(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
両眼視差を利用した立体視画像として、仮想空間内の仮想視点からの視界を表す視界画像を表示部に表示させるとともに、前記仮想空間内において前記仮想視点からの視界以外に存在する特定の対象を示す標章を、前記仮想視点から前記特定の対象までの距離に基づく視差で前記仮想視点から前記特定の対象までの距離が近いほど手前側に表示されるように前記表示部に表示させる表示制御部、
を備える表示制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について説明する。
本実施形態では、3D(3次元)の仮想空間(以下、「3D空間」ともいう)を立体視可能なHMD(Head Mounted Display)における表示を例に説明する。例えば、HMDは、ユーザの頭部に装着され、3D空間内の仮想視点からの視界を表す視界画像を表示可能である。仮想視点は、3D空間内におけるユーザの眼の位置に相当する視点であり、例えば、ユーザが3D空間を利用したゲームをプレイする場合、ユーザ(プレイヤ)またはユーザ(プレイヤ)のキャラクタの視点を示す。キャラクタとは、表示されうるオブジェクトであって、例えば、ゲームに登場する人、動物、モンスター、ロボット、物体(例えば、乗り物)等を表すものである。例えば、キャラクタは、ユーザの操作対象となったり、ユーザの操作またはゲーム処理等に基づいて移動したりする。例えば、HMDは、右目と左目との両眼視差(以下、単に「視差」ともいうことがある)を利用した立体視画像を表示可能である。また、HMDは、ジャイロ等のHMDの動きや傾きを検知するセンサを搭載しており、装着されているユーザの頭部の動きや傾きの変化などを検知し、その変化に応じてディスプレイに3D空間の視界方向の視界画像を表示する。例えば、HMDに映し出される視界画像は、ユーザの頭部が右方向を向けば3D空間内の右方向の視界画像に変化し、上方向を向けば3D空間内の上方向の視界画像に変化し、あたかもその場にいるような没入感をユーザに与えることができる。
【0011】
図1は、本実施形態に係るHMDの使用例を示す図である。本図では、ユーザの頭部にHMD10が装着されている様子を示している。ここで、ユーザが直立する方向である垂直方向をZ軸とし、Z軸に直交する軸であってユーザと表示部11とを結ぶ方向をX軸とし、Z軸及びX軸と直交する軸をY軸とする。なお、HMD10の表示画面において、縦方向がZ軸方向、横方向がY軸方向、奥行き方向がX軸方向にそれぞれ対応する。
【0012】
また、Z軸を軸とした回転方向への変化をヨー方向(左右方向)への変化ともいい、Y軸を軸とした回転方向への変化をピッチ方向(上下方向)への変化ともいい、X軸を軸とした回転方向への変化をロール方向への変化ともいう。例えば、上述したセンサ12は、各軸の回転方向(ヨー方向、ピッチ方向、およびロール方向)の角速度または角加速度を検知する。なお、ヨー方向への変化を左右方向への変化、ピッチ方向への変化を上下方向への変化、ともいうことがある。
【0013】
図2は、本実施形態に係る視界空間及び死角空間の定義を示す説明図である。この図において、3D空間内の仮想視点K(ユーザの仮想視点)をX軸、Y軸、及びZ軸の交点(原点)とし、ユーザの視線方向をX軸方向とすると、仮想視点Kからの視界の内側となる視界空間は、視線方向(X軸方向)を中心としたヨー角α(破線aと破線bとの内角、及び破線cと破線dとの内角)とピッチ角β(破線aと破線dとの内角、及び破線bと破線cとの内角)とで定まる範囲である。ユーザは、この視界空間の視界画像を視認可能である。一方、この視界空間以外(即ち、視界外)は死角空間であり、ユーザは視認することができない。なお、視界空間であっても、距離が遠すぎること、または障害物があることによって視認できない場合もあり得るが、ここでは、上記ヨー角αとピッチ角βとで定まる範囲を視界空間、視界空間以外を死角空間と定義して説明する。なお、ヨー角α及びピッチ角βは、HMD10に表示させる3D空間の視界画像の画角として予め設定された角度である。
【0014】
また、3D空間内には、3D空間内の視線方向(X軸方向)に直交する面L1に各種のオブジェクトが必要に応じて配置される。例えば、視線方向に対応する注視点を視認可能とするためのオブジェクトである注視点P1が、この面L1において視界の範囲を示す破線a、b、c、dとの交点a1、b1、c1、d1を頂点とした四角形で囲まれる範囲(視界)の中央(即ち、面L1とX軸の交点)に配置される。なお、注視点P1が配置される位置は、面L1において、交点a1、b1、c1、d1を頂点とした四角形で囲まれる範囲(視界)の中央に限らず、他の位置(例えば、中央より若干下の位置など)に配置されてもよい。この図において交点a1、b1、c1、d1及び面L1のX軸方向の位置は、3D空間内の物理的な位置を示すものではなく、各種オブジェクトが配置されるレイヤ(層)を表している。このレイヤは、複数設けられてもよく、配置されるオブジェクトの種類によって異なるレイヤに配置されてもよい。配置されたオブジェクトのうち視界空間に配置されたオブジェクトは、視界画像としてHMD10の表示画面に表示されることになる。例えば、本実施形態のゲームでは、3D空間内に構造物や植物、敵キャラクタ、注視点P1等のオブジェクトが配置され、3D空間のうちの視界空間に配置されているオブジェクトが視界画像として立体視表示される。なお、配置されるオブジェクトは、2次元形状であってもよいし、3次元形状(立体)であってもよい。
【0015】
ユーザの頭部がピッチ方向またはヨー方向に変化すると、その変化に応じて視線方向がX軸方向からピッチ方向またはヨー方向に変化し、視界空間もピッチ方向またはヨー方向に変化する。また、ユーザの頭部がロール方向に変化すると、視線方向はX軸方向のまま、視界空間がロール方向に回転する。これらの視界空間の変化に応じて死角空間も変化する。
【0016】
上述したように、HMD10においてユーザが視界画像として視認できるは、3D空間のうち視界空間にある情報であり、死角空間にある情報は視認できない。例えば、3D空間内で敵を倒すようなゲームにおいては、この死角空間内に存在する敵キャラクタが近づいてきて突然攻撃されて倒されても、ユーザは何故倒されたのか理解できないようなことも起こり得る。そこで、本実施形態では、例えば、死角空間に存在する敵キャラクタを示す標章を、仮想視点から敵キャラクタまでの距離に基づく視差で立体視表示させる。つまり、本実施形態では、3D空間のゲーム画像が表示されるHMD10のゲーム画面において画面の縦方向及び横方向のみならず奥行き方向も利用し、死角空間に存在する敵キャラクタまでの距離に応じて、敵キャラクタを示す標章を奥行き方向の表示に反映させる。ここで、上記の「標章」は、敵キャラクタの位置を示すためのマーカとして、例えば、敵キャラクタを簡易的な図形、記号、文字などで表したオブジェクトであり、以下の説明では「位置マーカ」ともいう。
【0017】
なお、両眼視差を利用した立体視画像を表示する場合、右目用と左目用のそれぞれの仮想視点に対応する視界方向及び視線方向があり、それぞれの視界方向及び視線方向の視界画像と各種オブジェクトとが含まれる右目用画像と左目用画像が表示されるが、本実施形態では、説明を容易にするために右目用と左目用とを区別せずに説明する。
【0018】
続いて、本実施形態において死角空間に存在する敵キャラクタの位置をユーザに知らせるための位置マーカの表示について、
図3〜
図5を参照して説明する。
図3は、3D空間内の視界空間と死角空間とを表した図である。この図は、3D空間を上方から俯瞰して平面的に表した図である。仮想視点Kに対して前方(
図1に示す状態でX軸の正方向)にヨー角αの範囲が視界空間、それ以外が死角空間である。ここでは、仮想視点Kに対して左方向(
図1に示す状態でY軸の負方向)側(左側)の死角空間を死角空間A、後方(
図1に示す状態でX軸の負方向)側の死角空間を死角空間B、右方向(
図1に示す状態でY軸の正方向)側(右側)の死角空間を死角空間Cとする。なお、この図では、各空間を平面的に表しているが、実際にはそれぞれ上下方向(
図1に示す状態でZ軸の正負方向)にも広がる空間である。
【0019】
図4は、本実施形態に係るゲーム画面の一例を示す図である。図示するゲーム画面G10は、3D空間内で敵を倒すゲームのゲーム画面の一例であり、視界空間の視界画像が両眼視差を用いた立体視画像としてHMD10に表示される。ゲーム画面G10内の端に近い領域に示す破線F1〜F4は、死角空間に存在する敵キャラクタの位置マーカが表示される場所を示しており、実際に表示されるものではない。
【0020】
ゲーム画面G10内の左側に示す縦の破線F1は、仮想視点Kに対して左側(即ち、視界の左側)の死角空間Aに存在する敵キャラクタの位置マーカが表示される。一方、ゲーム画面G10内の右に示す縦の破線F2は、仮想視点Kに対して右側(即ち、視界の右側)の死角空間Cに存在する敵キャラクタの位置マーカが表示される。また、死角空間Aまたは死角空間Cに存在する敵キャラクタの上下方向の位置に基づいて、破線F1、F2上に表示される位置マーカの縦方向の位置が定まる。仮想視点Kと同じ高さの位置に存在する敵キャラクタの位置マーカは、破線F1または破線F2上の縦方向の中心に表示される。また、仮想視点Kより高い位置に存在する敵キャラクタの位置マーカは破線F1または破線F2上の縦方向の中心より上側に表示され、仮想視点Kより低い位置に存在する敵キャラクタの位置マーカは破線F1または破線F2上の縦方向の中心より下側に表示される。このときの中心からの距離は、仮想視点Kの高さと位置マーカの高さとの差分に応じた距離となる。
【0021】
また、ゲーム画面G10内の上側に示す縦の破線F3と下側に示す破線F4とは、仮想視点Kに対して後方側(即ち、視界の後ろ側)の死角空間Bに存在する敵キャラクタの位置マーカが表示される。上側の破線F3と下側の破線F4とのいずれに表示されるかは、敵キャラクタの上下方向の位置に基づいて定まる。仮想視点Kより高い位置に存在する敵キャラクタの位置マーカは上側の破線F3に表示され、仮想視点Kより低い位置に存在する敵キャラクタの位置マーカは下側の破線F4に表示される。なお、仮想視点Kと同じ高さに存在する敵キャラクタの位置マーカは、上側の破線F3と下側の破線F4とのいずれに表示されてもよく、予めいずれかに定められていてもよい。また、死角空間Bに存在する敵キャラクタの左右方向の位置に応じて、破線F3、F4上に表示される位置マーカの横方向の位置が定まる。
【0022】
図示する例では、死角空間C内の仮想視点Kより高い位置に存在する敵キャラクタV1の位置マーカM1がゲーム画面G10内の破線F2上に表示されている。なお、本図では、1つの位置マーカが表示されている例を示しているが、死角空間内に複数の敵キャラクタが存在する場合には複数の位置マーカが表示され、死角空間内に敵キャラクタが存在しない場合には位置マーカは表示されない。
【0023】
また、ゲーム画面G10内に表示される位置マーカは、仮想視点Kから敵キャラクタまでの距離に基づく視差を付けて立体視表示される。即ち、死角空間に存在する敵キャラクタの位置マーカは、敵キャラクタまでの距離に応じた奥行き表現で立体視が可能なように表示される。
図5は、位置マーカの立体視表示のイメージ図である。死角空間に存在する敵キャラクタが仮想視点Kに近いほど位置マーカM1は手前側に見えるように表示され、仮想視点Kから遠くなるほど位置マーカM1は奥側に見えるように表示される。なお、この図は、両眼視差を利用した立体視表示における位置マーカの遠近を表現したイメージ図であって、実際の表示画像ではない。
【0024】
このように、死角空間に存在する敵キャラクタを示す位置マーカが、敵キャラクタの存在する方向に応じた位置に、距離に応じた視差で立体視表示されるので、死角空間に存在する敵キャラクタの方向及び距離を直観的に把握しやすくすることができる。なお、死角空間に存在する情報として表示させるものは、敵キャラクタの位置マーカに限られるものではなく、ユーザに対して報知する必要がある情報であればいずれの情報であってもよい。
【0025】
〔HMDシステムの構成〕
次に、本実施形態に係るHMDシステムの構成について説明する。
図6は、本実施形態に係るHMDシステムのハードウェア構成の一例を示す図である。図示するHMDシステム1は、HMD10と、HMD10にゲーム画像を表示させるゲーム装置20とを備えている。
【0026】
HMD10は、表示部11と、センサ12と、通信部13と、CPU(Central Processing Unit)14とを備えている。表示部11は、画像やテキスト等の情報を表示するディスプレイであり、例えば、液晶ディスプレイパネル、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイパネルなどを含んで構成される。例えば、表示部11は、3D空間内の仮想視点(HMDを装着しているユーザの眼)からの視界画像として、両眼視差を利用した立体視画像(右目用画像及び左目用画像)を表示する。また、表示部11は、3D空間内に配置された各種オブジェクトを視界画像とともに表示する。各種オブジェクトとは、例えば、ゲームに登場するキャラクタやアイテム、ゲームの進行に応じて行われる演出、ユーザの操作により選択可能な選択メニュー、仮想視点からの視線方向の先の視線位置を示す注視点P1、または、上述した位置マーカ等である。
【0027】
センサ12は、HMD10の方向に関する情報を検知するセンサである。例えば、センサ12は、物体の角度、角速度、角加速度等を検知するジャイロセンサである。なお、センサ12は、方向の変化を検知するセンサであってもよいし、方向そのものを検知するセンサであってもよい。例えば、センサ12は、ジャイロセンサに限られるものではなく、加速度センサ、傾斜センサ、地磁気センサ等であってもよい。通信部13は、ゲーム装置20と有線または無線により通信を行う。CPU14は、HMD10が備える各部を制御する制御中枢として機能する。例えば、CPU14は、ゲーム装置20から送信されるゲーム画像の画像データを通信部13を介して取得し、表示部11に表示させる。また、CPU14は、センサ12の検知結果に基づいてHMD10の方向に関する情報を、ゲーム装置20へ送信する。
【0028】
ゲーム装置20は、3D空間を用いたゲームのゲーム処理を実行するコンピュータ装置であり、家庭用ゲーム機、パーソナルコンピュータ、ゲームセンター等に設置されているアーケードゲーム機、スマートフォンやフィーチャーフォン等の携帯電話機、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)、タブレットPC、等が適用できる。本実施形態では、ゲーム装置20は家庭用ゲーム機であるとして説明する。
【0029】
図示するゲーム装置20は、入力部21と、スピーカ22と、記憶部23と、通信部24と、CPU25と、を備えている。入力部21は、ユーザの操作により各種の指示が入力される入力装置である。例えば、入力部21は、コントローラ、キーボードやマウス、タッチパッドや、音声により各種の指示が入力されるマイクロホンなど、その他の入力装置であってもよい。スピーカ22は、音声信号に基づいて音声を出力する出力装置である。なお、スピーカ22に代えて、外部スピーカやヘッドフォンやイヤフォン等に音声信号を出力する音声出力端子であってもよい。また、スピーカ22は、HMD10側に備えられてもよい。
【0030】
記憶部23は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを含み、3D空間データ(画像データ)や、3D空間内に配置されるオブジェクトのデータ、3D空間を用いたゲームのプログラムやデータ等を記憶する。通信部24は、HMD10と有線または無線により通信を行う。
【0031】
CPU25は、ゲーム装置20が備える各部を制御する制御中枢として機能する。例えば、CPU25は、記憶部23に記憶されたゲームのプログラムを実行することで、ゲーム処理を実行し、HMD10へ表示させるゲーム画像の表示を制御する制御部(表示制御装置)として機能する。
【0032】
なお、上述したHMD10及びゲーム装置20の各ハードウェア構成は、バス(Bus)を介して相互に通信可能に接続されている。
【0033】
例えば、ゲーム装置20は、3D空間を利用したゲームのプログラムを実行する。このゲームは、ユーザがHMD10を頭部に装着した状態で、HMD10(表示部11)に表示されるゲーム画像(視界空間の視界画像)を頭部の向きなどを変更しながらプレイするものである。ゲーム装置20は、HMD10が備えるセンサ12の検知結果に基づいてHMD10の方向(即ち、ユーザの視線方向)に関する情報を検出し、検出結果に基づく視界空間の視界画像(ゲーム画像)を表示部11に表示させる。また、ゲーム装置20は、3D空間内に敵キャラクタを発生させ、プログラムに基づいて敵キャラクタによる攻撃や防御を制御する。また、ゲーム装置20は、入力部21を介して入力されるユーザの操作指示に基づいて、ユーザ(プレイヤキャラクタ)による攻撃や防御を制御する。ここで、ゲーム装置20は、3D空間内に発生させた敵キャラクタのうち視界空間に存在する敵キャラクタについては、視界画像として立体視表示させる。一方、ゲーム装置20は、死角空間に存在する敵キャラクタについては、
図3〜
図5を参照して説明したように位置マーカとして視界画像の所定の位置に立体視表示させる。以下では、ゲーム装置20が、死角空間に存在する敵キャラクタの位置マーカを表示させる表示制御を行う機能構成について、詳しく説明する。
【0034】
〔機能構成〕
図7は、本実施形態に係るゲーム装置20の機能構成の一例を示すブロック図である。ゲーム装置20は、記憶部23に記憶されているプログラムをCPU25が実行することにより実現される機能構成として、制御部250を備えている。制御部250は、検出部251と、3D空間データ制御部252と、空間判定部253と、表示制御部254と、を備え、ゲーム画像の表示を制御する表示制御装置として機能する。ここでは、制御部250が、死角空間に存在する敵キャラクタの位置マーカを表示させる制御に関する機能について説明する。
【0035】
検出部251は、HMD10から通信部24を介して取得するセンサ12の検知結果に基づいて、HMD10の方向に関する情報を検出する。また、検出部251は、HMD10の方向に関する情報に基づいて、3D空間における仮想視点からの視線方向に対応する注視点を検出する。例えば、検出部251は、センサ12が検知する方向、または方向の変化に関する情報に基づいて、HMD10を装着したユーザの視界方向または視界方向の変化を、HMD10が向いている方向によって検出するとともに、視界の範囲の中央となる注視点P1の位置(例えば、3D空間に設定されている座標位置)を検出する。なお、検出部251は、視界方向の変化速度に関する情報を検出してもよい。
【0036】
3D空間データ制御部252は、記憶部23の3D空間データに基づいて、3D空間内に各種のオブジェクトを配置する。例えば、3D空間データ制御部252は、地形、構造物や植物等が設定されたベースとなる3D空間内に敵キャラクタ等を配置する。
【0037】
空間判定部253は、検出部251が検出した視界方向に基づいて、3D空間のうちの視界空間を判定する。例えば、空間判定部253は、検出部251が検出した視界方向と予め設定されたヨー角α及びピッチ角βとに基づいて、3D空間に配置された敵キャラクタが視界空間に配置されているか否かを判定する。
【0038】
表示制御部254は、検出部251の検出結果に応じて視界空間内の地形、構造物や植物等、及び敵キャラクタ等を視界画像としたゲーム画像をHMD10の表示部11に表示させるゲーム画像として生成する。そして、表示制御部254は、生成したゲーム画像のデータを通信部24を介してHMD10に送信する。これにより、HMD10の表示部11にゲーム画像が表示される。以下では、表示制御部254がゲーム画像を生成して通信部24を介して送信することでHMD10に表示部11に表示させることを、省略して、表示制御部254が表示部11に表示させる、とも記述する。
【0039】
例えば、表示制御部254は、両眼視差を利用した立体視画像として、3D空間内の仮想視点からの視界を表す視界画像を表示部11に表示させる。また、表示制御部254は、3D空間内において仮想視点からの視界以外(即ち、死角空間)に存在する敵キャラクタを示す位置マーカを表示部11に表示させる。このとき、表示制御部254は、視界に対する敵キャラクタが存在する位置の方向に基づいて、位置マーカを表示させる位置を制御する。例えば、
図4に示すように、表示制御部254は、左側の死角空間Aに存在する敵キャラクタの位置マーカをゲーム画面内の左側に表示させ、右側の死角空間Cに存在する敵キャラクタの位置マーカをゲーム画面内の右側に表示させる。また、表示制御部254は、死角空間Aまたは死角空間Cに存在する敵キャラクタの上下方向の位置に応じて、位置マーカの縦方向(上下)の表示位置を決める。また、表示制御部254は、後方側の死角空間Bに存在する敵キャラクタの位置マーカを、敵キャラクタの上下方向の位置に応じてゲーム画面内の上側または下側に表示させる。この場合、表示制御部254は、死角空間Bに存在する敵キャラクタの左右方向の位置に応じて、位置マーカの横方向(左右)の表示位置を決める。また、表示制御部254は、仮想視点から敵キャラクタまでの距離に相当する視差を付けて位置マーカを表示部11に表示させる。
【0040】
〔位置マーカ表示処理の動作〕
次に、
図8を参照して、ゲーム装置20が実行する位置マーカの表示処理の動作を説明する。
図8は、本実施形態に係る位置マーカ表示処理の一例を示すフローチャートである。ゲームが開始されると、制御部250は、HMD10のセンサ12の検知結果に基づいて角速度を検出する(ステップS100)。次に、制御部250は、検出した角速度に基づいて、HMD10の3D空間における視線方向を検出し、検出した視線方向に基づいて視界空間を判定する(ステップS102)。
【0041】
制御部250は、3D空間のうちの視界空間を判定すると、その視界空間に存在するオブジェクト(敵キャラクタ等)を含む視界画像を表示部11に立体視表示させる(ステップS104)。
【0042】
次に、制御部250は、死角空間に敵キャラクタが存在するか否かを判定する(ステップS106)。制御部250は、死角空間に敵キャラクタが存在しないと判定した場合(NO)、位置マーカを表示させる必要がないため、ステップS110の処理に進む。一方、制御部250は、死角空間に敵キャラクタが存在すると判定した場合(YES)、敵キャラクタの位置に基づいて位置マーカを表示部11に立体視表示させる(ステップS108)。具体的には、制御部250は、敵キャラクタの位置マーカを、仮想視点に対する敵キャラクタの方向に応じたゲーム画面内の位置に表示させるとともに、仮想視点から敵キャラクタまでの距離に応じた視差で立体視表示させる(
図4、5参照)。
【0043】
次に、制御部250は、HMD10のセンサ12の検知結果に基づいて角速度を検出する(ステップS110)。そして、制御部110は、検出した角速度に基づいて、視界方向の変化があるか否かを判定する(ステップS112)。視界方向の変化がないと判定された場合(NO)、視界空間及び死角空間が変わらないため、制御部250は、ステップS106の処理に戻し、死角空間に敵キャラクタが存在するか否かを判定する。そして、制御部250は、ステップS106以降の処理において、死角空間に存在する敵キャラクタの位置マーカの表示を制御する。
【0044】
つまり、制御部250は、死角空間に敵キャラクタが存在する間は、その敵キャラクタの位置に基づいて位置マーカを表示部11に立体視表示させることになる。例えば、制御部250は、死角空間内の敵キャラクタが移動した場合には、移動した位置に基づいて位置マーカを表示部11に立体視表示させる。移動後の敵キャラクタが視界空間に入った場合には、制御部250は、位置マーカの表示を終了し、視界画像として敵キャラクタを立体視表示させる。なお、制御部250は、移動後の敵キャラクタが視界空間に入った場合でも、位置マーカの表示を継続してもよい。また、死角空間に新たな敵キャラクタが発生または移動してきた場合、制御部250は、その敵キャラクタの位置マーカを、その敵キャラクタの位置に基づいて表示部11に立体視表示させる。なお、制御部250は、死角空間内の敵キャラクタが存在しなくなると、表示部11に立体視表示させていた当該敵キャラクタの位置マーカを非表示にする。
【0045】
一方、ステップS112において視界方向の変化があると判定された場合(YES)、視界空間及び死角空間が変わるため、制御部250は、ステップS102の処理に戻し、視界空間の判定を行う。そして、制御部250は、ステップS106以降の処理において、変更された視界空間及び死角空間に対して、視界画像の表示、及び死角空間に存在する敵キャラクタの位置マーカの表示を制御する。
【0046】
〔第1の実施形態のまとめ〕
以上説明してきたように、本実施形態に係るゲーム装置20(表示制御装置の一例)は、表示制御部254を備えている。表示制御部254は、両眼視差を利用した立体視画像として、3D空間内の仮想視点からの視界を表す視界画像を、HMD10の表示部11に表示させるとともに、3D空間内において仮想視点からの視界以外(死角空間)に存在する敵キャラクタ(特定の対象の一例)を示す位置マーカ(標章の一例)を、仮想視点から敵キャラクタまでの距離に基づく視差で表示部11に表示させる。
【0047】
これにより、ゲーム装置20は、死角空間に存在する敵キャラクタを示す位置マーカを、該敵キャラクタまでの距離に基づく視差で距離として(立体視で)表現するので、死角空間に存在する敵キャラクタまでの距離を直観的に把握しやすくすることができる。即ち、本実施形態によれば、3D空間の視界外にある情報を直観的に把握しやすくすることができる。
【0048】
なお、本実施形態では、位置マーカを表示させる死角空間に存在する特定の対象として、キャラクタ(敵キャラクタ)を例に説明した。例えば、3D空間内でユーザがキャラクタを操作するアクションゲームなどのようにリアルタイム性の高いゲームでは、敵キャラクタとの距離を素早く認識して対応する必要があるが、従来、死角空間において近くにいる敵キャラクタの存在を把握するのに遅れてしまう場合があった。本実施形態では、死角空間に存在する敵キャラクタまでの距離を直観的に把握しやすることができるため、死角空間に存在する敵キャラクタとの距離を素早く認識することができ、有効である。
【0049】
例えば、表示制御部254は、敵キャラクタ(特定の対象の一例)を示す位置マーカ(標章の一例)を、仮想視点から敵キャラクタまでの距離に相当する視差で表示部11に表示させる。
【0050】
これにより、ゲーム装置20は、死角空間に存在する敵キャラクタまでの距離を、実際の敵キャラクタまでの距離と同じ距離に見えるように表現するため、該敵キャラクタを直観的に把握しやすくすることができる。また、ゲーム装置20は、位置マーカを表示させる際の遠近が実際の距離と同じになるため、視線方向をその位置に移動させる際に焦点距離を変える必要が無く、位置を把握し易くすることができる。
【0051】
また、表示制御部254は、視界に対する敵キャラクタ(特定の対象の一例)が存在する位置の方向に基づいて、敵キャラクタを示す位置マーカを表示させる位置を制御する。
【0052】
これにより、ゲーム装置20は、死角空間に存在する敵キャラクタの方向を、直観的に把握しやすくすることができる。例えば、ゲーム装置20は、従来のようなゲーム画面の隅に表示されるレーダー画面のようにレーダー画面上に表示された敵キャラクタの位置を3D空間内の位置に置き換えて考える必要がなく、敵キャラクタが存在する方向を直観的に把握しやすくすることができる。また、ゲーム装置20は、従来のようなゲーム画面の隅に表示されるレーダー画面に視線を移すことなく死角空間内の敵キャラクタの位置をユーザが把握できるため、視線の移動も少なくて済む。
【0053】
なお、3D空間において上方の仮想視点から下方を見た場合には、位置マーカの立体視表示の遠近は、死角空間に存在する敵キャラクタの高さを表現することになる。
図9は、
図5に示す立体視表示のイメージ図を高さ方向にしたものであり、位置マーカの高さ方向の立体視表示のイメージ図である。死角空間に存在する敵キャラクタが仮想視点Kの高さに近いほど位置マーカM1は手前側に見えるように表示され、仮想視点Kの高さから遠くなるほど(低くなるほど)位置マーカM1は奥側に見えるように表示される。
【0054】
このように、本実施形態によれば、死角空間に存在する敵キャラクタの位置(方向及び距離)を視覚化して表現するので、死角空間に存在する敵キャラクタの方向と距離の両方を直観的に把握しやすくすることができる。即ち、本実施形態によれば、3D空間の視界外にある情報を直観的且つ的確に把握しやすくすることができる。
【0055】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
本実施形態に係るHMDシステム1の基本的な構成は、
図6及び
図7に示す各構成と同様であるので、本実施形態において特徴的な処理について説明する。第1の実施形態では、死角空間に存在する敵キャラクタの位置マーカを、敵キャラクタまでの実際の距離と同じ距離に見えるように、仮想視点から敵キャラクタまでの距離に相当する視差で表示部11に表示させる例を説明した。このように位置マーカを距離に応じて立体視表示させる場合、3D空間内の別のオブジェクト(例えば壁など)の後ろ側になると、別のオブジェクトが遮蔽物となって見えなくなる(非表示となる)。そこで、本実施形態では、位置マーカを敵キャラクタまでの実際の距離よりも縮尺した距離に相当する視差で表示部11に表示させることで、該位置マーカが遮蔽物の前側に表示されるようにする。
【0056】
図10は、実際の距離より縮尺した距離で位置マーカを表現する立体視表示のイメージ図である。なお、この図は、敵キャラクタの遠近、及び立体視表示における位置マーカの遠近を表現したイメージ図であって、実際の表示画像ではない。例えば、仮想視点Kから敵キャラクタV1までの距離に対して一定の縮尺(例えば、実際の距離が10mのものを1mの距離に縮尺等)の距離で位置マーカが表現される。
【0057】
このように本実施形態では、表示制御部254は、敵キャラクタ(特定の対象の一例)を示す位置マーカ(標章の一例)を、仮想視点から敵キャラクタまでの距離を縮尺した距離に基づく視差で表示部11に表示させる。これにより、ゲーム装置20は、例えば一定の縮尺で位置マーカを表示させると、ユーザが位置マーカを視認する際の焦点距離が一定範囲内となることにより焦点移動が少なく済むため、視認性が向上し、また目の負担の軽減も期待できる。また、ゲーム装置20は、例えば視界空間の視界画像に位置マーカを表示させる場合に、その位置マーカを遮る遮蔽物が手前にあったとしても、実際の距離よりも縮尺した距離に基づく視差で位置マーカを遮蔽物のさらに手前側に表示させることできるので、遮蔽物に遮られることなく位置マーカを表示できる。
【0058】
なお、仮想視点Kから敵キャラクタV1までの距離が近いほど縮める割合を小さくし、仮想視点Kから敵キャラクタV1までの距離が遠いほど縮める割合を大きくしてもよい。この場合、優先度の高い近くにいる敵キャラクタの位置マーカについては実際の距離に近い視差で表現し、優先度の低い遠くにいる敵キャラクタの位置マーカについては実際の距離より縮尺して表現することができる。
【0059】
また、表示制御部254は、視界空間に対する敵キャラクタ(特定の対象の一例)の存在する位置の方向によって縮尺を異ならせてもよい。例えば、表示制御部254は、位置マーカを実際に距離より縮尺して表現する場合、敵キャラクタの存在する死角空間によって縮尺を変化させてもよい。
【0060】
具体的には、表示制御部254は、後方に存在する場合には1/10の縮尺で表示させ、左または右の横方向など視界空間に近い場合には1/3の縮尺で表示させる等、敵キャラクタが視界空間に近づくにつれ位置マーカの距離が実際の距離に近づくように表示させてもよい。これにより、ゲーム装置20は、視界方向を変化させて敵キャラクタが死角空間から視界空間に入る場合であっても連続的に焦点距離が変化するため、該敵キャラクタにスムーズに焦点距離を合わせることができる。
【0061】
なお、表示制御部254は、位置マーカを遮る遮蔽物が手前にある場合、位置マーカの距離を縮尺するのではなく、その遮蔽物の少なくとも一部を透明または半透明にする等の処理を行い、その遮蔽物の後ろ側となる位置マーカの視認が可能なように表示させてもよい。
【0062】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
本実施形態に係るHMDシステム1の基本的な構成は、
図6及び
図7に示す各構成と同様であるので、本実施形態において特徴的な処理について説明する。第1及び第2の実施形態において死角空間に存在する敵キャラクタを示す位置マーカの表示例について説明したが、死角空間に存在する敵キャラクタのうち、位置マーカを表示する敵キャラクタについて、位置的な制限を設けてもよい。例えば、
図10に示す仮想視点Kに対して所定の範囲に存在する敵キャラクタV1のみ位置マーカの表示対象とし、仮想視点Kから一定以上の距離に存在する敵キャラクタについては表示対象外とする。
【0063】
つまり、表示制御部254は、仮想視点から所定の距離範囲外に存在する敵キャラクタ(特定の対象の一例)を示す位置マーカ(標章の一例)の表示を制限する。例えば、表示制御部254は、所定の距離より遠くに存在する敵キャラクタについては位置マーカを表示しないように制限する。これにより、ゲーム装置20は、例えば敵キャラクタが多い場合等であっても、ユーザに知らせるべき比較的近くに存在する敵キャラクタのみに位置マーカの表示を限定できるので、ユーザが必要な情報を把握しやすくなる。なお、本実施形態では、所定の距離範囲外に存在する敵キャラクタを示す位置マーカを表示しないように制限する例を説明したが、これに限られるものではなく、位置マーカを小さく表示する、半透明で表示する等といったように目立たない表示態様に制限してもよい。
【0064】
また、表示制御部254は、仮想視点から所定の距離範囲内に存在する敵キャラクタ(特定の対象の一例)であっても、所定の領域に存在する敵キャラクタを示す標章の表示を制限してもよい。例えば、表示制御部254は、仮想視点から一定の距離以内(例えば50cm以内など)の近距離には位置マーカを表示しないように制限を設けてもよい。これにより、ゲーム装置20は、目の前に位置マーカが表示されることによりユーザの視界が遮られてしまうことを、軽減することができる。なお、本実施形態では、所定の距離範囲内であっても所定の領域に存在する敵キャラクタを示す位置マーカを表示しないように制限する例を説明したが、これに限られるものではなく、位置マーカを小さく表示する、半透明で表示する等といったように目立たない表示態様に制限してもよい。
【0065】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
本実施形態に係るHMDシステム1の基本的な構成は、
図6及び
図7に示す各構成と同様であるので、本実施形態において特徴的な処理について説明する。第1〜第3の実施形態で説明してきたように、死角空間に存在する敵キャラクタを示す位置マーカを、敵キャラクタまでの距離に基づく視差で立体視表示させるため、位置マーカの大きさを距離の表現に利用しなくてよい。
【0066】
そこで、表示制御部254は、敵キャラクタ(特定の対象の一例)の大きさに基づいて、表示部11に表示させる敵キャラクタを示す位置マーカ(標章の一例)の大きさを設定することもできる。これにより、ゲーム装置20は、死角空間の敵キャラクタの大きさを直観的に把握しやすくすることができる。
【0067】
また、表示制御部254は、敵キャラクタ(特定の対象の一例)の種類に基づいて、表示部11に表示させる敵キャラクタを示す位置マーカ(標章の一例)の表示態様を設定してもよい。例えば、表示態様とは、形状、色、大きさ、絵柄等である。これにより、ゲーム装置20は、死角空間の敵キャラクタの種類を直観的に把握しやすくすることができる。
【0068】
なお、表示制御部254は、敵キャラクタ(特定の対象の一例)の状態に基づいて、表示部11に表示させる敵キャラクタを示す位置マーカ(標章の一例)の表示態様(形状、色、大きさ、絵柄等)を設定してもよい。ここで、状態とは、通常、弱体、気絶等といった敵キャラクタの行動に関わるもの等である。
【0069】
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
本実施形態に係るHMDシステム1の基本的な構成は、
図6及び
図7に示す各構成と同様であるので、本実施形態において特徴的な処理について説明する。第1〜第4の実施形態では、死角空間に存在する敵キャラクタを示す位置マーカを表示させる例を説明したが、位置マーカとして表示させる特定の対象は、敵キャラクタに限られるものではない。本実施形態では、死角空間に存在する音を示す位置マーカを表示させる例について説明する。即ち、位置マーカを表示させる特定の対象が音である例について説明する。
【0070】
図11は、本実施形態に係るゲーム画面の一例を示す図である。この図において、破線F1〜F4は、
図4の破線F1〜F4に対応し、死角空間に存在する音(音の発生源)の位置マーカが表示される場所を示している。図示するゲーム画面G20では、死角空間に存在する音を示す位置マーカが、仮想視点に対する音の発生源の方向に対応する場所に表示される。
【0071】
図示する例では、死角空間C内に人の足音V2の発生源が存在し、人の足音V2を示す位置マーカM2がゲーム画面G20内の破線F2上に表示されている。例えば、この位置マーカM2も、仮想視点Kから音の発生源までの距離に基づく視差で立体視表示される。これにより、ゲーム装置20は、死角空間に存在する音を示す位置マーカを、該音の発生源までの距離に基づく視差で距離として(立体視で)表現するので、死角空間に存在する音までの距離を直観的に把握しやすくすることができる。即ち、表示制御装置は、仮想空間の視界外にある情報を直観的に把握しやすくすることができる。
【0072】
また、位置マーカM2は足の絵柄となっている。つまり、音の発生源の位置(方向や距離)が位置マーカの立体視表示によって表現されるのみならず、音の種類も視覚化されて表現されている。このように、ゲーム装置20は、音を視覚的に表現することで、よりゲームの状況を的確に把握しやすくできる。また、音声をOFFにしている場合や、聴覚障害を持った人にもゲームの状況を把握しやすくできる。
【0073】
例えば、表示制御部254は、音(特定の対象の一例)の大きさに基づいて、表示部11に表示させる音を示す位置マーカ(標章の一例)の大きさを設定することもできる。これにより、ゲーム装置20は、死角空間の音の大きさを直観的に把握しやすくすることができる。
【0074】
また、表示制御部254は、音(特定の対象の一例)の種類または音の高さに基づいて、表示部11に表示させる敵キャラクタを示す位置マーカ(標章の一例)の表示態様を設定してもよい。例えば、表示態様とは、形状、色、大きさ、絵柄等である。これにより、ゲーム装置20は、死角空間の音の種類や音の高さを直観的に把握しやすくすることができる。
【0075】
このように、ゲーム装置20は、死角空間の音の大きさ、種類、高さ、等を視覚的に表現することで、より的確に音の発生源をユーザに把握しやすくすることができる。なお、ゲーム装置20は、音が発生したか否かの判定を、音の発音指示の情報を取得して判定してもよい。例えば、ゲーム装置20は、音の発音指示の情報を取得する場合には、発生指示する音の情報によってマーカの色や形状を変化させる。例えば、人の声であれば人の形状の位置マーカにし、銃の発砲音であれば弾丸の形状の位置マーカにしてもよい。
【0076】
[変形例]
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上述の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、上述の第1〜5の実施形態において説明した各構成は、任意に組み合わせることができる。一例として、第1〜4の実施形態で説明した敵キャラクタを示す位置マーカと第5の実施形態で説明した音を示す位置マーカとの両方を表示させる構成としてもよい。このとき、敵キャラクタを示す位置マーカと音を示す位置マーカとの両方を視差を付けた立体視表示としてもよいし、いずれか一方を視差を付けて表示させ他方を視差を付けないで表示させてもよい。
【0077】
また、第1〜第4の実施形態では位置マーカを表示させる特定の対象が敵キャラクタ等のゲームに登場するオブジェクトである例を説明し、第5の実施形態では、特定の対象がオブジェクトに限らす音でもよいことを説明した。さらに、この特定の対象は、光源や熱源であってもよい。また、この特定の対象は、例えば動くものであればどのようなものであってもよい。
【0078】
なお、
図11に示す例では、人の足音V2を示す位置マーカM2を足の絵柄としたが、音の種類や音の高さに応じて位置マーカの表示態様を任意に設定することができる。例えば、鳥の鳴き声を示す位置マーカを鳥の形状や絵柄としてもよいし、爆発音を示す位置マーカを爆弾等の形状や絵柄としてもよい。
【0079】
また、位置マーカにその距離の情報が関連付けて表示されてもよい。即ち、ゲーム装置20は、死角空間に存在する敵キャラクタや音等を示す位置マーカの近傍に、仮想視点から敵キャラクタや音までの距離の数値等が表示されてもよい。この場合、ゲーム装置20は、位置マーカの立体視表示に加えて距離表示を行うので、死角空間に存在する敵キャラクタや音の位置をより的確に把握しやすくすることができる。
【0080】
また、上記実施形態において、HMD10がユーザの頭部に装着可能な構成例を説明したが、HMD10は、頭部に完全に装着可能な形状の構成に限られるものではない。例えば、HMD10は、ユーザが目の前に把持することで、ユーザの目と表示部11との位置関係を所定の関係に保ち、3D空間内の視界画像や各種オブジェクトを視認可能とする装置(例えば、双眼鏡のような形状)であってもよい。
【0081】
また、HMD10は、スマートフォン等の端末装置をアタッチメントに装着することでHMDとして利用できるものであってもよい。この場合、端末装置の表示部及びセンサがHMD10の表示部11及びセンサ12として機能し、また、端末装置のCPUが、ゲーム装置20のCPU25として機能する。即ち、ゲーム装置20の制御部250が備える、検出部251、3D空間データ制御部252、空間判定部253、及び表示制御部254、及びゲーム装置20の記憶部23の3D空間データ等は、上記の端末装置が備える。
【0082】
また、上記実施形態では、3D空間を利用したゲームのゲーム画面を例に説明したが、これに限られるものではない。例えば、3D空間を利用したアプリケーションであれば、ゲームに限らず、どのようなアプリケーションであってもよい。また、敵キャラクタや音の発生源等が配置される3D空間は、現実空間に基づくものであってもよい。例えば、現実空間をユーザが移動することにより、移動する現実空間に応じたユーザ視点の景色がリアルタイムに撮影されながら視界画像として表示されるものであってもよい。
【0083】
また、本実施形態では、HMD10の方向に基づいて視線方向を検出する例を説明したが、これに限られるものではなく、例えば、ユーザの眼球の向きを検知することで視線方向を検出(アイトラッキング)してもよい。
【0084】
また、上述の制御部250の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより制御部250としての処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD−ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。配信サーバの記録媒体に記憶されるプログラムのコードは、制御部250で実行可能な形式のプログラムのコードと異なるものでもよい。すなわち、配信サーバからダウンロードされて制御部250で実行可能な形でインストールができるものであれば、配信サーバで記憶される形式は問わない。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に制御部250で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0085】
また、上述した制御部250の機能の一部または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。上述した各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0086】
[付記]
以上の記載から本発明は例えば以下のように把握される。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を便宜的に括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の態様に限定されるものではない。
【0087】
(付記1)本発明の一態様に係る表示制御装置(20)は、両眼視差を利用した立体視画像として、仮想空間内の仮想視点からの視界を表す視界画像を表示部(11)に表示させるとともに、前記仮想空間内において前記仮想視点からの視界以外に存在する特定の対象(例えば、敵キャラクタ、音等)を示す標章(例えば、位置マーカ)を、前記仮想視点から前記特定の対象までの距離に基づく視差で前記表示部に表示させる表示制御部(254、S104、S112)、を備える。
【0088】
付記1の構成によれば、表示制御装置は、死角空間に存在する特定の対象を示す標章を、該特定の対象までの距離に基づく視差で距離として(立体視で)表現するので、死角空間に存在する特定の対象までの距離を直観的に把握しやすくすることができる。即ち、表示制御装置は、仮想空間の視界外にある情報を直観的に把握しやすくすることができる。
【0089】
(付記2)また、本発明の一態様は、付記1に記載の表示制御装置であって、前記表示制御部は、前記視界に対する前記特定の対象が存在する位置の方向に基づいて、前記特定の対象を示す標章を表示させる位置を制御する。
【0090】
付記2の構成によれば、表示制御装置は、死角空間に存在する特定の対象の方向を、直観的に把握しやすくすることができる。
【0091】
(付記3)また、本発明の一態様は、付記1または付記2に記載の表示制御装置であって、前記表示制御部は、前記特定の対象を示す標章を、前記仮想視点から前記特定の対象までの距離に相当する視差で前記表示部に表示させる。
【0092】
付記3の構成によれば、表示制御装置は、死角空間に存在する特定の対象までの距離を、実際の特定の対象までの距離と同じ距離に見えるように表現するため、該特定の対象を直観的に把握しやすくすることができる。また、表示制御装置は、特定の対象を表示させる際の遠近が実際の距離と同じになるため、視線方向をその位置に移動させる際に焦点距離を変える必要が無く、位置を把握し易くすることができる。また、焦点距離が一定範囲内となることにより焦点移動が少なく済むため、視認性が向上し、また目の負担の軽減も期待できる。
【0093】
(付記4)また、本発明の一態様は、付記1または付記2に記載の表示制御装置であって、前記表示制御部は、前記特定の対象を示す標章を、前記仮想視点から前記特定の対象までの距離を縮尺した距離に基づく視差で前記表示部に表示させる。
【0094】
付記4の構成によれば、表示制御装置は、例えば一定の縮尺で標章を表示させると、ユーザが標章を視認する際の焦点距離が一定範囲内となることにより焦点移動が少なく済むため、視認性が向上し、また目の負担の軽減も期待できる。
【0095】
(付記5)また、本発明の一態様は、付記4に記載の表示制御装置であって、前記表示制御部は、前記視界に対する前記特定の対象の存在する位置の方向によって前記縮尺を異ならせる。
【0096】
付記5の構成によれば、表示制御装置は、視界方向を変化させて特定の対象が死角空間から視界空間に入る場合であっても連続的に焦点距離が変化するため、特定の対象に対してスムーズに焦点距離を合わせることができる。
【0097】
(付記6)また、本発明の一態様は、付記1から付記5のいずれか一に記載の表示制御装置であって、前記表示制御部は、前記仮想空間内において前記仮想視点から所定の距離範囲外に存在する前記特定の対象を示す標章の表示を制限する。
【0098】
付記6の構成によれば、表示制御装置は、例えば特定の対象が多い場合等であっても、ユーザに知らせるべき比較的近くに存在する特定の対象のみに標章の表示を限定できるので、ユーザが必要な情報を把握しやすくなる。
【0099】
(付記7)また、本発明の一態様は、付記6に記載の表示制御装置であって、前記表示制御部は、前記仮想空間内において前記仮想視点から所定の距離範囲内に存在する前記特定の対象であっても、所定の領域に存在する前記特定の対象を示す標章の表示を制限する。
【0100】
付記7の構成によれば、表示制御装置は、目の前に特定の対象を示す標章が表示されることによりユーザの視界が遮られてしまうことを、軽減することができる。
【0101】
(付記8)また、本発明の一態様は、付記1から付記7のいずれか一に記載の表示制御装置であって、前記表示制御部は、前記特定の対象の大きさに基づいて、前記表示部に表示させる前記特定の対象を示す標章の大きさを設定する。
【0102】
付記8の構成によれば、表示制御装置は、死角空間の特定の対象の大きさを直観的に把握しやすくすることができる。
【0103】
(付記9)また、本発明の一態様は、付記1から付記5のいずれか一に記載の表示制御装置であって、前記表示制御部は、前記特定の対象の種類に基づいて、前記表示部に表示させる前記特定の対象を示す標章の表示態様を設定する。
【0104】
付記9の構成によれば、表示制御装置は、死角空間の特定の対象の種類を直観的に把握しやすくすることができる。
【0105】
(付記10)また、本発明の一態様は、付記1から付記9のいずれか一に記載の表示制御装置であって、前記特定の対象は、音である。
【0106】
付記10の構成によれば、表示制御装置は、死角空間に存在する音を示す標章を、該音までの距離に基づく視差で距離として(立体視で)表現するので、死角空間に存在する音までの距離を直観的に把握しやすくすることができる。即ち、表示制御装置は、仮想空間の視界外にある情報を直観的に把握しやすくすることができる。
【0107】
(付記11)また、本発明の一態様は、付記1から付記9のいずれか一に記載の表示制御装置であって、前記特定の対象は、キャラクタである。
【0108】
付記11の構成によれば、表示制御装置は、死角空間に存在するキャラクタの方向や距離を直観的に把握しやすくすることができる。
【0109】
(付記12)また、本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータを、付記1から付記11のいずれか一に記載の表示制御装置として機能させるためのプログラムである。
【0110】
付記12の構成によれば、プログラムは、死角空間に存在する特定の対象を示す標章を、該特定の対象までの距離に基づく視差で距離として(立体視で)表現するので、死角空間に存在する特定の対象までの距離を直観的に把握しやすくすることができる。即ち、プログラムは、仮想空間の視界外にある情報を直観的に把握しやすくすることができる。
【解決手段】両眼視差を利用した立体視画像として、仮想空間内の仮想視点からの視界を表す視界画像を表示部に表示させるとともに、前記仮想空間内において前記仮想視点からの視界以外に存在する特定の対象を示す標章を、前記仮想視点から前記特定の対象までの距離に基づく視差で前記表示部に表示させる表示制御部、を備える表示制御装置。