特許第6332641号(P6332641)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6332641
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】床材
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/02 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   E04F15/02 A
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-195559(P2015-195559)
(22)【出願日】2015年10月1日
(62)【分割の表示】特願2013-52064(P2013-52064)の分割
【原出願日】2013年3月14日
(65)【公開番号】特開2016-27243(P2016-27243A)
(43)【公開日】2016年2月18日
【審査請求日】2016年1月15日
【審判番号】不服2016-14713(P2016-14713/J1)
【審判請求日】2016年9月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511039108
【氏名又は名称】株式会社プラスウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092680
【弁理士】
【氏名又は名称】入江 一郎
(72)【発明者】
【氏名】長 島 閲
【合議体】
【審判長】 井上 博之
【審判官】 西田 秀彦
【審判官】 前川 慎喜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−167472号公報
【文献】 実開平6−44934号公報
【文献】 特開2006−7713号公報
【文献】 特開平9−99402号公報
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F15/00-15/04
B32B5/02,21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
突板で形成された第1の層と、
この第1の層の裏面に接合された高硬度樹脂を含浸若しくは塗布した含浸紙で形成された第2の層と、
この第2の層の裏面に接合された軟質シートで形成された第3の層と、
この第3の層の裏面に接合された樹脂含浸紙で形成された第4の層と、
を備え、
前記突板の表面には、切り込みが形成されていないものであり、
前記第1の層の厚みは、約0.2mm〜約3mm程度のものであり、
前記軟質シートは、ゴム硬度、ショアAで、10〜100程度のものであり、
前記第4の層の前記樹脂含浸紙は、ガーレー剛度50〜1900(mg)、又は、鉛筆硬度4H以上の高硬度樹脂を含浸若しくは塗布した含浸紙であり、
前記第2の層の厚みは、約0.1mm〜約0.3mmであり、
前記第3の層の厚みは、約1mm〜約3mm程度のものであり、
前記第4の層の厚みは、約0.1mm〜約0.3mm程度のものであり、
サネ組をしなくても、反りや伸縮を抑えることができる
ことを特徴とする床材。
【請求項2】
突板で形成された第1の層と、
この第1の層の裏面に接合された高硬度樹脂を含浸若しくは塗布した含浸紙又は、ガラス繊維のシートで形成された第2の層と、
この第2の層の裏面に接合された軟質シートで形成された第3の層と、
この第3の層の裏面に接合された不織布又は織布又は樹脂含浸紙で形成された第4の層と、
を備え、
前記突板の表面には、切り込みが形成されていないものであり、
前記第1の層の厚みは、約0.2mm〜約3mm程度のものであり、
前記軟質シートは、ゴム硬度、ショアAで、10〜100程度のものであり、
前記第2の層の厚みは、前記高硬度樹脂を含浸若しくは塗布した含浸紙の場合、約0.1mm〜約0.3mmであり、前記ガラス繊維のシートの場合、約0.1mm〜約0.6mmであり、
前記第3の層の厚みは、約1mm〜約3mm程度のものであり、
前記第4の層の厚みは、前記不織布又は織布の場合、約0.1mm〜約0.6mmであり、前記樹脂含浸紙の場合、約0.1mm〜約0.3mmであり、
サネ組をしなくても、反りや伸縮を抑えることができる
ことを特徴とする床材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床材に係り、特に、使用勝手の良好な床材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無垢の天然木フローリングや、合板又はMDF(中密度繊維板)の表面に天然
木の突板を貼った複合床材などは、湿度変化により床材の反りや伸縮が発生し、床材どう
しの隙間が大きく変化したり、反りにより表面が平滑ではなくなるため、床材の側面に予
め雄サネ形状と雌サネ形状を設け、床下地に敷く(施工する)際に、サネ組をして反りや
伸縮が発生しても、隙間や平滑性を維持する方法がとられる。
床下地に、接着剤などで直接敷く直貼りタイプの床材の場合も、床下地の不陸(凹凸
)により床材と床下地の間に隙間ができて、接着不良や変形を起こさないように、床材の
裏面にあらかじめ発泡ポリエチレンなどのクッション性のあるシートを貼っているが、隣
同士の床材はやはりサネ組によって連結させている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−144282号公報 図1参照
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、サネ組をすることにより、反りや伸縮は抑えられるが、同時に施工技
術自体が熟練を必要とし、プロの職人に頼まないと難しい。
また、傷んだり破損した床材の一部分をだけ貼り換えたくとも、隣同士がサネで連結
しているため困難で、かなりの範囲で破壊しないと貼り換えられないという問題点があっ
た。
【0005】
本発明は、上記の問題点を考慮してなされた使用勝手の良好な床材及び床面を提供す
ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の床材は、突板で形成された第1の層と、この第1の層の裏面に接合された高硬度樹脂を含浸若しくは塗布した含浸紙で形成された第2の層と、この第2の層の裏面に接合された軟質シートで形成された第3の層と、この第3の層の裏面に接合された樹脂含浸紙で形成された第4の層と、を備え、前記突板の表面には、切り込みが形成されていないものであり、前記第1の層の厚みは、約0.2mm〜約3mm程度のものであり、前記軟質シートは、ゴム硬度、ショアAで、10〜100程度のものであり、前記第4の層の前記樹脂含浸紙は、ガーレー剛度50〜1900(mg)、又は、鉛筆硬度4H以上の高硬度樹脂を含浸若しくは塗布した含浸紙であり、前記第2の層の厚みは、約0.1mm〜約0.3mmであり、前記第3の層の厚みは、約1mm〜約3mm程度のものであり、前記第4の層の厚みは、約0.1mm〜約0.3mm程度のものであり、サネ組をしなくても、反りや伸縮を抑えることができる程度のものであり、サネ組をしなくても、反りや伸縮を抑えることができるものである。
また、請求項2記載の床材は、突板で形成された第1の層と、この第1の層の裏面に接合された高硬度樹脂を含浸若しくは塗布した含浸紙又は、ガラス繊維のシートで形成された第2の層と、この第2の層の裏面に接合された軟質シートで形成された第3の層と、この第3の層の裏面に接合された不織布又は織布又は樹脂含浸紙で形成された第4の層と、を備え、前記突板の表面には、切り込みが形成されていないものであり、前記第1の層の厚みは、約0.2mm〜約3mm程度のものであり、前記軟質シートは、ゴム硬度、ショアAで、10〜100程度のものであり、前記第2の層の厚みは、前記高硬度樹脂を含浸若しくは塗布した含浸紙の場合、約0.1mm〜約0.3mmであり、前記ガラス繊維のシートの場合、約0.1mm〜約0.6mmであり、前記第3の層の厚みは、約1mm〜約3mm程度のものであり、前記第4の層の厚みは、前記不織布又は織布の場合、約0.1mm〜約0.6mmであり、前記樹脂含浸紙の場合、約0.1mm〜約0.3mmであり、サネ組をしなくても、反りや伸縮を抑えることができるものである。

【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の床材によれば、第1の層の突板の温湿度変化(特に、乾燥)に伴う伸縮を第2の層の高硬度樹脂を含浸若しくは塗布した含浸紙又は、ガラス繊維のシートが、第3の層の軟質シートの熱に伴う伸縮を第4の層の不織布又は樹脂含浸紙又はガラス繊維が、それぞれ規制し、第3の層の軟質シートにより施工面の不陸(凹凸)に対応することができるため、従来のように、サネ組をしなくても、反りや伸縮を抑えることができ、使用勝手が良好な床材Fを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施例の床材の概略的断面図である。
図2図2は、図1の床材の概略的分解斜視図である。
図3図3は、図1の床材が施工面に施工された状態を示す概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施例の床材及び床面を図面を参照して説明する。
(実施例1)
図1乃至図3に示すFは床材で、床材Fは、4つの層で形成されている。1は第1の
層で、第1の層1は突板で形成されている。
第1の層1の厚みは、約0.2mm〜約3mm程度のものである。
【0010】
2は第2の層、第2の層2は、第1の層1の裏面に接合(例えば、接着剤、熱融着等
)された中密度繊維板で形成されている。
上記中密度繊維板は木質繊維を原料とする成型板(ファイバーボード)の一種で、木
材などの植物繊維を原料としドライプロセスによって製造される繊維板(ファイバーボー
ド)のうち、密度が0.35-0.80g/cm3のものをいう。
第2の層2の厚みは、約1mm〜約3mm程度のものである。
第2の層2の中密度繊維板を半裁中密度繊維板とすれば、半裁中密度繊維板の厚み
分、床材Fを薄くでき、その分、床材Fを切断等し易く、施工が容易となる。
【0011】
3は第3の層、第3の層3は、第2の層2の裏面に接合(例えば、接着剤、熱融着等
)された軟質シートで形成されている。
上記軟質シートは、ゴム硬度、ショアAで、10〜100程度のものが好ましく、よ
り好ましくは、20〜70程度のものであり、例えば、発泡ポリエチレン、軟質塩化ビニ
ル、各種エラストマー、軟質ウレタン樹脂等である。いずれも、炭酸カルシウム、タルク
、木粉といった充填物を加えると、硬さや伸縮率を調整することができる。また、使用済
の壁紙、カーペットタイル、農業用ビニールフィルム等を粉砕してリサイクルした再生原
料も使用でき、非常にエコロジーな製品となる。
第3の層3の厚みは、約1mm〜約3mm程度のものである。
【0012】
4は第4の層、第4の層4は、第3の層3の裏面に接合(例えば、接着剤、熱融着等
)された樹脂含浸紙で形成されている。
樹脂含浸紙は、高硬度樹脂樹脂(例えば、アクリル樹脂、ダップ樹脂等)を含浸若し
くは塗布した含浸紙で、ガーレー剛度50〜1900(mg)、又は、鉛筆硬度、4H以
上の厚さ0.1〜0.3 mm、目付60〜200g/m2 程度の含浸紙である。第4
の層4の厚みは、約0.1mm〜約0.6mm程度のものである。
【0013】
なお、実施例1の第1の層1は突板で形成され、第1の層1の突板は、湿度変化(特
に、乾燥)による伸縮が大であるが、第1の層1の突板の変わりに、同じく温湿度変化に
よる伸縮が大である印刷紙又は印刷樹脂シートでも良い。
また、実施例1の第4の層4は樹脂含浸紙で形成されているが、第4の層4の樹脂含
浸紙の変わりに、ガラス繊維又は不織布でも良い。ガラス繊維は、例えば、ガラス繊維か
らなる織布又は不織布で、目付30〜100g/m2 程度、厚さ0.1〜0.6 mm
程度で、接着力向上のため、接着剤を含浸したものが望ましい。不織布は、例えば、ポリ
エステル、ビニロン、ガラス等の不織布で、目付け量が10〜80g/m2で、第4の層
4の厚みは、約0.1mm〜約0.6mm程度のものである。
また、第2の層2の半裁中密度繊維板を半裁していない中密度繊維板を使用しても良
い。
【0014】
従って、上述した床材Fによれば、第1の層1の突板又は印刷紙又は印刷樹脂シート
の温湿度変化(特に、乾燥)に伴う伸縮を第2の層2の半裁中密度繊維板が、第3の層3
の軟質シートの熱に伴う伸縮を第4の層4の樹脂含浸紙又はガラス繊維又は不織布が、そ
れぞれ規制し、第3の層3の軟質シートにより施工面10の不陸(凹凸)に対応すること
ができるため、従来のように、サネ組をしなくても、反りや伸縮を抑えることができ、使
用勝手が良好な床材Fを得ることができ、また、半裁中密度繊維板の厚み分、床材を薄く
でき、その分、切断等し易く、施工が容易となる。
【0015】
(実施例2)
第1の層1は上述の実施例1と同様、突板で形成されている。
第1の層1の厚みは、約0.2mm〜約3mm程度のものである。
【0016】
2は第2の層、第2の層2は、第1の層1の裏面に接合(例えば、接着剤、熱融着等
)された高硬度樹脂を含浸若しくは塗布した含浸紙又は、ガラス繊維のシートで形成され
ている。
含浸紙は、高硬度樹脂樹脂(例えば、アクリル樹脂、ダップ樹脂等)を含浸若しくは
塗布した含浸紙で、ガーレー剛度50〜1900(mg)、又は、鉛筆硬度、4H以上の
厚さ0.1〜0.3 mm、目付60〜200g/m2 程度の含浸紙である。
また、ガラス繊維のシートは、例えば、ガラス繊維からなる織布又は不織布で、目付
30〜100g/m2 程度、厚さ0.1〜0.6 mm程度で、接着力向上のため、接
着剤を含浸したものが望ましい。
【0017】
3は第3の層、第3の層3は上述の実施例1と同様、第2の層2の裏面に接合(例え
ば、接着剤、熱融着等)された軟質シートで形成されている。
上記軟質シートは、ゴム硬度、ショアAで、10〜100程度のものが好ましく、よ
り好ましくは、20〜70程度のものであり、例えば、発泡ポリエチレン、軟質塩化ビニ
ル、各種エラストマー、軟質ウレタン樹脂等である。いずれも、炭酸カルシウム、タルク
、木炭といった充填物を加えると、硬さや伸縮率を調整することができる。また、使用済
の壁紙、カーペットタイル、農業用ビニールフィルム等を粉砕してリサイクルした再生原
料も使用でき、非常にエコロジーな製品となる。
第3の層3の厚みは、約1mm〜約3mm程度のものである。
【0018】
4は第4の層、第4の層4は、第3の層3の裏面に接合(例えば、接着剤、熱融着等
)された不織布で形成されている。
この不織布は、例えば、ポリエステル、ビニロン、ガラス等の不織布で、目付け量が
10〜80g/m2で、第4の層4の厚みは、約0.1mm〜約0.6mm程度のもので
ある。
【0019】
なお、実施例2の第1の層1は突板で形成され、第1の層1の突板は、湿度変化(特
に、乾燥)による伸縮が大であるが、第1の層1の突板の代わりに、同じく温湿度変化に
よる伸縮が大である印刷紙又は印刷樹脂シートでも良い。
また、実施例2の第4の層4は不織布で形成されているが、第4の層4の不織布の代
わりに、樹脂含浸紙又はガラス繊維でも良い。樹脂含浸紙は、例えば、高硬度樹脂樹脂(
例えば、アクリル樹脂、ダップ樹脂等)を含浸若しくは塗布した含浸紙で、ガーレー剛度
50〜1900(mg)、又は、鉛筆硬度、4H以上の厚さ0.1〜0.3 mm、目付
60〜200g/m2 程度の含浸紙である。ガラス繊維は、例えば、ガラス繊維からな
る織布又は不織布で、目付30〜100g/m2 程度、厚さ0.1〜0.6 mm程度
で、接着力向上のため、接着剤を含浸したものが望ましい。不織布の場合は、例えば、ポ
リエステル、ビニロン、ガラス等の不織布で、目付け量が10〜80g/m2で、第4の
層4の厚みは、約0.1mm〜約0.6mm程度のものである。
【0020】
従って、上述した床材Fによれば、第1の層1の突板又は印刷紙又は印刷樹脂シート
の温湿度変化(特に、乾燥)に伴う伸縮を第2の層2の高硬度樹脂を含浸若しくは塗布し
た含浸紙又は、ガラス繊維のシートが、第3の層3の軟質シートの熱に伴う伸縮を第4の
層4の不織布又は樹脂含浸紙又はガラス繊維が、それぞれ規制し、第3の層3の軟質シー
トにより施工面10の不陸(凹凸)に対応することができるため、従来のように、サネ組
をしなくても、反りや伸縮を抑えることができ、使用勝手が良好な床材Fを得ることがで
きる。
【0021】
また、上述した実施例1、2の床材Fは、サネ組を設けなくても良い分、総厚を2〜
6mm程度に抑えられるため、リフォームなどの際、古い既存の床材をはがさず、その上
から施工することも可能になるうえ、高齢者向けのバリアフリー床としても、最適である
【符号の説明】
【0022】
F 床材
1 第1の層
2 第2の層
3 第3の層
4 第4の層
図1
図2
図3