特許第6332794号(P6332794)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6332794
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】電圧検出装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20180521BHJP
   G01R 19/00 20060101ALI20180521BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   H02J7/02 H
   G01R19/00 B
   H01M10/48 P
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-101331(P2014-101331)
(22)【出願日】2014年5月15日
(65)【公開番号】特開2015-220813(P2015-220813A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2017年4月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141901
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 誠二
【審査官】 阿部 陽
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/160638(WO,A1)
【文献】 特開2007−150256(JP,A)
【文献】 特開2007−235451(JP,A)
【文献】 特開2012−120318(JP,A)
【文献】 特開2013−219043(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0184771(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00−7/12;7/34−7/36
H01M 10/42−10/48
G01R 19/00−19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを構成する複数の電池セル群毎に設けられ、前記電池セル群の電圧を検出する電圧検出回路と、
前記電圧検出回路に対して絶縁されているとともに、前記電圧に基づいて前記バッテリを制御する制御回路と、を有する電圧検出装置において、
前記制御回路が搭載される制御回路用基板と、
前記制御回路用基板に実装される第一通信素子と、
前記電圧検出回路が搭載され、前記制御回路用基板と平行に配置される電圧検出回路用基板と、
前記電圧検出回路用基板に実装され、前記第一通信素子と非接触で通信が可能な第二通信素子と、
前記制御回路用基板及び前記電圧検出回路用基板の載置が可能な樹脂製ケースと、
前記樹脂製ケースと共に前記制御回路用基板を収容する第一基板収容空間を形成する樹脂製カバーと、
前記樹脂製カバーと共に前記電圧検出回路用基板を収容する第二基板収容空間を形成する金属製カバーと、
前記電圧検出回路用基板に実装されると共に前記金属製カバーに接し、過充電状態となった前記電池セルを放電させる放電用素子とを備え、
前記第一通信素子と前記第二通信素子とが前記樹脂製カバーを介して対向するように配置されていることを特徴とする電圧検出装置。
【請求項2】
前記電圧検出回路用基板は、前記制御回路用基板よりも小さく形成され、複数が前記制御回路用基板の長手方向に整列させて収容されていることを特徴とする請求項1に記載の電圧検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、自動車などに搭載された電池(バッテリ)に取り付けられている測定装置の情報通信に適した、コネクタ接続の必要のない通信装置が開示されている。この通信装置は、電池の電圧、温度、圧力などの情報を測定する測定装置と、測定装置によって測定された情報に基づいて電池を制御する制御装置とを有している。
通信装置と制御装置とは、一対の通信素子を介して接続されており、一対の通信素子は、電池を電池収容台に載置することによりワイヤレス通信を用いて信号を伝達できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−23009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来文献では、ワイヤレス通信を用いてコネクタ接続を無くした構造となっているものの、制御装置と測定装置とは電池収納台を介して接続されている。これにより、測定装置の個数が増えると装置が大型化するという課題がある。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、バッテリの電圧を検出する電圧検出装置の小型化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、第1の解決手段として、バッテリを構成する複数の電池セル群毎に設けられ、前記電池セル群の電圧を検出する電圧検出回路と、前記電圧検出回路に対して絶縁されているとともに、前記電圧に基づいて前記バッテリを制御する制御回路と、を有する電圧検出装置において、前記制御回路が搭載される制御回路用基板と、前記制御回路用基板に実装される第一通信素子と、前記電圧検出回路が搭載され、前記制御回路用基板と平行に配置される電圧検出回路用基板と、前記電圧検出回路用基板に実装され、前記第一通信素子と非接触で通信が可能な第二通信素子と、を備え、前記第一通信素子と前記第二通信素子とが対向するように配置されている、という手段を採用する。
【0007】
本発明では、第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記電圧検出回路用基板に実装され、過充電状態となった前記電池セルを放電させる放電用素子と、前記制御回路用基板と前記電圧検出回路用基板との間に配置された絶縁樹脂板を有する、という手段を採用する。
【0008】
本発明では、第3の解決手段として、上記第1又は第2の解決手段において、前記電圧検出回路用基板に実装され、過充電状態となった前記電池セルを放電させる放電用素子と、前記放電用素子に接するとともに、前記電圧検出回路用基板の少なくとも一部を覆う金属製カバーと、を有する、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、制御回路用基板と電圧検出回路用基板とが第一通信素子と前記第二通信素子とを対向させるようにして平行の配置されることによって、電圧検出装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第一実施形態に係るバッテリと電圧検出装置の斜視図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る電圧検出装置の断面図(a)及びA部拡大図(b)である。
図3】本発明の第一実施形態に係る電圧検出装置の回路図である。
図4】本発明の第二実施形態に係る電圧検出装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る電圧検出装置は、バッテリを有する電気自動車(EV:Electric Vehicle)あるいはハイブリッド自動車(HV:Hybrid Vehicle)等の移動車両に搭載されている。バッテリは、例えばリチウムイオン二次電池のような二次電池(充電式電池)であり、直方体形状の電池パックとして移動車両の底部に配置されている。
図1に示すように、電圧検出装置1は、バッテリBの側面に固定されている。バッテリBは、複数(本実施形態では5つ)の電池モジュールJ1〜J5から構成されており、各々の電池モジュールJ1〜J5は、複数の電池セル(電池セル群12、図3参照)を有している。電圧検出装置1は、電池セル群12の電圧状態を監視する装置である。
【0012】
電圧検出装置1は、バッテリBの側面に固定されている樹脂製ケース3と、樹脂製ケース3と組み合わせて使用され、樹脂製ケース3との間に基板収容空間5を形成する金属製カバー4と、基板収容空間5に収容されるバッテリECU基板6及び複数のセル電圧センサ基板7と、を有している。
バッテリECU基板6は、バッテリBを制御するためのプロセッサ80(図3参照、制御回路)が搭載されている。セル電圧センサ基板7は、少なくとも電池セル群12のセル電圧を測定しその情報をバッテリECU基板6に伝える機能を有する集積回路30(電圧検出回路、図3参照)が搭載されている。
電圧検出装置1は、樹脂製ケース3と金属製カバー4とからなるケーシングの内部に、バッテリECU基板6と複数のセル電圧センサ基板7を収容して一ユニットとしてパッケージ化したものである。集積回路30は、プロセッサ80と電気的に絶縁されるとともに、通信可能に接続されている。
【0013】
樹脂製ケース3は、バッテリECU基板6及びセル電圧センサ基板7を載置可能なトレイ形状のケースであり、ボルトなどの締結手段を用いてバッテリBの側面に固定されている。図2(a)に示すように、樹脂製ケース3は、ベース部9と、ベース部9の縁部より突出するウォール部10とを有している。
樹脂製ケース3のベース部9は、バッテリECU基板6よりもやや大きな外形寸法を有する矩形板形状をなしている。また、樹脂製ケース3のベース部9には、ウォール部10の突出方向と同じ方向であって、バッテリBとは反対の側に突出する複数の位置決めピン11が形成されている。
【0014】
位置決めピン11は、バッテリECU基板6とセル電圧センサ基板7とを樹脂製ケース3に収容する際に、バッテリECU基板6とセル電圧センサ基板7とが平行配置するように位置決めする部材である。バッテリECU基板6とセル電圧センサ基板7とが位置決めピン11によって位置決めされることによって、バッテリECU基板6とセル電圧センサ基板7とは、図1に示すように、バッテリECU基板6に対して所定の間隔をあけて平行に配置された複数のセル電圧センサ基板7がバッテリECU基板6の長手方向に整列するように配置される。
位置決めピン11は、一つのセル電圧センサ基板7に対して少なくとも二つ形成されており、全ての位置決めピン11がバッテリECU基板6を貫通する。
【0015】
各々の位置決めピン11は、円柱形状を有し、基端部から先端部に向かって、段階的に直径が小さくなるように形成されている。具体的には、位置決めピン11は、最も先端側の位置決めピン第一部13と、最も基端側の位置決めピン第三部15と、位置決めピン第一部13と位置決めピン第三部15との間の位置決めピン第二部14とを有している。位置決めピン第二部14の直径は、位置決めピン第一部13よりも大きく形成されている。位置決めピン第三部15の直径は、位置決めピン第二部14よりも大きく形成されている。
【0016】
バッテリECU基板6には、位置決めピン11に対応する複数の位置決め孔17が形成されている。即ち、バッテリECU基板6を樹脂製ケース3に取り付ける際に、バッテリECU基板6の位置決め孔17に位置決めピン11を挿通させることによって、バッテリECU基板6が位置決めされる。バッテリECU基板6の位置決め孔17は、位置決めピン11の位置決めピン第二部14の直径よりもやや大きく、かつ、位置決めピン第三部15の直径よりも小さな直径とされている。
位置決めピン第三部15は、バッテリECU基板6が樹脂製ケース3のベース部9と平行配置されるような高さに支持されるように形成されている。
【0017】
また、樹脂製ケース3のウォール部10には、バッテリECU基板6を支持する第一支持面19を有する第一支持部18が形成されている。第一支持部18は、第一支持面19のベース部9からの高さが位置決めピン第三部15のベース部9からの高さと略同一となるように形成されている。
バッテリECU基板6には、コネクタ20が設けられており、コネクタ20は、樹脂製ケース3に金属製カバー4を取り付けた際に、基板収容空間5の外側に露出するように取り付けられている。
【0018】
セル電圧センサ基板7は、バッテリECU基板6よりも小さく形成されている。例えば、セル電圧センサ基板7は、バッテリECU基板6の1/5程度の大きさを有しており、基板収容空間5に複数のセル電圧センサ基板7をバッテリECU基板6の長手方向に整列させて収容することができる。
セル電圧センサ基板7には、位置決めピン11に対応する複数の位置決め孔22が形成されている。セル電圧センサ基板7の位置決め孔22は、位置決めピン第一部13の直径よりもやや大きく、かつ、位置決めピン第二部14の直径よりも小さな直径とされている。
位置決めピン第三部15は、バッテリECU基板6が樹脂製ケース3のベース部9と平行配置されるような高さに支持されるように形成されている。
【0019】
位置決めピン第二部14は、セル電圧センサ基板7が樹脂製ケース3のベース部9及びバッテリECU基板6と平行配置されるような高さに支持されるように形成されている。換言すれば、バッテリECU基板6が位置決めピン第三部15に支持されるとともに、セル電圧センサ基板7が位置決めピン第二部14に支持されることによって、バッテリECU基板6とセル電圧センサ基板7とは所定の間隔を隔てて互いに主面が平行に配置される。
セル電圧センサ基板7には、コネクタ23が設けられており、コネクタ23は、樹脂製ケース3に金属製カバー4を取り付けた際に、基板収容空間5の外側に露出するように取り付けられている。
【0020】
金属製カバー4は、樹脂製ケース3と協働してコネクタ20,23を除いてバッテリECU基板6とセル電圧センサ基板7とを、覆うような形状を有している。金属製カバー4は、樹脂製ケース3のベース部9と平行な主面であるカバー面8を有している。
【0021】
バッテリECU基板6及びセル電圧センサ基板7には互いにワイヤレス(無線)通信することが可能な通信素子25,26が実装されている。
バッテリECU基板6上であって、セル電圧センサ基板7に対向する面には、第一通信素子25が実装されている。セル電圧センサ基板7上であってバッテリECU基板6に対向する面には、セル電圧を送信する第二通信素子26が実装されている。
第一通信素子25と第二通信素子26とは、互いに対向するように配置されており、互いにワイヤレス通信が可能な距離に配置されている。具体的には、第一通信素子25と第二通信素子26とは、互いに平行となるように配置されたバッテリECU基板6及びセル電圧センサ基板7の主面に直交する方向から見て略同じ位置に配置されている。
【0022】
図2(b)に示すように、第一通信素子25は、磁性体のコア27aと、コア27aに巻回されているコイル28aと、コア27aとコイル28aとを覆う絶縁樹脂29aと、を有している。第二通信素子26は、磁性体のコア27bと、コア27bに巻回されているコイル28bと、コア27bとコイル28bとを覆う絶縁樹脂29bと、を有している。セル電圧センサ基板7に実装されている第二通信素子26のコイル28bの両端は、集積回路30に接続されている。バッテリECU基板6に実装されている第一通信素子25のコイル28bは、プロセッサ80に接続されている。
コイル28aは一次コイルである。また、コイル28bは二次コイルである。コイル28aとコイル28bとは、極性が逆極性となるように配置されており、パルストランスを構成している。
【0023】
図2(a)に示すように、セル電圧センサ基板7上であって、バッテリECU基板6を向く面とは反対側の面には、放電用抵抗器31が実装されている。放電用抵抗器31の一端は電池セル群12の正極に接続されており、放電用抵抗器31の他端は集積回路30の内部に設けられたスイッチング素子を介してグランドに接続されている。
放電用抵抗器31は、電池セル群12が過充電状態となった時に、スイッチング素子をオン状態にすることで過充電状態となった電池セルから電力が供給されて電力を熱エネルギーに変換して発熱する。
【0024】
金属製カバー4のカバー面8と、放電用抵抗器31との間には、サーマルグリース32などの熱的結合剤が介在している。即ち、金属製カバー4は、カバー面8と放電用抵抗器31との間に所定の隙間を形成するような形状とされており、放電用抵抗器31にサーマルグリース32が塗布されることによって、金属製カバー4と放電用抵抗器31とが熱的に接触して、金属製カバー4が放電用抵抗器31からの熱を受熱する。
【0025】
図3に示すように、電圧検出装置1が備えるセル電圧センサ基板7aは、電源回路21aと、集積回路30aと、DC(Direct Current)/DC変換器40aと、絶縁素子50aと、を備える。
セル電圧センサ基板7aが備える電源回路21aは、電池セル群12aの最低電位を基準電位Vaとした集積回路30aが備えるレベル変換部(アナログ変換回路)の電源に供給する電圧を生成する。例えば、電源回路21aは、電池セル群12aの電圧を昇圧してVaを基準電位とするアナログ変換回路の電源電圧を生成する。
電池セル群12a、12b、12cのそれぞれは、複数の電池セルから構成される。
【0026】
集積回路30aは、レベル変換部301aと、A/D(Analog to Digital)変換回路302aと、を備える。
レベル変換部301aは、複数の電池セルが出力する最大電圧がA/D変換回路302aのフルスケールに対応する電圧となるように、電池セル群12aにおける各電池セルのセル電圧を変換する。レベル変換部301aは、各電池セル群12aの電圧を入力するために高電圧(例えば、60ボルト)の電源で動作する回路である。
A/D変換回路302aは、レベル変換部301aによる変換後のセル電圧を入力し、対応するデジタル信号を生成する。A/D変換回路302aは、低電圧(例えば、5ボルト)の電源(第二の電源)で動作する回路である。
【0027】
DC/DC変換器40aは、集積回路30aが備えるA/D変換回路(デジタル変換回路)302aの電源に供給する電圧を生成する。例えば、DC/DC変換器40aは、プロセッサ(制御部)80が生成するPWM(Pulse Width Modulation)信号(パルス信号)に基づいて基準電位Vaに対して5ボルトの電圧を生成する。DC/DC変換器40aは、第一通信素子25と、第二通信素子26と、を備えている。
絶縁素子50aは、セル電圧センサ基板7aとバッテリECU基板6との間で電流の授受を行わずに集積回路30aが変換した電池セルの電圧を示す情報をプロセッサ80に伝送する。
【0028】
また、セル電圧センサ基板7bは、基準電位がVbであることを除いけば、セル電圧センサ基板7aと同様の機能部を備える。すなわち、セル電圧センサ基板7bは、電源回路21bと、集積回路30bと、DC/DC変換器40bと、絶縁素子50bと、を備える。
【0029】
同様に、セル電圧センサ基板7cは、基準電位がVcであることを除いけば、セル電圧センサ基板7aと同様の機能部を備える。すなわち、セル電圧センサ基板7cは、電源回路21cと、集積回路30cと、DC/DC変換器40cと、絶縁素子50cと、を備える。
【0030】
バッテリECU基板6は、DC/DC変換器40a、40b、40c、・・・と、絶縁素子50a、50b、50c、・・・と、電源60と、電源回路70と、プロセッサ80と、を備える。
【0031】
電源60は、電源回路70に電圧を出力する。例えば、電源60は、電源回路70に12ボルトの電圧を出力する。
電源回路70は、電源60が出力する電圧に基づいて、プロセッサ80の動作に必要な電源電圧を生成する。例えば、電源回路70は、電源60が出力する12ボルトの電圧から5ボルトの電圧を生成する。
【0032】
プロセッサ80は、DC/DC変換器40aがA/D変換回路302aの電源電圧を生成するためのPWM信号を生成する。また、プロセッサ80は、A/D変換回路302aによって変換された各電池セルの電圧情報を、絶縁素子50aを介して取得する。なお、プロセッサ80は、A/D変換回路302aが各電池セルのセル電圧をサンプリングするタイミングを指示する指令信号を生成してもよい。
【0033】
上記構成によれば、集積回路30とプロセッサ80との通信をワイヤレス通信とすることでセル電圧センサ基板7とバッテリECU基板6との間の配線を省略することができるため、電圧検出装置1の構成をより簡略化することができる。
また、バッテリBを構成するセル電圧センサ基板7の数を変更したばあいにおいても、セル電圧センサ基板7の増減により容易に対応が可能となる。
【0034】
また、バッテリECU基板6とセル電圧センサ基板7とをベース部9の位置決めピン11に取り付けることによってバッテリECU基板6とセル電圧センサ基板7とが平行に配置されるとともに、第一通信素子25と第二通信素子26とが対向するように配置される。これにより、第一通信素子25と第二通信素子26とのワイヤレス通信が可能となるため、バッテリECU基板6とセル電圧センサ基板7とを有するユニットとしての電圧検出装置1を小型化することができる。
【0035】
また、セル電圧センサ基板7に放電用抵抗器31を実装するとともに、放電用抵抗器31と金属製カバー4とをサーマルグリース32によって接続する構成としたことによって、セル電圧センサ基板7から発生する熱はバッテリECU基板6ではなく金属製カバー4に伝熱するため、電圧検出装置1の耐熱性を向上させることができる。
【0036】
なお、上記実施形態においては、通信素子としてコア27及びコイル28を用いたが、基板に搭載可能でありワイヤレス通信が可能な通信装置であればこれに限ることはない。例えば、通信素子としては、マイクロストリップアンテナ(パッチアンテナ)のようなアンテナや、発光素子及び受光素子などの通信素子の採用も可能である。
【0037】
(第二実施形態)
図4に示すように、本実施形態の電圧検出装置1BのバッテリECU基板6とセル電圧センサ基板7との間には、樹脂製カバー34が介在している。樹脂製カバー34は、バッテリECU基板6が取り付けられた樹脂製ケース3にバッテリECU基板6を覆うようにボルトのような締結手段を用いて取り付けられている。
セル電圧センサ基板7は、樹脂製カバー34に設けられている第二支持部36の第二支持面37及び樹脂製ケース3のウォール部10に支持されており、少なくとも一部が第二支持面37にボルトのような締結手段を用いて固定されている。第二支持面37及びウォール部10は、取り付けられたセル電圧センサ基板7がバッテリECU基板6と平行に配置されるように形成されている。
【0038】
樹脂製カバー34は、樹脂製ケース3に樹脂製カバー34を取り付けた上で金属製カバー4を取り付けることによって、基板収容空間5を第一基板収容空間5aと第二基板収容空間5abとに分割するように形成されている。樹脂製ケース3と樹脂製カバー34とによって形成される第一基板収容空間5aには、バッテリECU基板6が収容される。樹脂製カバー34と金属製カバー4によって形成される第二基板収容空間5bにはセル電圧センサ基板7が収容される。
【0039】
樹脂製カバー34は、樹脂製カバー34を樹脂製ケース3に取り付けることによって、樹脂製ケース3のベース部9及びバッテリECU基板6と平行に配置される板形状の樹脂製カバー本体35を有している。樹脂製カバー本体35は、バッテリECU基板6と樹脂製カバー本体35との間の間隔と、セル電圧センサ基板7と樹脂製カバー34との間の間隔とが、略同一となるように形成されている。樹脂製カバー本体35の厚さは、通信素子25,26の通信可能距離や、各基板の発熱の程度、電圧検出装置1Bの寸法などによって適宜設定される。
このように、樹脂製カバー34が形成されていることによって、本実施形態の第一通信素子25と第二通信素子26との間には、絶縁樹脂として機能する樹脂製カバー本体35が配置される。
【0040】
上記実施形態によれば、バッテリECU基板6とセル電圧センサ基板7との間に絶縁樹脂として機能する樹脂製カバー本体35が配置されることによって、セル電圧センサ基板7と、バッテリECU基板6とを熱的に分離することができる。発熱する放電用抵抗器31が実装されたセル電圧センサ基板7と、バッテリECU基板6とを分離することによって、バッテリECU基板6に搭載するプロセッサなどの部品の動作を保証する温度範囲を狭くすることができる。即ち、より安価な部品の採用が可能となり、電圧検出装置1Bのコストダウンを図ることができる。また、プロセッサなどの部品の動作を保証する温度範囲を狭くすることで、検出精度などの性能を高めることができる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、クレームの範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0042】
1,1B…電圧検出装置 3…樹脂製ケース 4…金属製カバー 5…基板収容空間 6…バッテリECU基板(制御回路用基板) 7…セル電圧センサ基板(電圧検出回路用基板) 8…カバー面 9…ベース部 10…ウォール部 11…位置決めピン 12…電池セル群 17…位置決め孔 22…位置決め孔 25…第一通信素子 26…第二通信素子 27…コア 28…コイル 29…絶縁樹脂 30…集積回路(電圧検出回路) 31…放電用抵抗器 32…サーマルグリース 34…樹脂製カバー 35…樹脂製カバー本体 40…DC/DC変換器 80…プロセッサ(制御回路)
図1
図2
図3
図4