特許第6332968号(P6332968)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6332968ククルビン酸化合物およびアクリルコポリマーを含む化粧用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6332968
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】ククルビン酸化合物およびアクリルコポリマーを含む化粧用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/365 20060101AFI20180521BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20180521BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20180521BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20180521BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   A61K8/365
   A61K8/06
   A61K8/81
   A61Q5/00
   A61Q19/00
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-545213(P2013-545213)
(86)(22)【出願日】2011年12月15日
(65)【公表番号】特表2014-500284(P2014-500284A)
(43)【公表日】2014年1月9日
(86)【国際出願番号】EP2011072979
(87)【国際公開番号】WO2012084699
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2014年11月18日
【審判番号】不服2016-10781(P2016-10781/J1)
【審判請求日】2016年7月15日
(31)【優先権主張番号】1060817
(32)【優先日】2010年12月20日
(33)【優先権主張国】FR
(31)【優先権主張番号】61/427,234
(32)【優先日】2010年12月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヤエル・シャルビ
【合議体】
【審判長】 大熊 幸治
【審判官】 長谷川 茜
【審判官】 関 美祝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−238388(JP,A)
【文献】 特開2006−8796(JP,A)
【文献】 特開2003−300856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的に許容できる水性媒体中に、下記の式(I)の化合物:
【化1】
(式中:
R1は、COOR3基を表わし、式中、R3は、水素原子を表わし;
R2は、直鎖状で1から18個の炭素原子を有するか、または分枝状もしくは環状で3から18個の炭素原子を有する飽和または不飽和の炭化水素基を表わす);
ならびにこれらの光学異性体および対応する塩から選択される化合物と、
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸とヒドロキシル化C2〜C4アルキル(メタ)アクリレートとの、任意選択で塩化されているコポリマーを含む、非発泡性の組成物。
【請求項2】
前記化合物(I)において、R2が、2から6個の炭素原子を有する飽和または不飽和の直鎖状炭化水素基を表わすことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記化合物(I)が3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記式(I)の化合物が、組成物の全重量に対して、1重量%から10重量%の量で存在することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸とヒドロキシル化C2〜C4アルキル(メタ)アクリレートとのコポリマーが、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミノアルコール塩およびアミノ酸塩から選択される塩の形態で塩化されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸とヒドロキシル化C2〜C4アルキル(メタ)アクリレートとのコポリマーが、ナトリウム塩の形態で塩化されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸とヒドロキシル化C2〜C4アルキル(メタ)アクリレートとのコポリマーが、組成物の全重量に対して0.1重量%から10重量%の量で存在することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記コポリマーが、組成物の全重量に対して0.5重量%から5重量%の量で存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
水中油型エマルションの形態を取ることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
ケラチン物質の非治療的処置のための方法であって、前記ケラチン物質に請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物を適用することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ククルビン酸化合物および2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸コポリマーを含む組成物、特に化粧用組成物、ならびにヒトのケラチン物質を処置するための方法におけるこれら組成物の使用に関する。
より詳細には、本発明の組成物はケラチン物質のケアおよび/またはメークアップを意図している。
【0002】
本発明の目的において、「ケラチン物質」は、例えば、皮膚、粘膜、唇、頭皮、睫毛、眉毛および頭髪を意味するものと理解される。
【背景技術】
【0003】
欧州特許出願EP-A-1333021は、皮膚の落屑を促進するため、および表皮再生を活発化させるため、皮膚老化の兆候に対処し、肌の色の明色性を高めおよび/または顔の皮膚を滑らかにするための、3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸などのククルビン酸水添化合物を開示している。仏国特許出願FR-A62921255は同様に、これら化合物の脱色素剤としての使用を記述している。
【0004】
しかし、前記ククルビン酸水添化合物の水性化粧用処方への導入は、少なからぬ粘度の低下を伴うことがあり、それにより組成物に実質的な流動性を生じさせ、結果として組成物の不安定化を引き起こすことがある。
【0005】
組成物の流動性が高過ぎるとケラチン物質への適用は困難である。この種の組成物は、それを適用したケラチン物質、特に皮膚から流れ去る。処置を所望する対象であるケラチン物質への組成物の適用は、正確さを欠き、そのことが組成物の使用をかなり魅力のないものにする。
【0006】
さらに、ククルビン酸水添化合物の存在は、ある種の従来型ゲル化剤の増粘力を損なうことが見出されている。
【0007】
したがって、経時的に、特に周囲温度(25℃)で2ヶ月間保管後に、高度な安定性を示し、実質的に流動化しないククルビン酸化合物を含む化粧用組成物に対するニーズが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願EP-A-1333021
【特許文献2】仏国特許出願FR-A62921255
【特許文献3】仏国特許出願FR-A-2856691
【特許文献4】欧州特許出願EP-A-1702609
【特許文献5】国際特許出願WO-A-2009/080958
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「The HLB system. A time-saving guide to Emulsifier Selection」(出版ICI Americas Inc.;1984年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、これらのニーズを満たすことである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
より具体的には、本発明は、水性媒体を含む生理学的に許容できる媒体中に、下記のような、少なくとも1つの式(I)のククルビン酸化合物および少なくとも1つの特定の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸コポリマーを含む、非発泡性組成物に関する。
【0012】
本発明の組成物は、より詳細には化粧用組成物である。
【0013】
驚くべきことに、本発明者らは、特定の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸コポリマーを含む組成物にククルビン酸化合物を添加することにより、経時的に安定で、実質的に流動化しない組成物が生成することを見出している。
【0014】
さらに、本発明の組成物は、例えばべたつきが少なく、(擦り延ばすことなく)容易に広がり、かつ快適さをもたらすなどの良好な美容特性を示す。
【0015】
本発明はまた、ケラチン物質に本発明の組成物を適用することを含む、前記ケラチン物質の非治療的ケアまたはメークアップ処置のための方法にも関する。この種の方法は、有利には皮膚のケアまたはメークアップを意図している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ククルビン酸から誘導される化合物は、下記の式(I)に従う化合物:
【0017】
【化1】
【0018】
(式中:
R1は、COOR3基を表わし、式中、R3は、水素原子または1つもしくは複数のヒドロキシル基で任意選択で置換されているC1〜C4アルキル基を意味し;
R2は、直鎖状で1から18個の炭素原子を有するか、または分枝状もしくは環状で3から18個の炭素原子を有する飽和または不飽和の炭化水素基を表わす);
ならびにこれらの光学異性体および対応する塩
から選択される化合物である。
【0019】
好ましくは、R1は、-COOH、-COOMe、-COO-CH2-CH3、-COO-CH2-CH(OH)-CH2OH、-COOCH2-CH2-CH2OH、-COOCH2-CH(OH)-CH3から選択される基を意味する。優先的には、R1は、-COOH基を意味する。
【0020】
優先的には、R2は、好ましくは2から7個の炭素原子を有する飽和または不飽和の直鎖状炭化水素基を意味する。より特定すると、R2は、ペンチル基、ペンテニル基、ヘキシル基またはヘプチル基であってよい。
【0021】
一実施形態によれば、式(I)の化合物は、3-ヒドロキシ-2-[(2Z)-2-ペンテニル]シクロペンタン酢酸または3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸から選択される。好ましくは、化合物(I)は3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸であり、この化合物は特にナトリウム塩の形態であってよい。
【0022】
本発明に基づき使用されてよい化合物の塩は、より特定すると、ナトリウム塩およびカリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩およびストロンチウム塩などのアルカリ土類金属塩、および亜鉛塩、アルミニウム塩、マンガン塩および銅塩などの金属塩;式NH4+のアンモニウム塩;第四級アンモニウム塩;メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン、2-ヒドロキシエチルアミン、ビス(2-ヒドロキシエチル)アミンおよびトリ(2-ヒドロキシエチル)アミン塩などの有機アミンの塩;ならびにリジンおよびアルギニン塩から選択される。ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、ストロンチウム塩、銅塩、マンガン塩および亜鉛塩から選択される塩の使用が優先される。優先的にはナトリウム塩が使用される。
【0023】
上記に定義の式(I)の化合物は、本発明の組成物中に、組成物の全重量に対して1重量%から10重量%、好ましくは1.5重量%から5重量%の量で存在してよい。
【0024】
本発明の組成物は、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸とヒドロキシル化C2〜C4アルキル(メタ)アクリレートとの、任意選択で塩化されているコポリマーを含む。
【0025】
ヒドロキシル化C2〜C4アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2,3-ジヒドロキシプロピルおよびメタクリル酸2,3-ジヒドロキシプロピルから選択されてよい。
【0026】
前記コポリマーは、塩化されていてよく、特に、例えばナトリウム塩またはカリウム塩などのアルカリ金属塩の形態、またはアンモニウム塩の形態、または例えばモノエタノールアミン塩などのアミノアルコール塩の形態、または例えばリジン塩などのアミノ酸塩の形態であってよい。
有利にはコポリマーはナトリウム塩の形態で塩化されている。
【0027】
組成物は好ましくは、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸とアクリル酸2-ヒドロキシエチルとのコポリマー、特にナトリウム塩の形態のもの、例えば、Sepinov(登録商標) EMT 10またはSimulgel(登録商標) NSの商品名でSEPPICにより販売されているコポリマー(INCI名:ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー)などを含む。
【0028】
この種のポリマーは、仏国特許出願FR-A-2856691に記述されている。
【0029】
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸とヒドロキシル化C2〜C4アルキル(メタ)アクリレートとのコポリマーは、本発明の組成物中に、組成物の全重量に対して0.1重量%から10重量%の量で存在してよい。前記コポリマーの量は、好ましくは組成物の全重量に対して0.5重量%から5重量%であってよい。
【0030】
有利には、上記の式(I)のククルビン酸化合物(Aと称する)および2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸とヒドロキシル化C2〜C4アルキル(メタ)アクリレートとのコポリマー(Bと称する)は、本発明の組成物中に、0.5から4のA/B重量比で存在してよい。
好ましくは、このA/B重量比は、0.5から3であってよい。優先的には、このA/B重量比は、0.5から2.5であってよい。
【0031】
本発明の組成物は、非発泡性組成物であり、発泡性界面活性剤を含まない。
発泡性界面活性剤は、洗剤であり、乳化剤とはHLB値(親水性/親油性バランス)が異なっている。HLBは分子中の親水性部分と親油性部分との比率である。用語HLBは、当業者にはよく知られており、例えば、「The HLB system. A time-saving guide to Emulsifier Selection」(出版ICI Americas Inc.;1984年)に記述されている。乳化剤では、HLBは一般に、W/Oエマルションの製剤で3から8であり、O/Wエマルションの製剤で8から18であるが、その一方で、発泡性界面活性剤は一般に20超のHLBを有する。発泡性界面活性剤は、例えば、欧州特許出願EP-A-1702609に記述されている。
【0032】
本発明の組成物の粘度は当業者に既知のあらゆる方法、特に下記の従来方法によって測定することができる。したがって、測定は、200rpmで回転するスピンドルを備えたRheomat 180を使用して25℃で行うことができる。当業者であれば、その一般的知識に基づき、測定の実施が可能であるように、スピンドルM1またはM2またはM3またはM4から、粘度測定を可能にするスピンドルを選択することができる。
【0033】
本発明の組成物は、生理学的に許容できる水性媒体を含む。
「生理学的に許容できる媒体」は、例えば、非限定的に、皮膚、粘膜、爪、頭皮および/または頭髪などのヒトのケラチン線維および/またはケラチン物質との適合性のある媒体を意味する。
この生理学的に許容できる水性媒体は、1つの水相を、任意選択で、C1〜C8アルコール、特にエタノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、n-ブタノール;グリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどのポリオール、およびポリオールエーテルなどの1つまたは複数の有機溶媒との混合物として、またはそれらの1つまたは複数の有機溶媒を伴わずに、含む。
【0034】
本発明の組成物はまた、関連応用分野において通常使用される油、ガムおよびワックスを含むことのある脂肪相をも含んでよい。
【0035】
したがって、一実施形態によれば、本発明の組成物は、周囲温度(20〜25℃)および大気圧で固体である脂肪相および/または周囲温度(20〜25℃)および大気圧で液体である脂肪相から選択される少なくとも1つの脂肪相をさらに含んでよい。
【0036】
本発明の実施に適した液体脂肪相は、揮発油、不揮発油、およびこれらの混合物を含んでよい。揮発油または不揮発油は、炭化水素油、特に動物もしくは植物由来の炭化水素油、合成油、シリコーン油、フッ素油またはこれらの混合物であってよい。
【0037】
本発明の実施に適した固体脂肪相は、例えば、ペースト状脂質、ガムおよびこれらの混合物から選択されてよい。
【0038】
本発明において使用されてよい油には、鉱油(流動パラフィン)、植物油(シアバターの液体留分、ヒマワリ油)、合成油(パーセリン油)、シリコーン油またはワックス(シクロメチコン)、およびフッ素油(パーフルオロポリエーテル)が含まれる。これらの油には、脂肪アルコールおよび脂肪酸(ステアリン酸)を混合してもよい。
【0039】
組成物がエマルションであるとき、脂肪相の割合は、組成物の全重量に対して、5重量%から80重量%、好ましくは5重量%から50重量%であってよい。エマルション形態の組成物に使用される油、ワックス、乳化剤および補助乳化剤は、化粧品分野において従来使用されているものから選択される。
【0040】
1つまたは複数の乳化剤は、本発明の組成物中に、組成物の全重量に対して0.3重量%から30重量%、より特定には0.5重量%から20重量%の割合で存在してよい。
【0041】
本発明の組成物は、関連分野の範囲内の慣習的なアジュバント、例えば乳化剤、親水性または親油性のゲル化剤、ワックス、親水性または親油性の添加剤、防腐剤、抗酸化剤、溶媒、香料、フィラー、UVAおよび/またはUVBフィルター(有機または無機、溶解性または不溶性)、顔料、線維、キレート剤、臭気吸収剤、着色剤ならびに他の化粧品用活性成分などをもまた含んでよい。
【0042】
これら種々のアジュバントの量は、化粧品分野において従来使用されてきた量であり、例えば、組成物の全重量に対して0.01%から30%まで変動してよい。一般的に言えば、その量は製造される処方に応じて調節される。これらのアジュバントは、その種類に応じて、脂肪相、水相および/または脂質小球体中に導入されてよい。
【0043】
本発明の組成物は、有利には、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ホモポリマーを、より特定すれば、部分的または全体的に中和された形態で含んでよい。この種のポリマーは、皮膚に適用したときに、組成物のべたつきを低減することができる。
【0044】
優先的には、前記ホモポリマーは、無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水)あるいはモノ-、ジ-またはトリ-エタノールアミン、アミノメチルプロパンジオール、N-メチルグルカミンなどの有機塩基、アルギニンおよびリジンなどの塩基性アミノ酸、ならびにこれら化合物の混合物によって部分的または全体的に中和されていてよい。前記ホモポリマーは一般的に中和されている。本発明において「中和された」は、全体的またはほとんど全体的に中和されたポリマー、言い換えれば少なくとも90%程度まで中和されたポリマーを意味する。
【0045】
ホモポリマーは、1000から20000000g/mol、好ましくは20000から5000000g/mol、より好ましくは100000から1500000g/molの数平均分子量を有してよい。
【0046】
ホモポリマーは、特にフリーラジカル重合によって得られる架橋ポリマーに対して通常使用されるポリオレフィン系不飽和化合物から選択され得る架橋剤を用いて架橋されていてよい。
【0047】
架橋剤には、例えば、ジビニルベンゼン、ジアリルエーテル、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリグリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ハイドロキノンジアリルエーテル、エチレングリコールまたはテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、トリアリルアミン、シアヌル酸トリアリル、マレイン酸ジアリル、テトラアリルエチレンジアミン、テトラアリルオキシエタン、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリル(メタ)アクリレート、一連の糖由来のアルコールのアリルエーテル、あるいは多官能性アルコールの他のアリルまたはビニルエーテル、ならびにリン酸および/またはビニルホスホン酸誘導体のアリルエステル、ならびにこれら化合物の混合物が含まれる。
【0048】
本発明の好ましい一実施形態によれば、架橋剤は、メチレンビスアクリルアミド、アリルメタクリレート、またはトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)から選択される。架橋度は、一般に、ポリマーに対して0.01から10mol%、より特定には0.2から2mol%である。
【0049】
この種類のポリマーには、特に、ClariantによりHostacerin(登録商標) AMPSの商品名(CTFA名: ポリアクリルジメチルタウラミドアンモニウム)で販売されている架橋されかつ中和された2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ホモポリマーが含まれる。
【0050】
本発明の組成物は、意図することが可能ないかなる処方形態を取ってもよい。特に、本発明の組成物は、水性または水-アルコール溶液;ディスパーション;油中水型、水中油型または多相エマルション;サスペンション;マイクロカプセルまたは微粒子;イオン性および/または非イオン性ベシクルディスパーション;あるいは加圧噴射剤をさらに含むエアゾール組成物の形態を有してよい。本発明の組成物は、優先的には;水中油型または油中水型エマルションであってよい。より好ましくは、本発明の組成物は水中油型エマルションである。
【0051】
組成物が油性相を含むとき、この相はシリコーンエラストマーを含んでよい。シリコーンエラストマーの例は、国際特許出願WO-A-2009/080958に記述されている。
【0052】
本発明の組成物はまた、ケア製品、サンまたはアフターサン製品、日常の光防御のためのケア製品、ボディ用製品、顔または首への適用のためのファンデーション、コンシーラー製品、肌色修正用製品、顔のメークアップのための着色されたクリームまたはメークアップベース、あるいはボディ用メークアップ組成物の形態を取ってよい。
【0053】
本発明の組成物は、表皮の、より特定すれば、皮膚の全体的状態を向上させるため、特にその生理学的機能および/または審美的外観を維持しまたは回復させるために使用されてよい。
【0054】
本発明の他の特徴および優位性は、例示的にではあるが限定的にではなく示される下記の実施例によってより明確にされることになる。上記および下記の文章において、別段の指示がない限り、割合は重量パーセントとして示される。
【0055】
(実施例)
(比較実施例1から4)
下記の表に記載の4つの組成物(フェイスケアクリーム)を作製した:3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸のナトリウム塩および2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム/メタクリル酸2-ヒドロキシエチルコポリマーを含む本発明に基づく2つの組成物(実施例3および4)、ならびに2つの非発明組成物(1つは2つの化合物を含まない組成物(比較例2)であり、もう1つはコポリマーを含まない組成物(比較例1))である。
次いで、周囲温度で24時間保管後の組成物の粘度の測定を行った(粘度は25℃においてスピンドルM3を付けたRheomat 180を用いて200回転/分で10分間回転させた後測定した)。
組成物をさらに25℃、900Gで1時間遠心分離した。
さらに、組成物を顕微鏡を用いて評価した。
また、各組成物の安定性について周囲温度(25℃)および45℃での2ヶ月間の保管後に評価を行った。
得られた結果は下記の通りであった:
【0056】
【表1A】
【0057】
【表1B】
【0058】
これらの試験は、対照処方(比較例2)が安定であることを示している。
3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸のナトリウム塩のみを含む処方(比較例1)は安定ではない:対照ビヒクル中にこの活性成分を導入することが組成物を不安定化する。
3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸のナトリウム塩および2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム/メタクリル酸2-ヒドロキシエチルコポリマーを含む本発明の処方(実施例3)は安定である。したがって、このコポリマーは酸性の活性成分を含む組成物を安定化する。
さらに、アンモニア水で部分的に中和され、高度に架橋されたポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(ClariantのHostacerin AMPS(登録商標))を追加的に含む実施例3の組成物は、皮膚に適用したとき、実施例4の組成物よりもべたつきの少ない外観を示す。
【0059】
(比較実施例5から7)
下記の表に記載の3つの組成物(フェイスケアクリーム)を作製した:3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸のナトリウム塩および2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム/メタクリル酸2-ヒドロキシエチルコポリマーを含む本発明に基づく1つの組成物(実施例7)、ならびに2つの非発明組成物:1つはコポリマーを含まない組成物(比較例5)でありもう1つは酸性の活性成分を含まない組成物(比較例6)である。
【0060】
次いで組成物の粘度を前記実施例において記載のものと同じ条件下で測定した。
さらに、組成物を顕微鏡を用いて評価した。
得られた結果は下記の通りであった:
【0061】
【表2A】
【0062】
【表2B】
【0063】
本発明に基づく実施例7の組成物は安定であるが、その一方で2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム/メタクリル酸2-ヒドロキシエチルコポリマーを含まない比較例5の組成物は、安定ではない。