特許第6332871号(P6332871)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6332871原子炉底部取付け型計装ノズルの補修方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6332871
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】原子炉底部取付け型計装ノズルの補修方法
(51)【国際特許分類】
   G21C 19/02 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   G21C19/02 J
   G21C19/02 V
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-540658(P2015-540658)
(86)(22)【出願日】2013年4月23日
(65)【公表番号】特表2015-533425(P2015-533425A)
(43)【公表日】2015年11月24日
(86)【国際出願番号】US2013037709
(87)【国際公開番号】WO2014074155
(87)【国際公開日】20140515
【審査請求日】2016年2月22日
(31)【優先権主張番号】61/723,430
(32)【優先日】2012年11月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/792,638
(32)【優先日】2013年3月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501010395
【氏名又は名称】ウエスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100091568
【弁理士】
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】ニュートン、ブルース、アール
(72)【発明者】
【氏名】ペレ、ミハイ、エイ
【審査官】 大門 清
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−075453(JP,A)
【文献】 特開2011−145271(JP,A)
【文献】 特開2014−048116(JP,A)
【文献】 特開2007−232457(JP,A)
【文献】 特開昭61−056998(JP,A)
【文献】 特開平02−105097(JP,A)
【文献】 実開昭57−014099(JP,U)
【文献】 特開昭59−112287(JP,A)
【文献】 米国特許第5483560(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C19/02
G21C13/00
G21C19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉圧力容器(10)の封止された貫通部(12)の補修方法であって、当該原子炉圧力容器(10)が当該貫通部(12)の上まで液体(22)で満たされた状態にあるときの補修方法において、
前記原子炉圧力容器(10)内の当該液体(22)が前記貫通部(12)を通して有意なレベル漏洩しないように前記貫通部の中に、またはそれに被せてプラグ(24)を設置するステップと、
前記原子炉圧力容器(10)をその内部に支える原子炉キャビティの中にある構造部材(40)または他の貫通部に支えを得て外付けコンテナ(30)にてこを作用させることで当該外付けコンテナのリップのシールを前記原子炉圧力容器の底部に対して上向きに、且つ持続的に押し付けることにより、当該外付けコンテナ(30)を前記原子炉圧力容器の底部に溶接することなしに、前記貫通部に被せるようにして当該外付けコンテナ(30)を前記原子炉圧力容器(10)の外側に封止して、前記外付けコンテナと前記原子炉圧力容器の外側との間に実質的な密封性を有するシールを形成するステップと、
前記原子炉圧力容器(10)と前記貫通部(12)との間の溶接部(16)の少なくとも一部分を取り除くステップと、
前記貫通部(12)に対して力(32)を加えて前記原子炉圧力容器の通し開口(14)から前記貫通部を取り外すステップと、
新しい貫通部(12)を前記原子炉圧力容器(10)の前記通し開口(14)に挿入するか、または底部プラグを前記原子炉圧力容器の前記通し開口に挿入するステップと、
前記新しい貫通部または底部プラグを前記原子炉圧力容器に封止が得られるように取り付けるステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記貫通部は照射済である原子炉圧力容器(10)の底部取付け型計装ノズル(12)であって、当該原子炉圧力容器水(22)で満たされており、さらに炉内構造物が取り外され、前記原子炉圧力容器の下方において炉内計装管(20)が当該底部取付け型計装ノズル(12)に接続された状態の底部取付け型計装ノズル(12)であり、
前記プラグ(24)が設置された後で、且つ前記外付けコンテナ(30)が封止される前に、前記底部取付け型計装ノズル(12)を前記プラグ(24)の下方で当該炉内計装管(20)から切り離すステップ
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記底部プラグが底部取付け型計装プラグであり、
前記新しい底部取付け型計装ノズル(12)または底部取付け型計装プラグが、前記原子炉圧力容器(10)の底部に溶接されるように構成された一体型ショルダ部(44)をあわせ持つ構造になっている、請求項に記載補修方法。
【請求項4】
前記通し開口(14)の周囲の前記原子炉圧力容器の底部の上面または前記新しい底部取付け型計装ノズルもしくは底部取付け型計装プラグの当該ショルダ部(44)が、いずれか相手方となる前記通し開口の周囲の前記原子炉圧力容器の底部の上面または前記新しい底部取付け型計装ノズルもしくは底部取付け型計装プラグの前記ショルダ部の輪郭と合うように機械加工されている、請求項に記載方法。
【請求項5】
前記シールが二重の同心Oリングシールを備える、請求項に記載方法。
【請求項6】
複数のOリングガスケットの間に漏洩監視用のリークオフラインを含む、請求項5に記載方法。
【請求項7】
前記外付けコンテナ(30)が、前記外付けコンテナの内部で支持された機械式または液圧式ジャッキ(32)であって、前記底部取付け型計装ノズルまたは前記底部取付け型計装プラグに対して上向きの力を加えることができるように構成されたジャッキ(32)を含む、請求項に記載方法。
【請求項8】
前記力(32)を加えるステップによって前記貫通部(12)が前記通し開口(14)から前記原子炉圧力容器(10)内に取り出される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記新しい貫通部(12)または底部プラグが、前記原子炉圧力容器(10)に溶接されるように構成された一体型ショルダ部(44)をあわせ持つ構造になっている、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記通し開口(14)の周囲の前記原子炉圧力容器(10)の合せ面または当該ショルダ部(44)の合せ面のいずれかが相手方の輪郭と合うように機械加工されている、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記外付けコンテナ(30)が、前記外付けコンテナの内部で支持された機械式または液圧式ジャッキ(32)であって、前記貫通部(12)に対して力を加えることができるように構成されたジャッキ(32)を含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35USC§119(e)に定めるところにより、2012年11月7日出願の仮出願シリアル番号第61/723,430号(発明の名称:BMI Nozzle Repair Method)に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は一般に、圧力容器の封止貫通部におけるクラックの補修および/またはクラックを生じがちな材料の補修/交換に関し、より詳細には、原子炉の底部取付け型計装ノズルの補修に関する。
【背景技術】
【0003】
600合金材料のクラックは、稼働中の原子力発電所において広く経験されているものであり、600合金材料が一次冷却材に直接さらされる場合には頻繁に見られる。600合金材料のクラックに対して、業界はその状態を緩和するための様々な補修・交換オプションの開発を迫られてきた。600合金製底部取付け型計装ノズルと、それに付随する取付け溶接部(J溶接部)は一次冷却材と直接接しており、クラックを生じがちであることが知られている。
【0004】
底部取付け型計装ノズルは原子炉圧力容器の底に位置しているため、底部取付け型計装ノズルの補修または交換には大きな難題が待ち受ける。そうした難題としては、高い放射線レベル、J溶接部に対するアクセス(すなわち、容器内部からのアクセス)の制約、さらに炉内計装ピット内における底部取付け型計装と炉内計装との間の溶接部に対するアクセス(すなわち、容器外部の容器下方からのアクセス)の制約が挙げられる。底部取付け型計装ノズルの補修は、炉内構造物を取り外して行わなければならないため、どのような補修作業を行うにせよ、原子炉圧力容器は水で満たした状態にしておかなければならない。その際の水位は、原子炉圧力容器の隣で燃料交換プール内に貯蔵した高放射能の炉内構造物を水没させたままに保つ役割を果たす。底部取付け型計装ノズルは典型的には水面下30フィート以深にある。そのため、容器内側から行う作業には、この水面下環境のために特に設計された遠隔操作機材が必ず必要となる。原子炉圧力容器の圧力バウンダリを破る補修には、一次冷却水インベントリの損失を緩和するための備えが用意されなければならない。これは、一次冷却材インベントリの損失はプラントの安全に直接かかわるものであるためである。底部取付け型計装ノズル/J溶接部に対する溶接による補修は、水の存在によって影響を受けることのない溶接品質であって、規則で許容される品質をもたらすものでなければならない。溶接をめぐる難題としては、そのほか、低合金鋼製原子炉圧力容器に対して直接溶接を行う場合または低合金製原子炉圧力容器シェルの8分の1インチ(0.32cm)以下のクラッドに対して溶接を行う場合に溶接後熱処理が必要とならないようにするためのテンパービード溶接(適用可能な場合)の必要性、既存の(J溶接部に直接隣接した)600合金バタリングに溶接する必要性、クラッドに対する溶接の必要性(クラッドは構造的溶接であると見なされるためには追加的な評価/テストを要する非構造的溶接である)が挙げられる。そのため、既存の底部取付け型計装ノズルとともにJ溶接部の全体または一部を取り外し、耐クラック性を有するニッケル合金で製作した取替え底部取付け型計装ノズルまたはプラグを溶接により設置するための方法に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0005】
これらの目的や、さらにそれ以外の目的は、底部取付け型計装ノズルに接続された炉内計装管を原子炉容器下部に備える場合であれ、備えない場合であれ、水で満たされ、炉内構造物が取り外された状態の放射能を帯びた原子炉容器のための底部取付け型計装ノズルの補修方法によって果たすことができる。この方法は、原子炉容器内の水が底部取付け型計装ノズルを通して有意なレベル漏洩しないように底部取付け型計装ノズルの中に、またはそれに被せてプラグを設置し、次いで底部取付け型計装ノズルをプラグの下方で炉内計装管から切り離すステップを含む。その上で、底部取付け型計装ノズルに被せるようにして外付けコンテナを原子炉容器の底面に封止して、外付けコンテナと原子炉容器の底部との間に実質的な密封性を有するシールを形成する。外付けコンテナを底部取付け型計装ノズルに被せて封止するステップは、原子炉容器をその内部に支える原子炉キャビティにある構造部材または隣接する他の底部取付け型計装ノズルに支えを得てコンテナにてこを作用させることで外付けコンテナのリップ上部のシールを原子炉容器底部に対して上向きに、且つ持続的に押し付けるステップを含む。さらに、原子炉容器と底部取付け型計装ノズルとの間の溶接部を取り除き、底部取付け型計装ノズルに対して上向きの力を加えて原子炉容器の底部の通し開口から底部取付け型計装ノズルを取り外す。その後、新しい底部取付け型計装ノズルまたはプラグを原子力容器の底部の通し開口に挿入し、原子炉容器底部に封止が得られるように取り付ける。プラグを使用しない場合は、次いで炉内計装管を底部取付け型計装ノズルに改めて取り付ける。
【0006】
一実施形態では、新しい底部取付け型計装ノズルまたはプラグは、原子炉容器の底部の内側上面に溶接するように構成された一体型ショルダ部をあわせ持つ構造になっている。好ましくは、通し開口の周囲の原子炉容器の底部の内側上面または新しい底部取付け型計装ノズルのショルダ部(またはその両方)は相手方の輪郭と合うように機械加工される。
【0007】
望ましくは、外付けコンテナのリップのシールは1つまたは複数のOリングシールを備えており、複数のOリングガスケット間に漏洩監視用のリークオフラインを含むことができる。好ましくは、外付けコンテナは排水手段を含む。外付けコンテナは、外付けコンテナの内部で支持された機械式または液圧式ジャッキであって、底部取付け型計装ノズルに対して上向きの力を加えることができるように構成されたジャッキを含むこともできる。望ましくは、機械式または液圧式ジャッキは遠隔操作される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の詳細を、好ましい実施形態を例にとり、添付の図面を参照して以下に説明する。
【0009】
図1】原子炉容器の半球形の下端の一部分であって、原子炉容器底壁の通し穴を貫通する底部取付け型計装ノズルを備える一部分の断面図である。
【0010】
図2図1に示す断面図で、底部取付け型計装ノズル内の中心開口に機械的プラグを挿入した状態の断面図である。
【0011】
図3図2に示す断面図で、底部取付け型計装ノズルから可とう性炉内計装管を切り取った状態の断面図である。
【0012】
図4図3に示す断面図で、外付け缶シールを底部取付け型計装ノズルの下端に被せるように当接し、原子炉容器の底面に封止して、原子炉容器キャビティの底部から支えた状態の断面図である。
【0013】
図5図4に示す断面図で、底部取付け型計装ノズルを取り除いた状態の断面図である。
【0014】
図6図5に示す断面図で、原子炉容器底壁の貫通開口部内に新しい底部取付け型計装ノズルを挿入した状態の断面図である。
【0015】
図7図6に示す断面図で、新しい底部取付け型計装ノズルを所定の位置に溶接した状態の断面図の一部分である。
【0016】
図8図7に示す断面図で、外付けコンテナシールを取り外した状態の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は典型的な構成の既存の底部取付け型計装ノズルの断面図を示したものである。円で囲った部分は、底部取付け型計装ノズル12を原子炉圧力容器10に取り付けるために使われているオリジナルの600合金溶接部(J溶接部)16をなすものであり、底部取付け型計装ノズルは原子炉圧力容器の底部の通し開口14を貫通する。この溶接部および底部取付け型計装ノズル自体はクラックを生じがちな材料であり、補修または交換を必要とする。容器内部の区域(すなわち、底部取付け型計装ノズル周辺およびその上方)は水で満たされた区域であり、符号22で表していることに留意のこと。さらに、原子炉圧力容器10の外側の底部取付け型計装ノズル12の底部は、ステンレス鋼製の炉内計装管20と接続されていても、されていなくてもよいことにも留意されたい。この管20は、底部取付け型計装ノズルを通して炉内計装を炉心内に挿入することを可能にするものであり、それによってプラント運転中に炉心内からの放射線レベルの測定を可能にする。
【0018】
図2は、底部取付け型計装ノズルを交換するための本方法の第1のステップの断面図を示したもので、機械的に拡張したプラグ24を底部取付け型計装ノズル12内の中心開口26に挿入して開口26を封止している。底部取付け型計装ノズルの孔26は漏洩経路をなすものであり、補修作業中の原子炉冷却系の漏洩を防ぐためにはこれを塞ぐ必要がある。別法として、底部取付け型計装ノズルの頂部にキャップを装着してこの経路を封止することもできる。
【0019】
図3は、炉内計装管20(図2に示すもの)から切り離された後の底部取付け型計装ノズル12を示したものである。この切離し作業は、原子炉圧力容器10よりも下に位置して放射線レベルがきわめて高い炉心計装ピット28内に設置した機材を使用して行う。炉内計装管20の切離し時には、底部取付け型計装ノズル内にあらかじめプラグ24を配設して原子炉冷却系の水が炉内計装ピット28内に漏れ出るのを防ぐ。底部取付け型計装ノズル12の切り離された部分は、それに対応する炉内計装管20(図2に示した可とう性のアセンブリ)とともに作業場所から移動させ、作業場所の方では、補修プロセスの後のほうで行う再溶接のために炉内計装管20の端部の準備を行うことができる。
【0020】
図4は、補修プロセスの次ステップで使用する外付けコンテナ30を示したものである。この外付けコンテナ30は原子炉圧力容器の底部の外側かつその下側に設置されるもので、コンテナの開放端を底部取付け型計装ノズルに被せ、原子炉圧力容器10の外側底面に密着させて配置する。外付けコンテナ30の開放端は原子炉圧力容器との接合境界をなし、漏洩防止のための一体型シールガスケットをその境界に含む。コンテナは、メカニカルシールと原子炉容器の境界に機械的な力を及ぼす支持装置/構造38によって所定位置に保持される。その力は、図示するように原子炉容器10をその内部で支持する原子炉キャビティの床面40から、または原子炉キャビティ内の別の構造部材から、または隣接する底部取付け型計装ノズルから、それぞれ外付けコンテナ30を支持し、外付けコンテナ30にてこを作用させることによって生み出すことができる。外付けコンテナ30は、排水アセンブリ34および、好ましくは機械式または液圧式のジャッキであって、コンテナ30内に収められているが、模式的に制御ケーブル36(図5)によって図示するように外部制御装置で操作される一体型ジャッキ装置32を備える。ジャッキ32は、底部取付け型計装ノズル12の下端と外付けコンテナ30の内側底面までの間に配設される。底部取付け型計装ノズル12は、原子炉圧力ノズル貫通部14に締りばめされているため、該ノズルをジャッキの機械的な力を利用して貫通部14を通して押し上げると、容易に抜取れる。
【0021】
図5は、既存の底部取付け型計装ノズル12を取り外した後の結果である構成を示している。既存の底部取付け型計装ノズル12の取外しは以下のようにして行う。まず、研磨や切削などの機械的金属除去法により、または放電加工により、若しくはそれらおよびその他の金属除去法の組合せにより金属を取り除き、それによって原子炉圧力容器10から既存の底部取付け型計装/J溶接部を切り離す。研削によって既存のJ溶接部のすべてまたは一部を取り除く。研削によって生じる穴は、取替える底部取付け型計装ノズルがぴったり収まる輪郭を持つように設計される。一実施形態では、次いで、好ましくは、筺体30内に収められたジャッキ装置32を介して底部取付け型計装ノズルの底部に機械的な力を加える。この力により、原子炉容器10の底壁の通し穴14から底部取付け型計装ノズル12が押し出される。ただし、底部ノズルを取り出すのに十分な力を加えることができるそれ以外の手段を用いることもできる。このようにして、古い底部取付け型計装ノズルを原子炉圧力容器から引き抜く。ジャッキ装置32を引き戻して、取替える底部取付け型計装ノズルを設置できるようにする。
【0022】
図6および7は貫通部14に取替えノズルが設置された状態を示している。図6は、溶接準備が整ったノズル12を、図7は、両側の溶接部42と共に所定の位置に溶接されたノズルを示している。取替えノズル12には、原子炉圧力容器10側の研削穴の輪郭に合うようにカスタム製作された一体型ショルダ部44が含まれる。取替える底部取付け型計装ノズルは、その研削穴に当てがって位置合せをした後、この特定用途のために考案された溶接法により溶接する。溶接にはテンパービード溶接法を用いるか、または任意選択として、既存の82/182合金バタリング46またはステンレス鋼製容器クラッド18のいずれか(または両方)と接合することでテンパービードを避けることもできる。一体型ショルダ部44の長さおよび形状は、溶接部が原子炉容器/バタリング/クラッド上の最適位置に設けられるように変化させてよい。溶接部は、溶接前、溶接中、最終時および供用中のそれぞれでの非破壊検査など、非破壊検査が可能となるように設計される。取替えノズル12は、図2に示すように一時的に漏洩を防ぐ働きをする取外し可能な機械式プラグまたはキャップ(古い底部取付け型計装ノズルに取り付けられたプラグ/キャップと同様のものであってよい)とともに設置される。別法として、底部取付け型計装ノズルをそれと同様の構成の底部取付け型計装プラグと交換することもできる。その場合は、内蔵プラグまたはキャップの必要性も、炉内計装ラインを改めて接続する必要性もなくなる。
【0023】
取替えノズル溶接部の最終検収後、外付け筐体30を取り外す。外付け筐体が取り外されると、取替え底部取付け型計装ノズルの底部が露出するので、炉内計装管20を再び溶接でつなぐ。炉内計装ラインの再接続後、取替え底部取付け型計装ノズルから内蔵プラグ/キャップを取り外す。この時点で取替え作業は図8に示すように完了し、原子炉圧力容器は供用を再開することができる。この取替えの結果、クラック発生の可能性のある材料はすべて供用から外されることになり、取替え底部取付け型計装ノズルまたは底部取付け型計装プラグはプラントの寿命にわたって許容される形での供用を果たせることになる。
【0024】
本発明の特定の実施形態について詳しく説明してきたが、当業者は、本開示書全体の教示するところに照らして、これら詳述した実施形態に対する種々の変更および代替への展開が可能である。したがって、ここに開示した特定の実施形態は説明目的だけのものであり、本発明の範囲を何らも制約せず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲に記載の全範囲およびその全ての均等物である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8