特許第6332902号(P6332902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6332902
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】美容用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/60 20060101AFI20180521BHJP
   A61K 8/14 20060101ALI20180521BHJP
   A61K 31/7008 20060101ALI20180521BHJP
   A61K 31/7012 20060101ALI20180521BHJP
   A61K 31/7072 20060101ALI20180521BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20180521BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20180521BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   A61K8/60
   A61K8/14
   A61K31/7008
   A61K31/7012
   A61K31/7072
   A61P17/16
   A61P43/00 121
   A61Q19/00
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-237787(P2012-237787)
(22)【出願日】2012年10月29日
(65)【公開番号】特開2014-88329(P2014-88329A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年8月27日
【審判番号】不服2016-17304(P2016-17304/J1)
【審判請求日】2016年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】399091120
【氏名又は名称】株式会社ピカソ美化学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】石崎 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】中部屋 恵造
【合議体】
【審判長】 大熊 幸治
【審判官】 小川 慶子
【審判官】 長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−2551(JP,A)
【文献】 特公昭46−19638(JP,B1)
【文献】 特表2009−517380(JP,A)
【文献】 特開2003−81778(JP,A)
【文献】 特開平1−117815(JP,A)
【文献】 特開2010−215648(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/038446(WO,A1)
【文献】 特表2008−518042(JP,A)
【文献】 特開2001−48789(JP,A)
【文献】 特開2006−56809(JP,A)
【文献】 新化粧品ハンドブック,代表者 関根 茂,2006年10月30日,p.692−695
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ウリジン又はその誘導体と、
(B)アセチルグルコサミン又はその誘導体と、
(B2)グルクロン酸、グルクロン酸の塩、及び、それらの誘導体から選択される少なくとも1種と、
を含み、リポソーム内に封入されていることを特徴とする美容用皮膚外用組成物(ただし、タイソウ抽出物を必須成分として含有する皮膚外用剤、並びに、アデノシン5’−一リン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1種のプリン系核酸関連物質を含有するコラーゲン産生促進用組成物は除く。)。
【請求項2】
(A)成分は、ウリジンリン酸又はその塩であることを特徴とする請求項1に記載の美容用皮膚外用組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の美容用皮膚外用組成物を含むことを特徴とする、医薬又は化粧品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角質層水分量を増大させハリのある肌を得るための、医薬、化粧品、食品に適用する好適な美容用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は外側から表皮、真皮、皮下組織からなっており、そのバリア機能により外界の刺激から生体を守る役割を有している。皮膚の真皮及び表皮は、表皮細胞、線維芽細胞、真皮細胞外マトリックス等によって構成されている。ヒアルロン酸は、コラーゲン、エラスチン等とともに真皮細胞外マトリックスを構成し、表皮細胞や線維芽細胞等の細胞の外にあって皮膚構造を支持している。若い皮膚では、これら皮膚組織の相互作用が恒常性を保つことによって、水分保持、柔軟性、弾力性等が確保され、外見的にもハリや艶がある状態が維持される。
【0003】
表皮の最外層には、更に角質層が存在する。角質層は10〜20の層になった角質細胞からなる細胞が最後にたどりつく部分である。角質細胞内には、アミノ酸、尿素、乳酸等の天然保湿因子が存在し、これらが水と結合することで、水分を保持し、皮膚の柔軟性を保っている。角質層は、外側にいくほど、核のない死んだ細胞がみられるが、水分を保持し、乾燥を防ぐ働き等、角質層のバリア機能は肌の美しさに大きく関係している。
【0004】
しかしながら、角質層の水分量は、乾燥、紫外線等の外的要因や加齢、老化や内臓疾患、ストレス等の内的要因によって減少し、皮膚のバリア機能の低下をもたらし、肌荒れやドライスキン、各種皮膚炎を引き起こしているといわれている。そのため、化粧品分野や皮膚科の領域では、角質層水分量を維持する保湿剤の開発が不可欠である。
【0005】
従来より、ヒアルロン酸を配合した化粧品や食品を適用することにより、皮膚表面の保湿性を保つ方法がとられてきた。しかしながら、このヒアルロン酸は、N−アセチル−D−グルコサミンとD−グルクロン酸とからなる直鎖状の酸性ムコ多糖の一種であり、その高い分子量のため、特に外用剤とした場合、皮膚中に浸透することが困難である。そのため、ヒアルロン酸自体を配合した外用剤は皮膚表面における保湿効果を発揮するだけで、肌の状態の根本的改善は期待できない。そこで、アセチルグルコサミン、グルクロン酸等を化粧水に加え外用することが検討されているが(特許文献1〜3)、これらによる肌の保湿性の向上やハリの改善も未だ十分なものとは言えなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−002551号公報
【特許文献2】特開2003−081778号公報
【特許文献3】特開2004−075629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、保湿性を改善し角質層水分量を増大させるとともに肌をハリのある状態に保つことを可能とする美容用組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、(A)ウリジン又はその誘導体と、(B)アセチルグルコサミン、グルクロン酸及びそれらの誘導体から選択されるいずれか一種以上の化合物とを含む組成物を医薬や化粧品や食品用途で使用すると、角質層水分量を増大させて保湿性の向上を図ることができ、美容用として好適であることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は以下のようなものを提供する。
【0009】
(1)(A)ウリジン又はその誘導体と、(B)アセチルグルコサミン、グルクロン酸、グルクロン酸の塩、及び、それらの誘導体から選択される少なくとも1種と、を含むことを特徴とする美容用組成物。
(2)(A)ウリジン又はその誘導体と、(B1)アセチルグルコサミン又はその誘導体と、(B2)グルクロン酸、グルクロン酸の塩、及び、それらの誘導体から選択される少なくとも1種と、を含むことを特徴とする(1)に記載の美容用組成物。
(3)(A)成分は、ウリジンリン酸又はその塩であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の美容用組成物。
(4)リポソーム内に封入されていることを特徴とする(1)に記載の美容用組成物。
(5)(1)〜(4)いずれかひとつ記載の美容用組成物を含むことを特徴とする、医薬、化粧品又は食品。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、保湿性を向上して角質層水分量を増大させるとともに肌のハリを保つことができ、美容用として好適に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は、これらに何ら限定されるものではない。
【0012】
本発明の美容用組成物は、(A)ウリジン又はその誘導体と、(B)アセチルグルコサミン、グルクロン酸、グルクロン酸の塩、及びそれらの誘導体から選択される少なくとも1種以上の化合物とを含む。
【0013】
ウリジンは、ピリミジンヌクレオシドの1つであって、ウラシルがリボース環にβ−N1−グリコシド結合で接続した構造をもつヌクレシドのひとつである。本発明において使用できるウリジンの誘導体としては、ウリジン一リン酸(ウリジル酸)、ウリジン二リン酸、ウリジン三リン酸等のウリジンのリン酸エステル類等、又は、その生理学的に許容される塩が挙げられる。塩としては、カリウム、ナトリウム等の金属塩が使用可能である。本発明の組成物には、これらのうち一種又は二種以上を併用してもよい。
【0014】
組成物中の成分(A)の配合量は、成分(B)の角質層におけるヒアルロン酸量を増大する働きを助けるに十分であれば特に限定されないが、組成物総量を基準として、0.000001質量%以上とするのが好ましく、0.00001質量%以上とすることが更に好ましい。その上限は、10質量%以下とするのが好ましく、5質量%以下とすることが更に好ましい。また、成分(A)と(B)とのモル比は、1:2〜2:1の範囲で用いられることが好ましい。
【0015】
また、アセチルグルコサミンは、グルコースの2位ヒドロキシル基がアセチルアミノ基に置換された単糖である。合成物や発酵産物、カニ、えび等のキチン分解から得られる分解産物等いずれのものも使用可能であり、特に限定されるものではない。また、その誘導体としては、下記化学式(1)のようなものが挙げられる。
【化1】
(但し、Rは水素原子又は炭素数2〜18のアルキル基である。R、R及びRは水素原子又は炭素数2〜18のアシル基であり、すべてが同じであっても何れかが異なっていてもよい。また、1位の立体構造はαあるいはβのどちらであってもよい。但し、R、R、R、Rのすべてが水素原子であってはならない。)
【0016】
より具体的には、オクチル(2−アセトアミド−2−デオキシ)β−D−グルコピラノシド、2−アセトアミド−1,3,4,6−テトラ−O−アセチル−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド、2−アセトアミド−2−デオキシ−6−O−オクタノイル−α−D−グルコピラノース、オクチル(2−アセトアミド−2−デオキシ−6−O−オクタノイル)β−D−グルコピラノシド、ブチル(2−アセトアミド−2−デオキシ)β−D−グルコピラノシド、ペンチル(2−アセトアミド−2−デオキシ)β−D−グルコピラノシド、ラウリル(2−アセトアミド−2−デオキシ)β−D−グルコピラノシド、2−アセトアミド−2−デオキシ−6−O−パルミトイル−α−D−グルコピラノース、ゲラニル(2−アセトアミド−2−デオキシ)β−D−グルコピラノシド、エチル(2−アセトアミド−3,4,6−トリ−O−アセチル−2−デオキシ)β−D−グルコピラノシド、ペンチル(2−アセトアミド−3,4,6−トリ−O−アセチル−2−デオキシ)β−D−グルコピラノシド、オクチル(2−アセトアミド−3,4,6−トリ−O−アセチル−2−デオキシ)β−D−グルコピラノシド、ゲラニル(2−アセトアミド−3,4,6−トリ−O−アセチル−2−デオキシ)β−D−グルコピラノシド等が挙げられるが、これらに限られるものではない。また、これらは、二種以上を併用してもよい。
【0017】
グルクロン酸は,炭素数6個のグルコースの骨格構造とC6位のカルボキシル基を持つ糖であり、代表的なウロン酸のひとつである。硝酸や強酸を使用し澱粉等からグルコース誘導体を選択的に酸化してカルボン酸に変換し、その酸化生成物を加水分解して得たものや、グルコースを微生物により直接グルクロン酸に変換したもの等、いずれのものも使用可能であり特に限定されるものではない。また、そのカリウム塩、ナトリウム塩、その他生理学的に許容される塩が使用可能である。更に、誘導体としては、グルクロノラクトン、グルクロノキシラン等が挙げられる。これらは、二種以上を併用してもよい。
【0018】
これらアセチルグルコサミン、グルクロン酸又はそれらの誘導体から選ばれる成分(B)の本発明の組成物への配合量は、肌のハリ、水分量を増大させるのに十分であれば特に限定されない。組成物総量を基準として、0.000001質量%以上とするのが好ましく、0.00001質量%以上とすることが更に好ましい。その上限は、10質量%以下とするのが好ましく、5質量%以下とすることが更に好ましい。
【0019】
本発明の組成物は、アセチルグルコサミン又はその誘導体(B1)、あるいは、グルクロン酸及びその誘導体(B2)のいずれかを含有すればよいが、成分(B1)と成分(B2)とを併用することが好ましい。この場合、成分(B1)と成分(B2)との比は、モル比で、2:1〜1:2の範囲で用いられればよい。
【0020】
本発明の組成物は、皮膚の角質層水分量を増大させて保湿性を向上するとともに、肌のハリの改善又は良好な肌の状態を保つことができる。本組成物は、医薬、化粧品又は食品に使用することができる。その形態も、目的に応じて任意に選択することができる。すなわち、錠剤、クリーム、軟膏、乳液、溶液、ゲル等の剤形やパック、ローション(化粧水)、パウダー、スティック等のさまざまな形態をとることが可能である。特に化粧品として用いる場合には、皮膚外用剤として用いることが使用しやすさの面から好ましい。
【0021】
本発明の組成物はそのままの形で医薬、化粧品、又は食品に加えてもよいが、マイクロカプセル中に封入した上で加えてもよい。例えば、リン脂質からなる数10〜数100nmの粒径の微小なカプセルである、リポソームを用いることが、上記成分の効果を最大限に引き出すために好ましい。
【0022】
リポソームとは、主にリン脂質から成る脂質二重層あるいは多重層であり、細胞膜に類似した構造を有し、従来より、化粧品分野では、美白、保湿、抗酸化効果を有する有効成分を肌へ届ける手段として有効成分をリポソームに内包させることがよく行われてきた。本発明の上記有効成分は、例えば、リポソームの内水相に取り込まれ、カプセル化される。
【0023】
本発明において、適用できるリポソームの製法としては、公知の種々の方法が特に限定されることなく採用できる。例えば、(1)脂質を有機溶媒に溶解し、溶媒を減圧除去して薄膜を形成した後、緩衝液等の水溶液を加えて振とう膨潤させ、更に機械的撹拌手段により薄膜をはがすことで調製する方法、(2)脂質をエーテル又はエタノール等の有機溶媒に溶解し、緩衝液等の水溶液中に注入した後、溶媒を除去することにより調製する方法、更に、機械的な方法として、(3)超音波処理による方法、(4)高圧ホモジナイザーや高速回転分散機による方法、(5)ポリカーボネイト製メンブランフィルターを用いた高圧ろ過による方法、(6)水相の上部に脂質を溶解させた油相を用意し、油相に液滴を導入し、遠心分離による力で液滴を水相に引きずり込む方法等が知られている。そのほかに、(7)脂質をエタノール等の水と相溶する有機溶媒に溶解した後、透析膜を介して水と置換する方法等が挙げられる。
【0024】
医薬、化粧品又は食品として使用する場合、上述した成分を必須の構成成分とするほか、本発明の目的を損なわない範囲で他の成分、例えば、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、粘度調整剤、油剤、粉体(色素、樹脂、顔料等)、防腐剤、香料、保湿剤、生理活性成分、塩類、溶媒、酸化防止剤、キレート剤、パール化剤、中和剤、pH調整剤、酵素等の成分を適宜配合することができる。以下に配合成分の具体例を示すが、これらに限られるものではない。
【0025】
上記陰イオン性界面活性剤としては、α−アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアミドエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N−アシルアミノ酸塩、スルホコハク酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等が挙げられる。
【0026】
また、両性界面活性剤としては、グリシン型、アミノプロピオン酸型、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、スルホン酸型、硫酸型、リン酸型等が挙げられ、好適なものとして2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が例示できる。また、レシチン等のリン脂質を、リポソームを形成することを目的とする以外に使用することもできる。
【0027】
非イオン性界面活性剤としては、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルアミンオキシド等が挙げられる。
【0028】
粘度調整剤の例としては、アクリル酸アミド及びその誘導体、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、セルロース、ケラチン及びコラーゲン又はその誘導体、アルギン酸カルシウム、プルラン、寒天、ゼラチン、タマリンド種子多糖類、キサンタンガム、カラギーナン、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、グァーガム、アラビアゴム、結晶セルロース、アラビノガラクタン、カラヤガム、トラガカントガム、アルギン酸、アルブミン、カゼイン、カードラン、ジェランガム、デキストラン等が挙げられる。
【0029】
油剤としては、通常化粧料に用いられる揮発性及び不揮発性の油剤、溶剤及び樹脂が挙げられ、常温で液体、ペースト、固体であっても構わない。油剤の例としては、例えばセチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール、イソステアリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸等の脂肪酸、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸へキシルデシル、モノステアリン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸エチレングリコール、オキシステアリン酸オクチル等のエステル類、ステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、分岐脂肪酸コレステリル等のコレステロールエステル、流動パラフィン、ワセリン、スクワラン等の炭化水素、ラノリン、還元ラノリン、カルナバロウ等のロウ、ミンク油、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油、ツバキ油、ゴマ油、ヒマシ油、オリーブ油等の油脂、ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油等が挙げられる。
【0030】
粉体の例としては、赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号等の色素、黄色4号Alレーキ、黄色203号Baレーキ等のレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、シリコーンパウダー、セルロースパウダー、シリコーンエラストマー球状粉体、ポリエチレン末等の樹脂、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン等の体質顔料、雲母チタン等のパール顔料の顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム等の金属塩、シリカ、アルミナ等の無機粉体、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素等が挙げられる。これらの粉体の形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状等)に特に制限はない。
【0031】
生理活性成分としては、皮膚に塗布した場合に皮膚に何らかの生理活性を与える物質が挙げられる。例えば、老化防止剤、紫外線防御剤、ひきしめ剤、抗酸化剤、保湿剤、血行促進剤、抗菌剤、殺菌剤、乾燥剤、冷感剤、温感剤、ビタミン類、アミノ酸、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、酵素成分等が挙げられる。
【実施例】
【0032】
次に、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0033】
(実施例1、比較例1〜5)
表1の組成の溶液を調製し、マイクロフルイダイザーで当該溶液を処理することにより、ウリジン、アセチルグルコサミンあるいはグルクロン酸を含んだ、実施例及び比較例で使用する各脂質二分子膜小胞を調製した。なお、表1における非リポソーム液は、アセチルグルコサミンと精製水とを混合しただけものである。
【0034】
【表1】
【0035】
上記の脂質二分子膜小胞を用い、表2の配合割合にて、実施例及び比較例の化粧水を常法により調製した。
【表2】
【0036】
<評価方法>
10名のモニタ−を任意に抽出し、その前腕の内側に塗布部位を設定し、被験サンプルを朝・夕の2回、適当量を塗布した。また、使用期間は1週間とした。
【0037】
未塗布時と、各評価サンプル塗布1週間後の角層水分量を角層水分量計SKICON−200EX(I.B.S.製)を用いて測定した。塗布前の角層水分量を100とした時の、塗布後の角層水分量の増減割合を算出した。
【0038】
また、同時に、「肌ハリ」が改善したかのアンケート調査を、下記基準を用いて行った。
改善した:1点、改善しなかった:0点とし、スコアの合計により評価した。
【0039】
【表3】
【0040】
上記検討結果より、ウリジンリン酸2ナトリウム、アセチルグルコサミン、グルクロン酸ナトリウムを脂質二分子膜小包に内包させた単体よりも、ウリジンリン酸2ナトリウム、アセチルグルコサミン、グルクロン酸ナトリウムを一緒に脂質二分子膜小包に内包したもののほうが、角層水分量が上昇することが確認された。また、同様の結果が肌ハリ改善にも見られた。更に比較例2と5とから、脂質二分子膜小胞に内包させるほうが、わずかながら水分量の向上が見られた。