【実施例1】
【0025】
図1を参照してパッケージ型空気圧縮機10の基本的構成について説明する。
図1は、屋外キャビネット100の開閉扉を取り外した状態が示されている。しかしながら、本発明は、パッケージ型空気圧縮機の構成に特徴があるものではなく、特許文献1(特許第5260426号公報)に示すパッケージ型空気圧縮機と実質同一の構成であり、他の公知技術のパッケージ型空気圧縮機と実質同一の構成である。本願明細書にでは、パッケージ型空気圧縮機自体の詳細な説明については省略するが、筐体2内に圧縮機本体3及びこの圧縮機本体3を駆動するモータやエアークーラーと、オイルクーラー(いずれも図示しない)などの主要構成部品を収容してパッケージ化している。本発明の実施例としてのパッケージ型空気圧縮機10は、圧縮機本体3を駆動して、筐体2の側面に形成するパッケージ空気取入れ口6から吸気した空気を圧縮するようになっている。この圧縮空気は、パッケージ型空気圧縮機10から必要箇所に供給される。また、筐体2内には換気扇7が内蔵されており、この換気扇7によってパッケージ空気取入れ口6(
図2)から取り込んだ空気により筐体2の機器を冷却し、その気流を外部に排気している。
【0026】
符号100は、パッケージ型空気圧縮機10を収容して屋外に設置するための屋外キャビネットである。この屋外キャビネット100については、主に
図1、
図3〜
図5を参照して説明する。なお、
図1、
図3は共に屋外キャビネット100の正面図を示しているが、
図1は前面パネルの開閉扉12A〜12Dを取り外した状態を示し、
図3は前面パネルの開閉扉12A〜12Dを取り付けた状態の屋外キャビネット100を示している。
【0027】
同図で示すように、屋外キャビネット100は、ベース11上にパッケージ型空気圧縮機10を囲む壁面として前面パネル12、左右の側面パネル13、14、背面パネル15及び天井パネル16を箱型に組んで内部にパッケージ型空気圧縮機10、及び配電盤17及びドレン処理装置18などの付帯設備を収容するための空間20を形成している。本発明は、配電盤17及びドレン処理装置18などの付帯設備の詳細に関するものではないので、本願明細書では特に説明しない。本発明の実施例においては、
図1、
図2に示すように、パッケージ型空気圧縮機10の周囲に空間20を形成する。そして、その空間20内において、パッケージ型空気圧縮機10を図示の左側に配置し、配電盤17及びドレン処理装置18を図示の右側に配置したレイアウトとしている。このように、パッケージ型空気圧縮機10は屋外キャビネット100の各パネル12〜16から所定距離隔てて設置されている。これにより、屋外キャビネット100内に配置されたパッケージ型空気圧縮機10の周囲に空気が流れるスペースを確保されている。
【0028】
また、
図3〜
図5に示すように、前面パネル12は、4枚の開閉扉12A〜12Dを備えており(
図3)、左側面パネル13は、中央の1枚の開閉扉13Aとその両側の配置した2枚の固定パネル13Bを備えており(
図5)、右側面パネル14は、1枚の開閉扉14Aと1枚の固定パネル14Bを備えており(
図4)、背面パネル15は、3枚の開閉扉15B〜15Dと1枚の固定パネル15Aを備えている(
図6)。なお、この実施例においては、後述する排気煙突の形状が、排気を屋外キャビネット100の背面に排出する形態であるために、図示した構成となっているが、これら前面パネル12、左右の側面パネル13、14、背面パネル15の組み合わせは
図3〜
図6に示す組み合わせに限らず、例えばスライド扉などの各種の開閉扉と固定パネルなど組み合わせによって構成することも可能である。
【0029】
本発明の実施例のパッケージ型空気圧縮機10を配置した屋外キャビネット100内には2系統の空気流路A(
図1及び2の一点鎖線の矢印)及びB(
図1及び2の細実線の矢印)が形成されている。この空気流路A,Bは、それらの排気出口側において夫々が独立した排気径路を備えている。なお、本発明において、夫々が独立した2つの排気径路とは、少なくとも屋外キャビネット100からの2つの排気経路が繋がっていないことを意味する。
【0030】
まず、屋外キャビネット100内に形成される2系統の空気流路A(
図1及び2の一点鎖線の矢印)及び空気流路B(
図1及び2の細実線の矢印)について説明する。空気流路Aは、屋外キャビネット100外の外気がパッケージ型空気圧縮機10内に取り込まれ、パッケージ型空気圧縮機10を構成する各種機器を冷却し、パッケージ型空気圧縮機10に内蔵されている換気扇7によって外部に排出される空気流である。また、空気流路Bは、屋外キャビネット100外の外気が屋外キャビネット100内に取り込まれ、パッケージ型空気圧縮機10の周囲を流れてパッケージ型空気圧縮機10を冷却し、強制排気手段27によって外部に排出される空気流である。
【0031】
なお、
図1〜
図6に示された実施例においては、屋外キャビネット100外の外気を取り込むために、前面パネル12には、左側2枚の開閉扉12A及び12Bに夫々外気取入れ口21,21及び22,22が形成され(
図3)、左側面パネル13には、中央の1枚の開閉扉13Aに外気取入れ口23,23(
図5)が形成され、右側面パネル14には、1枚の開閉扉14Aに外気取入れ口30,30が形成されている(
図4)。本実施例においては、背面パネル15には、3枚の開閉扉15B〜15Dと1枚の固定パネル15Aを備えているが外気取入れ口は形成していない(
図6)。
【0032】
さらに、空気流路Aについて主に
図1、
図2を参照して説明する。パッケージ型空気圧縮機10の筐体2には、その右側面にパッケージ空気取入れ口6が形成され、このパッケージ空気取入れ口6と対面する側の右側面パネル14の開閉扉14Aに外気取入れ口30が形成されている(
図2)。そして屋外キャビネット100の天井パネル16には排気口31が形成されている。そして、この空気流路Aの空気を屋外に排出するために、第1の排気
径路(一方の排気径路)を構成され、排気煙突32が排気口31を覆うようにして天井パネル16上に固定されている。この第1の排気
径路(一方の排気径路)には強制排気手段が備えていないが、補助排気手段としてパッケージ型空気圧縮機10に内蔵する換気扇7を利用して、筐体2のパッケージ空気取入れ口6から筐体2内に空気を取り込んで、筐体2内の各機器を冷却し、排気口31を経て第1の排気
径路(一方の排気径路)を構成する排気煙突32から排出させている。これにより、
図1及び
図2において、網点矢印Dで示すように外気取入れ口21,22,23及び30から外気が取り込まれ、さらに、その外気がパッケージ空気取入れ口6から取り込まれてパッケージ型空気圧縮機10内を通過して各機器を冷却し、
図1及び
図2において一点鎖線の矢印Aで示すように排気口31に至る空気流路Aが形成され、この空気流路Aを流れる空気が第1の排気
径路(一方の排気径路)を構成する排気煙突32から外部に排気される。パッケージ空気取入れ口6から取り込まれる空気は、近くに存在し対面する右側面パネル14の外気取入れ口30から屋外キャビネット100内に取り込まれた空気が多いとしても、全面パネル12及び左側面パネル13の外気取入れ口21,22及び23から屋外キャビネット100内に取り込まれた空気も含まれる。
【0033】
次に、空気流路Bについて説明する。
図1、
図2などで示すように、前面パネル12の左側2枚の開閉扉12A,12Bと、左側面パネル13の開閉扉13Aにそれぞれ外気取入れ口21,22及び23が形成され、さらに、天井パネル16に排気口24が設けられている。そして、第2の排気経路(他方の排気径路)として排気煙突32が排気口31を覆うようにして天井パネル16上に固定されている。排気煙突25には強制排気手段として排気ファン27が内蔵されており、この排気ファン27によって、
図2において太実線矢印Cで示すように主に外気取入れ口21,22及び23から取り込まれる外気を、パッケージ型空気圧縮機10の周囲を通過させて排気口24から排出することによって、
図1及び
図2において細実線の矢印Bで示すように外気取入れ口21,22,23から排気口24へと至る空気流路Bが形成され、この空気流路Bを流れる空気が第2の排気径路(他方の排気径路)を構成する排気煙突25から外部に排気される。
【0034】
すなわち、空気流路Aを流れる空気流は、筐体2内の各機器を冷却し、排気口31を経
て第1の排気
径路(一方の排気径路)を構成する排気煙突32から排出させている。そし
て、空気流路Bを流れる空気流は、パッケージ型空気圧縮機10の周囲を通過させて冷却
し、またパッケージ型空気圧縮機10を外気熱から遮断して、空気を排気口24から排出
する。
【0035】
このような、パッケージ型空気圧縮機10を収容して屋外に設置するための屋外キャビネット100においては、パッケージ型空気圧縮機10の筐体2に、外気を取り込むための外気取入れ口が複数の箇所に複数個設けられる。本実施例の筐体2においては、パッケージ空気取入れ口6に対面した右側面パネル14には、キャビネット外気取入れ口30が形成されており、当該パッケージ空気取入れ口6に対面していない前面パネル12と左側面パネル13には、キャビネット外気取入れ口21,22及び23が形成されている。このように、キャビネット外気取入れ口21,22,23及び30を構成する理由は、パッケージ型空気圧縮機10の筐体2の周囲に十分な空気流を形成して、外界からの断熱とパッケージ型空気圧縮機10の冷却効果を増大させるためである。つまり、空気流路Bに十分な空気流量を確保するためである。
【0036】
上記の目的のために、本出願人は本発明のパッケージ型空気圧縮機を屋外に設置するための屋外キャビネット及び屋外設置型空気圧縮機システムにおいて、キャビネット外気取入れ口の配置位置及び配置個数(合計開口面積に換算可能)を実験的に検証した。この実験的実証により、本出願人は、パッケージ空気取入れ口6に対面した側のキャビネット外気取入れ口30,30の空気取入れ口の合計開口面積をacm
2とし、パッケージ空気取入れ口6に対面していない側のキャビネット外気取入れ口21,21,22,22及び23,23の合計開口面積をbcm
2とすると、a:bの開口比率は、a:b≒1:3とするのが好ましいことを見出した。また実験的実証により、このa:bの開口比率は、
1/4<a/b<2/5・・・・・(式1)
となるようにすれば、パッケージ型空気圧縮機10の筐体2の周囲に十分な空気流を形成することができるものである。
【0037】
キャビネット外気取入れ口の配置位置と配置個数(合計開口面積に換算可能)において、上記式1を満足するためには、前面パネル12と左側面パネル13の他にも背面パネル15にキャビネット外気取入れ口を形成することも考えられる。あるいは、パッケージ空気取入れ口6に面したキャビネット外気取入れ口30を右側面パネル14に2以上のキャビネット外気取入れ口を形成するなどの適宜選定すればよい。要は屋外キャビネット100内を流れる夫々は独立した2つの空気が流れる空気流路A及びBが形成され、その内でも空気流路Bの空気流が十分に確保できればよい。そのためにも、a:bの開口比率は、1/4<a/b<2/5の範囲内、好ましくはa/b≒1/3となるように各外気取入れ口21,22,23,30の開口面積を設定すれば、その効果は高い。
【0038】
このように、パッケージ型空気圧縮機10の筐体2に形成さ
れたパッケージ空気取入れ口6に対面した側のキャビネット外気取入れ口30の合計開口面積aと、パッケージ空気取入れ口6に対面していない側のキャビネット外気取入れ口21,22,23の合計開口面積bとの比率を1/4<a/b<2/5の範囲内、好ましくはa/b≒1/3となるようにすること
により、パッケージ空気取入れ口6に対面した側のキャビネット外気取入れ口30からパッケージ型空気圧縮機10内に取り入れられる外気よりも、パッケージ空気取入れ口6に対面していない側のキャビネット外気取入れ口21,22,23から屋外キャビネット100内に取り入れられる外気をより多
く取り入れることができる。そして、その取り入れた外気が十分な空気量の空気流路Bを形成し、パッケージ型空気圧縮機10の周囲を流れて排気口24、排気煙突25から外部に排気される。これにより、例えば、外気温の高い夏場などにおいても、十分な空気量の空気流路Bにより屋外キャビネット100内に籠る熱を効果的に外部に発散することができる。このように、パッケージ型空気圧縮機10の周囲の温度上昇を抑えながら、筐体2に形成するパッケージ空気取入れ口6に対面した右側面パネル14の外気取入れ口30から外気を取り込み、パッケージ型空気圧縮機10自体に備えた換気扇7を強制排気手段として利用し、この換気扇7によって筐体2のパッケージ空気取入れ口6から一旦筐体2を通過させて圧縮機
本体3の周囲に流れる空気流Aを排気煙突32から外部に排気するこ
とができる。これにより、筐体2内に籠る熱を効果的に外部に発散することができる。
【0039】
従って、パッケージ型空気圧縮機10を屋外で使用する際、特に、直射日光が当たる環境下で設置する場合、パッケージ型空気圧縮機10の駆動による排熱に加え、夏場などの外気温の影響によってパッケージ型空気圧縮機10を収容する屋外キャビネット100内の温度が上昇するが、十分な空気流路Bが形成され、排気煙突25から外部へと排気され、屋外キャビネット100内の温度上昇を効果的に抑えることができる。加えて、主に外気取入れ口30から取り入れた外気を一旦パッケージ型空気圧縮機10を通過させる空気流路Aが排気煙突32から外部へと排気することによってパッケージ型空気圧縮機10の各機器から発散する熱を効率的に外部に排出することができる。
【0040】
また、屋外の環境下で使用するパッケージ型空気圧縮機10は、屋外キャビネット100内への雨水の浸入を防止する対策も必要となるため、屋外キャビネット100内に外気を取り込むための外気取入れ口21,22,23,30にそれぞれ雨戸手段を備えている。この雨戸手段について
図7を参照して説明する。
【0041】
雨戸手段は、各外気取入れ口21,22,23,30を覆う傾斜した複数のルーバー35と、そのルーバー35の外側に覆うカバー36とで構成されている。カバー36は、平板部37の左右両端及び上縁から側板38と天板39を折曲して平断面コ字状に形成され、外気取入れ口21,22,23,30の周囲にはカバー36を着脱自在に装着する取付枠
4が取り付けられている。この取付枠
4にカバー36を装着することによって、外気取入れ口21,22,23,30とカバー36との間に一定の間隔が保持され、カバー36の下部に開口部36aが形成される。この開口部36aから各ルーバー35間を通って外気取入れ口21,22,23,30から外気が取り込まれる。また、ルーバー35の前面側はカバー36で覆われ、外気取入れ口21,22,23,30から直接的に浸入する雨水を遮ることができ、仮に風雨の影響などによってカバー36と屋外キャビネット100との隙間から雨水が浸入したとしても傾斜したルーバー状のルーバー35によって外気取入れ口21,22,23,30からの雨水の侵入を効果的に防止することができる。
【0042】
また、天井パネル16に設置する排気煙突25,32には排気口24,31の頂部を覆うカバー部25a,32aが形成され、このカバー部25a,32aによって排気口24,31からの雨水の侵入を効果的に防止することができる。この実施例においては、カバー部25a,32aが、排気を背面パネル15側に排気するように構成されているために、背面パネル15側にはキャビネット外気取入れ口が形成されていない。
【0043】
以上のように本実施例では、外気温の影響によって上昇する屋外キャビネット100内に籠る熱を効率的に外部に発散することができ、さらに、屋外キャビネット100内に収納するパッケージ型空気圧縮機10に籠る熱を効率的に外部に発散することができ、その相乗的効果によって、パッケージ型空気圧縮機10の熱による悪影響を抑制することができる。また、パッケージ型空気圧縮機10に内蔵する換気扇7を強制排気手段として利用するため、組み付け部品点数を抑えてコストの低減にも寄与できる。
【0044】
また、外気取入れ口21,22,23,30は、傾斜した複数のルーバー35とこのルーバー35を覆うカバー36で覆われるとともに、天井パネル16に形成する各排気口24,31が排気煙突25,32に形成するカバー部25a,32aで覆われているため、雨水の浸入を効果的に防止し、パッケージ型空気圧縮機10を安全に運転することができる。