(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の一般的なオーガの構造は、地盤を掘削するロッドが直管状に形成されるため、掘削時の掘削孔が掘削方向で同一直径となり、掘削孔内面を周辺地盤側へ十分に押し付けられないことがある。掘削孔内面の押し固めが不十分であると、掘削孔内面の崩落を招く場合があり、その結果、築造したコラムの品質が低下する。また、出来上がったコラムは、真直な円柱形状であるため、鉛直支持力を、周辺地盤側に対する鉛直側面の摩擦力でしか得られず、鉛直支持力の向上に限界があった。
【0007】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、掘削時の側方への土圧を増加させることができるとともに、掘削力を向上させることができ、しかも、鉛直支持力の大きい杭を築造できるコラム築造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明
のコラム築造装置11は、
下端となる先端に掘削刃23及び掘削爪25を備え
たビット19を有し、
地面45に立てられて軸線CL回りに回転される略円筒状のロッド17であって、
前記先端に向かって細くなるテーパー形状のテーパーロッド47を下半部に具備し、
該テーパーロッド47の上端には、該テーパーロッド47の上端における外径を直径とするストレート部49が接続され上半部を構成することを特徴とする。
ビット19を構成する掘削刃23及び掘削爪25の外周縁部がロッド17を構成するテーパーロッド47の下端の外周よりも外側にはみ出さない構成とされている。
【0009】
このコラム築造装置11では、ロッド17の上半部がストレート部49となり、下半部が先端である下端に向かって細くなるテーパーロッド47となる。ロッド17は、掘削時に、テーパーロッド47のテーパー面により掘削孔内面を周辺地盤側へ押し付けることができる。これにより、掘削孔内面が押し固められることとなり、掘削孔内面の崩落が無くなる。従って、しっかりした築造が行え、高品質な柱体、すなわちコラム43を得ることができる。
また、テーパー面に続けてストレート部49を備えることにより、押し固め後の掘削孔内面がストレート部49により均され、掘削孔46の形状が欠損無く高精度に維持可能となる。その形でのコラム築造が行える。
さらに、テーパーロッド47による押し固め、及びストレート部49による均しにより、オーガ15を引き抜く際にも、掘削孔内面の崩れが抑制されるので、穿った形状を保持でき、築造されたコラム43の形状安定性が向上する。
また、掘削孔46により築造された支持体としてのコラム43は、鉛直支持力を、周辺地盤側に対する鉛直側面の摩擦力と、テーパーロッド47におけるテーパー面による大きな摩擦力と、で得ることができ、従来の直径が一定の真直な杭等に比べ鉛直支持力を、向上させることができる。
【0010】
本発明
のコラム築造装置11は、
上記ビット19が、
地面に立てられて軸線回りに回転される略円筒状のロッド17の下端となる先端に設けられ、
前記軸線CLを中心とした円周方向に略等間隔で三枚とされて直交2辺部の一方が前記軸線CLに沿って配置されるとともに互いに接合され、先端を鋭角の三角形状とした掘削刃23と、
前記各掘削刃23のそれぞれの略垂直な板面23aに対し、掘削方向Dに先端が向かうように傾斜して固定されるとともに、先端縁部63が回転中心からの放射線65上に重なる位置とされ、かつ、前記先端縁部63が前記掘削刃23の傾斜辺部61から突出し、前記軸線CLから異なる距離d1,d2,d3及び各掘削刃23に対し高さを変えて固定される掘削爪25と、
を具備することを特徴とする.
【0011】
このコラム築造装置11では、掘削爪25が、掘削刃23の略垂直な板面23aに対し掘削方向に向かうように傾斜して固定される。これにより、ロッド17の回転によって、各掘削爪25の先端縁部63が、地盤に向かって最初に食い込み、掘削を進めることとなって、掘削力が向上する。また、掘削爪25は、先端縁部63が軸線CLである回転中心からの放射線65上に重なる位置に配置される。すなわち、掘削爪25は、ビット19の外周円の接線に直角Rな向きで配置される。これにより、回転して掘削する際に、掘削爪25は、放射線65方向の幅方向が均等に地盤に接し、効率よく地盤を掘削することができる。このことからも掘削力が向上することとなる。さらに、各掘削爪25は、掘削刃23に対し高さhを変えて固定されるので、地盤に対して段階的に掘削することが可能となり、固い地盤であっても高い掘削・掘進能力が確保される。
【0012】
本発明
のコラム築造装置11は、
前記掘削刃23と前記掘削爪25の構成が、
前記軸線CLを中心とした円周方向に略等間隔で三枚とされて直交2辺部の一方が前記軸線CLに沿って配置されるとともに互いに接合され、先端を鋭角の三角形状とした掘削刃23と、
前記各掘削刃23のそれぞれの略垂直な板面23aに対し、掘削方向Dに先端が向かうように傾斜して固定されるとともに、先端縁部63が回転中心の前記軸線CLからの放射線65上に重なる位置とされ、かつ、前記先端縁部63が前記掘削刃23の傾斜辺部61から突出し、前記軸線CLから異なる距離及び各掘削刃23に対し高さを変えて固定される掘削爪25と、
されることを特徴とする.
【0013】
このコラム築造装置11では、上
記の作用、効果を奏する。
【0014】
本発明
のコラム築造装置11は、
前記各掘削爪25の前記軸線CLから2番目に離間する掘削爪57が、前記掘削刃23の先端よりも掘進方向に突出することを特徴とする。
【0015】
このコラム築造装置11では、各掘削爪25のうちの回転中心の軸線CLから2番目に離間する掘削爪57が、掘削刃先端よりも延出する構成となる。掘削方向に向かうように傾斜した掘削力の高い掘削爪25が、掘削刃23よりも先に地盤を掘削することにより、掘進方向の掘削力が向上する。また、回転中心から2番目に離間する掘削爪25を最も突出させることにより、回転中心から1番目の掘削爪25(55)を突出させる場合よりも周長が長くなることで一回転あたりの掘削量を増やし、掘進速度も速くすることが可能となる。
また、ビット19は、1番目の掘削爪25(55)の突出長を2番目の掘削爪25(57)よりも短くすることにより、掘削孔46の回転中心を含む断面における先端の断面形状が、碗状に凹む。この掘削孔46に柱体であるコラム43が築造されることにより、築造されたコラム43は、先端が凹状に凹んだ凹状先端形状となる。これにより、コラム43は、支持体としての鉛直支持力を、上記の周辺地盤側に対する鉛直側面の摩擦力と、テーパー面による摩擦力と、に加え、凹状先端形状によっても増やすことができ、従来の杭等に比べさらに大きい支持力を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係
るコラム築造装置によれば、テーパー面を有するロッドにより掘削時の側方への土圧を増加させることができ、地盤を押し固めることが可能となるとともに、築造されたコラムはテーパー面によって摩擦力が周辺地盤側に生じ、鉛直支持力を向上することができる。
【0017】
本発明に係
るコラム築造装置によれば、各掘削刃に対する各掘削爪の配置位置によって種々の地盤に対応でき掘削力、掘進能力を向上させることができる。
【0018】
本発明に係
るコラム築造装置によれば、テーパーロッドによって、掘削時の側方への土圧を増加させることができ、地盤を押し固めることが可能となるとともに、各掘削爪、各掘削刃によって掘削力を向上させることができ、しかも、鉛直支持力を向上させたコラムを築造することができる。
ビットを構成する掘削刃及び掘削爪の外周縁部がロッドを構成するテーパーロッドの下端の外周よりも外側にはみ出さない構成とされているところから、オーガを引き抜く際にも、掘削孔内面の崩れが抑制されるので、穿った形状を保持でき、築造されたコラムの形状安定性が向上する。
【0019】
本発明に係
るコラム築造装置によれば、先端よりも掘進方向に突出した掘削爪を備えることで、掘削力をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1(a)は本発明の実施形態に係るコラム築造装置に用いるオーガの側面図、(b)は(a)の断面図である。
本実施形態に係るコラム築造装置11(
図7参照)は、施工機本体13と、オーガ15と、を有する。オーガ15は、ロッド17と、ビット19を有する。ビット19は、ビット基板21と、掘削刃23と、掘削爪25と、を有する。
【0022】
施工機本体13は、起伏自在のリーダ27(
図7参照)を備え、このリーダ27には、スライド板29がリーダ27に沿って摺動自在に設けられる。スライド板29にはオーガモータ31が固設され、オーガモータ31に接続されたオーガ15の上端にはスイベル33が連結される。スライド板29には給進装置(図示省略)が連結され、リーダ27に沿って進退移動できるようになっている。オーガ15は、オーガモータ31に接続されて取り付けられる。従って、オーガ15には、オーガモータ31の駆動で回転を与えることができ、また、スライド板29にはオーガモータ31が固設されているので、給進装置でスライド板29をリーダ27に沿って進退させることで、オーガ15はオーガモータ31とともに進退させることができる。給進装置としては、リーダ27の上端乃至下端に設けられたスプロケットに懸回されて駆動するチェーンまたはシリンダを例示でき、このチェーンやシリンダのロッド17をスライド板29に連結することでスライド板29の進退が可能になる。一回の給進作業で所定深度に到達しない場合は、オーガ15のチャック部を掴み替えたり、オーガ15にジョイント35を継ぎ足すことで対応する。
【0023】
オーガ15は、スライド板29をリーダ27に沿って下方移動させることで、地盤中に回転させながら掘進することができ、所定深度まで掘進した後は、スライド板29をリーダ27に沿って上方移動させることで、回転させながら引き上げることができる。また、スイベル33を介しオーガ15の供給通路37(
図1参照)には、水硬性固化材液を供給することができる。なお、オーガ15は、オーガモータ31を駆動させたり、停止させることで、回転させたり回転を停止させたりすることができるので、オーガ15を回転させながら掘進または引上げたり、回転させずに掘進または引上げることを適宜選択して施工することができる。
【0024】
従って、コラム築造装置11は、オーガ15をオーガモータ31に取り付け、回転させながら、または回転させないで引き上げつつ水硬性固化材液の供給通路37より水硬性固化材液を供給し、ビット19に設けた吐出管39(
図3参照)の吐出口41より吐出し、掘削部の所定区間を水硬性固化材液で充填する水硬性固化材液置換コラムの築造を可能とする。
【0025】
図2(a)は
図1に示したオーガ15の掘削中の側面図、(b)は築造されたコラム43の要部側面図である。
ロッド17は、略円筒状に形成され、施工機本体13によってジョイント35(
図7参照)を介して地面45に立てられて軸線CL回りに回転される。ロッド17は、中空で、中空内が水硬性固化材液の供給通路37となっている。図示したオーガ15の外径では比較的大きい場合であり、中空内に別途内管を配置して供給通路37としている。
【0026】
ロッド17は、先端に向かって細くなるテーパー形状のテーパーロッド47を下半部に備える。テーパーロッド47の上端には、このテーパーロッド47の上端における外径を直径とするストレート部49が接続され上半部を構成する。本実施形態では、テーパーロッド47の長さが、ロッド全体の略2/3となる(
図1参照)。従って、この例では、ストレート部49の長さは、ロッド全体の略1/3の長さとなる。具体例としては、テーパーロッド47の上端の外径、及びストレート部49の外径を300mm、テーパーロッド47の下端の外径を250mmとし、ストレート部49の長さを1000mm、テーパーロッド47の長さを約2000mmとしている。すなわちテーパーロッド47の外径のテーパー比は1/40、勾配としては1/80とされている。これにより、
図2(a)に示す掘削孔内面を周辺地盤側へ押し付ける作用や、
図2(b)に示す鉛直支持力Fvを向上させる作用を備える。なお、上記テーパーロッド47の上端における直径については、250〜500mmの範囲内であれば良く、築造するコラム43の必要な外径に応じた外径とされ、また、上記したテーパーロッド47の勾配としては、1/50〜1/200の範囲内であればよく、後述するが地盤の状態でこれら外径の数値を変えて構成することとしても良い。
【0027】
ロッド17の上部側には、上方に向かって徐々に縮径される角度Eの肩部48が形成されている。この肩部48は、ロッド17の引抜き時に、ロッド上部に掘削土が乗り、残土が増大するのを防ぐ役割を果たす。
【0028】
また、ロッド17の外径は、築造するコラム43(図
9参照)の径に対し細径とされ、例えば−1.5〜−5.5mmの範囲で形成される。ロッド17の外径をこの範囲とすることで、掘削孔46内が真空となることに起因する充填不良による改良体(コラム43)の品質低下を防ぐことができる。
【0029】
図3はビット部分の拡大側面図、
図4は
図3の下面図、
図5は各掘削爪25の高さ、角度及び回転中心からの距離を表した配置説明図、
図6(a)は1番目及び3番目の掘削爪25(55,59)の取付角度を表す説明図、(b)は2番目の掘削爪25(57)の取付角度を表す説明図である。
ビット基板21は、テーパーロッド47の下端外径と同外径の円板状に形成され、ロッド17の軸線に沿う方向の一端側、
図1の下端側に同軸で取り付けられる。なお、ビット基板21は、ロッド17の軸線に沿う方向の下端側に固定されるものであるが、ロッド17の下端側を塞ぐ端円板と兼用されるものであってもよい。つまり、ビット19は、ロッド17と一体的に設けられてもよい。
【0030】
掘削刃23は、それぞれが直角三角形状に形成され、ビット基板21のロッド17と反対側の下端面に軸線CLを中心とした円周方向に略等間隔、すなわち約120°間隔で三枚が突設され、直交方向2辺部53(
図3参照)の一方が軸線CLに沿って配置される。ロッド17は、軸線が、ほぼ回転中心となって回転駆動される。従って、本明細書中、軸線と回転中心とは、同等の意味で使用する。掘削刃23は、従来のような一枚板状ではなく、3枚構成とすることで、摩耗を分散させて、刃の劣化を低減することができる。なお、掘削刃23は、回転径が、ビット19の回転径以下であり、ビット19の最外径よりはみ出さないように形成されることが好ましい。これにより、コラム43の出来形に影響せずに、設計支持力が確保される。
【0031】
掘削爪25は、
図4に示す3つのもの,すなわち、第1掘削爪55,第2掘削爪57,第3掘削爪59からなり、それぞれの掘削刃23の傾斜辺部61(
図3参照)から下方に突出するように固定される。掘削爪25は、
図5に示すように、軸線CLから異なる距離d1、距離d2、距離d3で固定されている。すなわち、回転中心に1番近い第1掘削爪55は回転中心から距離d1の位置で、回転中心に2番目に近い第2掘削爪57は回転中心から距離d2の位置で、回転中心に3番目に近い第3掘削爪59は回転中心から距離d3の位置で配置されている。
【0032】
掘削爪25(55,57,59)は、
図4に示すように、それぞれの先端縁部63が、ビット19の回転中心からの放射線65上に重なる位置とされる。図例の掘削爪25(55,57,59)は、先端に略真直な先端縁部63を有した平ビット形状とされ、それぞれの掘削爪25(55,57,59)の側面と放射線分65とは直角となる。
【0033】
図6に示すように、各掘削爪25は、各掘削刃23のビット基板21に対する垂直な板面23aに、掘削方向Dに向かうように傾斜して基端側が固定される。各掘削爪25は、
図4に示すように、各掘削刃23の掘削方向D側の板面23aに配設される。それぞれの掘削爪25の傾斜角度θ1は略同一となり、板面23aから先端縁部63が離間し、第1掘削爪55の先端縁部63との距離s1と第3掘削爪59の先端縁部63との距離s3とが同等に、掘削刃23の先端よりも掘進方向に突出した位置の第2掘削爪57の先端縁部63との距離s2もほぼ同等となる。各掘削爪25は、平ビットの場合、略矩形板状に形成される。この場合、掘削爪25の厚み方向は、
図4に示す放射線分65に直交する方向となる。すなわち、幅方向が放射線分65に沿う方向となる。掘削爪25は、先端の表裏が先端に向かって徐々に厚みを薄く形成され略楔状とされた両刃となる。掘削刃23に傾斜して固定された各掘削爪25は、
図6に示すように、それぞれの外側の刃面67が、回転中心に沿う垂直面と概ね平行となる。なお、各掘削爪25の傾斜角度θ1は、5〜30°、好ましくは約20°とされる。
【0034】
また、各掘削爪25は、各掘削刃23に高さを変えて固定される。すなわち、各掘削爪25は、掘削刃23の先端である下端からの距離を変えて配置される。掘削刃23の最先端位置(最下端位置)をh0として、第1掘削爪55の刃の位置h1は、掘削刃23の先端とほぼ同一位置とされる。第2掘削爪57の刃の位置は、掘削刃23の先端位置h0から距離h2だけ突出する。第3掘削爪59の刃の位置は、掘削刃23の先端位置h0から距離h3だけ後退して(引っ込んで)いる。これら掘削爪25の長さのうち回転中心(軸線CL)から2番目に離間する掘削爪25(第2掘削爪57)のみが
図3,
図6(b)に示すように、掘削刃23先端よりも距離h2だけ延出している。
【0035】
各掘削爪25は、上記のように掘削刃23の中心軸から異なる距離及び異なる高さに取り付けられている。そして、掘削爪25は、それぞれ回転方向(掘削方向D)に対して逆らう方向(向かう方向)に角度をつけて掘削刃23に接合される。つまり、掘削刃23に対して、刃先(先端縁部63)が起こされ、かつひねりを有して配置構成されており、これにより、軸線CLを中心に回転し、かつロッド17とともに進行することで、固い地盤にも各掘削爪25が段階的に抉り、そして削って掘削することとなり、高い掘削・掘進能力を確保できる。
【0036】
掘削爪25は、例えば耐衝撃用超硬合金を用いることができる。耐衝撃用超硬合金は、高強度と強靭さ及び硬さに優れ、例えばタングステンカーバイドの粒子をコバルトやニッケルを結合材として製造される。掘削爪25は、掘削刃23に対して溶接により固着されるものが好ましいが、交換可能に締結固定などの構成としてもよい。掘削爪25の形状は、剣先ビット、平ビット等の任意のものとすることができるが、先端縁部63については、真直に形成され、上記したように放射線65上に重なることとする。
【0037】
以上の構成により、従来工法は土質に応じてビット19を変更する必要があったが、上記ビット19は、従来に比べより広範囲な土質に対して掘削が可能となり、かつ掘削土を上方に殆ど移動させることなく、側方へ圧密するように作用させることが可能となる。
【0038】
ビット基板21には軸線CLと同軸となって下端面から下方へ突出する吐出管39が突設され、吐出管39の突出先端に吐出口41が開口される。つまり、吐出口41は、ビット19の中央において、掘削刃23の接合位置よりも下方まで伸びている。本実施形態では、吐出管39の形状を、外周面にテーパーを備えた円錐台形状としている。従来のビット19はビット基板21の下端面と同レベルに吐出口41があり、横から進入してくる掘削土に対しても障壁がなく詰まりやすかった。これに対し、本構成は、吐出管39を下端面から垂下させ、外周面にテーパーを備えることで、横から吐出口41に入ろうとする掘削土の進入を阻止することができる。
【0039】
また、吐出管39の吐出口41は、吐出管39の突出先端側から奥まった位置で開口されている。これにより、吐出口41の周囲には段部が形成される。この段部には、築造コラム用充填材69(
図8参照)の吐出圧力により開放するゴム弁(図示略)が設けられている。ゴム弁は、段部の小径側が座面となることで、掘削土の進入圧力に対しては高い対抗力を有し閉鎖を保つ一方、築造コラム用充填材69の吐出する圧力によっては容易に開放が可能となっている。
【0040】
次に、上記構成を有するコラム築造装置11の作用を説明する。
コラム築造装置11では、掘削刃23が3枚となることで、掘削時の抵抗が分散され、ビット19の劣化が低減される。掘削刃23の形状が直角三角形状となることで、先端が鋭角の三角形となり、掘進力が高められる。また、各掘削刃23に掘削爪25をそれぞれ設けることで、劣化が掘削爪25に集中し、掘削爪25のみの交換で掘削能力を回復させることができ、経済性が高まる。それぞれの掘削刃23に設けられている掘削爪25は、掘削刃23の先端からの距離或いはビット基板21からの高さ及び中心(軸線CL)からの距離が全て異なるので、固い地盤にも段階的にかつ効果的に掘削が可能となる。掘削刃23がビット基板21の下端面に固定されるので、掘削刃23がロッド径よりも外側にはみ出さず、コラム43の出来形に影響を与えることがない。その結果、掘削性能が高まり、また、劣化し難くなり、どのような土質の地盤に対しても1種類のビット19で対応が可能となる。
【0041】
また、コラム築造装置11では、吐出管39がビット基板21の下端面から突出し、その突出先端に吐出口41が開口するので、下端面に当たった掘削土が吐出口41に入り難くなる。これにより、吐出口41が掘削土で詰まることが抑制され、築造コラム用充填材69のスムースな吐出が可能となる。その結果、下端面に当たった掘削土が吐出管39に阻まれ吐出口41に進入することを防止でき、さらに吐出管39の外形を円錐台形状としたことで吐出管39とビット基板21とが鈍角での接続となって、このことからも掘削土の進入を防止し、掘削土等の逆流や詰まりを抑制して、充填材をスムースに充填できる。また、築造コラム用充填材69への切削土の混入を抑制できる。
【0042】
また、本実施形態に係るコラム築造装置11では、ロッド17の上半部がストレート部49となり、下半部が先端に向かって細くなるテーパーロッド47よりなるテーパー部51となる。ロッド17は、掘削時に、テーパーロッド47のテーパー面により掘削孔46内面を周辺地盤側へ押し付けることができる。これにより、掘削孔46内面が押し固められ、掘削孔46内面の崩落が無くなる。従って、しっかりした築造が行え、高品質なコラム43を得ることができる。
また、テーパー面に続けてストレート部49を備えることにより、押し固め後の掘削孔46内面がストレート部49により均され、掘削孔46の形状が欠損無く高精度に掘削内径を維持可能となる。そして、その形でのコラム築造が行える。
さらに、テーパーロッド47による押し固め、及びストレート部49による均しにより、オーガ15を引き抜く際にも、掘削孔46内面の崩れが抑制されるので、穿った形状を保持でき、築造されたコラム43の形状安定性が向上する。
また、掘削孔46により築造された支持体としてのコラム43は、鉛直支持力Fvを、周辺地盤側に対する鉛直側面の摩擦力と、テーパーロッド47におけるテーパー面による大きな摩擦力と、で得ることができ、従来の杭等に比べ鉛直支持力Fvを向上させることができる。
【0043】
また、このコラム築造装置11では、掘削爪25が、掘削刃23の略垂直な板面23aに対し掘削方向Dに向かうように傾斜して固定される。これにより、掘削爪25の先端縁部63が、地盤に向かって最初に食い込み、掘削を進めることとなって、掘削力が向上する。また、掘削爪25は、先端縁部63がビット19の回転中心(軸線CL)からの放射線65上に重なる位置に配置される。すなわち、掘削爪25は、ビット19の外周円の接線に直角な向きで配置される。これにより、回転して掘削する際に、掘削爪25は、放射線65方向の幅方向、すなわち先端縁部63が均等に地盤に接し、ロッド17の回転に伴い地盤に対して抉るように作用して効率よく地盤を掘削できる。このことからも掘削力が向上する。さらに、各掘削爪25は、掘削刃23に対して高さを変えて固定されるので、段階的に掘進方向へと掘削することが可能となり、高い掘削・掘進能力が確保される。その結果、固い地盤に対しても掘削力を向上させることができる。
【0044】
そして、このコラム築造装置11では、テーパー部51を有することで掘進方向に対して拡径するように掘進して掘削時の側方への土圧を増加させることができるとともに、掘削力を向上させることができ、しかも、鉛直支持力Fvの大きいコラム43を築造できる。
【0045】
また、このコラム築造装置11では、回転中心(軸線CL)から2番目に離間する掘削爪25(57)が、掘削刃23先端よりも延出、すなわち掘進方向に突出する。掘削方向に向かうように傾斜した掘削力の高い掘削爪25が、掘削刃23よりも先に地盤を掘削し掘進することにより、掘削力が向上する。また、回転中心(軸線CL)から2番目に離間する掘削爪25(57)を最も突出させることにより、回転中心(軸線CL)から1番目の掘削爪25を突出させる場合よりも一回転あたりの掘削量を増やして掘進速度を速くすることが可能となる。さらに、この2番目の掘削爪25(57)が先行して掘進することにより各掘削爪25のそれぞれの先端縁部63における偏った摩耗が減り、そのため掘進力が増し、また掘進継続時間を延ばすことが可能となる。
【0046】
また、ビット19は、1番目の掘削爪25の突出長を2番目の掘削爪25よりも短くすることにより、掘削孔46の回転中心を含む断面における先端の断面形状が、
図11(a)に示すように碗状に凹む、別言すると掘削孔46の先端である底部の中央に凸部46aを残す形状となる。この掘削孔46にコラム43が築造されることにより、築造されたコラム43は、先端中央が凹状に形成され、凹部43aを有する凹状先端形状となる。これにより、コラム43は、支持体としての鉛直支持力Fvを、上記の周辺地盤側に対する鉛直側面の摩擦力と、テーパー面による摩擦力と、に加え、
図11(b)に示す凹状先端形状によっても増やすことができ、掘削孔46の底部に支えられるように築造され、従来の杭等に比べさらに大きい鉛直支持力Fvを得ることができる。その結果、掘削力をさらに向上させることができる。
【0047】
次に、上記のコラム築造装置11を用いた本発明に係るコラム置換築造方法の手順を説明する。
図7(a)はロッド17を位置合わせする工程図、(b)は掘進時の工程図、
図8(a)は置換底位置に達したオーガ15を所定時間回転させる先端形状安定化工程及び再度置換底位置に戻す上下動工程の工程図、(b)は築造コラム用充填材69を吐出しながらオーガ15を引上げる充填工程の工程図、
図9(a)はコラム43の置換予定上端位置の所定距離手前に達したら築造コラム用充填材69の吐出を停止させて築造コラム用充填材69の上面レベルを調整する仕上げ工程の工程図、(b)はコラム43の築造が完了した工程図、
図10は縦軸を深さ、横軸を時間としたコラム築造手順の工程説明図、
図11(a)は掘削孔46の先端部分の側断面図、(b)は築造されたコラム43の側面図である。
【0048】
本実施形態に係るコラム置換築造方法は、
図10に示すa〜fの工程を有する。すなわち、ロッド17の下端にビット19を有したオーガ15を回転させて掘削土を側方地盤へ圧入することで周辺地盤を圧密しながら所定の深度まで回転圧入する掘進工程aと、コラム43の置換底位置に達したら同位置でオーガ15を所定時間回転させた後に築造コラム用充填材69を吐出する先端形状安定化工程bと、築造コラム用充填材69を吐出しながらオーガ15を一旦引上げた後にオーガ15を再度置換底位置に戻す上下動工程cと、コラム43の置換底位置に達したら築造コラム用充填材69を吐出しながらオーガ15を同位置で回転させる先端仕上げ工程dと、築造コラム用充填材69を吐出しながらオーガ15を引上げる充填工程eと、コラム43の置換予定上端位置の所定距離手前に達したら築造コラム用充填材69の吐出を停止させて仕上り面が置換予定位置となるように築造コラム用充填材69の上面レベルを調整した後に再びオーガ15を回転させながら引上げる仕上げ工程fと、を含む。
【0049】
このコラム置換築造方法では、
図7に示すように、オーガ15を回転させながら隣のコラム43に影響を及ぼさない速度、例えば0.5〜3.0m/分の速度で、掘削土を、上方へ移動させずに側方地盤へ圧入する。これにより、周辺地盤を強固に圧密しながら所定の深度までオーガ15を回転圧入する。コラム43の置換底位置に達したら、同位置で所定時間オーガを回転させて、先端形状を安定させる。具体的には、同位置で30〜60秒程度回転させて先端形状を安定させる。
【0050】
その後、
図8(a)に示すように、築造コラム用充填材69を吐出しながら一旦所定距離だけオーガ15を引上げ、再度、オーガ15を置換底位置に戻して、同位置で回転させる。具体的には、0.2〜0.5m程度引上げ、流量計で充填材の吐出を確認した上で、再度置換底位置に戻す。このときのオーガ15の昇降速度は、掘進時と同程度の0.5〜3.0m/分の速度とする。
【0051】
次いで、
図8(b)に示すように、築造コラム用充填材69を掘削孔46内に吐出しながらオーガ15を引上げる。引上げ時は、築造コラム用充填材69をオーガ15の吐出口41から吐出し、対象地盤を混入、撹拌せずにオーガ15を回転させて速度0.5〜1.5m/分で引上げる。コラム43の置換予定上端位置の手前、例えば置換予定上端位置の−1.0m〜−0.5mに達したら、
図9(a)に示すように、築造コラム用充填材69の吐出を停止させ、仕上り面が置換予定位置となるように築造コラム用充填材69の上面レベルを確認・調整する。
【0052】
その結果、掘進工程a、先端形状安定化工程b、上下動工程c、先端仕上げ工程d、充填工程e、仕上げ工程fによって、
図9(b)に示すように、地面45まで築造コラム用充填材69を過不足なく充填することができる。これに加え、
図11(a)に示すように、コラム43の先端形状を定着させ、掘削土の混入をより確実に削減できる。その結果、確実に築造コラム用充填材69を吐出して、
図9(b)に示す地中最下端の先端から地面45の上部まで品質の高いコラム43を築造でき、さらに、テーパーロッド47に相当する位置に、テーパーTを有する高品質なコラム43を得ることができる。
なお、コラム43の先端形状は地盤の土質や掘削状況等により、
図11(b)に示す形状とは異なる形状となる場合もある。
【0053】
次に、ストレート部のみのコラムとテーパー部51を有するコラムの沈下量を比較測定した結果を説明する。
図12はストレート部のみの従来型のコラムと、テーパー部51を有する本発明のコラムの載荷試験結果を表す説明図である。
試験は、比較対象であるストレート部のみの従来型のコラム(補強体)では、直径を300mm、ロッドの全長を1560mmとした。また、本発明のテーパー部51を有するコラム43では、上端外径を300mm、下端外径を250mmとし、ロッドの全長を3200mm、テーパー部51を2000mm、ストレート部を1000mmとした。
異なる試験場で異なる長さの補強体(コラム)に対し、荷重を加え、30mm沈下時の荷重量を測定した。その結果、
図12に示すように、何れの試験場、何れの補強体長においても、テーパーロッド47を備える補強体(コラム43)の鉛直支持力がストレートのみの形状の補強体と比べて1.3〜約2倍となり十分に上回ることが知見できた。
なお、
図12中、※1は、補強体頭部沈下が30mm未満で極限に達したため、最大荷重を採用した。※2は、テーパー形状、ストレート形状のいずれか、または両方を30mm未満の最大荷重で比較した。
【0054】
次に、築造コラム用充填材69について説明する。
図13(a)は築造コラム用充填材69の高炉セメントB種の場合の配合例を表とした説明図、(b)はユースタビラー50の場合の配合例を表とした説明図である。
築造コラム用充填材69は、主成分に、高炉セメントB種(C)と、分散材(K)及びブリーディング低減材(B)からなる混和材と、水(W)と、を有し、水セメント比((W+B+K)/C)が、80〜120%、ブリーディング低減材セメント比(B/C)が、5.0〜9.0%、分散材セメント比(K/C)が、1.0〜2.5%であり、かつ水、分散材、ブリーディング低減材、高炉セメントB種の順で混合撹拌されてなる。
また、築造コラム用充填材69は、上記高炉セメントB種に代えてユースタビラー50とした場合には、主成分に、ユースタビラー50(C)と、分散材(K)及びブリーディング低減材(B)からなる混和材と、水(W)と、を有し、水セメント比((W+B+K)/C)が、80〜120%、ブリーディング低減材セメント比(B/C)が、3.0〜7.0%、分散材セメント比(K/C)が、1.0〜2.5%であり、かつ水、分散材、ブリーディング低減材、ユースタビラー50の順で混合撹拌されてなる。
【0055】
なお、築造コラム用充填材69は、施工性を確保できる配合とすることが望ましい。この場合、築造コラム用充填材69は、
図13(a)及び(b)の表に示すように、水セメント比を80%、90%、100%、120%の4配合とすることが好ましい。
【0056】
また、築造コラム用充填材69の主たる配合は、セメントが高炉セメントB種またはユースタビラー50(商品名:宇部三菱セメント株式会社)、ブリーディング低減材がベントナイト、分散材がポリカルボン酸系高分子化合物であり、水セメント比に応じた最適配合量を実験により決定した。その結果を、セメントが高炉セメントB種の場合を
図13(a)、セメントがユースタビラー50の場合を
図13(b)に示す。
また、築造コラム用充填材69を撹拌する際は、必ず「水」+「分散材」+「ブリーディング低減材」+「セメント」の順で混合撹拌する。これにより、各材料の性能が十分に発揮されることが実験により実証されている。
築造コラム用充填材69は、上記以外にもブリーディング低減及び施工性向上の効果がある混和材を使用してもよい。
【0057】
築造コラム用充填材69では、それぞれの混和材の性能が充分に発揮され、ブリーディング現象等によるコラム頭レベルの下がりが抑制される。水セメント比を80〜120%とし、配合(撹拌)の順番を、水、分散材、ベントナイト、セメントとすることで、ブリーディング率(コラム全長に対するコラム頭レベルの下がり)が2.0%以下に低減可能となる。
【0058】
次に、上記のコラム築造装置11を用いたコラム置換築造方法の変形例を説明する。なお、以下に説明する変形例については図示を省略するが、上述した
図10を用いた方法及び工程を参照し、符号を用いて説明する。
この変形例1に係るコラム置換築造方法は、上記したコラム置換築造方法において、先端形状安定化工程(
図10中b)、上下動工程(
図10中c)を含まない例であり、ロッド17の下端にビット19を有したオーガ15を回転させて掘削土を側方地盤へ圧入することで周辺地盤を圧密しながら所定の深度まで回転圧入する掘進工程aと、コラム43の置換底位置に達したら築造コラム用充填材69を吐出しながらオーガ15を同位置で回転させる先端仕上げ工程dと、築造コラム用充填材69を吐出しながらオーガ15を引上げる充填工程eと、コラム43の置換予定上端位置の所定距離手前に達したら築造コラム用充填材69の吐出を停止させて仕上り面が置換予定位置となるように築造コラム用充填材69の上面レベルを調整した後に再びオーガ15を回転させながら引上げる仕上げ工程fと、を含む。
【0059】
この変形例1に係るコラム置換築造方法では、オーガ15の先端中心を、築造するコラム43の軸線に位置に合わせする。オーガ15を回転させながら隣のコラム43に影響を及ぼさない速度で、掘削土を、上方へ移動させずに側方地盤へ圧入する。具体的には、オーガ15を正回転させながら、速度0.5〜3.0m/分で、周辺地盤を強固に圧密しながら所定の深度まで回転圧入する(掘進工程a)。
【0060】
所定深度に達したら、オーガ15を回転させながら築造コラム用充填材69を吐出開始し、その状態を所定時間(30〜60秒)保持する(先端仕上げ工程d)。
【0061】
次いで、オーガ15を回転させ、築造コラム用充填材69を吐出させながらオーガ15を引上げる(充填工程e)。具体的には、45〜85リットル/の流量で築造コラム用充填材69を吐出しながら、またはそのまま対象地盤を混入・撹拌せずに、オーガ15を速度0.5〜1.5m/分で引上げる。
【0062】
吐出口41がコラム43の置換予定上端位置となる手前で吐出を停止し、引上げる。オーガ15を引上げた後、必要に応じてコラム43の仕上り面まで築造コラム用充填材69を補充する(仕上げ工程f)。具体的には、コラム43の置換予定上端位置の−1.0m〜−0.5mに達したら築造コラム用充填材69の吐出を停止させる。仕上り面が置換予定位置となるように築造コラム用充填材69の上面レベルを確認・調整した後に、再びオーガ15を逆回転または正回転で引上げる。これにより、掘削土の混入なく安定した品質で地盤土を置換したコラム43の築造が完了する。
【0063】
次に、上下動工程(
図10中c)、先端仕上げ工程(
図10中d)を含まない変形例2に係るコラム築造手順を説明する。
この変形例2に係るコラム置換築造方法は、ロッド17の下端にビット19を有したオーガ15を回転させて掘削土を側方地盤へ圧入することで周辺地盤を圧密しながら所定の深度まで回転圧入する掘進工程aと、コラム43の置換底位置に達したら同位置でオーガ15を所定時間回転させた後に築造コラム用充填材69を吐出する先端形状安定化工程bと、築造コラム用充填材69を吐出しながらオーガ15を引上げる充填工程eと、コラム43の置換予定上端位置の所定距離手前に達したら築造コラム用充填材69の吐出を停止させて仕上り面が置換予定位置となるように築造コラム用充填材69の上面レベルを調整した後に再びオーガ15を回転させながら引上げる仕上げ工程fと、を含む。
【0064】
この変形例2に係るコラム置換築造方法では、オーガ15を回転させながら隣のコラム43に影響を及ぼさない速度で、掘削土を、上方へ移動させずに側方地盤へ圧入する。これにより、周辺地盤を強固に圧密しながら所定の深度までオーガ15を回転圧入する。ロッド17のビット19がコラム43の置換底位置に達したら、同位置で所定時間回転させて先端形状を安定(定着)させる。その後、吐出口41から築造コラム用充填材69を吐出しながらオーガ15を引上げる。吐出口41がコラム43の置換予定上端位置となる手前で吐出を停止し、引上げる。オーガ15を引上げた後、必要に応じてコラム43の仕上り面まで築造コラム用充填材69を補充する。
【0065】
その結果、掘進工程a、先端形状安定化工程b、充填工程e、仕上げ工程fによって、地面45まで築造コラム用充填材69を過不足なく充填することができるのに加え、先端形状を定着させ、掘削土の混入しない品質の高いコラム43を築造できる。
【0066】
次に、先端仕上げ工程(
図10中d)を含まない変形例3に係るコラム築造手順を説明する。
この変形例3に係るコラム置換築造方法は、ロッド17の下端にビット19を有したオーガ15を回転させて掘削土を側方地盤へ圧入することで周辺地盤を圧密しながら所定の深度まで回転圧入する掘進工程aと、コラム43の置換底位置に達したら同位置でオーガ15を所定時間回転させた後に築造コラム用充填材69を吐出する先端形状安定化工程bと、築造コラム用充填材69を吐出しながらオーガ15を一旦引上げた後にオーガ15を再度置換底位置に戻す上下動工程cと、築造コラム用充填材69を吐出しながらオーガ15を引上げる充填工程eと、コラム43の置換予定上端位置の所定距離手前に達したら築造コラム用充填材69の吐出を停止させて仕上り面が置換予定位置となるように築造コラム用充填材69の上面レベルを調整した後に再びオーガ15を回転させながら引上げる仕上げ工程fと、を含む。
【0067】
この変形例3に係るコラム置換築造方法では、オーガ15を回転させながら隣のコラム43に影響を及ぼさない速度で、掘削土を、上方へ移動させずに側方地盤へ圧入する。これにより、周辺地盤を強固に圧密しながら所定の深度までオーガ15を回転圧入する。ロッド17のビット19がコラム43の置換底位置に達したら、同位置で所定時間回転させて先端形状を安定(定着)させる。その後、所定距離だけオーガ15を引上げ、吐出口41から築造コラム用充填材69を吐出しながら一旦置換底位置に戻して回転させる。そのままオーガ15を引上げる。吐出口41がコラム43の置換予定上端位置となる手前で吐出を停止し、引上げる。オーガ15を引上げた後、必要に応じてコラム43の仕上り面まで築造コラム用充填材69を補充する。
【0068】
その結果、掘進工程a、先端形状安定化工程b、上下動工程c、充填工程e、仕上げ工程fによって、地面45まで築造コラム用充填材69を過不足なく充填することができるのに加え、掘削土の混入をより確実に削減でき、さらに確実に築造コラム用充填材69を吐出して、先端から上部まで品質の高いコラム43を築造できる。
【0069】
従って、本実施形態に係るコラム築造装置11によれば、土質を選ばず、掘削土が混入しない安定した品質のコラム43を築造することができる。これに加え、ロッド17のテーパー部51によって掘削時の側方への土圧を増加させることができるとともに、テーパーを有する形状により鉛直支持力Fvの大きいコラム43を築造できる。
【0070】
また、本実施形態に係るコラム置換築造方法によれば、掘進工程a、先端形状安定化工程b、上下動工程c、先端仕上げ工程d、充填工程e、仕上げ工程fによって、地面45まで築造コラム用充填材69を過不足なく安定した形状で充填できる。
【0071】
さらに、本実施形態に係る築造コラム用充填材69によれば、ブリーディング率を2.0%以下まで低減させることが可能となる。
【課題】掘削時の側方への土圧を増加させることができるとともに、掘削力を向上させることができ、しかも、鉛直支持力の大きいコラムを築造できるコラム築造装置を提供する。
【解決手段】下端に向かって細くなるテーパーロッド47を下半部に具備し、テーパーロッド47の上端における外径を直径とするストレート部49が上端に接続され上半部を構成するロッド17であって、ロッド17の下端には、円周方向に略等間隔で三枚とされ一辺が軸線CLに沿って配置されて互いに接合され、先端を鋭角の三角形状とした掘削刃23と、各掘削刃23のそれぞれの略垂直な板面に対し、掘削方向に先端が向かうように傾斜して固定されるとともに、先端縁部が回転中心からの放射線上に重なる位置とされ、かつ、先端縁部が傾斜辺部から突出し、軸線から異なる距離及び高さを変えて固定される掘削爪25とを具備する。