特許第6332969号(P6332969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6332969ククルビン酸化合物および疎水性イヌリンを含む化粧用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6332969
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】ククルビン酸化合物および疎水性イヌリンを含む化粧用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/365 20060101AFI20180521BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20180521BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20180521BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20180521BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   A61K8/365
   A61K8/06
   A61K8/73
   A61Q5/00
   A61Q19/00
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-545215(P2013-545215)
(86)(22)【出願日】2011年12月15日
(65)【公表番号】特表2014-500285(P2014-500285A)
(43)【公表日】2014年1月9日
(86)【国際出願番号】EP2011072982
(87)【国際公開番号】WO2012084701
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2014年11月18日
【審判番号】不服2016-10697(P2016-10697/J1)
【審判請求日】2016年7月14日
(31)【優先権主張番号】1060829
(32)【優先日】2010年12月20日
(33)【優先権主張国】FR
(31)【優先権主張番号】61/427,235
(32)【優先日】2010年12月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヤエル・シャルビ
【合議体】
【審判長】 大熊 幸治
【審判官】 長谷川 茜
【審判官】 関 美祝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−238388(JP,A)
【文献】 特開2007−45760(JP,A)
【文献】 Karl Booten,Nature−Based Emulsifiers & Their Cosmetic Applications,HAPPI,米国,RODMAN PUBLISHING,2004年 3月,P66−67
【文献】 K.Booten,Polymeric, carbohydrate−based surfactants and their use in personal care applications,SOFW−JOURNAL ,ドイツ,2004年 8月,V130 N8,P10,12−16
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I):
【化1】
(式中、
R1はCOOR3基を示し、R3は水素原子を表し;
- R2は1〜18個の炭素原子を含む飽和もしくは不飽和の直鎖の炭化水素基、または3〜18個の炭素原子を含む飽和もしくは不飽和の分枝鎖もしくは環状の炭化水素基を示す)
の化合物およびその光学異性体、ならびに対応する塩から選択される化合物と;
C4〜C32アルキルカルバマート基およびC4〜C32アルキルエステル基から選択される疎水基を有するイヌリンと;
油相と、水相と
を含む水中油型エマルジョンの形態の化粧用組成物。
【請求項2】
化合物(I)が、R2が2〜6個の炭素原子を含む直鎖の飽和または不飽和の炭化水素基を表すものであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
化合物(I)が3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記式(I)の化合物が、組成物の総重量に対して1重量%〜10重量%に及ぶ含量で存在することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記イヌリンの疎水基が、C10〜C18アルキルカルバマート基およびC10〜C18アルキルエステル基から選択されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
ラウリルカルバマート基を有するイヌリンを含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
疎水基を有する前記イヌリンが、組成物の総重量に対して0.1重量%〜3重量%に及ぶ含量で存在することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記含量が、0.1重量%〜2重量%である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記含量が、0.2重量%〜2.5重量%である、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
追加の乳化剤を含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
ケラチン物質を処置するための非治療的方法であって、請求項1から10のいずれか一項に記載の化粧用組成物を前記ケラチン物質に適用するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ククルビン酸化合物および疎水基を有するイヌリンを含む水中油型エマルジョン形態の化粧用組成物、ならびにヒトのケラチン物質を処置する方法におけるこれらの組成物の使用に関する。より詳細には、本発明の組成物は、ケラチン物質をケアおよび/またはメイクアップすることを意図したものである。
【背景技術】
【0002】
本発明の目的のために、「ケラチン物質」という用語は、例えば、皮膚、粘膜、唇、頭皮、睫毛、眉毛および毛髪を表すことを意図している。
【0003】
特許出願EP-A-1 333 021は、皮膚の落屑を促進し、表皮の再生を刺激し、皮膚の老化の徴候と戦い、顔色の輝きを改善し、かつ/または顔の皮膚を滑らかにするための3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸などの水素化ククルビン酸化合物を開示している。特許出願FR-A-62921255では、これらの化合物はまた、脱色素剤(depigmenting agent)としてのその使用についても記載されている。
【0004】
しかしながら、これらの水素化ククルビン酸化合物を水中油型エマルジョンに導入すると、特に室温(25℃)で1カ月、またはさらには2カ月間の保管後、組成物の不安定性を生じる。その後エマルジョンは表面で油の相分離を示す。水相中に分散した油小球は粗い様相を有し、エマルジョンを不均一にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】EP-A-1 333 021
【特許文献2】FR-A-62921255
【特許文献3】WO99/64549
【特許文献4】US5 877 144
【特許文献5】JP-A-2 295 912
【特許文献6】WO-A-2009/080 958
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、特に室温(25℃)で1カ月、またはさらには2カ月間の保管後に安定な水素化ククルビン酸化合物を含む水中油型エマルジョンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、このような安定なエマルジョンが、疎水基を有する特定のイヌリンを用いて得ることができることを発見した。
【0008】
より詳細には、本発明は、式(I)のククルビン酸化合物と、疎水性カルバマート基または疎水性エステル基から選択される疎水基を有するイヌリンと、油相と、水相とを含む水中油型エマルジョン形態の組成物に関する。
【0009】
本発明による組成物は特に化粧用組成物である。
【0010】
驚くべきことに、本発明者らは、ククルビン酸化合物を疎水性カルバマート基または疎水性エステル基を有するイヌリンを含む組成物に添加することは、前記組成物の粘度に顕著には影響を及ぼさず、したがって、この組成物を適用中の取扱いに適した形態に製剤化することを可能にすることを認めた。
【0011】
さらに、本発明による組成物は、例えば、粘着性が低く、容易に広がり(抵抗なく)、快適さをもたらすというような優れた化粧品特性を示す。
【0012】
その主題のさらに別のものによると、本発明は、ケラチン物質をケアまたはメイクアップするための非治療的処置方法であって、本発明による組成物を前記ケラチン物質に適用するステップを含む、方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ククルビン酸ベースの化合物は、以下の式(I):
【0014】
【化1】
【0015】
(式中、
R1はCOOR3基を示し、R3は水素原子または1個もしくは複数の水酸基で任意選択により置換されているC1〜C4アルキル基を表し;
- R2は1〜18個の炭素原子を含む飽和もしくは不飽和の直鎖の炭化水素系基、または3〜18個の炭素原子を含む飽和もしくは不飽和の分枝鎖もしくは環状の炭化水素系基を示す)
に相当するものおよびその光学異性体、ならびに対応する塩から選択される化合物である。
【0016】
好ましくは、R1は-COOH、-COOMe、-COO-CH2-CH3、-COO-CH2-CH(OH)-CH2OH、-COOCH2-CH2-CH2OHおよび-COOCH2-CH(OH)-CH3から選択される基を表す。優先的には、R1は-COOH基を表す。
【0017】
優先的には、R2は、好ましくは2〜7個の炭素原子を含む直鎖の飽和または不飽和の炭化水素系基を表す。特に、R2はペンチル基、ペンテニル基、ヘキシル基またはヘプチル基であり得る。
【0018】
一実施形態によると、式(I)の化合物は、3-ヒドロキシ-2-[(2Z)-2-ペンテニル]シクロペンタン酢酸および3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸から選択される。好ましくは、化合物(I)は3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸である。この化合物は特にナトリウム塩の形態であり得る。
【0019】
本発明により用いることができる化合物の塩は、アルカリ金属、例えばナトリウムまたはカリウムの塩;アルカリ土類金属、例えばカルシウム、マグネシウムまたはストロンチウムの塩、金属塩アルミニウム、マンガンまたは銅;式NH4+のアンモニウム塩;第四級アンモニウム塩;有機アミンの塩、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン、2-ヒドロキシエチルアミン、ビス(2-ヒドロキシエチル)アミンまたはトリス(2-ヒドロキシエチル)アミンの塩;リジンまたはアルギニン塩から特に選択される。ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、ストロンチウム塩、銅塩、マンガン塩および亜鉛塩から選択される塩が好ましく用いられる。ナトリウム塩が優先的に用いられる。
【0020】
前に定義する式(I)の化合物は、本発明による組成物中に、組成物の総重量に対して1重量%〜10重量%、好ましくは1.5重量%〜5重量%に及ぶ含量で存在し得る。
【0021】
本発明による組成物は、疎水性カルバマート基または疎水性エステル基から選択される疎水基を有するイヌリンを含む。
【0022】
「疎水性カルマバート基」という用語は、C4〜C32アルキルカルバマート基、すなわち-OCONH-R基(RはC4〜C32アルキルである)を意味する。
「疎水性エステル基」という用語は、C4〜C32アルキルエステル基、すなわち-OCO-R基(RはC4〜C32アルキルである)を意味する。
【0023】
これらの疎水基は特に、出発イヌリンの水酸基とイソシアナートR-N=C=O(カルバマート基を形成する)または酸R-COOHもしくは酸塩化物R-COCl(エステル基を形成する)との反応に由来する。
【0024】
イヌリンはフルクタンファミリーの一部である。
フルクタンまたはフルクトサンは、任意選択によりフルクトース以外のいくつかの糖残基と結合した一連のアンヒドロフルクトース単位を含むオリゴ糖または多糖である。フルクタンは直鎖であっても分枝鎖であってもよい。フルクタンは、植物または微生物源から直接得られる産物、あるいは代替として、分画、合成または加水分解、特に酵素的なものによりその鎖長が修正(増加または減少)された産物であり得る。フルクタンは、一般的に2〜約1000、好ましくは2〜約60の重合度を有する。
フルクタンの3つの群は区別される。第1の群は、そのフルクトース単位が、大部分がβ-1-2結合を介して連結されている産物に相当する。これらはイヌリンなどの本質的に直鎖のフルクタンである。
第2の群もまた直鎖のフルクトースに相当するが、フルクトース単位が本質的にβ-2-6結合を介して連結されている。これらの産物はレバンである。
第3の群は、混合フルクタンに相当する、すなわちβ-2-6およびβ-2-1配列を含む。これらはグラミナン(graminan)などの本質的に分枝鎖のフルクタンである。
【0025】
イヌリンは、例えば、チコリー、ダリアまたはキクイモから得ることができる。好ましくは、本発明による組成物に用いられるイヌリンは、例えばチコリーから得られる。
【0026】
特に、イヌリンは、2〜100、好ましくは2〜70に及び得る重合度を有する。
【0027】
有利には、疎水性カルバマート基はC6〜C20アルキルカルバマート基である。好ましくは、疎水性カルバマート基はC8〜C18アルキルカルバマート基である。優先的には、疎水性カルバマート基はC10〜C18アルキルカルバマート基である。より優先的には、疎水性カルバマート基はC10〜C14アルキルカルバマート基である。
より好ましい実施形態によると、疎水性カルバマート基はラウリルカルバマート基(C12アルキル基)である。
【0028】
疎水性カルバマート基を有するイヌリンは、例えば、特許出願WO99/64549に記載されている。
【0029】
有利には、疎水性エステル基はC6〜C20アルキルエステル基である。好ましくは、疎水性エステル基はC8〜C20アルキルエステル基である。優先的には、疎水性エステル基はC10〜C20アルキルエステル基である。より優先的には、疎水性エステル基はC10〜C18アルキルエステル基である。
【0030】
疎水性エステル基を有するイヌリンは、例えば、特許US5 877 144に記載されている。
【0031】
好ましくは、疎水性カルバマート基を有するイヌリンが用いられる。
【0032】
疎水性カルバマート基または疎水性エステル基を有するイヌリンは、0.01〜0.5に及ぶ、好ましくは0.02〜0.4に及ぶ、優先的には0.05〜0.35に及ぶ置換度(疎水基で置換されているイヌリンのOHの割合)を有し得る。有利には、置換度は0.1〜0.3に及び得る。
【0033】
疎水性エステル基を有するイヌリンの例として、ステアロイルイヌリン、例えばEngelhard社からLifidrem INSTという名称で、およびCiba社からRheopearl INSという名称で販売されている製品;パルミトイルイヌリン;ウンデシレノイルイヌリン、例えばEngelhard社からLifidrem INUKおよびLifidrem INUMという名称で販売されている製品を挙げることができる。
【0034】
挙げることができる疎水性カルバマート基を有するイヌリンの例には、ラウリルカルバミン酸イヌリン、例えばBeneo社からInutec SP1という名称で販売されている製品がある。
【0035】
疎水性エステル基または疎水性カルバマート基を有するイヌリンは、本発明による組成物中に、組成物の総重量に対して0.1重量%〜3重量%に及ぶ含量で存在し得る。好ましくは、前記共重合体の含量は、組成物の総重量に対して0.1重量%〜2重量%に及び得る。
優先的には、前記共重合体の含量は、組成物の総重量に対して0.2重量%〜2.5重量%に及び得る。
【0036】
有利には、前記の式(I)のククルビン酸化合物(Aと呼ぶ)および疎水基を有するイヌリン(Bと呼ぶ)は、本発明による組成物中に、3〜10に及ぶA/B重量比で存在し得る。
好ましくは、このA/B重量比は4〜9に及び得る。
【0037】
本発明の組成物の粘度は、当業者に既知の任意の方法により、特に以下の慣用的方法にしたがって測定することができる。例えば、200rpmで回転するスピンドルを備えるRheomat 180粘度計を用いて25℃で測定を行うことができる。当業者は、測定を行うことができるように、一般知識に基づいてスピンドルM1、M2、M3およびM4から粘度を測定するためのスピンドルを選択することができる。
【0038】
本発明による化粧用組成物は、生理学的に許容される媒体、すなわちヒトのケラチン物質および/または繊維、例えば、非限定的な方法で、皮膚、粘膜、爪、頭皮および毛髪と適合性の媒体を含む。
【0039】
組成物は水相を含む。
【0040】
組成物は、組成物の総重量に対して20重量%〜95重量%に及ぶ、好ましくは30重量%〜90重量%に及ぶ、優先的には40重量%〜70重量%に及ぶ含量の水を含むことができる。
【0041】
水は、フローラルウォーター、例えばコーンフラワーウォーターおよび/またはミネラルウォーター、例えばVittel水、Lucas水もしくはLa Roche Posay水および/または湧水であり得る。
【0042】
組成物はまた、2〜6個の炭素原子を含むモノアルコール、例えばエタノールまたはイソプロパノール;
特に2〜20個の炭素原子を含む、好ましくは2〜10個の炭素原子を含む、優先的には2〜6個の炭素原子を含むポリオール、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコールまたはジエチレングリコール;
グリコールエーテル(特に3〜16個の炭素原子を含有する)、例えばモノ-、ジ-もしくはトリプロピレングリコール(C1〜C4)アルキルエーテル、およびモノ-、ジ-もしくはトリエチレングリコール(C1〜C4)アルキルエーテル;
ならびにこれらの混合物から特に選択される、室温(25℃)で水混和性の有機溶媒を含むことができる。
【0043】
本発明による組成物は、組成物の総重量に対して1重量%〜20重量%に及ぶ、好ましくは3重量%〜15重量%に及ぶ含量の、室温で水と混和性の溶媒を含むことができる。
【0044】
有利には、本発明による組成物は5.5〜7.5に及ぶpHを有する。
【0045】
本発明によるエマルジョンはまた油相を含む。
【0046】
本発明の組成物に用いることができる油として、挙げることができる例には、
- 植物起源の炭化水素系油、例えば4〜10個の炭素原子を含む脂肪酸の液体トリグリセリド、例えばヘプタンもしくはオクタン酸トリグリセリド、または例えばヒマワリ油、コーン油、ダイズ油、マロー油(marrow oil)、グレープシード油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、アララ油(arara oil)、ヒマシ油、アボカド油、カプリル/カプリン酸トリグリセリド、例えばStearineries Dubois社から販売されているものまたはDynamit Nobel社からMiglyol 810、812および818という名称で販売されているもの、ホホバ油およびシアバター油;
- 特に脂肪酸の合成エステルおよびエーテル、例えば式R1COOR2およびR1OR2(式中、R1は8〜29個の炭素原子を含む脂肪酸残基を示し、R2は3〜30個の炭素原子を含む分枝または非分枝の炭化水素系鎖を示す)の油、例えばPurcellin油、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシルまたはイソステアリン酸イソステアリル;ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリルまたはクエン酸トリイソセチル;脂肪アルコールヘプタノアート、オクタノアートまたはデカノアート;ポリオールエステル、例えばジオクタン酸プロピレングリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコールおよびジイソノナン酸ジエチレングリコール;ならびにペンタエリスリトールエステル、例えばテトライソステアリン酸ペンタエリスリチル;
- 鉱物もしくは合成起源の直鎖または分枝鎖の炭化水素、例えば揮発性もしくは不揮発性流動パラフィンおよびその誘導体、ワセリン、ポリデセン、ならびに水素化ポリイソブテン、例えばParleam油;
- 8〜26個の炭素原子を含む脂肪アルコール、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコールおよびこれらの混合物(セチルステアリルアルコール)、オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコールあるいはリノレイルアルコール;
- 部分炭化水素系および/またはシリコーン系フルオロ油、例えば文献JP-A-2 295 912に記載されているもの;
- シリコーン油、例えば室温で液体またはペースト状の、直鎖もしくは環状のシリコーン鎖を有する揮発性または不揮発性のポリメチルシロキサン(PDMS)、特にシクロポリジメチルシロキサン(シクロメチコン)、例えばシクロヘキサシロキサン;2〜24個の炭素原子を含む、シリコーン鎖のペンダントであるもしくはその末端にあるアルキル基、アルコキシ基またはフェニル基を含むポリジメチルシロキサン;フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサンもしくは2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケートおよびポリメチルフェニルシロキサン;
- ならびにこれらの混合物
が含まれる。
【0047】
上記油のリストにおいて、「炭化水素系油」という用語は、炭素原子および水素原子、ならびに場合によってエステル、エーテル、フルオロ、カルボン酸および/またはアルコール基を主に含む任意の油を意味する。
【0048】
油相中に存在することができる他の脂肪物質には、例えば8〜30個の炭素原子を含む脂肪酸、例えばステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸およびオレイン酸;蝋、例えばラノリン蝋、蜜蝋、カルナウバ蝋またはカンデリラ蝋、パラフィンワックス、亜炭蝋または微結晶蝋、セレシンまたはオゾケライト、ならびに合成蝋、例えばポリエチレンワックスおよびフィッシャー-トロプシュワックス;シリコーン樹脂、例えばトリフルオロメチル-C1〜4-アルキルジメチコンおよびトリフルオロプロピルジメチコン;ならびにシリコーンエラストマー、例えばShin-Etsu社からKSGという名称で販売されている製品、Dow Corning社からTrefil、BY29もしくはEPSXという名称で販売されている製品、またはGrant Industries社からGransilという名称で販売されている製品がある。
【0049】
これらの脂肪物質は、例えば稠度または質感の点で所望の特性を有する組成物を調製するために、当業者により様々な方法で選択され得る。
【0050】
エマルジョンの油相の割合は、組成物の総重量に対して5重量%〜80重量%、好ましくは5重量%〜50重量%に及び得る。
【0051】
本発明による組成物は、前記の疎水性カルマバート基または疎水性エステル基を有するイヌリン以外の追加の乳化剤を含むことができる。
挙げることができる追加の乳化剤には、
グリセリンのオキシアルキレン化(より詳細にはポリオキシエチレン化)脂肪酸エステル;ソルビタンのオキシアルキレン化脂肪酸エステル;オキシアルキレン化(オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化)脂肪酸エステル;オキシアルキレン化(オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化)脂肪アルコールエーテル;糖エステル、例えばステアリン酸スクロース;ならびにこれらの混合物、例えばステアリン酸グリセリルおよびステアリン酸PEG-40の混合物;エトキシ化(15EO)エチルジアミド-n-ココイルスルホン酸ナトリウム、またはエトキシ化(15EO)エチルジアミド-n-ココイルスルホン酸ナトリウム、ステアリン酸グリセリル、モノクエン酸ステアリン酸グリセリルおよびベヘニルアルコールの混合物、例えばSasol社からCeralution(登録商標) Hという名称で販売されている製品;
ジメチコンコポリオール、例えばビス-PEG/PPG-16/16 PEG/PPG-16/16ジメチコン、例えばEvonik-Goldschmidt社からAbil Care 85という名称で販売されている製品が含まれる。
【0052】
本発明による組成物の一実施形態によると、追加の乳化剤は、エトキシ化(15EO)エチルジアミド-n-ココイルスルホン酸ナトリウム、特にエトキシ化(15EO)エチルジアミド-n-ココイルスルホン酸ナトリウム、ステアリン酸グリセリル、モノクエン酸ステアリン酸グリセリルおよびベヘニルアルコールの混合物、例えばSasol社からCeralution(登録商標) Hという名称で販売されている製品である。
【0053】
本発明による組成物の一実施形態によると、追加の乳化剤は、ジメチコンコポリオール、特にビス-PEG/PPG-16/16 PEG/PPG-16/16ジメチコン、例えばEvonik-Goldschmidt社からAbil Care 85という名称で販売されている製品である。
【0054】
追加の乳化剤は、本発明の組成物中に、組成物の総重量に対して0.3重量%〜30重量%、特に0.5重量%〜20重量%に及ぶ割合で存在することができる。
【0055】
本発明による組成物はまた、検討中の分野で一般的なアジュバント、例えば乳化剤、親水性または親油性ゲル化剤、蝋、親水性または親油性添加剤、保存剤、抗酸化剤、溶媒、芳香剤、充填剤、UVAおよび/またはUVB遮断剤(有機もしくは無機、可溶性もしくは不溶性)、顔料、繊維、キレート剤、臭気吸収剤、染料ならびに他の化粧用活性剤を含んでもよい。
【0056】
これらの種々のアジュバントの量は、化粧品分野で慣用的に用いられている量であり、例えば組成物の総重量の0.01重量%〜30重量%に及び得る。一般に、量は、調製する製剤に応じて調整される。これらのアジュバントは、その性質に応じて、脂肪相、水相および/または脂質小球に導入することができる。
【0057】
有利には、本発明による組成物は、シリコーンエラストマーを含むことができる。シリコーンエラストマーの例は、特許出願WO-A-2009/080 958に記載されている。
【0058】
本発明による組成物は、ケア製品、日焼け防止(antisun)もしくはアフターサン製品、日常の光防護ケア製品、体用製品、顔もしくは首に適用するためのファンデーション、コンシーラー製品、顔色修正剤、顔をメイクアップするための着色クリームもしくはメイクアップベース、または体用メイクアップ組成物の形態であり得る。
【0059】
本発明による組成物は、表皮、特に皮膚の全身状態を改善する、特にその生理学的機能および/または審美的外観を維持または回復する目的のために用いることができる。
【0060】
本発明の他の特徴および利点は、非限定的な例証として示す以下の実施例からよりはっきりと明らかになる。本文中の以下または以上において、特に明示しない限り、割合は重量パーセントで示す。
【実施例】
【0061】
(比較実施例1〜3)
以下の表に記載する3種の組成物(顔用ケアクリーム)を調製した:本発明による組成物(実施例3)は3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸のナトリウム塩およびラウリルカルバミン酸イヌリンを含み、2種の組成物は本発明の一部を形成せず、一方はラウリルカルバミン酸イヌリンを含まず(実施例1)、他方は酸活性剤を含まない(実施例2)。
次いで、得られた組成物の粘度を、室温での24時間の保管後に測定した(粘度は、10分の200rpmでの回転後にM3スピンドルを備えるRheomat 180粘度計を用いて25℃で測定した)。
組成物の遠心分離も25℃および900×gで1時間行った。
組成物の顕微鏡的評価も行った。25℃で2カ月間の保管後の各組成物の安定性も評価した。
以下の結果が得られた:
【0062】
【表1】
【0063】
これらの試験はラウリルカルバミン酸イヌリンを含むプラセボ製剤(実施例2)が安定であることを示した。
3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸のナトリウム塩のみを含む製剤(実施例1)は不安定である。この活性剤をプラセボ担体に導入すると組成物が不安定化する。
3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸のナトリウム塩およびラウリルカルバミン酸イヌリンを含む本発明による製剤(実施例3)は安定である。したがって、このイヌリンは、酸活性剤を含む組成物を安定化することを可能にする。
【0064】
(実施例4)
以下の組成を有する水中油型エマルジョン顔用ケアクリームを調製した:
【0065】
【表2】