(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6332613
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】輸送用梱包容器
(51)【国際特許分類】
B65D 19/18 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
B65D19/18
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-70688(P2014-70688)
(22)【出願日】2014年3月30日
(65)【公開番号】特開2015-189511(P2015-189511A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2017年3月29日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 公開日:平成26年2月27日 公開した場所:株式会社中部サナ流通(愛知県名古屋市中区丸の内3丁目13番1号 セプトン丸の内ビル5階)
(73)【特許権者】
【識別番号】504257944
【氏名又は名称】梅花堂紙業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130074
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 繁元
(72)【発明者】
【氏名】佐野 博政
【審査官】
西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−035865(JP,A)
【文献】
実開平01−076454(JP,U)
【文献】
特開平09−142565(JP,A)
【文献】
実開昭47−037420(JP,U)
【文献】
特開2013−252895(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/022304(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 19/00−19/44
B65D 5/00− 5/76
B65D 6/00−13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットと、該パレットの上部に組み付けられる外箱と、該外箱の上部に組み付けられるキャップとからなる輸送用梱包容器において、
前記外箱は、多層段ボール紙により形成された4個の側壁体が組み合わされて上部及び下部に開口を有する形状のものであって、
前記側壁体は、側壁体本体と、補強体とからなり、前記側壁体本体は、横断面が略コ字状に形成されており、
前記4個の側壁体の中の2個の側壁体は、前記側壁体本体の中央部内側面に前記補強体を備えて対向する位置に配置されており、
残りの2個の側壁体は、中央部外側面に補強体を備えて対向する位置に配置されていて、
全ての前記補強体の両側縁は、隣り合う前記側壁体の前記側壁体本体の側縁に突き合わされていることを特徴とする輸送用梱包容器。
【請求項2】
補強体は、側壁体本体とは異なる材質の多層段ボール紙からなることを特徴とする請求項1に記載の輸送用梱包容器。
【請求項3】
補強体は、側壁体本体とは異なる厚みの多層段ボール紙からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の輸送用梱包容器。
【請求項4】
補強体は、側壁体本体とは異なる断面形状の多層段ボール紙からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の輸送用梱包容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型で重量がある商品などを搬送するのに適した状態に包装するための輸送用梱包容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、輸送用の梱包容器において、多層段ボール紙を用いたものは知られている(特許文献1)。この特許文献1に記載された梱包容器30は、
図6に示すように、多層段ボール紙を折り畳んで上下開口の長方体状に形成し、一側縁部においてパネルの両端縁部を重ね合せ、側縁部を外側面にテープ状体を貼着して連結し、重ね合された内側面に重ね合わせた端縁部を突き合わせて多層段ボール紙の補強シート31を取り付けるとともに、補強シート31に対向する内側面に多層段ボール紙の補強シート32を取り付けたケース33と、該ケース33の下部及び上部を収める多層段ボール紙のトレイ34及びキャップ35とから構成されている。
【0003】
上記特許文献1に記載の梱包容器は、補強シートが取り付けられることによって耐久性が増加すると共に、梱包容器内の物品を取り出す際に、段ボール紙を破ることなく迅速に開梱することができるようになった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平1−76454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の梱包容器では、一側縁部においてパネルの両端縁部を重ね合せ、側縁部を外側面にテープ状体を貼着して連結しており、他の3つの角部は一体となっているため、開梱時に広い作業スペースを必要としていた。また、補強シートは、対向する一方の一対の側面のみに取り付けられているので、対向する他方の一対の側面にも強度を持たせたい場合には、新たに補強シートを2枚増やして取り付ける必要があり、梱包作業のコストを増大させるものであった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、梱包及び開梱作業を容易にして作業コストを低減させると共に、耐久性に優れた輸送用梱包容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、パレットと、該パレットの上部に組み付けられる外箱と、該外箱の上部に組み付けられるキャップとからなる輸送用梱包容器において、前記外箱は、多層段ボール紙により形成された4個の側壁体が組み合わされて上部及び下部に開口を有する形状のものであって、前記側壁体は、側壁体本体と、補強体とからなり、前記側壁体本体は、横断面が略コ字状に形成されており、前記4個の側壁体の中の2個の側壁体は、前記側壁体本体の中央部内側面に前記補強体を備えて対向する位置に配置されており、残りの2個の側壁体は、中央部外側面に補強体を備えて対向する位置に配置されてい
て、全ての前記補強体の両側縁は、隣り合う前記側壁体の前記側壁体本体の側縁に突き合わされていることを特徴としている。
【0008】
本発明に係る輸送用梱包容器を構成する外箱は、4個の側壁体の側壁体本体の中央部に補強体を備えているので、耐久性を向上させることができる。
【0009】
また、外箱は、4個の側壁体が組み合わされて構成されているので、開梱時に1個の側壁体を除去することによって、内容物を取り出すことができ、開梱作業の時間を短縮することができると共に、狭い作業スペースでも開梱作業を行うことができる。
【0010】
また、各々の補強体が外箱組み立て時に位置決めの機能を果たすことができ、組み立て作業が容易になると共に、耐久性を向上させることができる。
【0011】
請求項
2の発明は、請求項1の発明において、補強体は、側壁体本体とは異なる材質の多層段ボール紙からなることを特徴としている。したがって、ベースとなる側壁体本体を所定の材質としておき、補強体の材質を変更することで、要求される耐久性のレベルに対応させることができるので、製造コストを増大させることなく、量産性を向上させることができる。
【0012】
請求項
3の発明は、請求項1
又は2の発明において、補強体は、側壁体本体とは異なる厚みの多層段ボール紙からなることを特徴としている。したがって、ベースとなる側壁体本体を所定の厚みとしておき、補強体の厚みを変更することで、要求される耐久性のレベルに対応させることができるので、製造コストを増大させることなく、量産性を向上させることができる。
【0013】
請求項
4の発明は、請求項1〜
3のいずれかの発明において、補強体は、側壁体本体とは異なる断面形状の多層段ボール紙からなることを特徴としている。したがって、ベースとなる側壁体本体を所定の断面形状としておき、補強体の断面形状を変更することで、要求される耐久性のレベルに対応させることができるので、製造コストを増大させることなく、量産性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明では、輸送用梱包容器の耐久性を向上させることができる。また、開梱作業の時間を短縮することができると共に、狭い作業スペースでも開梱作業を行うことができる。
また、組み立て作業が容易になると共に、耐久性を向上させることができる。
【0015】
また、請求項
2〜4の発明では、製造コストを増大させることなく、量産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る輸送用梱包容器の第1実施形態を示す分解斜視図である。
【
図4】第2実施形態の外箱を固着した状態を示す横断面図である。
【
図5】(a)多層段ボール紙の一例を示す横断面図である。(b)多層段ボール紙の他例を示す横断面図である。
【
図6】従来の輸送用梱包容器を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る輸送用梱包容器の第1実施形態を示す分解斜視図である。また、
図2は、第1実施形態の外箱の横断面図である。
図1に示すように、輸送用梱包容器10は、パレット1と、このパレット1の上部に組み付けられる外箱2と、この外箱2の上部に組み付けられるキャップ3とから構成されている。そして、外箱2は、上部及び下部に開口を有する中空形状となっており、下部の開口は、パレット1により塞がれ、上部の開口は、キャップ3により塞がれる。
【0018】
パレット1は、パレット底面板4とパレット上面板5との間の中央部及び角部に複数の桁体6、6・・が配置され、固定されている。また、パレット上面板5の上面には、ケース底面板7が固定され、このケース底面板7の四方の縁を囲むように、配置され、固着されたケース枠体8a、8bが上方に向けて立設されている。
【0019】
キャップ3は、キャップ上面板9の四方の縁を囲むように、配置され、固着されたキャップ枠体11a、11b・・が下方に向けて立設されている。
【0020】
外箱2は、多層段ボール紙により形成された4個の側壁体12a、12a、12b、12bが組み合わされて上部及び下部に開口13を有する中空形状となっている。また、側壁体は、2種類の側壁体12a、12bから構成されており、一方の側壁体12bは、横断面が略コ字状に形成された側壁体本体14bの中央部内側面に補強体15bを備えており、一対の側壁体12b、12bは、開口13を挟んで対向する位置に配置されている。
【0021】
また、他方の側壁体12aは、横断面が略コ字状に形成された側壁体本体14aの中央部外側面に補強体15aを備えており、一対の側壁体12a、12aは、開口13を挟んで対向する位置に配置されている。そして、第1実施形態の外箱2では、
図2に示すように、各々の補強体15a、15bの側縁は、隣り合う側壁体12a又は12bの側壁体本体14a又は14bの側縁との間に空間部16a又は16bが形成されている。
【0022】
側壁体本体14a、14bは、長方形状の多層段ボール紙の両端部から所定長の位置に形成されている折り曲げ部を略90度折り曲げることによって、横断面が略コ字状となるように成形されている。
【0023】
また、補強体15a、15bは、長方形状の多層段ボール紙から形成されており、幅方向の寸法は、側壁体本体14a、14bの幅方向の寸法と一致させている。
【0024】
尚、側壁体本体14a、14bと補強体15a、15bは、多層段ボール紙から構成されており、同じ材質を使用してもよいが、異なる材質とすることもできる。例えば、補強体15a、15bの多層段ボール紙を、側壁体本体14a、14bの多層段ボール紙よりも硬質な材質の段ボール紙を使用することによって、強度及び耐久性を向上させることができる。
【0025】
図3は、第2実施形態の外箱の横断面を示す図である。第2実施形態の外箱20は、各々の補強体19a、19bの側縁を隣り合う側壁体17a又は17bの側壁体本体18a又は18bの側縁に突き合わされている。このように構成することによって、各々の補強体19a、19bが外箱20の組み立て時に位置決めの機能を果たすことができ、組み立て作業が容易になると共に、耐久性を向上させることができる。
【0026】
図4は、第2実施形態の外箱20を粘着テープ21a、21bにより、固着した状態を示す横断面を示す図である。
図4に示すように、粘着テープ21a又は21bによって、補強体19a又は19bと隣り合う側壁体本体18a又は18bとを一体化している。尚、内側の4カ所の粘着テープ21bは省略することもできる。その場合には、開梱時に、外側の2箇所の粘着テープ21aを剥がすことによって、外側の側壁体17bを1個除去することができ、そこから、内容物を取り出すことができる。したがって、開梱作業の時間を短縮することができると共に、狭い作業スペースでも開梱作業を行うことができる。
【0027】
尚、
図1及び
図2を用いて説明した第1実施形態の外箱2を粘着テープにより固着する場合には、空間部16a又は16bを塞ぐ又は跨ぐようにして、補強体15a又は15bと隣り合う側壁体本体14a又は14bとに粘着テープを貼り付けるようにしてもよいが、空間部16a又は16bから露出している側壁体本体14a又は14bと、隣り合う側壁体本体14b又は14aとに粘着テープを貼り付けるようにすることもできる。
【0028】
図5(a)は、多層段ボール紙の一例を示す横断面図である。
図5(a)に示す多層段ボール紙22aは、複両面段ボール紙であり、波形状に形成されている2枚の中芯23a、23bと、3枚のライナー24、25、26を用いて形成されている。ここで、2枚の中芯23a、23bには、異なる種類の中芯(フルート)を用いており、ライナー26とライナー25との間の長さは、ライナー24とライナー25との間の長さよりも大きくなるように形成されている。
【0029】
図5(b)は、多層段ボール紙の他例を示す横断面図である。
図5(b)に示す多層段ボール紙22bは、複両面段ボール紙であり、波形状に形成されている2枚の中芯23b、23bと、3枚のライナー27、28、29を用いて形成されている。ここで、2枚の中芯23b、23bには、同一種類の中芯(フルート)を用いており、ライナー27とライナー28との間の長さは、ライナー29とライナー28との間の長さとはほぼ同じ長さとなるように形成されている。
【0030】
本発明に係る輸送用梱包容器は、側壁体本体に
図5(a)に示す多層段ボール紙を使用し、補強体に
図5(b)に示す多層段ボール紙を使用する態様を採用することができる。即ち、補強体に、側壁体本体とは異なる厚みの多層段ボール紙を使用する態様と、補強体に、側壁体本体とは異なる断面形状の多層段ボール紙を使用する態様をとることができる。このような態様とすることによって、要求される耐久性のレベルに対応させることができるので、製造コストを増大させることなく、量産性を向上させることができる。
【0031】
尚、
図5(a)及び
図5(b)で示した多層段ボール紙の断面は一例を示したものであり、この他にも種々の断面を有する多層段ボール紙を本発明に適用することができることは言うまでもない。例えば、
図5(a)に示した大きい波形状の中芯23bを、小さい波形状の中芯23aに変更すれば、多層段ボール紙の厚みを薄くすることができる。また、
図5(a)又は
図5(b)に示した中央のライナー25又は28を2枚にして対向する面をのりや接着剤等で貼り合せたものであれば、多層段ボール紙の強度をさらに向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の輸送用梱包容器は、大型で重量がある商品などを搬送するのに適した梱包容器として使用される。
【符号の説明】
【0033】
1 パレット
2、20 外箱
3 キャップ
4 パレット底面板
5 パレット上面板
6 桁体
7 ケース底面板
8a、8b ケース枠体
9 キャップ上面板
10 輸送用梱包容器
11a、11b キャップ枠体
12a、12b、17a、17b 側壁体
13 開口
14a、14b、18a、18b 側壁体本体
15a、15b、19a、19b 補強体
16a、16b 空間部
21a、21b 粘着テープ
22a、22b 多層段ボール紙
23a、23b 中芯
24、25、26、27、28、29 ライナー