(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6332699
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】測量用撮影装置
(51)【国際特許分類】
G01C 11/02 20060101AFI20180521BHJP
G01C 15/00 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
G01C11/02
G01C15/00 102C
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-201971(P2015-201971)
(22)【出願日】2015年10月13日
(65)【公開番号】特開2017-75792(P2017-75792A)
(43)【公開日】2017年4月20日
【審査請求日】2016年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】513005280
【氏名又は名称】株式会社amuse oneself
(73)【特許権者】
【識別番号】390023249
【氏名又は名称】国際航業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨井 隆春
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 純
(72)【発明者】
【氏名】鳥田 英司
【審査官】
三好 貴大
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−205419(JP,A)
【文献】
特許第5590480(JP,B2)
【文献】
特開2007−240506(JP,A)
【文献】
特開2001−092001(JP,A)
【文献】
特開2011−038944(JP,A)
【文献】
特表2013−535013(JP,A)
【文献】
特開2006−010564(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0013736(US,A1)
【文献】
特開2013−186005(JP,A)
【文献】
特開2010−014450(JP,A)
【文献】
特表2007−506076(JP,A)
【文献】
実開昭54−166328(JP,U)
【文献】
米国特許第05231435(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 1/00 − 1/14
G01C 5/00 −15/14
B64D 47/08
H04N 5/222
G03B 17/56
F16M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有人操縦のヘリコプターの機内に持ち込まれ、撮影者によって保持された状態で撮影を行うための測量用撮影装置であって、
測量対象を撮影する撮影部と、
撮影時の撮影位置を取得する撮影位置取得部と、
上記撮影部と上記撮影位置取得部とが固定的に取り付けられるフレーム体とを備え、
上記フレーム体は、撮影時において、上記撮影部及び上記撮影位置取得部の互いの位置関係が変化しない状態で保持するものであり、
上記フレーム体は、
上記撮影部が固定して取り付けられる撮影固定部と、
上記撮影位置取得部用のアンテナが固定して取り付けられるアンテナ固定部と、
上記撮影固定部に対して、上記アンテナ固定部を連結する連結部と、
脚部と、
取手部とを備えており、
撮影時には、上記脚部を床におき、撮影者が上記取手部を持って測量用撮影装置を保持することが可能な構造であり、
上記連結部は、上記撮影固定部の上部付近に対して、上記アンテナ固定部の下部付近を前方側に張り出させるようにして連結しており、
上記アンテナ固定部は、撮影時には、中央部から下部にかけては上下方向に平行となり、上部付近のみが前後方向に平行となるように後方に湾曲された形状とされており、
上記アンテナは、上記アンテナ固定部の後方に湾曲した部分の先端に取り付けられており、上記フレーム体は、撮影時において、上記撮影部を上記アンテナの略直下に配置することを特徴とする測量用撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測量用撮影装置であって、
上記撮影部は、カメラであり、
上記撮影位置取得部は、GNSS衛星からの電波を受信するGNSS受信機であることを特徴とする測量用撮影装置。
【請求項3】
請求項1に記載の測量用撮影装置であって、
上記撮影部は、レーザスキャナであり、
上記撮影位置取得部は、INS(慣性航法装置:Inertial Navigation System)であることを特徴とする測量用撮影装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載の測量用撮影装置であって、
測量用撮影装置自身に生じる揺れや傾きを検知するセンサと、
上記センサの検知結果に基づき上記撮影部の向きを変更し、上記撮影部が常に撮影ポイントを向くように調整する撮影方向調整部とを備えていることを特徴とする測量用撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘリコプターからカメラにより地形や構造物等の測量対象を撮影する測量用撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飛行体に搭載したカメラにより地形や構造物等の測量対象を撮影する測量システムとして、測量対象を複数の位置及び角度から写真撮影し、該カメラにて撮影した複数枚の写真と該複数枚の写真を撮影した時のカメラの撮影情報(例えば撮影位置や撮影姿勢の情報)とに基づいて3次元座標を取得する写真測量を行う測量システムが従来から知られている。
【0003】
写真測量としては、代表的には、2つ以上の異なる位置から撮影した写真に写っている共通の点を識別し、各写真の撮影時のカメラ位置から共通点への視線或いは光線が交わる点に基づいて3次元座標を求めるステレオ解析による写真測量を挙げることができる。
【0004】
写真測量における調整計算法としては、一般的に、誤差の二乗和を最小化する最小二乗法を用いて各写真の画像間の対応点を空間上で結ぶことにより写真相互間のつながりをつけて3次元座標を計算するバンドル調整法(いわゆるバンドル計算)が主流となっている。
【0005】
ところで、写真測量における調整計算を行うにあたっては、撮影情報の値は、相対的な値ではなく、緯度、経度、標高といった絶対的な値が必要である。この点に関し、飛行体にGNSS(Global Navigation Satellite System:全地球測位システム)受信機を搭載し、衛星からの電波を受信したGNSS受信機からのGNSS情報(具体的には日付、時刻、緯度、経度、標高といった情報)により、絶対的な撮影情報の値を取得する測量システムが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5590480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような測量システムでは、カメラ及びGNSS受信機を搭載する飛行体として、無線遠隔操縦が可能な小型無人ヘリコプターを用いることも多い。しかしながら、小型無人ヘリコプターが常に使用可能とは限らない。例えば、活動中の火山の火口付近で測量を行おうとする場合、測量地域が広範囲であり、人が測量範囲内の地域に立ち入ることもできないため、小型無人ヘリコプターを用いることはできない。このような場合では、有人操縦のヘリコプターにカメラを持ち込んで撮影を行うことが考えられる。
【0008】
上記測量システムでは、カメラをGNSS受信機の略直下に配置し、かつ、カメラ及びGNSS受信機は互いの相対位置が変化しない状態で撮影が行われる必要がある。しかしながら、有人操縦のヘリコプターでは、カメラやGNSS受信機を機体に直接取り付けて固定することは違法な改造にあたると見なされる。このため、撮影者自身がヘリコプター内でカメラを持って撮影を行う必要があるが、カメラとGNSS受信機とを互いの相対位置が変化しない状態で維持することが困難であった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、機体に直接取り付けることなく、ヘリコプター機内に持ち込んで測量用の撮影を可能とする測量用撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の測量用撮影装置は、測量対象を撮影する撮影部と、撮影時の撮影位置を取得する撮影位置取得部と、上記撮影部と上記撮影位置取得部とが固定的に取り付けられるフレーム体とを備え、上記フレーム体は、撮影時において、上記撮影部及び上記撮影位置取得部の互いの位置関係が変化しない状態で保持することを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、測量用撮影装置を用いての撮影時において、フレーム体によって、撮影部と撮影位置取得部との互いの位置関係が変化しない状態で保持することが可能となる。これにより、有人操縦のヘリコプターによって測量用の撮影を行う場合に、撮影部や撮影位置取得部を機体に直接取り付けて固定する必要が無く、測量用撮影装置をヘリコプター機内に持ち込んで撮影を行うことが可能となる。
【0012】
また、上記測量用撮影装置では、上記撮影部は、カメラであり、上記撮影位置取得部は、GNSS衛星からの電波を受信するGNSS受信機であり、上記フレーム体は、撮影時において、上記撮影部を上記GNSS受信機用アンテナの略直下に配置する構成とすることができる。
【0013】
また、上記測量用撮影装置では、上記撮影部は、レーザスキャナであり、上記撮影位置取得部は、INS(慣性航法装置:Inertial Navigation System)である構成とすることができる。
【0014】
また、上記測量用撮影装置では、上記フレーム体は、上記撮影部が固定して取り付けられる撮影固定部と、上記撮影位置取得部用のアンテナが固定して取り付けられるアンテナ固定部と、上記撮影固定部に対して、上記アンテナ固定部を前方側に張り出させるようにして連結する連結部とから構成されていてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、撮影時における測量用撮影装置の保持姿勢において、撮影位置取得部用のアンテナを撮影窓からヘリコプターの機外に出すことができる。これにより、撮影位置取得部(例えば、GNSS受信機)は、衛星からの電波を良好に受信することが可能となる。
【0016】
また、上記測量用撮影装置は、測量用撮影装置自身に生じる揺れや傾きを検知するセンサと、上記センサの検知結果に基づき上記撮影部の向きを変更し、上記撮影部が常に撮影ポイントを向くように調整する撮影方向調整部とを備えている構成とすることもできる。
【0017】
上記の構成によれば、有人操縦のヘリコプターによって測量用の撮影を行う場合に、ヘリコプターの揺れや傾きに対し、撮影部の撮影の向きを自動補正することが可能となる。
【0018】
また、上記測量用撮影装置は、さらに、脚部と、取手部とを備えており、撮影時には、上記脚部を床におき、撮影者が上記取手部を持って測量用撮影装置を保持することが可能な構造とすることができる。
【0019】
上記の構成によれば、撮影者は、測量用撮影装置の重量を負担することなく、測量用撮影装置を楽に保持することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の測量用撮影装置は、有人操縦のヘリコプターによって測量用の撮影を行う場合に、撮影部や撮影位置取得部を機体に直接取り付けて固定する必要が無く、測量用撮影装置をヘリコプター機内に持ち込んで撮影を行うことが可能となるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る測量用撮影装置の外観を示す斜視図である。
【
図8】測量用撮影装置のシステム構成を示すブロック図である。
【
図9】測量用撮影装置における撮影時の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1は、本実施の形態に係る測量用撮影装置(以下、単に撮影装置と称する)10の外観を示す斜視図である。また、
図2ないし
図7のそれぞれは、
図1に示す撮影装置10の正面図、背面図、右側面図、左側面図、上面図および下面図である。ここでは、撮影装置10が有するカメラのレンズがある面を正面とする。また、以下の説明では、撮影装置10の左右方向をx方向、前後方向をy方向、上下方向をz方向とする。
【0024】
図1に示すように、本実施の形態に係る撮影装置10は、カメラ(撮影部)11、GNSSアンテナ12および制御部13を、同一のフレーム体14に固定してなる構造である。先ずは、フレーム体14の構造について説明する。尚、制御部13は、GNSS受信機130(撮影位置取得部:
図8参照)を内部に含んでいる。
【0025】
フレーム体14は、大略的には、桟141〜147からなるカメラ固定部14Aと、桟148〜154からなるアンテナ固定部14Bと、桟155〜158からなる連結部14Cとから構成されている。
【0026】
カメラ固定部14Aは、z方向に平行な2本の桟141,142をx方向に並べて配置し、桟141,142をx方向に平行な5本の桟143〜145で連結した構成である。これにより、カメラ固定部14Aは、xz平面に平行なフレーム枠として構成されている。
【0027】
アンテナ固定部14Bは、zy平面に平行な2本の桟148,149をx方向に並べて配置し、桟148,149をx方向に平行な5本の桟150〜154で連結した構成である。桟148,149は、中央部から下部にかけてはz方向に平行であり、上部付近のみがy方向に平行となるように後方に湾曲されている。桟150,151は、y方向に平行な桟148,149の上部付近で桟148,149を連結している。桟152〜154は、z方向に平行な桟148,149の中央部から下部付近で桟148,149を連結している。
【0028】
連結部14Cは、桟155,156によってカメラ固定部14Aの桟141とアンテナ固定部14Bの桟148とを連結し、桟157,158によってカメラ固定部14Aの桟142とアンテナ固定部14Bの桟149とを連結している。連結部14Cは、カメラ固定部14Aの上部付近に対して、アンテナ固定部14Bの下部付近を前方側に張り出させるようにして連結している。
【0029】
このように、カメラ固定部14A、アンテナ固定部14Bおよび連結部14Cからなるフレーム体14は、zy平面に平行な中心面に対して左右対称となる構造を有している。
【0030】
カメラ固定部14Aには、カメラ11および制御部13が固定して取り付けられる。カメラ固定部14Aでは、2本の桟144,145がカメラ固定部14Aのy方向中央付近に近接して配置されており、制御部13は、桟144,145に対して背面側に取り付けられている。そして、カメラ11は、制御部13からアーム部15を介して取り付けられている。アーム部15は、その下端が制御部13から立設して固定されており、上端にカメラ11が接続されている。また、カメラ11はアーム部15の上端に対してzy平面内で回動可能であり、その撮影角度を変更できるようになっている。
【0031】
カメラ固定部14Aの側面、すなわち、桟141,142のそれぞれの外側面には、取手部16が設けられている。また、カメラ固定部14Aの下端、すなわち、桟141,142のそれぞれの下端には、脚部17が設けられている。
【0032】
アンテナ固定部14Bには、GNSS受信機用のGNSSアンテナ12が固定して取り付けられる。アンテナ固定部14Bでは、2本の桟150,151がアンテナ固定部14Bの上端部付近に近接して配置されており、GNSSアンテナ12は、桟150,151間に配置するように取り付けられている。
【0033】
続いて、本実施の形態に係る撮影装置10のシステム構成について、
図8を参照して説明する。
【0034】
本実施の形態では、カメラ11は、制御部13からの撮影信号によりシャッターを切るリモートレリーズ用の端子(図示せず)を有し、リモートレリーズ用の端子が制御部13の出力系に電気的に接続されようになっている。
【0035】
詳しくは、カメラ11は、撮影した写真の画像ファイルデータを、撮影日時、緯度、経度及び標高を含む予め定めた所定の撮影情報を埋め込み可能に規格化された画像ファイルデータフォーマット(具体的にはExif(登録商標):Exchangeable image file format)の形式で出力可能な構成とされている。
【0036】
制御部13に含まれるGNSS受信機130は、GNSSアンテナ12を介してGNSS衛星からの電波を受信し、GNSS衛星からの電波に基づいて日付、時刻、緯度、経度、標高といった撮影情報、少なくとも緯度、経度、標高といった撮影位置を取得することができるようになっている。
【0037】
尚、GNSS(Global Navigation Satellite System:全地球測位システム)としては、GPS:Global Positioning System(米国)、GLONASS:GLObal'naya NAvigatsionnaya Sputnikovaya Sistema(ロシア)、ガリレオ:Galileo(欧州)、コンパス:Compass(中国)、QZSS:Quasi-Zenith Satellite System(日本)等を例示できる。本発明ではこれらの何れのシステムを使用することも可能である。例えば、GNSS受信機としてGPS受信機を用いた場合、GPS受信機は、NMEA(National Marine Electronics Association)規格により、GGA(Global Positioning System Fix Data)から時刻(協定世界時、UTC:Coordinated Universal Time)、緯度、経度、標高を、ZDA(Time & Date)から日付(西暦、年、月、日)(UTC)を取得するようになっている。
【0038】
制御部13は、カメラ11及びGNSS受信機に対する制御を司るものである。
【0039】
制御部13は、GNSS受信機130と、ROM(Read Only Memory)や電気的書き換え可能な不揮発ROM等の不揮発メモリ131a、RAM(Random Access Memory)等の揮発メモリ131b、外部記録媒体を挿脱可能な書き込み部131cを含む記憶部131と、CPU(Central Processing Unit)等のマイクロコンピュータからなる処理部132とを有している。
【0040】
制御部13は、処理部132が記憶部131の不揮発メモリ131aにおけるROMに予め格納された制御プログラムを記憶部131の揮発メモリ131bにおけるRAM上にロードして実行することにより、各種構成要素の作動制御を行うようになっている。
【0041】
処理部132は、撮影信号出力部132a、撮影画像取得部132b、および撮影情報取得部132cを備えている。撮影信号出力部132aは、カメラ11に所定の時間間隔で撮影信号を出力する。撮影画像取得部132bは、カメラ11によって撮影された写真の画像ファイルデータを取得する。撮影情報取得部132cは、カメラ11による写真撮影と同期して、GNSSアンテナ12より撮影情報(日付、時刻、緯度、経度、標高)を取得する。
【0042】
カメラ11によって撮影された写真の画像ファイルデータと、GNSS受信機130によって取得される撮影情報とは、書き込み部131cにおいて外部記録媒体に書き込まれる。本発明において、使用される外部記録媒体の種類は特に限定されないが、代表的にはSD(Secure Digital)メモリカードを例示できる。得られた画像ファイルデータと撮影情報とは、撮影後に外部記録媒体から読み取られ、所定のソフトウェア等を用いて対応付けられる。画像ファイルデータと撮影情報とを対応付ける方法については、例えば、特許第5590480号に開示された方法を使用することができる。
【0043】
次に、本実施の形態の撮影装置10を用いて写真撮影を行う場合の使用状態を
図9を参照して説明する。
【0044】
撮影装置10は、有人操縦のヘリコプターの機内に持ち込まれ、撮影者によって保持された状態で撮影を行うようになっている。具体的には、撮影装置10は、ヘリコプターに設けられた撮影窓50から撮影を行えるようになっている。あるいは、ヘリコプターの扉を開放し、開放された扉から外に向けて撮影を行っても良い。撮影時には、カメラ固定部14Aをヘリコプターの機内に配置し、脚部17を機内の床において、撮影者が取手部16を持って撮影装置10を保持する。これにより、撮影者は、撮影装置10の重量を負担することなく、撮影装置10を楽に保持することが可能となる。また、この時の保持姿勢は、撮影装置10のz方向が鉛直方向と一致するようにする。また、脚部17は床に対する滑り止めの機能を有する。
【0045】
アンテナ固定部14Bは、連結部14Cによってカメラ固定部14Aから前方側に張り出している。このため、上記の保持姿勢において、
図9に示すように、アンテナ固定部14Bを撮影窓50からヘリコプターの機外に出すことができる。また、アンテナ固定部14Bの上部は後方に湾曲しており、その後方に湾曲した部分の先端にGNSSアンテナ12が取り付けられている。
【0046】
これにより、上記保持姿勢において、カメラ11をGNSSアンテナ12の略直下に配置し、かつ、カメラ11及びGNSSアンテナ12の互いの位置関係が変化しない状態で撮影を行うことが可能となる。また、撮影時に、GNSSアンテナ12を撮影窓50からヘリコプターの機外に出すことで、GNSS衛星からの電波を良好に受信することが可能となる。
【0047】
撮影装置10を用いて有人ヘリコプターからの撮影を行う場合、ヘリコプターに揺れや傾きが生じることは基本的には避けられない。このような揺れや傾きに対し、上記説明の撮影装置10では、カメラ11の向きを所定の撮影ポイントに向けるようにカメラの撮影角度等を撮影者が手動で操作して対応することも可能である。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、ヘリコプターの揺れや傾きに対し、カメラ11の向きを自動補正する構成とすることも可能である。
【0048】
この場合、撮影装置10に、ヘリコプターの揺れ、傾き及び方向を検知するセンサと、該センサの検知結果に基づきカメラ11の向きを変更するカメラ方向調整部(撮影方向調整部)を設ける構成とすればよい。すなわち、カメラ11の撮影ポイントを緯度、経度および標高にて予め設定しておき、該センサの検知結果に基づいて、カメラ11が常に上記撮影ポイントを向くようにカメラ方向調整部によってカメラ11の向きが調整される構成とすればよい。尚、上記センサは、撮影装置10自身の揺れや傾きを検知すると見なすことも可能である。また、この場合のカメラ方向調整部は、例えば、ジンバル機構を用いたアクチュエータとすることが考えられる。
【0049】
また、上記説明では、特許請求の範囲に記載の撮影部および撮影位置取得部としてカメラ11およびGNSS受信機を用いた構成としているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、カメラ11の代わりにレーザスキャナを用いた構成としても良く、GNSS受信機130の代わりにIMU(慣性計測装置:Inertial Measurement Unit)等のINS(慣性航法装置:Inertial Navigation System)を用いた構成としても良い。あるいは、カメラとレーザスキャナとINSとを組み合わせた構成としても良い(例えば、レーザスキャナの取得データに基づいて地形を算出し、カメラの取得データに基づいて地形に着色するといった使用が可能)。
【0050】
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、かかる実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0051】
10 測量用撮影装置
11 カメラ(撮影部)
12 GNSSアンテナ
13 制御部
14 フレーム体
14A カメラ固定部(撮影固定部)
14B アンテナ固定部
14C 連結部
15 アーム部
16 取手部
17 脚部
130 GNSS受信機(撮影位置取得部)
131 記憶部
131a 不揮発メモリ
131b 揮発メモリ
131c 書き込み部
132 処理部
132a 撮影信号出力部
132b 撮影画像取得部
132c 撮影情報取得部