特許第6333036号(P6333036)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6333036
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】オゾン処理装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/02 20060101AFI20180521BHJP
   D06F 25/00 20060101ALI20180521BHJP
   D06F 35/00 20060101ALI20180521BHJP
   D06F 39/00 20060101ALI20180521BHJP
   D06F 37/42 20060101ALI20180521BHJP
   D06F 37/04 20060101ALI20180521BHJP
   D06F 33/02 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   D06F58/02 N
   D06F25/00 Z
   D06F58/02 Q
   D06F35/00 Z
   D06F39/00 Z
   D06F37/42 A
   D06F37/04
   D06F33/02 F
   D06F33/02 Z
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-83447(P2014-83447)
(22)【出願日】2014年4月15日
(65)【公開番号】特開2015-202225(P2015-202225A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2017年4月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】福井 慎二
【審査官】 長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−175223(JP,A)
【文献】 特開昭48−103092(JP,A)
【文献】 実公平4−22747(JP,Y2)
【文献】 特開2007−195896(JP,A)
【文献】 特開2011−11079(JP,A)
【文献】 特開2014−36788(JP,A)
【文献】 特開2001−87590(JP,A)
【文献】 特開2003−236336(JP,A)
【文献】 特開平6−169976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/02
A61L 2/20
B01D 53/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象物が収容されるとともに、ドアの閉鎖によりほぼ密閉状態に保持される収容部と、
前記収容部に供給するオゾンを発生させるオゾン発生部と、
前記収容部を加湿するためのミストを発生させるミスト発生部と、
前記収容部内に風を発生させる風発生部と、
前記収容部に設けられ、前記収容部内で発生させた風の流れでミストを外部に排出することが可能な孔部と、
前記収容部にオゾンを供給するオゾン発生工程と、当該オゾン発生工程に続く、前記収容部に残留するオゾンを分解するオゾン分解工程とを実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記オゾン発生工程において前記オゾン発生部を動作させた後に、前記オゾン分解工程において前記ミスト発生部を動作させ、前記ミスト発生部を停止した後に前記風発生部を動作させる、
ことを特徴とするオゾン処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のオゾン処理装置において、
前記収容部は、外槽と、当該外槽内に配され、水平軸または水平方向に対して傾く傾斜軸を中心に回転可能なドラムと、を含む、
ことを特徴とするオゾン処理装置。
【請求項3】
請求項に記載のオゾン処理装置において、
前記制御部は、前記ミスト発生部からのミストにより前記収容部が加湿されるときに前記ドラムを回転させる、
ことを特徴とするオゾン処理装置。
【請求項4】
請求項に記載のオゾン処理装置において、
前記ドラムを回転させるか否かを選択する操作を受け付ける回転選択操作部を、さらに備える、
ことを特徴とするオゾン処理装置。
【請求項5】
請求項1ないしの何れか一項に記載のオゾン処理装置において、
前記収容部を加熱する加熱部を、さらに備え、
前記制御部は、前記オゾン分解工程において、前記ミスト発生部とともに前記加熱部を動作させる、
ことを特徴とするオゾン処理装置。
【請求項6】
請求項に記載のオゾン処理装置において、
前記収容部を加熱するか否かを選択する操作を受け付ける加熱選択操作部を、さらに備える、
ことを特徴とするオゾン処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理対象物にオゾンを接触させることにより、処理対象物の消臭、除菌等を行うオゾン処理装置に関する。かかるオゾン処理装置として、洗濯機能に加えて、オゾンにより衣類の消臭、除菌等を行う機能を有する洗濯機、乾燥機能に加えて、オゾンにより衣類の消臭、除菌等を行う機能を有する衣類乾燥機、洗浄機能に加えて、オゾンにより靴の消臭、除菌等を行う機能を有する靴洗浄機、オゾンによりスーツの消臭、除菌等を行うスーツリフレッシャーなどを例示できる。
【背景技術】
【0002】
従来、オゾン発生装置を備え、当該オゾン発生装置により生成したオゾンを、衣類が収容された洗濯槽内に供給し、オゾンを衣類に接触させて衣類の消臭、除菌等を行う洗濯機が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このように、オゾンによる消臭・除菌機能を備える洗濯機では、衣類の消臭、除菌等が終了してオゾンの発生が停止されると、しばらくの間、ドアのロックが解除されず、衣類がそのまま放置される。そして、残留したオゾンが自己分解により消滅し、洗濯槽内のオゾン濃度がある程度低下すると、ドアのロックが解除されて衣類の取出しが可能となる。
【0004】
オゾンの分解は周囲の温度が高いほど促進される、ことが知られている。よって、かかる洗濯機において、オゾンの供給が停止されてから衣類の取出しが可能となるまでの時間を短縮するために、オゾンの発生が停止された後、ヒータにより洗濯槽内を加熱し、洗濯槽内のオゾンの分解を促進させる構成が採られ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−195896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、ヒータにより洗濯槽内を加熱し、オゾンの分解を促進させる構成とされる場合、比較的大きな電力を消費し易い。また、かかる構成は、消臭等の対象物が熱に弱い場合には適用しにくい。
【0007】
そこで、本願の発明者は、加熱に替わる他の条件でのオゾンの分解を促進する方法を考えた結果、オゾンの供給が停止された後に、洗濯槽内を加湿することで、オゾンの分解が促進されることを見出した。
【0008】
本発明は、このような、湿度を高めることでオゾンの分解が促進するとの新たな知見に基づいてなされたものであり、消費電力を抑えつつ、また、処理対象物が熱に弱い場合であっても、オゾンの供給が停止されてから処理対象物が取出し可能となるまでの時間を短縮できるオゾン処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の主たる態様に係るオゾン処理装置は、処理対象物が収容されるとともに、ドアの閉鎖によりほぼ密閉状態に保持される収容部と、前記収容部に供給するオゾンを発生させるオゾン発生部と、前記収容部を加湿するためのミストを発生させるミスト発生部と、前記収容部にオゾンを供給するオゾン発生工程と、当該オゾン発生工程に続く、前記収容部に残留するオゾンを分解するオゾン分解工程とを実行する制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記オゾン発生工程において前記オゾン発生部を動作させた後に、前記オゾン分解工程において前記ミスト発生部を動作させる。
【0010】
上記の構成によれば、オゾン分解工程において収容室内にミストが供給され、収容室内が加湿される。これにより、収容室内に残留するオゾンの分解が促進されるため、オゾンの供給が停止されてから処理対象物の取出しが可能となるまでの時間を短縮することができる。しかも、超音波加湿装置等による加湿に要する消費電力は、ヒータによる加熱に要する消費電力に比べて小さくできるので、消費電力を抑えつつ、残留するオゾンの分解の促進を図ることができる。また、処理対象物が熱に弱い場合にも、残留するオゾンの分解の促進を図ることができる。
【0011】
本態様に係るオゾン処理装置は、前記収容部内に風を発生させる風発生部と、前記収容部に設けられ、前記収容部内で発生させた風の流れでミストを外部に排出することが可能な孔部と、をさらに備える構成とされ得る。この場合、前記制御部は、前記オゾン分解工程において、前記ミスト発生部を停止した後に前記風発生部を動作させる。
【0012】
上記の構成によれば、ユーザは、ミストを外部に排出することにより収容部内の湿度が低下した状態で、収容部から処理対象物を取り出すことができる。よって、ユーザが、湿度が高い収容部に手を入れ不快感を覚えてしまうことを防止できる。
【0013】
本態様に係るオゾン処理装置において、前記収容部は、外槽と、当該外槽内に配され、水平軸または水平方向に対して傾く傾斜軸を中心に回転可能なドラムと、を含む構成とされ得る。
【0014】
このような構成とされた場合、さらに、前記制御部は、前記ミスト発生部からのミストにより前記収容部が加湿されるときに前記ドラムを回転させる構成とされ得る。
【0015】
このような構成とされれば、オゾン分解工程中にドラムを回転させることで、ドラム内が満遍なく加湿される。これにより、ドラム内のオゾンの分解を均一に促進させることができる。
【0016】
上記の構成とされた場合、オゾン処理装置は、前記ドラムを回転させるか否かを選択する操作を受け付ける回転選択操作部を、さらに備える構成とされ得る。
【0017】
このような構成とされれば、ドラムの回転により撹拌されることが望ましくない処理対象物の消臭、除菌等を行う場合には、回転選択操作部の操作によって、ドラムを回転させないようにすることができる。これにより、ドラムの回転により処理対象物に痛みなどの不具合が生じることを防止できる。
【0018】
本態様に係るオゾン処理装置は、前記収容部を加熱する加熱部を、さらに備える構成とされ得る。この場合、前記制御部は、前記オゾン分解工程において、前記ミスト発生部とともに前記加熱部を動作させる。
【0019】
上記の構成によれば、収容部内の加湿を行うのみの構成に比べて、オゾンの分解が大きく促進されるので、処理対象物の取出しが可能となるまでの時間を短縮することができる。また、収容部内の加熱を行うのみの構成に比べても、処理対象物の取出しが可能となるまでの時間を短縮することができるため、加熱を行うのみの構成に比べてオゾン分解工程全体としての消費電力を抑えることができる。
【0020】
上記の構成とされた場合、オゾン処理装置は、前記収容部を加熱するか否かを選択する操作を受け付ける加熱選択操作部を、さらに備える構成とされ得る。
【0021】
このような構成とされれば、熱に弱い処理対象物の消臭、除菌等を行う場合には、加熱選択操作部の操作により、収容部内を加熱しない設定とすることができるので、加熱により、熱に弱い処理対象物を痛めてしまうことを防止できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、消費電力を抑えつつ、また、処理対象物が熱に弱い場合であっても、オゾンの供給が停止されてから処理対象物が取出し可能となるまでの時間を短縮できるオゾン処理装置を提供することができる。
【0023】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施の形態に係る、ドラム式洗濯乾燥機の構成を示す側面断面図である。
図2】実施の形態に係る、超音波加湿装置の構成を示す、貯水タンクが断面で表された側面図である。
図3】実施の形態に係る、ドラム式洗濯乾燥機の構成を示すブロック図である。
図4】実施の形態に係る、オゾン発生工程が終了した後、自然放置された場合におけるドラム内のオゾン濃度の経時変化、および、オゾン発生工程が終了した後、ドラム内が加湿された場合におけるドラム内のオゾン濃度の経時変化を示す図である。
図5】実施の形態に係る、エアウォッシュコースにおける制御処理を示すフローチャートである。
図6】実施の形態に係る、加湿工程における制御処理を示すフローチャートである。
図7】変更例1に係る、ドラム式洗濯乾燥機の構成を示す側面断面図である。
図8】変更例1に係る、加湿工程における制御処理を示すフローチャートである。
図9】変更例2に係る、ドラム式洗濯乾燥機の構成を示す側面断面図である。
図10】変更例2に係る、エアウォッシュコースにおける制御処理を示すフローチャートである。
図11】変更例2に係る、加湿工程における制御処理を示すフローチャートである。
図12】その他の変更例に係る、加湿工程における制御処理を示すフローチャートである。
図13】その他の変更例に係る、加湿工程における制御処理を示すフローチャートである。
図14】その他の変更例に係る、加湿工程における制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明のオゾン処理装置の一実施形態であるドラム式洗濯乾燥機1について、図面を参照して説明する。
【0026】
図1は、ドラム式洗濯乾燥機1の構成を示す側面断面図である。
【0027】
ドラム式洗濯乾燥機1は、外観を構成する筐体10を備える。筐体10の前面10aは、中央部から上部にかけて傾斜し、傾斜した面に洗濯物の投入口11が形成される。投入口11は、開閉自在なドア12により覆われる。
【0028】
筐体10内には、外槽20が、複数のダンパー21により弾性的に支持される。外槽20内には、ドラム22が回転自在に配される。外槽20およびドラム22により、本発明の収容部が構成される。外槽20およびドラム22は、水平方向に対し、後面側が低くなるよう傾斜する。これにより、ドラム22は、水平方向に対して傾斜した傾斜軸を中心に回転する。外槽20およびドラム22の傾斜角度は、10〜20度程度とされ得る。外槽20の前面の開口部20aおよびドラム22の前面の開口部22aは、投入口11に対向し、投入口11ともにドア12により閉鎖される。ドラム22の内周面には、多数の脱水孔22bが形成される。さらに、ドラム22の内周面には、3つのバッフル23が周方向にほぼ等しい間隔で設けられる。
【0029】
外槽20の上部には、複数の小孔からなる空気抜き部20bが設けられる。たとえば、ドア12が閉鎖される際、外槽20内の空気の一部が、ドア12に押されて空気抜き部20bから外部へ抜ける。これにより、ドア12の閉鎖が円滑に行われる。空気抜き部20bは、本発明の孔部に相当する。空気抜き部20bが存在するものの、ドア12が閉鎖された状態では、外槽20内は、ほぼ密閉された状態となる。
【0030】
外槽20の後方には、ドラム22を駆動するトルクを発生させる駆動モータ30が配される。駆動モータ30は、たとえば、アウターロータ型のDCブラシレスモータである。駆動モータ30は、洗い工程およびすすぎ工程時には、ドラム22を、ドラム22内の洗濯物に加わる遠心力が重力より小さくなる回転速度で回転させる。一方、駆動モータ30は、脱水工程時には、ドラム22を、ドラム22内の洗濯物に加わる遠心力が重力よりはるかに大きくなる回転速度で回転させる。
【0031】
外槽20の底部には、排水口部20cが形成される。排水口部20cには、排水バルブ40が設けられる。排水バルブ40は、排水ホース41に接続される。排水バルブ40が開放されると、外槽20内に溜められた水が排水ホース41を通じて機外へ排出される。
【0032】
外槽20の外側には、乾燥ユニット50が配される。乾燥ユニット50は、循環風路51と、循環ブロワ52と、ヒータ53を備える。循環風路51の吸気口51aは、外槽20の後面下部に設けられ、循環風路51の排気口51bは、外槽20の前上部に設けられる。循環ブロワ52は、洗濯物を乾燥させるための乾燥風を、外槽20と循環風路51との間で循環させる。ヒータ53は、乾燥風を加熱する。循環風路51は、外槽20の後面に沿うように上下に伸びる縦風路51cを含む。縦風路51cは、除湿部として機能する。即ち、縦風路51cには、上方から水が流され、ドラム22内の洗濯物から水分を奪い外槽20から排出された乾燥風が、縦風路51cを流れる水との間で熱交換を行う。これにより、乾燥風から水分が除去される。循環ブロワ52は、本発明の風発生部に相当する。
【0033】
外槽20の上方には、オゾン発生装置61が配される。オゾン発生装置61は、放電方式のオゾン発生装置であり、一対の電極間にコロナ放電、無声放電等の放電を生じさせ、一対の電極間に通された空気からオゾンを生成する。オゾン発生装置61は、オゾン供給管62を介して循環風路51における循環ブロワ52の吸気口側につながる。循環ブロワ52が回転すると、吸気口側は負圧となるため、オゾン発生装置61で発生したオゾンが循環ブロワ52に吸い込まれる。吸い込まれたオゾンは、乾燥風と混合されてドラム22内に供給される。オゾン発生装置61は、放電方式以外の方式、たとえば、紫外線方式のオゾン発生装置であっても良い。オゾン発生装置61は、本発明のオゾン発生部に相当する。
【0034】
外槽20の上方には、さらに、超音波加湿装置70が配される。超音波加湿装置70は、ミストを発生する。発生したミストは、ミスト供給管71を通じて外槽20およびドラム22内に供給される。超音波加湿装置70は、本発明のミスト発生部に相当する。
【0035】
筐体10内の後方上部には、給水バルブ80が配される。給水バルブ80は、水道栓に接続される。給水バルブ80は、3連バルブであり、第1バルブ81、第2バルブ82および第3バルブ83を備える。第1バルブ81は、第1ホース84を介して外槽20の後部につながる。給水工程において、第1バルブ81が開放されると、第1ホース84を通じて水道水が外槽20内に供給される。第2バルブ82は、第2ホース85を介して縦風路51cの上部につながる。乾燥工程において、第2バルブ82が開放されると、第2ホース85を通じて水道水が縦風路51cに供給される。上述したように、縦風路51cに供給された水は、乾燥風の除湿に用いられる。第3バルブ83は、第3ホース86を介して超音波加湿装置70につながる。超音波加湿装置70に水の補給が必要なときに、第3バルブ83が開放される。第3バルブ83が開放されると、第3ホース86を通じて水道水が超音波加湿装置70に供給される。
【0036】
図2は、超音波加湿装置70の構成を示す、貯水タンク701が断面で表された側面図である。
【0037】
超音波加湿装置70は、水が溜められる貯水タンク701を備える。貯水タンク701には、後面に吸気口701aが形成され、前面に放出口701bが形成され、上面に給水口701cが形成される。また、貯水タンク701には、底面に超音波発振器702が設けられ、前面に水位検出器703が設けられる。吸気口701aには、吸気管704が接続される。吸気管704には、吸気ファン705が設けられる。放出口701bは、ミスト供給管71に接続される。給水口701cは、第3ホース86に接続される
水位検出器703は、上限の水位および下限の水位を検出する。水位検出器703により下限の水位が検出されると、第3バルブ83が開放され、第3ホース86を通じて貯水タンク701内に水が補給される。水位検出器703が上限の水を検出すると、第3バルブ83が閉鎖され、水の補給が停止される。貯水タンク701内に水が溜められた状態で超音波発振器702および吸気ファン705が動作する。超音波発振器702が動作すると、超音波振動によって、溜められた水からミストが生じる。吸気ファン705が動作すると、吸気管704から空気が吸い込まれ、吸い込まれた空気が貯水タンク701内に導入される。導入された空気は、ミストを取り込んで、放出口701bから放出される。ミストを取り込んだ空気は、ミスト供給管71および外槽20を通ってドラム22内へ供給される。
【0038】
図3は、ドラム式洗濯乾燥機1の構成を示すブロック図である。
【0039】
ドラム式洗濯乾燥機1は、上述した構成に加え、制御部101、記憶部102、操作部103、水位センサ104およびドアロック装置105を備える。
【0040】
操作部103は、電源ボタン103a、スタートボタン103b、コース選択ボタン103cおよびエアウォッシュボタン103dを含む。電源ボタン103aは、ドラム式洗濯乾燥機1の電源を投入および遮断するためのボタンである。スタートボタン103bは、運転をスタートさせるためのボタンである。コース選択ボタン103cは、洗濯運転、洗濯乾燥運転および乾燥運転に係る複数の運転コースの中から任意の運転コースを選択するためのボタンである。エアウォッシュボタン103dは、洗濯運転等に係る運転コースとは別に設けられたエアウォッシュコースを選択するためのボタンである。なお、エアウォッシュコースの運転については、追って詳述される。操作部103は、ユーザに操作されたボタンに応じた入力信号を制御部101に出力する。操作部103は、本発明の回転選択操作部に相当する。
【0041】
水位センサ104は、外槽20内の水位を検出し、検出した水位に応じた水位検知信号を制御部101に出力する。
【0042】
ドアロック装置105は、制御部101からの制御信号に従ってドア12のロックおよびロック解除を行う。
【0043】
記憶部102は、EEPROM、RAM等を含む。記憶部102には、各種洗濯運転コースの洗濯運転を実行するためのプログラム、および、エアウォッシュコースの運転を実行するためのプログラムが記憶される。また、記憶部102には、これらプログラムの実行に用いられる各種パラメータや各種制御フラグが記憶される。
【0044】
制御部101は、操作部103、水位センサ104等からの各信号に基づいて、記憶部102に記憶されたプログラムに従い、駆動モータ30、給水バルブ80、排水バルブ40、循環ブロワ52、ヒータ53、オゾン発生装置61、超音波加湿装置70、ドアロック装置105等の各負荷を制御する。
【0045】
ドラム式洗濯乾燥機1は、コース選択ボタン103cによるユーザの選択操作に基づき、各種運転コースの洗濯運転、洗濯乾燥運転または乾燥運転を行う。洗濯運転は、洗濯のみを行う運転であり、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順番に実行される。洗濯乾燥運転は、洗濯から乾燥までを連続的に行う運転であり、最終脱水工程に続いて乾燥工程が実行される。乾燥運転は、乾燥のみを行う運転であり、乾燥工程のみが実行される。
【0046】
洗い工程およびすすぎ工程では、外槽20内に、投入口11の下縁に至らない所定の水位まで水が溜められた状態で、ドラム22が、ドラム22内の洗濯物に作用する遠心力が重力より小さくなる回転速度で右回転および左回転する。ドラム22内の洗濯物が、バッフル23で掻き上げられては落とされることにより、ドラム22の内周面に叩き付けられる。これにより、洗濯物が洗われる、あるいは、すすがれる。
【0047】
中間脱水工程および最終脱水工程では、ドラム22が、ドラム22内の洗濯物に作用する遠心力が重力よりはるかに大きくなる回転速度で一方向に回転する。遠心力の作用により、洗濯物が、ドラム22の内周面に押しつけられ、脱水される。
【0048】
乾燥工程では、ヒータ53で加熱された乾燥風が循環風路51と外槽20との間で循環する。また、洗い工程およびすすぎ工程と同様に、ドラム22が右回転および左回転する。ドラム22内の洗濯物は、バッフル23により撹拌されつつ、ドラム22内に導入された乾燥風に接触する。接触により洗濯物から水分を奪った乾燥風は、縦風路51c内で除湿された後に、再びヒータ53で加熱され、ドラム22内に導入される。このようにして、洗濯物が乾燥する。なお、撹拌されることが望ましくない洗濯物を乾燥する場合には、乾燥工程において、ドラム22は回転しない。
【0049】
さらに、ドラム式洗濯乾燥機1は、上記洗濯運転等とは別に、ユーザによるエアウォッシュボタン103dの操作に基づき、オゾンにより衣類、かばん、靴等の処理対象物の消臭、除菌等を行うエアウォッシュコースの運転を行う。
【0050】
エアウォッシュコースの運転は、オゾン発生装置61が発生したオゾンをドラム22内に供給し処理対象物の消臭、除菌等を行うオゾン発生工程と、当該オゾン発生工程に続いて行われる、ドラム22内に残留したオゾンを分解により消滅させるオゾン分解工程とを含む。オゾン分解工程によりドラム22内のオゾン濃度が十分に低下した後に、エアウォッシュコースが終了し、ドア12のロックが解除されて処理対象物の取出しが可能となる。
【0051】
オゾン発生工程が終了してから処理対象物の取出しが可能となるまでの時間(以下、「取出し待ち時間」と称する)を短縮するには、オゾンの分解を促進させることが必要となる。
【0052】
オゾンの分解は周囲の温度が高いほど促進される、ことが知られている。よって、たとえば、ヒータにより加熱した風をドラム22内に供給してドラム22内を加熱し、オゾンの分解を促進させる構成が採られ得る。しかしながら、加熱によりオゾンの分解を促進させる構成とされる場合には、比較的大きな電力を消費し易い。また、かかる構成は、処理対象物が熱に弱い場合に適用しにくい。
そこで、本願の発明者は、加熱に替わる他の条件でのオゾンの分解を促進する方法を考えた結果、オゾンが残留したドラム22内を加湿することで、オゾンの分解が促進されることを見出した。
【0053】
図4(a)は、オゾン発生工程が終了した後、自然放置された場合におけるドラム22内のオゾン濃度の経時変化を示す図である。図4(b)および(c)は、オゾン発生工程が終了した後、ドラム22内が加湿された場合におけるドラム22内のオゾン濃度の経時変化を示す図である。図4(b)は、ドラム22内にミストを供給しドラム22内の湿度を100%近くまで上昇させた場合のオゾン濃度の経時変化を示し、図4(c)は、ドラム22内にミストを供給しドラム22内の湿度をほぼ80%まで上昇させた場合のオゾン濃度の経時変化を示す。図4(a)ないし(c)は、ドラム22内のオゾン濃度が20ppmを超える状態でオゾン発生工程を実行した後に、オゾンの供給を停止し、ドラム22内のオゾン濃度が0.09ppmとなるまで、ドラム22内のオゾン濃度、温度および湿度をプロットしたグラフである。
【0054】
なお、図4(a)ないし(c)の実験においては、加湿によるオゾンの分解の促進効果が確認されやすいよう、オゾン発生工程でのオゾン濃度が、実際のエアウォッシュコースの運転でのオゾン濃度よりも高い値に設定される。
【0055】
図4(b)および(c)に示すように、ドラム22内を加湿した場合には、明らかに、図4(a)に示す自然放置の場合に比べて、オゾンの供給が停止されてからオゾン濃度が0.09%に低下するまでの時間が短くなっており、ドラム22内を加湿した場合にオゾンの分解が促進されることが分かる。
【0056】
加湿によりオゾン濃度が減少する理由について明確ではないが、おそらく、オゾンガスが加湿中の微細な水(ミスト)に溶解されたり、反応して分解されたりすることが原因であると考えられる。オゾンの水中での反応機構と同様であり、以下の反応が進んでいると考えている。
+ OH → O+ HO
+ HO → 2O + OH
+ OH → O + HO
2HO → O + H
HO + OH → O + H
【0057】
本実施の形態のドラム式洗濯乾燥機1では、加湿によりオゾンの分解が促進するとの新たな知見に基づき、エアウォッシュコースにおけるオゾン分解工程が、ドラム22内にミストを供給してドラム22内を加湿する加湿工程と、ドラム22内からミストを除去しドラム22内の湿度を低下させる除湿工程とで構成される。
【0058】
エアウォッシュコースの運転における具体的な制御内容について、以下に説明する。
【0059】
図5は、エアウォッシュコースにおける制御処理を示すフローチャートである。エアウォッシュボタン103dの操作により、エアウォッシュコースが選択され、その後、スタートボタン103bが操作されると、制御部101は、エアウォッシュコースの運転を開始する。なお、エアウォッシュボタン103dの押下回数により、エアウォッシュコースにおいてドラム22を回転させるか否かが、ユーザにより設定される。ユーザは、かばん、靴、型崩れしやすい衣類等、ドラム22の回転により撹拌されることが望ましくない処理対象物をドラム22内に収容した場合、ドラム22を回転しない設定を行う。
【0060】
運転が開始されると、制御部101は、まず、排水トラップ給水工程を実行する(S11)。排水トラップ給水工程では、制御部101は、排水バルブ40を開放した状態で第1バルブ81を開放し、外槽20内に給水する。排水バルブ40の下流には、水を溜めておくための排水トラップが設けられており、外槽20に供給された水は、排水バルブ40を通過して排水トラップに溜められる。排水バルブ40と排水トラップとの間には、外槽20に設けられた溢水口から延びる溢水ホースが接続される。排水トラップにおいて水封がなされるため、オゾン発生工程において、ドラム22内に供給されたオゾンが、溢水ホースおよび排水ホース41を通じて機外に漏れ出すことが防止される。
【0061】
予め定められた給水時間、たとえば、1分20秒が経過すると、制御部101は、第1バルブ81を閉鎖して、排水トラップ給水工程を終了する。
【0062】
次に、制御部101は、ドラム22を回転させる設定がなされているか否かを判定する(S12)。制御部101は、ドラム22を回転する設定がなされていれば(S12:YES)、ドラム22の回転を開始させた後に(S13)、オゾン発生工程へと処理を進め(S14)、ドラム22を回転する設定がなされていなければ(S12:NO)、ドラム22を回転させることなく、オゾン発生工程へと処理を進める(S14)。
【0063】
オゾン発生工程では、制御部101は、循環ブロア52を動作させてから、オゾン発生装置61を動作させる。オゾン発生装置61で発生したオゾンが、乾燥風に混合されて、ドラム22内に供給される。ドラム22内の処理対象物にオゾンが接触し、処理対象物が消臭および除菌される。予め定められたオゾン発生時間、たとえば、10分が経過すると、制御部101は、オゾン発生装置61および循環ブロワ52を停止してオゾン発生工程を終了する。
【0064】
次に、制御部101は、オゾン分解工程を実行する。制御部101は、まず、加湿工程を実行し(S15)、それに続いて除湿工程を実行する(S16)。なお、ステップS13でドラム22を回転させた場合には、オゾン分解工程においてもドラム22の回転が維持される。
【0065】
図6は、加湿工程における制御処理を示すフローチャートである。
【0066】
加湿工程では、制御部101は、超音波加湿装置70を動作させる(S101)。超音波加湿装置70で発生したミストが、ミスト供給管71を通じて外槽20内およびドラム22内に供給され、ドラム22内が加湿される。加湿により、ドラム22内の湿度は、たとえば、目標とする80%から100%程度の値まで上昇する。予め定められた加湿時間、たとえば、8分が経過すると(S102:YES)、制御部101は、超音波加湿装置70を停止して加湿工程を終了し、除湿工程へと処理を進める。
【0067】
図5に戻り、除湿工程では、制御部101は、循環ブロワ52を動作させる。外槽20およびドラム22内に風が発生し、空気抜き部20bを通じてミストが外槽20の外に少しずつ排出される。これにより、ドラム22内の湿度が徐々に低下する。予め定められた除湿時間、たとえば、2分が経過すると、制御部101は、循環ブロワ52を停止して除湿工程を終了する。
【0068】
オゾン分解工程中、ドラム22内のオゾンが分解する。このとき、加湿工程において、ドラム22内が加湿されるため、オゾンの分解が促進される。ドラム22を回転する設定とされている場合には、オゾン分解工程の間、ドラム22が回転するので、ドラム22内が満遍なく加湿され、ドラム22内のオゾンの分解が均一に促進される。こうして、オゾン分解工程が終了したときには、ドラム22内のオゾン濃度が、処理対象物の取出しが可能となる濃度まで低下する。
【0069】
オゾン分解工程が終了すると、制御部101は、ドラム22が回転しているか否かを判定し(S17)、回転していなければ(S17:NO)、そのまま、エアウォッシュコースの運転を終了する。制御部101は、ドア12のロックを解除し、処理対象物の取出しを可能にする。ドラム22が回転している場合には(S17:YES)、制御部101は、ドラム22を停止した後(S18)、エアウォッシュコースの運転を終了する。
【0070】
なお、エアウォッシュコースの運転においてドラム22が回転する場合、ドラム22は、連続的に回転しても良いし、間欠的に回転しても良い。ドラム22が間欠的に回転する場合、動作時間が停止時間より長くされても良いし、停止時間が動作時間より長くされても良い。また、ドラム22が、一方向に間欠的に回転しても良いし、右回りと左回りとが混在するように回転しても良い。
【0071】
以上、説明した通り、本実施の形態によれば、オゾン分解工程においてドラム22内にミストが供給され、ドラム22内が加湿される。これにより、ドラム22内に残留するオゾンの分解が促進される。よって、処理対象物の取出し待ち時間を短縮できる。しかも、超音波加湿装置70による加湿に要する消費電力は、ヒータによる加熱に要する消費電力に比べて小さくできるので、消費電力を抑えつつ、残留するオゾンの分解の促進を図ることができる。また、処理対象物が熱に弱い場合にも、残留するオゾンの分解の促進を図ることができる。
【0072】
さらに、上記実施の形態によれば、ミストが外槽20の外に排出されることによりドラム22内の湿度が低下した後に、エアウォッシュコースの運転を終了する。これにより、ユーザが、湿度が高いドラム22内に手を入れ不快感を覚えてしまうことを防止できる。
【0073】
さらに、上記実施の形態によれば、オゾン分解工程中にドラム22を回転させることで、ドラム22内が満遍なく加湿される。これにより、ドラム22内のオゾンの分解を均一に促進させることができる。
【0074】
さらに、上記実施の形態によれば、ドラム22の回転により撹拌されることが望ましくない処理対象物の消臭、除菌等を行う場合には、操作部103のエアウォッシュボタン103dの操作により、ドラム22を回転しない設定とすることができる。これにより、ドラム22の回転により処理対象物に痛みなどの不具合が生じることを防止できる。
【0075】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態等によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0076】
<変更例1>
上記実施の形態では、ドラム22内へのミストの供給に、超音波加湿装置70が用いられる。これに対し、本変更例では、ドラム22内へのミストの供給に、ミストノズル90が用いられる。
【0077】
図7は、本変更例に係る、ドラム式洗濯乾燥機1の構成を示す側面断面図である。本変更例では、外槽20の後上部にミストノズル90が配され、ミストノズル90が第3ホース86を介して第3バルブ83に接続される。第3バルブ83が開放されると、水道水がミストノズル90に供給される。ミストノズル90は、供給された水をミストに変換し、変換されたミストを外槽20およびドラム22内に噴霧する。ミストノズル90は、本発明のミスト発生部に相当する。
【0078】
図8は、本変更例に係る、加湿工程における制御処理を示すフローチャートである。本変更例では、エアウォッシュコースの運転における加湿工程での制御処理が、上記実施の形態と異なる。以下、加湿工程の制御処理について、図8を参照して説明する。
【0079】
加湿工程に進むと(S15)、制御部101は、第3バルブ83を開放する(S201)。ミストノズル90から外槽20およびドラム22内にミストが噴霧される。これにより、ドラム22内が加湿される。
【0080】
予め定められた噴霧時間、たとえば、2分が経過すると(S202:YES)、制御部101は、第3バルブ83を閉鎖する(S203)。これにより、ミストの噴霧が停止する。ミストノズル90による単位時間当たりのミストの供給量は、上記実施の形態の超音波加湿装置70による単位時間当たりのミストの供給量より多いため、短い時間で、ドラム22内の湿度が、目標とする80%から100%程度の値まで上昇する。よって、制御部101は、ミストの噴霧を早い段階で停止し、その後、加湿時間、たとえば、加湿工程の開始から10分が経過するまで、そのまま待機する。加湿時間が経過すると(S204:YES)、制御部101は、加湿工程を終了して除湿工程へと処理を進める。
【0081】
本変更例の構成によれば、上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0082】
特に、本変更例では、ミストを発生させるためにミストノズル90が用いられており、消費される電力は、ミストノズル90へ水を供給する第3バルブ83を開閉にするための電力となる。このため、超音波加湿装置70を動作させる場合に比べて、消費電力を抑えることができる。
【0083】
<変更例2>
変更例1では、ドラム22内へのミストの供給に、ミストノズル90が用いられる。これに対し、本変更例では、外槽20に溜めた水をドラム22の回転によって飛散させることによりミストを生成する構成が採られる。本変更例では、ドラム22が、本発明のミスト発生部に相当する。
【0084】
図9は、本変更例に係る、ドラム式洗濯乾燥機1の構成を示す側面断面図である。本変更例では、上述の通り、超音波加湿装置70やミストノズル90が用いられないため、給水バルブ80が、第1バルブ81と第2バルブ82とを備える2連バルブとされる。
【0085】
図10は、本変更例に係る、エアウォッシュコースにおける制御処理を示すフローチャートである。図10に示す本変更例の制御処理では、図5に示す上記実施の形態の制御処理において実行されるステップS12の処理とステップS17の処理が実行されない。即ち、制御部101は、排水トラップ給水工程が終了すると(S11)、ドラム22を回転させ(S13)、オゾン発生工程へと処理を進める(S14)。さらに、制御部101は、オゾン分解工程を構成する除湿工程が終了すると(S16)、ドラム22を停止させる(S18)。
【0086】
図11は、本変更例に係る、加湿工程における制御処理を示すフローチャートである。
【0087】
加湿工程に進むと(S15)、制御部101は、回転しているドラム22を、一旦停止させる(S301)。次に、制御部101は、第1バルブ81を開放する(S302)。これにより、外槽20内に水道水が供給される。制御部101は、外槽20内の水位が飛散可能水位に到達したか否かを判定する(S303)。図9に示すように、飛散可能水位は、水面がドラム22の外周面に僅かに触れるような水位に設定される。外槽20内の水位が飛散可能水位に到達すると(S303:YES)、制御部101は、第1バルブ81を閉鎖する(S304)。これにより、外槽20への給水が停止する。
【0088】
制御部101は、再び、ドラム22を回転させる(S305)。ドラム22の外周面は、脱水孔22bの外縁が、加工上、僅かに外に突き出すなど、僅かな凹凸を有する。このため、ドラム22が回転することによりドラム22の外周面で水面が掃われると、水が飛散してミストが発生する。発生したミストにより、ドラム22内が加湿される。上記実施の形態と同様、加湿により、ドラム22内の湿度は、たとえば、目標とする80%から100%程度の値まで上昇する。予め定められた加湿時間、たとえば、8分が経過すると(S306:YES)、制御部101は、排水バルブ40を開放し(S307)、加湿工程を終了する。ドラム22の回転は継続されるが、外槽20内の水位が低下し、ドラム22の外周面が水面に触れなくなるため、ミストの発生が停止する。
【0089】
本変更例の構成によれば、ドラム22の回転により、撹拌が望まれない処理対象物に不具合が生じることを防止できるとの作用効果を除き、上記実施の形態と同様な作用効果を奏することができる。
【0090】
特に、本変更例では、ドラム22の回転によってミストを発生させる構成が採られるので、超音波加湿装置70など、ミストを発生させる専用の装置を必要とせず、コストの増加を抑制できる。
【0091】
<その他の変更例>
上記実施の形態、上記変更例1および上記変更例2の構成において、熱に弱くない処理対象物の消臭、除菌等を行う場合に、加湿工程において、加湿に加えて、ドラム22内を加熱する構成が付加されても良い。なお、この場合、操作部103に切替ボタンが設けられ、この切替ボタンにより、ドラム22内を加熱するか否かが設定される。ユーザは、熱に弱くない処理対象物の消臭、除菌等を行う場合に、ドラム22内を加熱する設定を行う。
【0092】
図12は、上記実施の形態の構成にドラム22内を加熱する構成が付加される場合の加湿工程における制御処理のフローチャートである。図12に示す制御処理では、図5に示す制御処理に対し、ステップS111ないしステップS114の処理が付加される。
【0093】
本変更例では、制御部101は、超音波加湿装置70を動作した後に、ドラム22内を加熱する設定がなされているか否かを判定する(S111)。ドラム22内を加熱する設定がなされている場合(S111:YES)、制御部101は、ヒータ53および循環ブロワ52を動作する(S112)。ヒータ53により加熱された風が、ドラム22内に供給され、ドラム22内が加熱される。これにより、ドラム22内に残留したオゾンの分解が、加湿のみならず加熱によっても促進される。よって、オゾンの分解が大きく促進される。
【0094】
予め定められた加湿・加熱時間が経過すると(S113:YES)、制御部101は、ヒータ53および循環ブロワ52を停止する(S114)。さらに、制御部101は、超音波加湿装置70を停止し(S103)、加湿工程を終了する。加湿および加熱によりオゾンの分解が大きく促進されることにより、加湿のみの場合に比べ、ドラム22内のオゾン濃度は早く低下する。このため、加湿・加熱時間は、加湿時間よりも短い時間とされる。
【0095】
図13は、上記変更例1の構成にドラム22内を加熱する構成が付加される場合の加湿工程における制御処理のフローチャートである。図13に示す制御処理では、図8に示す制御処理に対し、ステップS211ないしステップS216の処理が付加される。
【0096】
本変更例では、制御部101は、第3バルブ83を開放した後に、ドラム22内を加熱する設定がなされているか否かを判定する(S211)。ドラム22内を加熱する設定がなされている場合(S211:YES)、制御部101は、ヒータ53および循環ブロワ52を動作する(S212)。ドラム22内が加熱されることにより、ドラム22内に残留したオゾンの分解が大きく促進される。
【0097】
制御部101は、噴霧時間が経過すると(S213:YES)、第3バルブ83を閉鎖する(S214)。さらに、制御部101は、加湿・加熱時間が経過すると(S215:YES)、ヒータ53および循環ブロワ52を停止し(S216)、加湿工程を終了する。
【0098】
図14は、上記変更例2の構成にドラム22内を加熱する構成が付加される場合の加湿工程における制御処理のフローチャートである。図14に示す制御処理では、図11に示す制御処理に対し、ステップS311ないしステップS314の処理が付加される。
【0099】
本変更例では、制御部101は、ドラム22を再び回転させた後に、ドラム22内を加熱する設定がなされているか否かを判定する(S311)。ドラム22内を加熱する設定がなされている場合(S311:YES)、制御部101は、ヒータ53および循環ブロワ52を動作する(S312)。ドラム22内が加熱されることにより、ドラム22内に残留したオゾンの分解が大きく促進される。制御部101は、加湿・加熱時間が経過すると(S313:YES)、ヒータ53および循環ブロワ52を停止する(S314)。さらに、制御部101は、排水バルブ40を開放して(S307)、加湿工程を終了する。
【0100】
これらの変更例の構成とすれば、ドラム22内の加湿を行うのみの構成に比べて、オゾンの分解が大きく促進されるので、処理対象物の取出し待ち時間を短縮することができる。また、ドラム22内の加熱を行う構成に比べても、取出し待ち時間を短縮することができるため、加熱を行うのみの構成に比べてオゾン分解工程全体としての消費電力を抑えることができる。
【0101】
さらに、これらの変更例の構成とすれば、熱に弱い処理対象物の消臭、除菌等を行う場合には、操作部103の操作により、ドラム22内を加熱しない設定とすることができるので、加熱により、熱に弱い処理対象物を痛めてしまうことを防止できる。
【0102】
なお、図12ないし図14に示す変更例において、ヒータ53が、本発明の加熱部に相当し、操作部103が、本発明の加熱選択操作部に相当する。
【0103】
上記実施の形態では、洗濯運転、洗濯乾燥運転および乾燥運転とは別に設けられたエアウォッシュコースの運転においてオゾン発生工程とオゾン分解工程とが実行される。しかしながら、洗濯乾燥運転や乾燥運転における乾燥工程の後に、オゾン発生工程とオゾン分解工程とが実行されても良い。
【0104】
さらに、上記実施の形態では、ドラム22が、水平方向に対して傾斜した傾斜軸を中心に回転する。しかしながら、ドラム式洗濯乾燥機1は、ドラム22が、水平軸を中心に回転するような構成とされても良い。
【0105】
さらに、上記実施の形態では、オゾンにより衣類の消臭、除菌等を行う機能を有するドラム式洗濯乾燥機が例示されたが、本発明は、ドラム式洗濯乾燥機に限らず、オゾンにより衣類の消臭、除菌等を行う機能を有するドラム式洗濯機、全自動洗濯機、全自動洗濯乾燥機、衣類乾燥機等にも適用することができる。さらには、本発明は、洗浄機能に加えて、オゾンにより靴の消臭、除菌等を行う機能を有する靴洗浄機、オゾンによりスーツの消臭、除菌等を行うスーツリフレッシャー等、オゾンにより処理対象物の消臭、除菌等を行う様々なオゾン処理装置に適用することができる。
【0106】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0107】
12 ドア
20 外槽(収容部)
20b 空気抜き部(孔部)
22 ドラム(収容部、ミスト発生部)
52 循環ブロワ(風発生部)
53 ヒータ(加熱部)
61 オゾン発生装置(オゾン発生部)
70 超音波加湿装置(ミスト発生部)
90 ミストノズル(ミスト発生部)
101 制御部
103 操作部(回転選択操作部、加熱選択操作部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14