【実施例】
【0047】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0048】
1.軟化食品用酵素剤の調製
キウイフルーツ濃度が水に対して50%(w/w)濃度となるように、ミキサーで破砕した液状のキウイフルーツ又は市販のダイスカットされた小片状のキウイフルーツ(南米チリ産、販売元:株式会社アスク社)に水を加え、ここにパパイヤ由来の酵素を含有するスベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)4〜10%(w/w)(酵素濃度として0.005〜0.0125%(w/w))を添加することで軟化食品用酵素剤溶液を調製した(実施例1〜6)。
【0049】
また、上記で調製した実施例2の軟化食品用酵素剤溶液(液状キウイフルーツ濃度50%(w/w)、パパイヤ由来の酵素剤濃度5%(w/w)(酵素濃度として0.00625%(w/w))を冷凍庫内(−20℃)に入れて冷凍処理することで冷凍処理軟化食品用酵素剤を調製した(実施例7)。
【0050】
さらに、キウイフルーツ濃度が水に対して50%(w/w)濃度となるように、ミキサーで破砕した液状のキウイフルーツに水を加え、冷凍庫内(−20℃)に入れて冷凍処理した後、使用する直前に冷蔵庫内(2〜6℃)又は計量した水の中に投入することで解凍したキウイフルーツ溶液にパパイヤ由来の酵素を含有するスベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)5%(w/w)(酵素濃度として0.00625%(w/w))を添加することで冷凍処理キウイフルーツを用いた軟化食品用酵素剤溶液を調製した(実施例8)。
【0051】
なお、比較例として、パパイヤ由来の酵素を含有するスベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)4〜10%(w/w)(酵素濃度として0.005〜0.0125%(w/w))のみを含有する酵素剤溶液(比較例1−1〜1−6)及び液状又は小片状のキウイフルーツのみを含有するキウイフルーツ溶液(比較例2−1〜2−2)を調製した。
【0052】
また、キウイフルーツの代わりにオレンジ、パイナップル又はパパイヤを用い、これら果実の濃度が水に対して50%(w/w)濃度となるようにミキサーで破砕した液状の各種果実に水を加え、これらにパパイヤ由来の酵素を含有するスベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)4%(w/w)(酵素濃度として0.005%(w/w))をそれぞれ添加したものを比較例3〜5とした。
【0053】
【表1】
【0054】
2.軟化食品の製造
(1)鶏肉のオーブン焼き
鶏肉40gを密封袋に入れ、ここに上記1.で調製した実施例3の軟化食品用酵素剤溶液(液状キウイフルーツ濃度50%(w/w)、パパイヤ由来の酵素剤濃度8%(w/w)(酵素濃度として0.01%(w/w))20mLを加え、密封袋の口を閉じて鶏肉が該軟化食品用酵素剤溶液に完全に浸かるようにした。これを冷蔵庫内(2〜6℃)で14時間保持した後、該軟化食品用酵素剤溶液から鶏肉を取り出して軽く水洗いを行ない、クッキングペーパーの上にのせて液切りをした。
【0055】
前記酵素処理した鶏肉をオーブン内に入れた後、オーブン内の温度を室温から170℃まで昇温させ、170℃で約2分間保持することで鶏肉を加熱処理した。なお、オーブンが170℃に達する時間は約16分間であった。また、このように加熱処理された鶏肉を所望の風味となるように味付けを行った(製造例1)。
【0056】
なお、キウイフルーツを含まないパパイヤ由来の酵素剤溶液(比較例1−4)を用いた場合を比較製造例1−1、液状のキウイフルーツで調製したパパイヤ由来の酵素剤を含まないキウイフルーツ溶液(比較例2−1)を用いた場合を比較製造例1−2とした。また、キウイフルーツの代わりにオレンジ、パイナップル又はパパイヤで調製したものを用いた場合(比較例3〜5)を比較製造例1−3〜1−5とした。
【0057】
サンプルの硬さは、市販の楊枝(株式会社大創産業社製:直径2.2mm、長さ65mm)による切断試験によって評価した。すなわち、楊枝による切断試験の評価は、サンプルを切断する際に、楊枝が折れることなく切断することができた場合を可(○)、切断できずに楊枝が折れてしまった場合を不可(×)とした。
【0058】
また、官能評価員20名(男性7名、女性13名、年齢32〜69才による官能試験も実施した。なお、官能評価員による官能試験の評価は、サンプルが「口に入れただけで溶ける」場合を5点、「舌で容易に潰せる」場合を4点、「舌で潰すことができる」場合を3点、「舌で潰すことが困難」な場合を2点、「舌で潰すことができない」場合を1点とし、その平均値をやわらか度として示した。
【0059】
さらに、サンプルの苦みについて、上記の官能評価員がサンプルを食べることで酵素処理で用いた酵素剤特有の苦みを4段階(4:苦みを強く感じる、3:苦みを感じる、2:苦みをわずかに感じる、1:苦みを感じない)で評価し、その平均値を苦み度として示した。
【0060】
サンプルの外観は、目視によって観察した。
【0061】
【表2】
【0062】
表2に示したように、鶏肉をキウイフルーツとパパイヤ由来の酵素剤とを組み合わせた軟化食品用酵素剤溶液を用いて処理した後に加熱処理することで調製したサンプル(製造例1)は、楊枝で簡単に切断できたのに対し、すべての比較製造例(比較製造例1−1〜1−5)では楊枝が折れてしまい、サンプルを切断することができなかった。また、製造例1のサンプルは、やわらか度が3.55であり、比較製造例1−1〜1−5の場合の2.15〜2.45と比べて高い値を示し、咀嚼が困難な高齢者などでも容易に食べることのできるやわらかさとなっていた。
【0063】
また、製造例1のサンプルの外観について、該サンプルは咀嚼が困難な高齢者などでも容易に食べることのできる程のやわらかさであるにもかかわらず、食品の形状はしっかりと維持されており、食品の型崩れや食品表面の溶解による滑りは認められなかった。
【0064】
さらに、パパイヤ由来の酵素剤による苦みについて、製造例1のサンプルは、苦み度が1.35であり、キウイフルーツを含まない場合(比較製造例1−1)の2.8と比べて低い値を示し、キウイフルーツを組み合わせることによってサンプルの苦みを除去することができた。
【0065】
このように、キウイフルーツと酵素剤とを組み合わせることによって酵素剤特有の苦みが除去できるとともに、キウイフルーツと酵素剤とを組み合わせたことによってそれら単独の場合と比べて食品素材をより軟らかくすることができた。また、キウイフルーツ以外の果実と酵素剤とを組み合わせたとしても、キウイフルーツで得られた食品素材の軟化作用及び苦み抑制作用は認められなかった。
【0066】
(2)豚肉のオーブン焼き
豚肉(27〜30g/枚)5枚を密封袋に入れ、ここに上記1.で調製した実施例1の軟化食品用酵素剤溶液(液状キウイフルーツ濃度50%(w/w)、パパイヤ由来の酵素剤濃度4%(w/w)(酵素濃度として0.005%(w/w))20mLを加え、密封袋の口を閉じて豚肉が該軟化食品用酵素剤溶液に完全に浸かるようにした。これを冷蔵庫内(2〜6℃)で15時間保持した後、該軟化食品用酵素剤溶液から豚肉を取り出して液切りをした。
【0067】
前記酵素処理した豚肉をオーブン内の温度が150℃に達した時点でオーブン内に入れた後、オーブン内の温度を150℃から170℃に昇温させ、170℃で約5〜10分間保持することで豚肉を加熱処理した。なお、オーブンが150℃〜170℃に達する時間は約2分間であった。また、このように加熱処理された豚肉を所望の風味となるように味付けを行った(製造例2)。
【0068】
なお、キウイフルーツを含まないパパイヤ由来の酵素剤溶液(比較例1−1)を用いた場合を比較製造例2−1、液状のキウイフルーツで調製したパパイヤ由来の酵素剤を含まないキウイフルーツ溶液(比較例2−1)を用いた場合を比較製造例2−2とした。
【0069】
サンプルの硬さ、苦み及び外観について、上記2.(1)と同様の方法で評価を行った。
【0070】
【表3】
【0071】
表3に示したように、豚肉をキウイフルーツとパパイヤ由来の酵素剤とを組み合わせた軟化食品用酵素剤溶液を用いて処理した後に加熱処理することで調製したサンプル(製造例2)は、やわらか度が4.75であり、比較製造例2−1〜2−2の場合の2.7〜3.5と比べて高い値を示し、咀嚼が困難な高齢者などでも容易に食べることのできるやわらかさとなっていた。
【0072】
また、製造例2のサンプルの外観について、該サンプルは咀嚼が困難な高齢者などでも容易に食べることのできる程のやわらかさであるにもかかわらず、食品の形状はしっかりと維持されており、食品の型崩れや食品表面の溶解による滑りは認められなかった。
【0073】
さらに、パパイヤ由来の酵素剤による苦みについて、製造例2のサンプルは、苦み度が1.05であり、キウイフルーツを含まない場合(比較製造例2−1)の1.7と比べて低い値を示し、キウイフルーツを組み合わせることによってサンプルの苦みを除去することができた。一方、キウイフルーツ単独の場合(比較製造例2−2)、キウイフルーツと豚肉との相互関係からキウイフルーツ由来の苦みが際立ち、苦み度が2.65と高い値を示した。
【0074】
このように、キウイフルーツと酵素剤とを組み合わせることによって酵素剤特有の苦みが除去できるとともに、キウイフルーツと酵素剤とを組み合わせたことによってそれら単独の場合と比べて食品素材をより軟らかくすることができた。
【0075】
(3)魚の煮物1
鰆の切り身(60g/枚)を密封袋に入れ、ここに上記1.で調製した実施例2の軟化食品用酵素剤溶液(液状キウイフルーツ濃度50%(w/w)、パパイヤ由来の酵素剤濃度5%(w/w)(酵素濃度として0.00625%(w/w))50mLを加え、密封袋の口を閉じて鰆の切り身が該軟化食品用酵素剤溶液に完全に浸かるようにした。これを冷蔵庫内(2〜6℃)で14時間保持した後、鰆の切り身を該軟化食品用酵素剤溶液から取り出して液切りをした。
【0076】
前記酵素処理した鰆の切り身(60g/枚)をあらかじめ用意した煮汁200mL(温度30℃)に入れ、弱火で12分間、中火で6分間(計18分間)煮た後、火を止めてから約1分間保持することで鰆の切り身を熱水加熱処理した(製造例3)。
【0077】
【表4】
【0078】
なお、キウイフルーツを含まないパパイヤ由来の酵素剤溶液(比較例1−2)を用いた場合を比較製造例3−1、液状のキウイフルーツで調製したパパイヤ由来の酵素剤を含まないキウイフルーツ溶液(比較例2−1)を用いた場合を比較製造例3−2とした。
【0079】
サンプルの硬さ、苦み及び外観について、上記2.(1)と同様の方法で評価を行った。
【0080】
【表5】
【0081】
表5に示したように、鰆の切り身(60g/枚)をキウイフルーツとパパイヤ由来の酵素剤とを組み合わせた軟化食品用酵素剤溶液を用いて処理した後に加熱処理することで調製したサンプル(製造例3)は、やわらか度が3.65であり、比較製造例3−1〜3−2の場合の2.3〜3.3と比べて高い値を示し、咀嚼が困難な高齢者などでも容易に食べることのできるやわらかさとなっていた。
【0082】
また、製造例3のサンプルの外観について、これらサンプルは咀嚼が困難な高齢者などでも容易に食べることのできる程のやわらかさであるにもかかわらず、食品の形状はしっかりと維持されており、食品の型崩れや食品表面の溶解による滑りは認められなかった。
【0083】
さらに、パパイヤ由来の酵素剤による苦みについて、製造例3のサンプルは、苦み度が1.05であり、キウイフルーツを含まない場合(比較製造例3−1)の1.3と比べて低い値を示し、キウイフルーツを組み合わせることによってサンプルの苦みを除去することができた。
【0084】
このように、キウイフルーツと酵素剤とを組み合わせることによって酵素剤特有の苦みが除去できるとともに、キウイフルーツと酵素剤とを組み合わせたことによってそれら単独の場合と比べて食品素材をより軟らかくすることができた。
【0085】
(4)魚の煮物2
各種魚(鰤、鯵、鯖又は鰆)の切り身(60g/枚)を密封袋に入れ、ここに上記1.で調製した実施例4、5又は6の軟化食品用酵素剤溶液(小片状キウイフルーツ濃度50%(w/w)、パパイヤ由来の酵素剤濃度7〜10%(w/w)(酵素濃度として0.00875〜0.0125%(w/w))30mLを加え、密封袋の口を閉じて各種魚の切り身が該軟化食品用酵素剤溶液に完全に浸かるようにした。これを冷蔵庫内(2〜6℃)で15時間保持した後、各種魚の切り身を該軟化食品用酵素剤溶液から取り出して軽く水洗いを行ない、クッキングペーパーの上にのせて液切りをし、冷凍処理を行った。
【0086】
前記酵素処理した各種冷凍の魚(鰤、鯵、鯖又は鰆)の切り身(60g/枚)を冷蔵庫内(2〜6℃)で解凍した後、あらかじめ用意した煮汁200mL(温度約30℃)に入れて、煮立たせないように約10分間煮た後、火を止めて蓋をして約10分間保持することで熱水加熱処理した(製造例4〜7)。
【0087】
【表6】
【0088】
なお、キウイフルーツを含まないパパイヤ由来の酵素剤溶液(比較例1−3、1−5又は1−6)を用いた場合を比較製造例4−1〜7−1、小片状のキウイフルーツで調製したパパイヤ由来の酵素剤を含まないキウイフルーツ溶液(比較例2−2)を用いた場合を比較製造例4−2〜7−2とした。
【0089】
サンプルの硬さ、苦み及び外観について、上記2.(1)と同様の方法で評価を行った。
【0090】
【表7】
【0091】
表7に示したように、各種魚の切り身をキウイフルーツとパパイヤ由来の酵素剤とを組み合わせた軟化食品用酵素剤溶液を用いて処理した後に加熱処理することで調製したサンプル(製造例4〜7)は、やわらか度が4.15〜4.8であり、比較製造例4−1〜7−2の場合の2.7〜3.6と比べて高い値を示し、咀嚼が困難な高齢者などでも容易に食べることのできるやわらかさとなっていた。
【0092】
また、製造例4〜7のサンプルの外観について、これらサンプルは咀嚼が困難な高齢者などでも容易に食べることのできる程のやわらかさであるにもかかわらず、食品の形状はしっかりと維持されており、食品の型崩れや食品表面の溶解による滑りは認められなかった。
【0093】
さらに、パパイヤ由来の酵素剤による苦みについて、製造例4〜7のサンプルは、苦み度が1.0〜1.05であり、キウイフルーツを含まない場合(比較製造例4−1〜7−1)の1.4〜1.5と比べて低い値を示し、キウイフルーツを組み合わせることによってサンプルの苦みを除去することができた。
【0094】
このように、キウイフルーツと酵素剤とを組み合わせることによって酵素剤特有の苦みが除去できるとともに、キウイフルーツと酵素剤とを組み合わせたことによってそれら単独の場合と比べて食品素材をより軟らかくすることができた。
【0095】
(5)魚のコンベクションを用いた蒸気熱風焼き
各種魚(鰤、鯵、鯖又は鰆)の切り身60g/枚を密閉袋に入れ、ここに上記1.で調製した実施例4、5又は6の軟化食品用酵素剤溶液(小片状キウイフルーツ濃度50%(w/w)、パパイヤ由来の酵素剤濃度7〜10%(w/w)(酵素濃度として0.00875〜0.0125%(w/w))30mLを加え、密閉袋の口を閉じて各種魚の切り身が該軟化食品用酵素剤溶液に完全に浸かるようにした。これを冷蔵庫内(2〜6℃)で15時間保持した後、各種魚の切り身を該軟化食品用酵素剤溶液から取り出して軽く水洗いを行ない、クッキングペーパーの上にのせて液切りをし、冷凍処理を行った。
【0096】
前記酵素処理した各種冷凍の魚(鰤、鯵、鯖又は鰆)の切り身60g/枚を冷蔵庫内(2〜6℃)解凍した後、各種魚の切り身をコンベクション(SSC−10SC、株式会社マルゼン社製)に入れてコンビ焼きによる加熱処理を行った。なお、コンビ焼きとは、コンベクションの庫内に「熱風」と「蒸気」を同時に送り込み、ファンで循環させて加熱することをいう。また、コンベクションを用いたコンビ焼きにおける設定温度は中心温度78℃、焼き温度160℃とし、中心温度が78℃に達した後に約2〜3分保持することで各種魚の切り身を加熱処理した。また、出来上がり時点での中心温度は86℃であった。また、このように調理された各種魚の切り身を所望の風味となるようにそれぞれ味付けを行った(製造例8〜11)。
【0097】
【表8】
【0098】
なお、キウイフルーツを含まないパパイヤ由来の酵素剤溶液(比較例1−3、1−5又は1−6)を用いた場合を比較製造例8−1〜11−1、小片状のキウイフルーツで調製したパパイヤ由来の酵素剤を含まないキウイフルーツ溶液(比較例2−2)を用いた場合を比較製造例8−2〜11−2とした。
【0099】
サンプルの硬さ、苦み及び外観について、上記2.(1)と同様の方法で評価を行った。
【0100】
【表9】
【0101】
表9に示したように、各種魚の切り身をキウイフルーツとパパイヤ由来の酵素剤とを組み合わせた軟化食品用酵素剤溶液を用いて処理した後に加熱処理することで調製したサンプル(製造例8〜11)は、やわらか度が3.6〜4.15であり、すべての比較製造例(比較製造例8−1〜11−2)の場合の2.3〜3.55と比べて高い値を示し、咀嚼が困難な高齢者などでも容易に食べることのできるやわらかさとなっていた。
【0102】
また、製造例8〜11のサンプルの外観について、例えば、
図1で示した鰤の蒸気熱風焼き(製造例8)のように、これらサンプルは咀嚼が困難な高齢者などでも容易に食べることのできる程のやわらかさであるにもかかわらず、食品の形状はしっかりと維持されており、食品の型崩れや食品表面の溶解による滑りは認められなかった。
【0103】
さらに、パパイヤ由来の酵素剤による苦みについて、製造例8〜11のサンプルは、苦み度が1.0〜1.15であり、キウイフルーツを含まない場合(比較製造例8−1〜11−1の2.6〜2.9と比べて低い値を示し、キウイフルーツを組み合わせることによってサンプルの苦みを除去した。
【0104】
このように、キウイフルーツと酵素剤とを組み合わせることによって酵素剤特有の苦みを除去できるとともに、キウイフルーツと酵素剤とを組み合わせたことによってそれら単独の場合と比べて食品素材をより軟らかくすることができた。
【0105】
3.冷凍処理した軟化食品用酵素剤を用いた製造
各種食品素材(鶏肉又は鯖)60gを密閉袋に入れ、ここに上記1.で調製した実施例2(非冷凍)、実施例7(冷凍)又は実施例8(冷凍果実使用)の軟化食品用酵素剤溶液(液状キウイフルーツ濃度50%(w/w)、パパイヤ由来の酵素剤濃度5%(w/w)(酵素濃度として0.00625%(w/w))30mLを加え、密閉袋の口を閉じて各種食品素材が該軟化食品用酵素剤溶液に完全に浸かるようにした。これを冷蔵庫内(2〜6℃)で15時間保持した後、該軟化食品用酵素剤溶液から各種食品素材を取り出して軽く水洗いを行ない、クッキングペーパーの上にのせて液切りをした。
【0106】
前記酵素処理した各種食品素材をオーブン内に入れ、オーブン内の温度を室温から160℃まで昇温させた後、160℃で約5分間保持することで各種食品素材を加熱処理した。なお、オーブンが160℃に達する時間は約15分間であった。また、このように調理された各種食品素材を所望の風味となるようにそれぞれ味付けを行った(製造例12〜17)。
【0107】
【表10】
【0108】
サンプルの硬さ、苦み及び外観について、上記2.(1)と同様の方法で評価を行った。
【0109】
【表11】
【0110】
表11に示したように、各種食品素材(鶏肉又は鯖)を実施例7の冷凍処理軟化食品用酵素剤(冷凍)を用いて酵素処理した後に加熱処理することで調製したサンプル(製造例13及び16)及び実施例8の冷凍処理したキウイフルーツを用いた軟化食品用酵素剤(冷凍果実使用)を用いて酵素処理した後に加熱処理することで調製したサンプル(製造例14及び17)は、ともに実施例2の軟化食品用酵素剤(非冷凍)を用いて調製した場合(製造例12及び15)と同様に楊枝で簡単に切断できた。また、冷凍処理軟化食品用酵素剤を用いた場合のサンプル(製造例13及び16)及び冷凍処理したキウイフルーツを用いた軟化食品用酵素剤(製造例14及び17)のサンプルは、やわらか度が3.25〜4.4であり、非冷凍の軟化食品用酵素剤を用いた場合(製造例12及び15)のサンプルとほぼ同様の値を示し、非冷凍の軟化食品用酵素剤を用いた場合との差異は認められなかった。
【0111】
また、冷凍処理軟化食品用酵素剤を用いた場合のサンプル(製造例13及び16)及び冷凍処理したキウイフルーツを用いた軟化食品用酵素剤(製造例14及び17)のサンプルの外観について、非冷凍の軟化食品用酵素剤を用いた場合(製造例12及び15)のサンプルとの差異は認められなかった。
【0112】
さらに、パパイヤ由来の酵素剤による苦みについて、冷凍処理軟化食品用酵素剤を用いた場合のサンプル(製造例13及び16)及び冷凍処理したキウイフルーツを用いた軟化食品用酵素剤を用いた場合(製造例14及び17)のサンプルは、苦み度が1.05〜1.35であり、非冷凍の軟化食品用酵素剤を用いた場合(製造例12及び15)のサンプルとほぼ同様の値を示し、非冷凍の軟化食品用酵素剤を用いた場合との差異は認められなかった。
【0113】
このように、本発明のキウイフルーツと酵素剤とを組み合わせた軟化食品用酵素剤溶液を冷凍処理しても本発明の効果が得られることが分かった。また、冷凍処理されたキウイフルーツを用いて本発明の軟化食品用酵素剤溶液を調製しても本発明の効果が得られることが分かった。