特許第6333066号(P6333066)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ YKK AP株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6333066-樹脂製建具 図000002
  • 特許6333066-樹脂製建具 図000003
  • 特許6333066-樹脂製建具 図000004
  • 特許6333066-樹脂製建具 図000005
  • 特許6333066-樹脂製建具 図000006
  • 特許6333066-樹脂製建具 図000007
  • 特許6333066-樹脂製建具 図000008
  • 特許6333066-樹脂製建具 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6333066
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】樹脂製建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/28 20060101AFI20180521BHJP
   E06B 5/16 20060101ALI20180521BHJP
   E06B 3/44 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   E06B1/28
   E06B5/16
   E06B3/44
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-108905(P2014-108905)
(22)【出願日】2014年5月27日
(65)【公開番号】特開2015-224444(P2015-224444A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2017年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(74)【代理人】
【識別番号】100096448
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 嘉明
(72)【発明者】
【氏名】亀田 健治
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−063930(JP,A)
【文献】 特開平11−013342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/26−1/28
E06B 3/20
E06B 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製枠材を枠組みした枠体と、前記枠体に取り付けた障子を備えた樹脂製建具であって、
前記樹脂製枠材は、第1中空部を有した障子支持部と、前記障子支持部の第1中空部と面外方向に離隔して対向した第2中空部を備え、
前記障子支持部の第1中空部に挿入して取り付けられ、当該障子支持部を補強する金属製の補強部材と、前記第2中空部に挿入して取り付けた金属製の支持部材と、前記補強部材の長さ方向端部と前記支持部材の長さ方向端部とを連結する金属製の連結部材を設け
前記樹脂製枠材の長さ方向端面に、前記連結部材が樹脂製枠材の長さ方向端面から長さ方向に突出しないように、前記連結部材が嵌まり込む部分を有し、
前記連結部材、前記補強部材の長さ方向端面、及び、前記支持部材の長さ方向端面が前記樹脂製枠材の長さ方向端面よりも長さ方向に突出せずに、前記連結部材が前記第2中空部と前記障子支持部の第1中空部とに渡って配置されたことを特徴とする樹脂製建具。
【請求項2】
前記樹脂製枠材は、第1中空部を有する障子支持部と、前記障子支持部と面外方向に離隔して対向し、かつ前記支持部材が挿入して取り付けられる第2中空部を有する突出部とを備え、
前記突出部と前記障子支持部の面外方向に対向した、前記第1中空部及び前記第2中空部の各中空部形成壁の長さ方向端部を切欠きして前記連結部材が嵌まり込む部分を形成した請求項1記載の樹脂製建具。
【請求項3】
前記支持部材は、板状の取付部と、前記取付部の長さ方向一端に設けられて前記取付部の厚さ方向の一側面側に向けて屈曲する一端部と、前記取付部の長さ方向他端に設けられて前記取付部の厚さ方向の一側面側に向けて屈曲する他端部とを有し、
前記支持部材は、前記第2中空部内に、幅方向を面外方向に向けて挿入してある請求項1又は2記載の樹脂製建具。
【請求項4】
前記連結部材は、前記支持部材の前記他端部に一体に形成された連結片と、前記連結片の長さ方向端部に一体に形成された取付片とでL字形状とし、
前記取付片を補強部材の長さ方向端部に固着した請求項3記載の樹脂製建具。
【請求項5】
前記支持部材の前記取付部は、前記第2中空部を形成する壁に固着されている請求項3又は4記載の樹脂製建具。
【請求項6】
前記樹脂製枠材は、建物躯体に取り付けられる本体部と、前記本体部に面内方向内側に向けて設けられた、第1中空部を有する障子支持部及び第2中空部を有する突出部とを備え、前記突出部と障子支持部は面外方向に離隔し、
前記障子支持部の第1中空部に、前記補強部材が挿入して取り付けられ、前記突出部の第2中空部に前記支持部材が挿入して取り付けられている請求項1〜5いずれか1項記載の樹脂製建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製枠材を枠組みした樹脂製の枠体を備えた樹脂製建具に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂製建具が特許文献1に開示されている。
この樹脂製建具は、左右の樹脂製縦枠材と樹脂製上枠材と樹脂製下枠材を枠組みした枠体を備え、その枠体に障子を取り付け、障子を移動することで枠体を開閉可能である。
枠体を形成する樹脂製縦枠材、樹脂製上枠材、樹脂製下枠材は、中空部(ホロー)を有する断面形状で、金属製の補強部材を中空部に挿入している。
これにより、各樹脂製枠材が風圧により変形することを抑制し、耐風圧性を向上している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−264495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
樹脂製枠材の中空部に挿入された金属製の補強部材は、火災時に加熱されることで熱伸びし、補強部材は加熱側に向けて弓形状に反ることで、補強部材の長さ方向端部が加熱側に大きく変形する。
補強部材の変形により、樹脂製枠材と障子との間に大きな隙間が生じる。そして、火炎が加熱側から隙間を通り非加熱側に入り込むので、樹脂製建具の遮炎性が悪い。
【0005】
本発明の目的は、樹脂製枠材の中空部に挿入した金属製の補強部材の長さ方向端部が火災時に加熱側に変形することを抑制し、遮炎性を向上できるようにした樹脂製建具とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、樹脂製枠材を枠組みした枠体と、前記枠体に取り付けた障子を備えた樹脂製建具であって、
前記樹脂製枠材は、第1中空部を有した障子支持部と、前記障子支持部の第1中空部と面外方向に離隔して対向した第2中空部を備え、
前記障子支持部の第1中空部に挿入して取り付けられ、当該障子支持部を補強する金属製の補強部材と、前記第2中空部に挿入して取り付けた金属製の支持部材と、前記補強部材の長さ方向端部と前記支持部材の長さ方向端部とを連結する金属製の連結部材を設けたことを特徴とする樹脂製建具である。
この樹脂製建具であれば、補強部材の長さ方向端部が火災時に加熱側に変形することを抑制し、遮炎性を向上できる。
【0007】
本発明の樹脂製建具においては、前記樹脂製枠材の長さ方向端面に、前記連結部材が樹脂製枠材の長さ方向端面から長さ方向に突出しないように、前記連結部材が嵌まり込む部分を有し
前記連結部材、前記補強部材の長さ方向端面、及び、前記支持部材の長さ方向端面が前記樹脂製枠材の長さ方向端面よりも長さ方向に突出せずに、前記連結部材が前記第2中空部と前記障子支持部の第1中空部とに渡って配置されたものにできる。
このようにすれば、2つの樹脂製枠材の長さ方向端面同士を接触して連結することが可能である。
【0008】
本発明の樹脂製建具においては、前記樹脂製枠材は、第1中空部を有する障子支持部と、前記障子支持部と面外方向に離隔して対向し、かつ前記支持部材が挿入して取り付けられる第2中空部を有する突出部とを備え、
前記突出部と前記障子支持部の面外方向に対向した、前記第1中空部及び前記第2中空部の各中空部形成壁の長さ方向端部を切欠きして前記連結部材が嵌まり込む部分を形成することができる。
このようにすれば、樹脂製枠材の長さ方向端面に連結部材が嵌まり込む部分を簡単に形成できる。
また、補強部材の長さ方向端部と支持部材の長さ方向端部を連結部材で連結した状態で、補強部材と支持部材を障子支持部の中空部と突出部の中空部にそれぞれ挿入して取り付けできる。
【0009】
本発明の樹脂製建具においては、前記支持部材は、板状の取付部と、前記取付部の長さ方向一端に設けられて前記取付部の厚さ方向の一側面側に向けて屈曲する一端部と、前記取付部の長さ方向他端に設けられて前記取付部の厚さ方向の一側面側に向けて屈曲する他端部とを有し
前記支持部材は前記第2中空部内に、幅方向を面外方向に向けて挿入することができる。
このようにすれば、支持部材は板材を用いて容易に加工できると共に、安価である。
しかも、支持部材は面外方向に変形し難く、大きな支持力を有するから、連結部材に負荷する面外方向の大きな力を支持し、補強部材の加熱による反りを抑制できる。
【0010】
本発明の樹脂製建具においては、前記連結部材は、前記支持部材の前記他端部に一体に形成された連結片と、前記連結片の長さ方向端部に一体に形成された取付片とでL字形状とし、
前記取付片を補強部材の長さ方向端部に固着することができる。
【0011】
本発明の樹脂製建具においては、前記支持部材の前記取付部は、前記第2中空部を形成する壁に固着することができる。
【0012】
本発明の樹脂製建具においては、前記樹脂製枠材は、建物躯体に取り付けられる本体部と、前記本体部に面内方向内側に向けて設けられた、第1中空部を有する障子支持部及び第2中空部を有する突出部とを備え、前記突出部と障子支持部は面外方向に離隔し、
前記障子支持部の第1中空部に、前記補強部材が挿入して取り付けられ、前記突出部の第2中空部に前記支持部材が挿入して取り付けることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、火災時に金属製の補強部材が加熱され、補強部材が熱伸びにより加熱側に反り、補強部材の長さ方向端部が加熱側に変形することを抑制できる。
したがって、火災時に障子支持部が補強部材により障子と離れる方向に変動することが抑制され、障子支持部と障子との間に生ずる隙間が抑制されるので、障子支持部と障子との間を火炎が流れることが抑制され、遮炎性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態を示す樹脂製建具の内観図である。
図2図1のA−A断面図である。
図3図1のB−B断面図である。
図4図2に示す樹脂製縦枠材の拡大図である。
図5図2に示す樹脂製縦枠材の斜視図である。
図6】補強部材、支持部材、連結部材の斜視図である。
図7】補強部材、支持部材、連結部材を樹脂製縦枠材に挿入する説明用の斜視図である。
図8】補強部材、支持部材、連結部材を樹脂製縦枠材に挿入して取り付けた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示すように、樹脂製建具1は、枠体2と、枠体2に取り付けた障子3を備えている。
枠体2は4つの樹脂製枠材を方形状に枠組みしてある。
つまり、面内方向に対向した2つの樹脂製縦枠材2a,2aと、面内方向に対向した2つの樹脂製横枠材2b,2bを方形状に枠組みしてある。
各樹脂製枠材2a,2bは、合成樹脂材料を押し出し成形した樹脂押出形材を所定の長さとしたものである。
各樹脂製枠材2a,2bは断面形状がほぼ同一で、各樹脂製枠材2a,2bは長さ方向両端面が45°で、樹脂製縦枠材2aの長さ方向端面と樹脂製横枠材2bの長さ方向端面とを溶着等で連結することにより方形状に枠組みしてある。
【0016】
実施形態の枠体2は、樹脂製縦枠材2aが樹脂製横枠材2bよりも長く、枠体2は縦長の方形状である。
枠体2の面外方向一側寄りの上半分に上障子3aが固定して取り付けてある。
枠体2の面外方向他側寄りに下障子3bが、2つの樹脂製縦枠材2aに沿って上下方向に移動自在に取り付けてある。下障子3bは上障子3aの面外方向他側面(室内側面)と重なり合う上方の開き位置と、上障子3aよりも下方で下の樹脂製横枠材2bと接する閉じ位置とに渡って移動する。これにより、枠体2は下障子3bを移動することで開閉可能である。
つまり、図1に示す樹脂製建具1は上げ下げ窓である。
なお、面外方向とは枠体2を建物躯体に取り付けたときに室内外側方向に向かう方向で、面外方向一側は室外側、面外方向他側は室内側としてある。
【0017】
本発明の樹脂製建具1は上げ下げ窓に限ることはない。
例えば、引き違い窓、片引き窓、開き窓などとすることができる。
【0018】
上障子3aと下障子3bは、2つの樹脂製縦框30,30と、樹脂製上框31と、樹脂製下框32を方形状に連結した框組体33と、その框組体33内に装着した複層ガラスなどのパネル体34を有している。各框は樹脂製である。
【0019】
図2に示すように、樹脂製縦枠材2aは、面外方向に向かう本体部20と、本体部20の面内方向内側面における面外方向他側寄りに、面内方向内側に向けて設けた突出部21と、本体部20の面内方向内側面における突出部21よりも面外方向一側寄りに、面内方向内側に向けて設けた障子支持部22を有している。
突出部21と障子支持部22は面外方向に離隔し、両者の間に面内方向内側に開口した凹溝23を有している。
本体部20の面内方向外側面に取付片24が面内方向外側に向けて有している。
突出部21の面外方向他側面に取付片25が面外方向他側に向けて有している。
取付片24を建物躯体26の面外方向一側面(室外側面)26aに固着し、取付片25を建物躯体26の開口部26bに固着することで、樹脂製縦枠材2aの本体部20を建物躯体26に取り付ける。
突出部21は第2中空部27を有する形状である。
障子支持部22は第1中空部28を有する形状である。障子支持部22は突出部21よりも面内方向内側に突出している。
面内方向内側とは、対向した樹脂製縦枠材2aに向かう側で、障子3が取り付けられる側である。
面内方向外側とは、対向した樹脂製縦枠材2aと反対側に向かう側で、障子3と反対側である。
【0020】
障子3(下障子3b)は、障子支持部22よりも面外方向他側寄りに配置してある。下障子3bの面外方向一側面3b−1(樹脂製縦框30の面外方向一側面30a)は、障子支持部22の面外方向他側面22−1と対向している。
【0021】
図3に示すように、下の樹脂製横枠材2bは樹脂製縦枠材2aとほぼ同一断面形状で、面外方向に向かう本体部20、本体部20の面内方向内側面に面内方向内側に向けて設けた突出部21、障子支持部22を有する。
本体部20、突出部21に取付片24,25をそれぞれ有している。
突出部21は第2中空部27を有する形状で、障子支持部22は第1中空部28を有する形状である。
突出部21の面内方向内側面の面外方向他側寄りに突部21−1が面内方向内側に向けて有している。
突部21−1と障子支持部22の面内方向内側面は同一高さで、下障子3bが閉じ位置のときに、下障子3bの下部である樹脂製下框32が突部21−1と障子支持部22との間に入り込む。
下障子3bの面外方向一側面3b−1(樹脂製下框32の面外方向一側面32a)が、障子支持部22の面外方向他側面22−1と対向する。
【0022】
下障子3bに負荷する面外方向一側方に向かう外力、例えば、風圧による負圧は、障子支持部22で支持することになる。
そこで、図2に示すように樹脂製縦枠材2aの障子支持部22の第1中空部28に金属製の補強部材4を挿入して取り付けることで、障子支持部22を補強部材4で補強し、下障子3bに負荷する面外方向一側方に向かう外力Fで障子支持部22が変形しないようにして耐風圧性を向上している。
【0023】
このために、樹脂製建具1の面外方向一側方(室外側方)において火災が発生し、補強部材4が面外方向一側から加熱された場合に、補強部材4が熱伸びし、加熱側である面外方向一側に向けて弓形状に反ることで、補強部材4の長さ方向端部が加熱側に大きく変形する。
補強部材4の長さ方向端部が変形することで、障子支持部22の長さ方向端部が加熱側に向けて変形し、障子支持部22の長さ方向端部と下障子3bの面外方向一側面3b−1との間に大きな隙間が生じるため、その隙間を火炎が通るので、遮炎性が悪くなる。
【0024】
本発明は、図2に示すように樹脂製縦枠材2aの突出部21の第2中空部27に金属製の支持部材5を挿入して取り付けてある。
支持部材5の長さ方向端部と補強部材4の長さ方向端部は金属製の連結部材6で連結されている。
【0025】
これにより、補強部材4の長さ方向端部に負荷する面外方向一側方に向かう外力は、連結部材6を介して支持部材5で支持される。
【0026】
このようにすることで、樹脂製建具1の面外方向一側方(室外側方)において火災が発生し、補強部材4が面外方向一側から加熱され、補強部材4は熱伸びして加熱側である面外方向一側に向けて弓形状に反ることで、補強部材4の長さ方向端部が面外方向一側に変形する場合に、支持部材5は火災により加熱されることがなく、熱伸びによる反りが生じることがないから、補強部材4の長さ方向端部の面外方向一側への変形を支持部材5で抑制することができる。
【0027】
したがって、樹脂製縦枠材2aの障子支持部22の長さ方向端部が面外方向一側へ変形することが抑制され、障子支持部22と下障子3bの面外方向一側面3b−1との間に隙間が生じることが抑制され、障子支持部22と下障子3bとの間を火炎が流れることが抑制されるから、遮炎性が向上する。
【0028】
次に、各部の詳細を説明する。
図4に示すように、樹脂製縦枠材2aの本体部20は、面外方向に向かう面内方向内側の内側壁20aと、面外方向に向かう面内方向外側の外側壁20bと、内側壁20aの面外方向一側、他側、中間と外側壁20bの面外方向一側、他側、中間をそれぞれ連結する面内方向に向かう面外方向一側の一側連結壁20c、面外方向他側の他側連結壁20d、面外方向中間の中間連結壁20eとで、面外方向一側の中空部20fと面外方向他側の中空部20gを有する面外方向寸法が面内方向寸法よりも大きい矩形中空形状である。
そして、外側壁20bに取付片24が設けてある。
【0029】
突出部21は、本体部20の内側壁20aに面外方向に離隔して面内方向内側に向けて設けた第1内向壁21aと、第2内向壁21bと、第1内向壁21aの内側端と第2内向壁21bの内側端を連結する面外方向に向かう連結壁21cとを有し、第1内向壁21aと第2内向壁21bと連結壁21cと本体部12の内側壁20aとで第2中空部27を形成している。
第1内向壁21aと第2内向壁21bは面外方向に離隔し、第1内向壁21aは第2内向壁21bよりも面外方向一側寄りである。
第2内向壁21bに取付片25が設けてある。
【0030】
障子支持部22は、本体部20の内側壁20aに面外方向に離隔して面内方向内側に向けて設けた第1内向壁22aと、第2内向壁22bと、第1内向壁22aの内側端と第2内向壁22bの内側端を連結する面外方向に向かう連結壁22cとを有し、第1内向壁22aと第2内向壁22bと連結壁22cと本体部20の内側壁20aとで第1中空部28を形成している。
第1内向壁22aは第2内向壁22bよりも面外方向一側寄りである。
【0031】
実施形態では、第1内向壁22aと第2内向壁22bを中間連結壁22dで連結し、第1中空部28を面内方向に2つに区分している。そして、面内方向外側の中空部28aに補強部材4が挿入して取り付けてある。面内方向内側の中空部28bを形成する部分に下障子3bの樹脂製縦框30が対向する。
【0032】
突出部21の連結壁21cと障子支持部22の中間連結壁22dは面内方向に同一位置で、突出部21の第2中空部27の面内方向寸法と障子支持部22の補強部材4を挿入する第1中空部28の面内方向寸法は同一である。
【0033】
図1に示すように、樹脂製縦枠材2aの長さ方向端面2a−1と下の樹脂製横枠材2bの長さ方向端面2b−1は、それぞれ45°である。
そして、長さ方向端面2a−1と長さ方向端面2b−1を互いに接触して溶着等によって連結している。
このようであるから、補強部材4の長さ方向端部と支持部材5の長さ方向端部を連結する連結部材6を、樹脂製縦枠材2aの長さ方向端面2a−1よりも長さ方向に突出すると、連結部材6が樹脂製横枠材2bの長さ方向端面2b−1と接触するので、樹脂製縦枠材2aの端面2a−1と樹脂製横枠材2bの端面2b−1が接触せずに離れる。このために、樹脂製縦枠材2aの長さ方向端面2a−1と樹脂製横枠材2bの長さ方向端面2b−1を接触して連結できない。
【0034】
図5に示すように、樹脂製縦枠材2aの長さ方向端面2a−1は45°であるから、樹脂製縦枠材2aの各壁の長さ方向端面は45°である。
例えば、突出部21の第1内向壁21a、第2内向壁21bの長さ方向端面21a−1,21b−1、障子支持部22の第1内向壁22a、第2内向壁22bの長さ方向の端面22a−1,22b−1は45°である。
図4に示すように、連結部材6の面外方向他側部は、突出部21の第2中空部27を形成する第1内向壁21aを越えて支持部材5に連結されている。連結部材6の面外方向一側部は障子支持部22の第1中空部28を形成する第2内向壁22bを越えて補強部材4に連結されている。
【0035】
そこで、突出部21の第1内向壁21aの長さ方向端部を切欠きすることで、第1内向壁21aの長さ方向端面21a−1を、図5に仮想線で示す位置から図5に点線で示すように第2内向壁21bの長さ方向端面21b−1よりも長さ方向中央寄りの位置とする。
障子支持部22の第2内向壁22bの長さ方向端部を切欠きすることで、第2内向壁22bの長さ方向端面22b−1を、図5に仮想線で示す位置から図5に実線で示すように第1内向壁22aの長さ方向端面22a−1よりも長さ方向中央寄りの位置とする。
【0036】
このようにすることで、連結部材6は樹脂製縦枠材2aの長さ方向端面2a−1から長さ方向に突出しないように、突出部21の第2中空部27と障子支持部22の第1中空部28とに渡って連続して配置することができる。
したがって、樹脂製縦枠材2aの長さ方向端面2a−1と樹脂製横枠材2bの長さ方向端面2b−1を接触して溶着等で連結できる。
【0037】
突出部21の第1内向壁21aの切欠き、障子支持部22の第2内向壁22bの切欠きは、第1内向壁21a、第2内向壁22bの面内方向全長に渡ることはなく、連結部材6が嵌まり込む大きさであれば良い。
つまり、突出部21の第2中空部27を形成する障子支持部22側の壁(中空形成壁)の長さ方向端部及び障子支持部22の第1中空部28を形成する突出部21側の壁(中空形成壁)の長さ方向端部に、連結部材6が嵌まりこむ部分を有し、連結部材6が樹脂製縦枠材2aの長さ方向端面2a−1から長さ方向に突出しないようにすれば良い。
【0038】
図4図6に示すように、補強部材4は障子支持部22の第1中空部28に挿入可能な断面形状の長尺材で、補強部材4の長さ方向端面4aは、幅方向一端面4bが幅方向他端面4cよりも長くなるように45°である。実施形態では、補強部材4は樹脂製縦枠材2aとほぼ同一長さの板状である。
【0039】
図4図6に示すように、支持部材5は突出部21の第1中空部27に挿入可能な断面形状で、支持部材5は補強部材4よりも短い。
実施形態の支持部材5は、取付部50と、取付部50の長さ方向一端に角度を有して設けた一端部51と、取付部50の長さ方向他端に角度を有して設けた他端部52とでほぼコ字状である。
取付部50、一端部51、他端部52はそれぞれ板状で、取付部50と一端部51が長さ方向に連続し、一端部51は取付部50の厚さ方向の一側面側に向けて屈曲している。取付部50と他端部52が長さ方向に連続し、他端部52は取付部50の厚さ方向の一側面側に向けて屈曲している。一端部51と他端部52は取付部50よりも幅広である。取付部50はねじ孔53を有している。ねじ孔53は取付部50の厚さ方向両面に開口している。
【0040】
図4図6に示すように、連結部材6は、補強部材4の長さ方向端部と支持部材5の長さ方向端部(他端部52)を連結する板状である。
実施形態では、連結部材6は、支持部材5の他端部52の他端52aと連続した連結片60と、連結片60の長さ方向端部に設けた取付片61とでL字次形状である。
そして、取付片61を補強部材4の厚さ方向一側面における長さ方向に端部の幅方向一端面4b寄りに接し、ねじ62を補強部材4の孔から取付片61のねじ孔63に螺合することで、取付片61を補強部材4の厚さ方向一側面に固着してある。
【0041】
図7に示すように、補強部材4は障子支持部22の第1中空部28に、その厚さ方向両側面が障子支持部22の第1内向壁22a、第2内向壁22bと対向し、かつ幅方向一端面4bが本体部20の内側壁20aと対向し、幅方向他端面4cが障子支持部22の中間連結壁22dと対向して挿入される。
【0042】
補強部材4は障子支持部22の第1中空部28の長さ方向全長に渡って挿入される。
そして、補強部材4の上の樹脂製横枠材2b寄り部分、つまり枠体2の上半分に位置する上部寄り部分を障子支持部22にねじで固着してある。
実施形態では、図4に示すように、障子支持部22の第1内向壁22aの上部寄り部分に形成した孔40からねじ41を挿入し、そのねじ41を補強部材4に形成したねじ孔42に螺合することで、補強部材4の上部寄り部分を障子支持部22の第1内向壁22aの上部寄りに取り付けている。
【0043】
障子支持部22の第1内向壁22aにはねじ40の頭部が露出するが、そのねじ40の頭部は上障子3aで覆われ、面外方向一側方から目視されない。
【0044】
図7に示すように、支持部材5は突出部21の第2中空部27に、一端部51から挿入し、他端部52が突出部21の長さ方向端部寄りとなるように挿入される。支持部材5と補強部材4は連結部材6で連結した状態で、第2中空部27、第1中空部28に同時に挿入される。
そして、図4に示すように取付部50、一端部51、他端部52の幅方向が面外方向に向かい、取付部50の厚さ方向一側面が突出部21の連結壁21cと対向し、一端部51、他端部52の幅方向両端面が突出壁21の第1内向壁21a、第2内向壁21bと対向し、一端部51、他端部52の長さ方向端面が本体部20の内側壁20aと対向する。
そして、図8に示すように、支持部材5は、突出部21の連結壁21cの孔54から挿入したねじ55を取付部50のねじ孔53に螺合することで、連結壁21cに固着される。
【0045】
このように、支持部材5は幅方向を面外方向に向けて突出部21の第2中空部27に挿入して固着されているので、支持部材5は面外方向に変形し難く、大きな支持力を有する。
しかも、支持部材5は板状であるから加工が容易で、安価である。
【0046】
図8に示すように、突出部21の第1内向壁21の長さ方向端部、障子支持部22の第2内向壁22bの長さ方向端部がそれぞれ切欠きされていることにより、連結部材6(連結片60)は、突出部21の第2内向壁21bの長さ方向端面21b−1、障子支持部22の第1内向壁22aの長さ方向端面22a−1よりも長さ方向中央寄りに入り込む。
これにより、連結部材6及び補強部材4の長さ方向端面4aと支持部材5の長さ方向端面(他端部52)は、突出部21の第2内向壁21bの長さ方向端面21b−1、障子支持部22の第1内向壁22aの長さ方向端面22а−1、つまり、樹脂製縦枠材2aの長さ方向端面2a−1よりも長さ方向に突出することがない。
【0047】
補強部材4と支持部材5と連結部材6は、組み立てした状態で、樹脂製縦枠材2aの長さ方向一端から突出部21の第2中空部27、障子支持部22の第1中空部28内に挿入して簡単に取り付けできる。
【0048】
補強部材4と連結部材6(取付片61)の固着はねじに限ることはない。例えば、リベット、溶接などで固着することができる。
支持部材5(他端部52)と連結部材6(連結片60)は別体とし、ねじやリベット、溶接などで固着するようにしても良い。
この場合には、補強部材4と連結部材6を一体とすることが可能である。
また、補強部材4、支持部材5、連結部材6を一体とすることも可能である。
【0049】
補強部材4は樹脂製横枠材2bに設けても良いし、補強部材4は樹脂製縦枠材2aと樹脂製横枠材2bとに設けても良い。
樹脂製建具1は上げ下げ窓に限ることはなく、引き違い窓、片引き窓、開き窓などとすることができる。つまり、障子を閉じた状態で障子に負荷する面外方向の力を障子支持部で支持する樹脂製建具であれば良い。
【符号の説明】
【0050】
1…樹脂製建具、2…枠体、2a…樹脂製縦枠材、2b…樹脂製横枠材、3…障子、4…補強部材、5…支持部材、6…連結部材、20…本体部、21…突出部、22…障子支持部、27…第2中空部、28…第1中空部、50…取付部、51…一端部、52…他端部、60…連結片、61…取付片。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8