特許第6332667号(P6332667)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6332667
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】計器装置
(51)【国際特許分類】
   G01P 1/04 20060101AFI20180521BHJP
   G01D 11/24 20060101ALI20180521BHJP
   G01P 3/487 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   G01P1/04 A
   G01D11/24 Z
   G01P3/487 F
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-38528(P2014-38528)
(22)【出願日】2014年2月28日
(65)【公開番号】特開2015-161652(P2015-161652A)
(43)【公開日】2015年9月7日
【審査請求日】2016年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】笛吹 健志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 仁志
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/004640(WO,A1)
【文献】 特開2008−32615(JP,A)
【文献】 特開2003−262537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P 1/00− 3/80
G01D11/00−13/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の速度を表示する指針式計器と、この指針式計器と電気的に接続する回路基板と、前記指針式計器と前記回路基板とを収納するケースと、前記車両の速度に伴う回転が伝達される回転軸とともに回転する被検出体と、前記被検出体の回転を検出する検出部と、前記被検出体の周囲を囲み前記回転軸の回転とともに回転する磁性材料からなる磁気遮蔽カバーと、前記回転軸を回転可能に支持する軸受部と、を備えた計器装置において、
磁性材料から形成した板体に前記指針式計器側が前記磁気遮蔽カバーの外径よりも延長された延設部を設け
前記板体が、前記軸受部を前記ケースに固定するためのベース板であり、前記ベース板に前記延設部を設けたこと
を特徴とする計器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の速度を表示する計器装置に関し、特に、二輪車などの速度を表示する計器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の計器装置は、車両の速度を表示する表示手段である速度計と、この速度計と電気的に接続する回路基板と、速度計と回路基板とを収納するケースと、車両の速度の回転を伝達する回転ケーブルとともに回転する回転軸に装着された被検出体である磁石と、磁石の回転を検出するホールICなどからなる検出部とを備え、検出部を回路基板に実装するとともに、ケース内に検出部を収納するように構成している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−32615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の計器装置は、速度計の計器本体の磁石に前記被検出体である磁石の磁気が影響し、指針の指示に影響を及ぼすおそれがあるといった問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、前記問題点を解消し、計器本体の指示特性や応答性を損なうことなく、指針の指示に影響を及ぼすことを軽減することが可能な計器装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の回転角度検出装置は、車両の速度を表示する指針式計器と、この指針式計器と電気的に接続する回路基板と、前記指針式計器と前記回路基板とを収納するケースと、前記車両の速度に伴う回転が伝達される回転軸とともに回転する被検出体と、前記被検出体の回転を検出する検出部と、前記被検出体の周囲を囲み前記回転軸の回転とともに回転する磁性材料からなる磁気遮蔽カバーと、前記回転軸を回転可能に支持する軸受部と、を備えた計器装置において、磁性材料から形成した板体に前記指針式計器側が前記磁気遮蔽カバーの外径よりも延長された延設部を設け、前記板体が、前記軸受部を前記ケースに固定するためのベース板であり、前記ベース板に前記延設部を設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
以上の構成によって、本発明は、所期の目的を達成することができ、計器本体の指示特性や応答性を損なうことなく、指針の指示に影響を及ぼすことを軽減することが可能な計器装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態の計器装置を搭載した二輪車の説明図。
図2】同実施形態の計器装置の断面図。
図3】同実施形態の磁石と指針式計器の位置関係を示す説明図。
図4】同実施形態の着磁の状態を示す一部を断面で表した磁石の斜視図。
図5】同実施形態の磁石の磁界を示す概略模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の基本的構成を示すもので、移動体である二輪車の計器装置を例にとって説明する。
【0010】
二輪車1は、車両であり、アルミなどの金属からなるフレーム2と、ガソリンを燃料とする内燃機関(エンジン)3と、ガソリンを蓄えておく燃料タンク4と、二輪車1の運転者が座るシート5と、前輪6と、この前輪6を回転自在に保持する2本のフロントフォーク7と、計器装置8と、前輪6の回転を計器装置8に伝達する回転ケーブル9とを少なくとも備えている。なお、エンジン3、燃料タンク4、シート5はフレーム2に取り付けられており、2本のフロントフォーク7は、左右へ操舵可能な状態となるようにフレーム2に取り付けられている。
【0011】
次に、図2を用いて計器装置8を説明する。計器装置8は、二輪車1の速度を表示する指針式計器である速度計10と、二輪車1の走行距離などを表示する液晶表示器11と、速度計10と液晶表示器11と電気的に接続する回路基板12と、速度計10と液晶表示器11及び回路基板12とを収納するケース13と、二輪車1の速度の回転である前輪6の回転を伝達する回転ケーブル9とともに回転する速度計10に併設される被検出体である磁石14と、この磁石14の回転を検出し磁石14の直上に位置するように配置される検出部であるホールIC15とを備えている。
【0012】
速度計10は、指針18や、指針18が指示する図示しない目盛や文字などを備えた文字板16と、指針18を回転駆動する計器本体19とを備えている。なお、17は、速度計10と液晶表示器11とを制御する制御部である。
【0013】
文字板16は、貫通孔20と窓部21とを備えている。貫通孔20は、指針18と計器本体19とを連結する指針軸22が貫通する。
【0014】
計器本体19は、図示しない磁石を内蔵した交差コイル式計器本体やステッピングモータなどからなり、制御部17の駆動処理によって駆動されるものである。
【0015】
液晶表示器11は、前述した走行距離の他に燃料残量やエンジン冷却水温及び時刻などを表示しても良い。液晶表示器11は、液晶表示素子23と、液晶表示素子23を保持するハウジング24と、液晶表示素子23と回路基板12とを電気的に接続する配線部材25とを備えている。なお、26は液晶表示素子23を背後から照明する光源であり、例えば、発光ダイオードなどが好適である。
【0016】
ハウジング24は、白色の合成樹脂製で、液晶表示素子23を支持するとともに、発光ダイオード26の光を均一にするための空間を形成するために箱状となっている。
【0017】
配線部材25は、ポリイミドなどの柔軟性と絶縁性を有する基板に、銅などの導電性を有する配線パターンを設けたものである。配線部材25は、回路基板12からの電気信号を液晶表示素子23に供給するものである。なお、27は配線部材25を回路基板12に接続するためのコネクタである。
【0018】
回路基板12は、本実施形態では、硬質の絶縁基板からなり、例えば、ガラスエポキシ樹脂などの絶縁材の表面に銅などの図示しない配線パターンを設けたものである。この回路基板12に、速度計10の計器本体19、液晶表示器11、検出部15が固定されている。
【0019】
ケース13は、背面ケース13aと前面カバー13bとからなり、背面ケース13aと前面カバー13bとは、二輪車用に防水、防塵の機能を果たすように組み付けられている。なお、完全な密封構造ではなく、水は透過しないが、気体は透過する図示しないフィルターを設けることで、ケース13の内外の空気を換気することが可能である。背面ケース13aは、光が透過しない、例えば、黒色の合成樹脂製であり、計器装置8の背面側を形成するものである。前面カバー13bは、光を透過する合成樹脂製であり、本実施例においては無色である。前面カバー13bは、計器装置8の前面側を形成するものである。
【0020】
磁石14は、円板形状であり、その中央に回転軸28が貫通している。磁石14は、二輪車1の速度(前輪6の回転)が伝達される回転軸28とともに回転するものである。本実施形態における磁石14は、図4に示すように、磁石14のN極とS極は、磁石14の回転軸方向である上下方向、すなわち、検出部15と対向する磁石14の厚み方向に沿って異極となる磁極が、対をなして8極設けられている。この場合、円板状の磁石14の表面側には、N極とS極とを交互に所定の間隔を配して設けられている。なお、磁石14に着磁される磁極数は、4極、あるいは12極としてもよい。
【0021】
14aは、磁気遮蔽カバーであり、冷間圧延鋼板やパーマロイ等の磁性材料からなる。本実施形態では、円筒形のカップ形状であり、磁石14の周囲を囲み回転軸28の回転とともに回転するものである。
【0022】
また、回転軸28は、金属製であり、軸受部29で背面ケース13aに回転可能に支持されている。なお、軸受部29は、円筒形状の支持体30に保持されている。
【0023】
回転軸28の磁石14を設けた側とは反対側には、凹部28aが設けられている。この凹部28aには、回転ケーブル9の端部9aが挿入される。凹部28aは、その長手方向に対して垂直方向の断面形状が四角形状であり、この凹部28aに挿入する端部9aも凹部28aに合致する形状である。回転ケーブル9の回転が回転軸28に伝達され、回転軸28が回転する。
【0024】
軸受部29は、金属製であり、筒状体であり、支持体30から抜けないように保持されている。なお、なお、31、32は、金属製の座金であり、33は、ドーナツ形状に形成された回転軸抑えである。回転軸28は、座金31、軸受部29、座金32、回転軸抑え33を挟み込みこんで、軸受部29に回転可能に支持されている。
【0025】
支持体30は、金属製であり、筒状体である。この支持体30には、ベース板34が、支持体30によって挟み込まれて固定されている。ベース板34は、板体であり、冷間圧延鋼板やパーマロイ等の磁性材料からなり、本実施形態では、鉄を含んだ金属からなる。ベース板34は、支持体30を介して、軸受部29をケース13に固定するものである。ベース板34は、ねじ35によって、ケース13に固定されている。
【0026】
ベース板34は、磁気遮蔽カバー14aの外径よりも延長された延設部34aを備えている。ベース板34は長方形であり、延設部34aは、ベース板34の速度計10側が、磁気遮蔽カバー14aの外径よりも、長くなるように延長形成されている。ベース板34の速度計10に面していない側は、磁気遮蔽カバー14aの外径よりも短くてもよい。
【0027】
検出部であるホールIC15は、回路基板12に実装されており、回路基板12に設けた図示しない配線パターンと電気的に接続されている。検出部15は、ホール素子15aと合成樹脂からなる保護部15bとで構成されている。保護部15bは、ホール素子15aを保護するためにホール素子15aを覆っている。ホール素子15aは、半導体を用いたセンサの一種であり、磁気を検出するものである。本実施例では、磁石14の回転にともなう磁界の変化を検出することで、磁石14の回転を検出するものである。
【0028】
制御部17は、ICなどの集積回路であり、回路基板12に実装されており、回路基板12に設けた前記配線パターンと電気的に接続されている。制御部17は、主要部である回路部17aと回路部17aを保護する保護部17bとで構成されている。保護部17bは、回路部17aを保護するために回路部17aを覆っている。
【0029】
次に、図5を用いて本実施形態における磁石14の磁界について説明する。
【0030】
磁石14の磁界は、ベース板34の延設部34aによって、磁石14から発せられる磁界が延設部34aに引き寄せられて、速度計10の計器本体19に内蔵されている磁石への影響を抑えることできるため、計器本体19の指示特性や応答性を損なうことなく、速度計10の指針18の指示に影響を及ぼすことを軽減することが可能な計器装置8を提供することができる。
【0031】
本発明は、前記実施形態においては車両の速度の回転として、二輪車1の前輪6から取り出していたが、前述の実施形態に限定されるものではなく、例えば、内燃機関のトランスミッションなどから取り出すものであってもよい。
【0032】
また、前記実施形態では、磁性材料から形成した板体がベース板34であったが、例えば、ベース板34を非磁性材料から形成しなければならない場合など、ベース板34とは別に、磁性材料から形成した板体を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、計器装置に利用可能であり、特に、車両の速度の回転を伝達する回転ケーブルとともに回転する回転軸に装着された被検出体である磁石と、計器本体を近接配置した計器装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 二輪車(車両)
10 速度計(指針式計器)
12 回路基板
13 ケース
14 磁石(被検出体)
14a 磁気遮蔽カバー
15 検出部(ホールIC)
28 回転軸
29 軸受部
34 ベース板
34a 延設部
図1
図2
図3
図4
図5