(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
完全な加水分解後、8〜24個の炭素原子を有する少なくとも1種のカルボン酸を、ポリグリセロールエステル1モル当たり平均(数平均)0.51〜2.20mol放出するポリグリセロールエステルであって、前記ポリグリセロールエステルは、グリセロールエステルを含み、
前記ポリグリセロールエステルの完全な加水分解後、グリセロール対ジグリセロールの質量比が1を超えるポリグリセロールが得られることを特徴とし、前記ポリグリセロールはグリセロールを含む、ポリグリセロールエステル。
完全な加水分解後、20〜24個の炭素原子を有する少なくとも1種の第1のカルボン酸を、ポリグリセロールエステル1モル当たり平均(数平均)0.01〜0.20molと、8〜18個の炭素原子を有する少なくとも1種の第2のカルボン酸を、ポリグリセロールエステル1モル当たり平均(数平均)0.5〜2.0molとを放出することを特徴とする、請求項1に記載のポリグリセロールエステル。
前記ポリグリセロールエステルの完全な加水分解後に得られる前記ポリグリセロールの平均重合度が、3〜20であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリグリセロールエステル。
前記ポリグリセロールエステルの完全な加水分解後に得られる前記第1のカルボン酸対前記第2のカルボン酸のモル比が、1:50〜1:7であることを特徴とする、請求項2に記載のポリグリセロールエステル。
工程ステップB)において、20〜24個の炭素原子を有する少なくとも1種の第1のカルボン酸および8〜18個の炭素原子を有する少なくとも1種の第2のカルボン酸が使用され、
工程ステップB)において使用される前記第1のカルボン酸対工程ステップA)において使用されるポリグリセロールのモル比が、0.01:1〜0.20:1であり、かつ工程ステップB)において使用される前記第2のカルボン酸対工程ステップA)において使用されるポリグリセロールのモル比が、0.5:1〜2.0:1であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
工程ステップB)において、使用される前記第1のカルボン酸がベヘン酸であり、かつ使用される前記第2のカルボン酸がステアリン酸およびパルミチン酸の混合物であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリグリセロールエステルまたは請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法により得ることができるポリグリセロールエステルの、乳化剤としての使用。
請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリグリセロールエステルまたは請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法により得ることができるポリグリセロールエステルの、化粧料製剤または医薬品製剤を製造するための使用。
【発明を実施するための形態】
【0028】
従って、ここに特許請求するポリグリセロールエステルは、完全な加水分解後、8〜24個の炭素原子を有する少なくとも1種のカルボン酸を、ポリグリセロールエステル1モル当たり平均(数平均)0.51〜2.20mol、好ましくは0.73〜1.85mol、特に好ましくは0.85〜1.50mol放出し、ポリグリセロールエステルの完全な加水分解後、グリセロール対ジグリセロールの質量比が1を超える、好ましくは1.2を超える、特に好ましくは1.5を超えるポリグリセロールが得られることを特徴とする。本発明による好ましいポリグリセロールエステルは、完全な加水分解後、20〜24個の炭素原子を有する少なくとも1種の第1のカルボン酸を、ポリグリセロールエステル1モル当たり、平均(数平均)0.01〜0.20mol、好ましくは0.03〜0.15mol、特に好ましくは0.05〜0.10molと、8〜18個、好ましくは14〜18個、特に好ましくは16〜18個の炭素原子を有する少なくとも1種の第2のカルボン酸を0.5〜2.0mol、好ましくは0.7〜1.7mol、特に好ましくは0.8〜1.4molを放出することを特徴とする。
【0029】
本発明の文脈における「ポリグリセロール」という語は、グリセロールを包含するポリグリセロールを意味するものと理解される。従って、量や質量等を計算する際は、グリセロールの比率を考慮すべきである。従って、本発明の文脈におけるポリグリセロールとは、グリセロールと少なくとも1種のグリセロールオリゴマーとの混合物である。
【0030】
本発明に関しては、「ポリグリセロールエステル」という語にも同じことが当てはまる。
【0031】
上に述べた酸基の数平均は、第1および/または第2のカルボン酸のうち1種を超えるカルボン酸を対象とする場合は、各場合において、第1および/または第2の酸基全体の総和を指す。
【0032】
特段の指定がない限り、ここに述べる百分率(%)はすべて質量百分率である。
【0033】
グリセロール対ジグリセロールの質量比と同様、他のポリグリセロール類縁体の分布もGPC法に従い本発明において測定することができる。この方法には、本発明のポリグリセロールエステルのアルカリ加水分解、結果として得られる酸からのポリグリセロールの分離およびゲル浸透クロマトグラフィーによる分析が含まれる。
【0034】
これを行うためには、本発明のポリグリセロールエステル0.6gを0.5MのKOHのエタノール溶液25ml中で還流下に4時間沸騰させる。次いでpHを硫酸でpH2〜3に調整し、得られたカルボン酸をそれぞれ同量の石油エーテルで3回抽出することにより分離する。抽出液を合一して蒸発させることにより約10mlまで濃縮する。
【0035】
脂肪酸の分布を確認するのに適した測定方法は、特に、DGF C VI 11a、DGF C−VI 10 aおよびGAT−ring test 7/99に準ずるものである。
【0036】
上述したようにして得られた石油エーテル抽出液0.5mlを分取し、オートサンプラー容器内でMTBE0.5mlおよび水酸化トリメチルアニリニウム(メタノール中、0.2M)1mlと混合し、GCにより分析した。これは、スプリット/スプリットレス注入口、キャピラリーカラムおよび炎イオン化検出器を取り付けたガスクロマトグラフを用いて、次に示す条件下で実施した:
注入口:290℃、スプリット30ml
注入量:1μl
カラム:HP 1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)
キャリアガス:ヘリウム、ヘッド圧70kPa
温度プログラム:80℃〜300℃まで8℃/分で昇温した後、300℃で20分間保持
検出器:FID、320℃
水素 35ml/分
空気 240ml/分
メイクアップガス 12ml/分
【0037】
カルボン酸は、そのメチルエステルとして、炭素鎖長に応じて分離される。ピーク面積を評価することにより、これらのカルボン酸メチルエステルの相対的な質量比を求めることができ、そしてそれぞれの分子量を用いて、そこから定量的な比率を求めることができる。これは対応するカルボン酸の定量的な比率に相当する。更に、この脂肪酸混合物の平均分子量を求めることができる。
【0039】
けん化価の確認に適した測定方法は、特に、DGF C−V 3およびPh.Eur.2.5.6に準ずるものである。
【0040】
更に、けん化価を用いて、最初にポリグリセロールエステル1g中に存在するカルボン酸の定量値の総和を得、次いで(上述したようにGC分析で求めた定量値の比率およびカルボン酸の分子量を用いて)、カルボン酸の質量の総和を得ることが可能である。今度はこれを差し引くことにより、ポリグリセロールエステル1g中に存在するポリグリセロールの質量を求めることが可能である。
【0042】
ポリグリセロールの分子量を用いることにより、ポリグリセロールの定量値を求めることができる。
【0044】
これらの値を総合して、ポリグリセロール対カルボン酸のモル比を求めることができる。
【0045】
石油エーテルで抽出を行った後の残渣を水酸化バリウムでpH7〜8に調整する。沈殿した硫酸バリウムを遠心分離により除去する。上清を取り出し、残渣をエタノール20mlで3回抽出する。
【0046】
上清を合一して80℃、50ミリバールで30分間蒸発させることにより濃縮し、乾燥させる。
【0047】
ポリグリセロール画分のGPC分析を行うために、残渣から、溶離液(NaN
3を0.05%含むH
2O)中の濃度が1g/lとなるように試料を調製する。1回分のアリコートを次の条件下で分析する:
装置:ポンプ:Agilent 1200(アイソクラティック)
Autosampler Agilent 1100
検出器:Agilent RI
試料濃度:1000g/L
注入量:50000μL
カラム:SUPREMA 30Å(8mm×300mm)およびプレカラム
流速:0.5mL/分
カラム温度:30℃
解析ソフト:PSS WinGPC Unity Version 7.5.0
【0048】
この条件下で、ポリグリセロールは重合度に応じて分離される。異なるオリゴマーの分離度が低く、ピーク間の谷を垂直分割することにより求められる個々のオリゴマーのピーク面積が不明確な場合は、ピークの高さを評価することによって個々のオリゴマー(主としてグリセロールおよびジグリセロール)の相対的な含有量を決定する。
【0049】
もし、調査を行ったポリグリセロール中に検出可能な量のジグリセロールが存在せず、グリセロールが存在した場合、これは、グリセロール対ジグリセロールの質量比が1.2を超えることに相当する。
【0050】
本発明によれば、本発明のポリグリセロールエステルの完全な加水分解後に得られるポリグリセロールの平均重合度が3〜20、好ましくは3.5〜15、特に好ましくは4.5〜10であることが好ましい。
【0051】
ポリグリセロールの平均重合度Nは、次の式に従い、水酸基価(OHV、単位:mg KOH/g)から求められる。
【数1】
【0052】
水酸基価を確認するのに適した測定方法は、特に、DGF C−V 17 a(53)、Ph. Eur.2.5.3 Method AおよびDIN 53240に準ずるものである。
【0053】
本発明による有利なポリグリセロールエステルは、ポリグリセロールエステルの完全な加水分解後に得られる第1のカルボン酸の第2のカルボン酸に対するモル比が1:50〜1:7、好ましくは1:28〜1:10、特に好ましくは1:19〜1:13であることを特徴とする。
【0054】
このモル比を求めるために上述した方法を用いることができる。
【0055】
本発明のポリグリセロールエステルは、第1のカルボン酸が20〜24個の炭素原子を有し、第2のカルボン酸が8〜18個の炭素原子を有することを特徴とする。
【0056】
本発明によれば、ポリグリセロールエステルの第1および第2のカルボン酸は脂肪酸から選択されることが好ましく、特に、非置換の直鎖飽和カルボン酸から選択される。
【0057】
第1および第2のカルボン酸の脂肪酸としては、いずれも脂肪酸の混合物を使用することができ、これに関連して、第2のカルボン酸は混合物であることが好ましい。この混合物は製造方法の性質に由来し、好ましくは脂肪酸の工業混合物(industrial mixture)が使用される。
【0058】
本発明による好ましいポリグリセロールエステルは、第1のカルボン酸として、アラキン酸、ベヘン酸およびリグノセリン酸から選択される、特に好ましくは、ベヘン酸を含むことを特徴とする。更に、モノオレフィン性不飽和カルボン酸、例えば、エイコセン酸およびドコセン酸、例えば、ガドレイン酸、イコセン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ネルボン酸等も第1のカルボン酸として好適である。
【0059】
好ましい第2のカルボン酸は、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸およびこれらの混合物である。天然の混合物は、例えば、主な構成成分であるラウリン酸に加えて、飽和C
14〜C
18脂肪酸ならびに場合により飽和C
8〜C
10脂肪酸および不飽和脂肪酸も含むヤシ油脂肪酸である。これに関連して、特に好ましい第2のカルボン酸は、パルミチン酸およびステアリン酸である。これは、ステアリン酸対パルミチン酸の重量比が100:0.01から0.01:100まで幅広く変化することができる混合物として存在することができる。これに関連して、C18:C16の重量比は、30:70〜95:5、特に45:55〜90:10の比であることが好ましい。
【0060】
更に、モノオレフィン性不飽和カルボン酸、例えば、ヘキサデセン酸、オクタデセン酸、例えば、オレイン酸(cis−9−オクタセデン酸)またはエライジン酸(trans−9−オクタセデン酸)等に加えて多価不飽和脂肪酸、例えば、オクタデカジエン酸およびオクタデカトリエン酸、例えば、リノール酸およびリノレン酸等およびこれらの混合物も第2のカルボン酸として好適である。
【0061】
本発明のポリグリセロールエステルの特に好ましい実施形態は、第1のカルボン酸がベヘン酸であり、第2のカルボン酸がステアリン酸およびパルミチン酸の混合物(好ましくは、重量比が0.8:1〜1.2:1の範囲にある)であることを特徴とする。
【0062】
本発明によれば、本発明のポリグリセロールエステルの融点は35℃を超えること、好ましくは40℃を超えること、特に50℃を超えることが好ましい。ポリグリセロールエステルの融点は、本明細書においては、例えば、長鎖飽和脂肪酸の含有量を変化させることによって変化させることができる(例えば、Ullmanns Encyclopaedia of Industrial Chemistry or Rompp Lexicon of Chemistry, in each case relating to fatty acids参照)。
【0063】
本発明のポリグリセロールエステルは、典型的なエステル化方法により、好ましくは次に記載する本発明の方法を用いて調製することができる。
【0064】
更に本発明は、
A)グリセロール対ジグリセロールの質量比が1を超える、好ましくは1.2を超える、特に好ましくは1.5を超えるポリグリセロールを提供する工程ステップと、
B)このポリグリセロールの少なくとも一部を、8〜24個の炭素原子を有する少なくとも1種のカルボン酸でエステル化する工程ステップと
を含み、
工程ステップB)に使用されるカルボン酸対工程ステップA)に使用されるポリグリセロールのモル比が、0.51:1〜2.20:1、好ましくは0.73:1〜1.85:1、特に好ましくは0.85:1〜1.5:1である、ポリグリセロールエステルの製造方法を提供する。
【0065】
本発明による好ましい方法は、工程ステップB)において、20〜24個の炭素原子を有する少なくとも1種の第1のカルボン酸および8〜18個の炭素原子を有する少なくとも1種の第2のカルボン酸が使用され、
工程ステップB)において使用される第1のカルボン酸対工程ステップA)において使用されるポリグリセロールのモル比が、0.01:1〜0.20:1、好ましくは0.03:1〜0.15:1、特に好ましくは0.05:1〜0.10:1であり、工程ステップB)において使用される第2のカルボン酸対工程ステップA)において使用されるポリグリセロールのモル比が0.5:1〜2.0:1、好ましくは0.7:1〜1.7:1、特に好ましくは0.8:1〜1.4:1であることを特徴とする。
【0066】
工程ステップA)において用いられるポリグリセロールは、様々な従来法、例えば、グリシドールの重合(例えば、塩基触媒を用いるもの)、エピクロロヒドリンの重合(例えば、等モル量のNaOH等の塩基の存在下に)またはグリセロールの重縮合等により提供することができる。
【0067】
本発明によれば、グリセロールを、特に触媒量の塩基、特にNaOHまたはKOHの存在下に縮合させることによってポリグリセロールを提供することが好ましい。好適な反応条件は、220〜260℃の温度および20〜800ミリバール、特に50〜500ミリバールの範囲の減圧下であり、その結果として水の除去がより容易になる。標準的な化学の教科書である、例えば、Rompp等に適切な方法が記載されている。
【0068】
従来法により得られるポリグリセロールをグリセロールと混合することによってグリセロール対ジグリセロールの比率を本発明に従い要求される比率に変換すると有利となり得る。
【0069】
好ましくは、工程ステップA)により提供されるポリグリセロールの平均重合度は3〜20、好ましくは3.5〜15、特に好ましくは4.5〜10である。
【0070】
本発明の方法において、工程ステップB)は、当業者に周知のエステル化反応条件下で、場合により触媒の存在下に実施される。特にこのエステル化は、反応混合物から水を除去しながら実施される。
【0071】
工程ステップB)は、好ましくは180〜260℃、特に好ましくは210〜250℃で実施される。
【0072】
反応過程は、例えば、生成物の酸価によって監視することができ、これは、所望の酸価に到達するまで工程ステップB)を実施することが好ましいことを意味する。
【0073】
好ましくは、工程ステップB)において、第1および第2のカルボン酸は、1:50〜1:7、好ましくは1:28〜1:10、特に好ましくは1:19〜1:13のモル比で使用される。好ましくは、本発明の方法において工程ステップB)に使用される第1および第2のカルボン酸は、本発明による好ましいポリグリセロールエステルとして特定したものである。
【0074】
特に、これに関連して、使用される第1のカルボン酸はベヘン酸であり、使用される第2のカルボン酸はステアリン酸およびパルミチン酸の混合物であり、好ましくは、ステアリン酸対パルミチン酸の重量比は0.8:1〜1.2:1の範囲にある。好ましくは、これに関連して、第1および第2のカルボン酸は、1:50〜1:7、好ましくは1:28〜1:10、特に好ましくは1:19〜1:13のモル比で使用される。
【0075】
本発明のポリグリセロールエステルおよび本発明の方法により得ることができるかまたは得られたポリグリセロールエステルは、再生可能原料のみに由来し、特に化粧料製剤における製剤化の自由度が高い高性能O/W乳化剤として使用するのに極めて適している。
【0076】
その結果として、本発明のポリグリセロールエステルを含む乳化剤または本発明の方法により得ることができるかもしくは得られたポリグリセロールエステルを含む乳化剤が、本発明により提供される。本発明の文脈における乳化剤とは、本発明のポリグリセロールエステルまたは本発明の方法により得ることができるかもしくは得られたポリグリセロールエステルの少なくとも1種と、場合により少なくとも1種の共乳化剤とからなる乳化剤を意味するものと理解され、共乳化剤が存在するものが好ましい。
【0077】
有利に使用することができる共乳化剤は次の共乳化剤である:
ジ(クエン酸/ステアリン酸)ポリグリセリル−3、ジステアリン酸ポリグリセリル−3メチルグルコース、ステアリン酸ポリグリセリル−10、ジステアリン酸ポリグリセリル−6、セスキステアリン酸メチルグルコース、ステアロイルグルタミン酸Na、セテアリル硫酸Na、セチルリン酸K、クエン酸ステアリン酸グリセリル、セテアリルグルコシド、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル(SE)、セテアリルアルコールおよびステアリン酸。
【0078】
本発明のポリグリセロールエステルおよび本発明の方法により得ることができるかまたは得られたポリグリセロールエステルも同様に、化粧料製剤または医薬品製剤の製造、特に、化粧用クリームおよびローションの製造に極めて適している。これに関連して、クリームおよびローションとは、展延性を有するペースト状または流動可能な粘稠性を有する化粧用O/Wエマルションを意味するものと理解される。一般に、本発明のポリグリセロールエステルは、例えば、顔、身体および手のケア用クリームおよびローション、日焼け止め用エマルション、セラム、ブレミッシュ・バームクリーム、防臭剤、メーキャップ用化粧料(makeup)、例えば、制汗剤/防臭剤分野におけるエアゾール、ロールオン(roll-on)、ポンプ式スプレー、スティック(stick)、ベビーケア用品、陰部ケア、フットケア、ヘアケア、ネイルケア、歯科医療および口腔ケア用品に加えて皮膚科用軟膏に使用することができる。
【0079】
その結果として、本発明のポリグリセロールエステルを含む化粧料製剤もしくは医薬品製剤または本発明の方法により得ることができるかもしくは得られたポリグリセロールエステルを含む化粧料製剤もしくは医薬品製剤、特にO/W製剤も同様に本発明により提供される。本発明による好ましい製剤は、日焼け止め製剤、電解質含有エマルション、化粧有効成分を含む製剤およびO/Wメーキャップ用化粧料製剤である。
【0080】
本発明による好ましい製剤は、本発明のポリグリセロールエステルまたは本発明の方法により得ることができるかもしくは得られたポリグリセロールエステルを、製剤全体を基準として0.01〜10重量%,好ましくは0.05〜8重量%特に好ましくは0.1〜5重量%の量で含む。
【0081】
アルコキシル化された化合物を本質的に含まない化粧料または医薬品製剤が特に好ましい。本発明に関する「アルコキシル化された化合物を本質的に含まない」という語は、当該製剤の、界面活性作用を呈するアルコキシル化された化合物の含有量が、無視できる量以下であることを意味するものと理解される。特に、これらの化合物が、製剤全体を基準として1重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、特に好ましくは0.01重量%未満、特に検出限界以下の量で存在することを意味するものと理解されたい。
【0082】
本発明の製剤は、例えば、
エモリエント剤、
共乳化剤、
増粘剤/粘度調整剤/安定剤、
酸化防止剤、
ハイドロトロープ剤(またはポリオール)、
固体およびフィラー、
真珠光沢剤、
防臭および制汗有効成分、
昆虫忌避剤、
セルフタンニング剤、
防腐剤、
コンディショナー、
香料、
染料、
顔料、
化粧有効成分、
ケア用添加剤(care additive)、
過脂肪剤、
溶剤、
UV遮蔽剤、
電解質、
多機能添加剤、
保湿物質
の群から選択される少なくとも1種の更なる成分を含むことができる。
【0083】
個々の群の代表例として使用することができる物質は当業者に周知であり、例えば、独国特許出願第102008001788.4号に記載されている。本明細書においては、この特許出願を本開示内容の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0084】
更なる任意的な成分および使用されるこれらの成分の量に関しては、特に、当業者に周知の関連するハンドブックである、例えば、K.Schrader,「Grundlagen und Rezepturen der Kosmetika[Fundamentals and Formulations of Cosmetics]」,2nd Edition,pages 329 to 341,Huthig Buch Verlag Heidelbergを参照されたい。
【0085】
具体的な添加剤の量は目的の用途によって決まる。
【0086】
各用途に用いる処方の目安となる典型的な処方は先行技術において周知であり、例えば、具体的な基剤および有効成分の製造業者のパンフレットに記載されている。通常、これらの既存の処方は変更せずに用いることができる。しかしながら、必要に応じて、簡単な実験を行うことにより、複雑な適合化および最適化を行うことなく所望の修正を行うことができる。
【0087】
本発明のポリグリセロールエステルは、顔料または固体をエマルション調製物中に極めて安定に維持することができるので、特定の使用感を達成するために使用される固体およびフィラー、特に粒子および添加剤、例えば、シリコーンエラストマー、PMMA粒子、PE粒子、PS粒子、ナイロン粒子、窒化ホウ素、デンプン、セルロース、雲母、タルク等が好ましい更なる成分である。
【0088】
本発明の乳化剤は、軽い使用感を呈する低粘度製剤(ローション)を安定化するのに特に適している。製剤中にエマルションを不安定化させる構成成分が更に同時に存在する場合は特にこの利点が大きい。
【0089】
有利には、本発明は、特にUV遮蔽剤が存在する低粘度日焼け止め系の安定化に特に非常に適している。
【0090】
その結果として、好ましい化粧料製剤または医薬品製剤は、更なる成分として、UV光防御遮蔽剤の物質の群から選択される物質を含む。これらは無機物質であっても有機物質であっても、水溶性および油溶性UV遮蔽剤であってもよく、水溶性のものが特に好ましい。
【0091】
使用することができるUV遮蔽剤は、例えば、紫外線を吸収してエネルギーをより長波長の放射、例えば熱の形態で再び放出することができる有機物質である。
【0092】
UVB遮蔽剤は油溶性であっても水溶性であってもよい。油溶性UVB光防御遮蔽剤は、例えば:
3−ベンジリデンカンファーおよびその誘導体、例えば、3−(4−メチルベンジリデン)カンファー、4−アミノ安息香酸誘導体、例えば、4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−エチルヘキシルおよび4−(ジメチルアミノ)安息香酸アミル等
桂皮酸のエステル、例えば、4−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、4−メトキシ桂皮酸イソペンチル、2−シアノ−3−フェニル桂皮酸2−エチルヘキシル(オクトクリレン)等、
サリチル酸のエステル、例えば、サリチル酸2−エチルヘキシル、サリチル酸4−イソプロピルベンジル、サリチル酸ホモメンチル等、
ベンゾフェノンの誘導体、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等、
ベンザルマロン酸のエステル、例えば、ジ−2−エチルヘキシル4−メトキシベンズマロン酸等、
トリアジン誘導体、例えば、2,4,6−トリアニリノ(p−カルボ−2’−エチル−1’−ヘキシルオキシ)−1,3,5−トリアジンおよびオクチルトリアゾン等、
プロパン−1,3−ジオン、例えば、1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン等である。
【0093】
好適な水溶性UVB光防御遮蔽剤は:
2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸ならびにそのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウムおよびグルカンモニウム塩、
ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸およびその塩等、
3−ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、例えば、4−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸および2−メチル−5−(2−オキソ−3−ボルニリデン)スルホン酸ならびにこれらの塩等である。
【0094】
特に好ましい水溶性UV遮蔽剤は、例えば、Eusolex(登録商標)232(フェニルベンズイミダゾールスルホン酸)(Merck KGaA)またはMexoryl(登録商標)SX(テレフタリリデンジカンファースルホン酸)(Chimex SA)等の製品である。
【0095】
好適な典型的なUVA光防御遮蔽剤は、特に、ベンゾイルメタンの誘導体、例えば、1−(4’−tert−ブチルフェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオンまたは1−フェニル−3−(4’−イソプロピルフェニル)プロパン−1,3−ジオン等である。無論、UV−AおよびUV−B遮蔽剤を混合物として使用することもできる。
【0096】
ここに特定した可溶性物質に加えて、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、ケイ酸塩(タルク)、硫酸バリウムおよびステアリン酸亜鉛等の不溶性顔料すなわち微細に分散した金属酸化物または塩もこの目的に適している。この場合の粒子は、平均径が100nm未満、例えば5〜50nm、特に15〜30nmであるべきである。これらは球形であってもよいし、長円形または球形とは何らかの差がある形状を有する粒子を使用することも可能である。比較的新しい種類の光防御遮蔽剤は、微細化された有機顔料、例えば、粒度が200nm未満の2,2’−メチレンビス{6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール}等であり、これは例えば濃度が50%の水性分散液として入手可能である。
【0097】
更に好適なUV光防御遮蔽剤は、P.Finkel著、SOFW-Journal 122, 543 (1996)の概説に記載されている。
【0098】
本発明は、有利には、昆虫忌避剤を、特にUV光防御遮蔽剤と一緒に含む製剤を安定化させるのにも特に非常に適している。
【0099】
従って、好ましい化粧料製剤または医薬品製剤は、更なる成分として、昆虫忌避剤の群から選択される物質を含み、特に好ましくは、少なくとも1種の更なる成分として、UV光防御遮蔽剤の物質の群から選択される物質を更に含む。
【0100】
本発明に関する昆虫忌避剤は、特に、N,N−ジエチル−m−トルアミド(DEET)、ブチルアセチルアミノプロピオン酸エチル(例えば、Merck Co.からのIR3535)、イソブチルピペリジンカルボン酸ヒドロキシエチル(1−ピペリジンカルボン酸、例えば、Bayer KBR3023)、シトロネラ油、大豆油、レモングラス油、ゼラニウム油、フタル酸ジメチル(DMP)、ゲラニオール油およびp−メタン−3,8−ジオールまたはこれらの混合物からなる群から選択され、N,N−ジエチル−m−トルアミド、ブチルアセチルアミノプロピオン酸エチル、イソブチルピペリジンカルボン酸ヒドロキシエチルおよびシトロネラ油が特に好ましい。
【0101】
電解質を含む製剤またはイオン性化合物中に本乳化剤を使用することも同様に有利な応用分野である。その中でも、保湿、防腐、粘度調整、乳化、安定化作用を呈することができるいわゆる多機能添加剤も同様に、本発明の乳化剤を用いてO/Wエマルション、特にローション中に非常に容易に製剤化することができる。そのため、この物質の群の代表的なものも更なる成分として好ましい。
【0102】
本発明のポリグリセロールエステルは、たとえポリアクリル酸エステル系の増粘剤を使用しなくてもエマルションを安定化させることができるので、特に好ましい応用分野は、天然成分に由来する、PEGおよび/またはシリコーンおよび/またはポリアクリレートおよび/またはパラベンを含まない製剤である。
【0103】
本発明のポリグリセロールエステルは、その保湿性、軽い使用感および化粧有効成分を良好に安定化する作用のお陰で、例えば、好ましくは、皮膚の潤いの向上、皮膚構造の改善、加齢に伴う皮膚の変化の軽減、皮膚の色ムラの緩和、皮膚代謝の促進または有毒な代謝物の中和を目的とした化粧用エマルションに使用するのに好適である。従って、保湿物質および生物学的効果を有する物質、例えば、グリセロール、尿素、ペプチド等が、本発明による好ましい製剤における更なる成分として好ましい。
【0104】
本発明の乳化剤は、パラベン含有防腐剤以外にも様々な種類の防腐剤を許容するので、フェノキシエタノール、エタノールまたはメチルイソチアゾリノン等のパラベンを含まない防腐剤も難なく使用することができる。天然物由来の化粧品(natural cosmetic)を製造するためには、特に、安息香酸、カプリル酸、カプリン酸、アニス酸、ソルビタン酸、レブリン酸、ソルビン酸等の天然の酸である防腐剤またはカプリリルグリコール等の物質が、防腐剤として使用される更なる配合成分として好ましい。
【0105】
次に列挙する実施例においては、例を用いて本発明を説明するが、本発明を実施例に特定した実施形態に限定することを意図するものではなく、本発明の出願の範囲は本記載および特許請求の範囲全体によって定められる。
【実施例】
【0106】
実施例1:
グリセロール(2102g、22.8mol)および濃度45%の水酸化カリウム水溶液(24.2g)の混合物を、240℃、400ミリバールに1時間にわたって加熱し、生成した水を連続的に留去した。反応混合物の屈折率が≧1.4900(通常は240℃で20〜21時間後)に到達したらすぐに圧力を除々に50ミリバールまで減圧し、残留混合物の水酸基価が880mg KOH/gになるまで更に240℃で、水に加えて過剰のグリセロールを留去した。
【0107】
このように得られたポリグリセロール(360.0g、0.45mol)および水酸基価が1000mgKOH/gであるグリセロール(47.82g、0.52mol)の混合物と、ステアリン酸およびパルミチン酸の比率1:1の混合物(334.19g、1.24mol)と、ベヘン酸(28.0g、0.08mol)と、Na
2CO
3(3.75g、0.035mol)とを、窒素を導入しながら240℃に3時間にわたって加熱し、次いでこの混合物を同温度で撹拌し、酸価が≦1.0に達するまで生成した水を連続的に除去した。
【0108】
得られたポリグリセロールエステルのアルカリ分解(alkaline cleavage)および脂肪酸除去後のGPCクロマトグラムを
図1に示す。
【0109】
実施例2:
グリセロール(2102g、22.8mol)および濃度45%の水酸化カリウム水溶液(24.2g)の混合物を、240℃、400ミリバールに1時間にわたって加熱し、生成した水を連続的に留去した。反応混合物の屈折率が≧1.4900(通常は240℃で20〜21時間後)に到達したらすぐに圧力を除々に50ミリバールまで減圧し、残留混合物の水酸基価が880mg KOH/gになるまで更に240℃で、水に加えて過剰のグリセロールを留去した。
【0110】
このように得られたポリグリセロール(310.5g、0.38mol)および水酸基価が1000mgKOH/gであるグリセロール(41.25g、0.45mol)の混合物と、さらにベヘン酸(481.9g、1.40mol)と、Na
2CO
3(4.17g、0.039mol)とを、窒素を導入しながら240℃に3時間にわたって加熱し、次いでこの混合物を同温度で撹拌し、酸価が≦1.0に達するまで生成した水を連続的に除去した。
【0111】
実施例3:
グリセロール(2102g、22.8mol)および濃度45%の水酸化カリウム水溶液(24.2g)の混合物を、240℃、400ミリバールに1時間にわたって加熱し、生成した水を連続的に留去した。反応混合物の屈折率が≧1.4900(通常は240℃で20〜21時間後)に到達したらすぐに圧力を除々に50ミリバールまで減圧し、残留混合物の水酸基価が880mg KOH/gになるまで更に240℃で、水に加えて過剰のグリセロールを留去した。
【0112】
このように得られたポリグリセロール(337.8g、0.42mol)および水酸基価が1000mgKOH/gであるグリセロール(44.87g、0.49mol)の混合物と、ステアリン酸およびパルミチン酸の比率1:1の混合物(334.19g、1.24mol)と、Na
2CO
3(3.58g、0.034mol)とを、窒素を導入しながら240℃に3時間にわたって加熱し、次いでこの混合物を同温度で撹拌し、酸価が≦1.0に達するまで生成した水を連続的に除去した。
【0113】
実施例4:
実施例2に記載したようにして得られたポリグリセロールエステル(5.9g)および実施例3に記載したようにして得られたポリグリセロールエステル(89.9g)の混合物を75℃に加熱し、同温度で1時間撹拌した。
【0114】
実施例5(本発明によらない):
グリセロール(2102g、22.8mol)および濃度45%の水酸化カリウム水溶液(24.2g)の混合物を240℃、400ミリバールに1時間にわたって加熱し、生成した水を連続的に留去した。反応混合物の屈折率が≧1.485に到達したらすぐに、圧力を除々に50ミリバールまで減圧し、残留している混合物の水酸基価が1000mg KOH/gになり、グリセロール対ジグリセロールの質量比が0.3になるまで更に水および過剰のグリセロールを240℃で留去した。
【0115】
こうして得られたポリグリセロール(407.82g、1.00mol)の混合物と、ステアリン酸およびパルミチン酸の比率1:1の混合物(334.19g、1.24mol)と、ベヘン酸(28.0g、0.08mol)と、Na
2CO
3(3.75g、0.035mol)とを、窒素を導入しながら240℃に3時間にわたって加熱し、次いでこの混合物を同温度で撹拌し、生成した水を酸価が≦1.0に達するまで連続的に除去した。
【0116】
こうして得られたポリグリセロールエステルのアルカリ分解および脂肪酸除去後のGPCクロマトグラムを
図2に示す。
【0117】
実施例6:特定のオリゴマー分布を有するポリグリセロールの影響
先行技術と比較した性能の差
本出願の実施例における濃度はすべて重量百分率で与える。エマルションの製造は、当業者に周知の慣用の均質化プロセスを用いて行った。
【0118】
従って、エマルションを製造するために、典型的には、油相および水相を70〜75℃に加熱した。次いで、油相を撹拌しながら水に加えるかまたは油相および水相を撹拌せずに合一した。次いで、好適なホモジナイザー(例えば、Ultraturrax)を使用して混合物を約1〜2分間均質化した。
【0119】
安定化ポリマー(例えばカルボマー)を、好ましくは油中分散液として50〜60℃で撹拌しながらエマルションに加える。次いで短時間で均質化を行った。
【0120】
更なる成分の添加(例えば、防腐剤、有効成分)を、好ましくは40℃で行った。この処方を有機酸で防腐しなければならない場合は、エマルションのpHを約5に調整した。
【0121】
これらの実験は、本発明のポリグリセロールエステルがエマルションの安定性に関し有利であることを示すことを意図している。先行技術に基づくポリグリセロールをベースとする代表的なO/W乳化剤として、実施例5からの本発明によらない乳化剤を選択した。
【0122】
エマルションの貯蔵安定性を試験するために、これらを室温、40℃および45℃で3ヵ月間保管した。更に、低温安定性を試験するために、−5℃で1ヵ月間保管し、また25℃/−15℃/25℃の冷凍解凍サイクルを3回繰り返した。外観にも粘稠性にも大きな変化がなく、特に油または水の分離がないことを不安定性の判断基準として重点を置いた。
【0123】
実施例1および4からの本発明の乳化剤1および4と、
実施例5からの本発明によらない乳化剤5とを、様々な処方:1−天然の防腐剤を含むローション、2−電解質添加剤を含むローション、3−水溶性UV遮蔽剤を添加したローションで比較した。
【0124】
【表4】
【0125】
【表5】
【0126】
【表6】
【0127】
本発明の乳化剤1および4を含む処方はいずれも貯蔵安定性を有する処方となるが、本発明によらない実施例5からの比較乳化剤を含むクリームは貯蔵安定性が非常に低かった。
【0128】
日焼け止めローション中に昆虫忌避剤を併用した場合の本発明の乳化剤および本発明によらない乳化剤の比較
本発明によらない乳化剤は、この種の用途に用いられる標準的な市販品の典型的な代表例である。各乳化剤を製剤に慣用されている濃度で使用し、エマルションの粘度を、粘度調整剤(consistency regulator)を変化させることにより、さらさらした液状ローションの粘稠性になるように調整した。
【0129】
【表7】
【0130】
【表8】
【0131】
【表9】
【0132】
本発明の乳化剤1および4を含む処方Z1およびZ2はいずれも貯蔵安定性を有する処方となるが、本発明によらない比較乳化剤(Z−C1〜Z−C9)を含むローションは貯蔵安定性が明らかに低い。
【0133】
処方例
これらの実施例は、本発明のポリグリセロールエステルを様々な化粧料製剤に使用できることを示すことを意図したものである。
【0134】
更に、本発明のポリグリセロールエステルを用いることにより、エマルション製剤中に顔料または固体を安定して添加することが可能になる。
【0135】
更に、この実施例は、典型的な共乳化剤、油、増粘剤および安定剤との混和性が良好であることを示しているだけでなく、エマルションを不安定化するUV遮蔽剤、抗菌活性成分または化粧有効成分等の成分との混和性も良好であることを示している。
【0136】
【表10】
【0137】
【表11】
【0138】
【表12】
【0139】
【表13】
【0140】
【表14】
【0141】
【表15】
【0142】
【表16】
【0143】
【表17】
【0144】
【表18】
【0145】
【表19】
【0146】
【表20】
【0147】
【表21】
【0148】
【表22】
【0149】
【表23】
【0150】
【表24】
【0151】
【表25】
【0152】
【表26】
【0153】
【表27】
【0154】
【表28】
【0155】
【表29】