特許第6333012号(P6333012)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6333012
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】車両用ディスクブレーキ
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/097 20060101AFI20180521BHJP
   F16F 1/06 20060101ALI20180521BHJP
   F16D 65/095 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   F16D65/097 E
   F16F1/06 J
   F16F1/06 N
   F16D65/095 G
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-63089(P2014-63089)
(22)【出願日】2014年3月26日
(65)【公開番号】特開2015-183818(P2015-183818A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2017年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226677
【氏名又は名称】日信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000501
【氏名又は名称】特許業務法人 銀座総合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長原 純一
(72)【発明者】
【氏名】小林 直樹
【審査官】 竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−501321(JP,A)
【文献】 特開2013−113355(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02369198(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 65/097
F16D 65/095
F16F 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクロータを挟んで対向配置される摩擦パッドのディスクロータの半径方向外周側に配置され、摩擦パッドをディスクロータから離間する方向に付勢する戻しスプリングを備えた車両用ディスクブレーキにおいて、
前記戻しスプリングは線形ばねにて形成し、該戻しスプリングの上端部は、キャリパボディのブリッジ部の内側中央部に当接配置されるとともに、
前記戻しスプリングの下端部は、前記摩擦パッドのディスク半径方向の外周側から当接配置され、該当接部分を当接部とし、該当接部と前記ブリッジ部の内側中央部との間であって前記戻しスプリングの上端部と下端部との間にコイルスプリング形状部を設けたことを特徴とする車両用ディスクブレーキ。
【請求項2】
前記キャリパボディのブリッジ部の内側に、前記摩擦パッドを吊持するハンガーピンを架設し、
前記コイルスプリング形状部に前記ハンガーピンが挿通されていることを特徴とする、請求項1の車両用ディスクブレーキ。
【請求項3】
前記戻しスプリングは、一本の線形ばねにて形成したことを特徴とする請求項1または2の車両用ディスクブレーキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用ディスクブレーキであって、特に摩擦パッドをディスクロータから離間する方向に戻すパッドスプリングに関する。
【背景技術】
【0002】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−113355号公報
【0004】
車両用ディスクブレーキであって、摩擦パッドを戻す構成のものとして特許文献1の如き従来技術が既に存在している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の戻しスプリングはキャリパボディの外部に露出しているため、泥などの影響があるとともに、設計時にキャリパボディの外周形状を考慮する必要がある。また、戻しスプリングがV字状に開く方向に付勢されるので、特許文献1に記載の如く、戻しスプリングをキャリパボディに当接した状態で配置した場合には、この当接の影響により設計上の戻し荷重を発生させることが困難となり、効率的にパッドを戻すことが困難となる。
【0006】
そこで、本発明は上述の如き課題を解決しようとするものであって、キャリパボディの外部に露出しない位置に戻しスプリングを設けることができるとともに、キャリパボディの外周形状を考慮する必要がなく、設計上の戻し荷重を確実に発生させることができ、摩擦パッドのディスクロータに対する引き摺りを低減可能とする車両用ディスクブレーキを得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上述の如き課題を解決するため、ディスクロータを挟んで対向配置される摩擦パッドのディスクロータの半径方向外周側に配置され、摩擦パッドをディスクロータから離間する方向に付勢する戻し戻しスプリングを備えた車両用ディスクブレーキを前提とするものである。
【0008】
そして、前記戻しスプリングは線形ばねにて形成し、該戻しスプリングの上端部は、キャリパボディのブリッジ部の内側中央部に当接配置されるとともに、
前記戻しスプリングの下端部は、前記摩擦パッドのディスク半径方向の外周側から当接配置され、該当接部分を当接部とし、該当接部と前記ブリッジ部の内側中央部との間であって前記戻しスプリングの上端部と下端部との間に、コイルスプリング形状部を設けたものである。
【0009】
また、前記キャリパボディのブリッジ部の内側に、前記摩擦パッドを吊持するハンガーピンを架設し、前記コイルスプリング形状部に前記ハンガーピンが挿通されているものであってもよい。このように構成することにより、コイルスプリング形状部を、ハンガーピンを取り巻く位置に設けることができるため、コイルスプリングを設けるためのスペースを特別に設ける必要がなく、ディスクブレーキの必要以上の大型化を防ぐことができる。
【0010】
また、前記戻しスプリングは、一本の線形ばねにて形成したものであってもよい。このように構成することにより、線形のばね材を曲げるのみで形成することができるため、部品点数を削減することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上述の如くブリッジ部の内側に設けるものであるから、キャリパボディの外部に露出しない位置に戻しスプリングを設けることができるとともに、キャリパボディの外周形状を考慮する必要がない。また、キャリパボディの影響を受けることなく設計上の戻し荷重を発生させることができるため、確実に摩擦パッドを元位置に復元し、摩擦パッドのディスクロータに対する引き摺りを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例1を示す断面図。
図2】実施例1を示す、図1とは垂直方向の断面図。
図3】実施例1を示す側面図。
図4】実施例1において摩擦パッドとハンガーピンとの係合状態を示す断面図。
図5】実施例1を示す平面図。
図6】実施例1の戻しスプリングの斜視図。
【実施例1】
【0013】
本発明の実施例1を図1〜5において説明すると、(1)は機械式ディスクブレーキのキャリパボディであって、このキャリパボディ(1)は、図1に示す如くディスクロータ(2)の両側に配設された作用部(3)、反作用部(4)、及びこの作用部(3)と反作用部(4)とをディスクロータ(2)の挿入間隔を介して連結したブリッジ部(5)とから成るものである。
【0014】
また、前記作用部(3)にはカム挿入部(6)を設けている。このカム挿入部(6)は、カムシャフト(7)を挿通配置するカムシャフト挿通孔(8)を形成するためのものであって、作用部(3)のシリンダ(9)に隣接して設けたものである。また、このカム挿入部(6)は図1に示す如くキャリパボディ(1)のディスク半径方向に形成配置しており、その外部形状を、前記ディスク半径方向、即ち図1の上下方向で対称なものとしている。尚、本実施例で記載の上下方向は図1〜6の上下方向に基づくものである。
【0015】
このように、カム挿入部(6)をキャリパボディ(1)のディスク半径方向に形成するとともに、その外部形状を上下方向で対称に形成することにより、カム挿入部(6)の形成方向の上端(28)側若しくは下端(30)側のどちら側からでもカムシャフト挿通孔(8)を開口形成することができる。そのため、カムシャフト(7)に組み付ける回動アーム(10)の取り出し方向の自由度を向上させることが可能となり、車両への搭載性が向上する。
【0016】
そして、本実施例のカム挿入部(6)には、カム挿入部(6)の上端(28)側から下方に向けてディスク半径方向に有底のカムシャフト挿通孔(8)を開口形成している。尚、本実施例ではこのようにカム挿入部(6)の上端(28)側からカムシャフト挿通孔(8)を開口形成しているが、他の異なる実施例ではこれに限らず、カム挿入部(6)の下端(30)側から上方に向けてカムシャフト挿通孔(8)を開口形成することも可能である。
【0017】
また、前記ディスクロータ(2)の作用部(3)側には、図1に示す如くディスクロータ(2)側を開口部としたシリンダ孔(11)をカム挿入部(6)側に向けて凹設している。そして、このシリンダ孔(11)には、断面コップ状のピストン(12)を挿入配置しており、このピストン(12)の底面(31)中央部に断面U字型の凹部(13)をピストン(12)内方に向けて凹設している。また、上記カムシャフト挿通孔(8)は、シリンダ孔(11)の底面(14)とピストン(12)との間を貫通した状態で形成配置されている。
【0018】
そして、上記の如く形成したカムシャフト挿通孔(8)にカムシャフト(7)を挿入配置するとともに、図1に示す如くこのカムシャフト(7)の基端(15)側をカム挿入部(6)から外方に突出配置している。そしてこのカムシャフト(7)には、図2に示す如くピストン(12)の凹部内面(32)に対応する位置にカム溝(16)を設けており、このカム溝(16)と凹部内面(32)との間にプッシュロッド(17)を挿入配置している。
【0019】
また図1に示す如く、カムシャフト(7)の基端(15)側外周に螺溝を形成するとともに、この螺溝に回動アーム(10)の一端(18)側を螺合している。そして、このように螺合した回動アーム(10)の上方から、更にナット(20)をカムシャフト(7)に螺合締結することにより、回動アーム(10)をカムシャフト(7)に固定している。このようにカムシャフト(7)に回動アーム(10)を螺合するとともに、回動アーム(10)の上方からナット(20)をカムシャフト(7)に螺合締結することにより、カムシャフト(7)に回動アーム(10)とナット(20)とがダブルナットの構成で螺合固定されるものとなる。尚、上記プッシュロッド(17)は磁石にて形成されるとともに、カムシャフト(7)及びピストン(12)は磁性材料にて形成されている。
【0020】
またこの回動アーム(10)は、図3に示す如く前記キャリパボディ(1)のカム挿入部(6)側から該キャリパボディ(1)に沿って反作用部(4)側に延出するよう形成している。このように回動アーム(10)をキャリパボディ(1)に沿って形成配置することにより、ディスクブレーキ周りに必要以上にスペースをとる必要がなく車両への搭載性を良好なものとすることができる。
【0021】
そして、上記回動アーム(10)の先端にブレーキワイヤー(図示せず。)の一端を接続するとともに、このブレーキワイヤーの他端を、運転者が操作するブレーキべダルやブレーキレバーなどのブレーキ操作子(図示せず。)に連結している。また図4、5に示す如く、回動アーム(10)の一端(18)側には、キャリパボディ(1)に突出形成したストッパ(38)側に突部(37)を突出形成している。
【0022】
また、作用部(3)と反作用部(4)との間には、一対の摩擦パッド(21)(22)をディスクロータ(2)を挟んで対向配置している。この一対の摩擦パッド(21)(22)は、裏板(42)(43)にライニング(40)(41)が接着されて成るものであって、作用部(3)と反作用部(4)との間に架設したハンガーピン(23)にそれぞれ摺動自在に係合配置している。また図1に示す如く、作用部(3)側の摩擦パッド(21)と反作用部(4)側の摩擦パッド(22)との間には、一本の線形ばねにて形成した戻しスプリング(24)を介装している。このように戻しスプリング(24)を一本の線形ばねにて形成することにより、線形のばね材を曲げるのみで形成することができるため、部品点数を削減することが可能となる。
【0023】
この戻しスプリング(24)は、キャリパボディ(1)のブリッジ部(5)の内側に設けたものであって、図6に示す如く線形ばねをコイルスプリング形状に形成したコイルスプリング形状部(25)を設けている。そして、図4に示す如くこのコイルスプリング形状部(25)を上記ハンガーピン(23)に挿通することにより、戻しスプリング(24)をハンガーピン(23)に係合配置している。
【0024】
また、この戻しスプリング(24)の下端部(33)を、両摩擦パッド(21)(22)にそれぞれ摩擦パッド(21)(22)のディスク半径方向の外周側から当接配置し、この当接部分を当接部(34)としている。また、戻しスプリング(24)の上端部(35)を、ブリッジ部(5)の内側中央部(36)に当接配置している。上記の如く戻しスプリング(24)を形成して組み付けるとともに両摩擦パッド(21)(22)に当接配置することより、当接部(34)とブリッジ部(5)の内側中央部(36)との間にコイルスプリング形状部(25)が位置するものとなる。また、上記の如く戻しスプリング(24)をブリッジ部(5)の内側に設けることにより、キャリパボディ(1)の外部に露出しない位置に戻しスプリング(24)を設けることができるとともに、キャリパボディ(1)の外周形状を考慮する必要がないため設計の自由度を向上させることができる。
【0025】
そして、この戻しスプリング(24)の付勢力によって作用部(3)側の摩擦パッド(21)をピストン(12)の先端部(26)方向に、また、反作用部(4)側の摩擦パッド(22)を反作用部(4)の内面(27)方向に各々付勢している。そのため、非作動時には作用部(3)側の摩擦パッド(21)がピストン(12)の先端部(26)方向に付勢された状態で当接配置されるとともに、反作用部(4)側の摩擦パッド(22)が反作用部(4)の内面(27)方向に付勢された状態で当接配置されるものとなる。上記の如く戻しスプリング(24)を設けることにより、ブレーキ解除時のピストン(12)戻し側への作動の際に摩擦パッド(21)(22)をディスクロータ(2)の離間方向に確実に移動させることが可能となり、引き摺りの低減を更に確実なものとすることができる。
【0026】
上記の如く構成したものにおいて、機械式ディスクブレーキの制動を行う場合について以下に説明する。まず、制動開始前には、キャリパボディ(1)と回動アーム(10)との間に介装したリターンスプリング(19)の付勢力に抗してブレーキ操作子(図示せず。)にてブレーキワイヤー(図示せず。)を牽引することにより、回動アーム(10)が一方向に回動する。そしてこの回動アーム(10)の回動に伴ってカムシャフト(7)が上記回動アーム(10)と同一方向に回動する。
【0027】
上記の如くカムシャフト(7)が回動することによりカム溝(16)が回動し、プッシュロッド(17)がピストン(12)側に押動されてピストン(12)がディスクロータ(2)側に摺動する。これにより、戻しスプリング(24)の付勢力に抗して作用部(3)側の摩擦パッド(21)がピストン(12)によってディスクロータ(2)側に押圧され、ディスクロータ(2)の表面に圧接されるものとなる。
【0028】
また、前記作用部(3)側の摩擦パッド(21)の移動に伴う反力によって、キャリパボディ(1)が前記ピストン(12)の移動方向とは反対方向に移動し、このキャリパボディ(1)の移動によって反作用部(4)側の摩擦パッド(22)が戻しスプリング(24)の付勢力に抗してディスクロータ(2)側に押圧され、ディスクロータ(2)の反作用部(4)側の側面に圧接されるものとなる。
【0029】
これにより、作用部(3)側及び反作用部(4)にそれぞれ設けた一対の摩擦パッド(21)(22)がディスクロータ(2)の両面に圧接して機械式ディスクブレーキによる制動が行われる。
【0030】
次に制動の解除について以下に説明すると、まずブレーキ操作子の操作によってブレーキワイヤーの牽引を解除することにより、リターンスプリング(19)の付勢力によって回動アーム(10)が制動開始前の初期位置に復元する。これと同時に、カムシャフト(7)が制動時とは逆方向に回動して制動開始前の位置に戻る。この時、プッシュロッド(17)を磁石にて形成するとともにカムシャフト(7)及びピストン(12)を磁性材料にて形成しているため、カムシャフト(7)が元位置に移動すると同時に、プッシュロッド(17)及びピストン(12)が磁力によってカムシャフト(7)とともにディスクロータ(2)側とは反対側に移動し、元位置に戻る。
【0031】
これにより、プッシュロッド(17)及びピストン(12)の押動が解除され、ピストン(12)による摩擦パッド(21)のディスクロータ(2)側への押動が解除される。このように、プッシュロッド(17)を磁石にて形成するとともにカムシャフト(7)及びピストン(12)を磁性材料にて形成することにより、カムシャフト(7)のピストン(12)戻し側への作動の際に、カムシャフト(7)の元位置への移動と同時にプッシュロッド(17)及びピストン(12)を磁力によって強制的に元位置に復元することができるため、摩擦パッド(21)(22)の引き摺りを低減することが可能となる。
【0032】
また、上記の如き作用部(3)側のピストン(12)の移動に伴う反力によって、キャリパボディ(1)が作動前の元位置に移動し、反作用部(4)が元位置に復元する。また、このように作用部(3)側のピストン(12)及び反作用部(4)がそれぞれ元位置に復元すると同時に、作用部(3)側及び反作用部(4)側の摩擦パッド(21)(22)が戻しスプリング(24)の付勢力によってそれぞれ強制的に元位置に復元する。このように、戻しスプリング(24)の付勢力によって一対の摩擦パッド(21)(22)が強制的に作動前の元位置に戻されるため、両摩擦パッド(21)(22)とディスクロータ(2)との間に間隔が生じ、引き摺りを生じさせることなく機械式ディスクブレーキの制動解除を確実に行うことができる。
【0033】
次に、一定期間の使用により摩擦パッド(21)(22)のライニング(40)(41)が摩耗した場合の摩擦パッド(21)(22)の位置調整について説明する。まず、摩擦パッド(21)(22)のライニング(40)(41)が摩耗していない状態においては、一対の摩擦パッド(21)(22)がディスクロータ(2)に圧接した際に、回動アーム(10)の突部(37)がキャリパボディ(1)のストッパ(38)に当接するよう回動アーム(10)の位置決めを行っている。
【0034】
そして、使用により摩擦パッド(21)(22)のライニング(40)(41)が摩耗した場合には、摩耗前と比較して摩擦パッド(21)(22)とディスクロータ(2)との間隔が広がる。そのため、ライニング(40)(41)の摩耗が生じた場合には摩擦パッド(21)(22)とディスクロータ(2)との間隔をライニング(40)(41)の摩耗前の状態に戻す必要があり、摩擦パッド(21)(22)をディスクロータ(2)側に移動させなければならない。
【0035】
この摩擦パッド(21)(22)のディスクロータ(2)側への移動について以下に説明すると、まずカムシャフト(7)に螺合締結したナット(20)を緩めるとともに回動アーム(10)の突部(37)をキャリパボディ(1)のストッパ(38)に当接した状態を保ちながら、カムシャフト(7)を手動により上記ブレーキ制動方向に回動させる。これにより、プッシュロッド(17)及びピストン(12)がディスクロータ(2)側に摺動するため、このピストン(12)により作用部(3)側の摩擦パッド(21)がディスクロータ(2)側に押圧される。また、上記作用部(3)側の摩擦パッド(21)の移動に伴う反力によって、キャリパボディ(1)が前記ピストン(12)の移動方向とは反対方向に移動し、反作用部(4)側の摩擦パッド(22)がディスクロータ(2)側に押圧される。
【0036】
これにより、ディスクロータ(2)の両面に一対の摩擦パッド(21)(22)が圧接されるため、摩擦パッド(21)(22)とディスクロータ(2)との間隔がライニング(40)(41)の摩耗前の状態に戻された状態となる。そして、ナット(20)をカムシャフト(7)に螺合締結して固定することにより、摩擦パッド(21)(22)の位置調整が完了する。
【0037】
上記の如く、カムシャフト(7)に回動アーム(10)及びナット(20)をダブルナットの構成で螺合固定するという簡素な構成により、摩擦パッド(21)(22)の位置調整を容易に行うことができる。また、カムシャフト(7)を手動で回動させることにより摩擦パッド(21)(22)の適宜の調整を行うことができるため、ライニング(40)(41)の摩耗の程度に応じた無段階の調整が可能となり、調整の際の自由度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 キャリパボディ
2 ディスクロータ
5 ブリッジ部
21 摩擦パッド
22 摩擦パッド
23 ハンガーピン
24 戻しスプリング
25 コイルスプリング形状部
34 当接部
36 内側中央部
図1
図2
図3
図4
図5
図6