特許第6332936号(P6332936)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6332936接着剤吐出システム及び同システムを動作させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6332936
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】接着剤吐出システム及び同システムを動作させる方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/10 20060101AFI20180521BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20180521BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20180521BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20180521BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   B05C11/10
   B05C5/00 101
   B05D1/26 Z
   B05D7/24 301P
   G05B23/02 V
【請求項の数】37
【外国語出願】
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-215277(P2013-215277)
(22)【出願日】2013年10月16日
(65)【公開番号】特開2014-83540(P2014-83540A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2016年10月6日
(31)【優先権主張番号】61/718,300
(32)【優先日】2012年10月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/799,694
(32)【優先日】2013年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391019120
【氏名又は名称】ノードソン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ アール.ビール
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ダヴリュ. エステル
(72)【発明者】
【氏名】ハワード ビー.エヴァンス ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】スコット ビー.ミーンズ
(72)【発明者】
【氏名】レイモンド ジェー.スラッタリイ ザ サード
【審査官】 赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−501324(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0124255(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0084773(US,A1)
【文献】 特開2008−062207(JP,A)
【文献】 特開2001−170540(JP,A)
【文献】 特開2004−198308(JP,A)
【文献】 特開2012−059044(JP,A)
【文献】 特開2008−305419(JP,A)
【文献】 特開2002−297710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 1/00− 21/00
B05D 1/00− 7/26
G05B 23/00− 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤吐出システムであって、ディスペンサーガンとホットメルトユニットとモニタリング装置とガン作動源とを備え、
前記ディスペンサーガンは、接着剤を基材上に吐出するように構成され、
前記ホットメルトユニットは、接着剤を加熱するとともに接着剤を前記ディスペンサーガンまで圧送するように構成され、該ホットメルトユニットの動作を制御するメルター制御システムを含み、
前記モニタリング装置は、前記ホットメルトユニット内に配置されて、前記メルター制御システムに含まれており、
前記ガン作動源は、前記モニタリング装置から分離して配置されており、さらに前記ガン作動源は、前記ディスペンサーガンを作動させるようにガン作動信号を送信するように構成され、前記ガン作動信号は、前記メルター制御システムが前記ガン作動信号をモニタリングし、かつ前記モニタリングされたガン作動信号に基づいて前記ディスペンサーガンの作動に関する情報を収集するように、前記モニタリング装置へ、次いで前記モニタリング装置から前記ディスペンサーガンへ送信される、接着剤吐出システム。
【請求項2】
前記メルター制御システムは、前記モニタリングされたガン作動信号に基づいて複数の診断プロセスを実施するように、またそれによって、前記ディスペンサーガンの動作及び該吐出システム全体の動作をモニタリングするように構成される、請求項1に記載の接着剤吐出システム。
【請求項3】
前記複数の診断プロセスは、以下の手順、すなわち、
前記ディスペンサーガンの構成要素のライフサイクルをモニタリングすること、
前記ディスペンサーガンを作動させずにスタンバイ状態を長期間有効化すること、
前記ディスペンサーガンにおいて、ライン速度に基づいて前記ホットメルトユニットによって送達される流体圧力を調整すること、
エラー状態を識別するように前記ホットメルトユニットの作動パラメーターと前記ディスペンサーガンの作動パラメーターとを比較すること、又は、
前記ディスペンサーガンにおけるポンプウインクを回避するように前記ホットメルトユニット内でピストンポンプの逆転をシフトすることのうちの1つ又は複数を含む、請求項2に記載の接着剤吐出システム。
【請求項4】
ホースとケーブルを更に備え、
前記ホースは、前記ホットメルトユニット及び前記ディスペンサーガンに接続されて、接着剤を前記ホットメルトユニットから前記ディスペンサーガンへ送達し、
前記ケーブルは、前記ホットメルトユニット及び前記ディスペンサーガンに接続されて、前記ガン作動信号を前記ホットメルトユニットから前記ディスペンサーガンへ送達し、
さらに前記ケーブルは、前記ディスペンサーガン及び他の構成要素へのワイヤー接続部によって規定されるガンエンベロープのサイズが最小限に抑えられるように、前記ホースと並んで位置決めされるか又は前記ホースに連結される、請求項1に記載の接着剤吐出システム。
【請求項5】
前記ケーブルは前記ホース内に位置決めされる、請求項4に記載の接着剤吐出システム。
【請求項6】
前記ガン作動源は、前記ホットメルトユニット内に位置決めされる、請求項1に記載の接着剤吐出システム。
【請求項7】
前記ガン作動源は、前記ホットメルトユニット外に位置決めされる、請求項1に記載の接着剤吐出システム。
【請求項8】
前記ホットメルトユニット内に配置される端子板を含む接続装置を更に備え、前記ガン作動源は前記端子板に接続され、該端子板は、前記ガン作動信号が前記ホットメルトユニット内で終端されるように前記ディスペンサーガンに接続され、前記メルター制御システムは前記端子板において前記ガン作動信号をモニタリングする、請求項1に記載の接着剤吐出システム。
【請求項9】
前記メルター制御システムは、ガン作動信号が前記端子板を通って前記ディスペンサーガンに渡されるか否かを判断することによって、前記ガン作動信号を選択的に制御するように動作する、請求項8に記載の接着剤吐出システム。
【請求項10】
前記メルター制御システムは、前記ディスペンサーガンを作動すべきではないエラー状態を回避するように前記ガン作動信号を選択的に制御する、請求項9に記載の接着剤吐出システム。
【請求項11】
前記端子板及び前記ディスペンサーガンに接続されるインライン信号制御装置を更に備え、前記インライン信号制御装置は、前記端子板を通って渡された前記ガン作動信号を制御又は変更するように構成される、請求項8に記載の接着剤吐出システム。
【請求項12】
該接着剤吐出システムは、
加熱された接着剤を前記ホットメルトユニットから前記ディスペンサーガンへ圧送することと、
ガン作動信号を前記ガン作動源から前記メルター制御システムへ、次いで前記ディスペンサーガンへ送信することであって、前記ディスペンサーガンに接着剤を基材上に吐出させることと、
前記メルター制御システムにおいて前記ガン作動信号をモニタリングすることと、
前記モニタリングされたガン作動信号に基づいて前記ディスペンサーガンの作動に関する情報を収集することとを含む方法を実行するように構成される、請求項1に記載の接着剤吐出システム。
【請求項13】
該接着剤吐出システムは、
接着剤を吐出することと、
該接着剤吐出システムの構成要素の前記動作を感知することと、
前記感知することに応じて前記構成要素が点検修理を必要とするか否かを判断することと、
前記構成要素が点検修理を必要とすると判断されると、点検修理の必要性を示すことと
を含む方法を実行するように構成される、請求項1に記載の接着剤吐出システム。
【請求項14】
ディスペンサーガンとメルター制御システムを有するホットメルトユニットと、ガン作動源とを備える接着剤吐出システムを動作させる方法であって、前記メルター制御システムは、前記ガン作動源とは分離して前記ホットメルトユニット内に配置されるモニタリング装置を有し
加熱された接着剤を前記ホットメルトユニットから前記ディスペンサーガンへ圧送することと、
ガン作動信号を前記ガン作動源から前記メルター制御システムの前記モニタリング装置へ、次いで前記モニタリング装置から前記ディスペンサーガンへ送信して、前記ディスペンサーガンに接着剤を基材上に吐出させることと、
前記メルター制御システムにおいて前記ガン作動信号をモニタリングすることと、
前記モニタリングされたガン作動信号に基づいて前記ディスペンサーガンの作動に関する情報を収集することとを含む方法。
【請求項15】
前記モニタリングされたガン作動信号に基づいて、前記ディスペンサーガン及び前記吐出システム全体に関する1つ又は複数の診断プロセスを実行することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記診断プロセスのうちの1つを実行することは、
前記ディスペンサーガンの構成要素に関する全作動回数をモニタリングすることと、
前記構成要素のうちの1つが予測全ライフサイクルの所定の割合に達すると、該構成要素は修理又は交換を必要とするという表示を提供することとを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記診断プロセスのうちの1つを実行することは、
前記ホットメルトユニットの動作パラメーターを前記ディスペンサーガンの動作パラメーターと比較することと、
前記パラメーターの比較に基づいてエラー状態又は潜在的な故障状態を識別することと
を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記診断プロセスのうちの1つを実行することは、
前記ディスペンサーガンの直近の作動から経過した時間の長さを検出することと、
前記直近の作動から経過した前記時間の長さが所定の閾値を超える場合に、前記接着剤が冷却されるスタンバイ状態を自動的に作動させることとを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記診断プロセスのうちの1つを実行することは、
前記ディスペンサーガンのソレノイドによって引き出される電流をモニタリングすることと、
前記ソレノイドによって引き出される前記電流を、前記ソレノイドにおいて存在すべきである既知の電流波形と比較することであって、前記ソレノイドの障害又は障害の前兆を検出することとを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記診断プロセスのうちの1つを実行することは、
前記ディスペンサーガンの作動サイクルをモニタリングすることと、
前記ディスペンサーガンが機能していないときに逆転及び任意の連動する減少した接着剤流が生じるように、前記ホットメルトユニットのピストンポンプの逆転をシフトすることとを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記加熱された接着剤は、前記ホットメルトユニット及び前記ディスペンサーガンに接続されたホースを通って圧送され、前記ガン作動信号を送信することは、前記ガン作動信号を前記ホットメルトユニットから、前記ホースに接続されたケーブルを通じて前記ディスペンサーガンへ送信することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記ガン作動信号を送信することは、前記ガン作動信号を前記ホットメルトユニットから、前記ホース内に配置される前記ケーブルを通じて前記ディスペンサーガンへ送信することを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ホットメルトユニット内の端子板を含む接続装置において前記ガン作動信号を終端すること更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
前記ガン作動信号が前記端子板を通って前記ディスペンサーガンに渡されるか否かを判断することによって、前記ガン作動信号を選択的に制御することを更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記端子板及び前記ディスペンサーガンに接続されたインライン信号制御装置によって更に前記ガン作動信号を制御することを更に含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ディスペンサーガンと、メルター制御システムを有するホットメルトユニットと、ガン作動源とを備える接着剤吐出システムを動作させる方法であって、前記メルター制御システムは、前記ガン作動源とは分離して前記ホットメルトユニット内に配置されるモニタリング装置を有し
ガン作動信号を前記ガン作動源から前記メルター制御システムの前記モニタリング装置へ、次いで前記モニタリング装置から前記ディスペンサーガンへ送信して、前記ディスペンサーガンから接着剤を吐出させることと、
前記接着剤吐出システムの構成要素の前記動作を感知することと、
前記感知することに応じて、前記構成要素が点検修理を必要とするか否かを判断することと、
前記構成要素が点検修理を必要とすると判断されると、点検修理の必要性を示すこととを含む方法。
【請求項27】
前記構成要素が点検修理を必要とするか否かを判断することは、
前記構成要素の前記感知された動作と関連付けられるデータを蓄積及び記憶することと、
前記蓄積及び記憶されたデータを前記構成要素の寿命に関連付けられる基準データと比較することとを更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
点検修理の必要性を示すことは、
a)制御ユニット上で視覚表示を作動させること、
b)点検修理作業員へ通信を送信すること、及び
c)新しい構成要素を販売業者から注文すること、
のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記接着剤吐出システムは、接着剤吐出ガンと、ホースと、ポンプとを備え、前記構成要素の前記動作を感知することは、
a)前記接着剤吐出ガンの作動を感知すること、
b)前記ホースの加熱を感知すること、及び
c)前記ポンプの動作を感知すること、
のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
構成要素の寿命に影響を与える特徴を考慮するように前記基準データを調整することを更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記構成要素の寿命に影響を与える特徴は、
a)吐出される前記接着剤、
b)前記接着剤の塗布温度、
c)前記接着剤の粘度、及び
d)前記接着剤の耐摩耗性、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記構成要素の前記動作を感知することは、
吐出モジュールによって実行される動作のサイクル総数を求めることを更に含み、
前記構成要素が点検修理を必要とするか否かを判断することは、
前記吐出モジュールの使用率を求めることと、
前記吐出モジュールの動作の前記サイクル総数を、予測サイクル寿命を示す基準データ
と比較することと、
前記比較及び前記吐出モジュールの前記使用率に基づいて、前記吐出モジュールの予測残存寿命を求めることとを更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記予測残存寿命が所定の設定点よりも短い場合、新しい吐出モジュールを自動的に注文することを更に含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記吐出モジュールを交換することによる前記接着剤吐出システムの点検修理のダウンタイムをスケジューリングすることを更に含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記接着剤吐出システムの他の構成要素が交換を必要としているかを判断することと、 前記ダウンタイム中に前記他の構成要素の点検修理を調整することとを更に含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
構成要素の寿命に影響を与える特徴を考慮するように前記基準データを調整することを更に含む、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記構成要素の寿命に影響を与える特徴は、
a)吐出される前記接着剤、
b)前記接着剤の塗布温度、
c)前記接着剤の粘度、及び
d)前記接着剤の耐摩耗性、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項36に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には接着剤吐出システムに関し、より詳細には、接着剤吐出システムの動作を制御及びモニタリングするように構成されるそのシステムの構成要素に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、2012年10月25日に出願された(係属中の)米国仮特許出願第61/718,300号の利益を主張するものであり、この米国仮特許出願の開示はその全体が、引用することにより本明細書の一部をなす。
【背景技術】
【0003】
ホットメルト接着剤を塗布する従来の吐出システムは概して、接着材料の供給源と、接着材料を液化させて所望の塗布温度まで加熱するホットメルトユニットすなわちメルターと、加熱された接着剤を基材上に選択的に吐出する少なくとも1つのディスペンサーモジュールすなわちディスペンサーガンとを備える。さらに、従来の吐出システムは概して、吐出システムとのユーザーインターフェースを提供するように、1つ又は複数のコントローラー(例えば、プロセッサ及びメモリ)と、コントローラー(複数の場合もある)に電気的に接続される入力制御部とを備える。コントローラー(複数の場合もある)は、そのコントローラー(複数の場合もある)が吐出システムの動作の種々の状況(aspects)を制御するように、吐出システムの構成要素と通信する。例えば、コントローラー(複数の場合もある)は、ガンのソレノイド弁を作動させる作動信号と、ホットメルトユニットの設定を調整する信号と、接着剤供給源からホットメルトユニットへのより多くの接着材料の送達を促す信号とを提供することができる。
【0004】
1つの特定のタイプの従来の吐出システムでは、コントローラーのうちの1つは、例えばプログラマブルロジックコントローラーとすることができるガン作動源である。このガン作動源は、ガン作動源とディスペンサーガンとの間に延びるケーブルを用いてディスペンサーガンに直接接続される。同様に、ホットメルトユニットは、ホットメルトユニットにおける加熱及び溶融後に、溶融した接着剤をディスペンサーガンに供給するように構成される、(通常は加熱された)ホースを介して、ディスペンサーガンに直接接続される。ホットメルトユニットは、ホットメルトユニット内の部材をモニタリング及び制御するように動作可能であるメルター制御システムを備える。この従来の吐出システムのメルター制御システムは、ガン作動源と通信もしないし、ガン作動源を制御もしない。
【0005】
結果として、複数の部材(例えば、ケーブル及びホース)は、ディスペンサーガンから延びて、吐出システムの構成要素間の「見苦しい」接続部のセットと見なされる場合がある状況を生む。加えて、これらの複数の別個のケーブル及びホースは、ディスペンサーガンにとって必要なスペース、及び、ホース、ケーブル、又はディスペンサーガンに直接接続される他の構成要素まで延びる他のコネクターの全ての配線経路によって規定される「ガンエンベロープ(envelope:外被)」のサイズを事実上増大させる。特に、ディスペンサーガンが基材に対して移動するように取り付けられる用途では、このより大きなガンエンベロープによって、ケーブル(複数の場合もある)は、隣接している作業員又は機器によって偶然衝突されるか切断されるというより高いリスクに直面する。さらに、メルター制御システムは、ディスペンサーガンに提供される作動信号に対して事実上やみくもに動作する。これに関して、メルター制御システムは、ホットメルトユニットの構成要素の診断及びモニタリングを実行することができるが、メルター制御システムは、ディスペンサーガン内での構成要素の同様の診断及びモニタリングを可能にする信号を受信しない。ディスペンサーガンに対する作動信号のこの「可視性」の欠如は、単一のユーザーインターフェースにおいて吐出システム全体に関する関連の診断情報を提供することを困難にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらのような理由から、改善された吐出システム、及びより総合的な診断を可能にする方法が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの実施形態によれば、接着剤吐出システムが、接着剤を基材上に吐出するように構成されるディスペンサーガンを備える。接着剤吐出システムはまた、接着剤を加熱するとともに接着剤をディスペンサーガンまで圧送するように構成されるホットメルトユニットを備える。ホットメルトユニットはホットメルトユニットの動作を制御するメルター制御システムを含む。接着剤吐出システムはまた、ディスペンサーガンを作動させるようにガン作動信号を送信するように構成されるガン作動源を備える。ガン作動信号は、メルター制御システムがガン作動信号をモニタリングするように、メルター制御システムへ、次いでディスペンサーガンへ送信される。このために、接着剤吐出システムの構成要素ごとの制御信号が、単一のコントローラー、具体的にはメルター制御システムにおいて利用可能となる。
【0008】
1つの態様では、メルター制御システムは、モニタリングされたガン作動信号に基づいて複数の診断プロセスを実施するように構成される。これらの診断プロセスは、ディスペンサーガンのモニタリング及び吐出システムの動作のモニタリング全体を可能にする。複数の診断プロセスは、ディスペンサーガンの構成要素のライフサイクルをモニタリングすることと、ガン作動を伴わずにスタンバイ状態を長期間有効化することと、ガンにおいてライン速度に基づいてホットメルトユニットによって送達される流体圧力を調整することとを含む。複数の診断プロセスはまた、エラー状態を識別するようにホットメルトユニットの作動パラメーターとディスペンサーガンの作動パラメーターとを比較することと、ディスペンサーガンにおけるポンプウインク(wink)を回避するようにピストンポンプの逆転をシフトすることとを含む。更なる診断プロセスは、ホットメルトユニットの全ての構成要素に対する制御信号へのアクセスを有する結果として可能にすることもできる。
【0009】
吐出システムは、ホットメルトユニット及びディスペンサーガンに接続されるホースを備えることもできる。ホースは、加熱された接着剤をホットメルトユニットからディスペンサーガンへ送達する。吐出システムは、ホットメルトユニット及びディスペンサーガンに接続されるケーブルを備えることもでき、ケーブルはガン作動信号をディスペンサーガンへ送達する。ケーブルは、ディスペンサーガン及び他の構成要素へのワイヤー接続部によって規定されるガンエンベロープが最小限に抑えられるように、ホースと並んで位置決めされるか又はホースに連結される。このガンエンベロープの減少は、通常は混み合った、空間が非常に貴重である機械スペースにおいてシステムのサイズを減少させる。幾つかの実施形態では、ケーブルは、ホース内に位置決めされる。ガン作動源は、ホットメルトユニット内に又はホットメルトユニットの外部に位置決めすることができる。
【0010】
別の態様において、吐出システムは、ホットメルトユニット内に配置される端子板の形態の接続装置を更に備える。ガン作動源は端子板に接続され、端子板は、ガン作動信号がホットメルトユニット内で終端されるようにディスペンサーガンに接続される。メルター制御システムは端子板においてガン作動信号をモニタリングする。メルター制御システムは、ガン作動信号が端子板を通ってディスペンサーガンに渡されるか否かを判断することによって、ガン作動信号を選択的に制御するように動作することができる。例えば、(例えば、安全上の理由等から)ディスペンサーガンを作動させるべきではないエラー状態を回避することができる。吐出システムはまた、端子板に接続されるインライン信号制御装置を備えることができる。インライン信号制御装置は、端子板を通って渡されるガン作動信号を制御又は変更するように構成される。
【0011】
本発明による別の実施形態において、接着剤吐出システムを動作させる方法が、加熱された接着剤をホットメルトユニットからディスペンサーガンへ圧送することを含む。本方法はまた、ガン作動信号をガン作動源からホットメルトユニットのメルター制御システムへ、次いでディスペンサーガンへ送信することであって、ディスペンサーガンに接着剤を基材上に吐出させることを含む。ガン作動信号はメルター制御システムにおいてモニタリングされ、メルター制御システムは、モニタリングされたガン作動信号に基づいてディスペンサーガンの作動に関する情報を収集する。
【0012】
上記方法はまた、モニタリングされたガン作動信号に基づいて、ディスペンサーガン及び吐出システム全体に関する1つ又は複数の診断プロセスを実行することを含むことができる。1つの例では、診断プロセスが、ディスペンサーガンの構成要素に関する全作動回数をモニタリングすることと、構成要素のうちの1つが予測全ライフサイクルの所定の割合に達した後にその構成要素は修理又は交換を必要とするという表示を提供することとを含むことができる。別の例では、診断プロセスが、ホットメルトユニットの動作パラメーターをディスペンサーガンの動作パラメーターと比較することと、パラメーターの比較に基づいてエラー状態又は潜在的な障害状態を識別することとを含むことができる。他の診断プロセスは、スタンバイ状態のアクティブ化(activation:作動)と、ディスペンサーガンのソレノイドによって引き出される電流を、通常の動作中に生じる既知の電流波形と比較することとを含む。
【0013】
別の実施形態によれば、接着剤吐出システムを作動させる方法が、接着剤を吐出することと、接着剤吐出システムの構成要素の動作を感知することを含む。上記方法はまた、感知することに応じて、構成要素が点検修理を必要とするか否かを判断することを含む。構成要素が点検修理を必要とすると判断されると、点検修理の必要性が示される。構成要素が点検修理を必要とするか否かを判断することはまた、構成要素の感知された動作と関連付けられるデータを蓄積及び記憶することと、蓄積されたデータを構成要素の寿命に関連付けられる基準データと比較することとを含むことができる。この基準データは、吐出される接着剤、接着剤の塗布温度、接着剤の粘度、及び接着剤の耐摩耗性等の構成要素の寿命に影響を与える特徴を考慮するように調整することができる。
【0014】
点検修理の必要性を示すことは、制御ユニット上で視覚表示を作動させること、点検修理作業員へ通信を送信すること、及び/又は新しい構成要素を販売業者から注文することを含む種々の方法で実行することができる。1つの態様では、構成要素の動作を感知することは、接着剤吐出ガンの作動を感知すること、ホースの加熱を感知すること、及びポンプの動作を感知することのうちの少なくとも1つを含むことができる。別の態様では、構成要素の動作を感知することは、吐出モジュールによって実行される動作のサイクル総数を求めることを更に含む。これらの状況では、構成要素が点検修理を必要とするか否かを判断することは、吐出モジュールの使用率に基づいて、また予測ライフサイクルを示す基準データに対する動作サイクルの総数の比較に基づいて、吐出モジュールの予測残存寿命を求めることを更に含むことができる。予測残存寿命が所定の設定点よりも短い場合、新しい吐出モジュールを注文することができる。このことが起こると、接着剤吐出システムを点検修理するためのダウンタイムをスケジューリングすることができ、点検修理を必要とする、システムの他の構成要素は、そのダウンタイム中に点検修理されるようにスケジュールすることができる。したがって、本接着剤吐出システムは、故障が生じる前に自動的にモニタリング及び点検修理される。
【0015】
本発明のこれらの目的及び利点並びに他の目的及び利点は本明細書において、添付の図面と併せて以下の詳細な記載においてより容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の1つの実施形態による吐出システムの概略図である。
図2】比較目的のために従来の接続部が想像線で示されている、図1の吐出システムの平面図である。
図3】ガン作動信号をモニタリングすることから導出される統計を具体的に示す、図2の吐出システムとともに用いられるユーザーインターフェースの正面図である。
図4】吐出システムによって実行することができる幾つかの診断を具体的に示す、図3のユーザーインターフェースの正面図である。
図5図1の吐出システムとともに用いられるガン作動信号を終端及びモニタリングする方法を示すフローチャートである。
図6】ホットメルトユニット内のガン作動源を備える、本発明の代替的な実施形態による吐出システムの概略図である。
図7】ホットメルトユニット内に配置されるインライン信号制御装置を備える、本発明の別の代替的な実施形態による吐出システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書に援用されるとともに本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を示し、上記の本発明の概説及び以下に示す実施形態の詳細な説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0018】
図1及び図2を参照すると、本発明の1つの実施形態による吐出システム10が概略的に示されている。このために、例示的な実施形態の吐出システム10は具体的には、溶融状態のホットメルト接着剤を、パッケージ材料、不織布物品、及び組み立て中に接着を必要とする他のタイプの製品等の基材12に塗布するように構成される。このため、吐出システム10は、接着剤供給源(図示せず)から接着材料を受け取り、次いでその接着材料を所望の塗布温度まで加熱及び溶融するように構成されるホットメルトユニット14を備える。吐出システム10とともに用いることができるホットメルトユニット14の1つの例は、(「Mountable Device For Dispensing Heated Adhesive」と題する)Jeterの米国特許出願第13/659,291号に記載されているメルターであり、この特許出願公開は、本願の譲受人によって共同所有され、この特許出願公開の開示はその全体を本明細書に引用することにより本明細書の一部をなす。別の例では、吐出システム10の特定の構成要素及び動作は、「Adhesive Dispensing Device Having Optimized Reservoir and Capacitive Level Sensor」と題するClarkの同時係属中の米国特許出願(本出願人の参照番号:NOR−1496US)において更に詳細に記載されており、この米国特許出願の開示はその全体を本明細書に引用することにより本明細書の一部をなす。本発明の範囲から逸脱することなく他のタイプのホットメルトユニット14(床取付式メルター等)を用いることができることが理解されるであろう。さらに、これらのホットメルトユニット14は、以下で更に詳細に記載されるような付加的な部材を備えるように変更される。
【0019】
接着剤は、所望の塗布温度において溶融状態を規定し、加熱することができるホース16を通って、ディスペンサーモジュールとも称される少なくとも1つのディスペンサーガン18に供給される。十分に理解されるように、ディスペンサーガン18のそれぞれ(それらのディスペンサーガン18のうち1つのみが図に示されている)は、出口ノズル20と、出口ノズル20を通る流れを制御する弁(図示せず)と、開放位置と閉鎖位置との間で弁の動きを作動させるソレノイド(図示せず)とを含む。例えば、ディスペンサーガン18は、接触式ノズル、Universal(商標)CFノズル、又はSignature(商標)ノズルを含むことができ、これらのノズルのそれぞれは、Nordson Corporation社(オハイオ州ウェストレイク所在)から市販されている。ディスペンサーガン18は、弁を作動させてホットメルト接着剤22を図2に示されているような基材12上へ或るパターンで塗布する。以下で更に詳細に記載されるように、ディスペンサーガン18は、ホットメルトユニット14がディスペンサーガン18の動作をモニタリングして任意選択的に制御することができるように、ホットメルトユニット14に動作可能に連結される。有利には、この動作連結は、ホットメルトユニット14又はリモートコンピューターにおいて実行されるライフサイクルモニタリング等の一連のシステム診断を可能にする。これらの診断はさらに、吐出システム10の定期的なダウンタイム中に構成要素のメンテナンス又は交換に関して計画するのに十分な情報を提供し、それによって、最終消費者のために信頼性及びアップタイム全体を向上させる。換言すれば、これらの診断は、以下で記載されるように吐出システム10をよりロバストにし、これは結果として高い信頼性をもたらす。
【0020】
図1を特に参照すると、吐出システム10はまた、ソレノイドを作動させる、したがってディスペンサーガン18内の弁を作動させる信号を供給するように構成されるガン作動源26を備える。ガン作動源26は、プログラマブルロジックコントローラー、プログラマブルリミットスイッチ、外部のパターン制御部、又は別のユニットに組み込まれているパターン制御部を含め、種々の形態をとることができる。ガン作動源26は、例示的な実施形態では、ホットメルトユニット14の外側に配置されている。通常、このガン作動源26は、電気信号をソレノイドに搬送するように構成される電気ケーブルを介してディスペンサーガン18に直接連結される。対照的に、吐出システム10の例示的な実施形態は、このガン作動源26をホットメルトユニット14に接続する。より具体的には、ホットメルトユニット14は、プロセッサ29とプロセッサ29に接続されているモニタリング装置30とを有するメルター制御システム28を備える。モニタリング装置30も、プロセッサ29と通信するセンサー又はプロセッサ29へのデータ入力部を含め、複数の形態をとることができる。モニタリング装置30を規定する構造体にかかわらず、メルター制御システム28は、ガン作動源26からガン作動信号を受信する。以下で詳細に記載されるように、これによって、メルター制御システム28がディスペンサーガン18及び吐出システム10全体に関する複数の診断を実施することが可能になる。この理由は、単一のプロセッサ29が、吐出システム10の構成要素に対する全ての作動信号及び制御信号へのアクセスを有するためである。
【0021】
1つの特定の例では、モニタリング装置30は、端子板等の接続装置を備えることができ、この端子板は、ガン作動源26から延びる第1のケーブル32及びディスペンサーガン18まで延びる第2のケーブル34(双方のケーブル32、34は、概略図において矢印として示されている)を収納するように構成される接続受け部(図示せず)を有する回路基板である。端子板は、ガン作動源26から送信された作動信号を終端して、それらの信号をディスペンサーガン18に選択的に渡す。端子板は、矢印36によって示されるように、メルター制御システム28に動作可能に接続される。したがって、メルター制御システム28には、ディスペンサーガン18において終端するように通常は直接送信されるガン作動信号へのアクセスが提供される。ガン作動信号へのこのアクセスによって、以下で更に詳細に記載される複数のシステム診断が可能となる。モニタリング装置30は、ガン作動信号をプロセッサ29に渡すことが可能な他の装置を備えることができ、また本発明の範囲と一致する他の実施形態において、メルター制御システム28の外部の部材を備えることもできることが理解されるであろう。
【0022】
吐出システム10は、ホットメルトユニット14内でガン作動信号をモニタリングするという更なる利益を示すように、図2の概略的な上面平面図において示されている。この図において示されているように、ディスペンサーガン18は、基材12に対して並進することができるように、ガントリーフレーム40に沿って取り付けることができる。他の同様の実施形態では、ディスペンサーガン18は、ロボットアーム、又はディスペンサーガン18を並進させる他の何らかの可動機構に取り付けることができる。ホットメルトユニット14の外部に配置されるガン作動源26は従来、図2において想像線で示されている個別のケーブル42によってディスペンサーガン18に直接接続される。この構成は結果として、図2において同様に想像線で示されている従来の大きなガンエンベロープ44をもたらす。「ガンエンベロープ」は、ディスペンサーガン18にとって必要なスペース、及び、ホース、ケーブル、又はディスペンサーガン18に直接接続される他の構成要素まで延びる他のコネクターの全ての配線経路として定義される。ホース16及び個別のケーブル42がディスペンサーガン18から分岐方向に延びているため、従来のガンエンベロープ44は比較的大きい。
【0023】
対照的に、例示的な実施形態のディスペンサーガン18は、加熱されたホース16によって、また、ホース16と直接並んで又は更に場合によってはホース16内に延びる第2のケーブル34によって、ホットメルトユニット14に直接接続される。これに関して、図1は、加熱されたホース16に連結されている第2のケーブル34を示し、図2は、第2のケーブル34が加熱されたホース16の中に通されている代替的な実施形態を示す。ケーブル34が加熱されたホース16の中に通されている場合、この配置の例は、ケーブル34を、加熱されたホース16の外部保護カバー内部であるが、接着剤用の導管として用いられる最も内側にある管及び加熱素子の外側に配置することを含む。したがって、ケーブル34は、露出してもいないし、又は接着剤によって影響も受けないが、ケーブル34は、図2に示されている実施形態のような実施形態では、加熱されたホース16の少なくとも一部分内に配置される。ガン作動源26は、ディスペンサーガン18に直接連結されておらず、したがって、最適化されたガンエンベロープ46の一部にはならない。これらの変更の結果として、従来のガンエンベロープ44よりも小さいサイズを有する最適化されたガンエンベロープ46は、図2において比較のために示されているように、吐出システム10の例示的な実施形態によって規定される。最適化されたガンエンベロープ46のサイズの減少は、ディスペンサーガン18から吊るされるか又はディスペンサーガン18から分岐方向に延びる物品の数がより少なくなるため、吐出システム10の設置及び動作に必要なスペースを削減する。ホース16及び第2のケーブル34が辿る平行な経路又は同一の経路は、ディスペンサーガン18から吊るされる様々な物品の数を削減することによって、吐出システム10の全体的な美観を向上させる。さらに、より小さい最適化されたガンエンベロープ46も同様にディスペンサーガン18のロバスト性を向上させるが、これは、ディスペンサーガン18が、そのディスペンサーガン18からのホース16及び第2のケーブル34の想定外の衝突又は切断のリスクを減らして、これらの部材の接続部を移動及び曲げることができることを意味する。この向上したロバスト性はまた結果として、ホース16及びケーブル34の接続部における振動の減少をもたらし、それによって吐出システム10の破損の可能性を減らす(例えば、ダウンタイムの減少及び信頼性の増大)。これに関して、より小さい最適化されたガンエンベロープ46は、作動信号をディスペンサーガン18へ送達するのに必要とされるケーブル接続部を内部に形成する、より好ましい環境を提供する。
【0024】
同様に図2に示されているように、ホットメルトユニット14、具体的にはメルター制御システム28は、吐出システム10に近接して又は吐出システム10から遠くに配置されるサーバー50と通信することができる。サーバー50は、メルター制御システム28からデータを収集して、このデータを、吐出システム10から離れて配置されるコンピューター52へ送達するように動作可能である。結果として、メルター制御システム28が実行する診断、及び吐出システム10の動作に関する情報は、吐出システム10にあるか又は吐出システム10から遠くにあるかに関係なく、ユーザーにとって最も好都合なロケーションにて記憶するか又は閲覧することができる。ホットメルトユニット14、サーバー50、及びコンピューター52間の通信は、無線データ転送、有線接続、又は他の既知の方法によって実施することができることが理解されるであろう。診断を実施する他の実施形態では、サーバー50及びコンピューター52の代わりにプログラマブルロジックコントローラーを用いることができ、これらの代替的な実施形態は本発明の範囲内にあることも理解されるであろう。
【0025】
ホットメルトユニット14及びコンピューター52のうちの少なくとも一方又は双方は、プロセッサ及びメモリ(例えば、図1のホットメルトユニット14のメルター制御システム28において示されているプロセッサ29)を有するコントローラーを備える。コントローラー(複数の場合もある)もまた、メモリ内に存在するとともにプロセッサによって実行されるように構成されるプログラムコードを含む。プログラムコードは、ホットメルトユニットへ送達されるガン作動信号をモニタリングするように、モニタリングされた信号に基づいて診断を実行するように、またこれらの信号をディスペンサーガン18に選択的に渡すことによってガン作動信号を制御するように動作する。ホットメルトユニット14及びコンピューター52もまた、コントローラー(複数の場合もある)とディスペンサーシステム10のユーザーとの間のユーザーインターフェースとしての機能を果たすように構成される1つ又は複数のディスプレイスクリーン54を備える。これらのディスプレイスクリーン54は図1及び図2には示されていないが、そのようなディスプレイスクリーン54の例が、ホットメルトユニット14に配置されるものとして図3及び図4に示されている。コントローラー(複数の場合もある)と対話する他のタイプのI/Oインターフェースを吐出システム10に設けてもよいことが理解されるであろう。
【0026】
図3及び図4を特に参照すると、ディスプレイスクリーン54は、吐出システム10が収集することができる幾つかの情報、及び自動的に又はユーザーによって所望のように実行することができる幾つかの診断を示す。以下に詳細に記載されるこの収集された情報及び全ての診断は、少なくとも一部が、ホットメルトユニット14内でのガン作動信号のモニタリング及び/又は終端からもたらされる。このために、メルター制御システム28(及び任意選択的に、サーバー50及びコンピューター52)は、ガン作動源26からモニタリング装置30へ送信されるガン作動信号をモニタリングすることができる。ディスペンサーガン18に何が起きているかに関するこの情報を用いて、メルター制御システム28は、吐出システム10の構成要素の動作をモニタリングし、それによってこれらの構成要素間の対話がエラーを引き起こしていないことを確認する際に必要とされる場合がある全ての情報へのアクセスを有する。ここで、例示的な実施形態の吐出システム10によって可能となる診断の幾つかの例が詳細に記載されるが、他の診断及びプロセスも構成要素のこの配置を用いることによって可能であることが理解されるであろう。「コントローラー」という総称は、メルター制御システム28、及びホットメルトユニット14及びディスペンサーガン18に関する全ての動作データへのアクセスを有する吐出システム10の他の同様の構成要素を説明するように以下の記載において用いられている。
【0027】
コントローラーが実行することができる最初の診断は、ライフサイクルモニタリング診断である。図3によって示されているように、ホットメルトユニット14内の、又はより重要なことにはディスペンサーガン18内の任意の特定の構成要素に関して、適切な作動信号のモニタリングから全作動回数を数えることができる。例えば、ディスペンサーガン18におけるソレノイド作動及び弁作動の回数は、何個の作動信号がガン作動源26から送信されてモニタリング装置30において傍受されたかを数えることによってモニタリングすることができる。コンピューター52又はホットメルトユニット14におけるディスプレイスクリーン34は、このライフサイクルモニタリング診断によって収集された情報に関してユーザーが照会する場合、図3において示されているように見えることができる。より詳細には、コントローラーは、当該の構成要素に関する全作動回数「X」、パーセント又はサイクルの単位での予想残存寿命の長さ(amount)「Y」、及び構成要素の使用履歴に基づいたその構成要素に関する交換予定日「Z」を示すようにディスプレイスクリーン54を促すように作動する。当該の構成要素に関する交換日「Z」と同様に、ディスプレイスクリーン34は、次回の定期的にスケジューリングされたメンテナンスがいつ行われるべきであるかを操作者に知らせるように、構成要素の使用履歴に基づいたその構成要素に関するメンテナンス予定日「W」を示すこともできる。このため、端子板において終端されるガン作動信号の例では、ソレノイド及び弁のライフサイクルを、エンドユーザーからの付加的な入力を必要とすることなく経時的に追跡することができる。このため、ディスペンサーガン18に障害が起きてからのみ修理又は交換が必要となることを認識する代わりに、これらの事態を予想することができ、適切な準備を行ってライフサイクルの終了に近づく構成要素の影響を限定的にすることができる。
【0028】
コントローラーは、弁及びソレノイドの場合は作動又はサイクルの平均回数である、構成要素が故障する可能性が高くなる前の予測全ライフサイクルがプリロードされている。この予測全ライフサイクルは、同様の構成要素群に関する履歴データに主に基づき、また構成要素の製造業者によって収集される検査データにも基づく。構成要素が動作中に置かれる特定の状況に適合するために予測全ライフサイクルを調整するように幾つかの要因をプログラムすることもできる。ディスペンサーガン18において、例えば、使用率、デューティサイクル、吐出される特定の材料、動作温度、及び吐出される流体の粘度は、全て予測全ライフサイクルを調整する既知の要因とすることができる。これらの要因は、構成要素の使用前及び使用中の双方で製造業者又はエンドユーザーによって調整することができる。
【0029】
さらに、構成要素の製造中に最初にプリロードされる予測全ライフサイクルはまた、同じ構成要素群の月々の平均寿命に関する新規の情報に基づいて定期的に更新することができる。これに関して、構成要素の製造業者は、エンドユーザーの位置において既に設置及び作動されている構成要素群からのサンプルの構成要素に関する全ライフサイクルを検査し続けることができる。他のエンドユーザーから収集されるこれらの進行中の検査の結果及びデータは、構成要素に関する予測全ライフサイクルをリアルタイムで更新するように、製造業者によって使用することができる(例えば、直近の2月に製造された構成要素の一群は予想全ライフサイクルよりも長く持ちこたえる(experiencing)場合があり、一方で直近の4月に製造された構成要素の一群は予想全ライフサイクルよりも短く持ちこたえる場合がある)。特定の構成要素群の月々の平均寿命に関するこの更新情報は、インターネット上の製造業者のウェブサイトによって又はエンドユーザーの施設への通常の定期訪問時に技術者又は修理工から受信される入力によって、コントローラーに提供することができる。1つの例では、技術者は、予測全ライフサイクルに関する最新の更新情報を有するハンドヘルドデバイスを携帯することができ、このハンドヘルドデバイスは、この情報を施設内のコントローラーに無線通信して、コントローラーがライフサイクルモニタリング診断において使用するこの情報を更新することができる。この更新プロセスによってまた、製造業者が、構成要素を修理又は交換するようにエンドユーザーが促される前に故障する構成要素の数を削減するように、控えめな推定によって予測全ライフサイクルを調整することができる。
【0030】
ライフサイクルモニタリング診断が、予測全ライフサイクルに関する最初にプリロードされた情報を用いるか、又は定期的に製造業者から受信される更新情報を用いるかに関係なく、この診断を用いてエンドユーザーに有用な警告及び表示を提供することができる。エンドユーザーの選好に応じて、コントローラーは、構成要素が予測全ライフサイクルの或る特定の割合に達すると1つ又は複数のレベルの警告を提供するように動作することができる。例示的な実施形態では、コントローラーは、構成要素が予測全ライフサイクルの或る特定の割合に達すると、ディスプレイスクリーン54のうちの1つ又は複数において、構成要素の点検修理又は交換が近いと見なすべきであるとエンドユーザーに知らせる第1の表示をエンドユーザーに提供することができる。次いで、コントローラーは、構成要素が予測全ライフサイクルのより高い割合に達すると、ディスプレイスクリーン54のうちの1つ又は複数において、構成要素をできる限り早く点検修理又は交換するようにエンドユーザーに促す第2の表示をエンドユーザーに提供することができる。これらの表示は、ディスペンサーガン18のソレノイド又は弁をモニタリングする場合、ホットメルトユニット14又はコンピューター52において種々の色で点滅するガンアイコンとすることができる。次いで、エンドユーザーは、ライフサイクルの終了時に構成要素の故障によって引き起こされる長いダウンタイムを避けるように適切な処置をとることができる。
【0031】
より具体的には、ライフサイクルモニタリング診断は、途切れない吐出システム10を可能にし、この吐出システム10は、エンドユーザーからの入力をほとんど伴わずに吐出システム10を動作させて維持することによって、その吐出システム自体を持続するとともにエンドユーザーに対する動作アップタイムを最大にするように構成される。これに関して、ライフサイクルモニタリング診断によってエンドユーザーに提供される表示は、部品番号又は製造業者から交換用構成要素を注文するのに使用することができる他の注文情報を含むこともできる。より自動化されたシステムでは、表示は、交換用構成要素の自動再注文、又は製造業者からの技術者との点検修理の予約のスケジューリングを促すことができる。これらの実施形態では、交換用部品及び点検修理作業員は、ライフサイクルの予測終了時に先立って到着し、したがって、おそらくは、交換用構成要素が手元にない状態で吐出システム10が動作しなくなることを防止する。エンドユーザーが交換用構成要素を手動で再注文するか、又は構成要素が自動で再注文されるかに関わらず、コントローラーには、エンドユーザーの施設がダウンタイムに備えていつ定期的にスケジューリングされているか、及び或る特定の構成要素に関して現在のリードタイム及び稼働率がどのくらいであるかに関する情報を提供することもできる。この付加的な情報に基づいて、ライフサイクルモニタリング診断によって提供される表示及び警告は、交換用構成要素が注文されて好都合なダウンタイムに先立って施設において受け取られることを確実にするのに間に合うように調整することができ、このダウンタイム中に交換用構成要素を、エンドユーザーの施設の業務に悪影響を及ぼすことなく設置することができる。
【0032】
さらに、多くのエンドユーザーが複数の吐出システム10を並行して動作させ、これらの吐出システム10と連動するコントローラーは互いに対して動作通信することができる。これらの実施形態では、全ての吐出システム10のうちの同じ構成要素を、吐出システム10ごとの種々のスケジュール通りに1件ずつではなく同時に交換することがより経済的にコスト効率的になる(例えば、技術者は施設へ複数回の訪問ではなく一回の訪問を行うだけでよい)、全ての吐出システム10の使用時点が存在することができる。製造業者又はエンドユーザーは、施設内の全ての吐出システム10に関するサイクル率及び使用率を収集することができ、そのため、全ての吐出システム10の同様の構成要素を交換する勧告をエンドユーザーがいつ受信すべきかに関して決定を行うことができる。ここでも同様に、この交換は、定期的にスケジューリングされたダウンタイム又はエンドユーザーの施設の閉鎖に合わせて(for)予定することができ、そのため、エンドユーザーは、システムメンテナンスのダウンタイムを大幅に減らして吐出システム10を動作させることができる。この診断プロセスは、吐出システム10の構成要素のうちの任意のものに対して実行することができることが理解されるであろう。
【0033】
したがって、吐出システム10のホットメルトユニット14内でのガン作動信号の終端及びモニタリングによって、ディスペンサーガン18のソレノイド及び弁を含む種々の構成要素に対するライフサイクルモニタリング診断が可能となる。エンドユーザーは、このライフサイクルモニタリング診断を用いて、これらの構成要素がそれらのライフサイクルの予想終了点に達することを見越して、エンドユーザーの都合のよいように修理又は交換をスケジューリングすることができる。結果として、ライフサイクルの終了に達する吐出システム10の構成要素によって引き起こされる全ダウンタイムは、吐出システム10の或る特定の構成要素に関する診断を実行することができないシステムと比べて最小限に抑えられる。構成要素の途切れないモニタリング及び交換を、望まれる場合にはエンドユーザーからの入力を伴わずに自動的に行うことができ、これは事実上、可能な限り自身を持続させる吐出システム10を提供する。エンドユーザー及び製造業者は双方が、行わなければならない緊急の構成要素の交換の回数を低減することによって恩恵を受ける。したがって、ホットメルトユニット14内でのガン作動信号のモニタリングは、診断及びシステムメンテナンスに関する大きな利益をもたらす。
【0034】
例示的な実施形態の吐出システム10によって可能となる更なる診断が図4のディスプレイスクリーン54上に列挙されており、また以下に詳細に記載されている。コントローラーによって実行することができる別の診断は、吐出システム10が直面するエラー状態の検出である。このために、コントローラーは、エラー又は故障をもたらす矛盾を検出するように、ディスペンサーガン18の構成要素の現在の状態及びホットメルトユニット14の構成要素の現在の状態をモニタリングすることができる。例えば、ディスペンサーガン18が、機能している(active)ホットメルトユニット14のポンプを用いずに弁を開放するように作動される場合、これは、ディスペンサーガン18内の接着材料の流出をもたらす場合がある。このため、ディスペンサーガン18の弁が作動しておりかつホットメルトユニット14が接着材料を送達していないこの状態は、ディスプレイスクリーン54のうちの1つ又は複数において操作者に提供されるアラーム又は表示をもたらすことができるエラーである。同様の例では、ディスペンサーガン18の弁は、ホットメルトユニット14が完全にはウォームアップしておらず、また接着材料をディスペンサーガン18へ送達する準備が整っていない場合に、作動信号を受信している場合がある。これは、ホットメルトユニット14のガン作動信号のモニタリングによって検出することができる別のエラー状態である。ホットメルトユニット14のポンプはまた、ディスペンサーガン18の全ての弁(複数の場合もある)が閉鎖位置にとどまる場合、より多くの接着材料をディスペンサーガン18へ送達すべきではない。これらのエラー状態は、ディスペンサーガン18の部材及びホットメルトユニット14の部材を同時にモニタリングせずには検出することができず、例示的な実施形態の吐出システム10がこの検出を行うことができる。他の既知のエラー状態を、検出に用いる診断プロセスにプログラムし、それによって、エンドユーザーに動作中の問題を認識させることができることが理解されるであろう。
【0035】
上記で説明したように、これらのエラー状態の検出及び識別は、生じた特定のエラー状態の或る表示をエンドユーザーに対して提供することができるため有益である。加えて、本発明の吐出システム10はまた、吐出システムの不具合を回避するようにこれらのエラー状態のうちのいくつかに応答するように動作可能である。例えば、ホットメルトユニット14のポンプが、信号がディスペンサーガン18を作動させるように送信されるときに動作していない場合、コントローラーは、ガン作動信号をディスペンサーガン18に渡すことができないようにすることによって、このエラー状態を是正することができる。これに関して、(モニタリング装置30が端子板を備える実施形態では)端子板におけるガン作動信号の終端によって、或る段階の制限された制御をディスペンサーガン18の作動に対して加えることができる。上記の例では、ホットメルトユニット14内のポンプが動作する準備が整うと、ガン作動信号をディスペンサーガン18に渡すことを可能にすることができる。結果として、これらのエラー状態は、或る特定の状況においてこの診断機能を用いる場合に識別及び対処することができる。
【0036】
例示的な実施形態のディスペンサーガン10が実行することができる同様のタイプの診断プロセスは、動作障害又は緊急の動作障害を検出する相対関係の比較及び使用である。より具体的には、モニタリングされた信号の或る特定の比率、例えば、ホットメルトユニット14のポンプサイクルに対するディスペンサーガン18の弁作動の比率は、ディスペンサーシステム10の或る特定の障害が発生している最中又は発生する直前にこれらの比率に対して何が発生するかを適応的に習得するように経時的に追跡することができる。これらの相対関係は、障害が発生したか又は発生することを絶対的に示すことはできないが、その情報は、メンテナンス又は是正を必要とする可能性がある潜在的状況をエンドユーザーに知らせることはできる。上記で示したポンプサイクルに対する弁サイクルの比率の例では、不適切なノズルサイズの使用、目詰まりしたフィルター、意図していない圧力調整、動作不可能なPDV、吐出パターンの変化、及び他の動作イベント等の種々のイベントが、この比率に対する予測可能な影響を有することができる。このため、これらのイベントが、経時的にモニタリングされた1つ又は複数の比率に対して相関されるため、診断プロセスによって、場合によっては障害が発生する前であっても、エンドユーザーが或る特定のタイプの障害を予測又は識別することが可能になる。この診断プロセスは、可能な限り迅速に正確な障害に対処することができるようにこの情報をエンドユーザー又は技術者に提供し、それによって吐出システム10の予想外のダウンタイムを最小限に抑えることができる。
【0037】
ホットメルトユニット14内でのガン作動信号のモニタリングによって可能となる別の診断は、吐出システム10の非稼働(inactivity)期間中の1つ又は複数のスタンバイ設定のアクティブ化である。接着材料が所望の塗布温度で溶融状態まで加熱される接着剤吐出システムにおいて、接着材料は、基材12上に吐出する前の長い時間期間を所望の塗布温度で保持するべきではない。このために、接着材料は場合によっては、ディスペンサーガン18の長期間の非稼働中に高温で保持される場合、ホットメルトユニット14、ホース16、又はディスペンサーガン18内で劣化又は炭化する可能性がある。結果として、長期間の非稼働中に引き起こすことができるスタンバイ状態を提供することが望ましい。スタンバイ状態は接着材料に加えられる熱エネルギーを低減させて、接着材料の温度が、劣化又は炭化のリスクがほとんどない(insubstantial)より低い温度まで下がることを可能にする。スタンバイ状態は、ディスペンサーシステム10を、完全な停止状態からよりもスタンバイ状態から、より迅速に吐出の準備状態に戻すことができるため、速いウォームアップ時間を有するディスペンサーガン18を用いる場合特に有用である。
【0038】
従来の設計及び例示的な本実施形態のホットメルトユニット14には、通常、ホットメルトユニット14の外部からの信号を受信する最大4つの入力ピンと、ホットメルトユニット14からの信号を送信する最大4つの出力ピンとを収納することができる標準的な入力/出力I/Oユニットが設けられる。多くのエンドユーザーは、スタンバイ状態を有効化することを好み、これは常に、従来の設計ではディスペンサーガン18の使用率に関する信号を提供するように、入力ピンのうちの1つ又は複数を占有する(take up:使用する)。この場合、I/Oユニットは、入力ピンのうちの1つ又は複数が通常、スタンバイ状態を作動させるように専用化されているため、ホットメルトユニット14のコントローラーにとって適切でありかつ有用とすることができる他の外部信号を受信することが制限されている。対照的に、例示的な実施形態のホットメルトユニット14のコントローラーは、端子板において終端されるガン作動信号へのアクセスを有し、したがって、ディスペンサーガン18の最後の作動から経過した時間の長さをモニタリングすることができる。コントローラーによって実行される対応する診断プロセスは、この時間の長さを継続的にモニタリングして、前回のガン作動からの所定の時間閾値を超えた場合、スタンバイ状態を自動的に作動させることができる。この閾値は、施設の特定の状況に適合するようにエンドユーザーによって設定することができる。スタンバイ状態は、ディスペンサーガン18及び対応するホース16内のみの、又は複数のディスペンサーガン18を備える吐出システム10全体内の接着材料の温度を低下させるように用いることができる。したがって、ホットメルトユニット14内でのガン作動信号のモニタリングによって、コントローラーが、ホットメルトユニット14のI/Oユニットの入力ピンのうちのいずれのピンもこのタスクに専用化させることなく、エンドユーザーの選好に従ってスタンバイ状態を自動的に作動させることが可能になる。この場合、I/Oユニットを他の目的に用い、それによってホットメルトユニット14内のコントローラーの実用性を広げることができる。スタンバイ状態の使用を有効化することに加えて、「Adhesive Dispensing System and Method Using Smart Melt Heater Control」と題するBondeson他に対する同時係属中の米国特許出願(本出願人の参照番号:NOR−1505US)において詳細に記載されているように、ガン作動信号のモニタリングを、接着材料の炭化及び劣化を低減させるようにスマート溶融モードを作動させるようにコントローラーが用いることができ、この特許出願公開の開示はその全体を本明細書に引用することにより本明細書の一部をなす。
【0039】
吐出システム10の例示的な実施形態によって可能となる更に別の診断プロセスは、ディスペンサーガン18におけるライン速度に対応する、ホットメルトユニット14によって加えられる流体圧力の調整である。ライン速度がディスペンサーガン18において上昇すると、より多くの接着材料がより高速でディスペンサーガン18から流出し、この接着材料は、より多量の接着剤をディスペンサーガン18までかつディスペンサーガン18を通過するように押し進めるように、ホットメルトユニット14によって対応するより高い圧力で送達されなければならないことがよく理解される。上記で記載したスタンバイ状態動作と同様に、従来のシステム設計は、I/Oユニットの入力ピンのうちの1つ又は複数を、接着剤の圧力を対応して調整するようにライン速度を供給することに専用化させるものであった。限られた貴重な入力ピンのうちの1つを占有することに加えて、ライン速度を示す信号は概して、デジタル信号よりもより高価なハンドリング用のI/O機器を必要とするアナログ信号である。
【0040】
対照的に、例示的な実施形態のディスペンサーシステム10は、モニタリング装置30においてモニタリングされるガン作動信号へのアクセスを有する。この場合、ホットメルトユニット14のコントローラーは、これらのガン作動信号の周波数及び持続時間から、ディスペンサーガン18において現在実行されているライン速度の推定値を導出することができる。この推定値は、絶対的なライン速度とすることはできないが、ライン速度が変化したと判断されるとき、上方又は下方への接着剤の圧力調整を可能にするのにこの値は十分に正確である。コントローラーによって実施される診断は、実際のライン速度に対応する別個のアナログ入力を提供することなく、ライン速度変化に対してこれらの圧力調整を行うことを可能にされる。したがって、ホットメルトユニット14内でのガン作動信号のモニタリングによって、コントローラーは、ホットメルトユニット14のI/Oユニットの入力ピンのうちのいずれをもこのタスクに専用化させることなく、必要な接着剤圧力調整を自動的に作動させることが可能になる。
【0041】
上記に記載された診断用のガン作動信号のモニタリングは通常、信号に印加される電圧のオン/オフタイプの確認である。しかしながら、ディスペンサーガン18のソレノイドによって引き出される電流も、信号がソレノイドに渡されるときにモニタリング装置30においてモニタリングすることができる。そのような電流モニタリングがコントローラーによって実行される場合、ソレノイドの動作状態に関する更なる診断が可能になる。このために、或る特定の製造業者からの各ソレノイド設計はソレノイドが1つの動作状態から別の動作状態に切り換えられると、予測可能な波形の電流を引き出す。この波形すなわち「電流シグネチャ」は、吐出システムとともに用いることができるソレノイドのタイプごとに求めることができる。このため、ソレノイドから発する実際の電流シグネチャは、コントローラーが、第2のケーブル34を通ってガン作動信号において引き出される電流をモニタリングすることによって追跡することができる。
【0042】
電流シグネチャが予想される波形を辿るか否かを判断するのに、オシロスコープをディスペンサーガン18に引っ掛けなければならない代わりに、コントローラーは、ソレノイドが予想される波形に従って電流を引き出すか否かを継続的にモニタリングすることができる。これらの電流シグネチャすなわち波形が合致しない場合、これは、ソレノイドの故障に対する前兆であるか、又はソレノイドが不具合を起こしているとの表示である。電流シグネチャ及び波形の比較は、ソレノイドが所望の塗布パターンにはあまりにも低速に状態を切り換えているか否かを判断するのに用いることもできる。ソレノイドが、意図した動作にはあまりにも低速である場合、コントローラーは、ソレノイドを、ディスペンサーガン18の所望の塗布にとって十分に速く切り換わる設計に変更することを効果的に勧告することができる。電流モニタリングがホットメルトユニット14内でのガン作動信号のモニタリングとともに用いられる場合、これらの更なる診断は、吐出システム10のロバスト性及び信頼性を向上させ、エンドユーザーにとって利用可能な情報の量を増大させることができる。
【0043】
例示的な実施形態の吐出システム10によって可能となる別のタイプの診断プロセスは、ピストンポンプが、吐出パターンの開始又は終了時に、「ポンプウインク」として知られている現象を回避するようにシフトされる場合の調整(coordination)である。ポンプウインクは、ホットメルトユニット14のピストンポンプの方向の切換えによって引き起こされる、ディスペンサーガン18から放出される接着材料のより小さなビーズであり、ピストンポンプの方向の切換えは、ピストンが所与の方向に並進することができる距離の限界に近付くたびに生じる。ピストンポンプのピストンが方向を切り換える場合は常に、接着剤の瞬間的な圧力降下が生じ、これは、ディスペンサーガン18への流体送達において少しの間の低減をもたらす。ピストン運動及びピストン運動方向の切換えは、接着剤の最終的な吐出パターンにおいてポンプウインクが生じる回数を最小限に抑えるように調整することができる。
【0044】
これに関して、ホットメルトユニット14のコントローラーは、いつディスペンサーガン18が活発に吐出しているか、及びいつディスペンサーガン18がサイクルとサイクルとの間にあるかを判断するように、モニタリング装置30においてガン作動信号をモニタリングすることができる。この場合、コントローラーは、吐出サイクル間の休止期間と最も頻繁に又は常に一致するように、ピストンポンプにおけるピストン運動の逆転のタイミングを「シフトする」ように用いることができる。より短い作動信号パターンの場合、ピストン運動の逆転及び対応するポンプウインクは、ともに回避することができる。より長い作動信号パターンの場合、ピストン運動の逆転は、吐出パターンの終了時の出力低下を回避するように、ガン作動信号の中心内に位置するよう可能な限りシフトされ、この場合、塗布される接着剤の量が重要とすることができる。ホットメルトユニット14のピストンポンプの動作特徴及びモニタリング装置30におけるガン作動信号の双方のモニタリングの結果として、コントローラーは、吐出システム10におけるポンプウインクの現象を最小限に抑えるか又は排除するように、この診断プロセスを実行することが可能である。
【0045】
診断に関する前述の記載は、ホットメルトユニット14内でのガン作動信号の終端及びモニタリングによって可能とすることができる診断プロセスの数例でしかないことが理解されるであろう。更なる診断は、本発明の吐出システム10を用いる場合、容易に理解されて容易に可能にされるであろう。
【0046】
吐出システム10のコントローラー(複数の場合もある)の一連の動作70を示すフローチャートが、図5に示されている。これに関して、コントローラーは任意選択的に、ステップ72において、ホットメルトユニット14内でガン作動信号を終端する。コントローラーはまた、ステップ74において、端子板において終端されるこれらのガン作動信号をモニタリングする。次いで、ステップ76において、1つ又は複数の診断を、モニタリングされた信号に基づいてコントローラーによって実行することができる。これらの診断は、吐出システム10の構成要素のライフサイクルをモニタリングすることと、エラー状態に関して確認することと、スタンバイ状態を作動させることと、他の診断プロセス間で、必要な場合にホットメルトユニット14のパラメーターを調整することとを含むことができる。加えて、コントローラーは、ステップ78において、信号が端子板を通ってディスペンサーガン18へ向かうことを選択的に通すか又は遮ることによって、ガン作動信号の限定制御を任意選択的に加えることができる。したがって、吐出システム10のコントローラーによって実行される一連の動作70は、向上した美観、より小さな最適化されたガンエンベロープにおけるより高いロバスト性、及びエンドユーザーの通常の動作時間中に吐出システム10の動作を持続するとともにダウンタイムを減少させるのに用いられる多数の診断を含む、従来の設計に勝る数多くの有利な利益をもたらす。
【0047】
本発明による吐出システム110の代替的な実施形態が図6に提供されている。この図では、ホース16、ディスペンサーガン18、及び出口ノズル20を含む構成要素が同一である場合、先行の実施形態と同じ参照符号が適用される。吐出システム110のこの実施形態では、ホットメルトユニット114は、ガン作動源126がホットメルトユニット114内に配置されるように変更されている。このガン作動源126は、ホットメルトユニット114のサブシステムであり、依然としてメルター制御システム28とは別個の部材である。結果として、ホットメルトユニット114は、ガン作動源126によって生成されたガン作動信号を終端する端子板130の形態の接続装置を引き続き備える。吐出システム110の他の実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなく、作動信号がホットメルトユニット114を通過する他のタイプの接続装置を備えることができることが理解されるであろう。この実施形態の吐出システム110は、ガン作動源126の位置が、先行の実施形態の吐出システム10と異なるだけである。ガン作動信号がホットメルトユニット114の外部の供給源から到着するか、又はホットメルトユニット114内のサブシステムから到着するかに関係なく、上記で説明したコントローラーと同じ動作及び診断が吐出システム110に適用可能である。このため、吐出システム110は、先行の実施形態と同じ利益を達成する。
【0048】
本発明による吐出システム210の更に別の代替的な実施形態が、図7に提供されている。この図では、ホース16、ディスペンサーガン18、及び出口ノズル20を含む構成要素が同一である場合、先行の実施形態と同じ参照符号が適用される。記載された第1の実施形態と同様に、ガン作動源26は、吐出システム210のホットメルトユニット214の外部に配置される。ガン作動源26は、メルター制御システム28がガン作動信号をモニタリングすることができるように、ホットメルトユニット214内の端子板130に依然として接続されている。この実施形態のホットメルトユニット214は、インライン信号制御装置260が、端子板130とディスペンサーガン18との間を延びる第2のケーブル234に沿って加えられている点が異なる。インライン信号制御装置260は、信号を通過させるか否かという単純な決定以上の、端子板130に対する可能な限りの制御である、ガン作動信号に対して更なる制御を加えるように動作可能である任意のタイプの装置とすることができる。端子板130と同様に、インライン信号制御装置260は、図7に示されているように、メルター制御システム28と通信する。インライン信号制御装置260は、本発明の範囲と一致する他の実施形態において、端子板130ではなく、モニタリングユニットを有するシステムに加えることができることも理解されるであろう。
【0049】
1つの例では、インライン信号制御装置260は、より長いガン作動信号に対して「縫合せ(stitching:スティッチ)」プロセスを適用するように動作可能である。これに関して、より長いガン作動信号は、長さが5秒とすることができる。接着剤の使用を低減することと、上記で記載したようにポンプウインクの影響を最小限に抑えることとを含め、複数の理由から、この長い作動信号を、信号間の短いオフサイクルによって、ともに「縫い合わせられる」複数のより小さくかつ密に離間した作動信号に分割することが望ましいとすることができる。1個の5秒長のガン作動信号は、インライン信号制御装置260によって10個のほぼ0.5秒長のガン作動信号に立て続けに分割することができる。加えて、インライン信号制御装置260は、吐出システム210が効率的にかつエラー状態を一切引き起こさずに動作するように、他の実質的な変更をガン作動信号に適用することができる。吐出システム210のこの実施形態において用いることができるより多くの制御は、有利には、エンドユーザーが望むほぼ全ての診断及び吐出システム210全体に対する十分な制御を可能にする。
【0050】
要約すれば、本発明の吐出システム10、110、210は、ホットメルトユニット14、114、214内でガン作動信号を終端する結果として複数の利益をもたらす。第1に、ガン作動信号を少なくとも1つのディスペンサーガン18に提供するケーブルは、ホットメルト接着剤をディスペンサーガン(複数の場合もある)18へ送達するホース(複数の場合もある)16と同じ経路に沿って又はホース(複数の場合もある)16内に延びることができる。これによって、各ディスペンサーガン18から吊るされるとともに異なる方向に延びるホース/ケーブル等の数を削減し、それによって、ガンエンベロープを低減し、システムの美観を向上させ、かつ各ディスペンサーガン18によって形成される接続部のロバスト性を向上させる。第2に、ホットメルトユニット14、114、214内でのガン作動信号の終端は、各ディスペンサーガン18の構成要素及び吐出システム10、110、210の構成要素全体に対する診断を実行するのに使用することができる情報へのアクセスを提供する。これらの診断は、吐出システム10、110、210がそれ自体を、ダウンタイムが最小限である動作状態に維持する傾向を有するように、エンドユーザー又は技術者へ送達される情報を向上することができる。したがって、エンドユーザーは、どのように吐出システム10、110、210が動作しているかに関してより理解することができ、また、定期的にスケジューリングされた施設閉鎖又はダウンタイム中に対処することができる障害又はエラーを予想することができる。このため、吐出システム10、110、210は、従来の設計に比べて有利である。
【0051】
本発明を幾つかの実施形態の記載によって例示し、またこれらの実施形態をかなり詳細に記載したが、添付の特許請求の範囲の範囲をそのような詳細に限定するか又はいかようにも制限する意図はない。付加的な利点及び変更が当業者には容易に明らかであろう。したがって、本発明はその最も広範な態様において、図示及び記載されている特定の詳細に限定されない。本明細書に開示されている種々の特徴は、特定の用途に必要な又は所望の任意の組合せにおいて用いることができる。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載されている詳細から逸脱することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7