(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6333114
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】ブラジャー
(51)【国際特許分類】
A41C 3/00 20060101AFI20180521BHJP
A41C 3/12 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
A41C3/00 B
A41C3/12 D
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-168471(P2014-168471)
(22)【出願日】2014年8月21日
(65)【公開番号】特開2016-44367(P2016-44367A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100061745
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】倉田 承江
【審査官】
山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−169647(JP,A)
【文献】
特開2008−038315(JP,A)
【文献】
特開2009−133027(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0134922(US,A1)
【文献】
登録実用新案第3150196(JP,U)
【文献】
国際公開第2006/018919(WO,A1)
【文献】
特開2002−235209(JP,A)
【文献】
特開2001−316909(JP,A)
【文献】
特開2006−104613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41C 1/00 − 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のカップ部と、左右のカップ部を連結する前側土台部と、前側土台部の両脇から背中側へ延びる左右一対の後側バンド部と、前記カップ部から後側バンド部に両端を連結された左右の肩ひも部とを備えたブラジャーであって、
前記肩ひも部が、端部の始末不要な伸縮性生地を用いており、
前記肩ひも部は、左側肩ひも部と右側肩ひも部とで分離して形成され、
前記左側肩ひも部と前記右側肩ひも部とは、着用時の正面視で前記ブラジャーの脇刳り最下点以下の位置において前記前側土台部を介して連結され、
前記左側の肩ひも部の前側は前記左右一対の左側のカップ部を覆う程度の幅を備え、
前記右側の肩ひも部の前側は前記左右一対の右側のカップ部を覆う程度の幅を備えることを特徴するブラジャー。
【請求項2】
前記肩ひも部の前側の端部が前記カップ部の下辺に縫着されていることを特徴とする請求項1に記載のブラジャー。
【請求項3】
前記肩ひも部の前側の端部が前記カップ部の下辺に縫着されるとともに前記カップ部の上辺に縫着部を備えないことを特徴とする請求項1に記載のブラジャー。
【請求項4】
各前記左右の肩ひも部の背中側は脇部から前記後側バンド部の中央部近傍までの幅を備え、かつ、前記肩ひも部の背中側の端部が前記後側バンド部の上辺に縫着されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のブラジャー。
【請求項5】
前記前側土台部は、その表側が伸縮性生地で構成され、その裏側が非伸縮性生地で構成され、
前記前側土台部および前記カップ部以外は、端部の始末不要な伸縮性生地を用いていることを特徴する請求項1〜請求項4のいずれかに記載のブラジャー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用中の着心地が良く、かつ、外衣を通してブラジャーの一部が外観に現れることを軽減できるようにしたブラジャーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般のブラジャは、一対のカップを乳房(バスト)に被せ、カップの上端に肩ひも(ストラップ)を接続して肩に掛けることによりカップを吊り上げ、カップの外側端にバックバンド(背バンド)を接続して背中で連結し、カップを乳房に密着させ、このようなカップの吊り上げ及び密着機能によって乳房を整形している。
このようなブラジャーに対して、近年、整形効果のみならず、着用時の装着感の向上が求められるようになり、適度の伸縮性があって身体に気持ちよくフィットし、かつ、下着のヘムラインが外衣を通して外観に現れない、ファッショナブルな要求が大きい。従来のブラジャーを含め一般的に衣類では裁ち目が解れるのを防止するために何らかの始末(縁の始末(へム処理))をする必要があった。たとえば、布端を折り返したり、別布や伸縮テープを付けて縫合したり、糸かがりを行っていた。このようにヘム処理されたブラジャーでは、その処理ライン(ヘムライン)が凸条になって外衣に現れたり、着用感を損なうなどの問題になっている。
【0003】
このような問題に対して、従来から存在する、端部の始末不要なパワーネット生地によりブラジャーの各部を構成すれば、その部分については縫合部分の盛り上がりがなく、薄手の外衣を着用した場合も、外衣を通してブラジャーの一部が外観に現れることが軽減されて、身体の線を美しく見せることができる。
このような端部の始末不要なパワーネット生地を、(1)バック布(後側バンド部、サイドベルト)に設けたブラジャーを開示する特許第4261791号公報(特許文献1)、(2)特に限定しないで、カップ部、ストラップ(肩ひも)、左右脇線に設けたカップ土台布(サイドボーン)に設けたブラジャーを開示する実用新案登録第3150196号公報(特許文献2)、(3)左右の背面部(後側バンド部、サイドベルト)に設けたブラジャーを開示する特開2013−053394号公報(特許文献3)、がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4261791号公報
【特許文献2】実用新案登録第3150196号公報
【特許文献3】特開2013−053394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1および特許文献3に開示されたブラジャーは、背中側のサイドベルトに、端部の始末不要なパワーネット生地を単に採用したものに過ぎず、ブラジャーのそれ以外の部分が外衣を通して外観に現れることを軽減することができない。すなわち、たとえばストラップには非伸縮性のレース生地またはパイピングテープ等が採用されることが通常であって、肌に喰い込んだり、ストラップが外衣を通して外観に現れる等の問題が解決できていない。
【0006】
特許文献2に開示されたブラジャーは、端部の始末不要なパワーネット生地のブラジャーへの採用箇所を限定しないで、カップ部、ストラップ、サイドボーンへ採用することを開示しているに過ぎない。採用箇所については外衣を通して外観に現れることを軽減することができても、採用箇所を限定しないでパワーネットを採用しているために以下に示す問題が発生する。
【0007】
この特許文献2に開示されたブラジャーのように、カップ部および/またはサイドボーンへ伸縮性に優れている(よく伸び縮みする)パワーネットを単に採用したのでは、伸縮性が優れているために乳房を保形する機能が低減してしまう。さらに、この特許文献2に開示されたブラジャーのように、パワーネットをストラップへ単に採用したのでは、着用
時にカップ部を吊り上げる力がストラップが接続されたカップ部の上縁一部に集中するため、伸縮性が優れているパワーネットのストラップを採用したことも相俟ってカップ部の位置ずれ(ずり下がり、ずり上がり)という問題、ストラップの肌への喰い込みが発生するという問題がある。すなわち、この特許文献2に開示されたブラジャーは、カップ部が土台部に一体状態で縫着され、かつ、このカップ部の上縁の一部分をストラップで後側バンド部に連結しているために、カップ部の上縁の一部分に乳房の全重量が集中してしまう。
【0008】
本発明は、従来技術の上述の問題点に鑑みて開発されたものであり、その目的とするところは、着用中の着心地が良く、かつ、外衣を通してブラジャーの一部が外観に現れることを軽減できるようにしたブラジャーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係るブラジャーは以下の技術的手段を講じている。
すなわち、本発明に係るブラジャーは、左右一対のカップ部と、左右のカップ部を連結する前側土台部と、前側土台部の両脇から背中側へ延びる左右一対の後側バンド部と、前記カップ部から後側バンド部に両端を連結された左右の肩ひも部とを備えたブラジャーであって、前記肩ひも部が、端部の始末不要な伸縮性生地を用いていることを特徴する。
【0010】
好ましくは、各前記左右の肩ひも部の前側は前記カップ部を覆う程度の幅を備え、かつ、前記肩ひも部の前側の端部が前記カップ部の下辺に縫着されているように構成することができる。
さらに好ましくは、各前記左右の肩ひも部の前側は前記カップ部を覆う程度の幅を備え、かつ、前記肩ひも部の前側の端部が前記カップ部の下辺に縫着されるとともに前記カップ部の上辺に縫着部を備えないように構成することができる。
【0011】
さらに好ましくは、各前記左右の肩ひも部の背中側は脇部から前記後側バンド部の中央部近傍までの幅を備え、かつ、前記肩ひも部の背中側の端部が前記後側バンド部の上辺に縫着されているように構成することができる。
さらに好ましくは、前記前側土台部は、その表側が伸縮性生地で構成され、その裏側が非伸縮性生地で構成され、前記後側バンド部は、端部の始末不要な伸縮性生地を用いているように構成することができる。
【0012】
さらに好ましくは、前記前側土台部は、その表側が伸縮性生地で構成され、その裏側が非伸縮性生地で構成され、前記前側土台部および前記カップ部以外は、端部の始末不要な伸縮性生地を用いているように構成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、着用中の着心地が良く、かつ、外衣を通してブラジャーの一部が外観に現れることを軽減できるようにしたブラジャーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係るブラジャーを着用した斜視図(前側:腹側)である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るブラジャーを着用した斜視図(後側:背中側)である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るブラジャーを着用した正面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るブラジャーを着用した背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係るパワーネット生地を用いたブラジャー100について、図面に基づき詳しく説明する。本実施の形態に係るブラジャー100に使用されるパワーネット(生地)とは、JIS L0214に「弾性糸などを編み込み経方向に対して著しい弾性力を与えた編みレース」と定義されている。そして、このブラジャー100に使用されるパワーネットは、経編地であって、端部の始末不要な、ヘムパワーネットであることを特徴とする。
【0016】
図1〜
図4に本実施の形態に係るブラジャー100を着用した図を示す。
図1は前側(腹側)の斜視図であって、
図2は後側(背中側)の斜視図であって、
図3は正面図であって、
図4は背面図である。
また、
図3の拡大図を
図5に示す。
図5においては、左側カップ部150(紙面向かって右側)はカップ部150を覆う肩ひも部130(より詳しくは前側ストラップ134)を取り外した状態であって、右側カップ部150(紙面向かって左側)はカップ部150を覆う肩ひも部130(より詳しくは前側ストラップ134)を取り外していない状態の正面図である。
【0017】
このブラジャー100は、大きく分けて、左右一対のカップ部(単にカップと呼ばれる場合もある)150と、左右のカップ部150を連結する前側土台部110と、前側土台部110の両脇(詳しくは後述するようにサイドボーン120)から背中側へ延びる左右一対の後側バンド部(サイドベルトと呼ばれる場合もある)160と、カップ部150から後側バンド部160に両端を連結された左右の肩ひも部(ストラップと呼ばれる場合もある)130と、背中側に設けられたホック140とを備える。
【0018】
なお、このブラジャー100においては、前側土台部110はカップ部150の下辺に沿って脇側まで延設されサイドボーン120と一体化されている。このサイドボーン120に後側バンド部160が
図1および
図2に示す縫着線160Sの位置で縫着されている。また、ホック140は背中側ではなく前側(腹側)等であっても構わない。
肩ひも部130は、中央部分で肩に当接する幅が狭い肩部ストラップ132と、腹側においてカップ部150を覆うとともにカップ部150の下辺と縫着される幅が広い前側ストラップ134と、背中側において後側バンド部160の上辺と縫着される幅が広い後側ストラップ136とで構成される。
【0019】
カップ部150は乳房を包み、乳房を支持して美しいシルエットを保持する。後側バンド部160はカップ部150を胸に固定するとともに、同時に脇部分を補整する。ホック140はブラジャー100の全体を固定する。
このような基本的な構造を備えたブラジャー100の特徴は、肩ひも部130が、端部の始末不要な伸縮性生地(ヘムパワーネット)を用いていることである。
【0020】
さらに、
図1、
図3および
図5に示すように、前側(腹側)においては、各左右の肩ひも部130の前側(前側ストラップ134)はカップ部150を覆う程度の幅を備え、かつ、肩ひも部130の前側の端部がカップ部150の下辺に縫着されるとともにカップ部150の上辺に縫着部を備えないことを特徴とする。
さらに、
図2および
図4に示すように、後側(背中側)においては、各左右の肩ひも部130の背中側(後側ストラップ136)は脇部から後側バンド部160の中央部近傍(すなわちホック140)までの幅を備え、かつ、肩ひも部130の背中側の端部が後側バンド部160の上辺に縫着されていることを特徴とする。
【0021】
さらに、前側土台部110(前側土台部110にはサイドボーン120を含むため正確には前側土台部110およびサイドボーン120)は、その表側がヘムパワーネットで構成され、その裏側がマーキゼット等の非伸縮性生地で構成され、後側バンド部160はヘムパワーネットを用い、さらには前側土台部110(前側土台部110およびサイドボーン120)ならびにカップ部150以外は、ヘムパワーネットを用いていることを特徴する。このように、前側土台部110(前側土台部110およびサイドボーン120)ならびにカップ部150以外をヘムパワーネットで構成し、前側土台部110(前側土台部110およびサイドボーン120)の表側をヘムパワーネットで構成し、カップ部150を前側ストラップ134で覆うことにより、このブラジャー100の表側(着用時における非肌側)は、全てヘムパワーネットで覆われることになる。すなわち、
図1および
図2において外部から視認できる全ての生地がヘムパワーネットとなる。
【0022】
このような特徴を含めて、このブラジャー100の各部分を詳しく説明する。
前側土台部110はブラジャー100の中央部分であって、前側土台部110はブラジャー100の中央部分から両脇に向けてカップ部150の下辺に沿って伸びており、脇側でサイドボーン120を構成している。このサイドボーン120は、ブラジャー100の
機能の一つである、脇側に流れてしまいがちな脂肪を逃がさないように、その表側がヘムパワーネットで構成され、その裏側がマーキゼット等の非伸縮性生地で構成されており、マーキゼットの非伸縮性により、乳房をしっかりすくい上げ、美しい乳房の形と、キレイな谷間を作り上げる。すなわち、サイドボーン120により、乳房がすっきりとブラジャー100の中に納まるとともに、寄せ上げ効果を発現して、乳房を形良く保形することができる。
【0023】
肩ひも部130は、肩から、カップ150を含めたブラジャー100全体を支え、ブラジャー100が下にずれ落ちないようにする。なお、このブラジャー100は肩ひも部130の長さを調節するための樹脂または金具部分(アジャスター)を備えていないが、備えていても構わない。
ホック140は、ブラジャー100を止める樹脂または金具部分であって、多くの場合に背中側にあるのが一般的である。なお、本発明が適用可能なブラジャーは、カップ150の左右にホックのあるフロントホックタイプや、バックスタイルをすっきり見せるサイドホックタイプなどのブラジャーであっても構わない。
【0024】
カップ部150は、乳房を包み込む、お椀の形の部分であって、乳房に合わせて左右対称に1つずつで構成される。このカップ部150は、立体的なお椀の形状を備えるために、たとえば3つの生地152、生地154、生地156を縫合して立体的な形状を構成している。ここで、多くの場合、これらの生地の内部には、柔らかい素材が内包される。なお、カップの形状により、大きく3つのタイプ(フルカップ、3/4カップ、1/2カップ)に分けられ、本発明が適用可能なブラジャーは、いずれのカップの形状のブラジャーであっても構わない。
【0025】
カップ部150の上辺の曲線部分(ここではエッジラインと呼ぶ)170は、乳房に沿って谷間を形成する機能を備える。なお、このエッジライン170の部分には前側ストラップ134が縫着されていない。カップ部150の下辺の曲線部分(ここではアンダーラインと呼ぶ)180に、前側ストラップ134が縫着されている。
なお、このブラジャー100においては、肩ひも部130の前側ストラップ134がカップ部150の下辺(アンダーライン180)でカップ部150と縫着されて乳房をすくい上げているので、バージスライン(アンダーライン180近傍)に沿って乳房を支えるワイヤーであるアンダーワイヤーを設ける必要がない点で、ワイヤーの硬さ等を嫌うユーザには着用感が向上する点で好ましい。しかしながら、本発明が適用可能なブラジャーが、アンダーワイヤーを備えていても構わない。
【0026】
後側バンド部160は、カップ部150から脇に繋がるベルト部分であって、カップ部150を乳房に固定するとともに脇部分を補整する機能を発現する。
以下において、このような大略的構成を備えたブラジャー100において、このブラジャー100の肩ひも部130が、端部の始末不要な伸縮性生地(ヘムパワーネット)を用いているという特徴について詳しく説明する。
【0027】
上述したように、肩ひも部130は、中央部分で肩に当接する肩部ストラップ132と、腹側においてカップ部150を覆うとともにカップ部150の下辺(アンダーライン180)と縫着される前側ストラップ134と、背中側において後側バンド部160の上辺と縫着される後側ストラップ136とで構成される。前側ストラップ134はお椀形状のカップ部150を覆うために立体的に縫製されており、平面状の前側ストラップ134を縫着線134Rにより立体形状に構成している。
【0028】
そして、
図4および
図4のA部拡大図である
図6に示すように、肩部ストラップ132においては、始末不要な端部132Cが背骨側に、布端を折り返したり、別布や伸縮テープを付けて縫合されたり糸かがりを行われたりしたヘム処理端部132Sが脇側になるように設けられている。端部132Cは、経編地の所定のラインに沿って切断して、切断後の切りっぱなしの状態でヘム処理していない。また、
図1および
図3に示すように、肩部ストラップ132においても、始末不要な端部132Cが身体中心線側になるように設けられている。さらに、
図2および
図4に示すように、後側バンド部160においても、始末不要な端部160Cが下側になるように設けられている。
【0029】
さらに、
図3に示すように腹側において前側ストラップ134は、カップ部150を覆うとともにカップ部150の(エッジライン170で縫着されないで)アンダーライン180で縫着されており、
図4に示すように背中側において後側ストラップ136は、後側バンド部160の上辺の全体と縫着されている。なお、前側ストラップ134とサイドボーン120とカップ部150の側部とが、
図1および
図2に示す領域150Sで縫着されている。
図1および
図2に示すように、肩ひも部130(肩部ストラップ132、前側ストラップ134および後側ストラップ136)と、後側バンド部160の上辺の一部と、サイドボーン120の上部とにより、ヘム処理されたヘム処理端部により脇から肩にかけての周囲(袖口部分に対応)が形成される。
【0030】
このようにカップ部150の下辺全体(アンダーライン180)と肩ひも部130の前側ストラップ134とを縫着し、かつ、後側バンド部160の上辺全体と肩ひも部130の後側ストラップ136とを縫着したので、このブラジャー100の着用時にカップ部150を吊り上げる力が前側でも後側でも分散させることができるため、カップ部150のずり上がりや肩ひも部130が肌に喰い込むことを軽減することができる。
【0031】
そして、
図2および
図4に示すように、背中側において、肩部ストラップ132における背骨側の端部132C、および、後側バンド部160における下側の端部160Cが、始末不要な切りっぱなしの状態でヘム処理されていないので、外衣を通してブラジャー100の一部が外観に現れることを軽減することができるとともに(端部132Cおよび端部160Cがヘム処理されていないので背中をキレイに見せることができるとともに)、上述のようにカップ部150を吊り上げる力が分散させることに加えてヘム処理されていないために、肩部ストラップ132および後側バンド部160が肌(背中)に喰い込むことを軽減することができる。
【0032】
また、
図1および
図3に示すように、前側において、肩部ストラップ132における身体中心側の端部132Cが、始末不要な切りっぱなしの状態でヘム処理されていないので、外衣を通してブラジャー100の一部が外観に現れることを軽減することができるとともに(端部132Cがヘム処理されていないので乳房の谷間をキレイに見せることができるとともに)、上述のようにカップ部150を吊り上げる力が分散させることに加えてヘム処理されていないために、肩部ストラップ132が肌(乳房)に喰い込むことを軽減することができる。
【0033】
以上のようにして、本実施の形態に係るブラジャーによると、始末不要な切りっぱなしの状態でヘム処理されていないヘムパワーネットを肩ひも部または/および後側バンド部に採用し、肩ひも部の前側をカップ部の上側ではなく下辺の全体で縫着し、かつ、肩ひも部の後側を後側バンド部の一部ではなく上辺の全体で縫着したため、カップ部を吊り上げる力が分散させることができ、また、ヘム処理されていないために、肩部ストラップおよび後側バンド部が肌に喰い込むことを軽減することができる。その結果、このブラジャーの着用中の着心地が向上する。さらに、始末不要な切りっぱなしの状態でヘム処理されていないヘムパワーネットを肩ひも部または/および後側バンド部に採用したために、外衣を通してブラジャーの一部が外観に現れることを軽減でき、特に背中部分をすっきりキレイに見せることができる。
【0034】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
変更例として、たとえば、上述したブラジャー100においては、前側ストラップ134がカップ部150を覆うとともにカップ部150の(エッジライン170で縫着されないで)アンダーライン180で縫着されているとしたが、前側ストラップ134がカップ部150のエッジライン170の一部で縫着されていても構わない。このような変形例として、
図1〜
図3に示す領域150Uにおいてカップ部150と前側ストラップ134とが縫着されたブラジャーが挙げられる。この場合において、領域150Uにおいてカップ部150は少なくともアンダーライン180ではなくエッジライン170の近傍であり、
そのため、領域150Uはエッジライン170の一部とも認識することができ、前側ストラップ134がカップ部150のエッジライン170で縫着されない上述したブラジャー100とは異なる構成となる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、ブラジャーに好適であり、着用中の着心地が良く、かつ、外衣を通してブラジャーの一部が外観に現れることを軽減できる点で特に好適である。
【符号の説明】
【0036】
100 ブラジャー
110 前側土台部
120 サイドボーン
130 肩ひも部(ストラップ)
132 肩部ストラップ
134 前側ストラップ
136 後側ストラップ
140 ホック
150 カップ部(カップ)
160 後側バンド部(サイドベルト)
170 エッジライン
180 アンダーライン