(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
測量装置本体部と該測量装置本体部に着脱可能且つ該測量装置本体部と通信可能な遠隔操作装置とを具備し、前記測量装置本体部が測定点を視準する望遠鏡部と、該望遠鏡部の光軸と平行又は同軸のレーザポインタ光を照射するレーザポインタ照射部と、前記望遠鏡部を所望の方向に回転させる回転駆動部と、測角値を検出する角度検出器と、前記望遠鏡部を所定の方向に向ける様前記回転駆動部を制御する本体制御装置とを具備し、前記遠隔操作装置が動作ボタンと、方向角センサと、鉛直センサとを具備し、前記遠隔操作装置が取外された状態で、前記動作ボタンの押下により前記測角値が前記遠隔操作装置に送信されると共に、該遠隔操作装置は、前記動作ボタンが押された状態では常時前記方向角センサと前記鉛直センサにより検出された移動前の方向角及び鉛直角と、前記遠隔操作装置を移動させた後の方向角及び鉛直角との差分を演算し、該差分を基に移動後の測角値を演算して前記本体制御装置に常時回転指示を送信し、前記本体制御装置は前記回転指示に基づき前記移動後の測角値となる様前記望遠鏡部を回転させることを特徴とする測量装置。
測量装置本体部と該測量装置本体部に着脱可能且つ該測量装置本体部と通信可能な遠隔操作装置とを具備し、前記測量装置本体部が測定点を視準する望遠鏡部と、該望遠鏡部の光軸と平行又は同軸のレーザポインタ光を照射するレーザポインタ照射部と、前記望遠鏡部を所望の方向に回転させる回転駆動部と、測角値を検出する角度検出器と、前記望遠鏡部を所定の方向に向ける様前記回転駆動部を制御する本体制御装置とを具備し、前記遠隔操作装置が動作ボタンと、方向角センサと、鉛直センサとを具備し、前記遠隔操作装置が取外された状態で、前記動作ボタンの押下により前記測角値が前記遠隔操作装置に送信されると共に、該遠隔操作装置は、前記動作ボタンを離した時点の方向角及び鉛直角を検出し、前記動作ボタンを押した時点の前記方向角センサと前記鉛直センサにより検出された移動前の方向角及び鉛直角と、前記動作ボタンを離した時点の前記遠隔操作装置を移動させた後の方向角及び鉛直角との差分を演算し、該差分を基に移動後の測角値を演算して前記本体制御装置に回転指示を送信し、前記本体制御装置は前記回転指示に基づき前記移動後の測角値となる様前記望遠鏡部を回転させることを特徴とする測量装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0019】
先ず、
図1〜
図3に於いて、本発明の第1の実施例に係る測量装置について説明する。
【0020】
測量装置1は3脚2を有し、該3脚2の上端に整準部3が設けられている。該整準部3に水平回転軸4を介して回転基台5が回転可能に設けられ、前記整準部3は前記水平回転軸4を鉛直に整準する整準機構(図示せず)及び傾斜センサ6(後述)を有している。前記整準部3内部には、水平回転駆動部7が内蔵され、該水平回転駆動部7により前記水平回転軸4を中心に前記回転基台5が回転される様になっている。
【0021】
該回転基台5には架台8が垂直に設けられ、該架台8には水平な軸心を有する鉛直回転軸9を介して望遠鏡部11が回転可能に取付けられている。
【0022】
該望遠鏡部11は視準望遠鏡12を備え、該視準望遠鏡12は5°程度の視野角を有し、測定点を視準するものである。該視準望遠鏡12の視準点は、該視準望遠鏡12が備えたレチクル(図示せず)によって示される様になっている。
【0023】
前記架台8には鉛直回転駆動部13が内蔵されており、該鉛直回転駆動部13により、前記望遠鏡部11が前記鉛直回転軸9を中心として鉛直方向に回転される様になっている。
【0024】
前記水平回転駆動部7、前記鉛直回転駆動部13は回転駆動部を構成し、該回転駆動部は前記水平回転駆動部7、前記鉛直回転駆動部13の協働により、前記望遠鏡部11を所望の方向に向けることができる。
【0025】
該望遠鏡部11の上面には、光波距離計(EDM)14が設けられており、該光波距離計14はレーザポインタ照射部15を内蔵している。前記光波距離計14はノンプリズム測距が可能であり、前記レーザポインタ照射部15は可視光のレーザ光線(レーザポインタ光)16を照射する様になっている。該レーザポインタ光16の光軸は前記光波距離計14の測距光軸と一致している。
【0026】
又、前記望遠鏡部11と前記光波距離計14とは一体化されている。該光波距離計14の光軸、即ち前記レーザポインタ光16の光軸と前記望遠鏡部11の光軸とは平行となっており、両者の光軸間の距離は既知となっている。尚、前記望遠鏡部11の光軸と前記レーザポインタ光16の光軸とを同軸とし、前記望遠鏡部11の光軸、前記レーザポインタ光16の光軸と前記光波距離計14の測距光軸とを平行となる様にしてもよい。又、前記光波距離計14はアタッチメント(図示せず)を介して前記望遠鏡部11に設けられてもよく、前記アタッチメントにより前記光波距離計14の光軸の方向を調整可能としてもよい。この場合、市販されている該光波距離計14を用いることができる。
【0027】
前記水平回転軸4には水平角検出器17が設けられ、該水平角検出器17は前記水平回転軸4の回転角、即ち前記回転基台5の水平回転角を検出する様になっている。又、前記鉛直回転軸9には鉛直角検出器18が設けられ、該鉛直角検出器18は前記鉛直回転軸9の回転角、即ち前記望遠鏡部11の鉛直回転角を検出する様になっている。
【0028】
又、前記回転基台5の内部には、本体制御装置19が設けられている。尚、該本体制御装置19は、スペース的に余裕があれば、前記望遠鏡部11等他の部位に設けられてもよい。前記本体制御装置19は前記水平回転駆動部7及び前記鉛直回転駆動部13の制御、前記光波距離計14による測距の制御、前記レーザポインタ照射部15の制御、前記水平角検出器17、前記鉛直角検出器18の検出結果に基づく水平角、鉛直角の測定、或は後述する遠隔操作装置21とのデータ通信を行う様になっている。尚、該遠隔操作装置21を除く、前記整準部3、前記回転基台5、前記架台8、前記望遠鏡部11等は測量装置本体部を構成する。
【0029】
前記整準部3には、アタッチメント22を介して前記遠隔操作装置21が着脱可能となっている(
図2参照)。
【0030】
図3に示される様に、該遠隔操作装置21は、スマートフォンやタブレット等片手で持ち他方の手で操作可能な携帯型(ハンドヘルドタイプ)となっており、表示部23、操作部(該表示部23がタッチパネルとなっており、操作部を兼ねる)を有すると共に、前記本体制御装置19との間でデータ通信を行う通信部(後述)等を具備している。又、前記遠隔操作装置21の姿勢、方向を検出する鉛直センサ24、方向角センサ25を備えている。
【0031】
又、
図2に示される様に、前記望遠鏡部11に偏向光学部26を設け、前記光波距離計14の光の一部を前記望遠鏡部11に戻し、該望遠鏡部11の視準点と前記光波距離計14の測定点、前記レーザポインタ照射部15の照射点が一致する様に、前記偏向光学部26により前記望遠鏡部11の光軸を偏向してもよい。
【0032】
前記遠隔操作装置21からの操作で、前記望遠鏡部11が水平方向、鉛直方向に回動されることで、視準方向の決定、測定点の決定、測定等の所要の作動をさせることができる。前記遠隔操作装置21を前記測量装置1に設置した状態では、前記遠隔操作装置21を介して前記望遠鏡部11を直接操作する状態となり、前記遠隔操作装置21を取外した状態では、該遠隔操作装置21を介して前記望遠鏡部11を遠隔操作する状態となる。
【0033】
又、前記遠隔操作装置21と前記アタッチメント22にそれぞれ嵌脱可能なコネクタ(図示せず)を装備させ、前記遠隔操作装置21を前記アタッチメント22に設置した状態では、前記遠隔操作装置21がコネクタの連結を介して直接、前記本体制御装置19と電気的に接続される様にしてもよい。
【0034】
図4、
図5により、前記本体制御装置19、前記遠隔操作装置21について更に説明する。
【0035】
先ず、
図4により前記本体制御装置19について説明する。
【0036】
該本体制御装置19は、主に第1演算制御部27、第1記憶部28、前記水平角検出器17、前記鉛直角検出器18、前記傾斜センサ6、操作部29、第1通信部31、前記光波距離計14、前記水平回転駆動部7、前記鉛直回転駆動部13、前記表示部23、第1電源部32等から構成されている。
【0037】
前記水平角検出器17、前記鉛直角検出器18、前記傾斜センサ6からの検出信号は、前記第1演算制御部27に入力される。前記第1通信部31は前記第1演算制御部27によって通信が制御されると共に、制御指令は前記第1通信部31により発信され、該第1通信部31が受信したデータは前記第1演算制御部27に入力される。
【0038】
該第1演算制御部27は前記光波距離計14を制御し、該光波距離計14で測定した測距結果は前記第1演算制御部27に入力される。又、該第1演算制御部27は、前記水平回転駆動部7、前記鉛直回転駆動部13を制御し、前記望遠鏡部11、前記光波距離計14を所要の方向に回転させる。
【0039】
前記水平角検出器17、前記鉛直角検出器18からの検出結果は前記第1演算制御部27に入力され、前記水平角検出器17、前記鉛直角検出器18の検出結果に基づき、前記偏向光学部26及び前記光波距離計14、前記レーザポインタ照射部15の水平方向の回転角、及び鉛直方向の回転角が測定される。
【0040】
前記傾斜センサ6の検出結果は、前記第1演算制御部27に入力され、前記整準部3の整準動作が制御されると共に、前記傾斜センサ6と前記鉛直角検出器18の検出結果に基づき前記望遠鏡部11の鉛直角が測定される。
【0041】
前記表示部23と前記操作部29は、後述する前記遠隔操作装置21に装備されている操作部及び表示部が兼用される。
【0042】
前記第1記憶部28は、前記光波距離計14、前記第1通信部31、前記水平回転駆動部7、前記鉛直回転駆動部13を制御する為に必要な制御プログラム、前記水平角検出器17、前記鉛直角検出器18、前記傾斜センサ6からの検出結果に基づき傾斜角、水平回転角、鉛直回転角等を特定する角度測定プログラム、前記第1通信部31による通信を制御する通信制御プログラム等のプログラムが格納され、又前記光波距離計14による測距結果及び角度測定結果等の測定データ等が格納される。
【0043】
前記第1電源部32は、リチウムイオン電池等の充電可能な電池であり、前記第1演算制御部27、前記第1通信部31、前記水平回転駆動部7、前記鉛直回転駆動部13等に必要な電力を供給する。
【0044】
図5により、前記遠隔操作装置21について説明する。
【0045】
該遠隔操作装置21は、主に前記表示部23、前記操作部29、第2演算制御部33、第2記憶部34、前記鉛直センサ24、前記方向角センサ25、第2通信部35、第2電源部36等から構成されている。
【0046】
前記鉛直センサ24、前記方向角センサ25からの検出信号は、前記第2演算制御部33に入力され、該第2演算制御部33は前記鉛直センサ24、前記方向角センサ25からの信号に基づき前記遠隔操作装置21の姿勢を演算する様になっている。
【0047】
前記第2通信部35は、前記本体制御装置19から送信されるデータを受信し、前記第2演算制御部33に入力し、又該第2演算制御部33で演算された前記遠隔操作装置21の姿勢の情報等を前記本体制御装置19に送信する。
【0048】
前記表示部23には、例えば前記本体制御装置19から送信されたデータ、或は前記第2演算制御部33で演算された情報等が表示される様になっている。
【0049】
又、前記表示部23は、タッチパネルとして、該表示部23より所望の操作を行える様にし、前記操作部29の機能を前記表示部23に集約させてもよい。前記表示部23は前記望遠鏡部11を遠隔操作し、前記レーザポインタ光16の誘導を行う為の動作ボタン30を有している。
【0050】
前記第2記憶部34には、前記第2通信部35による通信を制御する為の通信制御プログラム、前記表示部23の表示、該表示部23を操作部として機能させる為のプログラム、前記鉛直センサ24、前記方向角センサ25からの信号に基づき、前記遠隔操作装置21の方向、傾斜等、該遠隔操作装置21の姿勢に関する情報を演算する為のプログラム、該遠隔操作装置21の姿勢に関する情報を基に前記望遠鏡部11の移動量を演算する為のプログラム等の各種プログラムが格納されている。又、前記第2記憶部34には、前記測量装置1で測定した測距、測角のデータが格納される。
【0051】
前記第2電源部36は、リチウムイオン電池等の充電可能な電池であり、前記第2演算制御部33、前記第2通信部35、前記表示部23等に必要な電力を供給する。
【0052】
前記表示部23の前記動作ボタン30が押されると、前記鉛直センサ24により前記動作ボタン30が押された時点、即ち移動前の前記遠隔操作装置21の指示方向37の鉛直角θが検出されると共に、前記方向角センサ25により前記動作ボタン30が押された時点、即ち移動前の前記遠隔操作装置21の前記指示方向37の方向角φが検出される。
【0053】
又、前記動作ボタン30が押されると、押下信号が前記第2通信部35を介して前記測量装置1に送信され、前記第1通信部31を介して受信される。前記水平角検出器17により前記動作ボタン30が押された時点の前記望遠鏡部11の水平角Hが検出されると共に、前記鉛直角検出器18により前記動作ボタン30が押された時点の前記望遠鏡部11の鉛直角Vが検出される。即ち、該望遠鏡部11の測角値(H,V)が測定され、前記遠隔操作装置21に送信される。
【0054】
尚、前記動作ボタン30押下後、即ち移動後の前記遠隔操作装置21の方向角及び鉛直角(φ′,θ′)は、前記動作ボタン30が押されている間は常時検出されており、前記第2演算制御部33は、検出された移動後の方向角及び鉛直角(φ′,θ′)と移動前の方向角及び鉛直角(φ,θ)との差分(φ′−φ,θ′−θ)を常時演算する。
【0055】
又、前記第2演算制御部33は、予め定められた感度、或は作業者が設定した感度に基づき、演算した差分(φ′−φ,θ′−θ)を前記望遠鏡部11の角度変位量(ΔH,ΔV)へと補正し、前記望遠鏡部11の測角値が(H+ΔH,V+ΔV)となる様、常時前記本体制御装置19へと回転指示を送信する。
【0056】
前記本体制御装置19は、前記遠隔操作装置21からの回転指示に基づき、前記水平回転駆動部7、前記鉛直回転駆動部13を駆動させる。
【0057】
上記処理は、前記動作ボタン30が離される迄継続して行われる様になっている。即ち、作業者が前記動作ボタン30を押した状態で前記遠隔操作装置21を動かすことで、該遠隔操作装置21の動きに追従して前記望遠鏡部11が水平方向及び鉛直方向に回転する様になっている。従って、
図6に示される様に、前記望遠鏡部11から離れた位置で前記レーザポインタ光16を測定点38迄誘導させることができる。
【0058】
次に、
図7のフローチャートを参照し、前記遠隔操作装置21により前記望遠鏡部11を遠隔操作し、前記レーザポインタ光16を前記測定点38迄誘導して測定を行う場合について説明する。尚、以下の説明では、前記表示部23を前記操作部29として使用する場合を説明する。
【0059】
STEP:01 先ず、前記遠隔操作装置21の前記表示部23より前記レーザポインタ光16の照射指示が入力されることで、前記本体制御装置19に照射指示が入力され、前記レーザポインタ照射部15が駆動されて前記レーザポインタ光16が照射される。
【0060】
この時、前記傾斜センサ6、前記水平角検出器17、前記鉛直角検出器18の検出結果を基に、前記望遠鏡部11の測角値(H,V)が常時検出され、更新されている。
【0061】
STEP:02 前記レーザポインタ光16の照射が開始されると、次に前記表示部23の前記動作ボタン30を押すことで、前記レーザポインタ光16の誘導処理が開始される。
【0062】
STEP:03 前記動作ボタン30が押されると、該動作ボタン30が押下された時点の前記望遠鏡部11の測角値(H,V)が前記遠隔操作装置21に送信されると共に、前記鉛直センサ24、前記方向角センサ25の検出結果を基に、前記動作ボタン30が押された時点の前記遠隔操作装置21の前記指示方向37の方向角及び鉛直角(φ,θ)が検出される。
【0063】
STEP:04 前記動作ボタン30を押した状態で、前記遠隔操作装置21の前記指示方向37を測定方向へと移動させる。
【0064】
STEP:05 前記動作ボタン30を押した状態では、前記遠隔操作装置21を移動させることで、移動後の方向角及び鉛直角(φ′,θ′)が常時検出される。
【0065】
STEP:06 移動後の方向角及び鉛直角(φ′,θ′)が検出されると、前記第2演算制御部33は、移動前の方向角及び鉛直角(φ,θ)と、移動後の方向角及び鉛直角(φ′,θ′)の差分(φ′−φ,θ′−θ)を演算する。
【0066】
STEP:07 前記第2演算制御部33は、演算した差分(φ′−φ,θ′−θ)を、所定の感度に基づき前記望遠鏡部11の角度変位量(ΔH,ΔV)へと補正し、該望遠鏡部11の測角値が(H+ΔH,V+ΔV)となる様前記本体制御装置19に常時回転指示を送信する。
【0067】
この時、差分(φ′−φ,θ′−θ)を角度変位量(ΔH,ΔV)へと補正する為の感度は、差分(φ′−φ,θ′−θ)と角度変位量(ΔH,ΔV)が等しくなる様にしてもよいし、差分(φ′−φ,θ′−θ)が角度変位量(ΔH,ΔV)の1/10程度となる様にしてもよい。
【0068】
STEP:08 上記したSTEP:04〜STEP:07は、前記動作ボタン30を離す迄継続して行われる。即ち、該動作ボタン30を押した状態では、前記遠隔操作装置21の前記指示方向37の移動に追従して前記望遠鏡部11が回転する。
【0069】
STEP:09 前記動作ボタン30を離した後、前記レーザポインタ光16の照射位置が、前記測定点38と一致しているかどうかが判断され、前記レーザポインタ光16の照射位置が前記測定点38と一致していなかった場合には、STEP:02〜STEP:08の処理が再度行われる。
【0070】
STEP:10 前記レーザポインタ光16の照射位置が前記測定点38と一致していた場合には、前記表示部23より測距指示を入力することで、前記レーザポインタ光16の誘導処理が終了され、前記光波距離計14により前記測定点38に対するノンプリズム測距が行われる。
【0071】
STEP:11 前記測定点38のノンプリズム測距が終了すると、測距値と共にノンプリズム測距時の測角値が前記表示部23に表示される。
【0072】
STEP:12 最後に、該表示部23より前記レーザポインタ光16の消灯指示が入力されることで、前記本体制御装置19に消灯指示が入力され、前記レーザポインタ光16が消灯されて前記測定点38の測定が終了する。
【0073】
上述の様に、本発明の第1の実施例では、前記表示部23の前記動作ボタン30を押すことで現在の前記遠隔操作装置21の方向角及び鉛直角(φ,θ)を検出し、該遠隔操作装置21の前記指示方向37を任意の方向に動かしたときの差分(φ′−φ,θ′−θ)を、角度変位量(ΔH,ΔV)へと補正してリアルタイムで測角値(H,V)に加算し、前記水平回転駆動部7、前記鉛直回転駆動部13を駆動させることで、前記動作ボタン30を押している間は継続して前記望遠鏡部11の動きを前記遠隔操作装置21の動きに追従させることができる。
【0074】
従って、該遠隔操作装置21を用い、作業者が前記レーザポインタ光16の照射位置を目視しながら感覚的に前記望遠鏡部11の視準方向を前記測定点38迄誘導させることができるので、前記視準望遠鏡12や画面等の限られた視野、或は照度不足や背景の照度が高くダイナミックレンジが広い等前記測定点38が見難い場合であっても、前記レーザポインタ光16を容易に前記測定点38迄誘導させることができ、作業効率を向上させることができる。
【0075】
又、前記レーザポインタ光16の光軸と、前記光波距離計14の光軸が一致しており、前記遠隔操作装置21にて離れた位置から前記望遠鏡部11の回転を制御することができるので、作業者は前記測定点38付近で前記レーザポインタ光16を誘導すればよく、前記測定点38と前記望遠鏡部11の位置が離れている場合であっても迅速且つ確実に前記レーザポインタ光16前記測定点38迄誘導させることができる。
【0076】
又、前記表示部23の前記動作ボタン30を押し、その状態で前記遠隔操作装置21の前記指示方向37を移動させるだけでよいので、前記レーザポインタ光16を誘導させる為の特別な動作を必要とせず、作業者の負担を軽減することができる。
【0077】
又、前記光波距離計14の光軸が前記レーザポインタ光16と同軸であるので、前記測定点38の測距を行なう際には、前記レーザポインタ光16を前記測定点38に誘導するだけでよく、測距を行なう際の作業性を向上させることができる。
【0078】
尚、第1の実施例では、演算した差分(φ′−φ,θ′−θ)を予め設定された感度、或は作業者により入力された感度に基づき角度変位量(ΔH,ΔV)へと補正していたが、移動後の方向角及び鉛直角(φ′,θ′)の検出と並行して前記光波距離計14によるノンプリズム測距を行い、測距結果に基づき感度を自動で調整する様にしてもよい。感度が自動で調整されることで、より容易にレーザポインタ光16を誘導させることができる。
【0079】
又、
図8に示される様に、前記レーザポインタ光16の誘導を行いつつ、前記水平角検出器17及び前記鉛直角検出器18による測角と、前記光波距離計14による測距を行うことで、測定対象39の3次元の軌跡を非接触でトレースすることができる。
【0080】
又、第1の実施例では、前記遠隔操作装置21が差分(φ′−φ,θ′−θ)を演算し、該差分(φ′−φ,θ′−θ)を角度変位量(ΔH,ΔV)へと変換し、前記望遠鏡部11の測角値が(H+ΔH,V+ΔV)となる様前記本体制御装置19に回転指示を送信しているが、前記遠隔操作装置21が前記差分(φ′−φ,θ′−θ)を前記本体制御装置19に送信し、該本体制御装置19が前記角度変位量(ΔH,ΔV)を求め、測角値が(H+ΔH,V+ΔV)となる様に前記望遠鏡部11を回転させてもよい。
【0081】
次に、
図9のフローチャートを参照し、本発明の第2の実施例に係るレーザポインタ光16を測定点38迄誘導し、測定を行う測定処理について説明する。尚、第2の実施例に於ける測量装置1の構成については、第1の実施例と同様であるので、
図1〜
図3中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0082】
STEP:21 先ず、遠隔操作装置21の表示部23よりレーザポインタ光16の照射指示が入力されることで、本体制御装置19に照射指示が入力され、レーザポインタ照射部15が駆動されて前記レーザポインタ光16が照射される。
【0083】
STEP:22 該レーザポインタ光16の照射が開始されると、次に表示部23の動作ボタン30を押すことで、前記レーザポインタ光16の誘導処理が開始される。
【0084】
STEP:23 前記動作ボタン30が押されると、該動作ボタン30が入力された時点の前記望遠鏡部11の測角値(H,V)が前記遠隔操作装置21に送信されると共に、鉛直センサ24、方向角センサ25の検出結果を基に、前記動作ボタン30が押された時点の前記遠隔操作装置21の指示方向37の方向角及び鉛直角(φ,θ)が検出される。
【0085】
STEP:24 前記動作ボタン30を押した状態で、前記遠隔操作装置21の前記指示方向37を測定方向へと移動させる。
【0086】
STEP:25 該指示方向37を測定方向へと移動させると、次に前記動作ボタン30を離したかどうかが判断される。
【0087】
STEP:26 該動作ボタン30を離したと判断されると、鉛直センサ24及び方向角センサ25により、移動後の方向角及び鉛直角(φ′,θ′)が検出される。
【0088】
STEP:27 移動後の(前記動作ボタン30を離した時点の)方向角及び鉛直角(φ′,θ′)が検出されると、第2演算制御部33は、移動前の方向角及び鉛直角(φ,θ)と、移動後の方向角及び鉛直角(φ′,θ′)の差分(φ′−φ,θ′−θ)を演算する。
【0089】
STEP:28 前記第2演算制御部33は、演算した差分(φ′−φ,θ′−θ)を、所定の感度に基づき前記望遠鏡部11の角度変位量(ΔH,ΔV)へと補正し、該望遠鏡部11の測角値が(H+ΔH,V+ΔV)となる様前記本体制御装置19に回転指示を送信する。即ち、前記動作ボタン30を押している間に動かした量だけ、前記望遠鏡部11が回転する。
【0090】
STEP:29 該望遠鏡部11が回転した後、前記レーザポインタ光16の照射位置が、前記測定点38と一致しているかどうかが判断され、前記レーザポインタ光16の照射位置が前記測定点38と一致していなかった場合には、STEP:22〜STEP:28の処理が再度行われる。
【0091】
STEP:30 前記レーザポインタ光16の照射位置が前記測定点38と一致していた場合には、前記表示部23より測距指示を入力することで、前記レーザポインタ光16の誘導処理が終了され、前記光波距離計14により前記測定点38に対するノンプリズム測距が行われる。
【0092】
STEP:31 前記測定点38のノンプリズム測距が終了すると、測距値と共にノンプリズム測距時の測角値が前記表示部23に表示される。
【0093】
STEP:32 最後に、該表示部23より前記レーザポインタ光16の消灯指示が入力されることで、前記本体制御装置19に消灯指示が入力され、前記レーザポインタ光16が消灯されて前記測定点38の測定が終了する。
【0094】
第2の実施例に於いても、前記遠隔操作装置21を用いて、作業者が前記レーザポインタ光16の照射位置を目視しながら前記望遠鏡部11の視準方向を感覚的に前記測定点38迄誘導させることができるので、前記レーザポインタ光16を容易に前記測定点38迄誘導させることができ、作業効率を向上させることができる。
【0095】
又、第2の実施例では、前記動作ボタン30を離した時に初めて移動後の方向角及び鉛直角(φ′,θ′)を検出し、差分(φ′−φ,θ′−θ)を演算する様になっており、方向角及び鉛直角(φ′,θ′)を常時検出する必要がないので、前記遠隔操作装置21に掛かる処理負荷を低減させることができる。
【0096】
尚、第1の実施例、第2の実施例では、前記光波距離計14と前記レーザポインタ照射部15とを一体化させているが、測距が不要であり、測角値のみが必要である場合には、前記望遠鏡部11に前記レーザポインタ照射部15のみを設けてもよい。
【0097】
又、第1の実施例、第2の実施例では、前記表示部23と前記操作部29が一体化されたスマートフォン等の携帯端末を用いているが、前記表示部23と前記操作部29とが別途設けられた一般的な携帯無線端末を用いてもよいのは言う迄もない。