(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、無垢の天然木フローリングや、合板又はMDF(中密度繊維板)の表面に天然
木の突板を貼った複合床材などは、湿度変化により床材の反りや伸縮が発生し、床材どう
しの隙間が大きく変化したり、反りにより表面が平滑ではなくなるため、床材の側面に予
め雄サネ形状と雌サネ形状を設け、床下地に敷く(施工する)際に、サネ組をして反りや
伸縮が発生しても、隙間や平滑性を維持する方法がとられる。
床下地に、接着剤などで直接敷く直貼りタイプの床材の場合も、床下地の不陸(凹凸
)により床材と床下地の間に隙間ができて、接着不良や変形を起こさないように、床材の
裏面にあらかじめ発泡ポリエチレンなどのクッション性のあるシートを貼っているが、隣
同士の床材はやはりサネ組によって連結させている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−144282号公報
図1参照
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施例の床材及び床面を図面を参照して説明する。
(実施例1)
図1乃至
図3に示すFは床材で、床材Fは、4つの層で形成されている。1は第1の
層で、第1の層1は突板で形成されている。
第1の層1の厚みは、約0.2mm〜約3mm程度のものである。
【0010】
2は第2の層、第2の層2は、第1の層1の裏面に接合(例えば、接着剤、熱融着等
)された中密度繊維板で形成されている。
上記中密度繊維板は木質繊維を原料とする成型板(ファイバーボード)の一種で、木
材などの植物繊維を原料としドライプロセスによって製造される繊維板(ファイバーボー
ド)のうち、密度が0.35-0.80g/cm3のものをいう。
第2の層2の厚みは、約1mm〜約3mm程度のものである。
第2の層2の中密度繊維板を半裁中密度繊維板とすれば、半裁中密度繊維板の厚み
分、床材Fを薄くでき、その分、床材Fを切断等し易く、施工が容易となる。
【0011】
3は第3の層、第3の層3は、第2の層2の裏面に接合(例えば、接着剤、熱融着等
)された軟質シートで形成されている。
上記軟質シートは、ゴム硬度、ショアAで、10〜100程度のものが好ましく、よ
り好ましくは、20〜70程度のものであり、例えば、発泡ポリエチレン、軟質塩化ビニ
ル、各種エラストマー、軟質ウレタン樹脂等である。いずれも、炭酸カルシウム、タルク
、木粉といった充填物を加えると、硬さや伸縮率を調整することができる。また、使用済
の壁紙、カーペットタイル、農業用ビニールフィルム等を粉砕してリサイクルした再生原
料も使用でき、非常にエコロジーな製品となる。
第3の層3の厚みは、約1mm〜約3mm程度のものである。
【0012】
4は第4の層、第4の層4は、第3の層3の裏面に接合(例えば、接着剤、熱融着等
)された樹脂含浸紙で形成されている。
樹脂含浸紙は、高硬度樹脂樹脂(例えば、アクリル樹脂、ダップ樹脂等)を含浸若し
くは塗布した含浸紙で、ガーレー剛度50〜1900(mg)、又は、鉛筆硬度、4H以
上の厚さ0.1〜0.3 mm、目付60〜200g/m2 程度の含浸紙である。第4
の層4の厚みは、約0.1mm〜約0.6mm程度のものである。
【0013】
なお、実施例1の第1の層1は突板で形成され、第1の層1の突板は、湿度変化(特
に、乾燥)による伸縮が大であるが、第1の層1の突板の変わりに、同じく温湿度変化に
よる伸縮が大である印刷紙又は印刷樹脂シートでも良い。
また、実施例1の第4の層4は樹脂含浸紙で形成されているが、第4の層4の樹脂含
浸紙の変わりに、ガラス繊維又は不織布でも良い。ガラス繊維は、例えば、ガラス繊維か
らなる織布又は不織布で、目付30〜100g/m2 程度、厚さ0.1〜0.6 mm
程度で、接着力向上のため、接着剤を含浸したものが望ましい。不織布は、例えば、ポリ
エステル、ビニロン、ガラス等の不織布で、目付け量が10〜80g/m2で、第4の層
4の厚みは、約0.1mm〜約0.6mm程度のものである。
また、第2の層2の半裁中密度繊維板を半裁していない中密度繊維板を使用しても良
い。
【0014】
従って、上述した床材Fによれば、第1の層1の突板又は印刷紙又は印刷樹脂シート
の温湿度変化(特に、乾燥)に伴う伸縮を第2の層2の半裁中密度繊維板が、第3の層3
の軟質シートの熱に伴う伸縮を第4の層4の樹脂含浸紙又はガラス繊維又は不織布が、そ
れぞれ規制し、第3の層3の軟質シートにより施工面10の不陸(凹凸)に対応すること
ができるため、従来のように、サネ組をしなくても、反りや伸縮を抑えることができ、使
用勝手が良好な床材Fを得ることができ、また、半裁中密度繊維板の厚み分、床材を薄く
でき、その分、切断等し易く、施工が容易となる。
【0015】
(実施例2)
第1の層1は上述の実施例1と同様、突板で形成されている。
第1の層1の厚みは、約0.2mm〜約3mm程度のものである。
【0016】
2は第2の層、第2の層2は、第1の層1の裏面に接合(例えば、接着剤、熱融着等
)された高硬度樹脂を含浸若しくは塗布した含浸紙又は、ガラス繊維のシートで形成され
ている。
含浸紙は、高硬度樹脂樹脂(例えば、アクリル樹脂、ダップ樹脂等)を含浸若しくは
塗布した含浸紙で、ガーレー剛度50〜1900(mg)、又は、鉛筆硬度、4H以上の
厚さ0.1〜0.3 mm、目付60〜200g/m2 程度の含浸紙である。
また、ガラス繊維のシートは、例えば、ガラス繊維からなる織布又は不織布で、目付
30〜100g/m2 程度、厚さ0.1〜0.6 mm程度で、接着力向上のため、接
着剤を含浸したものが望ましい。
【0017】
3は第3の層、第3の層3は上述の実施例1と同様、第2の層2の裏面に接合(例え
ば、接着剤、熱融着等)された軟質シートで形成されている。
上記軟質シートは、ゴム硬度、ショアAで、10〜100程度のものが好ましく、よ
り好ましくは、20〜70程度のものであり、例えば、発泡ポリエチレン、軟質塩化ビニ
ル、各種エラストマー、軟質ウレタン樹脂等である。いずれも、炭酸カルシウム、タルク
、木炭といった充填物を加えると、硬さや伸縮率を調整することができる。また、使用済
の壁紙、カーペットタイル、農業用ビニールフィルム等を粉砕してリサイクルした再生原
料も使用でき、非常にエコロジーな製品となる。
第3の層3の厚みは、約1mm〜約3mm程度のものである。
【0018】
4は第4の層、第4の層4は、第3の層3の裏面に接合(例えば、接着剤、熱融着等
)された不織布で形成されている。
この不織布は、例えば、ポリエステル、ビニロン、ガラス等の不織布で、目付け量が
10〜80g/m2で、第4の層4の厚みは、約0.1mm〜約0.6mm程度のもので
ある。
【0019】
なお、実施例2の第1の層1は突板で形成され、第1の層1の突板は、湿度変化(特
に、乾燥)による伸縮が大であるが、第1の層1の突板の代わりに、同じく温湿度変化に
よる伸縮が大である印刷紙又は印刷樹脂シートでも良い。
また、実施例2の第4の層4は不織布で形成されているが、第4の層4の不織布の代
わりに、樹脂含浸紙又はガラス繊維でも良い。樹脂含浸紙は、例えば、高硬度樹脂樹脂(
例えば、アクリル樹脂、ダップ樹脂等)を含浸若しくは塗布した含浸紙で、ガーレー剛度
50〜1900(mg)、又は、鉛筆硬度、4H以上の厚さ0.1〜0.3 mm、目付
60〜200g/m2 程度の含浸紙である。ガラス繊維は、例えば、ガラス繊維からな
る織布又は不織布で、目付30〜100g/m2 程度、厚さ0.1〜0.6 mm程度
で、接着力向上のため、接着剤を含浸したものが望ましい。不織布の場合は、例えば、ポ
リエステル、ビニロン、ガラス等の不織布で、目付け量が10〜80g/m2で、第4の
層4の厚みは、約0.1mm〜約0.6mm程度のものである。
【0020】
従って、上述した床材Fによれば、第1の層1の突板又は印刷紙又は印刷樹脂シート
の温湿度変化(特に、乾燥)に伴う伸縮を第2の層2の高硬度樹脂を含浸若しくは塗布し
た含浸紙又は、ガラス繊維のシートが、第3の層3の軟質シートの熱に伴う伸縮を第4の
層4の不織布又は樹脂含浸紙又はガラス繊維が、それぞれ規制し、第3の層3の軟質シー
トにより施工面10の不陸(凹凸)に対応することができるため、従来のように、サネ組
をしなくても、反りや伸縮を抑えることができ、使用勝手が良好な床材Fを得ることがで
きる。
【0021】
また、上述した実施例1、2の床材Fは、サネ組を設けなくても良い分、総厚を2〜
6mm程度に抑えられるため、リフォームなどの際、古い既存の床材をはがさず、その上
から施工することも可能になるうえ、高齢者向けのバリアフリー床としても、最適である
。