特許第6332933号(P6332933)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧 ▶ 三菱電機照明株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6332933-発光ユニットの製造方法 図000002
  • 特許6332933-発光ユニットの製造方法 図000003
  • 特許6332933-発光ユニットの製造方法 図000004
  • 特許6332933-発光ユニットの製造方法 図000005
  • 特許6332933-発光ユニットの製造方法 図000006
  • 特許6332933-発光ユニットの製造方法 図000007
  • 特許6332933-発光ユニットの製造方法 図000008
  • 特許6332933-発光ユニットの製造方法 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6332933
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】発光ユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20180521BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20180521BHJP
【FI】
   F21S2/00 231
   F21Y115:10
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-206741(P2013-206741)
(22)【出願日】2013年10月1日
(65)【公開番号】特開2015-72749(P2015-72749A)
(43)【公開日】2015年4月16日
【審査請求日】2016年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085198
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 久夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098604
【弁理士】
【氏名又は名称】安島 清
(74)【代理人】
【識別番号】100087620
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 範夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125494
【弁理士】
【氏名又は名称】山東 元希
(74)【代理人】
【識別番号】100141324
【弁理士】
【氏名又は名称】小河 卓
(74)【代理人】
【識別番号】100153936
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 健誠
(74)【代理人】
【識別番号】100160831
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 元
(72)【発明者】
【氏名】大重 広幸
【審査官】 當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−158910(JP,A)
【文献】 特開2013−038452(JP,A)
【文献】 特開2013−182763(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/057276(WO,A1)
【文献】 特開2008−198398(JP,A)
【文献】 特開2012−069302(JP,A)
【文献】 特開2011−249534(JP,A)
【文献】 特開2012−119239(JP,A)
【文献】 特開2012−150941(JP,A)
【文献】 特開2012−170975(JP,A)
【文献】 特表2010−525523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板に発光素子が実装されて構成された発光部と、
前記発光部から放出される熱を前記発光部以外の対象に伝達する放熱部と、
前記発光部と前記放熱部とを接合する接合部と
を備え、
前記接合部は、
前記プリント基板を構成する基材自身の前記放熱部との接触面により構成され、前記発光部の発光に伴う前記発光部自身及び前記放熱部の少なくとも一方の最高到達温度より高く且つ前記発光素子の前記プリント基板への実装温度より低いガラス転移温度を有する樹脂素材を含んでおり、
前記プリント基板を構成する前記基材の前記発光素子側の表面は、前記発光素子の発光天面を覆わないように反射部材で覆われている発光ユニットの製造方法であって、
前記プリント基板の前記基材に前記発光素子を実装して前記発光部を組立てる工程と、
組立てられた前記発光部を、前記プリント基板の前記基材が前記放熱部に接触するようにして載置する工程と、
組立てられた前記発光部を前記放熱部に載置した状態で、前記基材のガラス転移温度以上の温度で加熱する工程と、
前記加熱する工程の後に行われ、全体を冷却する工程と、
前記冷却する工程の後に行われ、前記プリント基板を構成する前記基材の前記発光素子側の表面に、前記発光素子の前記発光天面を覆わないように前記反射部材を塗布する工程と、
を有する
発光ユニットの製造方法。
【請求項2】
前記プリント基板は、FPC又はリジッド基板である
請求項記載の発光ユニットの製造方法。
【請求項3】
前記プリント基板の配線パターンを形成する金属は銅又はアルミである
請求項1又は2記載の発光ユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、発光ユニットを備えた照明ランプとしてLEDランプがある。LEDランプとして例えば直管形LEDランプは、プリント基板としてリジット基板(堅い基板)が用いられており、リジット基板に発光素子(LED)が実装されて構成された発光部を、シリコン樹脂に代表される接着部材でアルミ製などのヒートシンク(放熱部)に貼合し、これをガラス製やプラスチック製の筒状の外管に内包する製品が主流であった。
【0003】
しかしながら、接着剤として用いられるシリコン樹脂は硬化(固化)に時間を要し、製造タクトに影響を与える。
【0004】
このため、接着剤を用いずに複数の板バネを使用して発光部のリジッド基板を放熱部に固定するようにした照明ランプがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−221900号公報(第9頁、第10頁、図6参照。)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、LEDランプには直管形LEDランプの長尺化に対応可能な技術が求められている。しかし、リジッド基板を用いる限りは、直管形LEDランプ特有の長尺化に対応することが困難であり、且つ、外形寸法に応じた反りが発生する問題も抱えている。
【0007】
この問題を解消するには、リジッド基板に代えてFPC(フレキシブルプリント基板)を用いることが有効と考えられる。しかし、従来FPCに使用されてきたポリイミドなどの材料は、伸縮性が不足しており、接着剤による貼合では皺や歪み、浮き(剥離)などが発生し、製造品質が下がることが課題として残る。また、放熱部からのFPCの剥離を防止するためには、シリコン樹脂などの接着部材が硬化(固化)するまでの間、完全に全面を押さえている必要がある。つまり、シリコン樹脂は常温で硬化する素材であるため、硬化するまでに時間を要し、組立効率が低いといった課題もある。このように、リジッド基板に代えてFPCを用いれば長尺化が可能になるものではなく、それ故、リジッド基板を用いた場合の課題(反り、変形、接着後のめくれ等)や、FPCを用いた場合の課題(皺等)の両方を解決できる技術が求められている。
【0008】
接着剤を用いた貼合による皺や歪み、剥離を解決するには、例えば接着部材の肉厚化などが考えられるが、発熱するLED素子の放熱経路を遮断してしまい、LED素子のジャンクション温度が上昇してLED素子の性能低下を招くなどの不都合が生じる可能性がある。また、接着部材の肉厚化などにより部材のコストが上がる。
【0009】
特許文献1には、接着剤を用いずに複数の板バネを使用して発光部のリジッド基板を放熱部に固定する技術が開示されているが、この技術はあくまでもリジッド基板を対象としたものであり、FPCには適用できない。また、特許文献1では、複数の板バネを使用して固定しているため、部品点数が多くなり、また、各板バネを固定するための固定工程が必要となり、製造工程数が増え、コスト高を招くという問題があった。
【0010】
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、部品点数の削減による材料費の低減及び製造工程の簡素化による製造タクトの短縮が可能で、また、皺や歪み、浮き(剥離)などを抑制できて高品質な光ユニットの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る発光ユニットの製造方法は、プリント基板に発光素子が実装されて構成された発光部と、発光部から放出される熱を発光部以外の対象に伝達する放熱部と、発光部と放熱部とを接合する接合部とを備え、接合部は、プリント基板を構成する基材自身の放熱部との接触面により構成され、発光部の発光に伴う発光部自身及び放熱部の少なくとも一方の最高到達温度より高く且つ発光素子のプリント基板への実装温度より低いガラス転移温度を有する樹脂素材を含んでおり、プリント基板を構成する基材の発光素子側の表面は、発光素子の発光天面を覆わないように反射部材で覆われている発光ユニットの製造方法であって、プリント基板の基材に発光素子を実装して発光部を組立てる工程と、組立てられた発光部を、プリント基板の基材が放熱部に接触するようにして載置する工程と、組立てられた発光部を放熱部に載置した状態で、基材のガラス転移温度以上の温度で加熱する工程と、加熱する工程の後に行われ、全体を冷却する工程と、冷却する工程の後に行われ、プリント基板を構成する基材の発光素子側の表面に、発光素子の発光天面を覆わないように反射部材を塗布する工程とを有するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シリコン樹脂などの接着部材を使用しないことによる材料費の低減、照明ランプの製造工程の簡素化による製造タクトの短縮が可能で、また、プリント基板を構成する基材自身が接合部となることにより接合強度が高く、製造品質を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態1に係る照明ランプの主要部の構成を示す図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る照明ランプの要部の製造工程を示すフローチャートである。
図3】本発明の実施の形態2に係る照明ランプの主要部の構成を示す図である。
図4】本発明の実施の形態3に係る照明ランプの主要部の構成を示す断面模式図である。
図5】本発明の実施の形態4に係る照明ランプの主要部の構成を示す断面模式図である。
図6】本発明の実施の形態5に係る照明ランプの主要部の構成を示す断面模式図である。
図7】本発明の実施の形態6に係る照明ランプの主要部の構成を示す断面模式図である。
図8】本発明の実施の形態7に係る照明装置の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る照明ランプの主要部の構成を示す図である。図1(a)は斜視模式図であり、図1(b)は図1(a)の断面模式図である。図1及び後述の図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。更に、明細書全文に表れている構成要素の形態は、あくまで例示であってこれらの記載に限定されるものではない。
【0018】
実施の形態1における照明ランプ(直管型LEDランプ)1は、発光ユニット10と、発光ユニット10を内包するガラス製又はプラスチック製の筒状の外管60とを有している。そして、外管60の一方の端部60Aにはアース口金70の嵌合部73が嵌合され、他方の端部60Bには給電口金80の嵌合部83が嵌合されており、外管60の両端が塞がれた構成となっている。
【0019】
アース口金70は、有底筒状の口金筐体71と、口金筐体71の底部から外方に向かって突出するアース端子72とを備えている。また、給電口金80は、有底筒状の口金筐体81と、口金筐体81の底部から外方に向かって突出する一対の給電端子82とを備えている。
【0020】
発光ユニット10は、発光素子としてのLED30がFPC40に実装されて構成された発光部20と、発光部20が載置され、発光部20の熱を放熱する放熱部50とを有している。
【0021】
FPC40は、プラスチックやポリマーなどの樹脂素材で構成されたフィルム状の基材(ベースフィルム)41と、基材41上に形成された配線パターンである銅箔42とを有している。基材41を構成する樹脂素材は電気絶縁性を有する絶縁体であり、基材41は接合部11により放熱部50に接合されている。
【0022】
放熱部50は、アルミ製のヒートシンクであり、シリコン樹脂などでガラス製又はプラスチック製の外管60と接着されており、発光部20(の主にLED30)から発生する熱を照明ランプ1の外部へ伝達する。
【0023】
なお、図1(b)は模式図であり、縮尺や寸法などを規定しているものではない。実際の基材41は、50μm以上、5mm以下の板厚寸法(以下、厚寸という)を有する。また、銅箔42は数十μm以下程度の厚寸で構成する。
【0024】
基材41には安価なプラスチック系の材料を用いることができ、また、ガラス転移温度Tgが以下の条件(1)、(2)を満足する範囲のものを使用する。
(1)発光部20の発光に伴う発光部20自身及び放熱部50の最高到達温度T1より高いこと
(2)発光部20におけるLED30を含む構成要素(部品)のFPC40への実装温度よりも低いこと
【0025】
通常点灯時の、発光部20及び放熱部50の少なくとも一方の最高到達温度T1は、概ね90℃程度である。また、例えばLED30を銅箔42に実装する際に用いる半田の溶融温度T2は、概ね180℃〜250℃程度である。よって、基材41にはガラス転移温度Tgが略110℃〜略220℃の範囲のものを使用する。具体的には例えば、基材41は熱伝導フィラを含有したプラスチックで構成される。基材41に上記のガラス転移温度Tgのものを使用する理由については後述する。
【0026】
以上のように構成された照明ランプ1は、照明ランプ1外からの電力が給電端子82を介して発光部20に給電され、発光部20が点灯する。
【0027】
次に、本実施の形態1の特徴について説明する。
本実施の形態1は、発光部20を構成するFPC40の基材41が放熱部50に対してシリコン樹脂などの接着部材を用いることなく、直接、接合されている点を特徴としている。つまり、基材41を構成する樹脂素材自身、つまり基材41の放熱部50との接触面自身が接着剤として機能して接合部11を構成している。このように、基材41自身が接着剤として機能することで、皺や歪み、浮き(剥離)を抑えた固定が可能であり、製造品質の向上を図ることが可能である。また、接着剤が不要であるため、材料費の低減が可能である。
【0028】
次に、基材(ベースフィルム)41に、ガラス転移温度Tgが略110℃〜略220℃のものを使用する理由について説明する。その理由には照明ランプ1の製造工程が関わるため、ここで、照明ランプ1の要部の製造工程について説明する。
【0029】
図2は、本発明の実施の形態1に係る照明ランプの要部の製造工程を示すフローチャートである。
(S1)まず、発光部20の組立てを行う。すなわちLED30をFPC40の銅箔42に実装する。この実装方法には、以下の2つの方法を採用できる。
(1)接続部材(図示しない)を用いて実装する方法
接続部材としては、半田、導電ペースト、ACF(異方性導電フィルム)、ACP(異方性導電ペースト)、金属バンプ、などを用いる。
(2)接続部材を用いずに(最もシンプルな構成で)実装する方法
例えば、圧接工法、超音波接合工法、溶接工法、など。
【0030】
(S2)次に、組立てられた発光部20を、FPC40の基材41部分が放熱部50(外管60内に接着された放熱部50)に接触するように放熱部50上に載置する。
【0031】
(S3)上記(S2)の状態で、基材41のガラス転移温度Tg以上の温度(例えば250℃)のリフロー炉に通し、基材41を放熱部50になじみ接合させる。
【0032】
(S4)全体を冷却する。
【0033】
照明ランプ1を製造するにあたり、以上のように基材41のガラス転移温度Tg以上の温度にして加熱して基材41を放熱部50に接合するため、ガラス転移温度Tgが上記S1の実装温度よりも高いと、S3の工程で例えば実装部分の半田が溶けてしまう。このため、基材41には、実装温度よりも低いガラス転移温度のものを使用する。なお、上記S1の実装温度よりも低いとしたが、この実装温度は、LED30を含む構成要素(部品)の耐熱値(温度)や融点より低い温度であることはもちろんである。
【0034】
また、基材41のガラス転移温度Tgが通常点灯時の最高到達温度T1以下であると、照明ランプ1の点灯中に基材41が軟化して基材41と放熱部50とが剥離する可能性がある。よって、基材41のガラス転移温度Tgを最高到達温度T1より高い温度としている。
【0035】
以上説明したように、本実施の形態1によれば、FPC40の基材41として発光ユニット10の最高到達温度T1より高く、発光部20におけるLED30を含む構成要素(部品)のFPC40への実装温度よりも低いガラス転移温度の樹脂材料を用い、基材41自身を接着剤として放熱部50に接合するようにした。これにより、基材41を放熱部50となじみ接合できて高い接合強度(剥離強度)とすることができ、硬化(固化)後は剥離が生じることもない。よって、皺や歪み、浮き(剥離)などを抑制できる。
【0036】
また、接着部材の塗布工程が不要で、例えば、250℃程度のリフロー炉を通すだけでよいため、製造工程の簡素化による製造タクトの短縮を可能となる。
【0037】
また、LED30を実装するフィルム状の基材41そのものが、接着部材の機能を有し、これと別に接着部材を用いる必要がないため、接着層が無いことによる薄寸化が可能で、更に、放熱のボトルネックになることもない。
【0038】
なお、ガラス転移温度Tgが例えばポリイミドなどと比較して低いので、例えば再度リフロー炉に通すと基材41が軟化するが、LED30のジャンクション温度が実使用環境で100℃以下になるように照明ランプ1全体の放熱構成を設計しておけば、剥離することはない。
【0039】
以上より、材料費の低減、照明ランプ1の製造工程の簡素化による製造品質の向上と製造タクトの短縮を達成できる発光ユニット10、照明ランプ1を得ることができる。
【0040】
なお、ここでは、発光素子が実装されるプリント基板としてFPCを例に挙げたが、プリント基板はFPCに限られたものではなく、リジッド基板でもよい。また、プリント基板の配線パターンを形成する金属は、上述したように銅に限られたものではなく、アルミでもよい。要は、プラスチックやポリマーなどの樹脂素材であって、最高到達温度T1より高く、発光部20におけるLED30を含む構成要素(部品)のプリント基板への実装温度よりも低いガラス転移温度の樹脂材料で構成された基材に、配線パターンとなる金属膜が形成された構成であればよい。この点は、後述の実施の形態においても同様である。
【0041】
実施の形態2.
基材41は樹脂素材で構成されているため、その特性上、接合の対象となる面は必ずしも平坦な面である必要はなく、曲面や、凸凹を有する面であっても良い。よって、実施の形態2では、基材41を外管60の内面に直接的に接合した構成としたものである。
【0042】
図3は、本発明の実施の形態2に係る照明ランプの主要部の構成を示す図である。図3(a)は斜視模式図であり、図3(b)は図3(a)の断面模式図である。以下、実施の形態2が実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。なお、銅箔42は配線パターンであるが、図3(a)では詳細には示しておらず、簡略化して示している。また、実施の形態1と同様の構成部分について適用される変形例は、本実施の形態2についても同様に適用される。この点は後述の実施の形態においても同様である。
【0043】
実施の形態2の照明ランプ1aの発光ユニット10aでは、FPC40aの基材(ベースフィルム)41aを外管60で構成された放熱部50aに直接的に接合し、発光部20a(の主にLED30)から発生する熱を照明ランプ1aの外管60から外部へ、より直接的に伝達する。
【0044】
放熱部50aとなる外管60aは上述したようにガラス製やプラスチック製であるが、このような材質に対しても、実施の形態1と同様の工程にてFPC40aの基材41aを放熱部50aに強固に接合できる。すなわち、実施の形態2の製造工程は、図2に示した実施の形態1のS2において、FPC40aを外管60の放熱部50aに載置する点が実施の形態1と異なるが、それ以外は、実施の形態1と同様の方法でFPC40aの基材41aを放熱部50aに接合でき、接合部11aが構成されている。
【0045】
なお、基材41aは実施の形態1の基材41に比べて厚寸を厚くしているが、50μm以上、5mm以下の厚寸である点は実施の形態1と同様である。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果が得られると共に、外管60とは別途設けられていたアルミ製の放熱部50が不要となるため、実施の形態1に比べて更にコスト低減が可能であり、また、実施の形態1に比べて効果的な放熱ができる。
【0047】
実施の形態3.
実施の形態3は、光の利用率の低下を抑制するための反射部材を設けた照明ランプに関するものである。
【0048】
図4は、本発明の実施の形態3に係る照明ランプの主要部の構成を示す断面模式図である。以下、実施の形態3が実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
実施の形態3における照明ランプ1bの発光ユニット10bは、図1に示した実施の形態1の照明ランプ1において銅箔42が形成された状態の基材41のLED設置側の表面に、全反射の特性を有する反射部材12をLED30の発光天面を覆わないように更に配置した構成を有する。なお、ここでいう「全反射の特性」とは完全な全反射に限らず、略全反射の様相を得られる特性を有していればよい。なお、図4には、基材41の側面及び放熱部50のLED設置側表面も反射部材12で覆った構成を示しているが、少なくとも基材41のLED設置側表面が反射部材12で覆われていればよい。
【0049】
LED30から出射された光は外管60から外方へと出射されるが、一部は外管60で反射又は拡散される。外管60で反射又は拡散された光が基材41、銅箔42、放熱部50などに吸収されると、光の利用率が低下する。また、基材41は、一般にプラスチックやポリマーなどの樹脂素材からなる熱や光に晒されることによる変色が発生することがある。よって、反射部材12を配置することで、光の利用率の低下及び基材の変色を抑制できる。
【0050】
反射部材12としては、高反射フィラーを含有した樹脂材料や、白色のレジストコーティングなどが用いられ、これを塗布することにより設置する。
【0051】
以上説明したように、本実施の形態3によれば、実施の形態1と同様の効果が得られると共に以下の効果が得られる。すなわち、光を吸収する構成要素(基材41、銅箔42、放熱部50など)の表面に反射部材12を施して光の利用率を向上させる(点線矢印)ことで、光の利用率の低下を改善でき、また、基材41の変色を抑制できる。
【0052】
実施の形態4.
実施の形態4は、図3に示した実施の形態2と実施の形態3の特徴(反射部材)を組み合わせた実施の形態に相当するものである。
【0053】
図5は、本発明の実施の形態4に係る照明ランプの主要部の構成を示す断面模式図である。以下、実施の形態4が実施の形態2と異なる部分を中心に説明する。
実施の形態4における照明ランプ1cの発光ユニット10cは、図3に示した実施の形態2の照明ランプ1aにおいて銅箔42が形成された状態の基材41aのLED設置側の表面に、略全反射の特性を有する反射部材12cをLED30の発光天面を覆わないように更に配置した構成を有する。図5には、基材41aの側面及び放熱部50aのLED設置側表面も反射部材12cで覆われた構成を示しているが、少なくとも基材41aのLED設置側表面が反射部材12cで覆われていればよい。
【0054】
反射部材12cは、実施の形態3と同様に高反射フィラーを含有した樹脂材料や、白色のレジストコーティングなどが用いられ、これを、塗布することにより設置する。
【0055】
このように構成された実施の形態4は、実施の形態2と同様の効果が得られると共に、以下の効果が得られる。すなわち、光を吸収する構成要素(基材41a、銅箔42、放熱部50aなど)の表面に反射部材12cを施して光の利用率を向上させる(点線矢印)ことで、光の利用率の低下を改善でき、また、基材41aの変色を抑制できる。
【0056】
実施の形態5.
上記各実施の形態では外管60を筒状に構成していたが、外管60は筒状に限定されるものではない。実施の形態5は、筒状以外の外管60の構成に関するものである。
【0057】
図6は、本発明の実施の形態5に係る照明ランプの主要部の構成を示す断面模式図である。以下、実施の形態5が図1に示した実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
【0058】
実施の形態5における照明ランプ1dは、上記各実施の形態1〜4において筒状に構成していた外管60に代えて、外周面の一部を管軸方向に切り欠いて断面C字状に構成された外管60dを用いている。また、実施の形態5における発光ユニット10dは、外管60dにおいて切り欠かれた部分を補うように大型化した放熱部50dを有しており、放熱部50dが外管60dと接合されて全体として外型をここでは円形状に構成している。外管60dと放熱部50dとの接合方法は特に限定するものではなく任意の方法を採用できる。
【0059】
このように構成された実施の形態5は、上記各実施の形態1〜4の効果が得られると共に、放熱部50dを大きく構成できるため、放熱量を増加させることができる。
【0060】
実施の形態6.
実施の形態6は、図6に示した実施の形態5の構成に更に反射部材を設けたものである。
【0061】
図7は、本発明の実施の形態6に係る照明ランプの主要部の構成を示す断面模式図である。以下、実施の形態6が図6に示した実施の形態5と異なる部分を中心に説明する。
実施の形態6における照明ランプ1eの発光ユニット10eは、銅箔42が形成された状態の基材41のLED設置側の表面に、LED30の発光天面を覆わないように略全反射の特性を有する反射部材12を更に配置した構成を有する。
【0062】
このように構成された実施の形態6は、実施の形態5と同様の効果が得られると共に、以下の効果が得られる。すなわち、光を吸収する構成要素(基材41、銅箔42、放熱部50dなど)の表面に反射部材12を施して光の利用率を向上させる(点線矢印)ことで、光の利用率の低下を改善でき、また、基材41の変色を抑制できる。
【0063】
なお、上記各実施の形態では、直管形LEDランプを例示して説明しているが、本発明は直管形LEDランプに限られたものではなく、ミニクリプトン形、ハロゲン形、HID形を含む電球形LEDランプにも適用可能である。
【0064】
また、上記各実施の形態では、発光部20の発光素子としてLEDを用いた構成を説明したが、発光部20の発光素子はLEDに限られたものではなく、レーザーダイオード、有機ELなどを用いてもよいし、光を発するものであれば、これら以外のものを用いてもよい。
【0065】
また、図2のフローチャートに記載していないが、照明ランプの仕様(発光ユニットの仕様)に応じて、実施の形態3、4、6に示す反射部材を配置(塗布)する場合には、反射部材を配置する工程をステップS4の後に追加すればよい。
【0066】
実施の形態7.
実施の形態7は照明装置に関するものである。
【0067】
図8は、本発明の実施の形態7に係る照明装置の構成を示す斜視図である。
照明装置100は、本体101と、本体101に取り付けられ、照明ランプを保持する一対のソケット102と、一対のソケット102に取り付けられる照明ランプとを備えている。照明ランプには、上記実施の形態1〜6の照明ランプ1、1a、1b、1c、1d、1eを適用することができる。
【0068】
なお、上記実施の形態1〜7では、プリント基板がFPCであるとして説明したが、上述したようにプリント基板はFPCに限らず、リジッド基板でもよい。つまり、上記実施の形態1〜7で説明した技術を採用することにより、プリント基板がFPC及びリジッド基板のどちらであっても、直管形LEDランプの長尺化に伴う、反り、変形、接着後のめくれ、皺等の改善を図ることができる。
【符号の説明】
【0069】
1 照明ランプ、1a 照明ランプ、1b 照明ランプ、1c 照明ランプ、1d 照明ランプ、1e 照明ランプ、10 発光ユニット、10a 発光ユニット、10b 発光ユニット、10c 発光ユニット、10d 発光ユニット、10e 発光ユニット、11 接合部、11a 接合部、12 反射部材、12c 反射部材、20 発光部、20a 発光部、30 LED 40 FPC、40a FPC、41 基材、41a 基材、42 銅箔、50 放熱部、50a 放熱部、50d 放熱部、60 外管、60A 端部、60B 端部、60a 外管、60d 外管、70 アース口金、71 口金筐体、72 アース端子、73 嵌合部、80 給電口金、81 口金筐体、82 給電端子、83 嵌合部、100 照明装置、101 本体、102 ソケット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8