特許第6332999号(P6332999)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6332999
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】バッテリケース及びそれを備える車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 9/00 20060101AFI20180521BHJP
   B62M 6/40 20100101ALI20180521BHJP
【FI】
   B62J9/00 H
   B62M6/40
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-39846(P2014-39846)
(22)【出願日】2014年2月28日
(65)【公開番号】特開2015-164818(P2015-164818A)
(43)【公開日】2015年9月17日
【審査請求日】2016年11月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板垣 貴浩
(72)【発明者】
【氏名】有宗 伸泰
(72)【発明者】
【氏名】金原 悠貴
【審査官】 畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−076984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 9/00
B62M 6/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリからの電力により駆動する電動モータを備える車両のバッテリケースにおいて、
上側から前記バッテリが挿入可能であり、前記バッテリの外周面を囲む、最下部が前記バッテリの挿入方向に開いている開口が形成された筒状の周壁部と、
前記バッテリと電気的に接続するための複数の端子とを有し、
前記周壁部は前記バッテリの下方向への移動を規制するように前記バッテリの外周面を支持する、又は前記周壁部は前記周壁部の内側に突出し前記バッテリの下面を支持する支持部を有し、
前記バッテリケースを前記挿入方向に見たときに、前記複数の端子は前記開口の内側に配置されている、
ことを特徴とする車両のバッテリケース。
【請求項2】
請求項1に記載の車両のバッテリケースにおいて、
前記周壁部の内面は、前記バッテリの挿入方向に対して直交する方向において対向する2つの面を含み、
前記2つの面の間隔は前記バッテリの挿入方向に向かって小さくなっている、
ことを特徴とする車両のバッテリケース。
【請求項3】
請求項1に記載の車両のバッテリケースにおいて、
前記周壁部は前記バッテリの外周面を支持する支持部を有し、
前記支持部の内面は前記周壁部の他の部分に対して内側に張り出している、又は前記支持部の内面は前記周壁部の他の部分に対して凹んでいる、
ことを特徴とする車両のバッテリケース。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の車両のバッテリケースにおいて、
前記バッテリケースは、前記バッテリケースが車体へ設置されている状態で前後方向又は左右方向における前記周壁部の一方側の部分が前記周壁部の他方側の部分に比べて低くなるように構成されており、
前記周壁部の最下部は前記一方側の部分に開口を有している、
ことを特徴とする車両のバッテリケース。
【請求項5】
請求項4に記載の車両のバッテリケースにおいて、
前記複数の端子は前記周壁部における前記他方側の部分に設けられている、
ことを特徴とする車両のバッテリケース。
【請求項6】
請求項5に記載の車両のバッテリケースにおいて、
前記複数の端子は前記周壁部の内面に設けられている、
ことを特徴とする車両のバッテリケース。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれかに記載の車両のバッテリケースにおいて、
前記複数の端子は、前記バッテリの挿入方向に対して直交する第1の方向に並んでおり、
前記周壁部の最下部の開口は、前記複数の端子の全体の幅よりも大きな幅を前記第1の方向において有している、
ことを特徴とする車両のバッテリケース。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれかに記載のバッテリケースを備えている車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバッテリの電力により駆動する電動モータを備える車両のバッテリケースの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者がペダルに加える踏力を補助する電動モータと電動モータに電力を供給するバッテリとを備えている電動アシスト自転車が利用されている。下記特許文献1には利用者に貸し出すための電動アシスト自転車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−32695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自転車にはバッテリを収容するためのバッテリケースが取り付けられている。バッテリケースには雨水が入る場合があるので、バッテリケースのなかには、雨水を排出するための比較的小さな孔が底部に形成されているものがある。ところが、バッテリケースには雨水のほかに街路に存在する落ち葉やゴミなど比較的大きな異物が入る場合がある。特に、バッテリがバッテリケースに設置されていない状態でレンタル用の電動アシスト自転車が駐車ステーションで保管されると、そのような異物がバッテリケースに入りやすい。
【0005】
本発明の目的は、異物が溜まることを抑えることができ、且つ、バッテリを安定的に支持できるバッテリケース及びそれを備える車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るバッテリケースは、バッテリからの電力により駆動する電動モータを備える車両に適用される。前記バッテリケースは、上側から前記バッテリが挿入可能であり、前記バッテリの外周面を囲む、最下部が開口している筒状の周壁部を有している。前記周壁部は前記バッテリの下方向への移動を規制するように前記バッテリの外周面を支持する、又は前記周壁部は前記周壁部の内側に突出し前記バッテリの下面を支持する支持部を有する。
【0007】
本発明に係る車両は前記バッテリケースを備える。
【0008】
本発明によれば、バッテリケース内に異物が溜まることを抑えることができ、且つ、バッテリを安定的に支持できる。ここで車両には、電動アシスト自転車や、電動二輪車などが含まれる。
【0009】
本発明の一形態では、前記周壁部の最下部は、前記バッテリの挿入方向と、前記バッテリの挿入方向に対して直交する方向の少なくとも一方の方向に開口している。ここでバッテリの挿入方向に対して直交する方向は、前方、後方、右方向又は左方向のいずれでもよい。
【0010】
本発明の一形態では、前記周壁部の内面は、前記バッテリの挿入方向に対して直交する方向において対向する2つの面を含み、前記2つの面の間隔は前記バッテリの挿入方向に向かって小さくなってもよい。これによれば、バッテリの下方向への移動を規制でき、バッテリを適正な位置で支持できる。
【0011】
本発明の一形態では、前記周壁部は前記バッテリの外周面を支持する支持部を有してもよい。前記支持部の内面は前記周壁部の他の部分の内面に対して内側に張り出してもよいし、前記支持部の内面は前記周壁部の他の部分の内面に対して凹んでもよい。これによれば、バッテリの下方向への移動を規制でき、バッテリを適正な位置で支持できる。
【0012】
本発明の一形態では、前記バッテリケースは、前記バッテリケースが車体へ設置されている状態で前後方向又は左右方向における前記周壁部の一方側の部分が前記周壁部の他方側の部分に比べて低くなるように構成されてもよい。前記周壁部の最下部は前記一方側の部分に開口を有してもよい。これによれば、異物が周壁部の開口から排出され易くなる。
【0013】
本発明の一形態では、前記バッテリケースは前記バッテリと電気的に接続するための端子をさらに有し、前記端子は前記周壁部における前記他方側の部分に設けられてもよい。これによれば、端子に当たった異物が開口から排出され易くなる。
【0014】
本発明の一形態では、前記端子は前記周壁部の内面に設けられてもよい。これによれば、周壁部が最下部に有する開口のサイズが確保し易くなる。
【0015】
本発明の一形態では、前記端子は前記周壁部の下縁から突出する前記支持部に設けられてもよい。これによれば、端子の位置が低くなるので、端子に不要な外力が作用しにくくなる。
【0016】
本発明の一形態では、バッテリと電気的に接続する、前記バッテリの挿入方向に対して直交する第1の方向に並んでいる複数の端子をさらに有し、前記周壁部の最下部の開口は、前記複数の端子の全体の幅よりも大きな幅を前記第1の方向において有してもよい。これによれば、複数の端子の幅よりも大きな異物が入った場合でも、その異物が排出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るバッテリケースを備える電動アシスト自転車を示す示す図である。
図2】バッテリケースの一例を示す図である。図2(a)は側面図であり、図2(b)はバッテリの挿入方向にバッテリケースを臨んだときに得られる図である。
図3】バッテリケースの変形例を示す図である。図3(a)は側面図であり、図3(b)はバッテリの挿入方向にバッテリケースを臨んだときに得られる図である。
図4】バッテリケースのさらに別の変形例を示す図である。図4(a)は斜視図であり、図4(b)は(a)に示すb−b線での断面図である。
図5図4に示すバッテリケースの変形例である。
図6】バッテリケースのさらに別の変形例を示す図である。
図7図6に示すバッテリケースの変形例である。
図8図7に示すバッテリケースの変形例である。
図9】バッテリケースのさらに別の変形例を示す図である。
図10】電動アシスト自転車の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態に係るバッテリケースを備える車両の側面図である。この図では車両の一例として電動アシスト自転車を示している。
【0019】
電動アシスト自転車1はペダル2と、運転者がペダル2を踏むことにより回転するペダルクランク3とを有している。また、電動アシスト自転車1は乗員がペダル2に加える踏力を補助するための電動モータ22を有している。ペダル2からペダルクランク3に加えられるトルクと電動モータ22のトルクはそれらから後輪5に至る動力伝達経路において組み合わされる。そして、それらの合力が後輪5に加えられる。図1の例においては電動モータ22は、サドル9を支持するサドルポスト8bの下側に配置されている。電動モータ22の位置はこれに限られず、適宜変更されてよい。電動モータ22は例えば後輪5のハブ5aに設けられてもよい。、また、電動モータ22は前輪4のハブに設けられてもよい。
【0020】
電動アシスト自転車1は、電動モータ22にその駆動電力を供給するためのバッテリ30と、バッテリ30が脱着可能なバッテリケース40とを有している。バッテリケース40の上側からバッテリ30が挿入可能となるように、バッテリケース40は上方に開口している。バッテリケース40は車体フレーム8によって支持されている。一例では、図1に示すように、バッテリケース40はハンドルステムを支持するヘッドパイプ8aに取り付けられている。より具体的には、バッテリケース40はヘッドパイプ8aの後側に取り付けられている。バッテリケース40の取付位置は必ずしもヘッドパイプ8aに限られない。バッテリケース40は、例えば、サドルポスト8bや、ヘッドパイプ8aから後方かつ下方に伸びているチューブ8cなどに取り付けられてもよい。
【0021】
図2はバッテリケース40の一例を示す図である。図2(a)は側面図であり、図2(b)はバッテリ30の挿入方向(図2(a)において矢印D1)にバッテリケース40を臨んだときに得られる図である。この説明では、これらの図に示すY1方向及びY2方向をそれぞれ前方及び後方とし、X1方向及びX2方向をそれぞれ右方向及び左方向とし、Z1方向及びZ2方向をそれぞれ上方及び下方とする。図2(a)では、バッテリケース40の最下部を破断して描いている。
【0022】
バッテリケース40はバッテリ30の外周面を取り囲む筒状の周壁部41を有している。図2の例では、バッテリ30を受け入れる周壁部41の開口は矩形であるが、周壁部41の開口の形状はこれに限られない。
【0023】
周壁部41の最下部は開口している。図2の例では、周壁部41は、その最下部に、バッテリ30の挿入方向に開いている開口41aを有している。バッテリ30の下面は、バッテリ30がバッテリケース40に配置されている状態で開口41aから露出する。開口41aが開く方向はこれに限られない。例えば、周壁部41の最下部はバッテリ30の挿入方向に対して直交する方向に開いていてもよい。この場合、バッテリ30がバッテリケース40に配置されている状態でバッテリ30の外周面の一部がバッテリ30の挿入方向に対して直交する方向に露出する。例えば、周壁部41の後側部分41bの最下部が後方に開いていてもよい。また、周壁部41の右側部分41c最下部と左側部分41dの最下部がそれぞれ右方向と左方向とに開いていてもよい。
【0024】
周壁部41は、周壁部41から内側に向かって突出しバッテリ30の下面を支持する支持部42を有している。ここで説明する例では、図2に示すように、支持部42は周壁部41の下縁の一部から周壁部41の内側に向かって突出している。より具体的には、図2の例では、支持部42は周壁部41の前側部分41fの下縁から突出している。周壁部41の後側部分41bの下縁にはそのような支持部は形成されていない。
【0025】
支持部42は、図2に示すように、開口41aよりも高い位置に位置している。また、支持部42は開口41aに向かって下がるように傾斜している。このような支持部42によれば、バッテリケース40内に入った異物が開口41aから排出され易くなる。
【0026】
周壁部41の一例は、バッテリ30の挿入方向(図2においてD1方向)が鉛直方向(Z1−Z2方向)に対して前方又は後方に傾斜するように配置される。図2の例では、バッテリケース40は、周壁部41が後方に傾斜した姿勢で、車体フレーム8(より具体的には、ヘッドパイプ8a)に取り付けられている。そのため、周壁部41の前側部分41fが後側部分41bに比べて高くなっている。開口41aは周壁部41の後側(低い側)に位置している。一方、支持部42は下縁の前側(高い側)から後方かつ下方に突出している。これにより、バッテリケース40内に入った異物が開口41aから排出され易くなる。支持部42は周壁部41の右側部分41cの下縁と左側部分41dの下縁とに掛け渡されている。なお、バッテリケース40の車体フレームなどへの取付構造は特に限定されない。例えば、図2に示すように、ブラケットBを介して取り付けられてもよいし、バッテリケース自体が車体フレームに取り付けられてもよい。
【0027】
開口41a及び支持部42の位置は上述したものに限られない。例えば、開口41aは周壁部41の下縁における後側(高い側)に設けられ、支持部42は周壁部41の前側に設けられてもよい。また、バッテリケース40の姿勢も上述したものに限られない。例えば、バッテリケース40の取付位置によっては周壁部41は前方に傾斜してもよい。この場合、支持部42は周壁部41の後側部分41bの下縁から前方且つ下方に斜めに突出してもよい。また、周壁部41は右方向又は左方向に傾斜してもよい。
【0028】
バッテリケース40は、バッテリ30の端子と電気的に接続するための複数の端子43を有している。図2の例では、バッテリケース40には左右方向に並ぶ3つの端子43が設けられている。端子43はバッテリケース40の最下部に設けられている。図2の例では、端子43は支持部42に設けられている。これによれば、端子43に不要な外力が作用することを抑えることができる。端子43は支持部42からバッテリ30の挿入方向とは反対方向(上方向)に突出している。
【0029】
上述したように、バッテリケース40が車体に取り付けられている状態で、周壁部41の前側部分41fの位置は後側部分41bの位置より高くなっている。開口41aは周壁部41における後側に設けられている。一方、端子43は周壁部41における前側に設けられている。これによれば、端子43の位置が開口41aに対して高くなるので、端子43に当たった異物が排出され易くなる。
【0030】
図2の例では、開口41aは、バッテリ30の挿入方向に対して直交する方向において、支持部42よりも大きな幅を有している。より具体的には、開口41aの前後方向における幅W1は、支持部42の幅W2よりも大きい。こうすることにより、支持部42に異物が引っ掛かることを抑えることができる。また、図2の例では、開口41aの左右方向の幅W4は、複数の端子43の幅W3よりも大きい。こうすることにより、端子43上に異物が留まることを抑えることができる。また、図2の例では、開口41aは、周壁部41の内面の左右方向の幅(右側部分41cと左側部分41dの間隔)と同じ幅W4を有している。
【0031】
図3はバッテリケースの変形例を示す図である。図3(a)は側面図であり、図3(b)はバッテリの挿入方向にバッテリケースを臨んだときに得られる図である。この図において、これまで説明した箇所と同一箇所には同一符合を付している。
【0032】
図3に示すバッテリケース140の周壁部41は、上述の支持部42に替えて、支持部142を有している。支持部142も周壁部41の下縁の一部から周壁部41の内側に向かって突出し、バッテリ30の下面を支持する。図3の例のバッテリケース140は2つの支持部142を有し、それらは周壁部41の右側部分41cの下縁と左側部分41dの下縁とからそれぞれ突出している。また、支持部142の前縁と後縁はそれぞれ周壁部41の前側部分41fの下縁の後側部分41bの下縁とに繋がっている。2つの支持部142の間が開口141aとなっている。
【0033】
バッテリケース140は複数(図3の例では3つ)の端子143を有している。端子143は周壁部41の内面からその内側に突出している。こうすることにより、支持部142のサイズを低減できるので、周壁部41の開口141aのサイズが確保し易くなる。
【0034】
バッテリケース140も、バッテリケース40と同様に、鉛直方向に対して傾斜した姿勢で車体フレーム8に支持されている。端子143は周壁部41の前側部分41fの内面から後方且つ下方に斜めに伸びている。端子143の下方に開口141aが位置している。換言すると、バッテリケース141をバッテリ3の挿入方向に見たときに、開口141aの領域の内側に端子43が位置している。これにより、端子143に異物があたっても、その異物が開口141aから排出され易くなる。
【0035】
開口141aの左右方向での幅W5は複数の端子143の幅W6よりも大きい。また、開口141aの左右方向の幅W5は2つの支持部142の左右方向の幅の合計よりも大きい。こうすることにより、開口141aを通して異物が排出され易くなる。開口141aの前後方向の幅は周壁部41の内面の前後方向での幅(周壁部41の前側部分41fと後側部分41bとの距離)W7に対応している。なお、開口141aのサイズはこれに限られない。例えば、開口141aの前後方向での幅は周壁部41の内面の前後方向での幅W7よりも小さくてもよい。
【0036】
なお、支持部42、142の位置は上述したものに限られない。例えば、支持部は周壁部の下縁よりも上方の位置から内側に突出し、バッテリ30の下面を支持してもよい。
【0037】
図4はバッテリケースのさらに別の変形例を示す図である。図4(a)はバッテリケース240の斜視図であり、図4(b)は(a)に示すb−b線での断面図である。図4(b)ではバッテリ30がバッテリケース240に嵌められている。
【0038】
バッテリケース240は、バッテリ30が上側から挿入可能であり且つバッテリ30の外周を囲む筒状の周壁部241を有している。周壁部241の最下部も開口している。具体的には、周壁部241の最下部はバッテリ30の挿入方向(D1方向)に開いている。
【0039】
周壁部241はバッテリ30が下方に移動しないようにバッテリ30の外周面を支持している。このような構造によれば、周壁部241の下縁に上述の支持部を設ける必要が無くなるので、周壁部の最下部に設けられている開口を大きくし易くなる。
【0040】
図4(b)に示すように、周壁部241の内面は、バッテリ30の挿入方向に対して直交する方向において互いに対向する2つの部分241a,241bを有している(この2つの部分を傾斜面と称する)。傾斜面241a,241bは、それらの間隔W8がバッテリ30の挿入方向に向かって徐々に小さくなるように傾斜している。バッテリ30の外面は傾斜面241a、241bに合わせて傾斜している。また、バッテリ30の上部は傾斜面241a、241bの最下部の間隔よりも大きな幅を有している。そのため、バッテリ30は傾斜面241a,241bによって支持される。図4の例では、周壁部241は傾斜面241a,241bをそれぞれ有する壁部241c,241dを有している。壁部241c,241dの全体が傾斜している。
【0041】
壁部241c,241dの形態はこれに限られない。例えば、図5に示すように、2つの壁部241c,241dは、その下部にだけ、上述の傾斜面241a,241bを有し、壁部241c,241dの上部はバッテリ30の挿入方向と平行に形成されてもよい。また、2つの壁部241c,241dのうち一方だけが、バッテリ30の挿入方向に対して傾斜していてもよい。また、壁部241c,241dは、その内面に、バッテリ30の挿入方向に対して傾斜している傾斜面241a,241bを有し、壁部241c,241dの外面はバッテリ30の挿入方向に対して傾斜していなくてもよい。
【0042】
図6はバッテリケースのさらに別の変形例であるバッテリケース340を示す図である。バッテリケース340は、これまで説明したバッテリケースと同様に、バッテリ30の外周面を囲む筒状の周壁部341を有している。周壁部341はバッテリ30の挿入方向に開口している。
【0043】
周壁部341もバッテリ30の外周面を支持するように構成されている。具体的には、周壁部341はバッテリ30の外周面を支持する支持部341aを有している。支持部341aの内面は周壁部341の他の部分の内面に対して内側に張り出している。バッテリ30は、その外周面に、支持部341aが嵌まる凹部である被支持部30aを有している。被支持部30aはバッテリ30の下縁まで続いている。支持部341aの上端に被支持部30aの上端に形成される段差があたり、バッテリ30の下方への移動が規制される。これにより、バッテリケース340内における適正な位置にバッテリ30が支持される。
【0044】
図6の例では、周壁部341を構成する4つの壁部のうち1つの壁部341bの中央部に支持部341aが形成されている。支持部341aの位置はこれに限られない。例えば、対向する2つの壁部に支持部341aが形成されてもよい。
【0045】
また、図7に示すように、隣接する2つの壁部341b、341cの隅に支持部341fが形成されてもよい。支持部341fの内面は、周壁部341の内面の他の部分に対して内側に張り出している。バッテリ30の外面の角には、支持部341fに対応して凹んでいる被支持部30cが形成されている。支持部341fの上端に被支持部30cの上端に形成される段差があたる。これにより、バッテリ30の下方への移動が規制され、バッテリケース340内における適正な位置にバッテリ30が支持される。
【0046】
また、図6及び図7の例では、支持部341a、341fの内面は周壁部341の内側に向かって張り出している。しかしながら、例えば、図8に示すように、周壁部341は、周壁部341の他の部分に対して凹んだ内面を有する支持部341gを有してもよい。バッテリ30には外側に突出する被支持部30dが形成され、被支持部30dの下端が支持部341gの内面(支持部341gの下端の段差)に突き当たる。これにより、バッテリ30の下方への移動が規制され、バッテリケース340内における適正な位置にバッテリ30が支持される。
【0047】
図9はバッテリケースのさらに別の変形例を示す断面図である。この図に示すバッテリケース440は、これまで説明したバッテリケースと同様に、バッテリ30の外周面を囲む筒状の周壁部441を有している。周壁部441の最下部はバッテリ30の挿入方向(D1方向)とそれに直交する方向(図9においてD3方向)に開口している。周壁部441は、その下縁から内側に突出しバッテリ30の下面を支持する支持部442を有している。
【0048】
バッテリケース440は周壁部441の上部の開口を閉じるための蓋444を有している。蓋444はヒンジ部444aを中心にして開閉可能となっている。図9に示す例では、バッテリ30の端子と電気的に接続するため端子443が蓋444に設けられている。こうすることにより、支持部442に端子443を設ける必要がなくなるので、支持部442の幅(突出量)を小さくし、開口441aのサイズを大きくできる。
【0049】
図1の電動アシスト自転車1においては、バッテリケース40は車体フレーム8のヘッドパイプ8aの後側に取り付けられていた。しかしながら、バッテリケースの位置はこれに限られない。図10は電動アシスト自転車の変形例を示す斜視図である。この図に示す電動アシスト自転車100はバッテリケース540を有している。バッテリケース540は、その周壁部やバッテリ30の支持構造に関して、これまで説明したバッテリケース40などと同じ構造を有している。電動アシスト自転車100は複数(図10においては2つ)のバッテリケース540を有し、これらは車体フレーム108に取り付けられている。一方のバッテリケース540は、ヘッドパイプ108aの車幅方向の外側に取り付けられている。また、他方のバッテリケース540はサドルポスト108bに取り付けられている。図10に示す電動アシスト自転車100も、乗員がペダル102に加える踏力を補助するための電動モータ122を有している。
【0050】
以上説明したバッテリケース40,140,240,340,440は筒状に形成された周壁部41,241,341,441を有している。そして、周壁部41はその下縁から周壁部41の内側に突出しバッテリ30の下面を支持する支持部42,142を有している。また、周壁部241,341,441はバッテリ30の下方向への移動を規制するようにバッテリ30の外周面を支持している。このようなバッテリケース40,140,240,340,440によれば、バッテリケース内に異物が溜まることを抑えることができ、且つ、バッテリ30を安定的に支持できる。
【符号の説明】
【0051】
1 電動アシスト自転車、2 ペダル、22 電動モータ、30 バッテリ、30a,30c,30d 被支持部、40,140,240,340,440 バッテリケース、41,241,341,441 周壁部、41a 開口、42 支持部、43 端子、100 電動アシスト自転車。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10