は、図4および図5に示すように、上述した実施形態の間隔調整部材52の代わりに、エンドキャップハウジング22の先端22aと容器本体51の底面51Aとの間に挿入および取り出される所定厚さの板状の間隔調整部材61を備えている。容器本体51は、板状の間隔調整部材61を容器本体51の内部の底面51Aとエンドキャップハウジング22の先端22aとの間に挿入するための開口部62を備えている。
【0035】
この第1の変形例の放射線検出器設置治具10を用いて放射線検出器11を放射線遮蔽体12に位置決めする場合には、適宜のタイミングで間隔調整部材61をエンドキャップハウジング22の先端22aと容器本体51の底面51Aとの間に挿入する。つまり、高さ調整機構34によって検出器台33の鉛直方向の高さ位置を調整しつつ、エンドキャップハウジング22を放射線検出器設置治具10の容器本体51の内部に挿入する際に、間隔調整部材61を開口部62から容器本体51の内部に挿入する。そして、すきまゲージなどを用いて、間隔調整部材61と容器本体51の底面51Aとの間の間隔を調整することによって、エンドキャップハウジング22の先端22aと容器本体51の底面51Aとの間の間隔を所定間隔に設定する。
この第1の変形例によれば、実際にエンドキャップハウジング22の先端22aと容器本体51の底面51Aとの間の間隔を視認しつつ所定間隔に調整することができる。
【0036】
以下に、上述した実施形態の第2の変形例について説明する。
第2の変形例の放射線検出器設置治具10は、図6に示すように、上述した実施形態の容器本体51の先端面51C上から突出して、放射線検出器11と放射線遮蔽体12の貫通孔12aの壁面との間に装着される位置調整部材63を備えている。位置調整部材63は、円環状に形成され、放射線検出器11と放射線遮蔽体12の貫通孔12aの壁面との間の間隔よりも僅かに小さい径方向幅を有している。
この第2の変形例によれば、容器本体51の内径がエンドキャップハウジング22の外径よりも大きい場合であっても、エンドキャップハウジング22の中心軸を貫通孔12aの中心に精度良く位置決めすることができる。
【0037】
なお、上述した実施形態の第2の変形例においては、位置調整部材63を円環状としたが、これに限定されず、図7に示す第3の変形例のように、位置調整部材63は、周方向に所定間隔を置いた少なくとも3つ以上の複数の位置で容器本体51の先端面51C上から突出してもよい。
【0038】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0039】
10…放射線検出器設置治具、11…放射線検出器、12…放射線遮蔽体、12b…位置決め部材、13…試料容器、21…クライオスタット、22…エンドキャップハウジング、23…デュワー、31…架台、32…ベース、33…検出器台、34…高さ調整機構、35…スライド機構、51…容器本体、51a…先端部、52…間隔調整部材、52a…接触部、52b…突出部、61…間隔調整部材、62…開口部、63…位置調整部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7