【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成25年9月13日に、九州旅客鉄道株式会社が、自社の小倉総合車両センターにて、車両内シャワー室構造を備えた車両について公開した。 平成25年10月10日に、九州旅客鉄道株式会社が乗車取材会を開催し、鹿児島中央駅〜隼人駅間にて、車両内シャワー室構造を備えた車両について公開した。 平成25年10月15日以降、九州旅客鉄道株式会社がクルーズトレイン「ななつ星in九州」として営業運転を開始し、証明書に記載の営業運転区間にて、乗客に対し、車両内シャワー室構造を備えた車両について公開した。 添付資料1に記載の各「公開者」が、添付資料1に記載の各「放送日」に、添付資料1に記載の各「放送番組」内で、車両内シャワー室構造を備えた車両について、添付資料1に記載の各「放送日」に公開した。
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
周壁を備えた防水パンと、同防水パンを囲む状態で立設した側壁と、同側壁の上部に配置した天板とで一体的に構成されその内方をシャワー空間とした、車両内に構築されるシャワー室の構造であって、
少なくとも温水を吐出可能に構成され、吐出した温水によりシャワー空間内の空気を暖めて湿潤暖気を生成するシャワー端末と、
芳香性を有する木製板材にて形成され、前記シャワー空間の側壁との間に隙間を設けつつ二重壁状に沿設した着香パネルと、
前記防水パン内にて上げ底状態で配置した格子床材と、を備え、
前記着香パネルは前記天板から下方に離隔させて配置して、前記着香パネルの上端と前記天板との間に、前記湿潤暖気を前記着香パネルの裏面側に取り入れる湿潤暖気取込部を設け、
前記格子床材は前記防水パンの周壁よりも内方へ離隔させて配置して、前記格子床材の周縁と前記防水パンの周壁との間に間隙を形成して気液取込部とすると共に、
前記着香パネルの裏面にて湿潤暖気中の水分が結露して生じた凝結水を前記車両の走行に由来する振動によって前記着香パネルに沿って流下させつつ前記木製板材の香気成分を前記凝結水に移行させて生成した芳香液と、前記隙間で冷却されて生じた下降気流とを前記気液取込部を介して前記格子床材の下方へ流入させて、前記シャワー端末から防水パン内に流下した温水と前記芳香液とを混合しつつ前記下降気流と温水とを接触させて再加熱して上昇気流と成し、前記格子床材を介して前記シャワー空間内に芳香を拡散すべく構成したことを特徴とする車両内シャワー室構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の車両内に備えられたシャワー室は、シャワーから吐出させた温水によって室内温度が上昇するまでに時間を要し、使用者に肌寒さを感じさせる場合があった。
【0009】
特にこの問題は冬場になると顕著であり、シャワー室内の温度を上昇させるために必要な湯量が嵩み、温水を生成するために車載した水や燃油などのエネルギーを大量に消費してしまうおそれがあった。
【0010】
また、他の問題点として、車両内に備えられたシャワー室の内壁は、多くの場合比較的硬質な樹脂等によって形成されており、車両に加速度が加わって使用者がバランスを崩し内壁に接触した場合、使用者が受ける衝撃が強く、また不快な冷たさを感じさせるおそれがあった。
【0011】
また、更に別の切り口として、車両内のシャワー室は、乗客等使用者の心身をリフレッシュする手段や、車内の品位を演出する手段として極めて重要な役割を有しており、更なるくつろぎの空間となる構成が求められていた。
【0012】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、水やエネルギーの限られた車両内において効率的にシャワー室内を暖めて使用者に肌寒さを感じさせることを防止でき、また、車両に加速度が加わって使用者がバランスを崩した場合でも比較的安全であって、更には木材由来の香りをシャワー空間内に効果的に立ちこめさせて、空間の限られた車両内において使用者にくつろぎを与えることができる車両内シャワー室構造を提供する。
【0013】
また、本発明では、上記シャワー室構造を備えた車両についても提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記従来の課題を解決するために、本発明に係る車両内シャワー室構造では、(1)周壁を備えた防水パンと、同防水パンを囲む状態で立設した側壁と、同側壁の上部に配置した天板とで一体的に構成されその内方をシャワー空間とした、車両内に構築されるシャワー室の構造であって、少なくとも温水を吐出可能に構成され、吐出した温水によりシャワー空間内の空気を暖めて湿潤暖気を生成するシャワー端末と、芳香性を有する木製板材にて形成され、前記シャワー空間の側壁との間に隙間を設けつつ二重壁状に沿設した着香パネルと、前記防水パン内にて上げ底状態で配置した格子床材と、を備え、前記着香パネルは前記天板から下方に離隔させて配置して、前記着香パネルの上端と前記天板との間に、前記湿潤暖気を前記着香パネルの裏面側に取り入れる湿潤暖気取込部を設け、前記格子床材は前記防水パンの周壁よりも内方へ離隔させて配置して、前記格子床材の周縁と前記防水パンの周壁との間に間隙を形成して気液取込部とすると共に、前記着香パネルの裏面にて湿潤暖気中の水分が結露して生じた凝結水を前記車両の走行に由来する振動によって前記着香パネルに沿って流下させつつ前記木製板材の香気成分を前記凝結水に移行させて生成した芳香液と、前記隙間で冷却されて生じた下降気流とを前記気液取込部を介して前記格子床材の下方へ流入させて、前記シャワー端末から防水パン内に流下した温水と前記芳香液とを混合しつつ前記下降気流と温水とを接触させて再加熱して上昇気流と成し、前記格子床材を介して前記シャワー空間内に芳香を拡散すべく構成した。
【0015】
また、本発明に係る車両内シャワー室構造では、以下の点にも特徴を有する。
(2)前記防水パンは金属にて形成したこと。
(3)前記シャワー端末の温水の吐出口は、前記着香パネルの上端位置よりも上方より吐出可能としたこと。
(4)前記格子床材は、芳香性を有する木材にて形成したこと。
(5)前記着香パネルは、複数の木製の長板を短手方向に複数並設し金属製で帯状の振動伝搬梁体にて一体的に構成した長板連結体を備え、前記側壁に形成したスペーサー座金に前記振動伝搬梁体を連結して前記
側壁に前記着香パネルを固定したこと。
【0016】
また、本発明に係る車両では、上記(1)〜(5)のいずれかの車両内シャワー室構造を備えることとした。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る車両内シャワー室構造によれば、周壁を備えた防水パンと、同防水パンを囲む状態で立設した側壁と、同側壁の上部に配置した天板とで一体的に構成されその内方をシャワー空間とした、車両内に構築されるシャワー室の構造であって、少なくとも温水を吐出可能に構成され、吐出した温水によりシャワー空間内の空気を暖めて湿潤暖気を生成するシャワー端末と、芳香性を有する木製板材にて形成され、前記シャワー空間の側壁との間に隙間を設けつつ二重壁状に沿設した着香パネルと、前記防水パン内にて上げ底状態で配置した格子床材と、を備え、前記着香パネルは前記天板から下方に離隔させて配置して、前記着香パネルの上端と前記天板との間に、前記湿潤暖気を前記着香パネルの裏面側に取り入れる湿潤暖気取込部を設け、前記格子床材は前記防水パンの周壁よりも内方へ離隔させて配置して、前記格子床材の周縁と前記防水パンの周壁との間に間隙を形成して気液取込部とすると共に、前記着香パネルの裏面にて湿潤暖気中の水分が結露して生じた凝結水を前記車両の走行に由来する振動によって前記着香パネルに沿って流下させつつ前記木製板材の香気成分を前記凝結水に移行させて生成した芳香液と、前記隙間で冷却されて生じた下降気流とを前記気液取込部を介して前記格子床材の下方へ流入させて、前記シャワー端末から防水パン内に流下した温水と前記芳香液とを混合しつつ前記下降気流と温水とを接触させて再加熱して上昇気流と成し、前記格子床材を介して前記シャワー空間内に芳香を拡散すべく構成したため、水やエネルギーの限られた車両内において効率的にシャワー室内を暖めて使用者に肌寒さを感じさせることを防止でき、また、車両に加速度が加わって使用者がバランスを崩した場合でも比較的安全であって、更には木材由来の香りをシャワー空間内に効果的に立ちこめさせて、空間の限られた車両内において使用者にくつろぎを与えることができる車両内シャワー室構造を提供することができる。
【0018】
また、前記防水パンを金属にて形成することにより、シャワー端末より吐出され防水パン内に集合した温水の熱により防水パン全体を速やかに暖めることができ、同じく防水パン内に流入した下降気流を速やかに暖めて上昇気流を生成し、芳香液に由来する香気を防水パンの略全体から立ち上げて効率良くシャワー空間内に木の香を漂わせることができる。
【0019】
また、前記シャワー端末の温水の吐出口は、前記着香パネルの上端位置よりも上方より吐出可能とすることにより、最も温度の高い吐出直後の温水により着香パネル上端よりも上方のシャワー空間の空気を暖めることができ、シャワー空間内の空気の対流を促進させて芳香の生成を助長することができる。
【0020】
また、前記格子床材は、芳香性を有する木材にて形成することにより、格子間より立ち上る上昇気流に格子床材由来の香気成分を更に加えることができ、シャワー空間内の香気成分量をさらに高めることができる。
【0021】
また、前記着香パネルは、複数の木製の長板を短手方向に複数並設し金属製で帯状の振動伝搬梁体にて一体的に構成した長板連結体を備え、前記側壁に形成したスペーサー座金に前記振動伝搬梁体を連結して前記
側壁に前記着香パネルを固定することにより、長板連結体の全体を効率的に振動させることができ、芳香液の滴下を促進することができる。
【0022】
また、これらの上述の車両内シャワー室構造を車両に備えることで、水やエネルギーの限られた車両内において効率的にシャワー室内を暖めて使用者に肌寒さを感じさせることを防止でき、また、車両に加速度が加わって使用者がバランスを崩した場合でも比較的安全であって、更には木材由来の香りをシャワー空間内に効果的に立ちこめさせて、空間の限られた車両内において使用者にくつろぎを与えることができる車両内シャワー室構造を備えた車両を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、周壁を備えた防水パンと、同防水パンを囲む状態で立設した側壁と、同側壁の上部に配置した天板とで一体的に構成されその内方をシャワー空間とした、車両内に構築されるシャワー室の構造に関するものである。
【0025】
また、より具体的には、少なくとも温水を吐出可能に構成され、吐出した温水によりシャワー空間内の空気を暖めて湿潤暖気を生成するシャワー端末と、芳香性を有する木製板材にて形成され、前記シャワー空間の側壁との間に隙間を設けつつ二重壁状に沿設した着香パネルと、前記防水パン内にて上げ底状態で配置した格子床材と、を備え、前記着香パネルは前記天板から下方に離隔させて配置して、前記着香パネルの上端と前記天板との間に、前記湿潤暖気を前記着香パネルの裏面側に取り入れる湿潤暖気取込部を設け、前記格子床材は前記防水パンの周壁よりも内方へ離隔させて配置して、前記格子床材の周縁と前記防水パンの周壁との間に間隙を形成して気液取込部とすると共に、前記着香パネルの裏面にて湿潤暖気中の水分が結露して生じた凝結水を前記車両の走行に由来する振動によって前記着香パネルに沿って流下させつつ前記木製板材の香気成分を前記凝結水に移行させて生成した芳香液と、前記隙間で冷却されて生じた下降気流とを前記気液取込部を介して前記格子床材の下方へ流入させて、前記シャワー端末から防水パン内に流下した温水と前記芳香液とを混合しつつ前記下降気流と温水とを接触させて再加熱して上昇気流と成し、前記格子床材を介して前記シャワー空間内に芳香を拡散すべく構成したことに特徴を有している。
【0026】
そして、このような構成を備えた車両内シャワー室構造によれば、シャワーを使用した際に生じる暖かく湿った空気の上昇気流を着香パネルの裏面にて結露させ、車両の振動によって流下させつつ木材の香気成分を含む芳香液を生成し、この芳香液を防水パン内のシャワー温水と混合して揮発し易くすると共に、着香パネルの裏面と側壁との間の隙間(以下、凝結通気路ともいう。)にて冷やされた気流を防水パン内のシャワー温水と接触させ再加熱して上昇気流となし、格子床材の格子間から昇温により揮発性が高められた芳香成分を立ち上らせることができ、木材由来の香りをシャワー空間内に効果的に拡散させて、空間の限られた車両内において使用者に対し心地よい木の香を感じさせてくつろぎを与えることができる。
【0027】
また、一般的なシャワー室内においては、シャワーの使用に伴って生じた暖かい上昇気流が壁面で冷やされて下降気流となり、この下降気流が壁面から剥離して使用者の体に接触することで肌寒さを感じさせる場合があるが、本実施形態に係る車両内シャワー室構造にあっては、壁面で生じた下降気流が使用者に接触してしまうことを着香パネルにより阻害できるため、使用者に肌寒さを感じさせてしまうことを可及的に防止することができる。
【0028】
また、下降気流は気液取込部を介して防水パン内に流入し、防水パン内に薄く広がった温水と接触して再び暖められて上昇気流となるため、シャワー室内を効率的に暖めることができる。
【0029】
また、着香パネルは木製板材によって形成しており熱伝導率が低く弾性に優れているため、車両に加速度が加わって使用者がバランスを崩した場合でも比較的安全であって、また不快な冷たさを感じさせてしまうことを可及的防止することもできる。
【0030】
また、防水パンは金属にて形成し、防水パンの熱伝導率を高めるようにしても良い。このような構成とすることにより、シャワー端末より吐水された湯によって防水パンを速やかに暖めることができ、防水パンの周縁近傍であっても下降気流を効率的に再加熱することができる。また、金属製とすることにより、樹脂等の防水パンを使用した場合に比して、衛生的に保つことができる。
【0031】
また、前記シャワー端末の温水の吐出口は、前記着香パネルの上端位置よりも上方より吐出可能としても良い。
【0032】
最も温度の高い吐出直後の温水により着香パネルの上端よりも上方のシャワー空間の空気を暖めることができ、天板で冷やされてシャワー空間に直接降下する気流の形成を抑制すると共に、シャワー空間内の空気の対流を促進させて芳香の生成を助長することができる。
【0033】
また、前記格子床材は、着香パネルと同様に、芳香性を有する木材にて形成しても良い。
【0034】
このような構成とすることにより、格子間より立ち上る上昇気流に格子床材由来の香気成分を更に加えることができ、シャワー空間内の香気成分量をさらに高めることができる。
【0035】
また、樹脂等にて形成した場合に比して、使用者に足裏の冷たさを感じさせないようにすることができる。
【0036】
また、前記着香パネルは、複数の木製の長板を短手方向に複数並設し金属製で帯状の振動伝搬梁体にて一体的に構成した長板連結体を備え、前記側壁に形成したスペーサー座金に前記振動伝搬梁体を連結して前記壁体に前記着香パネルを固定しても良い。
【0037】
すなわち、複数の長板を短手方向に複数並設し金属製で帯状の振動伝搬梁体にて一体的に連結することにより長板連結体を形成し、この長板連結体を1つ又は2つ以上並べて着香パネルを形成しても良い。
【0038】
このような構成とすることにより、車両の振動をスペーサー座金と振動伝搬梁とを介して長板連結体を構成する木製の各長板に効率良く振動を伝搬させることができ、芳香液の流下を効率的に促して、芳香の発生を助長することができる。
【0039】
また、すべての各長板をスペーサー座金を介して側壁に固定した場合に比して、着香パネルに柔軟性を与えることができ、使用者が接触した場合の衝撃を効果的に緩衝することができる。
【0040】
そして、これらの構成を有する車両内シャワー室構造を備えた車両によれば、水やエネルギーの限られた車両内において効率的にシャワー室内を暖めて使用者に肌寒さを感じさせることを防止でき、また、車両に加速度が加わって使用者がバランスを崩した場合でも比較的安全であって、更には木材由来の香りをシャワー空間内に効果的に立ちこめさせて、空間の限られた車両内において使用者にくつろぎを与えることができる車両内シャワー室構造を備えた車両を提供することができる。
【0041】
以下、本実施形態に係る車両内シャワー室構造及び同シャワー室構造を有するシャワー室を備えた車両について図面を参照しながら詳説する。
【0042】
図1は本実施形態に係る車両内シャワー室構造を有する車両としての旅客車両1を示した説明図であり、
図1(a)は旅客車両1の外観側面を示し、
図1(b)は
図1(a)に示す旅客車両1の左側端面を示している。
【0043】
図1に示す旅客車両1は、列車を構成する車両の一つであり、図示しない機関車両によって牽引され線路上を走行する中間車両である。
【0044】
旅客車両1は、レール上を転動する複数の車輪2を備えた台車3上に、車両内空間を形成する車両本体4を載置して構成している。
【0045】
車両本体4の車両側面部5には、複数の窓部6が形成されており、乗客が外の景色を楽しめるようにしている。
【0046】
また、車両本体4の車体端面部7には、他の車両と連結するための連結部8と、連結した際に乗客が車両間を往来するための車両間連通部9とが設けられている。
【0047】
図1(b)に示すように、車両間連通部9には、車体端面部7を開口させて形成した車両間連通口10が備えられており、同車両間連通口10の周縁には風雨を避けるための幌11が配設されている。
【0048】
また、車両側面部5には開閉可能な乗降扉12を備えた乗降口13が配設されており、同乗降口13を介して乗客は車両内外を行き来することができる。
【0049】
旅客車両1の車内、すなわち、車両本体4の内部は所謂寝台客車仕様となっており、
図2の旅客車両1内の平面図に示すように、一両に3つの客室14が形成され、例えば3組の乗客が各自の客室14にてくつろいだり寝泊まりできるよう構成されている。
【0050】
具体的には、車両本体4内部の一方の車体側壁部15に沿って3つの客室14を設けると共に、この客室14と他方の車体側壁部15との間に通路16を形成している。
【0051】
各客室14はそれぞれ客室壁14aで区画されており、同客室壁14aに設けられた客室扉14bを介して通路16から客室14内に入室可能としている。
【0052】
客室14は、室内壁14eにより大きく2つの領域に区分けされており、乗客がくつろいだり就寝する居室部14cと、洗面等を行うサニタリーブース14dとが形成されている。
【0053】
居室部14c内には、テーブル17aやイス(図示せず)、ソファーベッド17b等が配設されており、乗客は読書したり就寝することができる。
【0054】
また、サニタリーブース14d内には、トイレ19や洗面台20、シャワー室Aが備えられており、乗客は各客室14に居ながらにして衛生に係る身支度を整えることができるよう配慮されている。
【0055】
そして、このサニタリーブース14dに備えられたシャワー室Aは、この旅客車両1において特徴的な構造の一つであり、乗客がシャワー室Aを使用した際の快適性や安全性を向上しつつ、さらにくつろぎを与えるような構成が施されている。
【0056】
図3はシャワー室Aの構成を示した説明図である。
図3に示すようにシャワー室Aは、外殻を構成する筐体部30と、同筐体部30内上部に設けられたシャワー端末31と、筐体部30の内壁に沿って配設された着香パネル32と、筐体部30内の下部に配置された床板体33とを備えており、着香パネル32にて囲われた内方は、使用者がシャワーを浴びるためのシャワー空間34としている。
【0057】
筐体部30は、
図4に示すように、筐体部30の下部を構成する防水パン35と、同防水パン35を囲む状態で立設した側壁36と、同側壁36の上部に配置した天板37とで一体的に構成している。
【0058】
防水パン35は、底壁35cの周縁を立ち上げて形成した周壁35aを備える金属製の部材であり、シャワー端末31より吐出した温水をシャワー空間34の下方にて受け、集水して排水管35bに流し込む役割を有している。また、防水パン35は、後に詳述するが、着香パネル32により生成した芳香液50と温水とを混合する混合手段としての役割や、着香パネル32の裏面にて生成した下降冷気流48を温水に接触させて再加熱し上昇気流を生成する上昇気流生成手段としての役割も有している。なお、
図4中符号55で示す破線は、シャワー端末31より吐出された温水の流下領域を示している。
【0059】
また、防水パン35内には、
図3及び
図4に示すように、床板体33が配設されている。床板体33は、使用者が乗る格子床材33aと、複数の脚部33bとで構成している。
【0060】
格子床材33aは、平面視所定形状(本実施形態では変形五角形状)に形成した板状の部材であり、シャワー空間34と後述の床材下部空間39との間を連通させる複数の格子間目部33cが形成されている。
【0061】
脚部33bは、格子床材33aを上げ底状に支持するための部材であり、また、格子床材33aの下方に床材下部空間39を形成する役割も有している。
【0062】
また、格子床材33aは、防水パン35の周壁35aよりも内方へ離隔させて配置して、格子床材33aの周縁と防水パン35の周壁35aとの間に間隙を形成しており、この間隙を、後述の凝結流路38から流下する芳香液50や、下降冷気流48を床材下部空間39へ取り込む気液取込部39aとしている。
【0063】
側壁36は、金属板の表面(筐体部30の内方となる面)に樹脂加工を施した壁部材であり、その一部が矩形状に開口されて(
図3参照)、使用者が入退室する開閉扉36aが設けられている。具体的には
図5に示すように側壁36の開口に沿って戸枠36eを設け、同戸枠36eの一側に配設した扉軸36cを中心に、使用者がノブ36dを操作して開閉扉36aを開閉可能としている。
【0064】
また、
図4及び
図5に示すように、側壁36には着香パネル32を取り付けるためのスペーサー座金36bが所定間隔毎に複数配設されており、着香パネル32を取り付けた際に側壁36との間に所定幅の間隙が形成され、この間隙を凝結流路38としている。
【0065】
天板37は、
図4に示すように側壁36の上部開口を閉塞する板体であり、本実施形態では側壁36と同じ素材にて形成している。また、天板37には図示しない照明器具が配設されており、シャワー空間34を照明するよう構成している。
【0066】
シャワー端末31は筐体部30内に臨ませた給湯管31aの先端に無数の細孔を備えたシャワーヘッド31bを配設して構成しており、シャワー空間34内に配設した温調バルブ31c(
図5参照)にてお湯の温度を調節し、湯量バルブ31dを操作することで所定温度の温水が吐出されるようにしている。
【0067】
また、シャワー端末31は、そのシャワーヘッド31bの位置が着香パネル32の上端部位置よりも上方となるように配設しており、着香パネル32の上端部よりも上方のシャワー空間34(以下、上部空間34aともいう。)を、吐出直後の温水にて加熱可能としている。
【0068】
着香パネル32は前述の天板37から下方に離隔させて配設しており、着香パネル32の上端と天板37との間に、シャワーの使用に伴って生じた湿潤暖気流49を着香パネル32の裏面側に取り入れる湿潤暖気取込部47を形成している。なお、天板37は、シャワー空間34にて上昇する湿潤暖気流49を湿潤暖気取込部47へ誘導する役割も担っている。
【0069】
着香パネル32は、芳香性を有する木製板材40にて形成した複数の(本実施形態では4つの)長板連結体41を、シャワー空間34の側壁36との間に隙間(凝結流路38)を設けつつ二重壁状に沿設して構成している。
【0070】
すなわち、
図5に示すように、着香パネル32は、図中左側の囲い破線にて示す第1長板連結体41aと、図中上部の囲い破線にて示す第2長板連結体41bと、図中右上部の囲い破線に示す第3長板連結体41cと、図中右下部の囲い破線に示す第4長板連結体41dとで構成しており、側壁36に対し、スペーサー座金36bを介してボルト36fで固定されている。
【0071】
第1長板連結体41aは、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、4枚の平長板材42a及び42bと1枚の角長板材42cの計5枚の木製板材40を短手方向に並設し、この並設した各木製板材40の裏面側(側壁に対向する面側)に金属製で帯状の振動伝搬梁43を沿設し木ねじ44にて固定することで互いに連結し形成している。
【0072】
また、各木製板材40同士の突き合わせ部分には、長手方向に沿って断面視鈎状の係合段差部60が設けられており、各木製板材40同士の突き合わせ部分を介して、凝結流路38とシャワー空間34との間における空気の流通が可及的抑制されるよう構成している。
【0073】
また、
図6(a)にて示す第1長板連結体41aの直線部分は、ボルト孔45を備えた、すなわちスペーサー座金36bと連結させるべく構成した平長板材42aと、ボルト孔45を備えない、すなわちスペーサー座金36bに固定しない平長板材42bとで構成しており、2枚の平長板材42a間は、少なくとも1枚、この第1長板連結体41aでは2枚の平長板材42bを介するように構成している。
【0074】
また、このような第1長板連結体41aの構成に対応させて、前述の側壁36に配設したスペーサー座金36bは、
図5及び
図9に示すように、平長板材42aのボルト孔45に対向する位置に設けている。
【0075】
従って、旅客車両1の走行に伴う微細な振動は、側壁36のスペーサー座金36bを介して平長板材42aに伝わり、更に振動伝搬梁43を介して側壁36に固定されていない平長板材42bに伝搬することとなり、スペーサー座金36bを介して側壁36に固定された平長板材42aに比して平長板材42bを効率的に振動させることが可能となっている。
【0076】
このような、側壁36とスペーサー座金36bと平長板材42aと平長板材42bと振動伝搬梁43とにより構成される振動伝搬機構は、次に説明する第2長板連結体41b〜第4長板連結体41dにも側壁36との間で構成されており、後述の芳香液50の生成過程において生成効率の促進を図ることが可能となる。
【0077】
図6(c)及び
図6(d)は、第2長板連結体41bの構成を示している。第2長板連結体41bは、7枚の平長板材42a及び42bを短手方向に並設し、この並設した各木製板材40の裏面側(側壁に対向する面側)に金属製で帯状の振動伝搬梁43を沿設し木ねじ44にて固定することで互いに連結し構成している。
【0078】
そして、各平長板材42a間は、前述の第1長板連結体41aと同様に2枚の平長板材42bを介するように構成すると共に、側壁36との間で振動伝搬機構を形成して平長板材42bの微細振動を助長するよう構成している。
【0079】
また、
図7(a)及び
図7(b)に示す第3長板連結体41cの構成や、
図7(c)及び
図7(d)に示す第4長板連結体41dの構成も略同様であり、第3長板連結体41cは、3枚の平長板材42a及び42bと1枚の角長板材42cの計4枚の木製板材40を短手方向に並設し、この並設した各木製板材40の裏面側(側壁に対向する面側)に金属製で帯状の振動伝搬梁43を沿設し木ねじ44にて固定することで互いに連結し構成している。また、第4長板連結体41dは、7枚の平長板材42a及び42bと1枚の角長板材42cの計8枚の木製板材40を短手方向に並設し、この並設した各木製板材40の裏面側(側壁に対向する面側)に金属製で帯状の振動伝搬梁43を沿設し木ねじ44にて固定することで互いに連結し構成している。第3長板連結体41c及び第4長板連結体41dもまた、第1長板連結体41aと同様、側壁36との間で振動伝搬機構を形成して平長板材42bの微細振動を助長するよう構成している。
【0080】
また、代表例として
図8に第2長板連結体41bを示して説明するが、第1長板連結体41a〜第4長板連結体41dにおいて振動伝搬梁43は、各長板連結体41の上端近傍位置46aと下端近傍位置46b、及び、長板連結体41の高さを略3分割した上部中間位置46cと下部中間位置46dとに配設している。
【0081】
特に、上端近傍位置46a、下端近傍位置46b、上部中間位置46cに配設した振動伝搬梁43は、スペーサー座金36bを介して側壁36に連結する構成とする一方、下部中間位置46dに配設した振動伝搬梁43は、側壁36と連結しない構成としている。
【0082】
換言して表現すれば、上部中間位置46cから下端近傍位置46b間の長さを、上端近傍位置46aから上部中間位置46c間の長さの略2倍とし、上部中間位置46cから下端近傍位置46b間の中途部には、スペーサー座金36bを介して側壁36に固定しない振動伝搬梁43を配設している。
【0083】
このような構成とすることにより、長板連結体41の下方、すなわち、上部中間位置46cから下端近傍位置46b間を、長板連結体41の上方、すなわち、上端近傍位置46aから上部中間位置46c間に比して効率良く振動させて後述の芳香液50の流下を更に促進することができる。
【0084】
そして、このようにして構成された各長板連結体41を
図5に示すように組み合わせて、着香パネル32を構成している。
【0085】
特に、本実施形態に係る車両内シャワー室構造では、着香パネル32を側壁36に沿って略コ字状に配設している。すなわち、旅客車両1の進行方向と略平行に配設された部分(本実施形態では第2長板連結体41bにて構成される部分)と、旅客車両1の進行方向と略直行する方向に配設された部分(本実施形態では、第1長板連結体41aや第3長板連結体41c、第4長板連結体41dにて構成される部分)とを備えている。
【0086】
従って、旅客車両1の進行方向に略平行な方向への微振動が付与されたときには第1長板連結体41aや第3長板連結体41c、第4長板連結体41dからの芳香液50の生成を促進できる一方、旅客車両1の進行方向に略直行する方向への微振動dが付与されたときには第2長板連結体41bからの芳香液50の生成を促進させることができ、効率良くシャワー室A内に芳香液50に由来する木の香を放散させることができる。
【0087】
また、各長板連結体41を組み上げて形成されている着香パネル32は、それぞれの長板連結体41間に遊び部61が形成されている。ここでは、第1長板連結体41aと第2長板連結体41bとの間に形成された遊び部61を一例として
図9を参照しながら説明する。なお、
図9中において一点鎖線の円Zにて示す部分の拡大図を右下に示している。
【0088】
第1長板連結体41aと第2長板連結体41bとの間に形成された遊び部61は、
図9の拡大図に示すように、第1長板連結体41aの端部に形成された係合段差部60aと、第2長板連結体41bの端部に形成された係合段差部60bとにより構成されている。
【0089】
係合段差部60aと係合段差部60bは互いに嵌合可能な鈎状に形成されており、係合段差部60aは背面側突出部62aを、係合段差部60bは内面側突出部62bを備えている。
【0090】
前述の長板連結体41を構成する各木製板材40に形成された係合段差部60は、これらを互いに嵌合密着させて連結しているが、遊び部61における係合段差部60aと係合段差部60bとは、背面側突出部62aと内面側突出部62bとを着香パネル32の内外方向において重畳させた状態としつつも、隙間を設けて配設している。
【0091】
すなわち、背面側突出部62aの突出端面63aと第2長板連結体41bの基端面64bとの間、及び、内面側突出部62bの突出端面63bと第1長板連結体41aの基端面64aとの間に間隙を設け、同間隙を遊び間隙65としている。
【0092】
このような遊び部61を第1長板連結体41aと第2長板連結体41bとの間や、第2長板連結体41bと第3長板連結体41cとの間、第3長板連結体41cと第4長板連結体41dとの間に設けることにより、各長板連結体41間を介しての凝結流路38とシャワー空間34との空気等の流通を防止しつつも、一方の長板連結体41が良好に振動している場合、隣接する他方の長板連結体41によりその振動が抑制されてしまうことを防止することができる。
【0093】
このように、上述してきたシャワー室構造を備える旅客車両1に備えられたシャワー室Aによれば、水やエネルギーの限られた旅客車両1内において効率的にシャワー室A内を暖めて使用者に肌寒さを感じさせることを防止でき、また、旅客車両1に加速度が加わって使用者がバランスを崩した場合でも比較的安全であって、更には木材由来の香りをシャワー空間34内に効果的に立ちこめさせて、空間の限られた旅客車両1内において使用者にくつろぎを与えることができる。
【0094】
これらのことについて
図4及び
図10を用いて説明する。
図10(a)は、
図4にて一点鎖線の円Xにて示す部分の拡大図であり、
図10(b)は
図4にて一点鎖線の円Yにて示す部分の拡大図である。
【0095】
まず、旅客車両1の乗客等である使用者がシャワー室Aに入室し開閉扉36aを閉じて温調バルブ31cにて温度を調整し湯量バルブ31dを開栓すると、シャワーヘッド31bより温水が吐出される。
【0096】
シャワー空間34では、吐出された温水によって空気が暖められると共に、
図4に示すように、上昇する湿潤暖気流49が発生する。
【0097】
この湿潤暖気流49は、上昇すると天板37によって横向きに側壁36側へ誘導され、次第に冷却されつつ湿潤暖気取込部47を介して着香パネル32の裏面、すなわち、凝結流路38へ流入する。
【0098】
凝結流路38に流入した湿潤暖気流49は、
図10(a)に示すように、着香パネル32の裏面や側壁36によって冷却され下降冷気流48が生じる。この下降冷気流48は、湿潤暖気取込部47近傍の湿潤暖気流49の取込を促進する。また、同時に着香パネル32の裏面や側壁36に結露して凝結水52が生じる。
【0099】
着香パネル32の裏面にて生じた凝結水52は、芳香性の木製板材40から香気成分が移行して着香される。また、前述の振動伝搬機構によって着香パネル32が旅客車両1の走行に由来する振動によって効率的に振動することとなるため、凝結水52は振動攪拌作用を受けながら着香パネル32の裏面を徐々に流下しつつ更に着香され、
図10(b)に示すように芳香液50が生成される。
【0100】
着香パネル32の下部に至った芳香液50は、着香パネル32の下端より気液取込部39aを介して防水パン35内に滴下する。このとき、防水パン35は芳香液50と防水パン35内の温水51とを混合する混合手段として機能し、滴下した芳香液50は温水51と混合されて熱せられ、香気成分がより揮発しやすい状態となる。
【0101】
また、凝結流路38の下降冷気流48もまた気液取込部39aを介して床材下部空間39内に流入する。ここで下降冷気流48は防水パン35内の温水や防水パン35の内壁面と接触することにより再加熱され、再び上昇気流53となる。すなわち、防水パン35は、下降冷気流48と温水51とを接触させて再加熱し上昇気流53を生成する上昇気流生成手段として機能する。この上昇気流53は、格子間目部33cを介してシャワー空間34内へ戻ることとなる。
【0102】
このとき、上昇気流53には、芳香液50と温水51との混合によって揮発した香気成分が含まれており、前述の湿潤暖気流49と相まって、シャワー空間34内に芳香液50に由来する木の香を放散させることができる。
【0103】
すなわち、木材由来の香りをシャワー空間34内に効果的に立ちこめさせて、空間の限られた旅客車両1内において使用者にくつろぎを与えることができる。
【0104】
また、防水パン35の素材を金属製としているため、熱伝導性が良く、シャワー端末31より吐出された温水51によって防水パン35の底壁35cを広く周縁部分に至るまで暖めることができ、芳香液50内の香気成分の揮発効率や、下降冷気流48の加熱効率を高めることができる。
【0105】
また、側壁36で生じた下降冷気流48は、着香パネル32により使用者に接触してしまうことが阻害されるため、使用者に肌寒さを感じさせてしまうことを可及的に防止することができる。また、下降冷気流48は、凝結流路38と気液取込部39aを介して使用者の足よりも更に下の床材下部空間39に流入することとなるため、使用者の足に冷感を与えることを防止できる。
【0106】
また、下降冷気流48は、着香パネル32により区画された凝結流路38を通気するため、シャワー空間34内に直接流入することが防止され、シャワー空間34内の温度を効率良く上昇させることができる。すなわち、使用者に冷感を漢字させにくく、また、効率良く昇温できるため、シャワー空間34の昇温に用いられる水やエネルギーの量を削減することができる。
【0107】
また、木製の着香パネル32が配設されているため、旅客車両1に加速度が加わって使用者がバランスを崩し、体が着香パネル32に接触した場合でも比較的衝撃が少なく安全であり、また、樹脂等の壁に比して不快な冷感を与えにくい。
【0108】
特に本実施形態では、シャワー空間34の側方周囲の多くが木製の着香パネル32によって囲われているため、より安全性が高められることとなる。
【0109】
また、着香パネル32に設けられた振動伝搬機構は、旅客車両1の走行振動を効率的に反映したり増幅すべく比較的可撓自由度が高い取付け構造となっており、使用者が接触した際の衝撃緩衝機構としても機能させることができ、シャワー室A使用時の安全性を高めることができる。
【0110】
上述してきたように、本実施形態に係る車両内のシャワー室構造によれば、周壁(例えば、周壁35a)を備えた防水パン(例えば、防水パン35)と、同防水パンを囲む状態で立設した側壁(例えば、側壁36)と、同側壁の上部に配置した天板(例えば、天板37)とで一体的に構成されその内方をシャワー空間(例えば、シャワー空間34)とした、車両(例えば、旅客車両1)内に構築されるシャワー室(例えば、シャワー室A)の構造であって、少なくとも温水を吐出可能に構成され、吐出した温水によりシャワー空間内の空気を暖めて湿潤暖気(例えば、湿潤暖気流49)を生成するシャワー端末(例えば、シャワー端末31)と、芳香性を有する木製板材(例えば、木製板材40)にて形成され、前記シャワー空間の側壁との間に隙間(例えば、凝結流路38)を設けつつ二重壁状に沿設した着香パネル(例えば、着香パネル32)と、前記防水パン内にて上げ底状態で配置した格子床材(例えば、格子床材33a)と、を備え、前記着香パネルは前記天板から下方に離隔させて配置して、前記着香パネルの上端と前記天板との間に、前記湿潤暖気を前記着香パネルの裏面側(例えば、凝結流路38)に取り入れる湿潤暖気取込部(例えば、湿潤暖気取込部47)を設け、前記格子床材は前記防水パンの周壁よりも内方へ離隔させて配置して、前記格子床材の周縁と前記防水パンの周壁との間に間隙を形成して気液取込部(例えば、気液取込部39a)とすると共に、前記着香パネルの裏面にて湿潤暖気中の水分が結露して生じた凝結水(例えば、凝結水52)を前記車両の走行に由来する振動によって前記着香パネルに沿って流下させつつ前記木製板材の香気成分を前記凝結水に移行させて生成した芳香液(例えば、芳香液50)と、前記隙間で冷却されて生じた下降気流とを前記気液取込部を介して前記格子床材の下方(例えば、床材下部空間39)へ流入させて、前記シャワー端末から防水パン内に流下した温水と前記芳香液とを混合しつつ前記下降気流と温水とを接触させて再加熱して上昇気流(例えば、上昇気流53)と成し、前記格子床材を介して前記シャワー空間内に芳香を拡散すべく構成したため、水やエネルギーの限られた車両内において効率的にシャワー室内を暖めて使用者に肌寒さを感じさせることを防止でき、また、車両に加速度が加わって使用者がバランスを崩した場合でも比較的安全であって、更には木材由来の香りをシャワー空間内に効果的に立ちこめさせて、空間の限られた車両内において使用者にくつろぎを与えることができる車両内シャワー室構造を提供することができる。
【0111】
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。