特許第6333001号(P6333001)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6333001
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】糸の巻き取り及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 63/06 20060101AFI20180521BHJP
   B65H 67/08 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   B65H63/06 B
   B65H67/08 B
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-45091(P2014-45091)
(22)【出願日】2014年3月7日
(65)【公開番号】特開2014-172759(P2014-172759A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2017年1月25日
(31)【優先権主張番号】13001166.1
(32)【優先日】2013年3月8日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】595137491
【氏名又は名称】ゲブリューダー レプフェ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100090251
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ロレンツォ オッキ
(72)【発明者】
【氏名】マルティン エム. シュヴァガー
(72)【発明者】
【氏名】キリアン ヨット. ガーマン
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ エー. ヴァイスハウプト
【審査官】 西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−242042(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/040546(WO,A1)
【文献】 特開平10−310330(JP,A)
【文献】 特開2010−047407(JP,A)
【文献】 特開2002−308529(JP,A)
【文献】 米国特許第03314621(US,A)
【文献】 国際公開第2006/058582(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 63/06
B65H 67/08
B65H 51/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻き取り機において糸供給部(1)からの糸を目標糸巻き(13)で巻き取る方法であって、
前記糸の品質を保証するために、前記糸は、前記糸供給部(1)と前記目標糸巻き(13)との間で、糸欠陥検出部(9)を通って走行方向(L)に導入されるものとし、
糸欠陥部の検出の際には、
以下の工程:
a)前記糸欠陥部の第一端部領域が切断デバイス(5)の領域内に位置するように、糸を引き戻すこと;
b)第一糸端部を生じさせるために、前記切断デバイス(5)を使用して糸を切断すること;
c)前記糸欠陥部の第二端部領域が前記切断デバイス(5)の領域内に位置するように、前記糸欠陥部を含む糸部分を位置調整すること;
d)第二糸端部を生じさせるために、前記切断デバイス(5)を使用して糸を切断すること;そして
e)前記第一糸端部と前記第二糸端部とを接合すること;
を含み、そして
前記糸欠陥部の検出の際に前記糸を引き戻すために、糸供給部(1)と糸欠陥検出部(9)との間の或る領域において、引き戻しデバイス(4)を使用して糸に引張力を及ぼすことを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
工程b)及びd)による切断を、巻き取り機の接合デバイスの向かい合って位置する2つの側で実施する、請求項に記載の方法。
【請求項3】
糸欠陥検出部((9)と目標糸巻き(13)との間に第一連続的糸保管部(10)を提供し、ここで、糸欠陥部の検出の際に、前記第一連続的糸保管部(10)から走行方向(L)とは反対方向に糸を引き戻すものとする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
糸欠陥検出部(9)から来る糸を収集するために、第一連続的糸保管部(10)は収集デバイス(10a)を含み、ここで、糸欠陥部の検出の際に、前記収集デバイス(10a)を停止するか又は反対方向に作動させるものとする、請求項に記載の方法。
【請求項5】
糸欠陥部の検出の際に、走行方向(L)とは反対方向に糸欠陥検出部(9)を通って糸が引き戻され、これによって、前記糸を前記糸欠陥検出部(9)内で測定して、前記糸欠陥部を点検及び/又はその位置を決定する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
糸欠陥部が検出された後で、巻き取り時に走行方向Lで進むよりもゆっくりと、糸を前記走行方向(L)とは反対方向に引き戻す、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
糸欠陥部が検出された後で、糸欠陥部全体が糸欠陥検出部(9)を通って戻るまで、糸を引き戻す、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
糸供給部(1)からの糸を目標糸巻き(13)で巻き取る巻き取り機であって、
ここで、前記巻き取り機は、糸の品質を保証するための糸欠陥検出部(9)と、糸欠陥部を切除するための切断デバイス(5)と、前記糸を接合するための接合デバイスとを含むものとし、
前記糸供給部(1)と前記目標糸巻き(13)との間で、前記糸が、前記糸欠陥検出部(9)を通って走行方向(L)に導入されるものとし、
糸欠陥部の検出の際に、最初に、糸が前記走行方向(L)とは反対方向に引き戻され、次に、切断されるように、巻き取り機を制御部(16)によって制御し、更に、前記糸欠陥部の検出の際に前記走行方向(L)とは反対方向に前記糸欠陥検出部(9)を通って前記糸を引き戻すために、前記巻き取り機が、前記糸に引張力を及ぼすための引き戻しデバイス(4)を前記糸供給部(1)と前記糸欠陥検出部(9)との間に含むことを特徴とし、そして
前記巻き取り機が、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法を実施するための制御部を含むことを特徴とする、前記巻き取り機。
【請求項9】
切断デバイス(5)が、走行方向(L)において接合デバイスの手前に第一切断ステーション(7)を含み、そして、前記走行方向(L)において接合デバイスの後ろに第二切断ステーション(8)を含む、請求項に記載の巻き取り機。
【請求項10】
糸欠陥検出部(9)と目標糸巻き(13)との間に配置される第一連続的糸保管部(10)を有する巻き取り機であって、
糸欠陥部の検出の際に、引き戻しデバイス(4)によって糸の一部を走行方向(L)とは反対方向に前記第一連続的糸保管部(10)から引き戻すことが可能である、請求項8又は9に記載の前記巻き取り機。
【請求項11】
引き戻しデバイス(4)によって引き戻された糸を取り上げるために、前記引き戻しデバイス(4)を第二糸保管部として、特に、第二連続的糸保管部として構成する、請求項10に記載の巻き取り機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻き取り機において糸供給部からの糸を目標糸巻きで巻き取る方法であって、糸の品質を保証するために、前記糸供給部と前記目標糸巻きとの間で、糸が糸洗浄部を通って導入される前記方法に関する。更に、本発明は、糸洗浄部を有する巻き取り機にも関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第2377793号明細書には、クロス巻き取りボビン(Kreuzspule)の形態の目標糸巻きで、糸供給部(例えば、ボビン;Kops)からの糸を巻き取る方法及びデバイスが記載されている。ここでは、糸が、前記糸の複合材料及び/又は厚さにおける欠陥部を検出する糸洗浄部を通過する。このような糸欠陥部が生じる場合には、糸は糸欠陥部の後ろで切断される。次に、糸欠陥部を有する糸端部を、この目的のために特別に提供される吸引デバイスによって糸洗浄部の後ろで探し、収集し、走行方向とは反対方向に引き戻し、そして、前記糸欠陥部を除去するように切り取る。その後、このように形成された糸端部を接合デバイスにおいて接合することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第2377793号明細書
【0004】
不明な位置を有する糸端部を探すことはその点でかなりの時間を必要とし、そして、生産性の低下をもたらす。
【発明の詳細な説明】
【0005】
本発明の目的は、より単純且つ経済的な方法で糸欠陥部の切除を実現することができる、前述のタイプの方法及び巻き取り機を提供することである。
【0006】
この目的は、本発明の独立請求項に記載の主題によって達成される。従って、このように糸供給部からの糸が走行方向で糸洗浄部を通って導入され、糸欠陥部が検出される場合には、前記糸欠陥部を切除し、次に、糸を接合する。しかしながら、この場合、糸欠陥部の検出の際に、糸は初めに走行方向とは反対方向に引き戻され、そして、切断される。まだ切断されていない糸を切断前に引き戻すことによって、糸洗浄部の後ろで糸端部を探す必要がない。
【0007】
糸を引き戻すためには、引き戻しデバイスによって、糸供給部と糸洗浄部との間の領域において糸に引張力(Zugkraft)を及ぼす。
【0008】
或る有利な実施態様では、糸欠陥部の検出の際に、前記方法が以下の工程:
a)前記糸欠陥部の第一端部領域が切断デバイスの領域内に位置するように、糸を引き戻すこと;
b)第一糸端部を生じさせるために、前記切断デバイスを使用して糸を切断すること;
c)前記糸欠陥部の第二端部領域が前記切断デバイスの領域内に位置するように、糸欠陥部を含む糸部分を位置調整すること;
d)第二糸端部を生じさせるために、前記切断デバイスを使用して糸を切断すること;そして
e)前記第一糸端部と前記第二糸端部とを接合すること;
を実施する。
【0009】
これらの工程の順序は基本的に任意である。特に、工程a)及びc)は、ほぼ同時に行うことができ、次に工程b)及びd)を行うことができる。
【0010】
更に、工程e)による接合プロセスの間に、工程b)及び/又はd)による切断を実施することができる。
【0011】
工程b)及びd)による切断は、接合デバイスの向かい合って位置する2つの側(auf gegenueber liegenden Seiten)で実施することもできる。この目的のために、切断デバイスは、走行方向における接合デバイスの手前で第一切断ステーションを含み、そして、走行方向における接合デバイスの後ろで第二切断ステーションを含むことができる。
【0012】
糸欠陥部が検出される場合には、糸が糸洗浄部を通って走行方向とは反対方向に引き戻され、その間に糸は前記糸洗浄部によって測定される。ここで、糸欠陥部が点検され、及び/又は、その位置をより正確に決定することができ、それによって糸の損失を減らすことができる。
【0013】
有利には、糸欠陥部全体が糸洗浄部を通って戻るまで糸を引き戻す。
【0014】
有利には、糸欠陥部の検出の際に、糸は、巻き取り時に走行方向で進むよりもゆっくりと走行方向とは反対方向に引き戻される。この遅い動作によって、糸欠陥部の切除の際の糸の正確な位置調整が可能になり、そして、引き戻しの際に糸が糸洗浄部によって再度測定される場合に、より精密な測定を実施することができ、その結果、より高い糸の品質を保証することができる。
【0015】
本発明は、特に、前述の方法を実施する、糸供給部からの糸を目標糸巻きで巻き取る巻き取り機にも関するものである。巻き取り機は、糸の品質を保証する糸洗浄部と、糸欠陥部を切除する切断デバイスと、糸を接合する接合デバイスとを含む。糸欠陥部の検出の際に糸が糸洗浄部を通って走行方向とは反対方向に引き戻されるために、前記巻き取り機は、糸供給部と糸洗浄部との間に、糸に引張力を及ぼすための引き戻しデバイスを更に備える。「糸供給部と糸洗浄部との間」に配置される引き戻しデバイスとは、この場合には、糸供給部と糸洗浄部との間の領域で糸をその経路上で捕えて、そして、それを引っぱるデバイスであると理解される。
【0016】
糸洗浄部と目標糸巻きとの間に、第一の連続的糸保管部(Durchlauf-Garnspeicher)を提供することができる。このような連続的糸保管部は、走行する糸の一定量を貯蔵することが可能であり、そして、糸を洗浄する間に目標糸巻きで巻き取りプロセスを続けることを可能にする。このことにより、従来の巻き取り機に比べて生産性が向上する。糸欠陥部の検出の際には、引き戻しデバイスを使用して、糸の一部を走行方向とは反対方向に連続的糸保管部から引き戻す。
【0017】
引き戻しデバイスによって引き戻された糸を正しい手順で取り上げるために、引き戻しデバイスを、第二糸保管部として、特に、第二連続的糸保管部として構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の更なる改良、利点及び適用は、従属する特許請求項から及び図面をともなう以下の説明から明らかである。
図1】巻き取り機の第一実施態様を示す説明図である。
図2】巻き取り機の第二実施態様を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
基本構造:
図1は、ボビン(Kops)1又は錐体(Kone)の形態の糸供給部を有する巻き取り機の巻き取りユニットを示す。糸2は、前記ボビン又は錐体から繰り出され、そして、前記糸2へ所望の且つ可能な限り一定の張力(Spannung)を与える第一糸ブレーキ3へ導かれる。次に、糸は、引き戻しデバイス4(後で詳細に説明する)、切断デバイス5及び接合デバイス6を通過する。切断デバイス5は、第一切断ステーション7及び第二切断ステーション8を有する。第一切断ステーション7は、糸2の走行方向Lで見る場合に、接合デバイス6の手前に配置され、すなわち、前記接合デバイス6の手前で糸を切断することができる。第二切断ステーション8は、糸2の走行方向Lで見る場合に、接合デバイス6の後ろに配置され、すなわち、前記接合デバイスの後ろで糸を切断することが可能である。
【0020】
次に、糸は、前記糸の幾何学的又は内容的な欠陥部分をそれ自体公知の方法で検出する糸洗浄部9を通過する。この場合、例えば、薄い又は厚い部分あるいは異物繊維を含む部分であることができる。糸洗浄部は、例えば、光学的に及び/又は容量的に稼働することができる。
【0021】
糸洗浄部9の後で、糸は糸保管部10へ到達する。この場合、前記糸保管部10は、連続的糸保管部であり、これは、走行する糸の一定の長さ(例えば、少なくとも300メートル)を、巻き取られた又は折り畳まれた状態で保管するものである。目標糸巻きのしっかりとした巻きつき(Bewickeln)を妨げることなく欠陥部分除去のプロセス(以下に詳細に説明される)を実施することができるほど糸の保管量が大きくなるように、前記糸保管部は構成される。このタイプの適当な糸保管部は、例えば、欧州特許第2377793号明細書に記載されている。糸保管部は収集デバイス10aを有し、前記収集デバイス10aによって、糸を糸洗浄部9から収集する。糸保管部は、例えば、円筒又は錐体であり、そして、モーターによって駆動する回転アーム部によって糸を入口端部で巻き取る。糸の動きによって円筒体又は錐体の出口端部で糸2を引っ張る。
【0022】
糸保管部10の後で、糸2は第二糸ブレーキ11を通過し、巻き付けステーションにおけるローラー12上の目標糸巻き13で巻き取られる。目標糸巻き13は、通常、クロス巻き取りボビンである。デバイスの設計に応じて、溝付ドラム(Nutentrommel)として構成されるローラー12を省略することもできる。
【0023】
図1によると、巻き取り機は、公知のタイプの旋回可能な2つの吸引管14及び15を更に有する。これらによって、例えば、糸の破断時に、巻き取り機の種々の部分から接合デバイス6へ糸2を提供することができる。第一吸引管14は、接合デバイス6の手前の巻き取り機の領域からの糸を収集して前記接合デバイス6へ提供するのに対して、第二吸引管15は、接合デバイス6の後ろの巻き取り機の領域からの糸を収集して前記接合デバイス6へ提供する。
【0024】
装置における手順は制御部16によって制御される。制御は複数の部分で実施することもでき、例えば、洗浄部用のコントローラー及び巻き取り部用のコントローラーの形態で実施することができる。
【0025】
引き戻しデバイス:
前述の引き戻しデバイス4は、第一糸ブレーキ3と接合デバイス6との間の領域において糸を収集し、糸の走行方向Lとは反対方向に前記糸へ引張力を及ぼし、そして、糸保管部10から前記糸を引き戻すことが可能である。
【0026】
図1の実施態様によると、引き戻しデバイス4は吸引管17を備えており、前記吸引管17は真空源18と接続している。糸を引き戻すためには、真空源18を作動させ、糸を吸引管17へ引き込む。あるいは、引き戻しデバイスは吸引管14から形成されることもできる。
【0027】
糸が糸保管部10の方向からのみ引き込まれることを保証するために、制御部16によって作動する締め付けデバイス19を引き戻しデバイス4の(走行方向Lから見て)手前に提供することができ、前記引き戻しデバイス4を作動させる場合には、前記締め付けデバイス19によって糸を保持する。
【0028】
操作:
デバイスの操作及び糸欠陥部を除去する工程を以下に説明する。
【0029】
(例えば、ロットの開始時又は交換時での)空の目標糸巻への糸の最初の配置は、糸供給部1からの糸を初めに手動で又は外部ドッファ(Doffer;巻き取りドッファ)を使用して目標糸巻き13へ導入してそこで固定すること、次に、保管部10の巻き取りアームが糸を自動的に収集すること、そして、目標糸巻き13の始動前に糸の蓄えを既に形成すること、によって実施される。次に、ローラー12を回転するように駆動し、そして、目標糸巻き13での巻き取り処理を開始する。
【0030】
通常の操作では、糸2は前述の方法で巻き取り機を通過する。この場合、糸はボビン1から繰り出され、そして、目標糸巻き13で巻き取られる。
【0031】
目標糸巻き13がいっぱいになると、手動で又は巻き取りドッファによって前記目標糸巻き13を交換し、糸端部を新しい錐体へ取り付ける。
【0032】
有利には、糸供給部1又はボビンの空運転は専用のボビンセンサー21によって早期に検知し、更に、ボビン1の後ろに糸モニター22を提供して、正確な停止を行い且つ接合デバイス6の下方で糸端部を停止させることができる。次に、新しいボビンの糸先頭部を接合デバイス6の出口まで導入し、そして、「古い」端部と接合する。
【0033】
糸洗浄部9を通って走行する糸2は、通常の操作では、糸欠陥部について連続的にモニタリングされる。糸欠陥部が検出される場合には、欠陥部位が糸洗浄部9を完全に通過した後に、糸保管部10の収集デバイス10aを停止することによって、又は、更には反対方向に作動させることによって、糸供給部又はボビン1と前記糸保管部10との間の領域で糸を止める。通常の操作での糸の速度が非常に高い(例えば、最大30m/秒)ため、糸が完全に停止する前に、通常、欠陥部は糸保管部10内まで走行する。
【0034】
次に、目標糸巻きが糸保管部10からの糸で巻かれる間に、制御部16によって引き戻しデバイス4が作動され、これによって糸が走行方向Lとは反対方向に糸洗浄部9を通って引き戻され始める。この場合、糸は、巻き取り時に走行方向Lで進むよりもゆっくりと走行方向Lとは反対方向に引き戻され、その結果、欠陥部の長さ、位置及びタイプを正確に決定するための精密な測定を糸洗浄部9において行うことができる。この場合、精密な長さ測定が実施されることが好ましいため、装置は、引き戻された糸の走行距離を決定するための長さ測定デバイスを含むことができる。あるいは、引き戻された糸の長さが引き戻しデバイスへ送られる制御信号及び/又は時間の既知関数(bekannte Funktion)であるように、引き戻しデバイスを構成することができる。
【0035】
そのように決定された欠陥部が、除去する必要がないほどわずかであると分類される場合には、糸保管部10の収集デバイス10aを再度作動させ、そして、通常操作を再度開始する。
【0036】
欠陥部がその欠陥部位を除去する必要があるほど深刻であると分類される場合には、(走行方向Lから見て)欠陥部位の前端部(すなわち、通常操作での先端部)が接合デバイス6の手前の切断ステーション7にまで到達するまで、糸を引き戻す。次に、切断ステーション7作動させて、(走行方向Lから見て)欠陥部位の手前で糸を切断する。糸保管部10から来る糸2の端部は接合デバイス6中にとどまるのに対し、欠陥部位を含むもう一方の端部は、例えば、吸引管14によって捕えられ、そして、後方へ(すなわち、目標糸巻き13に向かう方向に)移動させられ、その結果、欠陥部位の(走行方向Lから見て)手前にある糸領域が、接合デバイス6の後ろの切断ステーション8の領域中に位置するようになる。次に、切断ステーション7を作動して糸を再度切断する。それによって欠陥部位を切除し、そして、例えば、適当な吸引デバイスによって除去することができる。次に、接合デバイス6によって両方の糸端部を接合し、そして、通常作業を再度開始することができる。
【0037】
糸保管部10のおかげで、欠陥部位の除去の間に、目標糸巻き13で巻き取り過程を継続することができ、巻き取り機の生産性が低下することなく高く保たれる。
【0038】
図示された巻き取り機は、糸破断部を自動的に修理することも可能である。
【0039】
目標糸巻き13と糸保管部10との間で糸破断が起こる場合には、自動装置(例えば、吸引アーム15、又は、これが短すぎる場合にはその他の手段)によって、糸端部を目標糸巻き13から接合デバイス6へ導入する。糸保管部10における糸は、その端部がかろうじて接合デバイス6上に位置するように、引き戻しデバイス4によって吸引される。次に、糸を接合することができる。その後で、糸を保管部10で再度巻き取ることができ、ここで通常操作を再度開始する。従って、この場合、第一の糸保管部10に加えて、引き戻しデバイス4は第二の糸保管部として構成される。この第二の糸保管部を、第一糸保管部10からの全ての糸を取り上げるほど大きく構成することができる。
【0040】
あるいは、例えば、引き戻しデバイス4が(十分に大きい)糸保管部として構成されない場合には、目標糸巻き13と糸保管部10との間の糸破断の際に、糸保管部10における糸を廃棄することもできる。
【0041】
接合デバイス6と糸保管部10との間の糸破断の場合には、吸引アーム15によって糸端部を糸保管部10から接合デバイス6へ回収して、そこで接合する。糸の残りの部分は吸引される。
【0042】
糸供給部1と接合デバイス6との間の糸破断の場合には、糸保管部10における糸の収集が停止し、吸引アーム14によって糸を糸供給部から接合デバイス6へ回収し、そして、糸を再度接合する。
【0043】
解説:
上記の実施態様では、ボビンは糸供給部1として使用される。しかしながら、糸供給部は、オープンエンド型の紡績デバイス(Spinnvorrichtung)から形成されることもできる。
【0044】
図1による実施態様において、引き戻しデバイス4は空気圧式に構成される。しかしながら、図2に示されるように、前記引き戻しデバイス4を連続的糸保管部として構成することも考えられる。この場合には、引き戻しデバイス4を、糸保管部10のように巻き取り本体(Spulenkoerper)として構成し、通常操作では、そこで糸が下端から巻き取られ、そして、上端からほどかれる。糸の引き戻しのためには、前記糸が上端から巻き取られる。
【0045】
要約すると、前述の巻き取り機において、糸は糸洗浄部9によって欠陥部位について検査されるということが言える。欠陥部位が検出される場合には、始めに糸2は糸洗浄部9を通って引き戻され、前記糸洗浄部9で糸が再度精密に検査される。次に、欠陥部位は引き戻された糸上で切除され、そして、糸2は再度接合されることができる。
【0046】
本明細書では本発明の好ましい実施態様を記載したが、本発明はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲内において、その他の方法で具体化可能であることを明確に指摘するものである。
図1
図2