特許第6333054号(P6333054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6333054
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】密閉構造体用熱交換装置
(51)【国際特許分類】
   F28D 15/02 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   F28D15/02 102C
   F28D15/02 K
   F28D15/02 L
   F28D15/02 D
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-99013(P2014-99013)
(22)【出願日】2014年5月12日
(65)【公開番号】特開2015-215138(P2015-215138A)
(43)【公開日】2015年12月3日
【審査請求日】2017年4月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】514118723
【氏名又は名称】中部抵抗器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107825
【弁理士】
【氏名又は名称】細見 吉生
(72)【発明者】
【氏名】竹市 剛志
(72)【発明者】
【氏名】山蔭 久明
【審査官】 山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−184390(JP,A)
【文献】 特開昭60−124996(JP,A)
【文献】 実開昭54−031956(JP,U)
【文献】 実開昭62−056975(JP,U)
【文献】 実開昭63−142669(JP,U)
【文献】 特開2004−48489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ表面にフィンを有するヒートパイプ式熱交換器が密閉空間の上部壁を内外すなわち上下に貫通して取り付けられ、上記熱交換器と上記上部壁との間が仕切板によって塞がれ、上記熱交換器の下部および上部にそれぞれ密閉空間内の空気と外気とを送るファンを備える密閉構造体用熱交換装置であって、
上記熱交換器が、1箇所または2箇所のみに有する屈曲部をはさんで上部と下部とに水平または傾斜した部分を有し、上記1箇所の屈曲部か上記2箇所の屈曲部の間かにおいて上記上部壁との間が上記仕切板により塞がれることにより、上記内外各部分に上記水平または傾斜した部分を有すること、
および、上記熱交換器が、上記屈曲部を含めてパイプ表面にフィンを有すること
を特徴とする密閉構造体用熱交換装置。
【請求項2】
上記熱交換器が、上記仕切板によって塞がれた部分の表面にもフィンを有することを特徴とする請求項1に記載の密閉構造体用熱交換装置。
【請求項3】
パッキンもしくは充填式シール材またはそれらの両方が上記フィンに接するよう使用されることにより、上記熱交換器が上記仕切板によって塞がれていることを特徴とする請求項2に記載の密閉構造体用熱交換装置。
【請求項4】
上記の各ファンによる空気流と直角の方向に複数の上記熱交換器が1列に配置され上記の各フィンを連結されることにより1列の熱交換器結合体をなし、上記の各ファンによる空気流の方向に当該熱交換器結合体が複数列配置されているとともに、
各列の熱交換器結合体は、他の列の熱交換器結合体に対しフィンを連結されることなく配置されている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の密閉構造体用熱交換装置。
【請求項5】
上記仕切板によって塞がれた部分においてのみ、隣接する列の熱交換器結合体同士の間でフィンが一体に連続していることを特徴とする請求項4に記載の密閉構造体用熱交換装置。
【請求項6】
上記の各ファンによる空気流と直角の方向に複数の上記熱交換器が1列に配置され上記の各フィンを連結されることにより1列の熱交換器結合体をなし、上記の各ファンによる空気流の方向に当該熱交換器結合体が複数列配置されているとともに、
各列の熱交換器結合体は、各列の熱交換器結合体の端部が、長さ方向と直角な一平面のうちに概ね揃って並んでいる
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の密閉構造体用熱交換装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバーラック等を収容するデータセンタなどの密閉構造体のための熱交換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、データセンタでは、複数のラックに収納された多くのサーバが、多量のエネルギーを消費している。データ処理量の増大に伴い、近年のデータセンタ等の消費電力は増加の一途をたどっている。こうした電力消費によって室温が上昇するため、室内の空調を行う必要がある。
【0003】
上記の空調に関し、サーバーラック内に外気を直接取り込む方式では、外気の塵埃除去対策が必要であるうえ、取り込まれる空気中に水分が含まれることから湿度管理も必要となり、塵埃除去と加湿・除湿のためにシステムが複雑化する。従来、制御盤等の密閉冷却にはヒートパイプ式熱交換器が使用されており、この熱交換器を用いた外気による間接冷却方式(密閉冷却方式)を採用することで上記の問題を解決できる。すなわち、サーバーラック等を密閉構造体の内部に収容し、ヒートパイプ式熱交換器をその密閉空間の上部壁を内外に貫通させて取り付け、上記熱交換器と上記上部壁との間を仕切板によって塞ぐ方式である。熱交換器のパイプ表面にフィンを取り付けるとともに、熱交換器の上記内外各部分にファンを設ける。それぞれのファンにより構造体内の空気(内気)と外気とを上記熱交換器の内外各部分に送ると、ヒートパイプの熱移動作用により内気の熱量が運ばれて外気中に放出されるため、内気温度を下げることができる。
【0004】
上記した密閉冷却方式によって大容量の熱処理を行うには、当然ながら熱交換部を大きくする必要がある。図4は、ヒートパイプ式熱交換器のパイプを長くすることによって大容量化を図る例であり、図5は、パイプの本数を列方向(空気流の方向)に多くして同様の効果を得ようとする例である。なお、図4図5において符号1はヒートパイプ式熱交換器であり、パイプ1aの表面に多数枚のフィン1bを有している。ヒートパイプ式熱交換器1が密閉構造体Aの上部壁Aaを内外に貫通するように取り付けられ、上記熱交換器1と上記上部壁Aaとの間が仕切板2によって塞がれている。構造体Aの外側と内側とにファン4・6があり、それぞれが外気と内気を熱交換器1の外部および内部の各部分に送風する。いずれの例でも、空気流と直角(図の紙面と直角)の方向のいわゆる段方向にも複数本のパイプ1aが併設されている。
【0005】
しかし、図4の例では、容量によってはヒートパイプ式熱交換器1の長さ(高さ)が過大になり、天井の位置等との関係で高さ寸法に限界のある密閉構造体Aへの取り付けが困難になることがある。また、熱交換器1の全域に均等に空気を流すために、多数または大型のファン4・6を設ける必要も生じる。
図5の例では、フィン1b付きのヒートパイプ1aが列方向に数多く存在することになるので、圧力損失が増大し、高静圧(高出力)のファン4・6を設ける必要が生じる。それは、ヒートパイプ(1a)の本数が多くなることと併せて、熱交換装置のコストアップにつながる。
【0006】
図6は、特許文献1に記載されたヒートパイプ式熱交換器1に関するもので、中央付近に屈曲部(湾曲部)1xを設けた例を示している。熱交換器1の上部と下部とを密閉構造体の内外各部分に配置し、図示の屈曲部1xに仕切板(隔壁)2を取り付けて密閉構造体の内外間を塞ぐ。なお、図6において符号1aは熱交換器1のパイプ、同1bはフィンである。
この図の例にならってヒートパイプ式熱交換器に屈曲部を形成するなら、その熱交換器を長くして熱処理容量を大きくしながらも、高さ寸法の限られた密閉構造体への取付け可能性を広げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭63−142669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図6に示すヒートパイプ式熱交換器(特許文献1に記載のもの)は、パイプの屈曲部であって仕切板により塞がれる部分に、フィンを有していない。それに関連して、図6の熱交換器には下記のような課題が存在する。
・ フィンを有しない部分では熱交換の機能が発揮されがたいため、ヒートパイプ式熱交換器の特性が十分に有効活用されない。
・ フィンを有しない部分(パイプ屈曲部1xなど)において、ヒートパイプ式熱交換器と仕切板との間の隙間をなくすことが容易でない。熱交換器のパイプと仕切板との間はロウ付けや溶接によって接合するか、またはシールを施す必要がある。また、仕切板は、フィンを含めて熱交換器の下半部(または上半部)を取り入れられるよう密閉構造体に設けられた開口を覆う役割を兼ねるため、仕切板をパイプの屈曲部1xに取り付ける作業は容易ではない。熱交換器を複数列配置する場合には、その作業はとくに困難となる。作業の困難さは、熱交換装置のコストアップや信頼性の低下につながる可能性もある。
【0009】
本発明は以上の点を考慮したものであり、大容量のヒートパイプ式熱交換器を組み込むことが容易であるとともに、当該熱交換器による熱交換特性を十分に発揮でき、さらには熱交換器と仕切板との間を簡単かつ確実に塞ぐことのできる密閉構造体用熱交換装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、パイプ表面にフィンを有するヒートパイプ式熱交換器が密閉空間の上部壁を内外に貫通して(つまり密閉構造体の内側と外側とにわたって)取り付けられ、上記熱交換器と上記上部壁との間が仕切板によって塞がれ、上記熱交換器の上記内外各部分にそれぞれ密閉空間内の空気(内気)と外気とを送るファンを備える密閉構造体用熱交換装置であって、
・ 上記熱交換器が、屈曲部(湾曲部)を有することにより上記内外各部分に水平または傾斜した部分を有すること、および、
・ 上記熱交換器が、上記屈曲部を含めてパイプ表面にフィンを有すること
を特徴とする。図1図3の装置は、そのような発明を例示するものである。
【0011】
上記した密閉構造体用熱交換装置は、ヒートパイプ式熱交換器を使用する間接冷却方式(密閉冷却方式)の装置であるため、外気の塵埃除去対策や湿度管理を行わなくとも、電子制御盤やサーバーラック等を含む密閉構造体の熱交換を適切に行うことができる。
また、ヒートパイプ式熱交換器が屈曲部を有していて密閉構造体の内外各部分に水平または傾斜した部分を有するため、図6(特許文献1)の例と同様に、長尺化して熱処理容量を大きくしたヒートパイプ式熱交換器をもコンパクトに構成することを可能にし、高さ寸法の限られた密閉構造体への取付け可能性を広げることができる。
しかも、そのヒートパイプ式熱交換器が、図6の例などとは異なり、上記屈曲部を含めてパイプ表面にフィンを有するため、その屈曲部においても十分な熱交換が行われ、その結果として発明の装置には高い熱交換特性がもたらされる。
【0012】
発明による密閉構造体用熱交換装置においては、上記熱交換器が、上記仕切板によって塞がれた部分の表面にもフィンを有するととくに好ましい。上記熱交換器のうち仕切板によって塞がれる部分が、図3の例のように直線状であって屈曲部ではないことがあり得るが、そのような場合、屈曲部だけでなく、仕切板によって塞がれる部分にもフィンを設けるとよい。
ヒートパイプ式熱交換器が、そのように仕切板によって塞がれた部分の表面にもフィンを有すると、図6の例のように当該部分にフィンがない場合よりも、熱交換器と仕切板との間の隙間をなくす作業を容易に、かつ確実に行うことができる。フィンは、各パイプの表面に密に嵌め付けられて取り付けられているため、仕切板で塞がれる部分にもフィンがある場合には、そのフィンを利用して仕切板との隙間を塞ぐ(たとえば下記のようにする)ことが可能になるからである。
【0013】
上記の場合、パッキンもしくは充填式シール材またはそれらの両方が上記フィンに接するよう使用されることにより、上記熱交換器が上記仕切板によって塞がれているとよい。たとえば、図1(b)のようにパッキンや充填式シール材を使用して熱交換器と仕切板との間を塞ぐのである。
フィンは、パイプのそれぞれに対して熱移動の効率を高めるために密に嵌め付けられるものであるため、本来、フィンと各パイプとの間には実質上隙間がない。したがって、上記のようにパッキンや充填式シール材(またはその両方)によってフィンと仕切板(または隣接のフィン)との間が塞がれると、それだけで上記熱交換器と仕切板との間の隙間をなくすことができ、上記構造体を密閉する作業をきわめて容易に行うことができる。その結果、密閉構造体の内外間の空気の漏出防止に関する信頼性が向上することにもなる。
【0014】
発明の装置は、上記屈曲部を含む一連の面に沿う1列に上記熱交換器を複数段併置されてなる熱交換器結合体が、当該面を重ね合わせた状態で複数列配置されているとともに、各列の熱交換器結合体が、他の列の熱交換器結合体に対しフィンを連結されることなく配置されている構成を有すると好ましい。図1等には熱交換器結合体が3列配置された例を示しているが、熱交換器結合体のフィンは列ごとに独立であって、隣接の列の間でフィンが連結されてはいない。
そのように他の列の熱交換器結合体に対してフィンが連結されていない場合は、他の列との間でフィンが連結されている場合に比べて、複数列の熱交換器結合体に上記した屈曲部を形成することが明らかに容易である。また、他の列との間でフィンが連結されていない場合、フィンの各部の伝熱面温度が列方向(風の流れ方向)に均一化しないこと等から、一般に装置の熱交換効率が向上し、内気温度を効果的に下げることができる。
【0015】
上記の場合、上記仕切板によって塞がれた部分に限っては、隣接する列の熱交換器結合体同士の間でフィンが一体に連続しているのもよい。たとえば図2または図3のように、仕切板によって塞がれる部分にある一部のフィンのみを、他の列に及ぶ一体のものにすると好ましい。
そのような場合、上記のようにフィンを利用して仕切板との隙間を塞ぐことが一層容易になる。たとえば図2(b)のように、隣接する列の熱交換器結合体との間を、パッキン等によって塞ぐ必要がなくなるからである。
【0016】
発明の装置はまた、上記屈曲部を含む一連の面に沿う1列に上記熱交換器を複数段併置されてなる熱交換器結合体が、当該面を重ね合わせた状態で複数列配置されているとともに、各列の熱交換器結合体が、上記の各ファンによる空気流がそれぞれの流路の全域において同数の列の熱交換器結合体を横切るように、長さを設定されて重ね合わされている、といったものであるのも好ましい。つまり、図1図3の例のように各列の熱交換器結合体の端部が、長さ方向と直角な(すなわち空気流の方向の)一平面のうちに概ね揃って並ぶようにする。このように端部が揃うように、各列の熱交換器結合体の長さを屈曲加工前に設定しておくわけである。
上記の各ファンによって密閉構造体の内部および外部に発生する空気流は、各列の熱交換器結合体を横切る。その場合、内外各部において圧力損失の大きい部分と小さい部分とが存在すると、空気流は、圧力損失が小さく流れやすい部分に偏ってしまい、熱交換効率が十分には上がらない可能性が生じる。しかし、上記した構成によって各ファンによる空気流が各流路の全域において同数の列の熱交換器結合体を横切るようにすると、全域において空気抵抗が均一になり、空気流が特定の部位には偏らない。そのため、上記構成により、装置の熱交換効率が十分に向上する。
【発明の効果】
【0017】
発明の密閉構造体用熱交換装置によれば、長尺のヒートパイプ式熱交換器を屈曲させてコンパクトに構成することにより、熱交換量を増大させるとともに高さの限られた密閉構造体への取付けをも可能にすることができる。また、ヒートパイプ式熱交換器の広い範囲においてパイプ表面にフィンを設けることから、熱交換効率を向上させることができる。
熱交換器と仕切板との間を塞ぐ作業を簡単かつ確実にすることも可能である。
また、ファンによる空気流を均一に形成することにより、装置の熱交換効率を一層高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】発明の実施例として密閉構造体用熱交換装置を示す図面であり、図1(a)は側方から見た断面図、同(b)は同(a)におけるb−b断面図である。
図2】発明の実施例として他の密閉構造体用熱交換装置を示す図面であり、図2(a)は側方から見た断面図、同(b)は同(a)におけるb−b断面図である。
図3】発明の実施例としてさらに他の密閉構造体用熱交換装置を示す図面(側方から見た断面図)である。
図4】ヒートパイプ式熱交換器1を長くすることによって大容量化した密閉構造体用熱交換装置を示す側方から見た断面図である。
図5】ヒートパイプ式熱交換器1の列方向の数を多くして大容量化を図った密閉構造体用熱交換装置の側方から見た断面図である。
図6】特許文献1に記載されたヒートパイプ式熱交換器1を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1(a)・(b)に、発明の第一実施例としての密閉構造体用熱交換装置を示す。この装置は、電子制御盤やサーバーラック(図示省略)を収容した密閉構造体Aの内部を、密閉状態に保ったまま、ヒートパイプ式熱交換器1を利用して外気などにより間接冷却するものである。
【0020】
ヒートパイプ式熱交換器1は、パイプ(ヒートパイプ)1aの表面に多数のフィン1bを取り付けたものである。パイプ1a内には真空状態で所定量の作動液が封入されており、当該作動液が、高温部分において蒸発し低温部分へ移動したうえ凝縮する、という公知の機能により熱交換を行う。フィン1bがパイプ1aの表面に多数取り付けられていることから、高温部分での吸熱と低温部分での放熱が効率的に行われる。そのような熱交換器1を、密閉構造体Aの上部壁Aaを内外に貫通する状態に取り付けている。なお、熱交換器1は、図の紙面と直角の方向に複数段のパイプ1aを1列に配置する(そしてその1列上のパイプ1aに、段方向に連続する共通のフィン1bを取り付ける)ことにより熱交換器結合体10a・10b・10cのぞれぞれ(各列)を形成している。図1の例では、3列の熱交換器結合体10a・10b・10cを重ね合わせるように配置している。
【0021】
密閉構造体A内に外気が入ること等を防止するために、熱交換器1と上部壁Aaとの間を仕切板2によって塞いでいる。
また、熱交換器1の上半部(低温部分)と下半部(高温部分)とにそれぞれ外気と内気とを吹き付けるためファン4・6を配置し、それぞれによる風の流れを定めるよう、上部(外気用)および下部(内気用)にケーシング5・7を設けている。ファン4・6で送られる外気および内気は、上記3列の熱交換器結合体10a・10b・10cを通過するが、両者の流れの向きは熱交換効率を高める対向流(熱交換器結合体10a・10b・10cを通過する順序が、図示矢印のように対向する向き)にしている。
【0022】
図1に示すヒートパイプ式熱交換器1については、長さの中央部付近に屈曲部1xを設け、それより上部と下部とに傾斜部分を設けている。そのため、熱交換器1をもとに構成した熱交換器結合体10a・10b・10cにも、屈曲部と傾斜部分とが含まれている。これは、熱交換器1(したがって各熱交換器結合体)を真っ直ぐなまま鉛直に取り付けると、容量を拡大するために熱交換器1を長くした場合に、密閉構造体Aの内部に組み込めない恐れがあるからである。その点、図示のように熱交換器1を屈曲または湾曲させて傾斜部分や水平部分を設けると、長い熱交換器1であってもコンパクトな熱交換装置にすることができ、密閉構造体Aに対して組み込みやすい。
【0023】
図1の装置におけるヒートパイプ式熱交換器1は、上記の屈曲部1xを含む全長域においてパイプ1aの表面にフィン1bを取り付けている。3列ある熱交換器結合体10a・10b・10cのいずれにおいても、同様にしている。
そうしたことにより、熱交換器1中の屈曲部1xにおいても十分な熱交換が行われるため、各熱交換器1ならびに各熱交換器結合体が高い熱交換特性を発揮できる。
なお、熱交換器1のパイプ1aに対するフィン1bの取り付けと熱交換器1(熱交換器結合体)の屈曲加工は、たとえば、1)パイプ1a用の孔が空いた多数枚のフィン1bを、複数のパイプ1aに通して積み重ねる、2)パイプ1aを内圧等により拡径して、パイプ1aの表面にフィン1bを密着させる、3)3列の熱交換器結合体を重ね合わせ、各列の間に可撓性プレート(図示省略)をはさむとともに内側の結合体10aの中央部付近に円筒体を当てて3列の熱交換器結合体を同時に曲げる、といった手順で実施できる。その後、パイプ1a内を真空にしてパイプ1a内に作動液を封入すれば、ヒートパイプ式熱交換器1(熱交換器結合体)が完成する。
【0024】
上記のようにして熱交換器結合体10a・10b・10cを屈曲加工するうえで、各列の熱交換器結合体のフィン1bは、他の列のフィン1bとは独立であって連結されていないことが望ましい。隣接の熱交換器結合体との間でフィン1bが連結等されていると、上記のように屈曲させることが容易でない。
また、各列の熱交換器結合体のフィン1bが、他の列のフィン1bと独立であって連続でないことは、フィンを伝わって列方向にフィン温度が均一化しないことより、装置の熱交換効率を高くするうえでも有利であり、内気温度を下げるうえで効果的である。
【0025】
熱交換器1のパイプ1aの表面に密着させてその全域にフィン1bを取り付けていることから、仕切板2によって熱交換器1のまわりの隙間を塞ぐ(密閉構造体Aを密閉する)ことは、図1(b)の要領で行うことができる。すなわち、各フィン1bの周縁にパッキン3a・3b、または充填式シール剤(コーキング剤)を密着させるよう使用して、仕切板2との隙間を埋める。図1の例では、熱交換器結合体における各列のフィン1bが、仕切板2で塞がれる部分を含む熱交換器1の全域において他の列のフィン1bから独立であるため、フィン1bの最外周と仕切板2(または仕切板2と一体のケーシング5・6)との間にパッキン3aを使用し、隣り合う列のフィン1bの間に他のパッキン3bを使用する等するとよい。
【0026】
図示の装置では、3列の熱交換器結合体10a・10b・10cについてそれぞれの長さを適切に定めることにより、各結合体の端部の位置が結合体の厚さ方向(列方向。すなわち空気流の方向)に揃うようにしている。各結合体10a・10b・10cについて屈曲させる前の長さを等しくした場合には、図示のように厚さ方向(列方向)に端部が揃うことはない。そのため、屈曲させる前の結合体の長さを、結合体ごとに適切に設定しておくのである。
各結合体の端部の位置が図のように揃うと、ファン4・6による空気流が、ケーシング5・7中のどの部分を流れても、同数の列の熱交換器結合体を通過することになる。つまり、ケーシング5・7内の全域において空気抵抗がほぼ均一になり、空気流が特定の部位には偏らなくなる。その結果、装置の熱交換効率が十分に発揮されるわけである。
【0027】
図2(a)・(b)に、発明の他の実施例としての密閉構造体用熱交換装置を示す。前記した図1の装置と概ね同様に構成したものであり、この図では、同じ構成の部分に図1と同一の符号を付している。
【0028】
図2の装置では、熱交換器結合体10a・10b・10cの各フィン1bのうち、仕切板2によって塞がれる部分にある複数枚(10枚程度)のフィン1cに限っては、隣接する列の熱交換器結合体との間で連続した一体のものを使用している。
そのようにすると、仕切板2との隙間を塞ぐためには、図2(b)のように、フィン1cの外周縁と仕切板2等との間にパッキン3a(または充填式シール剤)を使用すれば足りる。隣接する列の熱交換器結合体(のフィン1b)同士の間をパッキン等によって塞ぐ必要がないため、熱交換器1のまわりの隙間を塞ぐ(密閉構造体Aを密閉する)作業がきわめて容易になる。また、3列の熱交換器結合体10a・10b・10cを、一体として容易にハンドリングできるという利点もある。
【0029】
図3には、発明のさらに他の実施例である密閉構造体用熱交換装置を示している。図1および図2の装置と概ね同様に構成したもので、同じ構成の部分に同一の符号を付している。
【0030】
図1図2の装置では、熱交換器1の中央部に屈曲部1xがあり、その屈曲部1xにおいて仕切板2との間を塞ぐ必要があった。しかしこの図3の装置では、仕切板2で塞ぐ必要のある熱交換器1の中央部付近を直線部1yとし、中央部から上下にやや離れた2箇所に屈曲部1xを設けている。このように中央部以外に屈曲部1xを設けるようにしても、長尺の熱交換器1をコンパクトにして密閉構造体A内に取り付けやすくできること等は、図1図2の装置と同じである。
【0031】
また、図3の装置においても、熱交換器結合体10a・10b・10cの各フィン1bのうち、仕切板2によって塞がれる部分にある複数枚(10枚程度)のフィン1cのみについて、隣接する列の熱交換器結合体との間で連続した一体のものにしている。そうすることによって、仕切板2との隙間を塞ぐこと等について図2の装置と同様の利点がもたらされる。
【符号の説明】
【0032】
1 ヒートパイプ式熱交換器
1a パイプ
1b・1c フィン
1x 屈曲部
2 仕切板
3a・3b パッキン
4・6 ファン
5・7 ケーシング
10a・10b・10c 熱交換器結合体
A 密閉構造体
Aa 上部壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6