(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連通口は、前記内部壁よりも一端側の第1内部流路と他端側の第2内部流路との双方に開口するように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の流路切換弁。
前記連通口は複数形成され、各連通口が前記内部壁よりも一端側の第1内部流路と他端側の第2内部流路とにそれぞれ開口していることを特徴とする請求項2に記載の流路切換弁。
前記内部壁には、該内部壁よりも一端側の第1内部流路と他端側の第2内部流路とを連通する連通路が形成されていることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の流路切換弁。
前記弁室を画成する壁面に設けられた傾斜面によって、前記弁体の一端もしくは他端と接離する弁座が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の流路切換弁。
前記弁本体の内周面に形成された環状溝に、前記弁体の外周面と前記弁本体の内周面との間をシールするシール部材が配設されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の流路切換弁。
前記弁体の外周面に形成された環状溝に、前記弁体の外周面と前記弁本体の内周面との間をシールするシール部材が配設されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の流路切換弁。
前記シール部材は、前記弁体の前記連通口と前記一端側開口との間及び前記連通口と前記他端側開口との間に配設されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の流路切換弁。
前記弁体の内部には、前記弁体の一端側又は他端側に向かって内径が大きくなる段部が設けられていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の流路切換弁。
前記弁本体の内径は、前記流入口、前記第1流出口、又は前記第2流出口が形成された部分で大きくなることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の流路切換弁。
前記弁体の外径は、前記連通口、前記一端側開口、又は前記他端側開口が形成された部分で小さくなることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の流路切換弁。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、当該分野においては、上記した流路切換弁の更なる小型化、大容量化、省電力化が要請されており、例えば弁体の駆動トルクを低減して小型化等を実現するために、流路切換時に弁体に作用する荷重を可及的に小さくすることが望まれている。
【0006】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、流路切換時に弁体に作用する荷重を可及的に小さくし、弁体の駆動トルクを低減して、更なる小型化、大容量化、省電力化等を図ることのできる新規な構造の流路切換弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記する課題を解決するために、本発明に係る流路切換弁は、内部流路を有
し両端が開口した筒状の弁体と、
弁室が画成され
底部を有する弁本体と、前記弁室内で前記弁体を
その軸心
に沿って前記底部の方向に
駆動する駆動部と
、前記駆動部による駆動方向とは逆方向に前記弁体を付勢するばねとを備えた流路切換弁であって、
前記弁体は、その外周面が前記弁本体に支持されて前記弁室内に摺動自在に収容され、前記弁体の
中央側部には、前記内部流路に開口する連通口が形成され、前記弁本体には、前記弁室内で前記弁体が移動する際に前記弁体の前記連通口を介して前記内部流路と連通する流入口と、前記弁体の一端側開口及び他端側開口を介して前記内部流路と連通する第1流出口及び第2流出口とが形成され
、前記ばねは、前記弁本体の底部と前記弁体の内周面に設けられた段部との間に設けられていることを特徴としている。
【0008】
好ましい形態では、前記弁体の内部には、前記駆動部による駆動力を前記弁体に伝達する内部壁が設けられていることを特徴としている。
【0009】
更に好ましい形態では、前記連通口は、前記内部壁よりも一端側の第1内部流路と他端側の第2内部流路との双方に開口するように形成されている、あるいは、前記連通口は複数形成され、各連通口が前記内部壁よりも一端側の第1内部流路と他端側の第2内部流路とにそれぞれ開口していることを特徴としている。
【0010】
更なる好ましい形態では、前記内部壁には、該内部壁よりも一端側の第1内部流路と他端側の第2内部流路とを連通する連通路が形成されていることを特徴としている。
【0011】
別の好ましい形態では、前記弁室を画成する壁面に設けられた傾斜面によって、前記弁体の一端もしくは他端と接離する弁座が形成されていることを特徴としている。
【0012】
別の好ましい形態では、前記弁本体の内周面に形成された環状溝に、前記弁体の外周面と前記弁本体の内周面との間をシールするシール部材が配設されている、あるいは、前記弁体の外周面に形成された環状溝に、前記弁体の外周面と前記弁本体の内周面との間をシールするシール部材が配設されていることを特徴としている。
【0013】
更に好ましい形態では、前記シール部材は、前記弁体の前記連通口と前記一端側開口との間及び前記連通口と前記他端側開口との間に配設されていることを特徴としている。
【0014】
別の好ましい形態では、前記弁体の内部には、前記弁体の一端側又は他端側に向かって内径が大きくなる段部が設けられていることを特徴としている。
【0015】
別の好ましい形態では、前記弁本体の内径は、前記流入口、前記第1流出口、又は前記第2流出口が形成された部分で大きくなり、前記弁体の外径は、前記連通口、前記一端側開口、又は前記他端側開口が形成された部分で小さくなることを特徴としている。
【0016】
別の好ましい形態では、前記駆動部は、遊星歯車式減速機構を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の流路切換弁によれば、筒状の弁体の側部に、その内部流路に開口する連通口が形成されると共に、弁本体には、弁室内で弁体が移動する際に弁体の連通口を介して内部流路と連通する流入口と、弁体の一端側開口及び他端側開口を介して内部流路と連通する第1流出口及び第2流出口とが形成されていることにより、弁体の移動による流路切換時に弁体の移動方向(軸心方向)に作用する力をバランス(差圧をキャンセル)させ、流路切換時に弁体に作用する荷重を可及的に小さくでき、もって、弁体の駆動トルクを低減して、更なる小型化、大容量化、省電力化等を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る流路切換弁の実施形態を図面を参照して説明する。なお、以下では、主にアクチュエータとしてステッピングモータを用いた流路切換弁を採用した形態について説明するが、例えばアクチュエータとしてソレノイド等を用いた流路切換弁を採用してもよいことは勿論である。
【0020】
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る流路切換弁の第1実施形態の全体構成を示す縦断面図、
図2は、その流路切換弁において、流体が流入口から第1流出口に流される状態を説明する縦断面図、
図3は、流体が流入口から第2流出口に流される状態を説明する縦断面図である。
【0021】
図示する流路切換弁1は、主として、有底かつ略筒状の弁本体5と、弁本体5に固着されたキャン58と、弁本体5及びキャン58によって画成された内部空間で弁本体5に固定配置された略筒状の雌ねじ15i付き軸受部材15と、軸受部材15と弁本体5とによって画成された弁室7内で前記弁本体5により支持されて摺動自在に収容された弁体20と、弁体20を軸心L方向に昇降させるべく弁本体5の上方に取り付けられたステッピングモータ(駆動部)50と、を備えている。
【0022】
弁本体5は、その内部に弁室7が画成されると共に、その側部に弁室7に開口する第1流出口11a及び第2流出口12aが軸心L方向で離間して形成され、第1流出口11aと第2流出口12aとの間に流入口13aが形成されている。より詳細には、前記第1流出口11aは弁室7の上端側に開口するように形成され、前記第2流出口12aは弁室7の下端側に開口するように形成され、前記流入口13aは弁室7の略中央に開口するように形成されている。ここで、第1流出口11a及び第2流出口12aと流入口13aとは、平面視で視た際に軸心L周り(周方向)で反対側(180度間隔)に形成されている。なお、第1流出口11a、第2流出口12a、及び流入口13aの軸心L方向での位置や周方向での位置は、例えば流路切換弁1の大きさや適用箇所等に応じて適宜に変更できる。
【0023】
また、弁本体5は、流入口13a、第1流出口11a、及び第2流出口12aが形成された部分で内径が大きくなるように形成される。言い換えれば、弁本体5の内径は、流入口13aと第1流出口11aとの間及び流入口13aと第2流出口12aとの間の部分で縮径しており、その流入口13aと第1流出口11aとの間及び流入口13aと第2流出口12aとの間の内周面に環状溝2a、3aが形成され、該環状溝2a、3aに弁体20の外周面と弁本体5の内周面との間をシールするOリング等のシール部材2、3が装着されている。また、弁本体5の底部の内周面(弁室7を画成する壁面)には、底面と傾斜面からなる側面とを有する凹部6が形成され、凹部6の側面を構成する傾斜面によって、後述する弁体20の下端(他端)22と接離する弁座6aが形成されている。なお、第1流出口11aと流入口13aとの間の部分や第2流出口12aと流入口13aとの間の部分(すなわち、弁本体5の内径が縮径する部分)での内周面の上端及び下端は、第1流出口11a、第2流出口12a、及び流入口13aが形成された部分(すなわち、弁本体5の内径が大きい部分)に向かって拡径するようにR付けされている。
【0024】
そして、弁本体5の側部に形成された第1流出口11a、第2流出口12a、及び流入口13aにそれぞれ、横向きの導管継手11、12、13が取り付けられている。
【0025】
弁本体5は上方に向かって段付きで縮径しており、弁本体5の段付きの上方開口部には、天井部を有する円筒状のキャン58の下端部が溶接等によって接合されている。また、弁本体5の上方開口部の内側には、内周面に雌ねじ15iが螺設された筒状の雌ねじ15i付き軸受部材15が圧入等により固定されている。軸受部材15の内周面のうち雌ねじ15iが螺設された部分よりも上方部分は、後述する減速機構40の出力軸46の下部が嵌挿される嵌挿穴15aとされ、軸受部材15の内周面のうち雌ねじ15iが螺設された部分よりも下方には、ねじ部への異物の流入及び流体影響を抑制するための環状溝15bが形成されている。また、軸受部材15の下面(弁室7を画成する壁面)には、底面と傾斜面からなる側面とを有する凹部19が形成され、凹部19の側面を構成する傾斜面によって、後述する弁体20の上端(一端)21と接離する弁座19aが形成されている。更に、軸受部材15には、その下方の弁室7とキャン58の内部とを連通するべく逆L字状の連通孔14が形成されている。
【0026】
また、弁体20は、内部流路Sを有する略円筒状を呈し、弁本体5と軸受部材15とによって画成された弁室7に摺動自在に嵌挿される。ここで、弁体20の上端21が、弁室7内で当該弁体20が移動する際に軸受部材15の凹部19に設けられた弁座19aと接離する第1弁体部とされ、弁体20の下端22が、弁本体5の凹部6に設けられた弁座6aと接離する第2弁体部とされている。
【0027】
弁体20の側部には、その内部流路Sに開口する2つの連通口20c、20dが形成されている。この2つの連通口20c、20dは、平面視で視た際に軸心L周りで反対側(180度間隔)に形成されると共に、各連通口20c、20dは、軸心L方向で弁体20の略中央部に形成され、かつ側面視で視た際には略矩形状を呈している(
図4参照)。したがって、弁体20は、側面視で視た際に略中央部の左右が切り欠かれた形状を呈している。ここで、各連通口20c、20dの位置や大きさ、形状等は、弁室7内で弁体20が移動した際に弁本体5の流入口13aと弁体20の内部流路Sとが常時連通するように設計されている。
【0028】
また、弁体20の内部には、ステッピングモータ50による駆動力を弁体20に伝達するべく、軸心Lに対して略垂直方向に延びる内部壁23が設けられている。この内部壁23は、弁体20の略中央部、すなわち連通口20c、20dが形成された部分に該弁体20に一体に形成されており、したがって平面視で視た際に略小判状(円を平行な2直線で切断した形状)を呈している(
図4参照)。弁体20の内部流路Sは、内部壁23によって、内部壁23よりも上端側の第1内部流路S1と下端側の第2内部流路S2とに分割され、各連通口20c、20dは、内部壁23よりも上端側の第1内部流路S1と下端側の第2内部流路S2との双方に開口するように形成されることとなる。なお、内部壁23の中央部には、後述するボール受座16が嵌装される段付きの嵌装穴23aが形成されている。
【0029】
したがって、弁体20を弁本体5の弁室7に嵌挿すると、弁本体5の流入口13aと弁体20の第1内部流路S1及び第2内部流路S2とが、連通口20c、20dの一方もしくは双方(
図1〜
図3中、連通口20c)を介して常時連通するようになっている(
図2及び
図3参照)。なお、弁体20の側部に形成される連通口の数や位置、大きさ、形状等は、例えば弁本体5の流入口13aの位置や大きさ、形状等に応じて適宜に変更でき、弁体20の内部に形成される内部壁の位置や大きさ、形状等も適宜に変更できる。
【0030】
弁体20の内部には、弁体20の上端側及び下端側に向かって内径が大きくなるような段部24、26が設けられ、上端側に向かって内径が大きくなる部分が上端側開口20aとされ、下端側に向かって内径が大きくなる部分が下端側開口20bとされている。各段部24、26はそれぞれ、弁体20の内部壁23よりも上端側の内周面及び下端側の内周面に設けられ、下端側の内周面に設けられた段部26によって、弁体20を上方に付勢する縮装ばね25の上端部を受けるばね受けが形成される。すなわち、圧縮コイルばねからなる縮装ばね25が、その上端部が弁体20の内周面に設けられた段部26と当接し、その下端部が弁本体5の凹部6の底面と当接するように、弁体20の段部26と弁本体5の凹部6の底面との間に収縮状態で収納されている。
【0031】
なお、弁体20の外径は、上端側開口20a、下端側開口20b、及び連通口20c、20dが形成された部分、言い換えれば弁本体5の流入口13a、第1流出口11a、及び第2流出口12aが形成された部分の近傍で僅かに小さくなるように形成されている。
【0032】
一方、ステッピングモータ50は、ヨーク51、ボビン52、コイル53、樹脂モールドカバー54等からなるステータ55と、キャン58の内部に該キャン58に対して回転自在に配置され、ロータ支持部材56がその上部内側に固着されたロータ57と、を有している。ステータ55は、キャン58に外嵌固定されている。また、ロータ57の内周側には、ロータ支持部材56に一体に形成された太陽歯車41、軸受部材15の上部に固着された筒状体43の上端に固定された固定リング歯車47、太陽歯車41と固定リング歯車47との間に配置されてそれぞれに歯合する遊星歯車42、遊星歯車42を回転自在に支持するキャリア44、遊星歯車42に外側から歯合する有底リング状の出力歯車45、出力歯車45の底部に形成された孔にその上部が圧入等によって固着された出力軸46等からなる不思議遊星歯車式減速機構40が設けられている。ここで、固定リング歯車47の歯数は、出力歯車45の歯数とは僅かに異なるように設定されている。
【0033】
出力軸46の上部の中心部には孔が形成され、該孔には太陽歯車41(ロータ支持部材56)とキャリア44の中心部を挿通した支持軸49の下部が挿通されている。この支持軸49の上部は、キャン58の内径と略同一の外径を有し、ロータ支持部材56の上側でキャン58に内接して配置される支持部材48の中心部に形成された孔に挿通されている。ロータ57自体は、支持部材48等によってキャン58の内部で上下動しないようになっており、キャン58に外嵌固定されたステータ55との位置関係が常に一定に維持されている。
【0034】
減速機構40の出力軸46の下部は、筒状の雌ねじ15i付き軸受部材15の上部に形成された嵌挿穴15aに回転自在に嵌挿され、出力軸46の下部には、その中心を通るように横方向に延びるスリット状の嵌合部46aが形成されている。雌ねじ15i付き軸受部材15の内周面に螺設された雌ねじ15iと螺合する雄ねじ17aが螺設された回転昇降軸17の上端には板状部17cが突設され、板状部17cがスリット状の嵌合部46aに摺動自在に嵌合されている。出力軸46がロータ57の回転に応じて回転すると、出力軸46の回転が回転昇降軸17に伝達され、軸受部材15の雌ねじ15iと回転昇降軸17の雄ねじ17aのねじ送りによって回転昇降軸17が回転しながら昇降する。
【0035】
回転昇降軸17の下端は、弁室7を通って弁体20内の内部壁23付近まで延設され、回転昇降軸17の下方への推力が、例えば回転昇降軸17に設けられたボール18及び内部壁23の嵌装穴23aに装着されたボール受座16を介して前記弁体20の内部壁23に伝達される。なお、回転昇降軸17と内部壁23との間にボール18を介在させることにより、例えば回転昇降軸17が回転しながら下降しても、回転昇降軸17から内部壁23へ下方への推力のみが伝達され、回転力は伝達されない。
【0036】
上記したように、弁体20の段部26と弁本体5の凹部6の底面との間には縮装ばね25が縮装されており、該縮装ばね25の付勢力(押し上げ力)によりボール18及びボール受座16を介して弁体20の内部壁23が回転昇降軸17に押し付けられ、モータ50のロータ57を回転駆動させると、回転昇降軸17と弁体20とが一体となって軸心L方向へ昇降する。
【0037】
したがって、モータ50のロータ57を一方向に回転駆動させると、減速機構40の出力軸46を介してロータ57の回転が回転昇降軸17に減速されて伝達され、雌ねじ付き軸受部材15の雌ねじ15iと回転昇降軸17の雄ねじ17aによるねじ送りによって回転昇降軸17が回転しながら例えば下降され、回転昇降軸17の推力により弁体20が縮装ばね25の付勢力に抗して押し下げられ、最終的には弁体20の下端22からなる第2弁体部が弁本体5の凹部6に設けられた弁座6aに着座して下端側開口20bが閉じられる。これにより、流体(冷媒)が流入口13aに接続された導管継手13から弁体20の連通口20c及び上端側開口20aを介して第1流出口11aに接続された導管継手11へ流れる(
図2参照)。
【0038】
それに対し、モータ50のロータ57を他方向に回転駆動させると、減速機構40の出力軸46を介してロータ57の回転が回転昇降軸17に減速されて伝達され、前記雌ねじ15iと雄ねじ17aによるねじ送りによって回転昇降軸17が回転しながら例えば上昇され、それに伴い弁体20が縮装ばね25の付勢力によって引き上げられ、弁体20の下端22からなる第2弁体部が弁本体5の凹部6に設けられた弁座6aから離間して下端側開口20bが開かれるとともに、最終的には弁体20の上端21からなる第1弁体部が軸受部材15の凹部19に設けられた弁座19aに着座して上端側開口20aが閉じられる。これにより、流体(冷媒)が流入口13aに接続された導管継手13から弁体20の連通口20c及び下端側開口20bを介して第2流出口12aに接続された導管継手12へ流れる(
図3参照)。
【0039】
本第1実施形態においては、弁体20の下端22もしくは上端21が弁本体5の凹部6に設けられた弁座6aもしくは軸受部材15の凹部19に設けられた弁座19aに着座して下端側開口20bもしくは上端側開口20aが閉じられる状態であっても、弁体20内の上端側の第1内部流路S1と下端側の第2内部流路S2とが連通口20c、20dを介して連通している。そのため、流入口13aに接続された導管継手13から流入する流体(冷媒)が、連通口20c、20dを介して弁体20内の第1内部流路S1及び第2内部流路S2の双方、すなわち筒状の弁体20内全体に流入する。したがって、筒状の弁体20の軸心L方向への移動による流路切換時に弁体20の移動方向(軸心L方向)に作用する力(弁体20に作用する押し下げ力と押し上げ力)をバランス(差圧をキャンセル)させることができ、流路切換時に弁体20に作用する荷重を可及的に小さくでき、ステッピングモータ50による弁体20の駆動トルクを低減できる。
【0040】
特に、本第1実施形態においては、弁室7を画成する壁面に設けられた傾斜面によって、弁体20の上端(一端)21及び下端(他端)22と接離する弁座19a、6aが形成される。これにより、弁体20の下端22もしくは上端21が弁本体5の凹部6に設けられた弁座6aもしくは軸受部材15の凹部19に設けられた弁座19aに着座して下端側開口20bもしくは上端側開口20aが閉じられる状態であっても、弁体20の上端面及び下端面と弁室7内の流体(冷媒)とを接触させることができるため、筒状の弁体20の軸心L方向への移動による流路切換時に弁体20の移動方向(軸心L方向)に作用する力を精緻にバランス(差圧をキャンセル)させることができる。
【0041】
また、本第1実施形態においては、弁体20の外周面と弁本体5の内周面との間をシールするシール部材2、3が弁本体5の内周面に形成された環状溝2a、3aに装着されている、各連通口20c、20dが内部壁23よりも上端側の第1内部流路S1と下端側の第2内部流路S2との双方に開口するように形成されている、また、弁体20の内部壁23よりも上端側及び下端側の内周面に段部24、26が設けられて当該弁体20が上下対称に形成されている。そのため、弁室7内に配置される弁体20の形状や構成を簡素化することができる。
【0042】
また、本第1実施形態においては、弁体20の外径が、連通口20c、20d、上端側開口20a、及び下端側開口20bが形成された部分で僅かに小さくなるように形成されると共に、弁本体5の内径が、流入口13a、第1流出口11a、及び第2流出口12aが形成された部分、特に(弁室7の上端側の第1流出口11aが形成された部分)で大きくなるように形成されている。さらに、第1流出口11aと流入口13aとの間の部分や第2流出口12aと流入口13aとの間の部分の内周面の上端及び下端は、第1流出口11a、第2流出口12a、及び流入口13aが形成された部分に向かって拡径するようにR付けされている。そのため、弁本体5の弁室7内に弁体20を簡便に嵌挿することができ、弁体20の組立工程を格段に簡素化できるといった利点もある。
【0043】
[第2実施形態]
図5は、本発明に係る流路切換弁の第2実施形態の全体構成を示す縦断面図、
図6は、その流路切換弁において、流体が流入口から第1流出口に流される状態を説明する縦断面図、
図7は、流体が流入口から第2流出口に流される状態を説明する縦断面図である。第2実施形態の流路切換弁1Aは、上記した第1実施形態の流路切換弁1に対し、弁体の外周面と弁本体の内周面との間をシールするシール部材の配置構成が相違しており、その他の構成は第1実施形態の流路切換弁1とほぼ同様である。したがって、第1実施形態の流路切換弁1と同様の構成については同様の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0044】
第2実施形態の流路切換弁1Aでは、弁体20Aの外周面のうち、上端側開口20aAと連通口20cA、20dAとの間及び下端側開口20bAと連通口20cA、20dAとの間の外周面(すなわち、弁本体5Aの流入口13aAと第1流出口11aAとの間及び流入口13aAと第2流出口12aAとの間の部分に対応する箇所)に環状溝27aA、28aAが形成され、その環状溝27aA、28aAに弁体20Aの外周面と弁本体5Aの内周面との間をシールするOリング等のシール部材27A、28Aが装着されている。
【0045】
より詳細には、弁体20Aは、上記した第1実施形態の弁体20を軸心方向で3分割した分割体から構成され、内部に段部24Aが形成され且つ上端側開口20aAを有する上端側円筒部31Aと、内部に段部26Aが形成され且つ下端側開口20bAを有する下端側円筒部32Aと、上端側円筒部31Aと下端側円筒部32Aとの間に配置され、側部に2つの連通口20cA、20dAが形成され且つ内部に内部壁23Aが形成された中央円筒部33Aとを有している。
【0046】
ここで、上端側円筒部31A及び下端側円筒部32Aの外周面は、中央円筒部33Aに向かって縮径するように段付きで形成され、一方で、中央円筒部33Aの上端側と下端側の内周面は、上端側円筒部31A及び下端側円筒部32Aに向かって拡径するように段付きで形成されている。中央円筒部33Aの上端側の内部に、上端側円筒部31Aの中央円筒部33A側の縮径部分の下端が圧入等により固定され、中央円筒部33Aの下端側の内部に、下端側円筒部32Aの中央円筒部33A側の縮径部分の上端が圧入等により固定されることで、上端側円筒部31Aと中央円筒部33Aと下端側円筒部32Aとが一体に形成されると共に、前記弁体20Aの外周面に前記シール部材27A、28Aが装着される環状溝27aA、28aAが形成される。
【0047】
すなわち、本第2実施形態では、上端側円筒部31Aの中央円筒部33A側の縮径部分にシール部材27Aを外挿し、中央円筒部33Aの上端側の内部に上端側円筒部31Aの中央円筒部33A側の縮径部分の下端を固定することによって、上端側開口20aAと連通口20cA、20dAとの間の外周面にシール部材27Aが装着される。また、下端側円筒部32Aの中央円筒部33A側の縮径部分にシール部材28Aを外挿し、中央円筒部33Aの下端側の内部に下端側円筒部32Aの中央円筒部33A側の縮径部分の上端を固定することによって、下端側開口20bAと連通口20cA、20dAとの間の外周面にシール部材28Aが装着される。
【0048】
なお、シール部材27A、28Aは、弁体20Aが軸心L方向に移動する際に、弁本体5Aの内径が縮径する部分(すなわち、流入口13aAと第1流出口11aAとの間及び流入口13aAと第2流出口12aAとの間の部分)と摺接する位置に配置される。
【0049】
したがって、本第2実施形態の流路切換弁1Aにおいては、上記した第1実施形態の流路切換弁1と同様、筒状の弁体20Aの軸心LA方向への移動による流路切換時に弁体20Aの移動方向に作用する力をバランス(差圧をキャンセル)させることができると共に、弁本体5Aの形状や構成を簡素化でき、かつ、弁室7A内への弁体20Aの嵌挿工程を含む流路切換弁1Aの組立工程を簡素化することができる。
【0050】
なお、本第2実施形態の流路切換弁1Aでは、弁体20Aの外径は軸心LA方向で略一定に形成されている。
【0051】
[第3実施形態]
図8は、本発明に係る流路切換弁の第3実施形態の全体構成を示す縦断面図である。第3実施形態の流路切換弁1Bは、上記した第1実施形態の流路切換弁1に対し、弁体の内部形状が相違しており、その他の構成は第1実施形態の流路切換弁1とほぼ同様である。したがって、第1実施形態の流路切換弁1と同様の構成については同様の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0052】
第3実施形態の流路切換弁1Bでは、弁体20Bの内部壁23Bよりも上端側の内周面の段部(第1実施形態における段部24)が省略され、内部壁23Bよりも上端側(第1内部流路S1B側)の内径が一定となり、その内径は第1実施形態の内径と比較して大きくなっている。
【0053】
本第3実施形態の流路切換弁1Bにおいては、上記した第1実施形態の流路切換弁1と同様、筒状の弁体20Bの軸心LB方向への移動による流路切換時に弁体20Bの移動方向に作用する力をバランス(差圧をキャンセル)させることができると共に、弁体20Bの内部流路SB、特に弁体20Bの内部壁23Bよりも上端側の第1内部流路S1Bの流路面積を大きく設定することができる。そのため、流入口13aBに接続された導管継手13Bから第1流出口11aBに接続された導管継手11Bへ流れる流体(冷媒)の流量を十分に確保することができる。
【0054】
[第4実施形態]
図9は、本発明に係る流路切換弁の第4実施形態の全体構成を示す縦断面図である。第4実施形態の流路切換弁1Cは、上記した第3実施形態の流路切換弁1Bに対し、弁体の連通口や内部壁の構成が相違しており、その他の構成は第3実施形態の流路切換弁1Bとほぼ同様である。したがって、第3実施形態の流路切換弁1Bと同様の構成については同様の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0055】
第4実施形態の流路切換弁1Cでは、弁体20Cの側部に、軸心LC方向で2列であって平面視で視た際に軸心LC周りで90度間隔に合計8つの連通口20caC〜20faC、20cbC〜20fbCが形成されている。上列の4つの連通口20caC〜20faCは、内部壁23Cよりも上端側の第1内部流路S1Cに開口し、下列の4つの連通口20cbC〜20fbCは、内部壁23Cよりも下端側の第2内部流路S2Cに開口するように形成されている。なお、各連通口20caC〜20faC、20cbC〜20fbCは、側面視で視た際に略円形状を呈している(
図10参照)。ここで、各連通口20caC〜20faC、20cbC〜20fbCの位置や大きさ、形状等は、弁室7C内で弁体20Cが移動した際に、軸心LC方向に並んで形成された連通口を介して弁本体5Cの流入口13aCと弁体20Cの内部流路SCとが常時連通するように設計されている。
【0056】
また、弁体20の内部に設けられた内部壁23Cは、弁体20Cの略中央部、すなわち軸心LC方向に並んで形成された連通口20caC〜20faCと連通口20cbC〜20fbCとの間の部分に該弁体20Cに一体に形成されており、したがって平面視で視た際に略円形状を呈している(
図10参照)。弁体20Cの内部流路SCは、この内部壁23Cによって、内部壁23Cよりも上端側の第1内部流路S1Cと下端側の第2内部流路S2Cとに分割され、上記したように、上列の4つの各連通口20caC〜20faCと下列の4つの連通口20cbC〜20fbCとが、内部壁23Cよりも上端側の第1内部流路S1Cと下端側の第2内部流路S2Cとにそれぞれ開口するように形成されている。
【0057】
また、内部壁23Cには、内部壁23Cよりも上端側の第1内部流路S1Cと下端側の第2内部流路S2Cとを連通するべく、軸心LC周りで90度間隔に4つの連通路29Cが軸心LC方向に沿って形成されている。
【0058】
したがって、弁体20Cを弁本体5Cの弁室7Cに嵌挿すると、弁本体5Cの流入口13aCと弁体20Cの第1内部流路S1C及び第2内部流路S2Cとが、連通口20caC〜20faC、20cbC〜20fbCのうち軸心LC方向に並んで形成された少なくとも2つの連通口(
図9中、連通口20caCと連通口20cbC)を介して常時連通するようになっている。
【0059】
本第4実施形態においても、上記した第1〜第3実施形態と同様、弁体20Cの下端22Cもしくは上端21Cが弁本体5Cの凹部6Cに設けられた弁座6aCもしくは軸受部材15Cの凹部19Cに設けられた弁座19aCに着座して下端側開口20bCもしくは上端側開口20aCが閉じられる状態であっても、弁体20C内の上端側の第1内部流路S1Cと下端側の第2内部流路S2Cとが、軸心LC方向で2列に並んで形成された連通口20caC〜20faC、20cbC〜20fbCと内部壁23Cに形成された連通路29Cとを介して連通している。そのため、流入口13aCに接続された導管継手13Cから流入する流体(冷媒)が、連通口20caC〜20faC、20cbC〜20fbCと連通路29Cを介して弁体20C内の第1内部流路S1C及び第2内部流路S2Cの双方、すなわち筒状の弁体20C内全体に流入する。したがって、筒状の弁体20Cの軸心LC方向への移動による流路切換時に弁体20Cの移動方向(軸心LC方向)に作用する力(弁体20Cに作用する押し下げ力と押し上げ力)をバランス(差圧をキャンセル)させることができ、流路切換時に弁体20Cに作用する荷重を可及的に小さくでき、ステッピングモータ50Cによる弁体20Cの駆動トルクを低減できる。
【0060】
また、本第4実施形態においては、弁体20Cの内部流路SCに開口する連通口が軸心LC方向で並んで形成され、各連通口が内部壁23Cよりも上端側の第1内部流路S1Cと下端側の第2内部流路S2Cとにそれぞれ開口するため、各連通口の開口面積を最適化することができる。そのため、弁室7C内に配置される弁体20Cの形状や構成を簡素化しながら、当該弁体20Cの強度を確保することができる。
【0061】
なお、上記した第4実施形態では、弁体20Cの構成を簡素化するために、軸心LC方向で2列に並んで形成された連通口のうち、上列の4つの連通口20caC〜20faCと下列の4つの連通口20cbC〜20fbCとが平面視で視た際に軸心LC周りで同じ位置に形成される形態について説明したが、上列の4つの連通口20caC〜20faCと下列の4つの連通口20cbC〜20fbCとは軸心LC周りでそれぞれ異なる位置に形成してもよいことは勿論である。
【0062】
また、上記した第1〜第4実施形態では、流体(冷媒)が流入口に接続された導管継手から第1流出口や第2流出口に接続された導管継手へ流れる形態について説明したが、当該流体を、第1流出口や第2流出口に接続された導管継手から流入口に接続された導管継手へ流してもよいことは勿論である。また、例えば
図1や
図5に示すような位置で弁体を静止させ、流体(冷媒)を、流入口に接続された導管継手から第1流出口に接続された導管継手と第2流出口に接続された導管継手の双方へ同時に流してもよい。
【0063】
さらに、上記した第1〜第4実施形態では、流入口13a、13aA、13aB、13aCが、第1流出口11a、11aA、11aB、11aCと第2流出口12a、12aA、12aB、12aCの略中間に設けられている形態について説明したが、本発明は特にこれのみに限定されることはなく、第1流出口と第2流出口の中間よりも第1流出口側又は第2流出口側に偏倚して設けられてもよい。この場合には、その偏倚量に応じて、弁体の側部に形成される連通口20c、20d、20cA、20dA、20cB、20dB、20caC、20cbC、20daC、20dbC…や、弁体の内部に形成される内部壁23、23A、23B、23Cの形成位置を調整すればよい。