(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態では、一例として本発明に係る生体電気抵抗測定装置を皮下脂肪厚計に適用した場合について説明する。
【0017】
図1(A)は、本実施形態に係る皮下脂肪厚計10の表面側の平面図、(B)は皮下脂肪厚計10の裏面側の平面面である。
図1(A)に示すように、皮下脂肪厚計10の表面には、表示部12及び操作部14が設けられており、
図1(B)に示すように、皮下脂肪厚計10の裏面には、細長い形状の電極16A〜16Dが所定間隔で配置されている。
【0018】
表示部12は、例えば液晶パネル等で構成される。表示部12には、例えば各種設定画面、計測結果の表示画面等、各種画面が表示される。
【0019】
操作部14は、
図1(A)に示すように、複数の操作ボタンを含んで構成されている。例えば、各操作ボタンには、電源ボタン、性別等のユーザー情報を設定するためのボタン、皮下脂肪厚の測定部位を選択するための選択ボタン等が割り当てられる。
【0020】
なお、表示部12及び操作部14をタッチパネルとし、画面に直接タッチすることで操作が可能な構成としてもよい。
【0021】
図2は、皮下脂肪厚計10の制御系のブロック図を示した。
図2に示すように、皮下脂肪厚計10は、電極16A〜16D、マルチプレクサ18、電流供給部20、電圧測定部22、制御部24、表示部12、操作部14、記憶部26、及び通信部28を備えている。
【0022】
マルチプレクサ18は、制御部24からの指示により、電極16A〜16Dのうち2つの電極を電流供給用電極として選択して電流供給部20に接続すると共に、電極16A〜16Dのうち2つの電極を電圧測定用電極として選択して電圧測定部22に接続する。
【0023】
電流供給部20は、生体電気抵抗を測定するための測定用電流を、マルチプレクサ18により選択された電流供給用電極に出力する。
【0024】
電圧測定部22は、マルチプレクサ18により選択された電圧測定用電極間の電圧を測定する。
【0025】
記憶部26は、例えば不揮発メモリで構成され、後述する生体電気抵抗測定プログラムや、生体電気抵抗測定プログラムの実行により得られた測定結果等の各種データを記憶する。
【0026】
通信部28は、外部装置と無線通信又は有線通信により情報の送受信を行う。これにより、皮下脂肪厚計10は、スマートフォン、タブレット端末、及び携帯電話等の携帯端末や、パーソナルコンピュータ等の外部装置と通信することが可能である。
【0027】
制御部24は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリ、及び入出力インターフェース(I/O)がバスを介して各々接続された構成となっている。この場合、後述する生体電気抵抗測定プログラムを例えば記憶部26に書き込んでおき、これをCPUが読み込んで実行する。なお、生体電気抵抗測定プログラムは、CD−ROM、メモリーカード等の記録媒体により提供するようにしてもよく、図示しないサーバからダウンロードするようにしてもよい。
【0028】
図3(A)は、生体電気抵抗測定装置用シートとしての補助シート30の平面図、(B)は(A)の部分拡大図である。
図3(A)、(B)に示すように、補助シート30は、生体電気抵抗測定装置としての皮下脂肪厚計10の電極16A〜16Dに対応する位置の各々に開口部32を有する非導電性の基材34と、開口部32の各々に配置されると共に、基材34と間隙36を有して基材34に支持された導電性の保水性部材38A〜38Dと、を備える。
【0029】
図3(A)、(B)に示すように、保水性部材38A〜38Dは、電極16A〜16Dの形状に対応して細長い形状であり、長手方向の端部が基材34に支持されている。
図1(B)に示す皮下脂肪厚計10の裏面に補助シート30を重ねた場合に、保水性部材38A〜38Dの各々が、対応する電極16A〜16Dを覆うようになっている。これにより、電極16A〜16Dに汚れが付着するのを防ぐことができる。
【0030】
保水性部材38A〜38Dは、例えば紙等の繊維を含む導電性を有する素材で構成される。また、保水性部材38A〜38Dは、繊維の繊維方向A、すなわち繊維を構成する糸状部材の長手方向に細長い形状である。繊維は、水分を含むと繊維方向には膨張しないが、繊維方向と直交する方向に膨張する性質を有する。このため、補助シート30は、保水性部材38A〜38Dを挟んで繊維方向Aと直交する方向に保水性部材38A〜38Dに間隙36が設けられている。すなわち、保水性部材38A〜38Dの長辺側に間隙36が各々設けられている。これにより、保水性部材38A〜38Dが水分を含んで繊維方向Aと直交する方向に膨張しても、補助シート30が変形するのを防ぐことができる。また、保水性部材38A〜38Dは、繊維方向Aを長手方向とした形状としているので長手方向の引っ張り強度が強く、引き裂かれてしまうのを防ぐことができる。
【0031】
保水性部材38A〜38Dの面積は、例えば100mm
2以上である。
図4に示すように、保水性部材の面積(シート面積)と接触抵抗とは反比例の関係にあるため、面積が小さすぎると接触抵抗が大きくなりすぎて生体電気抵抗を精度良く測定できなくなってしまうためである。
【0032】
なお、保水性部材38A〜38Dのサイズは、電極16A〜16Dのサイズ以上であることが好ましい。これにより、電極16A〜16Dが保水性部材38A〜38Dによって全て覆われるため、電極16A〜16Dに汚れが付着するのを防ぐことができる。また、前述したように、繊維は、繊維方向Aと直交する方向に膨張するため、保水性部材38A〜38Dの短辺の長さを、電極16A〜16Dの短辺の長さよりも短くし、保水性部材38A〜38Dが水分を含んで膨張した場合に電極16A〜16Dの短辺の長さが電極16A〜16Dの短辺の長さ以上になるようにしてもよい。
【0033】
なお、保水性部材38A〜38Dは、ゲル状の素材を用いてもよい。
【0034】
ユーザーは、皮下脂肪厚計10により皮下脂肪厚を測定する場合、霧吹き等によって補助シート30の保水性部材38A〜38Dに水を吹きかける。そして、水分を含んだ保水性部材38A〜38Dを電極16A〜16Dに合わせ、測定部位に電極16A〜16Dを当てた状態で測定を行う。
【0035】
補助シート30の保水性部材38A〜38Dが乾燥している場合、電極と人体との間の接触抵抗が大きくなるため、生体電気抵抗を精度良く測定することができず、皮下脂肪厚を精度良く測定することができない。
【0036】
図5には、電極16A、16Dを電流供給用電極として、電極16B、16Cを電圧測定用電極とした場合、すなわち4つの電極全てを用いる4電極法により生体電気抵抗を測定する場合の等価回路を示した。
【0037】
図5に示すように、電極16Aと人体との間の接触抵抗Z
1は、抵抗成分R1及び容量成分C1の並列回路のインピーダンスで表される。同様に、電極16B〜16Dと人体との間の接触抵抗をそれぞれZ
2〜Z
4とする。また、皮下脂肪の生体電気抵抗Z
HUMは、抵抗成分R2及び容量成分C2の直列回路と、抵抗成分R3と、の並列回路のインピーダンスである。なお、生体電気抵抗は、インピーダンスではなく、レジスタンス又はリアクタンスを用いても良い。
【0038】
4電極法の場合、電流供給用電極と電圧測定用電極とが異なるため、原理的には、電流供給用電極に流した電流は電圧測定用電極間の電圧の測定に影響しないため、電流供給用電極と人体との間の接触抵抗の影響を受けずに生体電気抵抗Z
HUMを測定できる。しかしながら、電流を流す際に電流供給用電極と人体との間の接触抵抗が大きすぎると、生体電気抵抗Z
HUMのみを精度良く測定できない場合がある。
【0039】
図6には、電極16A、16Dを電流供給用電極及び電圧測定用電極とした場合、すなわち4つの電極のうち2つの電極を用いる2電極法により生体電気抵抗を測定する場合の等価回路を示した。この場合、電流供給用電極と電圧測定用電極が同一であり、接触抵抗Z
1、Z
4に流れた電流が電圧の測定に影響するため、測定される生体電気抵抗をZとすると、Z=Z
HUM+Z
1+Z
4となる。電極と人体との間が濡れている場合には、接触抵抗Z
1+Z
4は小さい値となるが、電極と人体との間が乾燥している場合には、接触抵抗Z
1+Z
4は非常に大きな値となる(Z
1、Z
4≫Z
HUM)。このため、電極と人体との間が乾燥している場合は、Z=Z
1+Z
4とみなせる。従って、Zの大きさで補助シート30の保水性部材38A及び38Dの乾燥状態を把握することができる。
【0040】
図7には、電極16A、16Dを電流供給用電極とし、電極16B、16Dを電圧測定用電極とした場合、すなわち4つの電極のうち3つの電極を用いる3電極法により生体電気抵抗を測定する場合の等価回路を示した。この場合、接触抵抗Z
4に流れた電流が電圧の測定に影響するため、測定される生体電気抵抗をZとすると、Z=Z
HUM+Z
4となる。電極と人体との間が濡れている場合には、接触抵抗Z
4は小さい値となるが、電極と人体との間が乾燥している場合には、接触抵抗Z
4は非常に大きな値となる(Z
4≫Z
HUM)。このため、電極と人体との間が乾燥している場合は、Z=Z
4とみなせる。従って、Zの大きさで補助シート30の保水性部材38Dの乾燥状態を把握することができる。なお、
図6及び
図7では、補助シート30の一部の保水性部材の乾燥状態を把握したが、通常、補助シート30の一部の保水性部材が乾燥状態ならば、補助シート30の全ての保水性部材が同じように乾燥状態となるため、Zの大きさで補助シート30の保水性部材38A〜38Dの乾燥状態を把握することができるともいえる。
【0041】
本実施形態では、一例として2電極法により接触抵抗を測定して補助シート30の一部の保水性部材が乾燥しているか否かを判定し、補助シート30の一部の保水性部材が乾燥していると判定した場合には、ユーザーに報知する。
【0042】
次に、本実施形態の作用として、制御部24において実行される生体電気抵抗測定プログラムによる処理について、
図8に示すフローチャートを参照して説明する。
図8に示す処理は、ユーザーが皮下脂肪厚計10の操作部14を操作して測定開始を指示した場合に実行される。
【0043】
なお、ユーザーは、皮下脂肪厚を測定する場合、霧吹き等によって補助シート30の保水性部材38A〜38Dに水を吹きかける。そして、水分を含んだ保水性部材38A〜38Dを電極16A〜16Dに合わせて測定部位に電極16A〜16Dを当てた状態で測定を行う。
【0044】
なお、以下では、一例として2電極法により接触抵抗Zaを測定し、4電極法により皮下脂肪厚の測定に必要な生体電気抵抗Zbを測定する場合について説明する。なお、本実施形態では、接触抵抗Za、生体電気抵抗Zbとしてインピーダンスを測定する場合について説明するが、リアクタンス又はレジスタンスを測定してもよいし、インピーダンス、リアクタンス、及びレジスタンスのうち2つ以上を測定してもよい。
【0045】
ステップS100では、
図9に示すように、電流供給用電極及び電圧測定用電極を電極16B、16Cに切り替えるようにマルチプレクサ18に指示する。
【0046】
ステップS102では、接触抵抗Zaを測定する。具体的には、まず測定用電流iをマルチプレクサ18に出力するように電流供給部20に指示すると共に、電極16B、16C間の電圧Vを測定するように電圧測定部22に指示する。これにより、電極16B、人体、電極16Cの経路に測定用電流iが流れ、電極16B、16C間の電圧Vが測定される。次に、測定用電流iの電流値及び測定された電圧Vの電圧値に基づいて、接触抵抗Zaを算出する。
【0047】
ステップS104では、接触抵抗Zaが予め定めた閾値以上であるか否かを判断する。そして、閾値未満の場合は、補助シート30の保水性部材38B及び38Cが濡れているものとしてステップS106へ移行し、閾値以上の場合は、補助シート30の保水性部材38B及び38Cが乾燥しているものとしてステップS114へ移行する。
【0048】
ステップS106では、
図10に示すように、電流供給用電極はそのままで、電圧測定用電極を電極16A、16Dに切り替えるようにマルチプレクサ18に指示する。
【0049】
ステップS108では、皮下脂肪厚を算出するための生体電気抵抗Zbを測定する。具体的には、まず測定用電流iをマルチプレクサ18に出力するように電流供給部20に指示すると共に、電極16A、16D間の電圧Vを測定するように電圧測定部22に指示する。これにより、電極16B、人体、電極16Cの経路に測定用電流iが流れ、電極16A、16D間の電圧Vが測定される。次に、測定用電流iの電流値及び測定された電圧Vの電圧値に基づいて、生体電気抵抗Zbを算出する。
【0050】
ステップS110では、ステップS108で測定した生体電気抵抗Zbに基づいて、皮下脂肪厚を算出する。具体的には、例えば生体電気抵抗と皮下脂肪厚との対応関係が予め定められたテーブルデータを用いて皮下脂肪厚を求める。または、生体電気抵抗から皮下脂肪厚を求める算出式を用いて皮下脂肪厚を算出する。
【0051】
ステップS112では、ステップS110で取得した皮下脂肪厚を表示部12に表示させると共に、記憶部26に記憶させる。
【0052】
一方、ステップS104で接触抵抗Zaが予め定めた閾値以上であると判定された場合は、ステップS114へ移行する。
【0053】
ステップS114では、補助シート30の保水性部材38B及び38Cが乾燥しているので補助シート30の保水性部材38B及び38Cを濡らす又は補助シート30を交換するよう促すメッセージを表示部12に表示させることにより、ユーザーに報知する。なお、振動、音、及び光の少なくとも1つを発生させることにより報知してもよい。これにより、ユーザーは補助シート30の保水性部材38B及び38Cが乾燥していることを容易に認識することができ、補助シート30の保水性部材38B及び38Cを濡らしたり、交換したりすることをユーザーに促すことができる。
【0054】
なお、
図8の生体電気抵抗測定処理では、電流供給用電極16B及び16Cに当てた保水性部材38B及び38Cについてのみ乾燥しているか否かを判定しているが、4つの電極全てに当てた保水性部材38A〜38Dについて乾燥しているか否かを判定するようにしてもよい。
【0055】
この場合、
図11に示すように、ステップS104とステップS106との間にステップS100B〜S104Bの処理を加えればよい。この場合、例えばステップS100では、
図12に示すように、電流供給用電極及び電圧測定用電極を電極16A、16Bに切り替えるようにマルチプレクサ18に指示する。そして、ステップS102で接触抵抗Zaを測定し、ステップS104で接触抵抗Zaが閾値以上であるか否かを判定することにより、補助シート30の保水性部材38A及び38Bが乾燥しているか否かを判定する。
【0056】
また、ステップS100Bでは、
図13に示すように、電流供給用電極及び電圧測定用電極を電極16C、16Dに切り替えるようにマルチプレクサ18に指示する。そして、ステップS102Bで接触抵抗Zaを測定し、ステップS104Bで接触抵抗Zaが閾値以上であるか否かを判定することにより、補助シート30の保水性部材38C及び38Dが乾燥しているか否かを判定する。
【0057】
ステップS106では、
図10に示すように、電流供給用電極を電極16B、16Cに、電圧測定用電極を電極16A、16Dに切り替えるようにマルチプレクサ18へ指示する。その他の処理は
図8の処理と同様である。これにより、4つの電極16A〜16Dの全てに当てた保水性部材38A〜38Dについて接触抵抗Zaを測定することができる。
【0058】
なお、2電極法を用いる他の例として、ステップS100では、電流供給用電極及び電圧測定用電極を電極16A、16Cに切り替え、ステップS100Bでは、電流供給用電極及び電圧測定用電極を電極16B、16Dに切り替えるようにしてもよい。
【0059】
このように、本実施形態では、電極16A〜16Dの位置に対応して配置された保水性部材38A〜38Dを備えた補助シート30を用いて生体電気抵抗を測定するため、電極16A〜16Dが汚れるのを防ぐことができ、皮下脂肪厚計10を衛生的に使用することができる。また、補助シート30の保水性部材を濡らして使用することで接触抵抗を低下させることができ、生体電気抵抗を精度良く測定することができるため、皮下脂肪厚を精度良く算出することができる。また、保水性部材38A〜38Dと基材34との間に間隙36が設けられているため、保水性部材38A〜38Dが水分を含んで膨張しても補助シート30が変形するのを防ぐことができる。また、接触抵抗を測定して補助シート30の保水性部材が乾燥しているか否かを判定し、乾燥していると判定した場合はユーザーに報知するので、ユーザーに補助シート30の保水性部材が乾燥していることを容易に認識させることができる。
【0060】
なお、本実施形態では、2電極法で接触抵抗Zaを測定したが、3電極法で接触抵抗Zaを測定してもよい。
【0061】
図14〜18には、3電極法を用いた場合の電極の選択の例を示した。
図14は、電流供給用電極として電極16B、16Dを選択し、電圧測定用電極として電極16C、16Dを選択している。
図15は、電流供給用電極として電極16C、16Dを選択し、電圧測定用電極として電極16B、16Dを選択している。
図16は、電流供給用電極として電極16B、16Dを選択し、電圧測定用電極として電極16A、16Dを選択している。
図17は、電流供給用電極として電極16A、16Dを選択し、電圧測定用電極として電極16B、16Dを選択している。
図18は、電流供給用電極として電極16A、16Dを選択し、電圧測定用電極として電極16C、16Dを選択している。
【0063】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0064】
図19には、第2実施形態に係る皮下脂肪厚計10Aのブロック図を示した。
図19に示す皮下脂肪厚計10Aが
図2に示す皮下脂肪厚計10と異なるのは、マルチプレクサ18に代えてアナログスイッチ群40を備えた点である。その他の構成は
図2の皮下脂肪厚計10と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0065】
図20に示すように、アナログスイッチ群40は、2つのアナログスイッチ40A、40Bを含む。電極16A、16Bはアナログスイッチ40Aに接続され、電極16C、16Dは、アナログスイッチ40Bに接続されている。
【0066】
電流供給部20は、アナログスイッチ40Aの他端とアナログスイッチ40Bの一端との間に接続され、電圧測定部22は、アナログスイッチ40Aの一端とアナログスイッチ40Bの他端との間に接続されている。
【0067】
図21に示すように、2電極法を用いる場合には、制御部24は、アナログスイッチ40A、40Bを両方オンさせる。これにより、電極16A、16Bは1つの電極とみなせ、電極16C、16Dも1つの電極とみなせる。このため、電流供給用電極と電圧測定用電極とが同一となり、2電極法による生体電気抵抗の測定が可能となる。
【0068】
3電極法を用いる場合には、制御部24は、アナログスイッチ40A、40Bの何れか一方をオンさせる。例えば
図22に示すように、アナログスイッチ40Aをオフしてアナログスイッチ40Bをオンした場合、電極16C、16Dは1つの電極とみなせる。また、
図23に示すように、アナログスイッチ40Aをオンしてアナログスイッチ40Bをオフした場合、電極16A、16Bは1つの電極とみなせる。これにより、1つの電極とみなされた電極が電流供給用電極及び電圧測定用電極を兼用するため、3電極法による生体電気抵抗の測定が可能となる。
【0069】
図20に示すように、4電極法を用いる場合は、制御部24は、アナログスイッチ40A、40Bの両方をオフする。これにより、電流供給用電極と電圧測定用電極とが異なり、4電極法による生体電気抵抗の測定が可能となる。
【0071】
本実施形態では、本発明に係る生体電気抵抗測定装置用シートを体脂肪計用に適用した場合について説明する。なお、第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0072】
図24には、本実施形態に係る体脂肪計50の平面図を示した。
図24に示すように、体脂肪計50は、一例として楕円形状の電極16A〜16D、表示部12、及び操作部14を備えている。体脂肪計50の制御系の構成は、
図2に示した皮下脂肪厚計10の制御系の構成と同様であり、実行される処理も
図8、11と同様であるが、ステップS110で体脂肪率を算出する点、ステップS112で体脂肪率を表示、記憶する点が異なる。
【0073】
図25には、体脂肪計50用の補助シート52の平面図を示した。
図25に示すように、保水性部材38A〜38Dは、電極16A〜16Dの形状に対応して楕円形状であり、繊維方向Aの端部が基材34に支持されている。
図24に示す体脂肪計50に補助シート52を重ねた場合に、保水性部材38A〜38Dの各々が、対応する電極16A〜16Dを覆うようになっている。これにより、電極16A〜16Dに汚れが付着するのを防ぐことができる。また、補助シート52は、保水性部材38A〜38Dの繊維方向Aと直交する方向に間隙36を設けている。これにより、保水性部材38A〜38Dが水分を含んで繊維方向と直交する方向に膨張しても、補助シート52が変形するのを防ぐことができる。
【0074】
足の裏が角質化すると、電極16A〜16Dとの接触抵抗が増加し、生体電気抵抗を精度良く測定するのが困難になるが、
図25に示すような補助シート52の保水性部材38A〜38Dを濡らして体脂肪計50にセットしてから測定することにより、生体電気抵抗を精度良く測定することができる。
【0075】
図26には、2電極法で生体電気抵抗を測定する場合における電極16A〜16D、電流供給部20、及び電圧測定部22の接続関係を示した。
図26に示すように、2電極法の場合は、電極16A、16Bの両方に電流供給部20及び電圧測定部22が接続される。なお、
図27に示すように、電極16C、16Dの両方に電流供給部20及び電圧測定部22を接続してもよい。
【0076】
図28には、3電極法で生体電気抵抗を測定する場合における電極16A〜16D、電流供給部20、及び電圧測定部22の接続関係を示した。
図28に示すように、3電極法の場合は、電極16A、16Bに電流供給部20を接続し、電極16B、16Cに電圧測定部22を接続する。なお、
図29に示すように、電極16A、16Dに電流供給部20を接続し、電極16C、16Dに電圧測定部22を接続してもよい。
【0077】
図30には、4電極法で生体電気抵抗を測定する場合における電極16A〜16D、電流供給部20、及び電圧測定部22の接続関係を示した。
図30に示すように、4電極法の場合は、電極16A、16Bに電流供給部20を接続し、電極16C、16Dに電圧測定部22を接続する。
【0078】
なお、上記各実施形態では、全ての電極に対応して保水性部材を設けた場合について説明したが、電流供給用電極及び電圧測定用電極のうち何れか一方の電極のみに対応して保水性部材を設けてもよい。すなわち、4つの電極16A〜16Dのうち、電流供給用電極及び電圧測定用電極のうち何れか一方の電極として用いる2つの電極のみに対応して2つの保水性部材を備え、他の2つの電極をカバーする部分については、保水性を有さない導電性の素材を用いても良い。
【0079】
また、例えば皮下脂肪厚計10や体脂肪計50で測定した生体電気抵抗を、携帯電話、スマートフォン、及びタブレット端末等の携帯端末に送信し、携帯端末において皮下脂肪厚や体脂肪率を算出して表示するようにしてもよい。