(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
有機材料を利用する光電子デバイスは、多くの理由のためにますます望ましいものとなってきている。かかるデバイスを作るために用いられる材料の多くは、比較的安価であり、そのため有機光電子デバイスは、無機デバイスに対してコスト面で有利である可能性を有する。加えて、有機材料の固有の特性、例えばその可撓性は、有機材料を、可撓性基板上における作製などの特定の用途によく適したものにし得る。有機光電子デバイスの例として、有機発光デバイス(OLED)、有機光トランジスタ、有機光電池、および有機光検出器が挙げられる。OLEDについては、有機材料は、従来の材料よりも性能的利点を有し得る。例えば、有機発光層が光を発する波長は、一般に、適切なドーパントで容易に調整され得る。
【0004】
OLEDは、デバイスを横切って電圧を印加したときに光を発する薄い有機膜を利用する。OLEDは、フラットパネルディスプレイ、照明、およびバックライトなどの用途での使用のためにますます興味深い技術となってきている。いくつかのOLED材料および構成は、米国特許第5,844,363号、同第6,303,238号、および同第5,707,745号に記載されており、これらは、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
リン光発光分子に関する1つの用途は、フルカラーディスプレイである。かかるディスプレイに関する業界標準は、画素が「飽和」色と称される特定の色を発するように適合されることを要求する。特に、これらの標準は、飽和した赤色、緑色、および青色の画素を要求する。色は、CIE座標を用いて測定されてよく、座標は当該分野に周知である。
【0006】
緑色発光分子の一例は、Ir(ppy)
3と表されるトリス(2−フェニルピリジン)イリジウムであり、以下の構造を有する:
【化1】
【0007】
ここにおいて、およびこれより後の図において、本発明者らは、窒素から金属(ここではIr)までの供与結合を直線で示す。
【0008】
本明細書において用いられるとき、用語「有機」は、有機光電子デバイスを作製するのに用いられ得るポリマー材料および小分子有機材料を含む。「小分子」は、ポリマーではないあらゆる有機材料を称し、「小分子」は、実際にはかなり大きくてよい。小分子は、いくつかの状況において繰り返し単位を含んでよい。例えば、長鎖アルキル基を置換基として用いることは、分子を「小分子」分類から除去しない。小分子はまた、ポリマー内に、例えば、ペンダント基としてポリマー骨格上に、または骨格の一部として組み込まれていてもよい。小分子は、デンドリマーのコア部位として機能することもでき、これは、コア部位に構築された一連の化学シェルからなる。デンドリマーのコア部分は、小分子の蛍光またはリン光発光体であってよい。デンドリマーは、「小分子」であってよく、OLEDの分野で現在用いられている全てのデンドリマーが小分子であると考えられる。
【0009】
本明細書において用いられるとき、「トップ(top)」は、基板から最も離れていることを意味し、一方で、「ボトム(bottom)」は基板に最も近いことを意味する。第1層が第2層の「上に配置される」として記載されている場合、第1層は基板からより離れて配置される。第1層が第2層と「接触している」と特定されていない限り、第1層と第2層との間に他の層があってよい。例えば、カソードとアノードとの間に種々の有機層が存在したとしても、カソードはアノードの「上に配置される」と記載され得る。
【0010】
本明細書において用いられるとき、「溶液処理可能」とは、溶液または懸濁液形態のいずれかで、液体媒体中に溶解、分散、または輸送でき、および/または液体媒体から堆積され得ることを意味する。
【0011】
配位子は、それが発光材料の光活性特性に直接寄与すると考えられるとき、「光活性」と称され得る。配位子は、それが発光材料の光活性特性に寄与しないと考えられるとき、「補助」と称され得るが、補助配位子は光活性配位子の特性を変更し得る。
【0012】
本明細書において用いられるとき、および当業者により一般に理解されているように、第1「最高被占分子軌道」(HOMO)または「最低空分子軌道」(LUMO)エネルギー準位は、第1エネルギー準位が真空エネルギー準位により近いとき、第2のHOMOまたはLUMOエネルギー準位よりも「大きい」か、または「高い」。イオン化ポテンシャル(IP)は、真空準位に対する負のエネルギーとして測定されるため、より高いHOMOエネルギー準位は、より小さな絶対値を有するIP(より負の程度が小さいIP)に相当する。同様に、より高いLUMOエネルギー準位は、より小さな絶対値を有する電子親和力(EA)(より負の程度が小さいEA)に相当する。真空準位がトップにある従来のエネルギー準位ダイアグラムでは、材料のLUMOエネルギー準位は、同じ材料のHOMOエネルギー準位よりよりも高い。「より高い」HOMOまたはLUMOエネルギー準位は、「より低い」HOMOまたはLUMOエネルギー準位よりも、かかるダイアグラムのトップ近くに現れる。
【0013】
本明細書において用いられるとき、および当業者により一般に理解されているように、第1仕事関数は、第1仕事関数がより高い絶対値を有するとき、第2仕事関数よりも「大きい」か、または「高い」。仕事関数は、真空準位に対する負の数として一般には測定されるため、これにより、「より高い」仕事関数はより負の程度が大きいことが意味される。真空準位がトップにある従来のエネルギー準位ダイアグラムでは、「より高い」仕事関数は、真空準位から下の方向に、より離れて図示される。したがって、HOMOおよびLUMOエネルギー準位の定義は、仕事関数とは異なる規則に従う。
【0014】
OLEDについてのさらなる詳細および上記の定義は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,279,704号に見出され得る。
【発明を実施するための形態】
【0034】
一般に、OLEDは、アノードとカソードとの間に配置され、これらと電気的に接続された少なくとも1の有機層を含む。電流が印加されたとき、アノードは正孔を有機層に注入し、カソードは電子を有機層に注入する。注入された正孔および電子は、それぞれ、逆に帯電した電極に向かって移動する。電子および正孔が同じ分子に局在するとき、励起されたエネルギー状態を有する局在した電子−正孔対である「励起子」が形成される。光は、励起子が光電子放出メカニズムを介して緩和するときに発せられる。いくつかの場合において、励起子は、エキシマーまたはエキシプレックスに局在していてよい。熱緩和などの非放射メカニズムが生じてもよいが、一般には望ましくないと考えられる。
【0035】
一重項状態から光(「蛍光」)を放出する発光分子を用いた初期のOLEDは、例えば、米国特許第4,769,292号に開示されており、これはその全体が参照により組み込まれる。蛍光発光は、10ナノ秒未満の時間枠で一般に生じる。
【0036】
より最近では、三重項状態から光(「リン光」)を放出する発光材料を有するOLEDが実証されている。Baldoら、「Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices」、Nature,vol.395,151−154,1998;(「Baldo−I」)およびBaldoら、「Very high−efficiency green organic light−emitting devices based on electro phosphorescence」、Appl.Phys.Lett.,vol.75,No.3,4−6(1999)(「Baldo−I」)(これらの全体が、参照により組み込まれる)。リン光については、参照により組み込まれる米国特許第7,279,704号の第5〜6段落にさらに詳細に記載されている。
【0037】
図1は、有機発光デバイス100を示す。図は、必ずしも原寸に比例して描かれていない。デバイス100は、基板110、アノード115、正孔注入層120、正孔輸送層125、電子ブロック層130、発光層135、正孔ブロック層140、電子輸送層145、電子注入層150、保護層155、およびカソード160を含んでいてよい。カソード160は、第1導電層162および第2導電層164を有する複合カソードである。デバイス100は、記載した層を順に堆積することにより作製されてよい。これらの種々の層の特性および機能、ならびに例としての材料は、参照により組み込まれる米国特許第7,279,704号の第6〜10段落に、さらに詳細に記載されている。
【0038】
これらの各層に対するさらなる例が利用可能である。例えば、可撓性かつ透明な基板−アノードの組み合わせが、その全体が参照により組み込まれる米国特許第5,844,363号に開示されている。p−ドープ正孔輸送層の例は、50:1のモル比でF.sub.4−TCNQがドープされたm−MTDATAであり、その全体が参照により組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号に開示されている。発光材料およびホスト材料の例は、その全体が参照により組み込まれる、Thompsonらの米国特許第6,303,238号に開示されている。n−ドープ電子輸送層の例は、1:1のモル比でLiがドープされたBPhenであり、その全体が参照により組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号に開示されている。その全体が参照により組み込まれる米国特許第5,703,436号および同第5,707,745号は、上部の、透明かつ電気伝導性の、スパッタ−堆積したITO層と共に、Mg:Agなどの金属の薄層を有する複合カソードを含むカソードの例を開示している。ブロック層の理論および使用は、その全体が参照により組み込まれる米国特許第6,097,147号および米国特許出願公開第2003/0230980号に、より詳細に記載されている。注入層の例は、その全体が参照により組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号に開示されている。保護層の記載は、その全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号に見出され得る。
【0039】
図2は、反転OLED200を示す。デバイスは、基板210、カソード215、発光層220、正孔輸送層225、およびアノード230を含む。デバイス200は、記載した層を順に堆積することにより作製されてよい。最も一般的なOLED構成は、アノードの上に配置されたカソードを有するが、デバイス200はアノード230の下にカソード215を有するため、デバイス200が「反転」OLEDと称されてもよい。デバイス100に関して記載したものと同様の材料が、デバイス200の対応する層に用いられてよい。
図2は、デバイス100の構造からどのようにいくつかの層が省略され得るかの一例を提供する。
【0040】
図1および2に示されている簡単な層状構造は、非限定的な例として提供されており、本発明の実施形態は、広範な他の構造と関連して用いられ得ると理解される。記載されている具体的な材料および構造は、本質的に例示的なものであり、他の材料および構造が用いられてよい。機能的なOLEDは、設計、性能、およびコスト要因に基づいて、記載の種々の層を様々な様式で組み合わせることにより達成されても、あるいは層が完全に省略されてもよい。具体的に記載していない他の層が含まれていてもよい。具体的に記載した材料以外の材料が用いられてよい。本明細書において提供される例の多くは、単一の材料を含むものとして種々の層を記載しているが、ホストおよびドーパントの混合物などの材料の組み合わせ、またはより一般には混合物が用いられてよい。また、層は、種々の副層を有してよい。本明細書における種々の層に付与されている名称は、厳密に限定的であることを意図していない。例えば、デバイス200において、正孔輸送層225は、正孔を輸送し、正孔を発光層220に注入しており、正孔輸送層または正孔注入層と記載されてよい。一実施形態において、OLEDは、カソードとアノードとの間に配置された「有機層」を有すると記載されてよい。この有機層は、単一の層を含んでいてもよく、または例えば
図1および2に関連して記載されているような異なる有機材料の複数の層をさらに含んでもよい。
【0041】
例えば、その全体が参照により組み込まれる、Friendらの米国特許第5,247,190号に開示されている、ポリマー材料(PLED)で構成されるOLEDなどの、具体的に記載されていない構造および材料が用いられてもよい。さらなる例として、単一の有機層を有するOLEDが用いられてよい。OLEDは、例えば、その全体が参照により組み込まれるForrestらの米国特許第5,707,745号に記載されているように、積み重ねられていてよい。OLED構造は、
図1および2に示されている簡単な層状構造から逸脱してよい。例えば、基板は、取り出しを改善するために、例えば、その全体が参照により組み込まれるForrestらの米国特許第6,091,195号に記載されているメサ構造、および/または、その全体が参照により組み込まれるBulovicらの米国特許第5,834,893号に記載されているピット構造などの角度のついた反射面を含んでいてよい。
【0042】
別途特定しない限り、種々の実施形態の層のいずれもが、任意の好適な方法により堆積されてよい。有機層については、好ましい方法として、熱蒸着、インクジェット(例えば、その全体が参照により組み込まれる米国特許第6,013,982号および第6,087,196号に記載されている)、有機気相成長(OVPD)(例えば、その全体が参照により組み込まれるForrestらの米国特許第6,337,102号に記載されている)、および有機蒸気ジェット印刷(OVJP)による堆積(例えば、その全体が参照により組み込まれる米国特許出願第10/233,470号に記載されている)が挙げられる。他の好適な堆積方法として、スピンコーティングおよび他の溶液系プロセスが挙げられる。溶液系プロセスは、好ましくは、窒素または不活性雰囲気中で行われる。他の層については、好ましい方法として熱蒸着が挙げられる。好ましいパターン化方法として、マスクを通しての堆積、冷間圧接(例えば、その全体が参照により組み込まれる米国特許第6,294,398号および第6,468,819号に記載されている)、ならびにインクジェットおよびOVJDなどの堆積方法のいくつかと関連させたパターン化が挙げられる。他の方法が用いられてもよい。堆積される材料は、材料が特定の堆積方法と適合可能となるように改変されてよい。例えば、分岐した、または分岐していない、好ましくは少なくとも3個の炭素を含むアルキルおよびアリール基などの置換基は、溶液処理を経る能力を向上させるために小分子において用いられてよい。20個以上の炭素を有する置換基が用いられてよく、3〜20個の炭素が好ましい範囲である。非対称構造を有する材料は、対称構造を有するものよりも良好な溶液処理性を有し得る、なぜなら、非対称材料が、より低い再結晶化傾向を有し得るからである。デンドリマー置換基は、小分子が溶液処理を経る能力を向上させるために用いられてよい。
【0043】
本発明の実施形態に従って作製されるデバイスは、フラットパネルディスプレイ、コンピュータモニタ、医療モニタ、テレビ、広告板、室内または屋外の照明灯および/または信号灯、ヘッドアップディスプレイ、完全に透明なディスプレイ、可撓性ディスプレイ、レーザプリンタ、電話機、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダ、ビューファインダ、マイクロディスプレイ、乗物、大面積壁面、映画館またはスタジアムのスクリーン、あるいは標識を含めた広範な消費者製品に組み込まれ得る。パッシブマトリックスおよびアクティブマトリックスを含めた、本発明により作製されたデバイスを制御するために、種々の制御メカニズムが用いられ得る。デバイスの多くは、18℃〜30℃、より好ましくは室温(20〜25℃)などの人にとって快適な温度範囲での使用が意図されている。
【0044】
本明細書に記載されている材料および構造は、OLED以外のデバイスにも用途を有し得る。例えば、有機太陽電池および有機光検出器などの他の光電子デバイスは、これらの材料および構造を使用することができる。より一般には、有機トランジスタなどの有機デバイスが、これらの材料および構造を使用することができる。
【0045】
用語ハロ、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールキル、複素環式基、アリール、芳香族基、およびヘテロアリールは、当該分野に公知であり、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,279,704号の第31〜32段落に定義されている。
【0046】
一実施形態において、式:
【化9】
を有する化合物が提供される。式Iの化合物において、Mは、40より大きい原子量を有する金属であり、Lは、第2配位子であり、mは、金属Mの最大配位数であり、dは、Lの配座数であり、nは、少なくとも1である。「配座数」により、dが、第2配位子Lが金属Mと一緒に作る結合の数を数値的に表すことを意味する。したがって、Lが単座配位子であるとき、dは1であり、Lが二座配位子であるとき、dは2である、などである。Lは1個以上の配位子であってよく、Lが1を超える配位子を表すとき、配位子は同じであっても異なっていてもよい。
【0047】
R
1は、各配位子から独立して選択され、2、3、4、5置換、または非置換を表す。各R
1は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、ゲルミル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、およびこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。
【0048】
R
1の少なくとも2つは、2〜6個の炭素を含有するアルキル、シリル、ゲルミル、シクロアルキル、およびこれらの組み合わせから独立して選択される。R
2は、1、2、3、4置換、または非置換を表してよく、各R
2は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、およびこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。
【0049】
式Iの化合物における複素環式環上の2個以上の位置で置換されている(すなわち、R
1が少なくとも2置換を表す)と、望ましい特性を有する化合物が生じることが予想外にも発見された。その特性により、式Iの化合物を組み込むOLEDデバイスが、より高い効率およびより長い寿命などの改善された特性を有することを可能にする。上記のような2個以上の位置の置換により、化合物が非置換または1置換化合物(1置換が複素環式環上にある)よりも高い分子量を有するという事実にも関わらず、より低い昇華温度を有する化合物も生じる。理論によって拘束されないが、この昇華温度の低下は、固体状態における低下したまたはより効率が低い分子スタッキングの結果であるため、結晶格子を破壊するのに必要とされるエネルギーを少なくして、昇華温度を低下させることができると考えられる。より低い昇華温度は、式Iの化合物のより容易な精製および製造時のより良好な熱安定性を可能にする。
【0050】
一実施形態において、R
1は、2置換を表す。一実施形態において、R
1は、2アルキル置換を表す。別の実施形態において、R
1は、シリルまたはゲルミル置換を表す。
【0051】
一実施形態において、化合物は、式:
【化10】
式中、R
3およびR
4はアルキルである;を有する。
【0052】
一実施形態において、化合物は、式:
【化11】
を有する。
【0053】
一実施形態において、R
1は、CH(CH
3)
2、CH
2CH(CH
3)
2、CH
2C(CH
3)
3、シクロペンチル、シクロヘキシル、エチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、トリメチルゲルミル、トリエチルゲルミル、およびトリイソプロピルゲルミルからなる群から独立して選択される。
【0054】
一実施形態において、nMはIrである。一実施形態において、nは2である。一実施形態において、nは2である。一実施形態において、Lはモノアニオン性二座配位子である。一実施形態において、Lは、
【化12】
であり、R
x、R
y、およびR
zは、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、およびこれらの組み合わせからなる群からそれぞれ独立して選択される。
【0055】
一実施形態において、R
x、R
y、およびR
zは、アルキル、水素、重水素、およびこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。
【0056】
一実施形態において、R
zは、水素または重水素であり、R
xおよびR
yは、メチル、CH(CH
3)
2、およびCH
2CH(CH
3)
2からなる群から独立して選択される。
【0057】
一実施形態において、化合物は、式:
【化13】
を有する。
【0065】
【化20】
からなる群から選択される。
【0066】
一実施形態において、第1デバイスが提供される。第1デバイスは、第1有機発光デバイスを含み、第1有機発光デバイスは、アノードと、カソードと、アノードとカソードとの間に配置された有機層とをさらに含み、有機層は、式:
【化21】
を有する化合物を含む。式Iの化合物において、Mは、40より大きい原子量を有する金属であり、Lは、第2配位子であり、mは、金属Mの最大配位数であり、dは、Lの配座数であり、nは、少なくとも1である。R
1は、各配位子から独立して選択され、2、3、4、5置換、または非置換を表す。各R
1は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、ゲルミル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、およびこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。
【0067】
R
1の少なくとも2つは、2〜6個の炭素を含有するアルキル、シリル、ゲルミル、シクロアルキル、およびこれらの組み合わせから独立して選択される。R
2は、1、2、3、4置換、または非置換を表してよく、各R
2は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、およびこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。
【0068】
一実施形態において、第1デバイスは消費者製品である。一実施形態において、第1デバイスは有機発光デバイスである。一実施形態において、有機層は、発光層であり、化合物は非発光ドーパントである。一実施形態において、有機層は、ホストをさらに含む。
【0069】
一実施形態において、ホストは、金属8−ヒドロキシキノレートである。
【0070】
一実施形態において、ホストは:
【化22】
およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0072】
全ての例としてのデバイスを高真空(<10
−7Torr)熱蒸着(VTE)によって作製した。アノード電極は、1200Åの酸化インジウムスズ(ITO)である。カソードは、10ÅのLiF、続いての1000ÅのAlからなった。窒素グローブボックス(<1ppmのH
2OおよびO
2)において、エポキシ樹脂で封止したガラス製の蓋によって全てのデバイスを作製後すぐにカプセル化し、水分ゲッタをパッケージ内に組み込んだ。
【0073】
デバイス例の有機スタックは、順次ITO表面から、正孔注入層(HIL)としての100Åの化合物A、正孔輸送層(HTL)としての400Åの4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPD)、発光層(EML)としての、4〜12重量%のイリジウム含有リン光化合物を含むホストとしてのBAlqによってドープされた、300Åの式Iの化合物、電子輸送層(ETL)としての450または550ÅのAlq
3(トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム)からなった。化合物BおよびCによる比較例を、化合物BおよびCをEMLにおいてエミッタとして用いたことを除いてデバイス例と同様に作製した。
【0074】
デバイスの結果およびデータを、これらデバイスから表1、2、および3にまとめる。化合物A、B、およびCは、本明細書において用いられるとき、以下の構造を有する:
【化23】
【0077】
表2は、デバイスデータのまとめである。発光効率(LE)、外部量子効率(EQE)および出力効率(PE)を1000nitsで測定した一方で、寿命(LT
80%)を、デバイスが、一定の電流密度(40mA/cm
2)下に初期の輝度の80%まで減衰するのに必要とされる時間として定義した。
【0078】
表2から、3種の異なるドーピング濃度における、式Iの化合物である化合物1、2、3、および22のEQE、LEおよびPE(正孔ブロック層を含まない)が、いずれも、比較化合物BおよびCのものよりも高いことが分かる。例えば、デバイスが、正孔ブロック層を有さずに、同じ6%のエミッタドーピング濃度を有するとき、化合物22は、19.1%のEQE、14.3Cd/AのLE、および5.1lm/WのPEをそれぞれ有する。これは、18.3および19.1%のEQE、10.8および12.2Cd/AのLE、ならびに3.4および3.7lm/WのPEをそれぞれ有する比較化合物BおよびCと匹敵する。デバイス結果は、驚くべきことに、2アルキル置換化合物1、2、3および22が、比較化合物Bおよび1置換化合物Cよりも効率的であることを示す。また、表2から、種々のデバイス構造下、化合物1、2、3、および22のFWHM(半値全幅)値が48〜64nmの範囲内にあり、これは、63〜66nmの範囲内にある化合物BおよびCのものよりも大幅に狭いことも分かる。ディスプレイ用途においては、より小さなFWHM値が望ましいことが多い。したがって、含有される複素環式環上で少なくとも2置換されている式Iの化合物の使用は、デバイス性能を改善することができる、なぜなら、化合物が、高いEQE、LE、PE値および低いFWHM値を有するからである。
【0080】
式Iの化合物における複素環式芳香族環上の2置換は、表3に示すように錯体の昇華温度を低下し得ることが分かる。2置換の式Iの化合物が、非置換または1置換化合物よりも低い昇華温度を有することが驚くべきことに発見された。例えば、化合物22は、化合物22が比較化合物Bよりも高い分子量を有するという事実にも関わらず、比較化合物Bよりも大幅に低い昇華温度を有した(194℃対210℃)。
【0081】
他の材料との組み合わせ
有機発光デバイスにおける特定の層に有用である、本明細書に記載の材料は、デバイスに存在する種々の他の材料と組み合わせて用いられてよい。例えば、本明細書に開示されている発光ドーパントは、存在していてよい種々のホスト、輸送層、ブロック層、注入層、電極および他の層と併せて用いられてよい。以下に記載または称される材料は、本明細書に開示されている化合物と組み合わせて有用であり得る材料の非限定的な例であり、当業者は、組み合わせて有用であり得る他の材料を特定するための文献を容易に閲覧することができる。
【0082】
HIL/HTL:
本発明において用いられる正孔注入/輸送材料は特に限定されず、正孔注入/輸送材料として典型的に用いられる限りにおいていずれの化合物が用いられてもよい。材料の例として、限定されないが:フタロシアニンまたはポルフィリン誘導体;芳香族アミン誘導体;インドロカルバゾール誘導体;フッ化炭化水素を含有するポリマー;導電ドーパントを有するポリマー;導電性ポリマー、例えばPEDOT/PSS;ホスホン酸およびシラン誘導体などの化合物から誘導される自己集合モノマー;金属酸化物誘導体、例えばMoO
x;p型半導体有機化合物、例えば、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル;金属錯体、ならびに架橋性化合物が挙げられる。
【0083】
HILまたはHTLにおいて用いられる芳香族アミン誘導体の例として、限定されないが以下の一般構造:
【化24】
が挙げられる。
【0084】
Ar
1〜Ar
9のそれぞれは、芳香族炭化水素環式化合物、例えば、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレンからなる群;芳香族複素環式化合物、例えば、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン、およびセレノフェノジピリジンからなる群;ならびに芳香族炭化水素環式基および芳香族複素環式基から選択される同じタイプまたは異なるタイプの基であって、直接、または酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位および脂肪族環式基のうちの少なくとも1つを介して互いに結合している2〜10個の環式構造単位からなる群から選択される。ここで、各Arは、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される置換基によってさらに置換されている。
【0085】
一態様において、Ar
1〜Ar
9は、以下:
【化25】
からなる群から独立して選択される。
【0086】
kは、1〜20の整数であり;X
1〜X
8は、C(CHを含む)またはNであり;Ar
1は、上記と同じ基である。
【0087】
HILまたはHTLにおいて用いられる金属錯体の例として、限定されないが以下の一般式:
【化26】
が挙げられる。
【0088】
Mは、40より大きい原子量を有する金属であり;(Y
1−Y
2)は、二座配位子であり、Y
1およびY
2は、C、N、O、P、およびSから独立して選択され;Lは、補助配位子であり;mは、1から、金属に結合され得る配位子の最大数までの整数値であり;m+nは、金属に結合され得る配位子の最大数である。
【0089】
一態様において、(Y
1−Y
2)は、2−フェニルピリジン誘導体である。
【0090】
別の態様において、(Y
1−Y
2)は、カルベン配位子である。
【0091】
別の態様において、Mは、Ir、Pt、Os、およびZnから選択される。
【0092】
さらなる態様において、金属錯体は、溶液vs.Fc
+/Fc対において約0.6V未満の最低酸化電位を有する。
【0093】
ホスト:
本発明の有機ELデバイスの発光層は、発光材料として少なくとも金属錯体を好ましくは含有し、ドーパント材料として金属錯体を用いたホスト材料を含有していてもよい。ホスト材料の例は、特に限定されず、ホストの三重項エネルギーがドーパントの三重項エネルギーよりも大きい限りにおいて、いずれの金属錯体または有機化合物が用いられてもよい。以下の表は、種々の色を発するデバイスに好ましいとされるホスト材料を分類するが、三重項の基準が満たされる限りにおいて、いずれのホスト材料がいずれのドーパントと共に用いられてもよい。
【0094】
ホストとして用いられる金属錯体の例は、以下の一般式:
【化27】
を有することが好ましい。
【0095】
Mは金属であり;(Y
3−Y
4)は二座配位子であり、Y
3およびY
4は、C、N、O、P、およびSから独立して選択され;Lは、補助配位子であり;mは、1から、金属に結合され得る配位子の最大数までの整数値であり;m+nは、金属に結合され得る配位子の最大数である。
【0096】
一態様において、金属錯体は:
【化28】
である。
【0097】
(O−N)は、原子OおよびNに配位された金属を有する二座配位子である。
【0098】
別の態様において、Mは、IrおよびPtから選択される。
【0099】
さらなる態様において、(Y
3−Y
4)は、カルベン配位子である。
【0100】
ホストとして用いられる有機化合物の例は、芳香族炭化水素環式化合物、例えば、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレンからなる群;芳香族複素環式化合物、例えば、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン、およびセレノフェノジピリジンからなる群;ならびに芳香族炭化水素環式基および芳香族複素環式基から選択される同じタイプまたは異なるタイプの基であって、直接、または酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位および脂肪族環式基のうちの少なくとも1つを介して互いに結合している2〜10個の環式構造単位からなる群から選択される。ここで、各基は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される置換基によってさらに置換されている。
【0101】
一態様において、ホスト化合物は、分子内に以下の基:
【化29】
のうちの少なくとも1つを含有する。
【0102】
R
1〜R
7は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、およびこれらの組み合わせからなる群から独立して選択され、アリールまたはヘテロアリールであるとき、先に言及したArと同様の定義を有する。
【0104】
X
1〜X
8は、C(CHを含む)またはNから選択される。Z
1およびZ
2は、NR
1、O、またはSから選択される。
【0105】
HBL:
正孔ブロック層(HBL)は、発光層を離れる正孔および/または励起子の数を低減するのに用いられ得る。デバイスにおいてかかるブロック層が存在することで、ブロック層を欠く同様のデバイスと比較して実質的により高い効率をもたらし得る。また、ブロック層は、発光をOLEDの所望の領域に制限するのに用いられ得る。
【0106】
一態様において、HBLにおいて用いられる化合物は、上記のホストとして用いられるものと同じ分子または同じ官能基を含有する。
【0107】
別の態様において、HBLにおいて用いられる化合物は、分子内に以下の基:
【化30】
のうちの少なくとも1つを含有する。
【0108】
kは、0〜20の整数であり;Lは、補助配位子であり、mは1〜3の整数である。
【0109】
ETL:
電子輸送層(ETL)は、電子を輸送することが可能である材料を含んでいてよい。電子輸送層は、固有のもの(非ドープ)であっても、ドープされていてもよい。ドーピングは、導電率を向上させるのに用いられ得る。ETL材料の例は特に限定されず、電子を輸送するのに典型的に用いられる限りにおいて、いずれの金属錯体または有機化合物が用いられてもよい。
【0110】
一態様において、ETLにおいて用いられる化合物は、分子内に以下の基:
【化31】
のうちの少なくとも1つを含有する。
【0111】
R
1は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され、アリールまたはヘテロアリールであるとき、先に言及したArと同様の定義を有する。
【0112】
Ar
1〜Ar
3は、先に言及したArと同様の定義を有する。
【0114】
X
1〜X
8は、C(CHを含む)またはNから選択される。
【0115】
別の態様において、ETLにおいて用いられる金属錯体は、限定されないが、以下の一般式:
【化32】
を含有する。
【0116】
(O−N)または(N−N)は、原子O、NまたはN,Nに配位された金属を有する二座配位子であり;Lは、補助配位子であり;mは、1から、金属に結合され得る配位子の最大数までの整数値である。
【0117】
OLEDデバイスの各層において用いられる先に言及したあらゆる化合物において、水素原子が部分的または完全に重水素化されていてもよい。
【0118】
本明細書に開示されている材料に加えておよび/またはこれと組み合わせて、多くの正孔注入材料、正孔輸送材料、ホスト材料、ドーパント材料、励起子/正孔ブロック層材料、電子輸送および電子注入材料がOLEDにおいて用いられてよい。本明細書に開示されている材料と組み合わせてOLEDにおいて用いられ得る材料の非限定例を以下の表4に列挙する。表4は、非限定的な分類の材料、各分類についての非限定的な化合物例、および材料を開示している参照文献を列挙する。
【0145】
本文献を通して用いた化学略号は、以下の通りである:Cyはシクロヘキシルであり、dbaはジベンジリデンアセトンであり、EtOAcは酢酸エチルであり、DMEはジメトキシエタンであり、dppeは1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンであり、THFはテトラヒドロフランであり、DCMはジクロロメタンであり、DMFはジメチルホルムアミドであり、S−Phosはジシクロヘキシル(2’,6’−ジメトキシ−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)ホスフィンである。
【0147】
N−(3,5−ジクロロベンジリデン)−2,2−ジエトキシエタナミンの合成。3,5−ジクロロベンズアルデヒド(51.2g、284mmol)、2,2−ジエトキシエタナミン(38.6g、284mmol)および270mLのトルエンを500mLの三ツ口フラスコに仕込んだ。混合物をDean−Stark装置を用いてN
2下に24時間加熱還流し、副生成物である水を収集した。溶媒の蒸発後、86g(100%)の淡黄色液体を得た。生成物をGC−MSおよびNMRによって確認し、さらに精製することなく次のステップに採用した。
【0149】
5,7−ジクロロイソキノリンの合成。トリフルオロメタンスルホン酸(15.83g、103mmol)を、Dean−Stark装置および添加漏斗を具備した100mLの三ツ口フラスコに仕込んだ。トリフルオロメタンスルホン酸をまず120℃に加熱し、その酸に、4mLのDCMに溶解したN−(3,5−ジクロロベンジリデン)−2,2−ジエトキシエタナミン(4g、13.78mmol)を滴加した。添加後、混合物を120℃でさらに2時間加熱し、次いで室温まで冷却し、8mLのMeOHを添加して反応をクエンチした。反応混合物を水酸化アンモニウム水溶液(120mmol)に注ぎ入れ、追加の水性水酸化アンモニウムによって塩基性にし、撹拌および濾過した。蒸留後、白色固体(2.1g、77%)を得た。生成物の同一性をGCおよびHPLCによって確認した。32.2gのN−(3,5−ジクロロベンジリデン)−2,2−ジエトキシエタナミンとのより大規模な反応を同様に行い、次のステップ用の16.5g(75%)の生成物を得た。
【0151】
5,7−ジイソブチルイソキノリンの合成。5,7−ジクロロイソキノリン(5.8g、29.3mmol)、イソブチルホウ酸(8.96g、88mmol)、ジシクロヘキシル(2’,6’−ジメトキシ−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)ホスフィン(0.962g、2.34mmol)、Pd
2(dba)
3(0.536g、0.586mmol)、K
3PO
4(21.8g、103mmol)、150mLのトルエンおよび15mLの水をフラスコに仕込んだ。反応混合物を、N
2をバブリングすることによって30分間パージし、次いで一晩中加熱還流した。GC−MS分析により、反応が完了したことが示された。溶離液としてヘキサン中15%の酢酸エチル(v/v)を用いたシリカゲルクロマトグラフィにより、6.7g(95%)の生成物を得た。
【0153】
1−(3,5−ジメチルフェニル)−5,7−ジイソブチルイソキノリンの合成。50mLの乾燥THF中の5,7−ジイソブチルイソキノリン(7.4g、30.7mmol)を(3,5−ジメチルフェニル)臭化マグネシウム(100mL、50.0mmol)に室温で滴加し、16時間撹拌させ、その後、反応混合物を5時間加熱還流した。GCおよびHPLC分析により、反応が完了したことが示唆されたが、少量の還元された副生成物を含有しており、これらをTHF中DDQによって数分間処理することにより所望の生成物に変換した。水性ワークアップ後、6.5g(61.4%)の生成物を得た。
【0155】
イリジウムダイマーの合成。1−(3,5−ジメチルフェニル)−5,7−ジイソブチルイソキノリン(6.0g、17.37mmol)およびIrCl
3・H
2O(2.57g、6.95mmol)、90mLの2−エトキシエタノールおよび30mLの水を250mLのフラスコに仕込んだ。反応混合物を窒素下に19時間加熱還流した。濾過およびメタノールによる洗浄後、3.1g(24.3%)のダイマーを得、これをさらに精製することなく次のステップに用いた。
【0157】
化合物1の合成。2−(3,5−ジメチルフェニル)−5,7−ジイソブチルキノリンイリジウムダイマー(1.5g、0.82mmol)、2,4−ペンタンジオン(1.63g、16.36mmol)、Na
2CO
3(1.73g、16.36mmol)および2−エトキシエタノール(60mL)を250フラスコに仕込み、室温で72時間撹拌した。得られた沈殿物を濾過し、メタノールで洗浄した。(ヘキサン中15%のトリエチルアミンで前処理した)シリカゲルプラグを通過させることによって固体をさらに精製した。0.55g(34.3%)の生成物をワークアップ後に得た。生成物の同一性をLC−MSによって確認した。
【0159】
5,7−ジ(プロプ−1−エン−2−イル)イソキノリンの合成:5,7−ジクロロイソキノリン(5.1g、25.8mmol)、4,4,5,5−テトラメチル−2−(プロプ−1−エン−2−イル)−1,3,2−ジオキサボロラン(9.95g、59.2mmol)、ジシクロヘキシル(2’,6’−ジメトキシ−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)ホスフィン(0.846g、2.06mmol)、Pd
2(dba)
3(0.472g、0.515mmol)、K
3PO
4(19.13g、90mmol)、100mLのトルエンおよび10mLの水をフラスコに仕込んだ。反応混合物を、N
2をバブリングすることによって30分間パージし、次いで一晩中加熱還流した。GC−MS分析により、反応が完了したことが示された。シリカゲルカラムクロマトグラフィ後、5.1g(91%)の生成物を得、GC−MSによって確認した。
【0161】
5,7−ジイソプロピル)イソキノリンの合成:5,7−ジ(プロプ−1−エン−2−イル)イソキノリン(5.1g、24.37mmol)をガラス製ボトルにおいて50mLのEtOHに溶解し、N
2によって30分間パージした。その溶液に、10%Pd/C(1.3g、1.218mmol)を窒素下にボトル内に添加した。水素化を4時間行い、その後、GC−MS分析により反応が完了したことが示唆された。
【0163】
1−(3,5−ジメチルフェニル)−5,7−ジイソプロピルイソキノリンの合成。50mLの乾燥THF中の5,7−ジイソプロピルイソキノリン(3.1g、14.5mmol)を0.5M(3,5−ジメチルフェニル)臭化マグネシウムTHF溶液(50mL、25.0mmol)と共に室温で滴加し、16時間撹拌させ、その後、反応混合物を5時間加熱還流した。GCおよびHPLC分析により、反応が完了したことが示唆されたが、少量の還元された副生成物を含有しており、これらをTHF中DDQによって数分間処理することにより所望の生成物に変換した。水性ワークアップ後、2.4g(52%)の生成物を得た。
【0165】
イリジウムダイマーの合成。1−(3,5−ジメチルフェニル)−5,7−ジイソプロピルイソキノリン(2.4g、7.56mmol)およびIrCl
3・H
2O(1.167g、3.15mmol)、45mLの2−エトキシエタノールおよび15mLの水を250mLのフラスコに仕込んだ。反応混合物を窒素下に19時間加熱還流した。反応物を冷却し、濾過し、メタノールで洗浄した後、1.2g(44.2%)のダイマーを得、これをさらに精製することなく次のステップに用いた。
【0167】
化合物2の合成。2−(3,5−ジメチルフェニル)−5,7−ジイソプロピルキノリンイリジウムダイマー(1.2g、0.697mmol)、2,4−ペンタンジオン(0.697g、6.97mmol)、Na
2CO
3(0.739g、6.97mmol)および2−エトキシエタノール(40mL)を室温で48時間撹拌した。沈殿物を濾過し、メタノールで洗浄した。(ヘキサン中15%のトリエチルアミンで前処理した)シリカゲルプラグを通過させることによって固体をさらに精製した。反応のワークアップ後、0.68g(52.8%)の生成物を得、これをLC−MSによって確認した。
【0169】
4−クロロ−2−メチルベンゾイルクロリドの合成。ジクロロメタン(20mL)およびジメチルホルムアミド(4mL)中の4−クロロ−2−メチル安息香酸(24.0g、141mmol)の混合物に、塩化オキサリル(26.8g、258mmol)を室温で滴加した。反応を室温で2時間撹拌した。ヘキサンを添加し、反応塊を濃縮して4−クロロ−2−メチルベンゾイルクロリド(26.6g、定量)を与え、精製することなく次のステップにおいて用いた。
【0171】
4−クロロ−2−メチルベンズアミドの合成。30%水酸化アンモニウム(300mL、4.76mol)を塩氷浴において冷却した。テトラヒドロフラン(150mL)中の4−クロロ−2−メチルベンゾイルクロリド(26.4g、140mmol)を添加し、1時間撹拌した。水を添加した。結晶を濾別し、水で洗浄し、真空下に乾燥して、4−クロロ−2−メチルベンズアミドを与えた(20.0g、84%の収率)。
【0173】
4−クロロ−N−((ジメチルアミノ)メチレン)−2−メチルベンズアミドの合成。テトラヒドロフラン(250mL)中、4−クロロ−2−メチルベンズアミド(20.8g、123mmol)および1,1−ジメチルメタンアミン(17.5g、147mmol)の混合物を2.5時間還流し、次いで濃縮した。得られた結晶をヘキサン中でトリチュレートし、濾過して、4−クロロ−N−((ジメチルアミノ)メチレン)−2−メチルベンズアミドを与えた(25.7g、93%の収率)。
【0175】
6−クロロイソキノリン−1−オールの合成。4−クロロ−N−((ジメチルアミノ)メチレン)−2−メチルベンズアミド(25.7g、114mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(25.7g、267mmol)およびテトラヒドロフラン(450mL)の混合物をN
2下に3時間還流し、次いで水(1L)に注ぎ入れた。pHを水性HClによって4に調整した。固体を濾別し、水で洗浄し、真空下に乾燥して、6−クロロイソキノリン−1−オールを与えた(14.7g、71.6%の収率)。
【0177】
4,6−ジクロロイソキノリン−1−オールの合成。6−クロロイソキノリン−1−オール(13.5g、75mmol)およびアセトニトリル(400mL)の混合物を加熱還流した。アセトニトリル(110mL)中のN−クロロスクシンイミド(10.57g、79mmol)を滴加した。混合物を一晩中還流した。結晶を濾別した。濾液を濃縮し、得られた結晶を水で洗浄し、上記結晶と合わせ、真空下に乾燥し、4,6−ジクロロイソキノリン−1−オールを与えた(14.2g、88%の収率)。分析を行うことなく次のステップに採用した。
【0179】
4,6−ジクロロイソキノリン−1−イルトリフルオロメタンスルホネートの合成。4,6−ジクロロイソキノリン−1−オール(14.2g、66.5mmol)、ピリジン(10.8mL、133mmol)およびジクロロメタン(200mL)の混合物を氷浴において冷却した。トリフルオロメタンスルホン酸無水物(22.4mL、133mmol)を滴加した。混合物を室温で一晩中撹拌した。水を添加し、NaHCO
3(20g)をゆっくりと添加した。有機層をNa
2SO
4で乾燥し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィを用いたフラッシュクロマトグラフィに付して(4:1のヘキサン:ジクロロメタン、v/v)、4,6−ジクロロイソキノリン−1−イルトリフルオロメタンスルホネートを与えた(3.7g、16%の収率)。
【0181】
4,6−ジクロロ−1−(3,5−ジメチルフェニル)イソキノリンの合成。4,6−ジクロロイソキノリン−1−イルトリフルオロメタンスルホネート(4.0g、11.6mmol)、3,5−ジメチルフェニル)ホウ酸(1.6g、10.8g)、Pd(PPh
3)
4(0.67g、0.58mmol)、炭酸カリウム(4.79、34.7mmol)、トルエン(100mL)および水(10mL)の混合物を窒素でパージし、一晩中還流した。濃縮したトルエン層をシリカゲルクロマトグラフィを用いたクロマトグラフィに付し(2:1のヘキサン:ジクロロメタン、v/v)、4,6−ジクロロ−1−(3,5−ジメチルフェニル)イソキノリンを与えた(3.0g、92%の収率)。
【0183】
1−(3,5−ジメチルフェニル)イソキノリンの合成。4,6−ジクロロ−1−(3,5−ジメチルフェニル)イソキノリン(3.2g、10.59mmol)、イソブチルホウ酸(4.32g、42.4mmol)、Pd
2(dba)
3(0.388g、0.424mmol)、ジシクロヘキシル(2’,6’−ジメトキシ−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)ホスフィン(0.696g、1.694mmol)、K
3PO
4・H
2O(24.38g、106mmol)、トルエン(133mL)および水(11mL)の混合物を窒素で30分間パージし、一晩中還流した。トルエン層を、シリカゲルクロマトグラフィを用いたクロマトグラフィに付し(100%のジクロロメタンから4:1のジクロロメタン:酢酸エチル、v/v)、1−(3,5−ジメチルフェニル)イソキノリンを与えた(3.3g、90%の収率)。
【0185】
1−(3,5−ジメチルフェニル)イソキノリンイリジウムダイマーの合成。1−(3,5−ジメチルフェニル)−4,6−ジイソブチルイソキノリン(3.3g、9.55mmol)、IrCl
3・3H
2O(1.475g、3.98mmol)、2−エトキシエタノール(45mL)および水(15mL)の混合物を一晩中還流し、次いで濾過し、メタノールで洗浄して、1−(3,5−ジメチルフェニル)イソキノリンイリジウムダイマーを与えた(2.0g、54.8%の収率)。
【0187】
化合物3の合成。1−(3,5−ジメチルフェニル)イソキノリンイリジウムダイマー(1.2g、0.655mmol)、ペンタン−2,4−ジオン(0.655g、6.55mmol)、炭酸カリウム(0.905g、6.55mmol)および2−エトキシエタノール(60mL)の混合物を室温で一晩中撹拌し、濾過し、メタノールで洗浄して、シリカゲルクロマトグラフィを用いたクロマトグラフィに付した(4:1のヘキサン:ジクロロメタン、v/v、トリエチルアミンで前処理したシリカゲル)。残渣をジクロロメタンおよび2−プロパノールに溶解した。ジクロロメタンを回転蒸発器において除去し、0.68gの結晶を濾別し、次いで230℃で昇華させて、化合物3を与え(0.32g、24.9%)、これをLC−MSによって確認した。
【0189】
化合物22の合成。1−(3,5−ジメチルフェニル)イソキノリンイリジウムダイマー(0.8g、0.436mmol)、2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオン(0.682g、4.36mmol)、炭酸カリウム(0.603g、4.36mmol)および2−エトキシエタノール(60mL)の混合物を室温で一晩中撹拌し、濾過し、メタノールで洗浄し、シリカゲル上のクロマトグラフィに付した(4:1のヘキサン:ジクロロメタン、v/v、トリエチルアミンで前処理したシリカゲル)。残渣をジクロロメタンおよび2−プロパノールに溶解した。ジクロロメタンを回転蒸発器において除去し、濾過後、0.60gの結晶を得た。これをLC−MSによって確認した。
【0190】
本明細書に記載されている種々の実施形態は、単なる例であり、本発明の範囲を限定することは意図されないことが理解される。例えば、本明細書に記載されている材料および構造の多くが、本発明の精神から逸脱することなく他の材料および構造によって置換されていてもよい。したがって、特許請求の範囲に記載されている本発明は、当業者に明らかであるように、本明細書に記載されている特定の例および好ましい実施形態からの変形例を含むことができる。本発明がなぜ作用するかに関する種々の理論は限定的であることは意図されないことが理解される。